Title
家兎における実験的副鼻腔炎の研究 1) 家兎における実験的
副鼻腔炎(その1) 慢性化における嫌気性菌の役割の検討
-2) 家兎における実験的副鼻腔炎(その-2) - 慢性化における嫌
気性菌の役割の検討 -( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
秋田, 茂樹
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1191号
Issue Date
1999-03-05
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15082
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氏名
(本準)
学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 秋 田 茂 樹(岐阜県) 博 士(医学) 乙第1191号 平成11年 3 月 5 日 学位規則第4粂第2項該当 家兎における実験的副井腔炎の研究1)家兎における実験的副井腔炎(その1)
-慢性化における嫌気性菌の役割の検討-2)家兎における実験的副鼻腔炎(その2) -慢性化における嫌気性菌の役割の検討-(主査)教授 宮 田 英 雄 (副査)教授 江 崎 孝 行 教授 渡 辺邦
友 論 文 内 容 の 要 旨 副鼻腔炎の慢性化,遷延化には種々の要因が複雑に影響しあっていると考えられる。個体側の因子としては, 副鼻腔の解剖学的特異性や副鼻腔(洞)自然孔の形状,アレルギー性炎症の関与が重要視されている。細菌学的 には,上顎洞貯留液の細菌検査で嫌気性菌が検出され,当科においても慢性副鼻腔炎患者の上顎洞貯留液から高 率に嫌気性菌が検出されており,嫌気性菌の関与が示唆されている。今回,慢性副鼻腔炎における嫌気性菌の関 与について家兎を用いて実験的副鼻腔炎を作成して検討した。 研究対象と方法 (1)研究1:副鼻腔炎における嫌気性菌の起炎性の有無を確かめる目的で,慢性副鼻腔炎患者の上顎洞貯留液か ら分離した好気性菌.嫌気性菌を家兎の上顎洞に注入し,1週間後の上顎洞の炎症所見を検討した。また卵白ア ルブミンを用いてアレルギー感作を行った家兎とアレルギー感作を行わなかった家兎についても比較検討した。 実験動物として成熟白色家兎(3kg)を用いた。注入菌は実際に慢性副鼻腔炎患者の手術時に上顎洞貯留液から 採取し,分離・同定した菌で,好気性菌としてぶと呼ん〆ococc揖αα花山を,嫌気性菌としてP柁び0亡e〟αム混Cαeを用いた。A群は家兎3羽6洞のうち3洞にStqphylococcusauT?uSを1回1ml(0.9×109Colony Formation Unit
(CFU))を,3洞にPreuotella bzLCCaeを1回1ml(0.9×109CFU)を隔日2回経皮的に洞内に注入した。その後1 週間放置した後ネンブタール静脈麻酔下に剖検し検体として上顎洞内の貯留液,上顎洞粘膜を採取した。B群は 細菌の注入前に,Maeyamaの方法に準じ2.5%精製卵白アルブミンを1回1mlを週4【軋 2週間連続して家兎の背部 皮下に注入し,アルサス現象陽性となった家兎に対し同液を1回1mlを週3回,2週間連続して上顎洞に注入した。 精製卵白アルブミンによる全身および局所感作の後,A群と同様に3洞に5.皿柁揖を,3洞にP.わ比CCαeを1回1ml (0.9×109CFU)を隔日2回注入した。その後1週間放置した後検体を採取した。対照としてアルブミン感作,菌 注入ともに施行しなかった家兎1羽2洞から検体を採取した。 検討項目は1)画像としてCT所見 2)肉眼的所見として上顎洞内の貯留液の性状,量,上顎洞粘膜の性状3) 上顎洞粘膜の組織学的所見として光学顕微鏡(H-E染色)と走査電子顕微鏡による観察,4)上顎洞内貯留液の 培養・同定を行い検討した。 (2)研究2:副鼻腔炎の慢性化における嫌気性菌の関与を検討する目的で.菌注入2週間乱 4週間後における上 顎洞の炎症所見を検討した。実験動物として成熟白色家兎(3kg)を用いた。研究1のB群と同様に細菌の注入前 に,Maeyamaの方法に準じ全身および局所のアルブミン感作を行った後,家兎3羽6洞に研究1で使用した同じ 株である且αα柁びを,他の3羽6洞に研究1で使用した同じ株であるP.占α∝αeを1回1工nl(0.9×109 CFU)を隔 日2回洞内に注入した。その後2週間放置した群,4週間放置した群に分けネンブタール静脈麻酔下に剖検し,検 体として上顎洞内の貯留液,上顎洞粘膜を採取した。対照としてアルブミン感化 菌注入ともに施行しなかった 家兎1羽2洞から検体を採取した。検討項目は研究1と同様である。
-113-研究結果と考察 (1)研究1:アルブミン感作を施行せずに菌を注入した家兎では,S.揖打払料を注入した群では,1週間後では肉 眼的所見で上顎洞内に粘性貯留液を認め,粘膜は肥厚していた。組織学的には粘膜下に腺細胞の増殖を認めた0 これは菌は一時的に生者し急性炎症を起こしたがすぐに治癒に向かったか,あるいはエンドトキシンによる反応 が起こったものと考えられた。f).わ昆CCαを注入した群では,粘膜に炎症所見を認めなかった。上顎洞の自然孔 が広く開いており,洞内が嫌気状態でなかったため,菌が生者出来なかったと考えられた。アルブミン感作をし た後に菌を注入した家兎では,1週間後では5.α払n几娼を注入した群,P.わ此αを注入した群ともにCT所見,肉 眼的所見で上顎洞内に膿性貯留液を認め.粘膜は肥厚していた。組織学的には部分的に線毛の脱落と上皮の剥離 を認めt上皮下には分泌細胞の増殖,炎症細胞の浸潤を認め化膿性炎症の所見であった。また且`拙作Mを注入 した群の上顎洞貯留液からは且(M柁Mを,P.古址CCαを注入した群の上顎洞貯留液からはP・わ∝Cαを同定した○ 上顎洞の自然孔がアレルギー反応により狭窄あるいは閉鎖し,弱毒菌である嫌気性菌でも発育できる環境となり 得たと考えた。菌注入1週間後の所見では,且α比柁揖による副鼻腔炎のはうがP.玩虻Cαによるものよりも粘膜 における線毛の脱落や上皮の剥離の程度は強かった。 (2)研究2:且α比柁∽を注入した群,P.わ∝Cαeを注入した群ともに菌注入2週間後,4週間後では,研究1の菌 注入1週間後よりCT所見,肉眼的所見で上顎洞内に多量の膿性貯留液を認め,粘膜は肥厚・発赤し,組織学的に は線毛は欠損し,上皮の剥艶上皮下における炎症細胞浸潤などの炎症所見の増強を認めた。そして2週間後で は5.皿柁揖注入群のはうがP.わαCCαe注入群に比べ上顎洞内の膿性貯留液の量は多く,粘膜の組織学的所見では, 上皮の剥離は程度が強くかつ広範囲であり,より強い炎症所見であったが,4週間後では両群とも上顎洞内には 膿性貯留液が充満し,粘膜は組織学的に広範囲に上皮が剥離し,上皮下には炎症細胞浸潤を認め,炎症所見はほ ぼ同じ程度であった。またS.α弘n㍑娼を注入した群の上顎洞貯留液からは且皿柁揖を,P.む昆CC∝を注入した群 の上顎洞貯留液からはP.古址CCαeを同定した。今回4週間後以降の検討は行っていないが,この成績は.さらに長 期になると嫌気性菌が副鼻腔炎を慢性化する一端を担うと考えられた。 論文審査の結果の要旨 申請者秋田茂樹は,慢性副鼻腔炎における嫌気性菌の関与について,家兎を用いて実験的副鼻腔炎を作成して 検討した。嫌気性菌単独でも起炎菌となり,副鼻腔炎の慢性化に関与する可能性を示唆した。さらに副鼻腔炎の 慢性化には副鼻腔(洞)自然孔の開閉状態や副鼻腔粘膜のアレルギー性変化の重要性も確認した。これらの知見 は,鼻科学の進歩に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] 家兎における実験的副鼻腔炎の研究 1)家兎における実験的副鼻腔炎(その1) 一慢性化における嫌気性菌の役割の検討一 平成9年6月発行 耳展 40(補2):43∼49 2)家兎における実験的副鼻腔炎(その2) 一慢性化における嫌気性菌の役割の検討一 平成11年4月発行予定 耳展 42(2)