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ラットにおける甲状腺・副腎・性腺機能の生理的相互作用に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

ラットにおける甲状腺・副腎・性腺機能の生理的相互作用

に関する研究( 内容の要旨 )

Author(s)

藤平, 篤志

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第051号

Issue Date

1998-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2105

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及 び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 旦 藤 平 篤 志 (東京都) 博士(獣医学) 獣医博甲第51号 平成10年3月13日 学位規則第4粂第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 東京よ工大学 ラットにおける甲状腺・副腎・性腺機能の生 理的相互作用に関する研究 主査 東京よ工大学 教 授 副査 帯広畜産大学 教 副査 岩 手 大 学 教 副査 東京よ工大学 数 副査 岐 阜 大 学 教 授

持〓役

授 善 志一宏 義 一篤 隕 義 谷 井 宅 田 島 田 斉 三 金 武 論 文 の 内 容 の 要 旨 本研究は、甲状腺・副腎・性腺の機能的関連性を明らかにすることを目的として、実験 的に甲状腺機能低下症ラットを作出し、甲状腺機能低下時における視床下部・下垂体・副 腎軸および視床下部・下垂体・性腺軸の機能について詳細な検討を行ったものである。 1.甲状腺と副腎の機能的関連性 甲状腺機能が低下した成熟雄ラットでは、副腎重土が有意に低下し、血中コルチコステ ロン濃度も低下したが、逆に下垂体では、副腎皮質刺激ホルモン(ACm)含有主が増加 した。これらの変化は、チロキシン(T4)を投与することにより対照群のレベルにまで 回復した。甲状腺機能低下ラットでは、ACTH投与に対する副腎のコルチコステロン分 泌反応性が、対照群に比べて低下したが、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH) およびアルギニンバソプレッシン(AVP)投与に対する下垂体のACTH分泌反応性 は、冗進した。PUSH-PULLカニューレによる視床下部正中隆起部の局所環流実験を 行った結果、甲状腺機能低下動物では、正中隆起部でのCRHおよびAVP分泌の上昇が認 められた。これらの結果から、甲状腺機能が低下した成熟雄ラットでは、副腎皮質機能が 原発的に低下し、副腎皮質からのコルチコステロン分泌が低下する結果として、視床下部 ではCRHおよびAVPの分泌が冗進する事実が初めて明らかとなった。 2.甲状腺と性腺の機能的関連性 甲状腺機能低下動物の視床下部・下垂体・性腺軸の機能を詳査した結果、甲状腺機能が 低下した成熟雄ラットでは、対照群に比べて、下垂体中黄棒形成ホルモン(LH)含有 量が低下し、T4の投与で対照群のレベルにまで回復した。また、甲状腺機能の低下した 成熟雄ラットでは、黄棒形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)に対する下垂体のLH放出 反応性が低下する事実が判明したが、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)によるテス

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-174-トステロン分泌反応性は、対照群と比べて有意差は認められなかった。甲状腺機能の低下 した成熟雄ラットの交尾行動について検討した実験においては、チオウラシルを投与した 群および甲状腺を摘出した群では、対照群と比べて血中テストステロン濃度には差がない のにも関わらず、交尾行動が低下し、T4を投与することにより抑制された交尾行動は回 復した。以上の結果から、甲状腺機能が低下した成熟雄ラットで認められた性腺機能の抑 制は、視床下部レベルの障害に起因するものと推察された。また、視床下部・下垂体・副 腎軸を許査した実験の結果から、甲状腺機能低下動物の視床下部では、CRHの分泌が冗 進していることから、この分泌冗進したCRHが交尾行動を抑制し、他方では視床下部か らのLHRH分泌を抑制する羊とにより下垂体前葉からのLH分泌を低下させたものと推察 された。 成熟雌ラットにチオウラシルを投与すると、発情周期が不規則となり、卵胞発育に伴っ て上昇する血中エストラジオール濃度の上昇と、LHサージ前の基底レベルの血中LH濃度 の上昇が抑制された。一方、血中プロラクチン濃度とプロジエステロン濃度は、甲状腺機 能低下動物では発情周期を通じて高値を示した。hCG投与による排卵試験では、甲状腺 機能低下群では、発育卵胞数が対照群に比べて有意に減少した。以上の結果より、甲状腺 機能が低下した成熟麒ラットで認められた性腺機能障害の主要な原因の1つは、プロラク テン分泌の冗進であろうと推察され、甲状腺機能低下成熟雌ラットのプロラクテン分泌調 節についてさらに検討を加えた結果、雌ラットの正中隆起・漏斗部におけるチロシン水酸 化酵素の活性は、甲状腺機能低下群と対照群の間で、差が認められなかった。一方、プロ ラクテン分泌促進因子である血管作動性腸管ペプチド(ⅤIP)の下垂体中含有量は、甲状腺 機能低下群で対照群よりも有意に上昇した。これらの結果は、甲状腺機能が低下した成熟 雌ラットでは、下垂体中のⅤIP含有量が上昇し、このⅤIPが自己分泌もしくは傍分泌の様 式によりラクトトロフに作用してプロラクチン分泌を上昇させるものと推察された。 3.副腎と性腺の機能的関連性 副腎を摘出した雄ラットでは、血中AC¶丑濃度は上昇し、逆にLH濃度は低下したが、 CRHに対する抗血清を投与して内因性CRHを免疫学的に中和すると、副腎摘出により上 昇した血中ACTH濃度は低下し、逆に血中LH濃度が上昇した。これらの結果から、副腎 摘出ラットでは、グルココルチコイドの血中濃度が低下することにより視床下部では CRH分泌が克進し、分泌冗進したCRHがLHRH分泌を抑制することにより、結果として LH分泌が抑制されるものと推察された。 本研究で得られた結果を総括すると以下のごとくである。 甲状腺機能が低下したラットでは、雌堆ともに、副腎皮質機能が低下し、視床下部で

は、CRHとAVPの分泌が冗進する。この分泌冗進したCRHが、LHRH分泌抑制を介し

て、もしくは直接LH分泌を抑制することにより、性腺の機能を抑制する。さらに、甲状 腺機能の低下した雌ラットでは、下垂体中のⅤIP含有量が上昇し、このⅤIPが自己分泌も しくは傍分泌によってラクトトロフに作用してプロラクチン分泌を上昇させる。この血中 プロラクチン濃度の上昇によって卵巣中の黄体細胞からのプロジエステロン分泌が冗進 し、この分泌冗逢したプロジエステロンが発情休止期を延長させるものと推察される。 以上の研究成果は、生体の生命現象にとって最も重要な3つの内分泌腺である甲状腺・ 副腎・性腺の関連性について、これまで密接な相互関係のある事実が指摘されていながら も長い間その機構が不明のままであった現象を実験的手法により作出したモデル動物を用 いて内分泌的に解明したものであり、基礎生物学上極めて重要な内容である。また、塩床 的にもこれら3つの内分泌腺の機能障害の的確な診断および治療につながる重要な情報を 提供するものである。 審 査 結 果 の 旨 本研究は、甲状腺・副腎・性腺の機能的関連性を明らかにすることを目的として、実験 的に甲状腺機能低下症ラットを作出し、甲状腺機能低下時における視床下部・下垂俸・副 腎軸および視床下部・下垂体・性腺轍の機能について詳細な検討を行ったものである。

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-175-1.甲状腺と副腎の機能的関連性 甲状腺機能が低下した成熟雄ラットでは、副腎重量が有意に低下し、血中コルチコステ ロン濃度も低下したが、逆に下垂体では、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)含有量が増加 した。これらの変化は、チロキシン(T4)を投与することにより対照群のレベルにまで 回復した。甲状腺機能低下ラットでは、ACTH投与に対する副腎のコルチコステロン分 泌反応性が、対照群に比べて低下したが、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH) およびアルギニンバソプレッシン(AVP)投与に対する下垂体のACTH分泌反応性 は、冗進した。PUSH-PULLカニューレによる視床下部正中隆起部の局所環流実験を 行った結果、甲状腺機能低下動物では、正中隆起部でのCRHおよびAVP分泌の上昇が認 められた。これらの結果から、甲状腺機能が低下した成熟雄ラットでは、副腎皮質機能が 原発的に低下し、副腎皮質からのコルチコステロン分泌が低下する結果として、視床下部 ではCRHおよびAVPの分泌が冗進する事実が初めて明らかとなった。 2.甲状腺と性腺の機能的関連性 甲状腺機能低下動物の視床下部・下垂俸・性腺軸の機能を詳査した結果、甲状腺機能が 低下した成熟雄ラットでは、対照群に比べて、下垂体中黄体形成ホルモン(LH)含有 量が低下し、T4の投与で対照群のレベルにまで回復した。また、甲状腺機能の低下した 成熟雄ラットでは、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)に対する下垂体のLH放出 反応性が低下する事実が判明したが、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(bCG)によるテス トステロン分泌反応性は、対照群と比べて有意差は認められなかった。甲状腺機能の低下 した成熟雄ラットの交尾行動について検討した実験においては、チオウラシルを投与した 群および甲状腺を摘出した群では、対照群と比べて血中テストステロン濃度には差がない のにも関わらず、交尾行動が低下し、T4を投与することにより抑制された交尾行動は回 復した。以上の結果から、甲状腺機能が低下した成熟雄ラットで認められた性腺機能の抑 制は、視床下部レベルの障害に起因するものと推察された。視床下部・下垂体・副腎軸を 詳査した実験の結果から、甲状腺機能低下動物の視床下部では、CRHの分泌が克進して いることから、この分泌冗進したCRHが交尾行動を抑制し、他方では視床下部からの LHRH分泌を抑制することにより下垂体前葉からのLH分泌を低下させたものと推察され た。 成熟雌ラットにチオウラシルを投与すると、発情周期が不規則となり、卵胞発育に伴っ て上昇する血中エストラジオール濃度の上昇と、LHサージ前の基底レベルの血中LH濃度 の上昇が抑制された。一方、血中プロラクチン濃度とプロジエステロン濃度は、甲状腺機 能低下動物では発情周期を通じて高値を示した。bCG投与による排卵試験では、甲状腺 機能低下群では、発育卵胞数が対照群に比べて有意に減少した。以上の結果より、甲状腺 機能が低下した成熟雌ラットで認められた性腺機能障害の主要な原因の1つは、プロラク チン分泌の冗進であろうと推察され、甲状腺機能低下成熟雌ラットのプロラクチン分泌調 節についてさらに検討を加えた結果、雌ラットの正中隆起・漏斗部におけるチロシン水酸 化酵素の活性は、甲状腺機能低下群と対照群の間で、差が認められなかった。一方、プロ ラクチン分泌促進因子である血管作動性腸管ペプチド(ⅤIP)の下垂体中含有量は、甲状腺 機能低下群で対照群よりも有意に上昇した。これらの結果は、甲状腺機能が低下した成熟 雌ラットでは、下垂体中のⅤIP含有量が上昇し、このⅤIPが自己分泌もしくは傍分泌の様 式によりラクトトロフに作用してプロラクチン分泌を上昇させるものと推察された。 3.副腎と性腺の機能的関連性 副腎を摘出した雄ラットでは、血中ACTH濃度は上昇し、逆にLH濃度は低下したが、 CRHに対する抗血清を投与して内因性CRHを免疫学的に中和すると、副腎摘出により上 昇した血中ACTH濃度は低下し、逆に血中LH濃度が上昇した。これらの結果から、副腎 摘出ラットでは、グルココルチコイドの血中濃度が低下することにより視床下部では CRH分泌が先進し、分泌元進したCRHがLHRH分泌を抑制することにより、結果として LH分泌が抑制されるものと推察された。 本研究で得られた結果を総括すると以下のごとくである。 甲状腺機能が低下したラットでは、雌雄ともに、副腎皮質機能が低下し、視床下部で は、CRHとAVPの分泌が冗進する。この分泌冗進したCRHが、LHRH分泌抑制を介し て、もしくは直接LH分泌を抑制することにより、性腺の機能を抑制する。さらに、甲状

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一176-腺機能の低下した雌ラットでは、下垂体中のⅤIP含有量が上昇し、このⅤIPが自己分泌も しくは傍分泌によってラクトトロフに作用してプロラクテン分泌を上昇させる。この血中 プロラクテン濃度の上昇によって卵巣中の黄体細胞からのプロジエステロン分泌が冗進 し、この分泌冗進したプロジエステロンが発情休止期を延長させるものと推察される。 以上の研究成果は、生体の生命現象にとって最も重要な3つの内分泌腺である甲状腺・ 副腎・性腺の関連性について、これまで密接な相互関係のある事実が指摘されていながら も長い間その機構が不明のままであった現象を実験的手法により作出したモデル動物を用 いて内分泌的に解明したものであり、基礎生物学上極め七重要な内容である。また、臨床 的にもこれら3つの内分泌腺の機能障害の的確な診断および治療につながる重要な情報を 提供するものである。 以上について、審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論 文として十分に価値あるものと認めた。

参照

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