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マトソン年少者社会的スキル尺度の日本語短縮版の作成-香川大学学術情報リポジトリ

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マトソン年少者社会的スキル尺度の日本語短縮版の作成

武 藏 博 文

<要 約>  マトソン年少者社会的スキル尺度の日本語短縮版(MESSY-JS)の作成を目的とした。小学生4年 生から中学3年生までを対象とした。5下位尺度22質問項目から成った。児童・思春期の社会的行 動と認知や情動を捉えることができる自己評定尺度として、その適用の可能性を広げることができ た。 キーワード: 社会的スキル、感情コントロール、自己評定尺度、マトソン年少者社会的スキル尺 度・MESSY はじめに  通常の学級に在籍して特別な支援を必要とす る児童生徒に、学級での不適応や社会的スキル の不足、感情コントロールの不全が指摘されて いる。教育現場において、様々な指導内容や形 態でソーシャルスキルの指導が試みられてき た。その評価として、指導者や教師による他者 評定と、子ども本人による自己評定がある。  マトソン年少者用社会的スキル尺度(Matson Evaluation of Social Skill with Youngsters, 以 下、MESSY)は、社会的行動に加えて、社会 的認知や情動コントロールを項目に含んでい る(Matson, Rotatori & Helsel, 1983)。 子 ど も 本人による自己評定尺度として、世界で広く 活用されており、オーストラリア(Spence & Liddle, 1990)、 中 国(Chou, 1997)、 ス ペ イ ン (Méndez, Hidalgo & Inglés, 2002)、 ブ ラ ジ ル (Teodoro, Käppler, Rodrigues, Freitas & Haase,

2005)等 で 翻 訳 さ れ、 本 邦 で も 荒 川・ 藤 生 高度教職実践専攻 (1999)、宮城・武藏(2012)、武藏・斉藤・小郷・ 門脇(2015)による日本語版がある。  武藏・原田(2014)、平井・武藏(2015)は、 宮城ら(2012)で作成した MESSY 日本語版を、 小集団でのソーシャルスキルトレーニングの評 価に用いた。小学生に対して、項目数が多い質 問紙はかなりの負担であり、質問項目が20程度 を越えると、意欲をなくし、回答が軽率で雑な ものとなる様子が観察された。そのために、質 問紙への記入を数回に分ける、時間をおいて繰 り返す等の対応を取る必要が生じた。より少な い質問項目で、元の MESSY 日本語版と同様の 評価を得られる短縮版が求められる。  代表的な研究の間での MESSYの因子構造を 比較すると、表1のようになる。宮城ら(2012) の中学生調査では、5因子を抽出している。こ れを元に比較すると、概ね以下のような対応 関係にある。宮城らの「友人関係の促進」は、 Matson らの「適切な社会的スキル」、Méndezら

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の「社会的スキル / 主張」、荒川・藤生の「友 人への配慮」に対応している。宮城らの「友人 への攻撃」は、Matson らの「不適切な主張」、 Méndez らの「攻撃的 / 反社会的行動」、荒川・ 藤生の「友人への攻撃」に対応している。宮城 らの「自己顕示」は、Matson らの「自信過剰」、 Méndez らの「うぬぼれ / 高慢」、荒川・藤生の 「自己顕示」に対応している。宮城らの「孤立逃 避」は、Méndezらの「孤独/社会的不安」、荒川・ 藤生の「集団への参加」(逆転項目)に対応して いる。宮城らの「感情コントロール不全」は、 Matsonらの「衝動性/反抗性」、Méndezらの「攻 撃的/反社会的行動」、荒川・藤生の「感情コン トロール不全」に対応している。これらの比較 より、MESSY が五つの下位尺度より構成され ていると考えるのが妥当であろう。  本研究は、宮城ら(2012)の調査データを再 分析して、MESSY 日本語短縮版(MESSY-JS) を作成することにある。 方 法  宮城ら(2012)の調査結果を対象に再分析を 行った。  対象者は、香川県内の公立小学校3校の684 表1 異なる研究間でのMESSYの因子構造の比較 因子 質問項目の番号

Matson, Rotatori & Helsel (1983) 米国 4歳~18歳 744人 因子1:適切な社会的スキル 9,10,12,13,16,20,23,24,28,31,32,34,37,40,42,43, 44,46,50,52,55,56,59 因子2:不適切な主張 2,7,11,14,17,19,21,22,29,30,39,41,53,60,61,62 因子3:衝動性/反抗性 3,4,5,6,35 因子4:自信過剰 8,33,36,57,58 因子5:嫉妬/引きこもり 15,38,49,54 その他のアイテム 1,18,25,26,27,45,47,48,51 Méndez, Hidalgo & Inglés

(2002) スペイン 12歳~17歳 634人 因子1:攻撃的/反社会的行動 2,3,4,5,6,7,8,11,14,15,17,19,21,22,29,30,35,36,38, 39,41,53,54,58,60,61,62 因子2:社会的スキル/主張 1,9,10,12,13,16,20,23,24,27,28,31,32,34,37,40,42, 43,44,46,47,50,52,55,56,57,58,59 因子3:うぬぼれ/高慢 18,33,36,45,51 因子4:孤独/社会的不安 10,25,26,28,48,49 Teodoro et al. (2005) ブラジル 7歳~15歳 382人 因子1:攻撃的/反社会的行動 2,3,4,5,6,7,8,11,14,17,19,21,22,29,30,35,38,39,41, 53,61,62 因子2:社会的スキル/主張 1,9,12,13,16,20,23,24,27,28,31,32,34,37,40,42,43, 44,46,47,50,52,55,56,58,59 因子3:うぬぼれ/高慢 15,18,33,36,45,51,57,60 因子4:孤独/社会的不安 10,25,26,48,49,54 荒川・藤生(1999) 日本 中学1年生から3年生 435人 因子1:集団への参加 10,23,25,28,47,48,49,52 因子2:友人への攻撃 4,11,17,22,29,30,53,61,62 因子3:感情コントロール不全 3,5,14,15,35,37,38,41,54,57,58 因子4:友人への配慮 12,13,16,20,31,34,40,42,43,44,55,56 因子5:自己顕示 8,18,33,36,45,51,60 宮城・武藏(2012) 日本 小学4年生から6年生 684人 因子1:友人関係の促進 9,12,13,16,20,23,24,31,32,34,40,43,44,50,55,56 因子2:友人関係の抑制 2,3,4,5,6,7,11,14,17,19,22,29,30,35,53,57,58,61,62 因子3:孤立逃避 10,25,26,28,38,48,49,52 因子4:自己顕示 8,18,33,36,45,51,60 宮城・武藏(2012) 日本 中学1年生から3年生 605人 因子1:友人関係の促進 9,12,13,16,20,23,24,27,31,32,34,40,42,43,44,50,55, 56,59 因子2:友人への攻撃 2,4,7,11,14,17,22,29,30,39,53,61,62 因子3:自己顕示 8,18,33,36,41,45,51,60 因子4:孤立逃避 10,25,26,28,47,48,49,52 因子5:感情コントロール不全 3,5,35,37,54,57,58

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名、公立中学校3校の605名、計1,289名であっ た。そのうち回答に不備の合った者を除いた 1,130名を分析対象とした(表2)。   調 査 内 容 は、 宮 城 ら(2012)で 作 成 し た MESSY 日本語版である。62の質問項目からな り、「よくあてはまる」「すこしあてはまる」「あ まりあてはまらない」「ぜんぜんあてはまらな い」の4件法で回答するものであった。  調査実施は、平成22年9月から12月に、協力 校ごとに行った。  データ集計は Microsoft 社の Excel を使用し、 統計分析はIBM社のSPSSを使用して行った。 結 果 1.因子構造の検討  因子分析を行う前に、62の質問項目の回答の 度数分布を求め、回答に偏りのある(1つの回 答が50%以上)10項目(問7、14、21、24、26、 29、39、49、50、59)を除外した。  52の質問項目を用いて、重み付けのない最 小二乗法、プロマックス回転により因子分析 を行った。その結果から、固有値1以上を基 準とし、5因子解が妥当と判断した。共通性が 低かった(0.2以下)8項目(問19、27、33、34、 38、42、46、57)、因子負荷量が低かった(0.35 以下)4項目(問1、37、41、52)、複数の因子 に負荷した(0.35以上)3項目(問35、58、60) をさらに除外した。  37の質問項目を用いて、再度同様に因子分析 を行った。その結果、宮城・武藏(2012)と同 様の5因子からなる分析結果を得た。この結果 をもとに、短縮版の作成を意図して、各因子で 因子負荷量の高い項目を選択した。22の質問項 目を用いて再度同様に因子分析を行った。その 結果を表3に示した。  各因子の α 係数を算出したところ、因子1 が .81、 因 子 2 が .80、 因 子 3 が .73、 因 子 4 が.71、因子5が.63となった。因子5がやや低 い値であるが、因子として差し付かないと判断 した。  因子1は、「13.友だちが悲しんでいるとき にはげましてあげる」「12.友だちが困ってい るときに助けてあげる」「31.友だちをかばう」 等の6項目で構成された。友人関係を促進する 項目群であることから「友人関係促進」とした。  因子2は、「22.人に嫌がらせをしておこら せる」「30.人をからかう」「2.人をおどかし たり,弱いものいじめをする」等の6項目で構 成された。友人関係を抑制する項目群であるこ とから「友人関係抑制」とした。  因子3は、「45.人よりもうまくやろうとす る」「36.自分が人よりできるように見せたい」 等の4項目で構成された。自分を周りに対して 目立たせる項目群であることから「自己顕示」 とした。  因子4は、「48.ひとりで遊ぶ」「25.ひとり でいるのが好きだ」等の4項目で構成された。 周りとの関係を意図的に避ける項目群であるこ とから「孤立逃避」とした。  因子5は、「54.人にやきもちをやく」「15. 人がうまくやったときに、やきもちをやいた り、おこったりする」の2項目で構成された。 人との間で気持ちをうまくコントロールできず に、感情をあらわにしてしまう項目群であるこ とから「感情コントロール不全」とした。  因子1(友人関係促進)と因子3(自己顕示) の相関は.36であり、因子2(友人関係抑制)と 因子5(感情コントロール不全)の相関は.37で、 弱い正の相関を示した。因子1(友人関係促進) と因子4(孤立逃避)の相関は -.39であり、弱 表2 対象者 小学生 中学生 合計 4年生 5年生 6年生 1年生 2年生 3年生 男子 89 92 101 86 104 79 551 女子 76 112 98 115 100 78 579 合計 165 204 199 201 204 157 1,130

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い負の相関を示した。 2.学年差、性差の検討  小学生、中学生ごとに、下位尺度得点につい て、学年、性別の2要因の分散分析を行った。 さらに、学年間の関係を見るために、主効果が 見られた尺度について、Tukey法により多重比 較を行った。その結果を表4、表5に示した。  小学生では「友人関係促進」(F(2,562)=5.66, p<.01)、「友人関係抑制」(F(2,562)=12.15, p <.001)、「自己顕示」(F(2,562)=16.54, p<.001) において有意な学年差が見られた。「友人関係 促進」は4年生より6年生の得点が低かった。 「友人関係抑制」は4年生より5年生、6年生の 得点が高かった。「自己顕示」は4年生、5年生 より6年生の得点が低かった。また、「友人関 係促進」(F(1,562)=57.69, P<.001)、「友人関 係抑制」(F(1,562)=32.22, p<.001)、「感情コ ントロール不全」(F(1,562)=7.70, p < .01)に おいて有意な性差が見られた。「友人関係促進」 「感情コントロール不全」は女子の得点が高く、 「友人関係抑制」は男子の得点が高かった。「感 情コントロール不全」(F(1,562)=7.27, p<.01) は学年差・性差の交互作用が見られた。  中学生では「孤立逃避」(F(2,556)=4.66, p <.05)、「感情コントロール不全」(F(2,556)= 4.93, p<.01)において有意な学年差が見られた。 「孤立逃避」は1年生、2年生より3年生の得点 が高かった。「感情コントロール不全」は1年 表3 因子分析結果(重み付けのない最小二乗法、プロマックス回転) 項 目 因子1 因子2 因子3 因子4 因子5 共通性 平均(SD) 因子1:友人関係促進 (α=.81) 13 友だちが悲しんでいるときにはげましてあげる .81 -.01 -.11 -.01 .09 .60 2.94(0.83) 12 友だちが困っているときに助けてあげる .80 .00 -.05 .02 .01 .60 2.91(0.78) 31 友だちをかばう .65 .09 -.09 .01 .08 .35 2.68(0.81) 43 人に「何か手伝おうか」と尋ねる .64 -.07 .06 .12 -.05 .42 2.63(0.84) 20 人に「すごいね」という .59 .03 .02 .01 .03 .34 3.07(0.86) 44 人の手伝いをしたらよい気持ちになる .52 -.13 .08 .05 .01 .34 3.13(0.89) 因子2:友人関係抑制 (α=.80) 22 人に嫌がらせをしておこらせる -.03 .70 -.04 .05 .02 .51 1.69(0.78) 30 人をからかう -.01 .67 -.02 .00 .06 .47 1.88(0.86) 2 人をおどかしたり,弱いものいじめをする -.05 .64 -.03 -.06 .05 .45 1.87(0.76) 61 人をからかってその人を傷つけることがある .03 .62 .01 -.02 .12 .45 2.15(0.90) 62 自分に嫌なことをする人に仕返しをする -.03 .61 .08 .10 -.08 .38 2.35(1.00) 11 腹が立ったときに人を叩く .06 .58 -.05 .02 -.08 .29 2.01(0.90) 因子3:自己顕示(α=.73) 45 人よりもうまくやろうとする -.03 -.03 .71 .03 .09 .53 2.50(0.96) 36 自分が人よりできるように見せたい -.12 -.00 .71 .12 .17 .58 2.08(0.93) 18 何かをするとき,いつも最初にやりたいと思う -.02 .02 .57 .01 -.12 .29 2.18(0.93) 51 リーダーになることが好きだ .06 -.06 .53 -.05 .08 .34 1.92(1.00) 因子4:孤立逃避(α=.71) 48 ひとりで遊ぶ .13 .07 .11 .79 -.11 .53 1.85(0.92) 25 ひとりでいるのが好きだ .09 .08 .12 .69 -.12 .40 2.08(1.01) 10 友だちが多い * .17 .10 .21 -.50 -.19 .50 3.24(0.84) 28 友だちがすぐできる * .21 .09 .21 -.44 -.14 .44 2.91(0.91) 因子5:感情コントロール不全(α=.63) 54 人にやきもちをやく .15 .01 .07 -.09 .68 .49 1.92(0.92) 15  人がうまくやったときに,やきもちをやいたり,お こったりする .00 .05 .09 -.04 .59 .40 1.67(0.74) 因子間相関     友人関係促進 ― -.28 .36 -.39 -.14 友人関係抑制 ― .18 .09 .37 自己顕示 ― -.12 .29 孤立逃避 ― .25 感情コントロール不全 ―  *α係数を算出する際に、逆転項目として扱った。

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生より3年生の得点が高かった。また、「友人 関係促進」(F(2,556)=49.98, P<.001)、「友人 関係抑制」(F(2,556)=20.86, p<.001)、「感情 コントロール不全」(F(2,556)=64.99, p<.001) において有意な性差が見られた。「友人関係促 進」「感情コントロール不全」は女子の得点が 高く、「友人関係抑制」は男子の得点が高かっ た。 3.下位尺度得点の分布の検討  各下位尺度得点を尺度として利用するため に、得点分布を検討し、パーセンタイル順位か ら標準得点(平均50、標準偏差10)を求めた(池 田,1994)。その結果を表6、表7に示した。 また参考として、学校別・性別の得点分布を表 8、表9に示した。  「友人関係促進」は負にゆがんだ山形の分布 を示し、「友人関係抑制」「自己顕示」「孤立逃避」 は正にゆがんだ山形の分布となった。いずれの 尺度得点も山形の分布となり、過少な者から 過多な者までの広がりがあることが示された。 「感情コントロール不全」は極端に正にゆがん だ分布となり、尺度得点が過多な者への一方向 的な広がりを示した。 考 察 1.短縮版の尺度構成について  MESSY は、社会的行動に加えて、社会的認 知や情動コントロールを項目に含んでいる。宮 表4 小学生の学年差、性差による分散分析及び学年間の多重比較の結果 学年 小4年 小5年 小6年 主効果 交互 作用 多重比較 性別 男 女 男 女 男 女 人数 89 76 92 112 101 98 学年差 性差 4-5 5-6 4-6 友人関係促進 17.55 19.46 16.53 18.93 16.07 18.48 5.66**  57.69*** 0.29   ** 3.71 3.08 3.86 3.18 3.50 3.53 友人関係抑制 11.46 9.25 12.99 11.12 12.40 11.37 12.15*** 32.22*** 1.37   *** *** 3.28 3.18 3.97 3.41 3.97 3.31 自己顕示 9.45 9.21 8.88 8.54 7.92 7.35 16.54*** 2.54    0.17   ** *** 2.76 2.95 2.98 2.96 3.05 2.44 孤立逃避 7.25 6.71 7.40 7.45 7.66 7.43 2.23    1.17    0.55   2.54 2.30 2.66 2.61 2.86 2.79 感 情 コ ン ト ロール不全 3.33 3.07 3.02 3.42 2.89 3.65 0.12    7.70**  7.27** 1.25 1.31 1.06 1.49 1.09 1.39 *p<.05  **p<.01  ***p<.001 表5 中学生の学年差、性差による分散分析及び学年間の多重比較の結果 学年 中1年 中2年 中3年 主効果 交互 作用 多重比較 性別 男 女 男 女 男 女 人数 86 115 104 100 79 78 学年差 性差 1-2 2-3 1-3 友人関係促進 15.67 17.98 16.45 17.58 15.28 17.86 0.80   49.98*** 2.55 3.51 3.23 3.46 2.65 3.89 3.25 友人関係抑制 13.79 11.66 12.73 11.89 12.99 11.77 0.75   20.86*** 1.69 4.01 3.09 3.83 3.19 4.19 3.24 自己顕示 9.05 8.71 8.70 8.74 8.91 9.09 0.48   0.03    0.43 2.53 2.70 2.65 2.79 2.78 2.95 孤立逃避 8.02 7.98 8.03 8.01 8.82 8.72 4.66*  0.06    0.01 * * 2.88 2.58 2.54 2.53 2.94 2.41 感 情 コ ン ト ロール不全 3.34 4.11 3.28 4.56 3.80 4.58 4.93** 64.99*** 2.17 * 1.30 1.54 1.07 1.50 1.37 1.39 *p<.05  **p<.01  ***p<.001

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表6 各下位尺度得点の分布 尺度 人数 項目数 平均値 標準偏差 歪度 尖度 友人関係促進 1130 6 17.35 3.61 -0.39 0.05 友人関係抑制 1130 6 11.96 3.70 0.47 -0.17 自己顕示 1130 4 8.68 2.84 0.41 -0.37 孤立逃避 1130 4 7.78 2.69 0.58 -0.17 感情コントロール不全 1130 2 3.59 1.43 0.70 -0.02 表7 各下位尺度のパーセンタイルと標準得点(平均50、標準偏差10) 友人関係促進 友人関係抑制 自己顕示 孤立逃避 感情コントロール不全 得点 パーセンタイル 標準得点 パーセンタイル 標準得点 パーセンタイル 標準得点 パーセンタイル 標準得点 パーセンタイル 標準得点 2 30.1 45 3 50.0 50 4 6.5 35 10.9 38 76.0 57 5 13.6 39 23.0 43 90.0 63 6 0.8 26 5.0 34 23.0 43 36.1 46 96.2 68 7 1.0 27 11.8 38 35.8 46 51.0 50 98.9 73 8 1.4 28 20.4 42 52.7 51 63.1 53 100.0 74 9 2.4 30 28.8 44 65.8 54 74.2 56 10 3.5 32 38.3 47 75.0 58 84.6 60 11 5.9 34 47.5 49 81.6 59 90.1 63 12 9.8 37 58.8 52 88.4 62 93.8 65 13 14.7 40 67.7 55 94.5 66 97.1 69 14 20.1 42 74.6 57 96.9 69 98.7 72 15 28.4 44 82.6 59 98.5 72 99.4 75 16 38.1 47 87.5 62 100.0 73 100.0 76 17 49.8 50 92.4 64 18 61.8 53 95.5 67 19 71.9 56 97.3 69 20 79.6 58 98.3 71 21 87.1 61 98.9 73 22 91.9 64 99.2 74 23 97.1 69 99.6 76 24 100.0 70 100.0 77 表8 小学校の各下位尺度得点の得点分布(平均50、標準偏差10) 水準 (標準得点) 友人関係促進 友人関係抑制 自己顕示 孤立逃避 感情コントロール不全 男子 女子 男子 女子 男子 女子 男子 女子 男子 女子 とても低い(-30) 6-8 6-11 低い(30-40) 9-12 12-14 6-7 6 4 4 4 平均(40-60) 13-20 15-22 8-15 7-14 5-11 5-11 4-9 5-9 2-3 2-4 高い(60-70) 21-24 23-24 16-20 15-17 12-15 12-14 10-12 10-13 4-5 5-6 とても高い(70-) 21-24 18-24 16 15-16 13-16 14-16 6-8 7-8 表9 中学校の各下位尺度得点の得点分布(平均50、標準偏差10) 水準 (標準得点) 友人関係促進 友人関係抑制 自己顕示 孤立逃避 感情コントロール不全 男子 女子 男子 女子 男子 女子 男子 女子 男子 女子 とても低い(-30) 6-10 低い(30-40) 6-11 11-14 6-8 6-7 4-5 4-5 4 4 2 平均(40-60) 12-18 15-20 9-17 8-14 6-11 6-11 5-10 5-10 2-4 3-5 高い(60-70) 19-22 21-24 18-21 15-17 12-14 12-14 11-14 11-13 5 6-8 とても高い(70-)23-24 22-24 18-24 15-16 15-16 15-16 14-16 6-8

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城ら(2012)では5因子を抽出した。今回の22 質問項目に絞り込んだ短縮版でも、認知や情動 と行動に関する内容が関連して社会的スキルを 形成していることが示された。「友人関係促進」 「友人関係抑制」の2下位尺度を中心に、「孤立 逃避」「自己顕示」「感情コントロール不全」を 加えて、5下位尺度で構成された。  各因子間の関係を見ると、「友人関係促進」 と「自己顕示」、「友人関係抑制」と「感情コント ロール不全」の間に弱い正の相関が見られた。 これは、友だちとの関わりを進める、他者に配 慮することが、他者との関係で自己の優位を認 知することに関係していることを示している。 一方で、友だちへの嫌悪的関わり、他者を威 嚇・攻撃することが、自己の不快感情を表出す ることに関係することを示している。 2.学年差、性差について  今回作成した短縮版においても、宮城ら (2012)とほぼ同様の傾向が示された。  小学校調査の結果から、宮城ら(2012)と同 様に、「友人関係促進」「友人関係抑制」に学年 差、性差が見られた。学年があがるにつれて、 友人関係を促進する行動をとらなくなり、友人 関係を抑制する行動が増えると評価する傾向が 示された。また、女子の方が友人関係を促進す る行動を身につけており、男子の方が友人関係 を抑制する行動を表出しやすいと評価する傾向 が示された。  「自己顕示」は、短縮版の項目からは学年差 だけが示された。宮城ら(2012)で見られた性 差は認められず、学年があがるにつれて、自分 の存在を目立たなくしようと評価する傾向が示 された。  中学校調査の結果から、宮城ら(2012)と同 様に、「友人関係促進」「友人関係抑制」「感情 コントロール不全」に性差が見られた。「友人 関係促進」「友人関係抑制」は小学校調査と同 様の傾向であった。「感情コントロール不全」 は、女子の方が友人に対して不快感情を表出す ると評価する傾向が示された。学年差について は、宮城ら(2012)では「友人関係促進」に、今 回の短縮版では「孤立逃避」「感情コントロー ル不全」に、中学3年生と、中学1年生、2年 生の間の差が見られた。いずれも5%水準で あった。短縮版で選択された項目の相違が表れ たといえる。 3.各因子の特徴について  「感情コントロール不全」を除いて、いずれ の尺度得点も山形の分布となり、過少な者から 過多な者までの広がりがあることが示された。 ただし、尺度により、分布のゆがみを考慮する 必要がある。  「友人関係促進」は、手助け、励まし、かば い立て等の友だちとの関わりを進める、他者に 配慮する内容で構成された。尺度得点は過少な 者から過多な者までの広がりがあることから、 本尺度が過少な場合は、友だちとの関わりに非 常に消極的であり、自分から関わるのは苦手だ と捉えている。一方で過多な場合は、友だちと の関わりに過剰に友好的で、他者への配慮を極 端に優先するべきだと捉えている。  「友人関係抑制」は、嫌がらせ、からかい、 脅しや暴力等の友だちへの嫌悪的関わり、他者 を威嚇・攻撃する内容で構成された。本尺度が 過少な場合は、嫌悪的攻撃的な関わりをすべき でないと捉えて、こうした関わりを自制してい るといえる。一方で過多な場合は、周囲に対し て、過剰に攻撃的であり、日常的に嫌悪的な関 わりをとっているといえる。  「自己顕示」は、他者との関係で自己の優位 を認知する内容で構成された。本尺度が過少な 場合は、自信がなく、周囲に合わせて、自分を 出さないでいるといえる。一方で過多な場合 は、自分を過剰に誇示し、自分が勝る・一番で あることを求めているといえる。  「孤立逃避」は、他者との関係を持とうとせ ず、関わらないことに安定を求める内容で構成 された。本尺度が過少な場合は、誰とでも関わ りが持て、友だちと一緒に活動することを好む といえる。一方で過多な場合は、他者と関わら ず、人の中に入れないと決めているといえる。  「感情コントロール不全」は、自己の不快感 情を表出する内容で構成された。尺度得点が過 多な者への一方向的な広がりを示した。過多な

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場合は、生じた不快感情やその変化を抑えず に、隠さず表出する傾向がある。 4.尺度として今後の課題  宮城ら(2012)で作成したMESSY日本語版は、 武藏・原田(2014)、平井・武藏(2015)等の実 践研究において、対象児童の評価に使用した。 対象児童の中には、「友人関係促進」を極端に 高く評価して、実際の友人関係において積極的 過ぎて問題となっている場合や、「友人関係抑 制」を極端に低く評価し、参加している他の対 象児童の落ち着きのない行動をしつこく注意す る場合があった。また、「友人関係抑制」と「自 己顕示」がともに高い評価であったり、「自己 顕示」と「孤立逃避」がともに高い評価であった りする場合があった。尺度内の得点の過少・過 多、尺度間の得点の関係やバランス等をさらに 詳しく検討する余地がある。今後は、今回開発 した MESSY 日本語短縮版(MESSY-JS)を使用 して事例検討を行うことで、発達障害児の社会 的スキルの評価と、その指導支援に行かせるよ うに検討を進めたい。  今回開発したMESSY日本語短縮版(MESSY-JS)は、5下位尺度から成っているが、尺度内 の得点の過少・過多、尺度間の得点の関係やバ ランスを考慮することにより、認知や情動を含 んだ対人的社会行動に関して、多くの情報を提 供できるものと考える。 文 献 荒川郁子・藤生英行 1999 日本版マトソン年少者 用社会的スキル尺度の作成.教育相談研究,37, 1-8.

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