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学位論文題名Stable Isotopic Ecology of the Japanese Scallop Mizuhopecten, YessoeYZSZSJay,1857)

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Academic year: 2021

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博 士 ( 環 境 科 学 )   フ ロ ー ラ ン ア ル マ レ ス ア ヤ

     学位論文題名

Stable Isotopic Ecology of the Japanese Scallop     Mizuhopecten, YessoeYZSZSJay , 1857)

( 日 本 産 ホ タ テ ガ イMizuhopecten Yessoens絡 (Jay,1857) 中 の     安 定 同 位 体 変 動 に 関 す る 生 態 学 的 考 察 )

学位論 文内容 の要旨

  北海 道の 主要 な水 産魚 貝類 であ る ホタ テガイMizuhopecten Yessoensis (Jay1857)の組織およ び餌生物の炭素・ 安定同位体組成の変化を調ペ、それらの生態学的意義について考察した。本研究 では、複数年の群 集について炭素・窒素安定同位体組成を測定し、放流直後の短期間の変化とその 後の漁獲までの長 期間における変化を明らかにした。また、同時に消化管内容物を摂食している餌 と仮定し、その安 定同位体組成と環境に存在する複数の餌生物の安定同位体組成の比較から餌生物 間の相対的な貢献 度を推定した。また、消化管内容物と他の組織間の安定同位体組成の違いから栄 養段階変化による 同位体濃縮係数を算出した。さらに実験室内でホタテガイの摂餌培養を行い、給 餌量と摂食量の関 係を求め、現場における摂餌効率および餌要求量を算出し、現場における基礎生 産量との比較を行 い、両者の関係を明らかにした。

  地捲きホタテガ イは、オホーツク海常呂沖地捲き漁場より2006年から2009年にかけて4月丶一丶 12月の 期間 ほぽ ーケ 月に 一度 の間 隔 で、1令 から4令の 年級 群ご とに 試料を得た。各年級群につ いて最低5個体の殻長、重量を測定した後、組 織ごとに凍結乾燥し粉末試料を得た。炭素、窒素安 定 同位 体測 定試 料に つい ては 、ア ル コー ル脱 脂を 行っ た。 懸濁 粒子 (S POM)は、海水試料を採 水 によ り、 沈降 粒子 (SP)は 、セ ジ メン トト ラッ プを24時 間係 留す ることにより得た。炭素・

窒 素安 定同 位体 測定 は、Thermo Electron DeltaVPlus Continuous Flow質量分析装置を用い、

炭素・窒素安定同 位体組成は、6 13C,615N値 として表す。

  本論 文の 結果 より以下のことが明らかとなった。1)稚貝放流直後から3ケ月間に窒素安定同位 体 比(6 15N)は 、9% から6‑7%0へ と 減少 した。同様に613Cもー16%から‑17.5ー18.5%に減少し た。この減少の要 因として、稚貝が汽水湖のサロマ湖で垂下養殖された後に常呂沖に放流され、生 育 環境 が変 化し 、摂取する餌生物が変化したことに起因すると考え られた。また、懸濁粒子(SP

〇M)よ り沈 降粒 子(SP) のほ うが 、 より 消化 管内 容物 の値 と近 接し ていることから稚貝の餌起 源として後者がよ り重要である。2)常呂沖のホタテガイ貝柱中の6 15N値は、7.0%から8.5%。へ     ―1046―

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徐 々に増加 した。一 方で、6 13C値はー18%0前後で有意な変化はなかった。貝柱中の615N値は、殻 長より年齢と良い相関が得られた。この要因としては、成長に伴う摂餌サイズの増加に伴い、餌生 物 が一次生 産者であ る植物 プランク トン起 源の有機 物から2次生 産者である動物プランクトン起 源の有機物へと遷移することにより、餌生物中の6 15N値が増加するためであると推定された。3) 消 化 管 内容 物 の6 13C,615N値と ホタテ ガイ各組 織中の613C,615Nの差 (同位体 濃縮係数 :△

613C、 △615 N)は、 △613Cについ て貝柱 で3.4%。、中 腸腺で1.2%0であり、△615Nにっいて貝 柱で1. 7%0、中腸腺で‑0.1%。であった。同時にこの△613C、△615Nは、季節変動を示し、その値 は 、消化管 内の613C,6 15Nの値に逆比例した。この事実は、既往の同位体濃縮係数が一定である と の知見に 反し、餌 生物の同位体値により同位体濃縮係数が変動することを明らかにした。4)ホ タ テガイの 摂餌効率 は、環 境水中のSP〇M濃度の増 加に伴 い増加す ることが培養実験より明らか に なった。 この関係 式を夏 季の常呂 沖漁場 に当ては めたと ころ、現 場のSPOM濃度(117ー168 vg l−1)における摂餌効率は5.8―7.2%と推定され、これらの値とホタテの密度(5枚1TI‑2)から1日 あたりのホタテガイの餌要求量は34‑‑61 rrigCm・2d―1と計算された。この値は、表層から海底への 餌供給速度として考えられる沈降粒子フラックス25−42 IUgCm一2d−Iより大きいため、他の餌供給源 の存在が示唆された。他の期間については、沈降粒子フラックスが餌要求量より大きな値を示した。

  以 上、本研 究で得 られた知 見は、持 続的なホタテガイ漁業を行うための重要な情報であり、安 定 同 位 体 を 用 い た 生 態 学 研 究 を さ ら に 発 展 さ せ る こ と が 出 来 る と 期 待 さ れ る 。

1047 ‑

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学位論文審査の要旨

主 査  准 教 授  工 藤  勲 副 査  教 授   門 谷  茂 副 査  教 授   岸   道 郎 副 査  教 授   久 万 健 志

副 査  教 授  五 嶋 聖 治 ( 大 学 院 水 産 科 学 研 究 院 )

    学位論文題名

Stable Isotopic Ecology of the Japanese Scallop     Mizuhoウ ¢ c彪 刀1を ; ss〇 ¢ 銘 szs  Jay,1857)

(日本産ホタテガイ朋ぬ髟カめ¢c地銘托恥〇¢髭sぬ(Jay,1857)中の     安定同位体変動に関する生態学的考察)

    本 論 文 は 、 北 海 道 の 主 要 な 水 産 魚 貝 類 で あ る ホ タ テガ イMizuhopecten Yessoensis (Jay,1857)の 組織 お よ び餌 生 物の 炭 素 ・安 定 同位 体 組成の変 化 を 調ベ、そ れらの生 態学的意 義につしゝて考察した。本研究では、複数年の群集 に つ い て炭素・ 窒素安定 同位体組成 を測定し 、放貝直 後の短期 間の変化 とその 後 の 漁 獲までの 長期間に おける変化 を明らか にした。 また、同 時に消化 管内の 有 機 物 を摂食し ている餌 と仮定し、 その安定 同位体組 成と環境 に存在す る複数 の 餌 生 物の安定 同位体組 成の比較か ら餌生物 間の相対 的な貢献 度を推定 した。

ま た 、 消化管内 と他の組 織間の安定 同位体組 成の違い から栄養 段階変化 による 同 位 体 濃縮係数 を算出し た。さらに 実験室内 でホタテ ガイの摂 餌培養を 行い、

給 餌量と摂 食量の関 係を求め 、現場における摂餌効率および餌要求量を算出し、

現 場 に お け る 基 礎 生 産 量 と の 比 較 を 行 い 、 両 者 の 関 係 を 明 ら か に し た 。     本 論 文 の結 果 より 以 下 のこ と が明 らかとな った。1) 稚貝放流 直後に観 測 さ れ た 炭素 ・ 窒素 安 定 同位 体 比 (d J3C,615N)の減 少は、生 育環境の 変化に よ り 餌 生物 が 変化 す る こと に 起 因す る 。ま た 同 位対 比 が、 懸 濁 粒子(SP○M) よ り 沈 降粒 子 (SP) のほ う が 、よ り 消化 管 内 の値 と 近接 し て いる ことか ら稚 貝 の 餌 起源 と して 後 者 がよ り 重 要で あ る。2) 長 期 間に わ たり6 13C,615N値 は 、 徐 々に増加 した。こ の要因とし ては、成 長に伴う 餌サイズ の増加に 伴い、

餌 生 物 が植 物 プラ ン ク トン 起 源 の有 機 物か ら 動 物プ ラ ンク ト ン 起源の 有機物 へ と 遷 移す る こと に よ り、 餌 生 物中 の6 J3C,615N値 が増加す ることで ある推

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定された。3 )同位体濃縮係数は、消化管内の6 13C ,615N の値に逆比例した。

これは、既往の同位体濃縮係数が一定であるとの知見に反し、餌生物の同位体 値 により 変動することを明らかにした。4 )現場のSPOM 濃度と摂餌効率よ り求めた夏季のホタテガイの餌要求量は、沈降粒子フラックスより低く、他の 餌供給源の存在が示唆された。

     以上のとおり,申請者は北海道における重要な水産資源であるホタテガ イの成長と餌生物の関係について安定同位体を用いた手法で新たな知見を加 え,今後の持続的漁業生産の維持と安定同位体生物地球化学の発展に貢献す るところ大なるものがある。

     よって,申請者は博士(環境科学)の学位を受けるのに充分な資格を

有するものと判定した。

参照

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