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ベネズエラ 石油産業をめぐる最近の動向

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Academic year: 2021

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ベネズエラ

石油産業をめぐる最近の動向

2018年3月22日

調査部

舩木 弥和子

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2016年以降 原油生産量減少

EIA websiteを基に作成、単位:万b/d ベネズエラの原油生産量  ベネズエラの原油生産の傾向  地域別では、西部Maracaibo Basinの生産が減少  油種別では、軽質原油、中質原油の生産量が減少  2016年以降、Orinoco belt超重質油の生産量も減少 主要堆積盆地、油・ガス田地図 各種資料より作成

(3)

2017年第4四半期以降 原油生産量急減

3

ベネズエラの原油生産量(2016~2018年2月)

OPEC Monthly Oil Market Report(direct communication)を基に作成 単位:万b/d 原油生産量:2016年237.3万b/d ⇒2017年207.2万b/d 2016年12月227万b/d⇒2017年12月162.1万b/d 2018年1月176.9万b/d 2月158.6万b/d 原油生産量減少の原因:政治、経済、社会状況の悪化、投資 不足、サービス会社への支払い遅延、リグ数減少、人材流出、 希釈剤不足、米国の制裁等

(4)

原油確認埋蔵量を見直す必要があるとの声も

Rystad Energy:ベネズエラの原油可採埋蔵量は750億bblとの見方 IOCは環境問題、コスト高から超重質原油を開発、生産する意欲喪失

⇒ベネズエラの石油の多くが地中に残されたままになる可能性あり

BP Statistical Review of World Energy 2017を基に作成、単位10億bbl

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稼動リグ数減少

 サービス会社に対する支払いの遅延は合計で15億ドル ⇒2016年4月以降、サービス会社はベネズエラでの操業を縮小 ⇒稼動リグ数は2016年半ば以降急減、2017年10月には39基に  ベネズエラが増産に転じるには100~110基のリグが必要 ベネズエラの稼動リグ数 BakerHuges websiteを基に作成

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人材流出、人材不足

 頻繁なPDVSA総裁と石油相交代

 石油大臣にCitgoトップNelson Martinez氏を任命(2017年1月)

Nelson Martinez石油相とPDVSAのEulogio del Pino総裁入替(8月)  軍人のManuel Quevedo氏をPDVSA総裁兼石油相に任命(11月)

⇒主要ポストへの軍幹部登用の憶測、経営陣刷新や給与への不 満からPDVSAからの離職者増加

Tarek William Saab氏検察長官就任(8月)

 Maduro大統領がQuevedo氏にPDVSAの汚職取締りを命令 ⇒PDVSA幹部60名以上逮捕  2015年末~2017年に石油産業に従事する者の55%が離職 ⇒後任者現れず、または、未経験者が就任 ⇒操業に支障⇒事故の危険性高まる  Repsol、Statoil、Total、Chevronも従業員を油田から退避

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米国の対ベネズエラ制裁

制憲議会議員選挙を契機に米国は対ベネズエラ制裁強化  ベネズエラ当局者13人に制裁を発動(2017年7月26日) ⇒PDVSA財務担当役員、Simon Zerpa氏を制裁対象としたことで 信用状が発行できず、一部の米国向け石油輸出に影響  米国の金融機関に対し、新たに発行されるベネズエラ国債や PDVSA債の取引を禁じる措置を含む追加制裁発動(8月25日) ⇒PDVSAは債務借り換え困難に  ベネズエラの石油貿易を規制する制裁に向け最終段階の検討を しているとTillerson米国務長官が明らかに (2018年2月7日) ⇒輸出入先を変更、輸送コスト増大等で利益減少の可能性あり  軍が経営するサービス会社CAMIMPEGを制裁対象にすることや PDVSAのタンカーや積荷の保険カバーを制限すること等を検討

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低い製油所稼働率

8  ベネズエラ国内の製油所はPDVSAが保有、精製能力約130万b/d  稼働率:2017年7月50%、年末15%  原因:原油不足、火災、事故、機材故障、部品不足等  ガソリン消費量20万b/d。PDVSAのガソリン精製量4万b/d。抗議行 動による輸送妨害も加わり、ガソリン不足 ⇒2017年末、石油省は購入できるガソリンの量を制限 製油所 精製能力 状況 Amuay 64.5万b/d 84ユニット中76ユニットが故障。12月にはCardon製油 所で火災。稼働率は2017年8月42%、10月34%、12 月はじめ13%と低下 Cardon 31万b/d Puerto La Cruz 18.7万b/d 2017年5月操業を停止 、再稼動したが、原油不足から稼働率は低い El Palito 14万b/d 処理する原油がなく閉鎖 ベネズエラの主な製油所の稼動状況 各種資料より作成

(9)

石油輸出入にも影響

9  タンカーの掃除、点検費用や港湾サービスの代金を支払えず ⇒原油が流出、荷積みや荷降ろしの遅れの原因に ⇒寄港できないタンカーが沖合に係留される  PDVSAが供給する原油の品質低下(水、塩、重金属が含まれる) ⇒苦情、キャンセルや値引きの要求  制裁により特に米国向け石油輸出減少 米国のベネズエラ原油輸入量(2016~2017年) 米国のベネズエラ原油輸入量 EIAを基に作成、単位:万b/d

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中国からの融資 先行きは不透明

 2007年以降のLoan for Oilは600億ドル以上

⇒油価下落で中国に輸出する原油等の量が当初予定より増加 ⇒ベネズエラは合意の見直しを要求したが、中国が拒否 ⇒PDVSAは2016年11月に中国から22億ドルの融資で合意 ⇒2017年2月にも両政府が総額27億ドル、22件の協定書に署名  Sinopecが米国連邦地方裁判所にPDVSAを提訴(2017年11月) PDVSA子会社が鋼鉄45,000tを購入、代金4,350万ドルのうち半分 を1年以上たった後に支払い、残りは未払い。PDVSAがSinopec に2,150万ドルを支払うことで合意するも、中国が今後も融資を行 うか否かは不明

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ベネズエラとの関係強化の姿勢を示すロシア

Citgo株式49.9%を担保にPDVSAに15億ドルを融資(2016年11月) ⇒PDVSAはRosneft に2017年は70,000 b/dの石油を供給  RosneftのSechin社長が「燃料・エネルギー分野でベネズエラとの 関係を拡大していく」と発言(2017年8月) ⇒PDVSAとRosneftのJV、PetrovictoriaはOrinoco Belt、Carabobo-2 パイロットプロジェクトの生産を6月に開始、2020年以降本格開発 ⇒Mariscal SucreプロジェクトPatao、Mejillonesガス田共同開発検討  RosneftがPatao、Mejillonesガス田権益とLNG輸出の権利を取得 Rosneftは15年以上にわたり65億m3を生産する計画(12月) 左:オリノコベルト鉱区図 右:東部沖合主要鉱区図 各種資料より作成

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苦境に立たされるベネズエラで活動中のIOC

政治、経済、社会状況の悪化、配当支払い遅延等の理由から多く のIOCがベネズエラから撤退 ベネズエラで活動中のIOCはさらに苦境に  Chevron:Orinoco Belt、Petropiarプロジェクト(権益30%保有) 2017年第4四半期の合成原油生産量は前年同期比20%減  Statoil:Orinoco Belt、Petrocedenoプロジェクト(権益9.67%保有) 財務報告書からPetrocedenoの生産量と埋蔵量の数字を削除  Eni:Repsolとともに沖合Perlaガス田を操業中 Perla ガス田の確認埋蔵量を3.15億bbl下方修正 ベネズエラ国内に供給しているガスの代金支払いが遅延 支払い時期、方法が明らかになるまで生産量倍増計画進めず

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原油生産目標を引き下げるも実現は困難か

 原油生産量:2017年251万b/d⇒2025年318万b/dOrinoco Belt超重質油生産量: 2017年初120万b/d⇒2025年190万b/d  アップグレーダー、オリノコ川輸出ターミナルの建設は含まず  精製能力:130万b/d⇒2025年150万b/d  必要な投資額:760億ドル(年84億ドル、パートナー負担分不明) Chávez政権下、ベネズエラは2021年までに原油生産量を600万 b/dに引き上げることを計画(投資額:2,570億ドル) しかし、目標達成には100万b/d以上の増産が必要 油価低迷等の要因から2016年に調整

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終わりに

負のスパイラルから抜け出せないベネズエラ

原油価格 低迷 サービス会社へ の支払い遅延 リグ数 減少 アップグレーダ ーの能力不足 原油生産 量減少 石油輸出 量減少 石油収入 減少 人材流出 資金不足 投資不足 希釈剤 不足 軽質原油輸 入量減少 輸出原油 品質悪化 サービス会 社活動縮小 米国によ る制裁 政治、経済、 社会情勢悪化 製油所稼働 率低下 石油政策 の失敗

参照

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