理 学 療 法 学 第
39
巻第1号 20〜
29頁 〔2012年 )症 例 研 究
足 関節 底 屈 筋
ト
レ
ー
ニ
ン
グ は
脳 性 麻 痺 児
・
者
の
歩
行
を
改 善 す
る
*一
シ
ング
ル
ケ
ー
ス
デ ザ イ
ンに よ る
検
討
一
石
原
み さ
子
1
)2
)#樋
口由
美
1
)出
原 千 寛
2
) 要旨
【
目的
】
我
々 は7
週 問
の足 関節 底
屈筋
トレー
ニ ン グ が脳性 麻 痺 児
・
者
の歩 行 機 能 を改 善す
ると
いう仮
説 を,
歩
行 能 力
を示 す時 間距 離変 数
と歩行 効 率 を
示 す 足 圧 中 心(
COP
) 変 数
を用
いて検 討
した。
【
対象 】
10
m 以 上の 連続
歩行
が口亅.
能
で,
口頭指
示 が 理解
で き るCP
児
・
者
3
名 〔
13
,
7
土5.
4
歳 )
。【
方 法
lABA
’
型のシングルケー
スデザ イ
ンを 用
い,
そ れ ぞ れの期 間 を7
週問ず
つ設 定
し た 。介 入 期
に は,
足
関節 底
屈筋
トレー
ニ ング を 週3
同
7
週 間 自宅
で行
っ た。
【
結 果】2
症 例 は,
歩
行 能 力
と歩 行 効 率
に有
意 な 改 薺,1
症 例 は 歩 行効 率
に有
意 な改
善
を 示 し,
我々 の仮 説
を攴持 す
る結 果
とな
った
。【
結 論
】
生
ま れ な が ら に 正常
な 運動
パ ター
ンを学 習 し
ていな
いCP
児
・
者
は,
筋の活動
量 を増加
さ せる ことで歩 行 を改 善
す ること は容 易
で ない。
し か し,
従 来
は禁
忌 とされ
ていた量
の取
り紅
み が,
歩 行機 能
を維 持
・
改 善す
る ための重 要 な 取 り組 みの ひとつ であると考 え
る。
キー
ワー
ド脳 性 麻
痺 児
・
者
,
足 関 節 底 屈 筋
トレー
ニ ング,
シングル ケー
ス スタデ ィ は じめ
に脳 性 麻 痺 〔
Cerebral
Palsy
:CP
) 児
・
者の歩
行 は,
異常
な筋
緊 張,
選 択 的 な 運動
コ ン トロー
ル の欠如
,
筋
の短縮
お よ び 異 常 な 骨 成 長 な どの問題 が 干 渉
しあ
っ て異常
な歩 行
パ ター
ンを 有 している。
こ れ ら の問 題 に 対 し,
従 来 の理 学 療 法の 多 く は 筋緊張
のコ ン トロー
ル と持
続 的ス ト レッチング を中
心 に実 施
さ れてき
た。 し か し,
健 常 児の約
50
% 程 度の 筋力
しか発 揮
でき
ない 1)CP
児の 著 しい 下 肢 筋 力 低 下 を 解 決す
べ き だ と指 摘 す
る報
告 が1990
年
代後
半 か らみ られ る よう
にな
っ た。Damiano
ら2)がCP
児
に対
して週3
回6
週 間 に わ たっ て最 大 等 張 性収
縮力
の65
% の負 荷
で大 腿 四 頭筋
の筋 力
増
強 を行
っ た報 告
では,
有 意
な筋 力
増 強 と歩 容
改善
が確
認 さ れ た。
前 記
の研 究
以後
,CP
児 に 対 す る 筋 カ トレー
ニ ン グ が 運動 学 的
な変 化
をも
た ら し,
歩 行 機 能
の向
ヒに つ な が る とす
る研 究 報 告
が相 次
いでい る3)4 〕。
筋緊 張
が Plantar Flexor Training Improves“[adking inPeoP且e with Cerebral Pals>1〕大 阪 的 立 大 学 大 学 院 総 合リハビ リ テ
ー
ショ ン学 研 究科Misako Tshihara
,
PT,
SNPT.
Yumi Higuchi,
PT,
PllD:GraduateSchool of Comprehensive RellabiLitatiou Osaka Prefecture
IJIIiversity
2) 医 療 法 人社 団 医 聖会 学研都 市病 院 リハ ビ リ テ
ー
ショ ン科(〒 619
−
0238 京 都 府 相 楽郡精華 町 精 華 台7−
4−
D
Misak
【
}
Ishihara,
PT,
SNPT,
Chihiro Dehara,
PT二Dep鼠rLment efRehabilitation
,
Iseikai Galckentoshi Hospital#E
.
inail:misaishiharaPt @gmuiLcem〔受 付日 201〔}年 12 月3H / 受埋 日 2011年1(,月7日)
増 加 す
る という悪 影 響
が 懸 念 さ れていた が 臨床
上の問 題
は 生 じな
い 2}5)こ と が確 認
さ れて い る。
つ まり
,
従 来
は禁 忌
とす
らさ れ てきた筋 力
トレー
ニ ン グ だ が,
CP
児
の異 常 な歩 行
パ ター
ン改 善
に効
果 が 期待
さ れ,
運動 療 法
の転 換 期
にさ し か かっ てい ると
いえ
る。
い っ たん
独 歩
を獲 得
し たCP
児
の約
45
%が18
歳
以降
に歩 行 機 能 を失 う
’
t〕こと か ら も わ か る よう
に,
成 人
CP
(
以下
.
CP
者 )
の歩 行 機 能
の維
持 お よ び 改善
は,
CP
児
の そ れ 以 上 に難 しい。
CP
者 (
平 均
31
歳
23
〜
44
歳 )
に対 し
て下肢 筋 力
トレー
ニ ング を行
っ た研 究
では,
筋 力
と粗 大 運 動 能 力
お よび 歩 行 速
度の改 善 を報 告
し て い る 3)。
こ の研 究
で は成
人 期 以降
のCP
者
へ の筋 力
トレー
ニ ン グ適 応
の可能 性 を
示 してい る もの の,
膝
・
股 関節 周
囲 筋
の結 果
が報 告
さ れてい るの み であり
,
足 関節 周
囲筋
の結
果は触
れて いない。
CP
児
・
者
の足 関 節 背 屈 筋 力
は健 常 者
に 比べて約
50
%,
底 屈 筋 力
は約
35
% といわ れ 6〕,
さ
らに麻 痺
の程 度
に 関係
な くCP
児 は歩 行
のため の推 進
力
を股
関節
で生成
し,
足関 節
は歩
行 中
の推 進 力
にト分 関
与
し ていな
い関節
で あ る 7)。
このた め,
歩行
の推 進 力
を生
み出 す底
屈筋
群へ の トレー
ニ ング効 果
は,
検 討
の必 要
性 が非 常
に高
い。
Engsberg
ら は痙 直 型
CP
児
に12
週 間
足 関 節 筋カ
トレー
ニ ング を行
い.
筋 力 増 強 だ け
で なく機
能
,
歩 行
ス ピー
ド,
QOL
が改 善
した と報 告 し た8)。
McNee
らの研 究
で は,
10
週 間
の足
関節 底
屈筋 力
増 強 訓練
をCP
児 に行
っ た とこ ろ,
足 関節 底 屈 筋
の筋 容 量
は 増Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation足 関節 底 屈 筋トレ
ー
ニ ング は脳 性 麻 痺 児・
者の 歩 行 を 改 善 す る21
大 し歩 行
パ ター
ンや歩 行 機 能
の改 善
は見
ら れ た が統 計 学
的有 意 差
に は至
っ ていなか
っ た。足 関節 底 屈 筋
だけ
を対
象
に し た トレー
ニ ングプロ グ ラム で は効 果
が限局
される が,
痙直
型CP
児
の筋 成
長 不全 を改 善
し,
運 動 学 習
の効
果
だけ
で な く,
筋
肥大
に よ る随 意 筋
の筋 力 増 強
につな
が る 9)と している、
足 関節 底 屈
筋 は,
特 に歩 行
周期
に お け る立 脚 中期
と後
期
で身 体
の姿 勢 制 御 と 前 方
へ の推 進 力 を 提 供
して い る 10 )。
そこ で我々 は,CP
児
・
者
へ の足 関節 底 屈 筋
ト レー
ニ ング が歩 行 機
能 を 改善 す
ると仮 説
し検 討 を 行
っ た。足 関節 底 屈 筋
トレー
ニ ング に より改 善 す
る機 序
とし
て以下 の ふ たつ を 仮 定 し た。
第一・
に,
足 底 屈一
膝 伸
展結
合 (
pl
、ntar ・fl
,xiQnknee−
,xt,n、i
。n ,。 、・pl・)
’1) カ・回復
し,
姿 勢 制 御
の た めの過剰
で非効 率
な 運動 代 償
が減 少 す
る。 立脚 期
に一
ド腿の前
傾 が ゆっ く り と生 じ るよう
に 足 関節 底
屈 筋
が働 く
と,
床 反 力
は膝
の前
を 通 る。
足 部の レバー
アー
ムに作
用す
る床 反 力
は膝
の伸 展
モー
メ ン トを生 成 す
る。
こ の モー
メ ン ト に より膝 伸 展
筋の活 動 を 必 要 とせ ず に,
膝
関節
の安 定 性 を提 供 す
る こ と がで き る。・
般 にこ の モー
メ ン トの こ とを足 底 屈
一
膝 伸 展 結
合 と呼
んでい る11)。
第二 に,
姿 勢 制 御
の安 定化
と 推 進 力 増 加 に よ り,
踵 か ら足趾 方 向
へ の安 定 し
た 重 心移 動
が 生 じ る よう
に な る。
方法
1
.
対 象
歩 行 機 能
の維 持 改 善
を 目 的 に 通院
し ているCP
児
・
者 のう
ち 以 ドの4
条 件 を満
たす
3
名 を対 象
と し た。1
)
裸足
で10m
以 上の連 続歩
行 が 可能
で更 衣等
の身
の回 りの こ と を自 分
で行
っ ている。
2
) 著 明
な感 覚
障 害 が ない。
3
)
口頭 指 示
の理解
が 可能
で指 示 を理 解 し興 味
を もっ て 取り組
むこと がで き る。
4
)
本 研究
に対
し保 護 者
の協 力
が得
られ る。本 人
および保 護 者
に研
究 につ い て説 明
し書 面
に て了解
を 得た。
なお,
本 研
究 は 大 阪 府 立 大 学 総合
リハ ビリ テー
ショ ン学 部研 究 倫
理委 員
会で了 承 され た(
09
−
101
)
。
症 例
1
9
歳 (
小 学
3
年
生)
の痙 直 型 両 麻痺
男児
。
身長
123cm
・
イ
夲重
24kg ・
足 関節 背 屈
(
月
隶イ
申展
{立
)
イ
「0
°
・
左10
°
,
JK
屈左 右
35°
。
脳 性 麻 痺 児
のた めの潤 大 運 動 能 カ
シ ス テ ム(
Gross
Motor
Functional
Classification
System
for
Cerebral
Palsy
:GMFCS
)
レベ ル 皿。
地 域
の普
通学
級 に通 学 中
。
在 胎
35
週,1,
995g
で出 生
。生 後
7
ヵ月 (
修
正5
ヵ月 )
の と きに発 達の遅 れ と 脳 室 周 囲白質 軟 化 症
を指 摘
さ れた
。 生後
11
ヵ月
目 か らVojta
訓練
を 開始
。 ハ ム ス トリングス に生 じた非 神 経 学
的 な筋
の短 縮
によ る膝
の伸 展
制 限(
特
に右 )
は十 分
に改 善 せ ず,
平 成21
年
8
月 両 側ハ ム ス トリン グ ス延 長 術
を他
院で実施
した。
右
下肢
は膝 屈
曲,
股 関 節内
転内旋
傾向
が 強く
,
治 療
課 題 が多
い下 肢(
affected side :AS
)
で あっ た。
左
ド肢
は術 前
か ら 他 側 よ り支 持 性
が あり機 能
が良 好
な 下肢 (
better
side :BS
)
であっ た.
股関節 伸
展 方向
の動 きは理解
で き てい る が.
十分
に 再 現 は で き ない。
下 肢の関節
可動 域
はす
べ て最終
域に抵抗 感
を有
す る。
立 脚 期 を通
し て足
関節
の動
き は 正常
な歩
行
パ ター
ンに 類 似 するが,
膝
・
股 関節
を過 度
に屈
曲 を 示 す 「見 か け尖
足」 歩 行
12)を示
し,
前
傾 し た 下 腿 を起
こ し き れ ないた め荷 重 時
に踵
が接 地 す
る こ と はな
い。症 例
2
12
歳(
中 学
1
年
生)
の左
右差
が著
明(
右
がAS
)な痙
直 型 両 麻 痺 男 児
。
身 長
164cm ・
体
重48.
5
kg
・
足 関節 背
屈 (
膝 伸 展 位 ) 右
一5°・
左
IO°,
底
屈左
40°・
右
30
GMFCS
レベルH
。
地 域の普
通学 級
に通 学 中
。
在 胎
40
週
。
2
,
904g
で出
生。切 追 仮
死。
定頸
は4
ヵ月で獲得
したが,
坐 位 獲 得
や四
つ這
い の獲 得
に時
問 を 要 し た。
2
歳 頃
か ら歩 く
よう
にな
っ た。
こ の時
磁 気 共鳴
画像 (
magneticresonance
image
:MRI
)
で脳 萎
縮 を指
摘 さ れ,
理 学療
法 を 開 始 し
た。右 足
の尖
足 お よ び 膝 屈 曲位
での歩行 を 改
善 す
る た め に,
平
成21 年 3
月 に右
アキ レス腱 延 長術
お よ び右
ハ ム スト
リン グス延
長 術 を 他 院で実 施
。
平 成
21
年
8
月
,
歩 容
の改 善
を希
望 し て 来 院,
週1
同外 来 理 学 療
法 (Physical
Therapy
:PT )
を開
始 し た。
下部 体 幹
の 持 続 的 な抗 重 力 伸展 活 動 が 乏
しく
,
動 作
に伴 う
右 上 肢の 引 き込
み が1
位
っ た。術 後 も右 尖
足の十 分 な改 善
が得
ら れ ず,
膝
に得
た可動 性
を利
川 して右膝
を後 方
に押
し伺
け,
股 関 節 を屈 曲位
に保
っ た ま まの歩
容を示し て い た。
左 足 関 節
は底 背 屈
運動
が 可能
で,
10
秒
ほ どの片 脚 起
立 が 可能
で ある。
症 例
3
21
歳 痙 直型 両 麻 痺 女 性
。
身
長165cm ・
体 重
52.
O
kg
・
足 関 節背
屈(
膝 伸 展 位
)
右0
°・
左
一5°,
底 屈 左 右
40
°
。
下 肢 に著 明 な可 動 域 制 限
を有
し静 止 立位
は困難
だが,
独歩
可能 (
GMFCS
レベ ルH
)
。
障 害 者
の自
立支 援
を応 援
する非営 利 団体
が 運営
す る会 社
で クッキ
ー
の製作 販 売
を し てい る。在 胎
40
週
。3
,
020g
で 出 生。
健 診
で は発
達の 遅 れを指摘 さ
れる こと なく
過 ご し,
伝
い歩 きを
はじ
め た 頃 にCP
の診 断
を受 け
た。
5
歳 時に腸 腰筋
の延 長 術 を 受
け,
し ば らく外 来 通 院 を
していた。
小・
中 学 校は地域
の普
通学 級
で過
ごし
ていた が,
高校
か ら は 特 別攴援 学校
へ 通い,
卒 業 後
は1
年 間
全寮 制
の職 業 訓練 学 校
に通
っ てい た、
,
歩 行 機 能
の維 持 を 目的
に来 院
し,
平
成20
年 春
より
PT
フ ォ ロー
を 開始 し
た。両股 関 節
に 著 明 な 可動 域 制
限(
特 に 左 :AS
)
,
両変 形 性 膝 関 節
症,
足 関節
の著
しい可動 域 制 限
,
足部
の代 償 的 な過 剰 な運 動 性
と変 形
を有
し て い るが,
痛 みの訴 え
はな
い。股 関節 屈 曲
・
内旋
位 を とっ てい る 右 下 肢 (BS
)
は.
体 幹
の 回旋
と骨
盤の挙 ヒ・
囘 N工 工一
Eleotronio Library22
理学 療 法 学 第39巻 第1号 ab
Cd
図 1 足 関 節 底 屈 筋 ト レー
ニ ン グ プロ グラ ム (1
回 〆 口.
3
日tt週 ) a 壁 も た れ 立 位 (ウt一
ミングアッ プ・
クー
ル ダ ウン)b
エ ラ スティッ クバン ドを用い た抵抗 運 動 c 高 這い位で の膝・
足 関 節の屈 曲伸 展 運 動 d 踵 ヒげ トレー
ニ ング旋 を 利
用 し振 り出
し てい る。頻 繁
に転 倒
し てい る が ク ラ ッチの使 用 に は 消 極 的 で あ る。
2.
研究
デ ザ インABA
’
に よ る シングルケー
ス デザ インを 設 定 し た。
独 立変
数 は 足関 節 底 屈 筋
トレー
ニ ング で あ り,
従 属
変 数 は歩
行 機 能 に 関 す るパ ラメー
タ を 評価
測定
した。
ベー
ス ラ イン (A
) は,
外 来PT
お よ び 従 来 行っ てい た自
主 トレー
ニ ン グ(
上 肢体 幹 筋 力
トレー
ニ ング)
を行
い,7
週間
デー
タ を 計 測 し た。
介
入期
(B
)
は,
従 来 通 りの取
り組 みの他に足 関 節 底 屈 筋 トレー
ニ ン グ を 週3
回行
い,
7
週 間
デー
タ を計 測
し た。
後 介
入 (Post
Intervention
;PI
)
期 (A
’
)
を7
週 間 設定
し,
通 常の外
来PT
を 行っ た。
そ れ ぞ れの期 間で外 来PT
実 施 前 に 歩行
に関す
るパ ラメー
タの デー
タ計
測 を行
っ た。
時 間距 離
変 数 は2 〜3
週 に1
回,
足 圧 中 心(
Center
of pressure :COP
) は毎
回 計 測 し た。
外 来PT
は 従 来 ど お り実 施 し た(
週
1
回
,
1
回
60
分 )
。
す
べ て の研 究
は平
成22
年
3
月
か ら8
月
の間
に実 施
し た、
1
) 足 関 節 底 屈 筋 トレー
ニ ン グ プログラム (図1
)介
入 期 に 実 施 し た 足関 節 底 屈 筋
トレー
ニ ング は 週3
回.7
週 間自宅
で自主
的 に 実施
で き る内
容の もの を 指導
し た。
プロ グラム は
休 憩
を 入 れ な が ら1
日1
回
50
分 程 度
で でき
るも
のを設 定
し た。
1
;ウォー
ミン グア ッ プ と し て 壁 も た れ 立 位 で 下 肢 屈筋
群の ス トレッチ を行
い.
筋
の柔軟 性 向
上 を 図 る。
(
5 〜10
分)
2
二長 坐 位 を と りエ ラス テ ィッ クバ ン ド (Thera
−
Band
,
The
Hygenic
Corporation
,
USA
)
を 用い て足関 節
底
屈方 向
へ の抵抗
運 動 を左 右
そ れ ぞ れ に20
回 ず つ5
セ ッ ト繰 り返 し行 う。
3
:高
這い位
に な り膝
・
足 関節
を荷 重
下で屈 曲・
伸
展を 繰 り返 し
20
回ず
つ5
セ ッ ト行 う
。
4
:壁 を 支 持 し た 状 態 で,
踵 上 げ トレー
ニ ング を20
回
ず
つ5
セ ッ ト。
5
:クー
ル ダ ウン と し て 壁 も た れ 立 位 を行
っ た。
(5 〜
10
分 )実 施 状 況 を
確
認 す るこ と を 目 的 に チェ ッ ク リス トを作
成 し自
分 で 記 入 さ せ た(
母親
に は 実 施 状 況 を チェ ック す る よ うに依 頼 し た )。
ま た.
自 主 トレー
ニ ング 内容
を 正 しく実 施
で きてい る か どう
か を外 来
PT
実 施 時
に評 価
し た。
3.
評 価 項
目歩 行 機
能 に関
連 し たパ ラ メー
タ は.
歩
行 能 力
と して時
間 距 離
変 数 を,
歩 行 効 率
と してCOP
変 数
を測 定
し た。
1
) 歩 行 能 力
Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation足 関 節 底 屈 筋トレ
ー
ニ ングは脳 性 麻 痺.
児・
者の歩 行を改 善 する 23 15§
盡
回
壇1E A B A’
05匿
・451M oA靜
。、, 03A B A’
16D
筆
1。塁
嵩
1・
・
K
Df
,c。よ
A B A’
図2 症 例1の
歩
行 能 力お よ び2SD 解析
の結 呆A
: ベー
スライン期 (7週 間 ) B ;介入期 (7週間 )A
’
:後介 入期 (7週 間 ) 実 線はベー
ス ライン期の平 均 値,
点 線 は± 2SD を示 す.
結 果 は
2standard
.
deviation
band
method を用い てベー
ス ラ イン期と介 入 期・
後介
入期の変 化を 比 較 し た
.
2
連 続以 上のデー
タポ イン]・
がベー
スライン期の平 均 値± 2SD の値よ り 大 きいもしくは 小 さい 場 合は統 計 学 的 な有 意 差 (p< 0
.
05)があると認め ら れ る.
助 走
・
追 走 区
間のあ
る平 坦 な 直線 路
で中 間
10m
の平
常
歩 行 に よ る歩
行 時 間と歩 数
を計
測 した。 さら に ケー
デ ンス,
歩 幅
を算
出 し た。
Abel
ら によ ると,
健 常 児 (
IO
名
,
1
.
5
±2,
5
歳,5 〜14
歳)
の歩 行速 度
,
歩 幅
お よ び歩 行
率
の平 均 値
は そ れ ぞ れ66
,
6m
/min,0.
540
m,
123
step/ min であ
っ た4)。2
> 歩 行 効 率
COP
は足 圧分 布
測 定 シス テ ム(
ニ ッ タ株 式 会 社
,
F−Scan
) を 用
いて.
市 販
の バ レー
シュー
ズ にセ ンサー
シー
ト
を装 着
し10m
歩
行
路 で 平常 歩 行 を行
い サンプ リ ング周 波 数
50Hz
で計 測
し た。
測 定 は4
回 行い第2 ・
第
3
試 行
の歩 行路 中 央 部
3
歩 行 周 期
を分 析 対 象
と し た。
な お歩 行 中
の転 倒 防止
のた めに複 数
の測 定 者 が 近位 監 視
し バ ランスを崩
し た時
に は介
助 がで き る よ う に し た。
計 測 中 に大 きな動 揺 が
生 じ た時
に は次
の 試行
のデー
タを
利 用 し た。
解 析
ソ フ トから算 出
され たCOP
座 慓 デー
タ に 基づ き つ ぎの3
指 標
を定 義
し た。Heel
Point
(
%)
:1
立脚 期 中
に観 察
さ れ たCOP
の最踵
側
座 標 点
か らY
座標 (
進 行 方 向 ) を足 底 長
で 正規 化
し表 示
し た。
な お 踵側
を0
と し たDCOP
移 動 量 (
%)
:1
立脚 期 中
にCOP
がHeel
Point
から進 行 方 向
へ変 位
し た長
さで,
足底
長
で正規 化
し表 示
し た。
COP
逆 行率
(
%)
:COP
が進 行 方 向
に逆行
し た 時 間 で,
1
立 脚 期 時 間
で正規 化
し表 示
し た。
Heel
Point
とCOP
移 動 量
は足 関 節
お よ び 足部
の運 動性
を示 す
変数
逆 行 率
は歩 行
の非 効 率 性
を表 す
変 数 と 定義
し た、
、
Heel
Point
が より踵 側
へ移 行
しCOP
移 動
量 が増 加 す
る こ と,COP
逆 行 率
が低
下す
るこ とを改 善
と捉
え た。
健 常 児・
者
(
4
名
,
25
±14,
5
歳
8 〜
48
歳 )
に対
して我々が 行っ たパ イロ ッ ト研 究 で は,
踵 接
地時
に は踵
か ら足 底 長
全体
の14.
2
±1.
6
% にIleel
Point
があ り
,
足 先
に向 け
て66
.
2
±3
.
9
% の移動
量 が あ る。
ほ ぼ.
一
方 向
性
の軌 跡
を 示 し,
逆 行 率 は9.
4
士4.
2
%であっ た。
4
.
デー
タ分析
デ
ー
タ は2standard
−deviation
band
method(
以 下,
2SD
解 析 )
を用
いて 分析
し た。2SD
解 析
はベー
ス ライ
ン の デー
タが少
ない(
10
個 以一
ド)
場 合
に利用
さ れ 13)14),
ベー
ス ライン の デー
タ にば らつ きが あ る 場 合 に有 効
であ
る といわ れて い る。
2
連 続 以 上のデー
タ ポ イン トがベー
ス ラ イ ン期
の平
均値
±2SD
(
標 準 偏 差 )
の値
より大 き
い も し くは 小 さい場 合 は.
統 計 学 的 な有 意 差 (
p 〈0
.
05
)
が あ
る と み なす
13>。
結果
全 症 例 が 足 関節 底 屈 筋
トレー
ニ ング プログ ラムを脱 落
な く実 施
し た。
介
人 に より
全 症 例の歩 行 機 能 に 有 意 な 改善
が見
ら れ た。1
.
症 例
ユ歩 行 能 力 (
図
2
)
は,
歩 行 時 間 お よび歩 幅
が介
人期
で改 善 傾 向 を示
し・
PI
期
で有
意 に 改善
し た。
歩 行 効 率 (
図3
)
に お けるべ一
ス ラ イン期
のHeel
Point
平均 値
はBS
が65,
7
%,
AS
が68
.
3
% であっ たcCOP
移 動 量 平 均 値 はBS
が27.
8
%,
AS
が
20
.
5
%,
COP
逆 行 率 平 均
値
はBS
が32.
5
%,
AS
が37.
5
% であ
っ た。歩
行 効 率
は,
左
右 と も に 統計 学
的 に有 意
な改 善
は 示 さ な か っ た。AS
N工 工一
Eleotronio Library24
理 学 療 法 学 第39
巻 第L
号Heel
Poi冂t COP 逆 行 率
〔
詈 E。
…中
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一
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.
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潜
A B A’
A B A’
♂
.
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:
1
…
≠ 西
〜
.
’
.
ttl A B A’
図3 症 例1の歩 行 効 率お よ び2SD
解 析の結 果A
: ベー
ス ライン期 (7週 閲)B :介入期
(
7
週 間)A
’
:後 介 人期 (7週 聞) 実線はベー
ス ライン期の平 均 値.
点 線 は±2SD
を示 す.
■ :臨 床的に機 能が良好 (BS) 口 :臨 床 的 に 課 題 が多い (AS)
結果 は
2standard
−
deviation
band rnethod を用い てベー
スラ イン期と介
入期・
後 介 人 期の変 化を比較し た
.
2
連続以 上の デー
タ ポイン トがベー
ス ラ イン期の平 均値
±2SD
の値より大 きいもしくは 小 さい場合 は統 計 学 的 な有 意 差 〔p<
0
.
05
) が あ る と 認 め ら れ る.
(
affected side) は,
介 入 期で逆行 率
のば らつき
が大
きく
なっ た。
し か しBS
(
better
side)
は,
介 入 期
・
PI
期
で
Heel
Poillt
が 踵 側へ と 移行
し,
COP
移 動
量は改
善 傾向
を 示 した、
、
逆 行 率 は 変 化 を 認 め な かっ た、
,
2,
症
例2
介 入 期
のす
べ ての歩
行 能力 (
図
4
) 指 標
が改 善 傾 向
に あ り,
歩
行 時 間 は 有 意 に 改善
し た。
しか し,
PI
期
で は,
有 意
な 改善
の持 続
は得
ら れな
かっ た。歩 行 効 率 (
図5
)
に お け るベー
ス ラ イン期
のHeel
l
〕oint 平 均値
はBS
が28.
6
%AS
が32
.
2
% であっ た。
COP
移 動 量
平均 値
はBS
が55
.
2
%AS
が48
.
2
%,
CQP
逆 行 率 平 均 値
はBS
が20
.
2
%AS
が16
.
3
% であ
っ た。
歩
行 効 率 は,
BS
のIleel
Point
が 踵 側へ と移 行
し,
逆 行 率
が有 意
に 改善
し た、
AS
で は,
介
入期
・
PI
期
のHeel
Point
が有 意
に 踵 側へ 移行
し た が,
介
入期
の移 動
量に有 意
な 改善
が な く,
PI
期でわ ず か に 改 善 を 示 し た。
逆行 率
に は有 意
な 改善
は な かっ た。
3.
症例
3
歩
行 能力 (図
6
)
は,
介 入 期
に変 化
はな く
PI
期
に お いて も 有 意 な 変化
を認
めなか っ た。歩 行 効 率
(
図7
)
に お け るベー
ス ラ イン期
のHeel
Point
平 均 値
はBS
が36.
8
%,
AS
が37.
1
%で あっ た。COP
移 動 量 平 均 値
はBS
が41、
7
%.
AS
が29
.
7
%COP
逆行 率 平 均 値
はBS
が26,
6
%AS
が39,
2
%であ
っ た。歩 行 効 率
は,
介 入 期
・PI
期 で
BS
のHecl
Point
が有 意
に踵 側
へ移 行
し.
COP
移
動 量 が
有
意に改善
し た。
AS
のHeel
Point
と移
動 量 は介
入期 後 半
で改 善 傾 向
を示 し
た が,
PI
期
で有 意
に前
足部
へ 移行
しCOP
移 動 量
が減 少 し
た。
逆 行 率
はAS .
BS
ど
ち ら も有 意
な変 化
を認
めなかっ た。
考 察7
週 間
の足 関節 底
屈 筋 トレー
ニ ン グ が歩 行 機 能 を 改 善
す
るという仮 説 を
,
歩 行
能 力 を示 す 時 間距 離 変 数
と歩 行
Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation足関 節 底 屈 筋トレ
ー
ニ ング は 脳性 麻痺児
・
者
の歩 行を改善
す る25
謹 盤 ノ 〆/
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1
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一
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.
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A’
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四
量 3K八
隼 1 か A B A’
図 4 症 例2
の歩行 能力お よ び2SD
解 析の 結 果A
:ベー
スラ イン期(
7
週 間)
B
:介
入期(
7
週間)
AF :後介 入期 (7週 間 ) 実 線はベー
ス ライン期の平 均 値,
点 線は±2SD
を示 す,
結 果は2standard
−
deviation band method を 用い て ベー
スラ イン期 と介 入 期・
後介入 期の変 化 を比 較 した
、
2連 続以 上のデー
タポ イン トがベー
ス ラ イン期の平均値
±2SD
の値 よ り大 きい も し くは小 さい場 合は統 計 学 的な有 意差 (p<
0
.
05
)
が あ る と認 め られ る,
Heel Point GOP 逆 行 率
’
,
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.
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へ.
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B A’
尹、
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.
・
、
f A’
A B A’
図
5
症 例
2
の歩
行 効 率お よ び2SD
解析
の結果A
;ベー
ス ラ イン期 (7週 間)B :介入期 (7週 間
)
A’
:後 介 入 期 (7週 間 ) 実線はべ一
ス ライン期の平均値,
点 線 は±2SD
を 示 す.
■ ;臨床 的に機 能 が 良好 (BS
) 口 :臨床 的に課 題が多い 〔AS
)結果 は
2standard
・
deviation
band method を用い てベー
ス ライン期 と介 入 期・
後介 入期 の変 化 を比 較し た.
2連 続以 上の デー
タ ポ イン トがベー
ス ラ イン期の平 均値±2SD
の値より大 きい もしくは小 さい場 合は統 計 学的 な有意 差
Cl
〕<O
.
05
>が あ る と 認 め ら れ る,
26 理 学 療 法 学 第
39
巻 第1弓.
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:
1
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,
.
.
.
.
9
’
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訟卜 z
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A B A’
図6
症例3
の歩行能 力お よ び2SD
解 析の結 果 A :ベー
スライン期 (7
週間!B
:介人期(
7
週間)A
’
:後 介 入 期 (7
週間〉
実 線はベー
スラ イン期の平 均 値,
点 線 は±2SD
を示 す.
結果 は
2standard
−
deviation
band
method を 用い てベー
ス ライン期と介 入 期・
後 介 入 期の変 化を 比較し た
.
2
連続以LO
)デー
タ ポ イン トがベー
ス ライン期の 平均 値±2SD
の値よ り大 きい も しくは 小 さい場 合は統計 学 的 な有 意 差 (p<
0,
05
)が あ ると認められる,
Heel Point COP 逆 行率
〔
塁〕
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鼠
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唱
戸一
r制
一
B A’
/ 』 60fiD 10〔
ぎ)
劇 掻 嘛聴
o A B A’
図
7
症 例
3
の歩行効率
お よ び2SD
解析
の結 果 八 :ベー
スライン期 (7
週 間)
B
;介入期 (
7週圓)
A’
:後介 入期 (7
週 間) 実 線はベー
ス ラ イン期の平 均値.
点 線 は±2SD
を示 す.
■ :臨床 的に機 能が良 好
(
BS
)口 ;臨 床 的に課 題が多い
(
AS
)
結 果は
2standard
−
deviatien
baiid
method を 用い てベー
ス ライン期と介 入期・
後 介入期の変 化 を比 較し た
,
2
連 続 以の デー
タ ポ イン トがベー
ス ライン期の平 均 値± 2SD のJapanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation足 関 節 底 屈 筋 ト レ