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医療的ケア児と家族への相談支援機能をもつ訪問看護師育成にむけて ー「地域共生社会」実現に向かう教育プログラムの開発ー

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Academic year: 2021

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(1)公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2018年度(前期) 一般公募「在宅医療研究への助成」完了報告書. 医療的ケア児と家族への相談支援機能をもつ 訪問看護師の育成に向けて -「地域共生社会」実現に向かう教育プログラム開発-. 申請者:梶原 厚子 所属機関:株式会社 スペースなる 提出年月日:2019 年8月30日.

(2) はじめに 訪問看護の活動を始めて 23 年、多くの医療的ケア児や重症心身障害児(以 下子どもとします)や家族に出会う中で、子どもや家族のニーズ、成長・発達 やライフサイクルを見通した支援の重要性を感じていました。 看護が医療を中心とした課題解決思考で支援を進めてきた急性期病院内看護 の考え方だけでは対応できない状況が在宅生活を支援するには多くありまし た。そこで、子どもや家族が望む生活である目標を明確にし、そこをめざし関 係者が、病態・治療・ケア技術を含む保健・医療、生活を支える福祉、教育へ つなぐ支援をディスカッションする中で思考、見える化しケアへ繋ぐ記録用紙 を試行錯誤で作成し、使ってきました。 この記録用紙はディスカッションシートであり、必ず書かなければならない 訪問看護記録とは違う位置づけにあります。しかし、10 数年思考する中で、看 護が実現できる子どもと家族の希望する暮らしの姿、成長発達支援、二次障害 を予防するケア、症状の安定や予測を意識化・見える化することが可能な記録 用紙であることを実感しています。今回はその効果や課題を明らかにし、教育 プログラム開発の一部として評価を試みることにしました。 多くの方に目にふれ、ご意見を頂くことによりよい支援に繋がる機会となれ ば幸いです。 本研究に助成していただきました勇美記念財団に感謝いたします。. 目次 タイトル ページ はじめに・・・・・・1 要旨・・・・・・・・2 研究の背景・・・・・2 研究目的・・・・・・3 研究方法・・・・・・3 結果・・・・・・・・6 考察・・・・・・・・7 おわりに・・・・・・8. 1.

(3) 【要旨】 研究責任者が作成したオリジナル看護記録(本人と家族と地域の大きな見通 しシート、以下「見通しシート」とする)を活用した教育プログラムの一部と しての「見通しシート」の有効性を明らかにすることを目的とし、訪問看護ス テーション管理者及び訪問看護師及び児童発達支援機関で活動する看護師に 「見通しシート」活用後の調査を行った。 その結果、 「見通しシート」は病院勤務時代に使用していた看護記録と大き く異なる点があった。急性期病院では、生命の安全を第一に家族の状態に合わ せた支援を行う中で退院を目指し、短期的な視点で看護を実践していく。在宅 生活では、医療中心から生活の組み立てを通じて、生活の中(場)で医療が行 われる。そして、子どもや家族のニーズを明確化する中で、子どもの成長・発 達、ライフイベントの長期的視点をもち訪問看護を実施していく必要性があっ た。そのために必要な長期見通しを立てた支援を実施するための「見通し」の 視点をつかむこと、ディスカッションするために文字化して共有化するため他 者に伝わる「見える化」が一番難しかった。 しかし、管理者や「見通しシート」作成者からの助言を得ながら取組、数か 月、1 年経過すると「見通し」通りの経過を経ることができ、子どもが成長・ 発達していた。また家族も落ち着いて生活でき「見通しシート」を活用し訪問 看護することの有効性が実感できたとの発言内容であった。 さらに、「教育プログラム」に関しては、同じ職場の仲間とディスカッショ ンすることで自分の見通しの確認・不足点が明確化できること、管理者からの 助言の有効性、記載のためのマニュアルの必要性が明らかになった。. 【研究の背景】 現在、厚生労働省は地域包括ケアの支援体制の整備促進を進め、さらなる改 革の基本コンセプトとして「地域共生社会」の実現を掲げ、「ニッポン一億総 活躍プラン」(平成 28 年6月2日閣議決定)や、「『地域共生社会』の実現に 向けて(当面の改革工程)」(平成 29 年2月7日 厚生労働省「我が事・丸ご と」地域共生社会実現本部決定)に基づいて、その具体化に向けた改革を進め ている。この改革の中で、訪問看護ステーションは利用者と家族が望む生活を 送ることができる総括的な支援体制の整備に関する基盤をつくる役割の一部を 担っていると考える。 研究責任者は子どもや高齢者(以下利用者とする)の訪問看護を 23 年間に 渡り先進的活動を実施した経験から、子どもとその家族が地域で望む生活が出 2.

(4) 来るための支援には、ケースワーク(個別援助技術を用いた活動)・コミュニ ティワーク(問題解決に必要な資源の調達やそのネットワークを図ることを援 助する活動)・フィールドワーク(利用者が生活する地域の社会調査活動)の 3 つの能力が必要であると実感した。この 3 つは「地域共生社会」への意識が育 つ重要な活動であると考えた。 ケースワークは訪問看護のケア実践に必要な個別援助技術であり、コミュニ ティワークは、利用者の成長・発達や身体状況に伴い利用する社会資源が変化 する中で、生活を整えるために必要な技術である。また、フィールドワークは 日々訪問看護活動で出向く地域の特性や生活に必要な資源の場所や内容を理解 しながら活動し、利用者が住む地域把握をする活動である。 研究責任者は、ケースワーク・コミュニティワークの視点が育つオリジナル 訪問看護記録(以下、「見通しシート」とする)を作成し、活用する中で訪問 看護活動は、地域全体を視野に入れた支援への広がりを意識する必要性を実感 し、「地域共生社会」を構築する役割の一部を担っていると感じた。 そこで、サービスに地域格差がある子どもに焦点を当て、地域包括ケアの発 展段階である「地域共生社会」実現に向けた意識をもった訪問看護師育成のた めの教育プログラムを作成(PLAN)し、実践、評価することで教育プログラ ムの成果を明らかにしたいと考えた。さらにその教育方法として「見通しシー ト」を活用し訪問看護を実践(DO)することで、教育プログラム実践の一部 としての有効性を評価(CHECK)できると考えた。さらに、評価から教育プ ログラムを改善(ACTION)し、効果的な教育プログラムを開発するための方法 として PDCA サイクルで取り組むことが有効と考えた。 【研究目的】 ディスカッションシートとしてのオリジナル看護記録(以下「見通しシー ト」とする)を活用した教育プログラムの一部としての「見通しシート」の有 効性を明らかにする。 【研究方法】 1.研究期間(データ収集期間): 平成 30 年前期勇実記念財団 在宅医療研究への助成交付日から 1 年間 (平成 30 年 8 月-令和元年 8 月) 2.研究対象者: 教育プログラムの一部としての「見通しシート」を活用する訪問看護ステ ーションと児童発達支援機関関係の訪問看護師・看護師及びその管理者もし くは指導者。 3.

(5) 研究対象者を得る方法として、研修会参加や「見通しシート」を活用し研 究に協力が得られる訪問看護ステーション等をネットワークサンプリングに よって得た。 3.データ取集方法・内容及びプロセス等 1)データ収集方法 「見通しシート」を活用した成果について半構成インタビューと評価表を用 い教育プログラム評価を行った。 (1)訪問看護師には訪問看護実践の評価表を用いた自己評価 1-2 回(初回・最 後)を実施した。さらに一人 40-70 分程度の「見通しシート」の活用成果に 関する半構成インタビューを最後の評価修了後 1 回実施した。 (2) 管理者もしくは指導者には訪問看護師が自己評価した評価表と同様の評 価表を用いて評価と一人 40-70 分程度の「見通しシート」を用いた活用事 例・指導内容・訪問看護師の自己評価との相違の半構成インタビュー1 回実 施した。 (3)研究対象者の希望に合わせ半構成インタビューは、個人及びグループイ ンタビューとした。 2)研究内容及びプロセス (1)教育プログラムの作成(計画:PLAN) 小児を対象とした新人看護師の教育プログラムの文献を参考に、以下の視点 を含む医療的ケア児を対象とする訪問看護師の教育プログラムを作成。 ①ケースケースワーク・コミュニティワークの能力を身につけるために必 要な知識・技術の視点を含んだ教育プログラムの検討 ②時間軸に沿って教育プログラムは「見通しシート」と連動した形式と し、評価できる評価表を作成した。 (2)「見通しシート」を活用した訪問看護の実施。 (実施:DO)・評価(CHECK) ① 訪問看護師や看護師は自己の判断で「見通しシート」を活用した研修 会に自主的に研修参加、所内や他機関を含むケア会議、見通しシートを 使用したデスカッションを行う中での看護を実施。 (3)教育プログラム・「見通しシート」活用評価、改善点(ACTION)を考 察。 訪問看護ステーション管理者もしくは指導者及び訪問看護師や児童発達 支援施設の看護師への半構成インタビュー及び評価から教育プログラム 評価を行い、「見通しシート」を活用した効果評価及び改善点を考察する。 4.

(6) 「見通しシート:本人と家族と地域の大きな見通しシート」は、11 シートか ら構成されている。 ① 初回アセスメントシート(4 タイプ別) ② 好きなこと支援シート ③ 全体把握シートシート a 身体状況バージョン b 支援ヒントバージョン ④ ファミリーシート ⑤ ウィークリーシート ⑥ 年間スケジュール調整シート ⑦ 項目立てシート ⑧ ⑨ ⑩ ⑪. フォーカスシート a てんかんシート bバランス等シート 看護リハビリ手順シート 緊急連絡用シート(全体版) セルフチェックアセスメントシート. c小さな見通しシート. 3)分析方法: 訪問看護師や看護師自身の自己評価と管理者による訪問看護師の実践評価の 両者の評価による、活用が難しい「見通しシート」を明らかにする。 その内容は、目標達成度評価を調査開始時点と調査修了時点までの 1-2 回程 度、同じ評価表を用いて行い、点数化したものから評価する。 「見通しシート」活用に関する半構成インタビューは 1 回 30-70 分程度とす る。半構成インタビュー内容は、文字化したインタビュー内容から、子どもの 成長や発達・生活に視点を当てた見通しをもって訪問看護及びケアができた か、活用の効果、難しかった点を視点にカテゴリー化し整理する。 4)倫理的配慮 共同研究者が所属する大学の研究倫理委員会の承認(承認番号 18-020)を 得て、研究目的・研究方法及び内容について口頭及び文書にて説明し、施設 責任社には研究承認・研究対象者には同意書へのサイン得て、実施した。 以下、配慮したポイントのみ記載する。 ① 対象となる個人の人権の擁護のための配慮のために、プライバシ-の 保護、研究協力への自由意志の尊重、苦情・危険性について ② 研究協力撤回の自由 ③ 謝礼について ④ 研究協力による利益や不利益 ⑤ 研究成果の公表 5.

(7) 4.結果 詳細は研究責任者・共同研究者が所属する学会等で報告するため、ここで は概略のみ報告する。 ネットワークサンプリングにて協力が得られ、「見通しシート」を活用した 研究対象者は、訪問看護ステーション管理者 3 名、訪問看護師 8 名、医療的 ケアが通所する児童発達支援機関の看護師 1 名の計 12 名であった。 1)「見通しシート」の活用成果について 「見通しシート」活用期間は、3 か月から 15 年であった。 研究対象者は、「見通しシート」を作成した研究責任者から、活用方法に ついて直接指導を受け、過去に活用事例を通じての助言も得ていた。 また、「見通しシート」を活用した研修会に参加した研究対象者もいた。 ① から⑪の「見通しシート」の中で、自己評価表及び半構成インタビュー で得られたデータから共通することとして、⑦の項目立てシートの自己評価 は使い始めよりは、研究終盤では評価向上するが、他のシートに比べ自己評 価が低かった。半構成インタビューでも、子どもの成長・発達やライフイベ ントの目標を明確にし、その目標に向かい今ケアする必要のある事を見極め ることが一番難しいとの発言があった。このことについては、どの研究協力 者からも聞かれた発言であり、標準的な成長・発達の経過を理解し、自分が ケアする子どもや家族のニーズを満たすために必要なケア視点を見極めるこ との難しさを語っていた。 2)教育プログラムの成果について 教育プログラムは、ケースワーク・コミュニティワーク・フィールドワーク の実践ができるようになることを目的とし、教育目標、教育方法を記載した。 その評価の一部として、「見通しシート」を活用した成果を評価表と半構成イ ンタビュー内容より評価した。 「見通しシート」の①初回アセスメントシート ②好きなこと支援シート ③全体把握シート ④ファミリーシート ⑤ウィークリーシート ⑩緊急連絡 シートは利用者の導入初期のケースワークに必要な項目である。訪問看護や通 園などの初日から数日の利用の間に見通しを持てるような情報収集への意識が 必要である。⑥年間スケジュール調整シート⑦項目立てシート ⑧フォーカス シートは、健康課題が見えてくる導入初期から 1~2 週間後に使っていく。① ~⑩のシートは看護の専門性を発揮しつつその専門性を、子どもの成長・発達 及びライフサイクルに応じたケアとして、関係機関との協働が重要であり、そ れを補助する項目である。問題解決に必要な資源の調達やそのネットワークを 図ることを援助するコミュニティワークに発展させるために重層的に①~⑩の 6.

(8) シートを使いディスカッションを重ねていく必要がある。 今回の調査からは、ケースワーク・コミュニティワークの視点は身について きているが、利用者が生活する地域の社会調査活動である地域把握について は、ケースワークをする中で利用者が活用できるよう調整したり、管理者はそ の把握のために各種会議に参加したりする活動はしているが、その地域に訪問 看護ステーションを開設したばかりの機関もあり、地域特性を「見える化」 し、それぞれの機関が所在する地域把握までには時間を要する状況であった。 また、作成した教育プログラムが、「見通しシート」を活用したケースワー クやフィールドワークが中心の目標であったので改良が必要である。 5.考察 看護記録では、必要な情報収集・対象者をアセスメント・看護課題の明確化・ 目標内容及び時期設定・看護実施・評価のPDCAサイクルを繰り返す中で、子 どもの体調を整え、また家族にケア技術の指導を行い退院を目指す。今回活用し た「見通しシート:本人と家族と地域の大きな見通しシート」は、在宅で行う生 活を重要視し、子どもや家族が望む暮らしの姿に目標をおいた特徴がある。望む 暮らしとは大好きな事、やりたい事、夢や希望から構成されている。治療や訓練 ではなく子ども自身がこうありたいと思っているであろう事に想像を馳せて多 くの看護体験をエビデンスとして統合していく。看護スタッフ等にも同じく好 きな事、やりたい事、夢や希望がある。双方が幸せな望む暮らしを実現するため にこのディスカッションシートは作り出された。1.子ども・家族のニーズを明確 化すること。それを支援する側のニーズも明確化する。 (②好きな事支援シート ④ファミリーシート⑤ウィークリーシート) 、2.長期見通しを明確化し(長期 目標)、その実現のために今何をケアするのか(短期目標)(⑥項目立てシート・ ⑦フォーカスシート)を、文字化し、ディスカッションする中でメンバーが共有 すること。3 看護手順として、誰が訪問してもその子どもと家族のケアができる よう、手順の文字化・写真等を用いて見える化(⑨看護リハビリ手順シート)す る。4.24 時間、一週間、365 日の生活(④ファミリーシート ⑤ウィークリーシ ート ⑥年間スケジュール調整シート)を見える化する。5.一定期間(導入から 1 カ月~半年・安定期は 1 年~2 年)ごとにアセスメントを行い、子どもや家族 と看護師等の双方の理解度合いについて確認する(⑪セルフチェックアセスメ ントシート)。 このような在宅生活を支援する看護師ならではの視点を盛り込んだディスカ ッションのための記録用紙である。しかしすべてを最初から記載する必要なく 自分の思考を整理し必要なケアを実施する中で、情報や思考を共有し、よりよ い支援につなげるための記録用紙である。従って、使い始めは個人の経験や思 7.

(9) 考により記載内容には大きな差異があるからこそ、ディスカッションするため の記録用紙として、活用することに意義が見えてくる。 研究対象者に発言にもあった、②《こんなにたくさんの記録は書けない》 《「⑦項目立てシート」の項目は何を挙げていいのかわからない》《「⑧フォー カスシート」はこれでいいのか》等、導入当初は戸惑いがあった。しかし、助 言や所内でのカンファレンス、訪問後の仲間とのコミュケーション等で思考錯 誤しながら文字化し、ケアしていくと、数か月、1 年後には目標を実現でき た」等の「見通しシート」の活用効果の評価が得られた。訪問看護師や施設等 の看護師の看護力を向上することができる「見通しシート」であると考える。 また、今回は「見通しシート」を活用した教育プログラムを構成する一部と しての評価であり、教育プログラム実践・活用にはさらに詳細の計画が必要で ある。 現在この「見通しシート」は、研究代表者が研修会講師として招かれた講演 等で紹介され、各地訪問看護ステーションで活用され始めている。今後さらな る改定及び使いやすさのための方法を検討していきたいと考える。 おわりに 今後、「見通しシート」の使い方ガイドについて、研修会や学会等で報告し ていく計画である。 今回調査にご協力いただきました各機関管理者・看護師皆様に感謝いたし ます。 その他 本研究に利益相反はない。 本研究勇美記念財団 在宅医療研究への助成(平成 30 年 8 月-平成 31 年 8 月)を受けて実施した。. 8.

(10)

参照

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