• 検索結果がありません。

学位論文内容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文内容の要旨"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

    

博士(地球環境科学)宮本和樹

    

学位論文題名

Convergence and differentiationintreearChiteCture     

amongCO

OCCurrlngSpeCleSlnatropiCalheathforeSt   

(熱帯ヒース林に共存する多種の樹木の構造における収斂と分化)

学位論文内容の要旨

熱帯林は高い種 多様性をもつ陸域生態系で ある,急速に減少を続けてい る熱帯林において,その多様性の維 持機構を解明す ることは科学的関心だけに とどまらず,森林生態系の保 全や持続的管理の面からも重要であ る,これまでの 研究では,森林群集におけ る多種共存を決定づける要因に重点がおかれきたが,森林の構造,

一次生産や個体 群統計学的特性などの生態 系機能と種多様性との関連に ついては十分な研究が行われていな い.種多様性と 生態系機能との関係,およ びそれを規定する要因を明ら かにするため,インドネシア,中央 カリマンタンの 熱帯ヒース林において,生 育環境の水平的な不均一性, 林分単位での構造的特性の収斂と樹 種間での形態的 特性の分化について研究を おこなった.

  生育 環境 の水 平的 な 不均 一性 に関 す る研 究で は,2つ の1ヘク ター ルプ 口ッ ト に高 い頻度でみられ る55 種 につ いて 泥炭の 深さと相対標高(プロット内 の最も低い地点をゼロとし たときの標高)の2つの環境 要因 と 種の 空間 分布バ ターンとの関係をしらべた. 55種のうち8割以上の種で ,その空間分布バターンが2つの 環 境要 因の うちの いずれかと有意な相関を示し た.そのうちの10種は2つの プ口ット間で泥炭の深さや 相対 標高と一貫した 選好性を示した,これらの 結果から,地形や土壌要因が 局所的な樹木の空間分布や種組成を 決定づける要因 として関与していることが 示唆された.

  種を込みにし た林分単位での構造的特性 を異なる森林夕イプ間で比較 するため,林分の構造に関する相対 成長関係および 地上部現存量と一次生産速 度の推定値を混交フタバガキ 林のそれらと比較した.樹木の構造 的特性に関する 森林夕イプ間の違いは主に ,胸高直径と樹高,幹・枝重 と葉重,葉面積と葉重および葉面積 と樹冠投影面積 の各関係においてみられた .これらの違いはひょろ長い 幹や小さくて厚い葉といったヒース 林 の外 観的 特徴を 反映していた,ヒース林の地 上部現存量と葉面積指数は それぞれ混交フタバガキ林の 約3 分 の1, お よび 約2分 の1であ っ たが 葉重 につ いて は2つの 森 林夕 イプ で大 きな 違 いは みられなかった .ヒ ー ス林 の純 生産 速度 は 混交 フタ パガ キ林の約2分の1で,りターの供給速度 および葉面積指数が小さい こと     ―1439

(2)

に起凶し ていると考えられた,現存量 の滞留時間は14−16年で,混交フタバガキ林の20・30年とくらぺて短か った.ま た純l司化量については2つの 森林夕イプ間で大きな違い はみられなかった,これらの 結果から,ヒ ース林と 混交フタバガキ林との間での 一次生産の違いは葉面積指 数によって説明され,ヒース 林は現存量の 滞留時間 が短く,貧栄養環境に成立す る森林であるといわれなが ら,成長遅滞が起こっておら す,現存量の 人れ替わりの速い系であることが示された,

  ヒース 林内の構成桝種問の形態的, 構造的な分化をしらべるた め,代表的な構成種10種につ いて稚樹から 親木まで のサイズの個体を伐採し,樹 冠の構造や生物体量の各器官への配分に関する特性を種間で比較した,

10種は最大樹高と最大胸高直径によってUpper‑canopy species,Lower―canopy speciesとUnderstorey speciesに分 類し,直径サイズの増加にともない樹高が頭打ちになる関係を拡張相対成長式を用いて回帰した. Understorey speciesで は胸高直径と樹高の相対生 長関係は種間で大きく異なっ ていた.繁殖開始サイズは最大樹高が大き い種ほど 大きくなる傾向がみられた. これは成長と繁殖のあいだ のトレーオフ関係を示唆して いる,直線回 帰によっ て求めたその他の部位に関す る相対生長関係のほとんど は,回帰直線の傾きが種間で 有意に異なっ ていた. 樹木のさまざまな部位間の相 対生長関係の違いを要約す るため,直線回帰における独 立変数の25 50,75バ ーセンタイル点において予測 された従属変数の値を各種 の特性値とし,これに基づい て主成分分析 をおこな った.その結果,同じ樹高に おける樹冠投影面積,樹冠 深度,葉面積,さらに同じ地 上部個体重に おける枝 重や葉重が種間の違いに寄与 していた. 10種のうち,泥 炭湿地林で優占する1種を除 くと,観測さ れ た9種の 最大 樹高は地上部個体重と枝重 ,樹高と樹冠深度および樹 高と一次枝の本数の相対生長 関係にお ける,独 立変数の50バーセンタイル点 で予測された従属変数の値 と負の相関を示した,これは 最大サイズの     

小さい種 ほど,枝に対する投資が大き く,枝の数を増やして垂直 方向に樹冠を発達させるよう な樹形をとる ことを意 味している,以上の結果から 最大樹高と垂直方向への樹 冠発達との関係が熱帯ヒース 林における種 の分化と 共存に寄与していることが示 唆された.ヒース林の構成 種がこのような特性をもつ原 因として,高 い 樹 木 の 本 数 密 度 と 林 内 の 光 環 境 が 混 交 フ タ バ ガ キ 林 と 比 べ て 比 較 的 良 い こ と な どが 考え られ た .

(3)

学位論文審査の要旨

主査   教授   甲山 隆司 副査   教授   岩熊 敏夫 副査   助教授

  

露 崎史朗

副査   教授   鈴木 英治(鹿児島大学・理学部)

    

学位論文題名

Convergence and differentiationintreearChiteCture     

amongCO

_

OCCurrlngSpeCleSlnatropiCalheathforeSt   

(熱帯ヒース林に共存する多種の樹木の構造における収斂と分化)

  熱帯林の種多様性と生態系機能との関係、およびそれを規定する要因を明らかにするため、

インドネシア、中央カリマンタンの熱帯ヒース林において、構成樹種の生育環境の水平的な 不均一性、林分単位での構造的特性の収斂と樹種間での形態的特性の分化について研究をお こなった。

  生育環 境の水平 的な不均 一性に注目 して、2つ の1ヘクタールプロットに高い頻度でみら れる55種 について 泥炭の深 さと相対標 高の2つの 環境要因 と種の空 間分布バ ターンとの関 係 をし ら ぺた 。55種 の うち8割以上の 種で、空間 分布バタ ーンが2つ の環境要 因のうち の いずれ かと有意 な相関を 示した。そ れらのう ちの10種は2つのプロ ヅト間で 泥炭の深さや 相対標高と一貫した選好性を示した。以上の結果から、地形や土壌要因が局所的な樹木の空 間 分 布 や 種 組 成 を 決 定 づ け る 要 因 と し て 関 与 し て い る こ と を 示 唆 し た 。   種を込みにした林分単位での構造的特性を異なる森林夕イプ間で比較するため、林分の構 造に関する相対成長関係および地上部現存量と一次生産速度の推定値を、混交フタノヾガキ林 のそれらと比較した。樹木の構造的特性に関する森林夕イプ間の違いは、胸高直径と樹高、

幹・枝重と葉重、葉面積と葉重および葉面積と樹冠投影面積の各関係においてみられた。こ れらの違いは、ひよろ長い幹や小さくて厚い葉といったヒース林の外観的特徴を反映してい た。ヒ ース林の 地上部現 存量と純生 産速度は それそれ 混交フタ バガキ林 の約3分の1と約2 分の1であり、現存量の割に高い純生産速度を有していることが明らかになった。このため、

現存量 の滞留時 間は14 ‑16年と なり、混交 フタバガ キ林の20‑ 30年と比べて短く、回転の 速い系であることをはじめて報告した。

  ヒース 林内の構 成樹種間 の分化を調 べるため 、代表的 な構成種9種につい て稚樹から親 木までのサイズの個体を伐採し、形態的特性を種間で比較した。繁殖開始サイズは最大樹高 が大きい種ほど大きくなる傾向がみられ、成長と繁殖の間にトレードオフ関係が成立すると 推察した。樹木のさまざまな部位間の相対生長関係の違いを要約するため主成分分析をおこ なった。その結果、同じ樹高における樹冠投影面積、樹冠深度、葉面積、さらに同じ地上部

1441

(4)

個体重 における 枝重や葉重の違いが種間の変異に強く寄与していた。対象9種の最大樹高は 地上部個体重と枝重、樹高と樹冠深度および樹高と一次枝の本数の相対生長関係における特 性値と負の相関を示した。これは最大サイズの小さい種ほど、枝に対する投資が大きく、枝 の数を増やして垂直方向に樹冠を発達させるような樹形をとることを意味する。以上の結果 から、最大樹高と垂直方向への樹冠発達との関係が熱帯ヒース林における種の分化と共存に 寄与していることを示唆した。

  本研究は、初めてその現存量・生産速度推定を実施することにより、ヒース林を成育の遅 滞した生態系とする今までの一般的な予見を覆して、貧栄養土壌への適応特性を記述するこ とに成功した。また、生態系生態学と群集生態学を結合する観点で対象系を解明した点で高 く評価できる。

  申請者は、大学院博士課程を通して熱心にボルネオでの野外調査とデー夕解析に取り組み、

論文にまとめてきた。今後、さらに実カを発揮していくものと判断する。以上から、審査員 一同は申請者が博士(地球環境科学)の学位に相当する充分な資格を有するものと判定した。

参照

関連したドキュメント

Mapping Satoshi KITAYAMA and Hiroshi YAMAKAWA Waseda University,Dept.of Mech.Eng.,59‑314,3‑4‑1,Ohkubo,Shinjuku‑ku Tokyo,169‑8555 Japan This paper presents a method to determine

このように資本主義経済における競争の作用を二つに分けたうえで, 『資本

物語などを読む際には、「構造と内容の把握」、「精査・解釈」に関する指導事項の系統を

不変量 意味論 何らかの構造を保存する関手を与えること..

日林誌では、内閣府や学術会議の掲げるオープンサイエンスの推進に資するため、日林誌の論 文 PDF を公開している J-STAGE

(7)

This paper focuses on the property of yue 'more', which obligatorily occurs in Chinese Comparative Correlative Construction (hereafter yue-construction). Yue appears before

森林には、木材資源としてだけでなく、防災機能や水源かん養