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音響インテンシティ法を用いた遮音診断システム

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Academic year: 2021

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大林組技術研究所報 No.71 2007

◇技術紹介 Technical Report

音響インテンシティ法を用いた

遮音診断システム

Field Measurement System of Sound Insulation

of Building Elements using Sound Intensity

坪井 政義

Masayoshi Tsuboi

縄岡 好人

Yoshihito Nawaoka

1.

はじめに

2.3 各部位の遮音性能算出方法とD数分布表示 2室間において、各部位の遮音性能を表すインテンシ ティ音響透過損失 TLiは、隣住戸の居室を音源室として スピーカから音を発生させた場合の室内の音圧レベル (室内 5 測定点の平均値)Lp と、診断対象居室の界壁面、 窓面など対象部位近傍で測定された音響インテンシティ レベル SILiとすると、(1)式で表される。 近年の低騒音化の流れに伴い、集合住宅やホテル客室、 オフィスの会議室などに要求される遮音性能も高くなっ てきており、建物の遮音性能として、居室間の音圧レベ ル差等級D値などの空間性能で評価されることが多い。 Fig. 1 に2室間の音源室から受音室への音の伝搬イメ ージを示すが、受音室へは居室間の界壁(界床)からの透 過音だけではなく、周辺からの複数の伝搬経路で音が到 来する。これら伝搬経路の中で遮音が弱い部位があると、 2室間の遮音性能が大きく低下してしまう。 ) 1 ( 6 i i Lp SIL TL = − − Fig. 3 に示す音圧レベル差の遮音等級図表に、この TLi をプロットして、周波数帯域毎に遮音性能を表すD数を 算出する。遮音診断結果として、室内を構成する6面の 展開図にこのD数分布を示すことで、D数が大きいほど 既存建物や施工中の現場において、遮音低下の原因を 特定して対策することが、遮音品質を確保するためには 必須となる。 そこで、既存建物や施工中の現場において、部位毎の 遮音性能が測定できる遮音診断システムを開発した。 施工中の現場にて遮音性能が確認できるので、手戻り 工事リスクが大幅に低減される。遮音が弱い順に対策を することで、効果的に空間性能を向上することができる。

2.

遮音診断システムの概要

2.1 システムの基本構成 Fig. 2 にシステム構成を示すが、音源室で音を発生す る装置と、受音室側の調査対象部位からの伝搬音の大き さを測定する装置、データ分析と結果の表示ソフトから 構成されている。調査対象部位からの伝搬音だけを取り 出すために、調査対象部位以外からの回り込み音などの 影響を受け難くするように、音響インテンシティ法をベ ースにしている。 2.2 システムの特徴 1) 今まで難しかった施工途中の現場においても、 対象部位の遮音性能の測定診断が精度良く行える。 2) 任意の部位、任意のエリアを対象に伝搬音が測定 でき、測定結果から音響透過損失が算出できる。 3) どの周波数帯域のどの部位の遮音がどの程度弱い のかが明確に分かるように、受音室を構成する部 位の遮音性能を展開図にD数分布として表示する。 4) 携帯できるシステムで電池駆動可能なので、既存 建物から施工中の現場まで測定場所を選ばない。 5) マイク移動法などで短時間測定も可能である。 6) 測定データは Excel などで編集が可能である。 測定器本体 分析用 PC E 音源スピーカ 信号発生器 (データ分析、整理ソフト) 音源室側 受音室側 インテンシティ マイクプローブ Fig. 2 システムの構成

Composition of Measurement System of Sound Insulation

Fig. 3 音圧レベル差の遮音等級 Rating of Sound Insulation at Sound Pressure Level

D-15 D-20 D-25 D-30-Ⅱ D-30-Ⅰ D-30 D-35 D-40 D-45 D-50 D-55 D-60 D-65 20 30 40 50 60 70 80 音   圧   レ   ベ   ル   差 (dB) D数39 (400Hz) D数55 (800Hz) D数54 (160Hz) 1000 250 500 2000 4000 125 1/3oct. 中 心 周 波 数  (Hz) ① ② ③ ④ ⑤ ④ ①直接透過 ②回り込み ③固体伝搬 ④隙間透過 ⑤遮音性能の 弱い部位からの透過 音源室 受音室 Fig. 1 2室間の音の伝搬経路イメージ Image of Sound Propagation Route Between Two Rooms

(2)

大林組技術研究所報 No.71 音響インテンシティ法を用いた遮音診断システム Rr-30 Rr-35 Rr-40 Rr-45 Rr-50 Rr-55 Rr-60 0 10 20 30 40 50 60 70 80 63 125 250 500 1000 2000 4000 中 心 周 波 数 (Hz) 音   響   透   過   損   失 (dB) 取合部A 取合部B 壁中央 取合部E 取合部C 取合部D 壁より遮音が弱い部位 遮音性能が大きいので、遮音が弱い周波数と部位とを特 定することができる。 取合部: 壁とスラブ 取合部: 壁とダクト 取合部: 床スラブと外装

3.

適用事例

3.1 施工途中における遮音性能の確認 Fig. 4 に、施工途中において、各部位の遮音性能を 測定した結果と現場写真の一例を示す。界壁自体(○-○) の遮音性能に対して遮音が弱い部位(この例では取合部C ~E)が分かったので、その後の施工へフィードバックす ることで、竣工時には設計目標の遮音性能を確保した。 3.2 既存テナント室間の仕切面の遮音調査 Fig. 5 に、仕切面の各■点において測定した伝搬音の 強さ:音響インテンシティレベル SILi分布の例を示す。 この例では、扉下からの伝搬音が大きいことが分かる。 Fig. 4 施工途中現場の遮音診断例 A Measurement of Sound Insulation of Buildings 3.3 居室の遮音低下要因の調査 Fig. 6 に、室内を構成する6面の展開図にD数分布 表示した例を示す。この例では遮音低下の原因が630Hz 帯域における床面からの側路伝搬音であることが分かる。 Fig. 7に、D数分布を示すが、この場合は遮音低下の 原因が315Hz帯域における窓からの側路伝搬音であるこ とが分かる。居室内の診断測定写真と窓面からの透過音 の測定例として格子点での方向ベクトル表示を示す。 Fig. 5 仕切面の遮音診断測定例 3.4 施工現場内における部材の遮音性能調査

An Example of Diagnosing Sound Insulation Fig.8 に、複数の同一仕様の窓サッシの遮音性能を測 定して比較した例を示す。この調査で一部のサッシで窓 枠とサッシとの取合部の遮音低下が判明したが、サッシ 取付の再調整等で対策することで竣工時には改善した。 外壁窓面 棚面 界壁面 間仕切面 床面 天井面 展開図 800Hz 外壁窓面 棚面 界壁面 間仕切面 床面 天井面 展開図 1000Hz 外壁窓面 棚面 界壁面 間仕切面 床面 天井面 展開図 1250Hz 外壁窓面 棚面 界壁面 間仕切面 床面 天井面 展開図 2000Hz 外壁窓面 棚面 界壁面 間仕切面 床面 天井面 展開図 4000Hz 外壁窓面 棚面 界壁面 間仕切面 床面 天井面 展開図 125Hz 外壁窓面 棚面 界壁面 間仕切面 床面 天井面 展開図 160Hz 外壁窓面 棚面 界壁面 間仕切面 床面 天井面 展開図 200Hz 外壁窓面 棚面 界壁面 間仕切面 床面 天井面 展開図 250Hz 外壁窓面 棚面 界壁面 間仕切面 床面 天井面 展開図 315Hz 外壁窓面 棚面 界壁面 間仕切面 床面 天井面 展開図 400Hz 外壁窓面 棚面 界壁面 間仕切面 床面 天井面 展開図 500Hz 外壁窓面 棚面 界壁面 床面 間仕切面 天井面 630Hz 展開図

4.

まとめ

リニューアル物件の現状を診断して、遮音の弱い部位 を優先的に対策することで効果的な改修が出来る。 未知な設計仕様の遮音性能も施工段階で確認できる ので、手戻り工事リスクを低減することが出来る。 このように新築からリニューアル物件、工事中の物件 と幅広く適用できる遮音診断であり、活用していきたい。 Fig. 6 遮音診断のD数分布例 An Example of D Value Distribution

0 10 20 30 40 50 60 70 80 63 125 250 500 1000 2000 4000 中 心 周 波 数 (Hz) 音 響 透 過 損 失 相 当 値 801主寝室サッシ 701主寝室サッシ 601主寝室サッシ(調整前) 501主寝室サッシ(調整前) 401主寝室サッシ 301主寝室サッシ 201主寝室サッシ(2/23測定) 501主寝室窓サッシ調整後 TLq (dB) T-4 T-3 T-2 T-1 501サッシ調整後 に、6dB増大 周辺ゴムのサッシ枠 への当たり改善 測定状況写真 315Hz 界壁 天井 床 外壁・窓 Fig. 8 窓サッシの遮音診 断測定例 A Measurement of Sound Insulation of Window Sash

Fig. 7 遮音診断のD数分布例(窓から側路伝搬) An Example of D Value Distribution

Fig. 3  音圧レベル差の遮音等級  Rating of Sound Insulation at Sound Pressure Level
Fig. 7  遮音診断のD数分布例(窓から側路伝搬) An Example of  D Value Distribution

参照

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