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心流入血遮断に関する検討 : (安全期、危険期、蘇生不能期の提唱)

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39

(離畜堅義岬町凡骨)

心流入血遮断t:関する.検討

(安全期,危険期,蘇生不能期の提唱)

第1章 緒

東京女子医科大学心臓血圧研究所(主任 榊原任教授) 言 市 イチ 井 ヰ 厚 コウ 吉 キチ

(受付昭和33年3月11巨)

近年心臓外科が著しく進歩し,心臓内直視下手 術が臨床においても盛んに行われる様になった。 心臓内直視下手術には低体温法,交叉循環法, 人工心肺法等による種々な方法があるが,最:初に 最:も多く行われ成功をみたのは低体温法である。 即ち米国のBigelow,1∼5)Swan 6’8)等の実験 によって低体温法による心臓内直視下手術への道 が開かれ,1953年Lewis, Tauficg)等により初め て臨床成功例が発表された。 我国でも昭和29年頃からこの方面の研究が盛 んに行われる様になり,そして昭和29年10月榊 原教授!o)lcよりその第1例が報告されている。 我教室では昭和29年以来低体温法,入工心肺法 等を用い心臓内直視下手術を行っている。これら 心臓内直視下手術の蜴合には必ず心流入血を遮断 するのであるから,心流入血遮断の影響を検討す ることがこれらの心臓内直視下手術の研究の最初 の基礎として重要であった。 心流入血遮断後どれ位の時聞で動物が死亡する かという研究報告は多数あるがその結果は報告者 によって非常に異る。これは犬の個体差によるも のである。 著者は多数の犬を用いて心流入血忌断実験を行 いその経過を詳細に調べた。その結果心搏数の変 化から遮断を解除した際蘇生し得るか否かを決め ることができることを明らかにした。その他遮断 後の経過について種々の新知見を得た。更に低体 温下心筋傷害状態,チアノーゼの状態における1血 流遮断後の影響を検討したQ これらは心臓内直視下手術発展の基礎とレて極 めて重要なものであったし,又今後の発展のため にも必要であると思はれるのでここに報告する。 第2章 心流入血遮断全経過の観察 現在心臓内直視下手術には,上下大,奇静脈を 遮断する所謂心流入血遮断法が広く行われてい る。 心流入血.遮断に依り心臓自休へのthL流は如何, 又これによる心臓機能への影響はどんなものであ ろうか。 こうした点を検討する為に心流入血t遮断実験を 行った。 第1節 実験方法 実験には体重7∼1Gkgの成犬を用いた。ラボナー ルを用いて静脈麻酔を行い(10∼30mg/kg),気管内 チューブを挿入し,純酸素による陽圧陰圧人工呼吸を 行い,琳酔深度はエー・テノレで3期2相を維持した。左 側臥位として,右第4肋間で開胸を行い,心膜切開を 行って心臓を露出した。上大静脈を奇静脈流入部で剥 離し,横隔膜神経を遊離させて奇静脈と一括して紐を 廻して置き,下大静脈は心膜外で横隔膜神経を遊離き せて単独に紐を廻して置き・三三聯まこれ等の紐を

弼1し・更二子斑㌍舳定し三つだ・遮断は

上下大,奇静脈を同時に行い,且遮断と同時に人工呼 吸を中止しk。なお遮断前3分問,1分間40∼50回 の過呼吸を行った。 第2節 検査事項 実験中30秒毎に心搏数,股動脈圧,心電図,瞳孔散 大迄の時闇,角膜反射消失迄の時間について測定観禦

Kokichi ICHII (Heart lnstitute, Tokyo Women’s Medical Col]ege: (Some problems on inflow

occlusion (Proposition of successful, dangerous and unsuccessful stages)

(2)

を行った。

第3節実験結果

何れも遮断直後血圧は急激に下降し,角膜反射, 瞳孔は遮断後聞もなく消失及び散:大:する。心搏数 は初め著明な変動を示すが時間の経過と共に徐脈 を示し,13∼26分で心搏停止を来した。(表1)

表1常温遮断実験

No. 1 2 3 1性…

8

8

9

体重: kg 8 8 10

室温腫腸温

Oc 1 OC 21 37. 2 2L 3] 38.0 23. 0 37. 5 血 圧

前限終

90 106 112 6 7 6

瞳孔散大

時間(分秒) 1. 30 3. 00 2. 30

角膜反射

消失(分秒) 1. 00 1. 30 1. 30 心 動 停 止 状 態 輝国(分秒)

心停止

心停止

心停止

26. eo 13. 00 25. 00 第4節 検査成績 第1項 心搏数及び心搏隔 心i搏動の変化は肉眼的に記録観察した。 、1丘1流遮断後心搏数は著明な変動を示す。即ち心 搏数は遮断直後概ね一過性に増加の傾向を示した 後,2分前後で著明に減少し,3分∼4分30秒で 再び増加の傾向を示すが,以後次第に減少し13∼ 26分で心搏動は停止した。(図1)心搏動は曲線 tso Zeo so ,ヘ ハ

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Ss一一.1 一 .一H γ\隔

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図1心搏数の変化

上第2の山を形成する4∼5分置は力強く一見し て正常と変らないが,以後心搏数の減少と共に急 激に微弱となり,10分前後からは極度に弱まると 共に心房,心室の収縮が一致せず,後には更に全 く弛緩した心筋に一過性の収縮を見る程度とな る。

第2項血圧

血圧は股動脈を露田し水銀マノメーターを連絡 し一t測定した。 :」凶事は遮断直後急激に下降し,15秒後には20∼ 30 mthHgとなり,後多少動揺を示すが更に下降 の傾尚を示し,4∼7分頃からeE水銀面の搏動も 認められなくなり,以後この値を示すが(4∼7 mmHg)0を示す事はなかった。(図2) 第3項 角膜反射 角膜反射は,心搏数が急激に減少して心搏曲線 が谷を示す1分∼1分30秒で消失した。 第4項 瞳孔

麻酔を略3期2相に保つと瞳孔ば縮小してお

り直径約0.5∼1mmである。散犬時の基準は直 径8mm以上を以てした。. 瞳孔は遮断と同時に散大し始め,心搏曲線が著 明な谷を示す1分30秒∼3分で散大した。

第5項心電図所見

実験中農1∼3誘導を用いて記録した。 遮断後15秒ではRR間隔の軽度の延長, Tの軽 r7 266 一

(3)

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図2血圧 の

変化

度の増高を認め,30秒ではTの増高が更に目立 ち,同時にSTの軽度上昇を認め,45秒ではRR が梢短縮するが新にPの移動を認め,1分ではR Rが更に短縮し,STの上昇が増し, Pの移動消 :失を認め,1分15秒ではRRの短縮, ST上昇が 目立ち,Pの消失を認める。1分45秒ではRR再 び延長し,Pの移動を認め,2分ではPは殆んど消 失し,2分15秒ではPは全く消失するが3分30秒 で再び出現し,3分45秒ではPの移動が認めら

れ,4分で再びPは消失しSTの軽度の下降を認

める。4分15秒ではPが出現し洞調律に戻るがR Rが梢短縮しTの増高が著しい。4分30秒ではR Rは短縮するが5分45秒では延長の傾向を示し,

6分45秒ではRR, PQ共に延長し且QRSも著

明に延長する。7分30秒ではRR, QRS共に梢

短縮するがPが全く消失し,7分45秒ではTは平 低となりQRSも単相曲線への移行を示した。 即ち遮断後早期にST上昇, T増高という心筋 の変化を示す所見と共に,Pの移動消:失,上室性 期外収縮等刺戟生成異常,刺戟伝導障害を思わせ る所見が得られた。 第5節 小括並に考按 心流入血遮断,呼吸停止に依る心臓機能への影 響は極めて大きく心臓機能は明瞭な変化を示し た。 そして前述.した実験.は,(心流入血遮断が行はれ ても肺循環系の還流により,なお暫くは冠循環が 維持されるであろう事は充分老えられるが)上下 /i “ ?V“yX) 大,奇静脈遮断,呼吸停止により心筋への酸素加 .血の急激な減少を来し,心筋に急性進行性無酸素 症が惹起され,その結果急性心動停止を来した過 程を示したものと考える。 心流入血遮断,呼吸停止により心筋に急性進行 性無酸素症を来:し,その結果二次的に代謝或は神 経反謝等の一連の複雑な生体反応が引続いて起 り,早期に原因の除去及び改善の処置が講じられ なければ反応は更に進行して不可逆性となって救 ひ得ない状態に立ち到る。 然し乍ら反応の過程に於て或る時期では充分可 逆的であり,叉貼る時期では全く不可逆的であり, 更に両者の移行期といい得る時期があると考える 事が出来よう。

等等よ難し,

図3 心流入」血遮断,呼吸停止によって急性心動停止 を来す一連の過程に於て,心臓機能の明瞭な変化 から前述した三期を想定する事も不可能ではない と考える。’ 一267一

(4)

即ち次の三期である。(図3) 安全期一血流遮断後門搏数は著明に減少した後 増加の傾向を示す。心搏:動は正常と変りなく力強 い。 危険期一増加の傾向を示した心搏数は再び減少 し,同時に心搏動が微弱となる。 蘇生不能期一心搏数は次第に減少し,心搏動は ますます微弱となり遂に心門停止を来す。

第3章脳血流遮断全経過の観察

第2章の実験では同時に脳1血流も遮断され二次 的に脳機能障害を来す事が考えられる。 そこで脳1血流だけを遮断して,脳機能障害の心 臓機能に及ぼす影響を比較検討する為に脳血流遮 断実験を行った。 第1節 実験方法 従来脳血流遮断法としてはWeinberger,11)Gibbon, 12)15)Baker Rossen,14)Kabat&Dennis15)等が行っ ているが,脳血流を完全に遮断する事は容易ではな い。 数室の中山16)は上行大動脈を遮断する事によって この目的を達した。 脳血流遮断には中山の方法を用いた。 即ちエーテル気管内麻酔下に両側開胸を行い,予め 上下大,奇静脈に紐を廻して置き,更に上行大動脈を 剥離し,最初の分岐部(腕頭動脈分岐部)の直前(心 臓側)で遮断すると同時に,予め上下大,奇静脈にか けて置いた紐によって心臓流入血量を減少或は停止せ しめて適宜加減する事により,心臓の過度伸展を防ぎ 乍ら純酸素による陽圧陰圧人工呼吸を行った。 以上の方法により宋梢抵抗の増大,肺循環血量の減 少等心臓機能保持上多少不利な点がある事は考えられ るが,之により脳血洗は完全に遮断される。 第2節 検査事項 実験申30秒毎に心搏数,心電図,瞳孔散大迄の時 間,角膜反射消失迄の時間について測定観察を行っ た。 第3節 実験結果 何れも上行大動脈遮断後角膜反射,瞳孔は間も なく消失及び散大するが,心搏数は著明な変動を 示す事無く次第に徐脈を示し,43∼49分で心動停 止を来した。(表2)

表2脳血流遮断実験

No. 4 5 性

8

6

体 重 kg 6 7 窒 温 oC 21. 8 22. 0

直腸温

eC

36. 5 37. 0

瞳孔散大

時間(分秒) 1. 00 2. 00

角膜反射

消失(分秒) .30 1. 30 心 動 停 止 状 態 時間(分秒) 心 停 止 粗 動 43.30 4g. oe 第4節 検査成績

第1項心搏数及び心搏動

上行大動脈遮断後2分前後で心搏数の減少が認 められるが比較的軽度で,以後多少の増減を示す が心搏曲線は緩.やかな傾斜を辿って下降し,15分 前後からは平坦な経過を辿り,心搏曲線上特に薯 明な変動は認められなかった。(図4) 心筋の色は良好で心搏動も長時間にわたり良好 であった。 第2項 角膜反射 角膜反射は30秒∼1分30秒で消失した。 第3項 瞳孔 瞳孔は遮断と同時に散大し始め1∼2分で全く 散大した。 ;h’e lt一 Se ’ a タ t3 i7 2t 2S 27 33

図4心搏数の変化

一268一 37 (,th) ・ ,・ N..t.・“・

(5)

43・ 第4項 心電図

上行大動脈遮断後2分15秒迄けRR間隔の軽

度の延長を認める以外著変はなく,4分30秒では RR間隔の軽度の延長, STのRの下降脚からの 移行が認められるが,以後RR間隔が更に稽延長 を示す以外変化無く,8分15秒ではPの陰性化,

ST上昇を認め,9分では更にQRSの延長を認

めるが10分15秒ではST上昇が梢軽度となりQ

RSは更に延長する。以後QRSは次第に延長

し,ST下降を示し更に心電図は単相曲線を示す 様になる。 即ち心筋傷害,刺戟生成異常,刺戟伝導障害を 思はせる所見は軽度であり且上行大動脈遮断後か なりの時聞を経てから発生している。 第5節 小三二に考按 以上の実験から,心機能障害は心臓機能に対し て第2章の実験の如き著明な影響を与えない事が 判明した。 43∼49分で心動停止を来したが,これは前述し た様に上行大動脈を遮断する事により,末梢動脈 流床は両側冠動脈だけとなって相当な末梢抵抗を 有し,又心室過伸展,肺循環血量が減少する事解 が老えられ,こうした心臓機能保持上の不利な点 のある事によるのではないかと考える。 第4輩 正常犬常温下心流入血遮断実験 前述した様に第2章の実験結果から,心臓機能 の変化を回忌として安全期,危険期,蘇生不能期 の三期を想定した。 この点について更に検討する為,正常犬につい て常温で種々の時間心流入.血遮断実験を行った。 第1飾 実験方法 実験方法は第2章第1節と同様であるが,開胸は両 側開胸とし,心臓マッサージ,電気刺戟その他の処置 を適時適切に行い得る様にした。遮断を解除して」血流 を再開せしめる時は先づ上大,奇静脈を解除し,約30 秒∼1分後に下大静脈を解除した。遮断中は人工呼吸 を中止し解除前30秒から再開した。 同一犬で繰返し遮断を行う時は」血圧,心搏数,瞳孔 の大さ,角膜反射弓が遮断前の状態に恢復するのを待 ってから即ち10∼20分後に次の遮断を行った。 又遮断解除後心i搏微弱,血圧低下が焉慣する時は適 時心臓マッサptジ,下行:大動脈圧迫,ボスミン,ノフレァ ドレナリンの心室内注射を行い,又心室細動の発生を みた場合には電気刺戟を行って正常搏動に戻す等の心 蘇生法を講じた。 遮断解除後心搏動が正常であれば閉長し,水性ベニ シリンを胸腔内に注入し,筒胸腔穿刺によって空気を 除去して置き肺を充分に膨張させた。’

第2節 検査纂項

実験中心台数,股動脈圧,瞳孔散大迄の時間,角膜 反射消失迄の時日について測定観察を行った。

第3節 実験結果

表3の如く23頭について1分から7分迄,計32 回の遮断を行った。 一中死亡とは遮断及び手術の直接の影響によっ て死亡したものである。又繰返し遮断を行った例 にあっては,実験方法に記した様に血圧,心搏 数瞳孔,角膜反射が遮断前の状態に恢温し,自 然呼吸もあってその儘閉胸すれば当然生存すると 考えられるものは生存としている。 エ分から4分迄の遮断回数21回,うち死亡例2 例で死亡率9.5%,4分から7分迄の遮断回数は 11回でうち死亡例は5例で死亡率45.4%であっ た。遮断時間が4分を過ぎると急激に死亡率が増 加している。 而も1分から4分迄の遮断例では,死亡例2例 を除いては全例遮断解除後心臓マツサーージ,ボス ミン,ノルアドレナリンの心室内注射等の心蘇生 法を講じる事なしに血圧,心搏数は増加して遮断 前より高い値を示し,以後多少の動揺を示し乍ら 間もなく遮断前の値に戻り心搏動も正常となっ た。 図5は3分30秒及び4分でそれぞれ上,下大静 脈を解除したものであるが,解除後何等蘇生法を 講じる事なしに一血圧は急激に上昇して遮断前の値 を凌駕するが間もなく安定して略遮断前の値を示 し,心搏数は血圧の上昇より梢遅れるが増加の傾 向を辿り聞もなく安定して遮断前の値を示した。 心搏動は血圧上昇,心搏数増加と共に躍動する様 な搏動を示すが聞もなく遮断前の正常な搏動に戻 った。角膜反射,瞳孔の大さも解除後間もなく遮 断前の状態に恢復し動物は生存した。 4分から7分迄の遮断例では,遮断解除後何等 処置を講じる事なしに生存したもの2例(遮断回 数3回)で,他は全例心臓マッサージ,下行大動 脈圧迫,ボスミン,ノルアドレナリンの心室内注 射を行っている。而も例中5例が死亡しており, 生存例は何れも解除後直ちに蘇生法が行われたも 一 269 一一

(6)

琴…3 常 温 遮 断 実 験 No., 6 7 8・ 9 10 11 12 13 14 15, 16・ 17 ・ ls 19 20 21・ 22 23 24 25 26 27 28 土 古 ?

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直腸温

oO 38. 3 38. 0 37. 6 37. 3 37. 0 37. 6 37. 0 36. 5 38. 1 3Z O 36. 5 36. 7 36.0 37. 0 38. 0 37. 0 37. 5 36. 5 36.2 39. 5 38. 8 38. 0

1

36 ・5 36. 0 38. 2 38. 5 37. 0 36. 8’ 36. 6 38. 0 38. 0 35. 9 血 圧 ぬ 後 104 104 ユ25 96 100 96 80 132 68 108 70 80 108 60 88 工30 120 126 120 110 106 150 92 68 98 58 66 154 122 98 84 80 80 114 128 136 52

i

70 100 90 100 92 108 112 126 98 84 105 64 24 20 22 6 16’ 遮 断 分 時 秒 間 1 2 2

05

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3 4 i”2 2’8 3 4

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図5

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(CK)+ + 一’ のである。 図6は5分10秒で上下大静脈を同時に解除した ものであるが,解除前既に心搏数の減少,心搏動 の微弱化が認められたので解除と同時に補助マッ サージ,下行大動脈圧迫を行った所心搏動が強く なり,7分で,マッサージ,下行大動脈圧迫を中 止したが8分では血圧は遮断前よりも高い値を示 し,心搏数も増加し心搏動も正常となり15分では 遮断前の状態に族復し動物は生存した。 図7は7分及び7分30秒で上下大静脈を解除し

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図6

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図8

たもので,解除後直ちにマッサージ,下行大動脈 圧迫を行い心搏動は稽微弱であったが25分には瞳 孔,角膜反射も遮断前の状態に恢復し,動物は生 存するかと思われたが左胸後間もなく死亡した。

図8は5分5秒,6分5秒で遮断を解除したも

のであるが,解除後経過を観察していた所心搏数 の減少,心搏動の微弱化が認められたので8分で マッサージ,下行大動脈圧迫を開始した所,心搏 動は強まってきたので15分30秒で中止したが再 び心搏数の減少,心搏動の微弱化が認められ2エ分 では」血圧は15mmH:9となりマッサージ,下行大 動脈圧迫,ボスミンの心室内注射を行ったが心室 細動の発生を見,動物は生存しなかった。

第4節検査成績

第1項心搏数

遮断後心搏数は概ね一時的に増加するが間もな く減少し2∼3分で最:少になる。3∼5分の間に 再び心榑i数は増加し始める。 4分迄に遮断を解除したものでは解除後一時心 搏数の減少を認めるが,以後次第に増加の傾向を 辿って遮断前の状態に恢復する。(図9) 4∼7分野遮断を解除したものでは,その儘で . ×・ 150 ioo so .

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2 3 4

は心搏数は増加する事なく次第に減少の傾向を示 し,心搏動も微弱となるが解除後直に蘇生法が行 はれたものは心搏数は次第に増加し,心搏動も正 常となり遮断前の状態に恢復する。 遮断中の心搏数の変動は第2章の実験結果と同

S 6. 7

図9

じ経過を示す。

第2項 血圧

8 9‘分う 遮断後血圧は急激に下降するが4分迄に遮断を 解除したものでは,解除後30秒∼1分で血圧は 急激に上昇し遮断前の値を凌駕するが後徐々に下 一 272 一

(9)

47 too so ’ δ s 7 9(励

図10血圧の変化

降して略遮断前の状態に恢復する。(図10)4∼ 7分聞の遮断例では解除後血圧は上昇せず略遮断 中の値を上下し,蘇生法に反応して生存した例で はその後k昇し遮断前の状態に恢復した。 第3項 角膜反射

角膜反射は1∼4分で消失し,1∼4分の遮断

例では解除後45秒∼2分50秒で再び出現した

が,4∼7.分の遮断例では1分25秒∼18分と延 長しており而も18分を要した1例は閉胸後間も なく死亡した。 第4項 瞳孔 瞳孔散大迄の時間は2分目3分30秒であった。 瞳孔縮少迄の時間は4分迄の遮断例では1分∼4分 18秒で,4分以上の遮断では1分18秒∼5分50秒

で,これ等は解除後その儘,或は蘇生法により生 存したものである。

第5節小括並に考案

犬を用いて心流入血遮断実験を行った結果次の 様な結論を得る事が出来た。 4分迄の遮断では解除後動物はその儘でも生存 し得るが,4∼7分の遮断では解除後早期に蘇生 法を行えば生存するがそうでない時は死亡する。 而も遮断中の心搏数の変動は第2章の実験結果と 同じ経過を示した。 前述した様に第2章の実験結果から,流入1血遮 断による心筋の急性進行性無酸素症の過程に於 て,心臓機能の変化から安全期,危険期,蘇生不 能期の三期を想定したが,上記の結論と併せてこ れ等三期を次の様に規定する事が出来ると老え る。即ち 安全期一4分迄。遮断後心搏数が著明に減少し た後増加の傾向を示す。解除後動物はその儘で生 存する。 危険期一4∼7分。増加の傾向を示した心搏数 が再び減少し,同時に心搏動が微弱となる。解除 後早期に蘇生法を充分行えば動物は生存するがそ の儘では死亡する。 蘇生不能期一7分以上。心搏数は次第に減少 し,心搏動も極めて微弱となり心動停止を来す。 (図11)。蘇生法を行っても動物は死亡する。

蘇不

3

5 .7 ヲ tt i3 ./5 ’17 /9〈ieV 図11 一一 27S 一

(10)

文献を見ると常温下での血流遮断実験で,多く、

の人達は3∼5分の遮断でかなりめ生存率を得 ている。例えばShaw et a1,17)Adams及び Escudero 18)及びCohen et a119)も5分聞の遮 断で高率の生存例を得ている。. Ha㏄ker 20)は犬で流入.血遮断を行い10分間遮 断で生存例を得ている。 Carrel 2i)22)及びTuffier 25∼21).は心臓,:大血 管外科の実験で.3分30秒血流を遮断して手術操 作の研究を行っている。 又Templeto耳及びGibbo箪26)は犬で.9分間 遮断を行いP’19頭中7頭が死亡し3頭に脳障害を 認めている。 Schepp61man 27)は遮断に関する限り,死亡率 が零ζなる絶対安全域は90秒であるといっている が,同様にSwan 28)及びKiriluk 29)等は各々心 房中隔欠損の実験で1分30秒∼2分であるとして いる。 Cookson及びBailey 50 ,は正常体温の成入の 遮断時間は3∼4分が限界であるといっている。 中山16)は流入1血遮断時聞は犬では6分以内な らば比較的安全に行いうるが,絶対安全域をとる ならば4分以内ではないかと述べている。 この様に遮断可能時間に可成りの差がある。こ れは個体差によるものといえよう。この様に単に 時間という点からだけ見る時は遮断がどの程度ま でが危険であるかということを定め得ないが,著 者の分けた様に心搏数を基準として判定する時 は,危険の程度を可成り正確に知ることができる のである。

第5章正常犬低体温下心流入血遮断実験

第4章では常温で心流入血遮断を行って三期の 時閥的限界について検討したが,本章では実際に 血流遮断が行はれている低休心法について検討し

表4低体・温遮断実験

No.・ kg 室 温

eC

直腸温

oC

血 圧 前 後 遮 断

時 間 秒

8i 8

9

12

転 機 29 29. 0 35. 2

20

50

生存

30

sl 6

18. 0 3日目. o 30 50 2 3 3 4

12

rt 31

81 s

22. 0 34. 8 50 1ユ6

20

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29. 5 34. 6 170 76

15

・・1死亡

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13

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9

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35

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35

tt 36

81 8

20. 0 33. 0 60 22 6

35

I1 37

9

10 30. 0 32. 8

20

1死亡

38

9

9 26. 0 32. 0 100 112

20

7一

39

81 8

24. 7 32. 0 44 7

35陸存

40

sl io

28. 0 31. 6

23

擁亡

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30

生 存 42

8

8 25. 4 30. 8

10

・51死亡

43

8

8 19. 3 30. 7 112 144

10

10

44

9) 7

22.4 i 30.0 108 114 6 7

陣存

2−8 11 45

sl g

19. 5 29. 5 90 112 ち一 36 6 t1 46

8

9 21. 4 27. 0

12

tl .一一 274 一

(11)

’49 た。 第1節 実験:方法 低体温法及び麻酔方法は次の通りである。即ちラボ ナール静脈麻酔で気管内チューブを挿管した後,エー テル麻酔,純酸素陽圧陰圧人工呼吸を行いつつ動物を 氷水に浸して直腸温を35∼300Clc下降せしあた。加 温は40・V45。Cの温水に浸して行い,術前の直腸温よ り1∼2。C程度低い状態で温水より揚げ,乾燥後保温 室に入れて保温に努めた。 心流入血遮断方法は第4章第1節と同様である。 第2節 検査事項 実験申心搏数,股動脈圧,角膜反射消失,瞳孔散大 迄の時間について測定観察を行った。 第3節 実験結果 表4の如く直腸温35.2∼270Cについて,2分 12秒から23分迄の遮断を行った,(表4) 直腸温34。C迄のものについてみると,遮断時

間は2分12秒間ら15分20秒で7例中2例が死

亡している。 No.29は9分20秒,12分40秒で上,下大静脈 を解除し,解除後直にマッサージ,下行大動脈圧 迫を行って生存したものであるが,心搏数は解除 前に減少の傾向を示しているが蘇生法により生存 したものと考える。 Vso too

5b

(B D) 〈一一一一一一 遮断秦類筋ノ5’20〃

室温295。C

直腸温3粥。‘ @ 冨鋼シ ポ亀

茎勤多重

ss s s

O

@ 中x 止(BD. s ! 3 5 7 9 ノ! 13 !3£030 50 90 図12 図12は直腸温34.6。C,15分20秒で遮断を解 除したものであるが,解除後マッサージ,電気刺 戟等の蘇生法を行って一時恢復したかに見えたが 生存し得なかった。心搏数は3分で著明に減少し, 5∼7分で増加の傾向を示すが以後減少し13分で (P) o@ (C R) + loo 50 @@@ は著明に減少しており蘇生法を行うも恢復しなか ったものである。 直腸温33∼270Cのものについてみると,遮断

時間は5分30秒から23分で11例中4例が死亡

している。

一遮断楼轡鶴。〃

室温 1?.3。‘

直腸温30.ec

@ ↑ ___ノ 3 ’ 烹 ン ’1.F”㌧ 一 一 、 〆 へ け ゆ ノ ら ゆ にト へ リ ノ ←_一.一.一一一一一一一一一一一一一「ニー・写 t ’ t ’ ’ ’ 一 @ 一+ za−za−fi

ノ 3 5 ク 9

〃 !3 /5 !7 19(語う 図13 図13は直腸温30.70Cで上下大静脈をそれぞ れユ0分,10分30秒で解除したものであるが,解 除後心搏数,血圧の恢復は梢遅延したが軽度の補 助マッサージを行って恢復した。心搏数は5分で 一 275 一

(12)

(正獣イ雪濁

↓は進断解除危示す

直腸温38「ρ

直腸温3偏℃

直腸温32。C

’tF

直腸温30.7eo

ノ35791!万!S!717ご4リツ

図14心搏数の変化

一一 276 一

(13)

51 減少し8分30秒で増加しており以後減少の傾向 にあった。 No.42は同じ直な状態で遮断を解除しているが 上下大静脈を同時に解除した為,急激に心臓に負 担がかかって死亡したものと考える。 No.37,38,40は解除後蘇生法を行ったが何れ も死亡しており,心搏数は解除回すでに著明に減 少しており心搏動も微弱であった。

第4節検査成績

第ユ項心搏数

図14は直腸温34. 6,32,30.7,27 ecの遽i断 後の心搏数の変動を常温のそれと比較対称したも のである。 遮断後の心搏数の変動は概ね常温のそれと同様 の経過を示すが,直腸温が下降するに従って心搏 数の変動は一般に減少する傾向にあり,遮断後の 変動も少い。更に遮断後心搏数が急激に減少した 後増加の傾向を示す迄の時間(安全期)が6∼8分 と延長しており,増加の傾向を示した心搏数が再 び減少し,同時に心搏動が微弱となる迄の時聞 (危険期)も9∼12分と延長している。 第2項 血圧 第4章の結果と同様生存例は何れも解除後聞も なく遮断前の状態に恢復した。 第3項 角膜反射 角膜反射は1∼2分で消失し,解除後1分∼18 分30秒で廿観したが遮断盤面と平行する様であ る。 第4項 瞳孔 瞳孔散大迄の時間は3∼4分で常温遮断の場合 と特に差を認めなかった。瞳孔縮少迄の時間は2

分30秒目10分30秒で稻延長して居り遮断時間

と平行する様である。 この事は低体温では遮断後の心臓機能の恢復が 遮断時間の延長に伴って遅れる為ではないかと考 える。 第5節 小括並に考案 従来低体温の大きな影響として,心臓機能低下 及び之に伴う循環障害が認められており,直腸温 30。C以下になると危険が増大する傾向にある kk 16),教室では術中も屡々直腸温を測定して直腸 温を300C以上に保つ様努力している。換言すれ ば低体温法として臨床に用いられているのは,直 腸温300C迄という事になるわけである。 そこで直腸温27。C迄について遮断実験を行っ た結果次の様な結論を得る事が出来た。 直腸温が下降するに従って安全期,危険期の限 界はそれぞれ6∼8分,9∼12分と延長するが, 安全期の延長に比し危険期そのものは余り延長し ていない。更に遮断解除後角膜反射,瞳孔の恢復 が遮断時間に平行して遅延しているが,この事は 低体温そのものの影響と磁心って,遮断解除後の 南無は心臓機能の族復が遅れる為ではないかと考 える。低体温下では遮断可能時間が延長したとし て気を許しがちであるが,解除後心搏動は一見正 常のように認められても自力では元の状態に恢復 できず,血圧が上昇しない儘に悪循環に陥り,結 局蘇生不能期に突入する危険があることに特に留 意すべきであると考える。 第6章 心筋傷害犬心流入血遮断実験 心臓疾患々者の多くは大なり小なり心電図上心 筋傷害の所見を有している。こうした症例を凡て 低体温法による心臓内直視下手術の適応から除外 する事は出来ない。 心筋傷害のあるものが心流入血遮断によりどの 様に影響されるかについて検討した。 第1節 実験方法 心筋傷害を作成するには冠動脈結紮による方法,冠 動脈栓塞作成法,物理的傷害法,化学的傷害(31)法等 があるが冠動脈結紮法を用いた。 即ち人工呼吸下に開胸し,心嚢を切開して心臓を露 出し,冠動脈前下行枝を後下行枝との分岐点と心尖と の間で心尖部より弩の部位で結紮し前下行枝流域の心 筋が変色するのを確めた。 低体温法,心流入血遮断方法は第5章第1節と同様 である。 第2節 実験結果 表5の如く直腸温38∼29.8。Cで2分から9分 の遮断を行った。(表5) 直腸湿36。C迄のものについてみると,遮断時 問は2∼4分で9例中2例が死亡している。 No・62は4分,4分30秒で上下大静脈を解除し, tt 血圧は一一奪略遮断前の状態に恢復し乍ら結局死亡 したものであるが,心搏数は解除前に減少の傾両 を示している。 No.65は解除後マッサージ,ボスミンの心室内注 射を行って」血圧は臨池復したが,間もなく下降レ て死亡したものであるが解除前心搏数の減少が認 一277一

(14)

表5心傷犬遮断実験

No.

体 室

性 重

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温 直.寝酒 sg 1 ・s 一 ?c1, vC 25.0 1 38.0 60

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37. 3

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・・2186i舞、。1生存

s6 1 go 1 g. , o 1 t,

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24. 0 3Z 1

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63”一nv獅煤f+shl.EJ,., 36. 8

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36. 8

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生存

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70 1 so 1

t1 81

g1 gi 2i.2

29. 0 60

釧 8、。擁亡

められた。遮断時間は4分であった。 直腸温29。C迄のものについてみると,遮断旧 聞は2分30秒∼9分で14例中4例が死亡している。 No.69,76,77は解除後経過を観察している中 に心搏数が減少し,心搏動が微弱となったので蘇 生法を行ったが何れも細動を発生して死亡した。 No.81は解除前に心搏数が減少し,解除後も心 搏動は極めて微弱で蘇生法を行ったが死亡した。 直腸温と遮断可能時間の関係を図示してみると 図15の如くである。

第3節心搏数

遮断後の心搏数の変動についてみるに図16,17 18は直腸温36,32,30。Cの心搏曲線を正常犬と 比較表・示したものであるが,心搏数の変動は正常 犬のそれと同様の経過を示すが,心心犬では明ら かに曲線の左方への移動が認められる。 叉図19は常温遮断全経過観察時の心搏曲線で あるが,同様に曲線の左方への移動が認められ且 早期に細動に移行している。 第4節 小括並に考按 一 一978 一

(15)

53

40

3g

36

34

32

e’ o g>e

o6

。生

●死

oO o e o e

Jol o o

(eC)L−r一一T一一一一一一 ’

i 3 5 7 9 // (’oN)

図15心傷犬流入血遮断時間と直腸温との関係 心筋傷害犬の常温及び低体温での遮断後の心搏 曲線の変動が正常犬のものに比較して左方へ移動 している事は,心筋傷害犬の遮断時間が正常犬に 比して短縮している事を示すものと考える。 教室の中山16)は正常犬の心流入並L遮断可能時間 垂5D loo 50 ’・ 3 .5・ク. 9 1〃‘分シ

図16心傷犬心搏数の変化

直 月易 温 38∼36.50C と直腸温との関係について図20に示す様な結果 を得ているが,これを心筋傷害犬についてみると 図15の如くであり,両者を比較してみると図21 の如く明らかに心筋傷害犬では正常犬に比較して 遮断可能時間が短縮している。 心臓疾患々者の多くは心電図上心筋傷害の所見 e50 1oQ 50 1 竃 ,

莫旅は正常尺

N t 馬 , 1 し ノ ㌧一 ↑“ t t / f ノ tNI N l s ㌔、 ↑は遮断解除を目す hN N N ” ! N t 一一 . 一 、ダ 1 .一3

579〃β15/7/デ(分)

図17心傷犬心搏数の変化 直腸温32。C

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50

rx. t” N X A Y 一 N N N s N N N s ヘロロノ ↑ !. 1 ’

臭撫は正常尺

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図18心傷犬.心樽数の変化 直腸温30。C

一 279 一

(16)

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1

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Z .r “

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亀 、一、 5s l / T “s− 1田 、 L ・’ 動 、. 1− s 1 3 5 7 9 tt t3 t5 (’nX)

図19心傷犬常温遮断経過

を有しており,叉心電図上の所見だけでは明らか にし得なかった症例も経験している。 従って低体温法に依り心臓内直視下手術を行う 場合には,常に心筋傷害があるものとして之に対 する考慮を払う事が必要であると考える。 第7章 チアノーゼ犬心流入血遮断実験 心臓疾患では一般に動脈血の酸素飽和度の低下 した蜴合が多く,而も気管内チ1一ブの挿入,開 胸,心臓内外の侵襲に対して,同じ胸腔内手術を 要する肺疾患に比藪して動脈1血酸素飽和度の低下 をみる。従って心臓手術の際は殆んど常に低酸素 症の危険があると考えられる。 更に最近は青色症の典型ともみられるフアPt・一 氏四徴症に対して直視下に根治手術を行う事が試 みられている。. 従って低酸素症或はチアノーゼのあるものに対 する心流入血遮断の影響も考慮されなければなら ないと考えこの点について検討した。

第1節実験方法

40

38

36 3タ 32

30

28

26

24

20

/8 /6 (oC) o o

◎生

●死

2

2

. . . o o o o o . . : o o o . o . . o o . . o

8

× x × / 3. ,5’.7 .・ 7 .// /3 IS t i7 /7(inN) 図20心流入血遮断時間と直腸温との関係(中山) 一 280 一

(17)

55 チアノーゼ犬を作るには肺動静脈吻合による方法を 用いた。 即ち人工呼吸下に左第4肋間で開胸し左下葉への肺 動静脈を吻合し左下葉を切除した。 低体温法,心流入血遮断方法は第5章第1節と同様 である。 第2節 実験結果 表6の如く盧腸温39.5∼240Cで2分から11分. 30秒までの遮断を行った。 直腸温36。C迄のものでは遮断時間は2・y 3分一 30秒で5例中エ例が死亡している。 No.47は直腸温39,5。C2分の遮断例で解除後 心搏動は正常の如く認められたが」血圧が上昇せず 6分で細動を発生した。 No.50は3分30秒で遮断を解除したが心搏数1 が減少し,かつ1血圧が上昇しないのでマッサー ジ,ノルアドレナリンの投与を行って恢復したも のである。 直腸温24。Cまでのものについてみると遮断時

間は6分15秒から11分30秒で7例中4例が死

亡している。 No.53は解除後3分30秒でマッサージを行っ たが細動を発生し・N・・561ま解除後1分でマ・サ ージ,ノルアドレナリンの注射を行った所間もな く細動を発生し,No.58は解除後2分でマッサー ジを行ったが細動の発生をきたした。 いつれも解除前に心搏数は減少の傾向を示し た。 直腸温と遮断可能時間の関係を図示すれば図22 のごとくである。

第3節心搏数

遮断後の心搏数の変動は図23,24,25の如く

40

38

36 34 」2 30

2S

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26

24

20

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NN X x x hs × X N x x N N X ’s N ls , x N 1 ’ N s

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瘡「

一・一一一c チアノーゼ’犬 / 3・5 7. 9, 11. 13, Z5 /7 /9. 21(/Dx)

図21遮断時間と直腸温との関係

一 281 一

(18)

表6チアノ”ゼ犬遮断実験

No. 性 体重 kg 室 温 oC

直腸温

oC

血 圧 前 後 遮 断 ・分 時 聞 感 心 機 47

9

7 33. 5 39.5 40 4 22

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死 亡 48 8 1 15 1 27.0 8 i 9 1 25.5 37. 8 124 126

2 生存

49 37. 0 106 130 3 3 3 4 3 4

10

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8

9 24. 6 36. 4 74 110

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9

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15

ク 53

8

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9

12 23. 5 29. 5 96 100 8 3

80

生存

55卜♀1・・

28. 7 28. 7 104 100 9 3

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8

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10

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57

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11

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8

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10

11

ユーO

15

rl であり叉図26は常温遮断全経過観察時の変動を示 したものであるが,いつれも正常犬に比し心搏曲 線の左方への移動が認められる。 第4節 小吉並に老按 チアノーゼ犬の遮断後の心搏曲線変動が正常犬 のものに比較して左方に移動している事は,遮断 可能時聞が正常犬に比較して短縮している事を示 すものと老える。この事は直腸温と遮断可能時間 との関係についてみると図21の如く明らかであ る。 叉死亡例がいつれもマッサージ,薬剤の投与等 により心室細動の発生をみているが,この事はチ アノーゼのあるものでは解除後の心臓機能の恢復 が悪ければ更に悪循環に陥って細動を発生する危 険性が増加するものと老える。

第8章臨床例の検討

教室では心臓内直視下手術の目的で.は現在は人 工心肺を用いているがかつては低体温法のみによ っていた。此処では低体温麻酔のもとにおける心 流入一血遮断の臨床例について述べる。 初期には遮断解除後心搏動が認められ脈搏も触 知するので直に閉胸した所間もなく一般状態が悪 化して脈搏を触知しなくなり,:再開胸を行い蘇生. 法を行ったが遂に救い得なかった例を経験してい る。かかる例は遮断解除後脈搏を触知しても血圧 が低く且その恢復が遅延しており,心搏動は認め られても其の儘では自力だけでは恢復できず結局 悪循環に陥って死亡したものと考える。叉低酸素 状態では種々の刺戟により心室細動を発生し易い といはれており52ト,当時は遮断解除後マッサージ 等により心室細動が発生する事を懸念して出来る だけ心臓に刺戟を加えない様にしていたのであ る。 動物実験を行った結果解除丁丁搏動が一見正常 の様に認められてもその儘放置する時は危険状態 に陥る可能性があり,こうした状態のもとでは早 期に強力な蘇生法を行うことによって正常状態に 恢復し得るものであり,たとえ心臓マッサージ等 によって心室細動の発生をみた場合でもむしろ人 為的に冠1血1流を保持してやれば電気刺戟により容 易に細動を除去して正常な心搏動に戻す事が出 来,且心搏数血圧の変動からかかる危険状態を判 別し得ることを知り,その後は遮断中及び遮断解 除後の心搏回心搏動の変化に注意し解除後たとえ 心搏動を認め脈搏を触知しても遮断前の状態に比 較して弱い彦合には積極的に心臓マッサージを行 一282一

(19)

57 ・yo

38

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28

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90

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図22 チアノーゼ犬流入血遮断時間 と直腸温との関係 /oo

50

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図23チアノーゼ犬心搏数の変化 直腸温39.5.w380C つて心筋の低酸素状態の改善に努め良好な成績を 得ている。 又心流入血遮断のみでは冠肺循環により暫くは 冠並疏が保持されていると思われるが,臨床例で は右心房或は右心室切開により冠1血流が急速に慶 莫線は正常)ζ /“\曳/!’ Tt.t ’ ’暫 ’ t t 一 、 ’ 一 一 酔 一 N t ’ 一 一’ MN ↑は遮鋤解除左示す NNt Ioo so ’ttN s. 隔一・A ’ .. rN J

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11 13 /5 17(ifr) 図24チアノPゼ犬心搏数の変化 直腸温30。C 鄭泉は正挙犬 ・、 ノ” 苓へ、3/’ ヘ ノ 一 向’霜 ↑は追断解除赫す

1357ア!ノ/3ρ分9

図25チアノーゼ犬心搏数の変化 直腸温 24∼27。C 絶される事が考えられるのでより速に心蘇生法が 講じられねばならないと考える。 iso loo so 1・ ’1 1 ,is : ノノ 1[ V 窒狽 ’一. ., rtA s ss

夢解正駅

と llt’1 , s 1 」 s fr 9 t) o /stin’・) 図26チアノーゼ常温遮断経過 又初期にはフアロー三四徴症,後天性心疾患 (僧媚弁閉鎖不全症)にも直視下手術を目的として 一 283 一

(20)

低体温法による心流入血遮断を行ったが,術中煽 動停止をきたした者の中チアノーゼを有するもの は14例中11例が死亡し,心筋傷害のあるものは 13例中10例が死亡しており更に両者を合併する ものは6週中5例が死亡するという結果を得てお り,チアノーゼ,心筋傷害のあるものが如何に」血 流遮断に対して危険を有するかを知るのである。 35 30 25 150 1oo 50 XN. ×・x ’x ’CKT) ・一!一’一ゆの?) ↑糞

馳翌

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S Jt ; ↑帯 遮,、, titグ 心臓疾患々者は大なり小なり心筋傷害を有して おり,必ずしも凡てを血流遮断の適応から除外す る事は出来ないが,臨床上明らかにチアノーゼを 有するもの及び心電図上その他から心筋傷害が著 しいと考えられるものは低体温法を用いての心臓 内直視下手術の適応から除外することにした。 図27は心房中隔欠損を直視下に縫合閉鎖し成

遮断 7分40秒

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図27山○♀ユ8才心房中隔欠損

話した症例で7分40秒で遮断を解除したが心搏動 が弱く少いのでマッサージを行った所心室細動を 発生し,電気刺戟を行い一時間余で正常搏動にな った。この聞に直腸温が更に下降して27。C附近 になったので心搏動が弱くなって蘇生不能期に入 る事を心配し,45。Cの温水に入れて加温し開胸 のままで様子をみた。 ’ その後直腸温も30QCになり心搏動も強く多く なったので閉胸したが間もなく意識も出て回復し た。 本例は遮断解除後マッサージを行う事によって 心室細動の発生をみたが,長時間にわたってマッ サージを行い冠』星流を保持し乍ら薬剤の投与電気 刺戟を行って正常搏動に戻り,その後も加温によ って心搏動が強くなり蘇生不能期に入る事なく恢 復したものと考える。 第9章 考 按 心臓内直視下手術を目的とした心流入!三里断の 実施にさいし,それが一定時間を越えるならば遮 断解除を行っても動物は一応恢復するが結局死亡 する。その原因が主として脳機能障害によるもの である事は多くの人達によって認められて55)54) いる。この様に心流入血遮断によって脳を始めと し心,腎,肝その他あらゆる臓器組識の障害が老 えられるのであるが,中でも血流遮断により惹起 ,一 V時 される心臓機能障害は適当な処置が講じられない 限り,手術中或は手術直後の死亡という最も悲惨 な結果を招来する面心蘇生法としてあらゆる工夫 が試みられている52)53)∼AO)。然し乍ら心流入」血遮 断の直接心臓機能に及ぼす影響について詳細に検 討した報告は寡聞にして見当らない。而も心流入 血遮断の心臓機能に及ぼす影響を検討する事は, 心臓内直視下手術の基礎として重要であると老え 実験検討を行った結果心臓機能の変化から遮断を 解除した際蘇生し得るか否かを定める事が出来る 事を明らかにし,安全期,危険期,蘇生不能期の 三期を区別した。これは心筋が急性無酸素症に陥 る揚合の反応様相を示すもので,完全に心搏動が 停止する以前に甚だ危険な状態に立ち至ってわり 心搏動の完全な停止よりも前に心蘇生が講じられ る必要のある事を示すものである。 東北大学の渡辺4D等は超低体温の研究を行い1 時間以上の血流遮断に成功しているが,この場合 には遮断解除後直ちに心臓マッサージ人工呼吸を 開始し一定温度に達する迄心臓マッサージを行っ ている。危険期にある烏合には心臓マッサージを 行うことによって蘇生せしめうるので,渡辺等の 1時間以上の遮断はこの危険期に属するもので心 臓マッサージにより生存可能になつアこものと考え られる。 一 284 一

(21)

59 第10章総括並に結語 現在迄に心臓内耳視下手衛に最も多く用いられ た低体温下心流入血遮断方法について種々検討し た結果凍の様な結論が得られた。 1.心流入血遮断,呼吸停止による心筋の急性 進行性無酸素症は心臓機能に著明な影響を与え る.。 2.脳血流遮断は心流.入血遮断に比較して心臓 機能に.及ぼす影響が少い。 3. 心証二二遮断による心筋の急性進行性無酸 素症の揚合に安全期(4.分迄),危険期(4∼7 分),蘇生不能期.(7分以上)の三期を区別した。 この三期は主に心搏数の変化によって肉眼的に識 別出来る。 4..低体温下では安全期,危険期が延長するが 危険期の官長は軽度で,遮断解除後の心臓機能の 恢復が遅延する。 5.心筋傷害のあるものでは遮断可能時間は短 縮しており,低体温法によっても余り延長しな い。 6. チアノーゼのあるものも遮断可能時間は短 縮しており低体温法によっても余り延長しない。 又遮断解除後の心.臓機能の恢復が悪ければ心室細 動発生の危険性が増加する。 以上の点を臨床に.応用し良好な成績を得ている が,心流入血遮断の心臓機能に及ぼす影響は冠循 環血流の急激な減少消失によるも.のであり,従っ て心臓内面:視下手術にさいしてはでき得る限り手 術中冠循環血流の維持に努めるべきでこれが人工 心肺法の利用へと発展したのである。 (本論文の要旨は昭和30年11月払17回臨床外科医 会において発表した) 稿を終るにのぞみ終始御酒鼻紙便燵.を賜った恩師榊 原件教授1ご深甚なる謝意を表します。 又直接二二二二協力をいただいた織畑秀夫教授,中 出講師他多数の本学教室員各位:に深く感謝致します。 交 献

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参照

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