• 検索結果がありません。

学位論文内容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文内容の要旨"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 獣 医 学 ) 尾 崎 弘 一

     学位論文題名

Studies on the Diagnosis and Prevention of Equine Influenza      ( ウ マ イ ン フ ル エ ン ザ の 診 断 と 予 防 に 関 す る 研 究 )

学位論文内容の要旨

  近 年、 ウマの国 際空輸移 動が頻繁 になるに 伴い、ウ マインフル エンザウ イルスが 国内 に 持ち 込まれる 機会が増 加してい る。した がって、 ウマインフ ルエンザ の発生と 流行を 予 防す るために 、さらに 検疫を強 化すると ともに効 果的なワク チンを用 意する必 要があ る 。ウ マH3N8イン フ ル エン ザ ウイ ル ス は1963年 に 初め て 分 離さ れて以 来、世界 各地で 流 行を 引き起こ してきた 。この間 にウイル スの抗原 性が変化し たと推定 されるが 、抗原 変 異の 詳細は不 明である 。本研究 の目的は 、第一に 、インフル エンザワ クチン接 種馬群 の 中か らインフ ルェンザ ウイルス 感染個体 を迅速に 摘発する診 断法を開 発するこ とであ り、第 二に、現に 流行を弓Iき起こし ているウ イルスに 抗原性が 近縁で、その感染をより 効 果的 に防御す るワクチ ンを用意 するため に、ウマH3N8インフルエ ンザウイ ルスの抗 原 変異の実態を明らかにすることである。

  ま ず、 不活化イ ンフルエ ンザワク チン接種 馬群の中 からウイル ス感染馬 を摘発す る方 法 を開 発 する た め 、ウ イ ルス 感 染 細胞に のみ発現 される非構 造夕ンバ ク(NSl)に着目 し た。A/equine/Miami/1/63 (H3N8)株 のNS遺伝子を クローニ ングし、大腸菌でNS1を発現さ せ た。 こ の組 み 換 えNS1は ウマ 、 ト りおよび ヒトのH3イ ンフルエン ザウイル スのそれ ら と抗原 性が共通し ているこ とを確認 した。A/Aichi/2/68 (H3N2)株を実験感染させたマウ ス の血 清 中に 抗NS1抗体 が 検出 さ れ た。一方 、不活化 ウイルスを 皮下に接 種したマ ウス の血清中には抗NS1抗体が検出されなかった。

  A/equine/Kentucky/l/81 (H3N8)およびA/equine/La Plata/93 (H3N8)株をそれそれ実験感染 さ せた ウ マの 血 清 中に 抗NS1抗 体 が 検出され た。一方 、不活化ワ クチンを 接種した ウマ の 血清 中 には 抗NS1抗体 が 検出 さ れ なか っ た。 し た がっ て 、 抗NS1抗 体を検出 すること に よっ てワクチ ン接種馬 群の中か らウイル スに感染 したウマを 摘発でき ることが 明らか となった。

  Immuno‑polymerase chain reaction (immuno‑PCR)を用いた抗原検出によるウマインフル エンザ の高感度診 断法を開 発した。 この方法 によってA/Aichi/2/68 (H3N2)株を実験感染 さ せた マ ウス の 鼻 腔洗 浄 液お よ び 気管肺 胞洗浄液 中にNS1およぴ へマグル チニン(HA)抗 原 が検 出された 。その抗 原検出感 度はプラ ーク法に よるウイル ス分離、 逆転写PCR (RT‑

PCR)法によ るウイル スグノム 検出のそ れを遙か に凌駕す るものであ った。そ こで次に 、 A/equine/La Plata/1/93 (H3N8)株を実験感染させたウマの鼻腔拭い液中のNS1およびHA抗 原 をimmuno‑PCR法 に よ り 検 出 し た 。 そ の 感度 は 両 抗原 遺 伝子 を 検 出す るRT‑PCR法 の

(2)

104.。および107.。倍であった。また、1mmuno―PCR法を用いれば、感染早期から、かつ長期 間 にわ たり 抗原 が検 出さ れる こと が明 らか となっ た。 以上の成績から、ウマインフルエ ン ザの 診断 にlmmuno−PCRによる抗原検出法を適用すれぱ迅速かつ高感度にウイルス感染 馬を摘発できることが明らかとなった。

  A/equine/Miami/l/63 (H3N8)株のHA分子上の少なくとも8つの異なるエピトーブを認識 し てい るモ ノク ロー ン抗 体パ ネル を確 立し た。こ のモ ノク口ーン抗体バネルを用いて、

世 界 各 地 で 異 な る 年 に 分 離 され た計26株 のウ マH3イ ンフ ルエ ンザ ウイ ルスHAの 抗原 性 を詳細に比較解析し、次の結論を得た。

  1) ウ マ の イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス は 年 々 抗 原 性 が 変 化 し て い る 。   2) モノ クロ ーン抗 体/ヾネ ルと の反 応性 からユ ーラ シア型とアメリカ型の抗原変異株     がウマの間で受け継がれている。

  3) ウマ のイ ンフル エン ザウ イル スの 抗原 変異 の程 度は ヒト のそ れと 比べて 小さ い。

  我が 国の ウマ イン フル エン ザワ クチ ンに 含まれ る株 と最近の流行株の免疫原性をマウ ス に よ る 交 差 中 和 試 験 に よ っ て 解 析 し た 。 そ の 結 果、A/equine/Tokyo/2/71(H3N8)ヽ A/equine/Kentucky/1/81 (H3N8)およびA/equine/Newmarket/l/77 (H7N7)を含む従来のワク チンはA/equine/Kentucky/l/92 (H3N8)株の感染を中和する抗体を誘導しないことが判明し た。一方、A/equine/Kentucky/l/92 (H3N8)株は最近の流行株のみならず、従来のワクチン 株 に 対 し て も 高 い 免 疫 原 性 を示 した 。以 上の 成績に 基づ き、A/equine/Kentucky/l/92 (H3N8)株あ るい は相 当す るア メリ カ型 ウイ ルス株 をワ クチン株として導入することを提 案した。これが受け入れられ、A/equine/Tokyo/2/71に代わってA/equine/LaPlata/1/93がワ クチンに導入された。

  1994年と1996年に スウ ェー デン にお いて アメリ カ型 に属するウイルスによるウマイン フ ルエ ンザ が発 生、 流行 した 。こ の流 行が 起こっ たの はスウェーデンで使用されている ワ クチ ンに アメ リカ 型の ウイ ルス が含 まれ ていな いた めと指摘されている。日本の現行 の ウマ イン フル エン ザワ クチ ン株 には ユー ラシア 型のH3N8ウイルスが含まれていない。

したがって、ワクチン株の更新に際し、A/equine/Kentucky/1/81 (H3N8)株に代えてユーラ シア型のウイルス株を導入すべきと考える。

  以上 の成 績よ り、 イン フル エン ザウ イル ス感染 馬を 迅速に診断し、摘発するために抗 NS1抗 体の 検出 およぴimmuno‑PCR法 によ るウ イル ス抗 原検 出が 有用 であ ること が明 らか と なっ た。 また 、ウ マイ ンフ ルエ ンザ ウイ ルスが 年々 抗原変異を起こしていることが明 ら かと なっ た。 本研 究の 成績 がウ マイ ンフ ルエン ザの 予防と制圧に資すことを望むもの である。

63 ‑

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査    教 授    喜 田    宏 副 査    教 授    小 沼    操 副 査    教 授    高 島 郁 夫 副 査    助 教 授    岡 崎 克 則

     学位論文題名

Studies on the Diagnosis and Prevention of Equine 工nfluenza      ( ウ マ イ ン フ ル エ ン ザ の 診 断 と 予 防 に 関 す る 研 究 )

  ウマの国際空輸移動に伴うインフルエンザの侵入と流行を予防するために、検疫の強化と適切な ワクチン株の選定が重要課題となっている。本研究の目的は不活化ワクチン接種馬群からウイルス 感染個体を摘発する血清診断法と病原検出迅速診断法を開発することならびにウマインフルエンザ ウイルスの抗原変異の実態を明らかにし、その成績に基づき、流行ウイルスの感染を効果的に防御 し得るワクチン株を選定することである。

  先ず、Eq/MI/63 (H3N8)株のNS遺伝子をクローニングし、大腸菌でNS1を発現させた。この組み換 えNS1はウマ、トりおよびヒトのウイルスのそれらと抗原性が共通であった。Eq/KY/81 (H3N8)また はEq/LP/93 (H3N8)株を実験感染させたウマの血清に抗NS1抗体が検出されたが、不活化ワクチンを 接種したウマの血清には検出されなかった。したがって、抗NS1抗体を検出することによってワク チ ン 接 種 馬 の 中 か ら ウ イ ル ス に 感 染 し た ウ マ を 摘 発 で き る こ と が 明 ら か と な っ た 。   次に、ウイルス抗原検出によるウマインフルエンザの高感度迅速診断法としてImmuno‑PCRを確立 した。本法を用いてEq/LP/93 (H3N8)株を実験感染させたウマの鼻腔拭い液中にNS1およびHA抗原を 検出した。その感度は各遺伝子を検出するためのRT‑PCR法の104.0およぴl07.0倍であった。さらに 本法は、感染早期から長期間にわたり抗原を検出することが明らかとなった。以上の成績から、本 法をウマインフルエンザの検疫診断に適用すれば迅速かつ高感度にウイルス感染馬を摘発できるこ とが明らかとなった。

  ウマインフルエンザウイル′スの抗原変異の実態を明らかにするため、Eq/MI/63株のHA分子上の8 つの異なるエピトープを認識するモノクローン抗体パネルを用い、世界各地で異なる年に分離され た26株のウマH3ウイルスHAの抗原性を解析した。その結果、ウマの問でユーラシア型とアメリカ 型 の ウ イ ル ス が 年 々 抗 原 変 異 を 起 こ し な がら 受け 継が れて い るこ とが 明ら かと なっ た。

  以上の成績は、インフルエンザウイルス感染馬を迅速に診断・摘発するために抗NS1抗体の検出 および1mmuno―PCRによるウイルス抗原検出が有用であることならびにウマインフルエンザウイルス の抗原変異の実態を示すものである。本研究成果がウマインフルエンザの予防と制圧に資するとこ

64 ‑

(4)

ろが大であるので、審査員一同は尾崎弘一氏が博士(獣医学)の学位を授与されるに十分な資格を 有するものと認めた。

65

参照

関連したドキュメント

学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

図2に実験装置の概略を,表1に主な実験条件を示す.実