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博士論文要旨

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Academic year: 2021

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[様式-学 5]

博士論文要旨

論文題名:神経系における細胞骨格関連タンパク質 エズリンの機能に関する研究

立命館大学大学院生命科学研究科 生命科学専攻博士課程後期課程

ふりがな まつもと ようすけ 氏 名 松本 洋亮

中枢神経系を構成する神経細胞は極性を持ち,軸索や樹状突起を伸長させる特徴的な形 態を示す細胞である.神経細胞がこのような形態を得る過程では,細胞骨格の再編成を伴 うことから,形態形成メカニズムの解明において細胞骨格に関連するタンパク質の機能解 析が必要とされている.Ezrin/Radixin/Moesin(ERM)タンパク質ファミリーは,細胞膜と アクチン繊維を架橋する細胞骨格関連タンパク質である.神経細胞ではラディキシンとモ エシンが軸索先端にある成長円錐で多く発現する.両者を同時にノックダウンすると神経 細胞の形態に異常が引き起こされることから,これまでラディキシンとモエシンが神経細 胞で重要な役割を持つと考えられてきた.一方,近年siRNAによる遺伝子干渉やドミナン トネガティブ体を用いた実験系から,エズリンが誘導因子による軸索の伸長に関与するこ とも報告されていたが,神経細胞におけるエズリンの機能については未だ不明な点が多い.

そこで本研究では神経細胞におけるエズリンの機能に注目し,エズリンノックダウン

(Vil2kd/kd)マウスを用いたin vitroおよびin vivo解析を行った.

Vil2kd/kdマウス胎仔から採取した初代培養大脳皮質神経細胞は,神経突起や軸索の長さに

変化を示さなかったものの,神経突起の数が減少していたことから,エズリンが神経突起 生成に関与していると考えられた.また神経細胞の形態形成に重要な役割を持つとされて いるRhoA/ROCK/MLC2シグナル伝達系が亢進していた.ROCKやミオシンIIの阻害剤を 処理することによりVil2kd/kd神経細胞の神経突起生成異常が回復されたことから,エズリン

はRhoA/ROCK/MLC2シグナル伝達を制御することで,神経突起生成を促すと考えられた.

さらに,成体(8週齢)のVil2kd/kdマウス大脳皮質第V層の錐体細胞は,尖端樹状突起の 長さが短く,基底樹状突起の数も減少しており,in vitro解析から得られた神経突起生成の

減少がin vivoでも確認された.

また,本研究では空間認知記憶障害を示す病態モデルマウスの海馬で,エズリンの発現 が上昇することも見いだした.

以上,著者は神経系におけるエズリンの役割について検討し,主にVil2kd/kdマウスを用い

in vitroおよびin vivo解析を行うことにより,エズリンが神経突起生成に関連する因子の

1つであること見出した.

参照

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