242 (104) 氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ナガ オ ノリ キ長尾憲樹(昭和2
医学博士 乙第918号昭和63年3月18日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
Toluene・Diisocyanate(TDI)特異的IgG抗体に関する実験的研究
(1)Toluene-Diisocyanate皮膚感作マウス血清中からの検出(II)TDI特異的IgG抗体とマウス皮膚のTDI結合蛋白について
(主査)教授 石津 澄子 (副査)教授 香川 順,教授 藤田 昌雄i論文 内 容 の 要 旨
目的 ウレタンフォームや塗料などの原料として汎用され ているtoluenediisocyanate(TDI)は,取扱う工場作 業者に喘息様呼吸器障害や,時に接触性アレルギー性 皮膚炎をおこすことから感作性化学物質としてよく知 られている. それにもかかわらず,TDIの障害作用に関する基礎 的研究は少なく,感作成立の機序などの詳細はほとん ど明らかにされていない.そこで,i著者はTDI塗布マ ウスについてTDIの経皮吸収後の結合部位や,血清中 のIgGの変化などを免疫学的手法を用いて検討し, TDIの障害作用を明らかにすることを目的とした. 方法 1.BALB/C雄性マウス15匹を使用し,5%TDI酢 酸エチル溶液を背部皮膚に1日1回,5日間連続塗布 した.塗布終了後,4日目に1%TDI酢酸エチル溶液 を耳介にチャレンジし,24時間後に耳介の腫脹を測定 した、ついで同じ動物の血清について,蛋白質の二次 元電気泳動法による解析と,enzyme-1inked im・munosorbent assay(ELISA)によるTDI-speci丘。 IgG 抗体の検出を行った. 2.0.1~5日目で5段階のTDI酢酸工・チル溶液を 塗布した各群(N;5匹)について1.の方法と同様, チャレンジ後の耳介腫脹率と血清中のTDI-speci且c IgG抗体のtiterを測定した. 3.TDI結合人血清アルブミン(TDI-HSA)でウサ ギを免疫し,抗TDI-HSA血清を得,これを用いて
TDI塗布マウス皮膚のTDI結合部位を,免疫組織化
学的染色法で検討した,さらにこの皮膚の水可溶性蛋 白質より,immuno-a琉nity chromatographyでTDI 結合蛋白質を抽出し,二次元電気泳動法により解析を 試みた. 結果及び考察5%TDI溶液を背部皮膚に塗布したマウスの耳介
は,チャレンジによって対照マウスよりも強い腫脹を 示した(p<0.005).この時,血清には,IgGが増加し, ELISAで分析すると,TDI・speci丘。 IgG抗体が検出さ れた. 0.1~5%まで濃度別にTDIを塗布した各群の耳介 腫脹率は,0.1%塗布群のみ58%であったが,1~5% 塗布群では,100%前後の腫脹率で差異はみられなかった.それにもかかわらず,1~5%塗布群のTDL
speci丘。 IgG抗体のtiterは塗布濃度に依存して増加 していた. TDI塗布皮膚の免疫組織化学的染色を実施してみ ると,表皮の角質細胞層と真皮の浅層に強い免疫染色 性を認めた.この皮膚の水可溶性蛋白質からimmuno- afinity chromatographyで抽出した蛋白質を二次元 電気泳動で解析してみると,TDI結合アルブミンが検 出された,以上の結果から1%以上のTDIをマウスの皮膚に
塗布すると,表皮から真皮層まで浸透し,その部位に 一906一243 存在する蛋白と結合することによって,細胞性免疫, 液性免疫の両者に関与し,耳介の腫脹やTDLspecific IgG抗体の産生を起こすものと考えられる. 結語