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城郭都市における変遷景観の分析

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Academic year: 2022

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城郭都市における変遷景観の分析

復建調査設計株式会社 正会員 ○織野 祥徳 大阪工業大学 正会員 吉川 眞 大阪工業大学 正会員 田中 一成

1.はじめに

わが国は,第二次世界大戦後の戦災復興によって市街地の新たな骨格が形成され,高度経済成長期の飛躍 的な都市化により,量的には豊かな社会が形成されてきた.これに対して,1993 年にわが国としては初めて の世界文化遺産に法隆寺と姫路城が指定されるなど,無秩序な都市開発について見直すとともに,積極的に 景観資源を保全・活用していこうという動きが見られるようになってきた.2003 年には「美しい国づくり政 策大綱」が取りまとめられ,2005 年には景観法が全面施行された.これからは,歴史環境の保全や歴史・文 化といった地域性を活かしたまちづくりなど,量ではなく質の高い快適な空間を創ることが重要な課題とな ってきている.

2.研究の目的と方法

わが国では,明治期以来の近代化にともなう急激な産業発展と都市化により,都市構造が大きく変貌して きた.姫路も明治期以来の近代化の影響を大いに受けた都市のひとつである.本研究では,市街地を視点場 とした姫路城の見え方に着目し,明治期から現在に至るまでの変遷景観を再現するとともに,城の見え方の 変化を分析・把握することを目的としている.また,城と都市の関係性をもとに,姫路における都市計画や 景観行政を評価することもねらっている.具体的には,GISやCAD/CGといった空間情報技術を積極的に活 用し,数値地図 50m メッシュ(標高),DM データなどの空間データや,旧版地図,基本地形図などの紙地 図などの紙ベースの情報もデジタル化して用いることで,都市の3次元モデル化と市街地を視点場とした姫 路城の可視・不可視分析を行っている.また,3次元CGによる変遷景観シミュレーションを行うことで,

市街地の歴史的変遷と城の見え方を視覚的に把握している.

3.都市内の変遷把握

姫路が,近代化によりどのような変貌してき たのかを明らかにするために,国土地理院が提 供する旧版地図を用いて市街地の歴史的変遷を 把握した.明治末期,戦後復興期,高度経済成 長期,現代の4期を対象期として,城周辺地域 の地図に記載されている情報を読み解くことで,

土地利用の変化と景観的な変容を明らかにした

(図1).また,GIS と CAD/CGを用いて4期 すべての3次元都市モデルを構築することで,

姫路市街地を視覚的に把握した.2次元で城周 辺地域の土地利用の変化を把握し,3次元都市 モデルにより市街地を視覚的に把握することで,

市街地がどのように変貌したのかを把握できた.

キーワード GIS,姫路城,景観分析,変遷景観,3次元都市モデル,可視・不可視分析

連絡先 〒732-0052 広島市東区光町2丁目 10 番 11 号 復建調査設計株式会社 TEL:082-506-1811 凡例

学校 軍用地 寺社

官庁・公共施設

郵便局 公園・緑地 明治末期 戦後復興期

高度経済成長期 現代

0 300m

N

図1 姫路城の可視頻度 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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(2)

4.姫路城の可視・不可視分析

対象期の4期について,市街地を視点場とした 姫路城の可視・不可視分析を行った.可視・不可 視分析を行うために,4期すべてについてグリッ ドサイズ5mのDSM(数値表層モデル)を構築し ている.可視・不可視分析では,姫路城天守の壁 面に 50 点の代表点を配置し,市街地から姫路城が どの程度見えているのか,可視頻度値を算出した

(図2).また,姫路城を眺める典型景観として姫 路市によって選定された2種類の十景について,

それら十景の視点から見た姫路城の変遷景観シミ ュレーションを行った.その際,実写と比較する ことで,姫路城の見えに樹木が影響することを発 見した.次に,樹木が城の見えに影響しているこ とから,建物だけではなく樹木も加えた DSM を 構築した.個々の樹木がモデル化される必要から グリッドサイズ1mとしている,なお,樹木の影 響を受けやすい城周辺地域においてのみ,詳細な DSMの構築と城の可視・不可視分析を行っている.

5.姫路城の見やすさ

市街地を視点場とした姫路城の可視・不可視だけではなく,城の見 やすさにも注目にした.約7°以下の眼球運動だけで姫路城を観察で きる範囲,すなわち姫路城の仰角が7°以下となる領域を仰角分析か ら抽出した.くわえて,抽出した仰角7°以下の領域と景観行政が定 める領域との関係を把握したうえで提案も行っている(図3).また,

仰角分析の結果を検証するために,デジタルカメラ搭載モバイル GNSS(GPS+GLONASS)受信機を用いた現地調査も行った.現地調査 では,対象物の画像および方位角・傾斜角を同時に取得するとともに,

VRS 方式を用いた GPS 測量で高精度の位置情報も取得することによ り,仰角分析の精度も検証している.

6.まとめ

本研究では,空間情報技術を活用して,過去から現在にかけての市街地を視点場とした姫路城の可視・不 可視分析を行い,さらには対象の見やすさに注目した仰角分析により良好な視点場を抽出した.また,分析 結果と景観行政が定める領域との関係を把握したうえで提案も行うことができた.残された課題として,江 戸期のモデル構築と現在の都市モデルとの比較や,過去から現在にかけての緑の変遷の把握などがあげられ る.これらに関するさらなる追究により,未来の姫路のあり方について提案していけたらと考えている.

参考文献

0 1 km

N

明治末期 戦後復興期

高度経済成長期 現代

図2 姫路城の可視頻度

図3 仰角7度と景観ガイドプラ ン対象範囲

N

・姫路市:姫路市史,第 14 巻

・織野祥徳,吉川眞,田中一成:姫路における変遷景観の把握,第 18 回地理情報システム学会講演論文集,pp525-528 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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参照

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