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人工干潟における環境の変遷について

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Academic year: 2022

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(1)

人工干潟における環境の変遷について

(独)

水資源機構 長良川河口堰管理所 非会員 ○常松 晃

〃 中部支社 正会員 加藤 正典

1.はじめに

長良川河口堰は、揖斐長良川河口から上流 5.4km 地点に設置された可動堰である。長良川河口堰の計画お よび建設にあたっては、木曽三川河口資源調査(KST 調査)に始まる詳細な環境調査が実施され、環境保全 に係る様々な取り組みが行われているが、その1つに河口堰建設に伴う河道の浚渫により発生した土砂を利 用した人工干潟の造成がある。

人工干潟は、平成 5~6 年度に揖斐長良川河口の城南沖及び長島沖の 2 カ所にそれぞれ約 20ha の規模で造 成され(図-1)、造成直後より生物の生息場としての機能を把握するため、調査が実施されてきた。

本論は、平成 16 年度に人工干潟が造成後 10 年を経過したことを機会に、これまでの調査結果をとりまと め、人工干潟の経年的な変遷の状況および生物の生息場としての機能について、報告するものである。

2.調査・検討 2-1 地形の変化について

人工干潟の造成後の地形の変化を把握するため、造成時(平成 6 年度)、5 年後(平成 11 年度)、10 年後(平 成 16 年度)の 3 回、干潟およびその周辺の地形測量を行なった。それぞれの地形測量の間の地形の変化量を 色で示したのが図-2である。

図中において色の分布を比較すると、

平成 6~11 年度間では比較的大きな変 化を示す濃い赤や青の部分が見られる が、H11~H16 年度間では、そうした部 分が少なくなり、無変化や小さな変化 を示す白や薄青の部分多くなっている。

これにより、大きな地形の変動は造成 から約 5 年の間に進行し、それ以降は 安定した状態となることがわかる。

キーワード:長良川河口堰, 人工干潟,底生生物,底質

連絡先:〒511-1146 三重県桑名市長島町十日外面

136

独立行政法人 水資源機構 長良川河口堰管理所 ℡0594-42-5012 図-1 人工干潟(左:現況写真、右:空撮写真)

[ 城南干潟 ] [ 長島干潟 ] 図-2 干潟地形の変化図(左:H6~H11 間の変化量、右:H11~H16 間の変化量)

揖斐・

長良川

木曽川 城南干潟

長島干潟

城南干潟 長島干潟

土木学会中部支部研究発表会 (2008.3)

VII-016

-507-

(2)

2-2 底質の変化について

底質の状況においては、有機汚濁が進むことにより 底質が還元状態になると、底生生物などにとっての生 息環境が悪化することから、有機物量を把握するため の項目を主に調査を実施した。

図-3のとおり、両干潟の COD、酸化還元電位とも造 成からおおむね 5 年後の平成 9~10 年度ごろまでに、

COD は低減、酸化還元電位は上昇し、清浄な底質の状 態で安定傾向に入っている。中央粒径については、造 成時以来、ほぼ安定した状態を保っており、過度の粗 粒化や細粒化は起こっていないと思われる。

以上のとおり、干潟の底質状況は現状でほぼ安定し ているものの、大規模な出水や渇水の状況によっては、

今後、底質が変化する可能性も考えられる。

2-3 貝類の生息状況について

代表的な貝類の生息状況について、図-4に示す。ア サリは経年的に比較的多く観察されているものの、ハ マグリについては、当初より出現数が少ない状態が続 いていた。しかし、両干潟とも平成 16 年以降は、ハマ グリが増加傾向にあり、特に稚貝の出現が多く見ら れている。平成 18 年度には、再生産されたとみられ る多くの稚貝の着底が地元漁業協同組合においても 確認されており、今後の状況が期待されている。

2-4 多様度指数による自然干潟との比較

一般によく用いられる2つの多様度指数について、

平成 18 年度の調査データから算出した人工干潟にお ける指数と、古賀ら

1)

による全国の自然干潟における 指数を表-1 に示す。この結果、人工干潟の多様性は、

藤前干潟、西三番瀬など国内の代表的な自然干潟と比 較しても、ほぼ遜色ない値であることがわかる。

3.結論

人工干潟は、造成から 10 年余を経過し、地形や底質 はおおむね安定した状態となっている。貝類等の生物 の確認状況や、それに基づく多様度指数の値から見て も、自然の干潟に近い環境を備えるに至っており、多 様な生物の生息場として機能していると考えられる。

<参考文献>

1)

古賀庸憲・佐竹潔・矢部徹(2005):マクロベントス相における種の豊富さ、現存量、多様度指数、絶滅危惧種を用いた干潟の評価

中 央 粒 径 ( 城 南 沖 干 潟 )

0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 0 . 4 0 . 5 0 . 6

H 6 / 5 H 6 / 1 1 H 7 / 5 H 6 / 1 1 H 8 / 7 H 9 / 5 H 9 / 1 1 H 1 0 / 8 H 1 3 / 3 H 1 6 / 2 H 1 7 / 2 H 1 8 / 2

中央粒径[mm]

K 1 K 2 K 3 K 4 K 5

中 央 粒 径 ( 長 島 沖 干 潟 )

0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 0 . 4 0 . 5 0 . 6

H 6 / 9 H 7 / 5 H 7 / 1 1 H 8 / 8 H 9 / 5 H 9 / 1 1 H 1 0 / 8 H 1 3 / 3 H 1 6 / 2 H 1 7 / 2 H 1 8 / 2

中央粒径[mm]

K 1 3 K 1 4 K 1 5 K 1 6

C   O   D ( 城 南 沖 干 潟 )

0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0 6 0

H 6 / 5 H 6 / 1 1 H 7 / 5 H 7 / 1 1 H 8 / 7 H 9 / 5 H 9 / 1 1 H 1 0 / 8 H 1 3 / 3 H 1 6 / 2 H 1 7 / 2 H 1 8 / 2

COD[mg/g乾泥]

K 1 K 2 K 3 K 4 K 5

C   O   D ( 長 島 沖 干 潟 )

0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0 6 0

H 6 / 9 H 7 / 5 H 7 / 1 1 H 8 / 8 H 9 / 5 H 9 / 1 1 H 1 0 / 8 H 1 3 / 3 H 1 6 / 2 H 1 7 / 2 H 1 8 / 2

COD[mg/g乾泥]

K 1 3 K 1 4 K 1 5 K 1 6

酸 化 還 元 電 位 ( 城 南 沖 干 潟 )

- 5 0 0 - 4 0 0 - 3 0 0 - 2 0 0 - 1 0 0 0 1 0 0 2 0 0 3 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0

H 6 / 5 H 6 / 1 1 H 7 / 5 H 7 / 1 1 H 8 / 7 H 9 / 5 H 9 / 1 1 H 1 0 / 8 H 1 3 / 3 H 1 6 / 2 H 1 7 / 2 H 1 8 / 2

酸化還元電位(mV)

K 1 K 2 K 3 K 4 K 5

酸 化 還 元 電 位 ( 長 島 沖 干 潟 )

- 4 0 0 - 3 0 0 - 2 0 0 - 1 0 0 0 1 0 0 2 0 0 3 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0

H 6 / 9 H 7 / 5 H 7 / 1 1 H 8 / 8 H 9 / 5 H 9 / 1 1 H 1 0 / 8 H 1 3 / 3 H 1 6 / 2 H 1 7 / 2 H 1 8 / 2

酸化還元電mV)

K 1 3 K 1 4 K 1 5 K 1 6

図-3 中央粒径・COD・酸化還元電位の経年変化

《 城 南 沖 干 潟 》

0.1 1 10 100 1000 10000

H6/2 H8/7 H13/3 H14/5 H15/6 H17/2 H19/2

平均個体数

ハマグリ アサリ ヤマトシジミ

《 長 島 沖 干 潟 》

0.1 1 10 100 1000 10000

H6/2 H8/7 H13/3 H14/5 H15/6 H17/2 H19/2

個体数

ハマグリ アサリ ヤマトシジミ

《 城 南 沖 干 潟 》

0.1 1 10 100 1000 10000

H6/2 H8/7 H13/3 H14/5 H15/6 H17/2 H19/2

平均個体数

ハマグリ アサリ ヤマトシジミ

《 長 島 沖 干 潟 》

0.1 1 10 100 1000 10000

H6/2 H8/7 H13/3 H14/5 H15/6 H17/2 H19/2

個体数

ハマグリ アサリ ヤマトシジミ

図-4 主要貝類確認数の経年変化

表-1 自然干潟との多様度指数の比較

名称 平均

種類数

Shannon-Wienwer

指数 Simpson指数

藤前干潟 13.8 2.179±0.287 0.701±0.063 西三番瀬 20.7 1.631±0.413 0.525±0.142 城南干潟 17.6 1.852±0.539 0.597±0.152 長島干潟 16.9 1.860±0.690 0.595±0.178 自然

人工

土木学会中部支部研究発表会 (2008.3)

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参照

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