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中学校における道徳の時間の指導法に関する実証的研究

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(1)     学位論文 中学校における道徳の時間の指導法に関する実証的研究.  兵庫教育大学大学院.  学校教育研究科 教育方法専攻教育方法コース.   MO4020」.  京江光之.

(2)     目次. 結果. 考察. 引用文献. 附記 巻末資料. o  ●  ●  o  ●  ●  ●  ●  ●  ●  o  o  ●  ●  ●  ●  ■  ●  ●  o  ●  .  ●  ●  o  ●  ●. 0  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ■  ●  O  O  り  り  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  O  O  ●  ●. O  ●  り  ■  ■  ■  ●  ■  ●  0  ●  ●  ●  O  ●  ●  ●  O  O  ●  O  ●  O  ●  O  ●  り. ●  O  ●  ●  ●  ●  ■  0  0  0  0  ●  O  ●  ●  ●  ●  ● . ●  ●  り  O  ●  ●  ●  ●  ●. 1     8     3     5    . 方法. ● ● o ● ● o ● o ● ● ■ り ● ● o り ● ● ● ● ● ● ● o o ● ●.     1     3    阿D    7. 問題. 3.

(3)                【問題】.  本研究は,中学校における道徳の時間の指導法において,3タイプの指導 法,即ち,1)主として情意的側面に働きかける指導法,2)主として認知的側面 に働きかける指導法,3)情意・認知・行動的側面に対し多面的に働きかける指. 導法のそれぞれの有効性について,実証的に検討することが目的である。.  中学校の道徳の時間には,様々な指導法が用いられているが,心理学的視 点から大別すると以下の3タイプに分類できるように思われる。第1のタイプは,. 主として生徒の情意的側面に働きかける指導法(以下,Typel)である。押谷 (1985)は,道徳の時間の指導は,生徒に感動を与えることが有効であると述べ,. その方法として,教材に,生徒の心に響くような感動的な資料(以下,感動教 材)を積極的に活用することを推奨している。文部省(1990)も“生徒の胸をうち,. 心にひびくような指導,つまり道徳的心情1を重視する指導”を求めており,そう することによって,道徳的実践力2をより,高めることができると述べている。また,. 金井(1998)は,道徳の時間の指導に感動を生かすことが重要である理由とし. て,道徳的価値の自覚を一層深めたり,道徳的価値を大切にする態度をもた せたり,感動する範囲を広げたりすることができることを挙げている。このように. 生徒の道徳的心情の育成を目的とする指導法は,“従来型”とも呼ばれ,道徳 の授業としては,極めて一般的であり,現在,最も多く実践されている指導方法 であると言えよう(森岡,1998;堺,2002)。しかし,こうした従来型の授業に関. して,授業実践の報告は数多く見られるものの,指導の効果が心理学的に測. 1中学校学習指導要領解説一道徳編一(文部省,1999,以下,要領解説)では,“道徳的価値の大 切さを感じ取り,善を行うことを喜び,悪を憎む感情”であり,“人間としてよりよい生き方や善を志向する 感情”と定義されている。. 2要領解説(文部省,1999)では,“人間としてよりよく生きていくカであり,一人一人の生徒が道徳的 価値を自分の内面から自覚し,将来出会うであろう様々な場面,状況においても,道徳的価値を実現 するための適切な行為を主体的に選択し,実践できるような内面的資質を意味しており,主として,道徳 的心情,道徳的判断力,道徳的実践意欲と態度を包括するものである。”と定義している。.                  1.

(4) 定され,検討された実証的研究は見当たらない。神保(1976)は,道徳指導の. 評価の問題点として,1)教育現場において教師が,道徳の指導について評価 に関心が低いこと,2)道徳指導に関する心理学研究が極めて少ないこと,の2. 点を挙げている。最も一般的な指導方法においても心理学的な検討が行われ ていないのが現状である。そのため,金井(1998)の“感動を与えることが道徳 的価値の自覚を深めさせる上で有効である”とする主張も,“感動を与えること が,感動する範囲を広げる”とする主張も,必ずしも明確な手続きの下で実証さ. れているわけではない。また,従来型の指導が,道徳的判断力や道徳的実践 意欲,道徳的態度の向上にどのように影響するかも明らかにされていない。.  第2のタイプは,主として認知的側面に働きかける指導法(以下,TypeII)で. ある。森岡(1998)は,文部省が刊行した読み物資料を分析した上で,資料が “道徳的心情を豊かにする”ことを目標(ねらい)としたものばかりで,道徳的判. 断力3を高めることをねらいとしたものがないことを指摘し,道徳的心情の育成を. 重視し,道徳的判断力の育成を軽視する風潮であるとして批判している。さら に,喜びや憎しみなどの感情は,知性が場面・状況を認知した上で生まれるも. のであることを述べ,認知的な側面を重視した指導を積極的に行い,道徳的 判断力を高めることが重要であると主張している。.  宇佐美(1973)もまた、道徳授業における指導のあり方に関して、心情や態 度を重視する指導を“反知性主義的傾向”として批判し,道徳の指導において. は,事実認識を十分に行わせた上で,それに基づいた理性的な判断を促すよ うな指導方法を行うべきであると述べている。また,宇佐美(1989)は,道徳の時. 間に一般的に用いられている読み物資料を具体例として採り上げ,教材として. の多くの読み物資料が,生徒の意志決定に必要な事実(情報)を提供する上 3要領解説(文部省,1999)では,“それぞれの場面において善悪を判断する能力”であり,“人間とし. て生きるために道徳的価値が大切なことを理解し,様々な状況下において人問としてどのように対処す ることが望まれるかを判断するカ”と定義されている。.                 2.

(5) で不十分であることを指摘し,そのような資料を用いて,子どもに感動を求めた り,登場人物の気持ちを探ったり,あるいは,どう行動すべきかを考えたりする 授業は“誤ったシステム”であると述べている。.  松下(2002)は,道徳教育において心情面を重視した指導が多い理由につ いて,“知と行為の二元論や認識・情意・行為,あるいは知・情・意の三分法”. の考え方に由来すると述べている。心情を重視する道徳教育論の立場では, “頭ではわかっているけどできない”という“知行不一致現象”の原因を,意欲や. 意志の弱さ(‘‘心的エネルギーの欠如”)にあると理由づけるため,心情や意欲. を養うことが道徳的行動を促進すると考える。しかし,松下(2002)はわかってい. ることに行動が伴わないのは、わかっている度合いが行動に結びつくほど深く ないためで、認識や理解の不十分さに原因があると主張している。そして,その. 考えに基づいて心情面を重視した教育よりも、知的な理解を深めさせることを 重視した道徳授業を提唱している。. Kohlberg(1969)は道徳性の発達を認知発達の側面から捉え、認知能力と 役割取得能力(role−taking ability)4の発達に伴って道徳1生も発達することを論 じている。Blatt(1975)は,この“道徳化(moralization)の認知発達理論”を応用. し,11歳と15歳の子どもを対象にして,ジレンマ資料をもとに生徒に討論を行 わせる(ジレンマ・ディスカッション)授業を行い,その授業を受けた実験群の生. 徒が,授業を受けていない統制群の生徒に比べ,高い割合で道徳判断の上 昇がみられることを明らかにした。目本においては,吉田・荒木(1984)をはじめ. として,多くの実証研究においてジレンマ・ディスカッションが道徳的判断力の 向上に寄与することが明らかにされている(八重柏,1985;野口,1987;鈴木, 1988;新垣,1990;原,19911松尾,19911植田,!992;堀田,1992)。しかし,これら. 4Kohlberg(1969)は,役割取得能力を“自己と同様のことを想定して他者に対応し,その自己の行動 に他者の役割から応ずること”であると述べている。また,荒木(1990)は“他者の視点に立って,他者の 感情や思考を推し量ること”と定義している。.                 3.

(6) の実証的研究は,授業の効果がKohlberg(1969)の発達段階5)のみで検討さ れており,道徳的判断力の向上は認められるものの,道徳的実践力の他の側 面(心情,価値意識など)への効果については不明のままである。  吉田(2000)は、児童生徒を対象として“心のしくみ(や働き)について(主に. 心理学的知見をベースにして)わかりやすく伝えることによって自己や他者のこ とをより適切に理解できるようになってもらうこと,そして,その結果として,より適. 切な社会生活を送ることができるようになってもらうこど’を意図した“心のしくみ. についての教育”を提案している。立川(2003)はこの考えに基づき,中学2年生 を対象として,“対応バイアス6”と“ステレオタイプ的認知7”がおこる心のしくみを. 生徒に理解させ,クリティカル・シンキング8を促す授業を行い,その有効性を検. 討している。その結果,授業を実施していない統制群に比べ,授業を実施した. 実験群の方が,情報にとらわれた内的推測を行わない(過度の決めつけを行 わない)傾向が増加したことが示されている。この研究は,必ずしも道徳の時間. を念頭においたものではないが,生徒の認知的側面に働きかける指導法として. 位置づけることができる。先に述べた心情重視型の授業では,“差別や偏見の 不当ざ’について感情面に訴える形式の授業が想定されるが,“差別や偏見が 生まれる心理的メカニズム”にっいて理解させる指導は,差別や偏見の不合理 に気づかせる上で有効であろうと思われる。.  第3のタイプの指導法は,情意的側面,認知的側面,行動的側面に対し多 面的に働きかける指導法(以下,Type皿)である。押谷(2000)は,内面に根ざ. 5Kohlberg(1969)は道徳性の発達を認知構造(cognitive structure)の連続的な質的変容であるととら. え,その発達段階を3水準6段階にまとめている。 6立川(2003)は,“観察された行動から過度に他者の内的特性(性格,能力,信念など)を推測してし まう傾向と定義している。”. 7立川(2003)は,“ステレオタイプにもとづいて,その集団やカテゴリーに属している人の内的特性など について,単純・画一的な推測を行うこと”と定義している。 8クリティカル・シンキングとは批判的思考のことである。吉田(2000)は,批判的思考という日本語を用 いない理由として,“児童生徒が‘あら探しをする’とか‘難癖をつける’といったネガティブなイメージを抱 く可能性があるから”と説明している。.                  4.

(7) した道徳的実践力の育成を図るため,道徳の時間において多様な指導法を工 夫すべきであると主張し,体験的活動を授業に取り入れることを提案している。. また,指導要領解説においても“道徳の時間のなかで役割演技や実際にその. ものに触れさせてみるなど体験的活動を学習指導過程上に位置づけて行うこ とはこれまで以上に充実させる必要がある。”と記されている。.  台(2003)は,従来型の道徳授業を“観念的形式的”であるとして,その改善. 策として,行動的側面からの働きかけにより,道徳的実践力の向上をめざすロ ールプレイング(役割演技)の導入を提唱している。青木(1985)は,役割演技の. 具体的な効果として,他者理解や自己理解につながること,信頼感を深め,仲 間意識を育てること,実際の行動場面を再現させることで,観念的でなく具体 的な解決に迫ることができること,などを挙げている。また,ロールプレイングの. 他にも,体験的活動としては,グループエンカウンターやソーシャルスキルトレ ーニングなどの技法が,近年,道徳の時間の指導法として取り入れられるように なってきている(諸富,2001)。.  林(2001)は、道徳の時間に行うスキルトレーニングに関して,“道徳的に望 ましい状況を想定して行われるべきであり、そのためには、道徳的善悪・正邪の フィルターを通したソーシャル・スキルとしてのモラル・スキルという概念が必要”. として道徳授業のなかで活用する“モラル・スキル・トレーニング”を提唱してい. る。この考えに基づき、渡邉(2004)は、中学校1学年を対象として“思いやりの 心を育む”ことをねらいとした授業のなかにロールプレイングを取り入れた指導. を行い、その有効性を検討している。“道徳性診断検査HEART(東京心理)” を用いて効果測定がなされ,事後測定の平均値において統制群との比較を行 った結果,男子においては有意差がみられなかったが,女子においては,“内. 5.

(8) 面形成”の得点において有意差が示されている9。ただし.事前得点と事後得 点の平均値の比較にっいては,統計的検定の結果が示されておらず,有意差 がみられたのかどうかは不明である。. 松岡(2004)は、生徒の共感性を育成することを目的としてロールプレイング を用いた実践を報告している。この研究は、ロールプレイングによって他者の立 場・役割を演技することによる“他者の感情の理解”を主たるねらいとしている。. 4単位時間の授業効果は,共感経験尺度改訂版(角田,1994)によって測定さ れているが、実験群には事前、事後間に有意な差が認められている。ただし,                   じ     . この測定尺度は,他者に対して共感した経験をたずねる質問紙尺度であり,授. 業が行われた5月から7月までの2ヶ月間において経験が有意に増加したと いう点については,やや疑問が残る結果である。.  これらの研究は,効果測定の方法や分析の方法が充分とはいえないものの、. ロールプレイングを取り入れた授業が、共感性や行動規範意識の変容に効果 がある可能性は推察される。しかし,ロールプレイングにおいては生徒の自発 的な参加が重要な条件となるが(台,2003),中学生の時期は,ロールプレイン グを行うことに抵抗を感じやすい(金井,2001)ため,生徒が進んで取り組むよう. に指導を行うには,今後さまざまな工夫改善が必要であろうと思われる。.  生徒の道徳的実践力が道徳的心情,道徳的判断力,道徳的実践意欲や 態度によって構成される能力であることを考えれば,情意・認知・行動的側面 のそれぞれに対し多様に働きかける指導法が有効である可能性も考えられる。. しかし,この指導法が生徒の道徳的実践力を高めることに有効かどうかを実証 的に検討した研究は見当たらない。また,どのような指導の組合せが効果を高 9実験群の授業は,学級活動の時間を2単位時間,道徳の時間を4単位時間,モラル・スキル・トレー ニングのためにあてている。授業中にすべての生徒がロールプレイングを行ったわけではなく、一部の生 徒のみの実施である。ロールプレイングを行っていない生徒は、ロールプレイングを観察していたことが. 報告されている。統制群は,従来型の道徳授業が4単位時間行われている。効果測定に用いられてい る道徳性検査HEARTは,“道徳的内面形成”と“道徳的行動傾向”にっいて2つの質問紙から測定 する検査である。.                  6.

(9) めるのかについても明らかにされていない。. 次に,道徳的実践力という構成概念をどのようにとらえるかについて,道徳. 的行為が生起する心的過程にしたがって,関連があると思われる心的能力や 特性を挙げながら検討する。 Eisenberg(1986)は、向社会的行動(prosocial behavior)10に関する様々な研. 究知見を統合し、その行動を規定する主要な要因が、どのように相互に関連 するかを考察し、向社会的行動モデル(A Model of Prosocial Behavior)を Figure1のように示している。. 先行する 状態と行 動特性の. 社会化. 舗. 」一_一. 人的目標の 階層化. 況徴 状特.  あるいは 動機づけの 状鯨:主に 情動的な面. の. 会為 社行 向的. ある特定の 状況での個・. あるいは. の. そのことに ついての個 人の能力. 一一一一’. 力図 助意. のへ目 人求注 他要の. 況釈 状解. ・発準. 認達. 会的水 社知の. の. 状側知 の的認 け価に︶ づ評主面 機:︵な 動態面的. 翻翻. 動機づけの 状態:個人 的要因. あるいは.  : あるいは  し. 自己評価 を含めて の結果.  じ. あるいは.  1.     ロ. 助力しな い意図. :.     : : 自己防衛・. Figure1向社会的行動の生起過程モデル. そして、このモデルによる生起過程を以下のとおり3つのステップに分けて説 明している。第1のステップは、“他者の要求に関する状況を解釈し、他者の要. 10Eisenberg(1982)は,向社会的行動を“他の個人や集団を助けようとしたり,こうした人々のために なることをしようとしてなされた自主的な行為”と定義している。. 7.

(10) 求に気づく過程”,第2のステップは,“要求に気づいてから助けるかどうか決意 するまでの過程”,第3のステップは,“意思決定が行為に移される過程”である。. この考え方は,道徳的行動の生起過程を4つの構成要素に分類した Rest(1984)の考えとも,ほぼ一致している。Rest(1984)は道徳的実践に至るま. での心理過程を4つの過程に分類し,4構成要素理論(four−component model)を述べている。この理論では,道徳的行動の生起過程を構成する要素 として、1)状況の解釈と道徳的問題の同定、2)道徳的理念にてらして、その状. 況下で行うことの計画立案、3)行為の結果生じる道徳的、非道徳的諸価値を 考慮し、実際に行う行為の選択と決定、4)道徳的行為の実行、の四要素を提 案している。これらの理論に共通しているのは,行動が生起するまでの過程を,. 認知,判断,行動の段階に分けて説明11している点である。これらの考え方をも. とに、道徳的行動の生起過程において,それぞれの過程ごとに特に関連が深. いと思われる心的能力や心的特性をまとめた12のがFigure2である。  第1の過程は,状況認知の過程である。この過程においては、“役割取得能 力”が深く関係するものと思われる。役割取得とは,“他者の視点に立って,他 者の感情や思考を推し量ること”(荒木,1990)であり,視点取得ともよばれてい る。Kohlberg(1971)は,この役割取得能力(role−takingability)が道徳的判断に. 影響を及ぼす重要な要素であると述べているB。なぜなら,役割取得能力の違. いによって他者の立場についての認識や理解の程度が異なり,その認識 11佐伯(1999)によると,認知とは“知覚,判断,決定,記憶,推論,課題の発見と解決,言語理解と言. 語使用のように,生体が自らの生得的または経験的に獲得している既存の情報にもとづいて,外界の事 物に関する情報を選択的に取り入れ,それによって事物の相互性,一貫性,真実性などに関する新し い情報を生体内に生成・蓄積したり,あるいはこのような情報を用いて適切な行為選択を行ったり適切 な技能を行使するための生体の能動的な情報収集・処理活動を総称していうことば”である。この定義 に従うと,このモデルでは“判断”の過程も“認知”にあたるが,ここでは,対象を知覚し認識する段階とし て用いる。. 12このモデルは,能力や特性を個別に書き表しているが,それぞれが密接に関係しており,独立した 概念ではないと思われる。また,道徳的実践力を構成すると考えられる能力を網羅したものではないこと もつけくわえておく。. 13Kohlberg(1971)は,認知と判断の過程を明確に分離せず,道徳的判断の発達は“道徳的認知構 造(moral cognitive structure)”の発達という概念で説明している。.                  8.

(11)       l   l       !情動i       l.   ノ.    共感性グ∼自己統制力. 灘翻、ノ道徳的判断力行動力       1価値意識l       t,規範意識j.        ”。一’…   1状況の変鮮. Figure2道徳的行動の生起過程モデル. の違いが道徳的判断に影響を及ぼすと考えられるからである。Selman(1976)は,. この役割取得能力を社会的な認知能力としてとらえ,それを“社会的視点取得 能力(social−perspective−taking ability)”とよんでいる。そして,この能力の発. 達段階を4段階にわけ,その特徴として,人間のとらえ方(conceptsofpersons) と関係のとらえ方(concepts of relations)の2点から説明している。また,この社. 会的視点取得能力と利他的,向社会的行動との間には高い相関関係がみい だされている(Mussen&Eisenberg−Berg,1977)。.  第2の過程は,判断の過程であり,ここでは“道徳的判断力”が深く関わるも のと思われる。Kohlberg(1984)は,道徳的判断を認知的な正義推論(justice reasoning)としてとらえ,その発達を操作(operation)の様式で6段階に分類して. いる。正義推論とは,認知された情報をもとに,正義を実現するためにどのよう な行為をとるべきか,どのような行為がもっとも公正といえるかを推論することで. 9.

(12) あり,操作とは,その推論をするための論理的思考である14。.  一方,情動的側面に着目した場合,共感性が重要な要素として考えられる。 共感とは,“他者の体験する感情を見た側に,それと一致した,あるいはそれに 対応した感情的反応がおこること”(登張,2003)であり,共感性とは,“他者の. 感情体験に対する感情的反応性”(Davis,1979)である。つまり,悲しんでいる 人をみたときに,自分もその人と同じような悲しみを感じるような心的な特性であ. るといえよう。このような感情は,道徳的行為の生起過程において行動の動機と. して機能することが考えられる。向社会的行動に関する研究や愛他的行動に 関する研究において共感性がそれらの行為と関連があることが示されている (Lennonetal.,1986;Olineretal.,19881Eisenbergetal.,1989,1990)。また,共. 感性には認知的要素と感情的要素があり(Feshbach,1975;Hoffman,1984),. 先に述べた役割取得能力とも関連があると思われる。Davis(1983)は,“共 感性”を単一の概念ではなく認知と情動を包括した多次元的概念として考える べきであると主張し,認知的な視点取得(perspective−taking)を,共感性の下 位次元(概念)としてとらえている。.  さらにもう一方で,内在化されている価値意識15や規範意識も認知や判断に 影響を及ぼすと考えられる。認知の過程においては,重要性の高い(価値意識 の高い)事象に関しては注意や配慮の程度が高くなり,認知されやすくなるが,. 重要性の低い事象に対しては,認知の程度は低くなるであろう。例えば,“相互. 扶助”という概念に対して価値意識が高い場合,他者への関心や注意は高く なり,他者の困窮場面を認知する程度は,価値意識が低い場合よりも高くなる. 14ここでの道徳判断力とは,自らがどのような行為をとるかという意志決定の能力ではなく,どのような 行為をとるべきか(どのような行為をとることが道徳的か)を考える能力である。. 15見田(1966)は,“価値”と“価値意識”とは概念上区別されるべきであると主張し,価値を“主体の欲 求をみたす,客体の性能”と定義し,その一般的機能として“意識的行為における選択の基準となる”と 述べている。個々の主体(評価する者)の,多くの客体(価値客体)に対する,明示的もしくは黙示的な 価値判断の総体によって構成されたものが“価値意識”であると述べている。また,価値意識を欲求性 向と規範意識とを包括する上位概念としてとらえている.                  10.

(13) であろうと考えられる。また,判断の段階においてもその価値意識が高ければ, 低い場合に比べ,“援助すべぎ》と判断されやすいであろうと思われる。.  第3の過程は,判断を行動に移す過程である。この段階では,道徳的行動 を為すための行動力(技能)が必要であろう。.  高木(1987)は援助行動の抑制要因を調査する研究を行い、“援助能力の欠 如”が抑制要因となることを見出している。例えば,困っている人を認知し,相. 手の苦しみに対して共感し,困っている人は助けるべきであるとする規範意識 に従って,助けることが道徳的であると判断された場合でも,“自分に助ける能. 力があるか否か”という行動の実行可能性についての思考によって,自分には 助ける能力がないと判断された場合には,“援助の見送り”という意志決定がな. され,行動が生起されない可能性も考えられるのである。この点については, Eisenberg(1986)も援助行動の生起過程モデルのなかで“援助行為を行う能力. の認知”が援助行為の生起に影響を及ぼすことを主張している。.  以上,道徳的行動が生起されるまでの過程にそって道徳的行動に関連があ ると思われる心的能力や特性について考察した。この考察から道徳的実践力. は単一の概念ではなく,様々な心的能力や特性が複合的に組み合わさった構 成概念であると考えられる16。.  このことから道徳の時間の指導は,道徳的実践力を構成する諸要素を偏り なく高められるように心がけるべきであると考えられる。(価値意識を高めること. のみ,あるいは判断力を高めることのみを目標とした指導を,年間通じて行うこ とは不適切であろうと思われる17。)しかし,実際にある一つの指導法を採り上げ 16これらの諸能力,諸特性のどの要素が道徳的行為に強く影響を与えるのかについては,まだ明らか になっていないが,どの要素も関連があると考えるのが妥当であろうと思われる。近年,感情や認知の働. きについてfMRI(機能的磁気共鳴映像装置)を用いて,実験をおこなうBOLD法が考案され, Greeneら(2001,2004〉によって感情と認知能力が道徳判断にどのように影響を及ぽすのか検討されて いる。. 17金井(1998)は,道徳の時間の指導は,“ねらいとする価値だけを心に受け止めさせるだけ”で十分. であり,受け止められた価値が心の中で構造化され,“価値の集積から力強い実践が生まれる”と主張 している。しかし,価値値意識と判断力や行動力などが,共変関係にあることを示す研究は見当たらない。.                  11.

(14) たとき,その指導法には効果の期待できる変数(心的能力や意識など)と効果. の期待できない変数があり,その様相は指導法によって異なることが予想され る。ところが,今までの道徳授業の指導に関する実践研究においては,複数の 変数について授業効果が検討された実践は数少ない。そのため,“どのような 指導が,どのような変数に影響を与え,また,どのような変数には影響を与えな いのか”といた点は十分明らかにされているとはいえない。.  そこで,本研究においては,前述した3タイプの指導法,主として情意的側 面に働きかける指導法(Type I),主として認知的側面に働きかけを行う指導. 法(Type∬),情意・認知・行動的側面に対し多面的に働きかける指導法 (TypeHI)が,道徳的実践力を構成するどの要素に影響を与えるのか具体的 に検討することとした。.  次に3タイプの指導法の効果を検討するにあたっての授業内容及びその構 成について論じる。.  授業の主題は,3タイプともすべての授業(6単位時間)の内容を“思いやり の心”を育てることをねらいとした内容に統一することとした。また,授業は1つの. 主題に関して2単位時間をあて,これを1ユニットとする授業構成とした(Table. 2〉。中学校学習指導要領(文部省,1998)によれば道徳の時間において指導す る内容として,“主として他の人とのかかわりに関すること”として,“温かい人間. 愛の精神を深め,他の人々に対し感謝と思いやりの心をもつ。”がある。本研究 で扱う学習内容として,この内容をとりあげることにした理由は,1)道徳の指導 において極めて重要な内容であること,2)援助行動(helpingbehavior)や向社. 会的行動(prosocial behavior)などの社会心理学分野での研究知見が授業に. 生かせること,の2点が挙げられる。.  内容を統一し,連続して行うこととした理由は,授業に関連性と連続性を持 たせることで指導の効果が累積され,より明瞭に効果が表れるのではないかと.                12.

(15) 考えられたからである。例えば,“思いやり”にっいて価値意識の点から考えて. みると,他者の人格や生命を尊重する意識(価値意識)を育成することが重要 であろうと思われる。しかし,“人の命は大切である”ことを生徒は知識としては. 持っているはずである。その認識を,価値意識として個にとって重要度の高い ものにする(価値の内面化)には,短時間の指導では困難であろう。また,認識. を深めさせるための様々な指導の工夫が必要であろうと思われる。そのため, 単発的な授業よりも,授業内容に関連性をもたせ,それを連続して行った方が, 様々な角度からねらいに迫ることができるので効果的であろうと考えた。.  2単位時間を1ユニットとした理由は,1単位時間で行う授業よりも主題に関 して深く,且つ多方面からの指導を行うことができ,効果的にねらいが達成でき るのではないかと考えたからである。荒木(1990)は,“1単位時問では教材の内. 容を共通理解する時間が欠落してしまい,授業が深まらない”として,“1主題2. 時間構成”の授業モデルを提案している18。特に教材の内容が生徒にとって未. 知のものであったり,難解であったりする場合は,教材の内容理解のために時. 間を要し,1単位時間では,十分にねらいが達成できない場合が多いと感じら. れる。Type Iの指導法では,感動教材を用いるが,情意面に働きかけるため には短時間では難しく,ある程度の時間が必要であろうと思われる。また,Type. 皿の指導法では,論理的な思考を促すため,主題に関して具体的な情報をで きるだけ詳しく提示することを心がけるが,そのためにもそれ相当の時間が必要. であろう。Type皿の指導法では体験的活動を取り入れるため,やはり1単位時 間では授業を構成しづらいと思われる。1主題に2単位時間を充てることで,1 つの教材の内容をより深く理解させることができ,効果的にねらいが達成できる のではないかと考えた。. 18荒木(1990)の提案している授業モデルは,モラルディスカッションを想定した授業モデルであり,教 材提示の時間と話し合いの時間を十分に確保することを主たるねらいとしているが,“授業の深まり”を 考慮すれば,本研究においても活用できる考え方であると思われる。.                 13.

(16)  次に3タイプの指導法の効果測定の方法に関して論じる。先に述べたとおり 道徳的実践力が構成概念であることから,その測定には,それを構成すると思 われるすべての心的能力や特性について測定すべきであろうと思われる。しか し,実施上,時間的制約があることから現実的には不可能であろう19。そこで,. 共感性,行動規範意識,道徳的判断力の3要素の測定を中心に行うこととし た。.  共感性の測定は,加藤・高木(1980)の情動的共感性尺度を利用することと. した。この尺度は,共感性の情動的側面を測定するため,Mehrabian& Epstein(1972)の情動的共感性尺度を目本人の生活感情や生活条件にふさわ しい内容に修正・変更して作成されたものである。この質問項目を中学生122. 名,高校生109名,大学生86名,計317名に実施し,全サンプルを用いて主 成分分析・バリマックス回転による分析を行った結果,3因子が抽出され,これ. にもとづいて3つの下位尺度からなる,計25項目の情動的共感性尺度が構成 されている。下位尺度は,それぞれ“感情的温かざシ,“感情的冷淡ざ’,“感情. 的被影響性”と命名されている。各下位尺度の信頼性係数は感情的温かさ, α=.75,感情的冷淡さ,α=.76,感情的被影響性,α=.60であった。本研究に. おいて指導法の効果を測定するためには“感情的温かざ’と“感情的冷淡ざ’の. 2因子のみの測定で充分であると判断し,測定時間を短縮するため,“感情的 被影響性”の因子は除外して尺度を構成することとした。なお,質問項目には,. 授業との関連が薄いと思われるもの,中学生には文章の読み取りが難しいと思 われるものがみられたので,一部改変して用いることとした。. 行動規範意識については,箱井・高木(1987)の“援助規範意識尺度”を利用 することとした。この尺度は,“他者を援助することに対する規範意識の個人差. 196単位時間の授業の効果を測定するという観点,また,生徒の集中力の持続時間という観点から考 えて,測定のための時間は1単位時問(45分)程度が限度であろうと判断した。.                14.

(17) を測定する尺度”であり,“弱者救済規範意識”,“自己犠牲規範意識”,“交換. 規範意識”,“返済規範意識”の4つの下位尺度によって構成されている。この うち,授業のねらいに関連が深いと思われる“弱者救済規範意識”,“自己犠牲. 規範意識”の2因子を採り上げ,尺度を構成した。弱者救済規範意識は,“自 分よりも弱い立場,悪い立場,経済的に困っている人々に対する救済,分与を 指示する規範に関する意識”であり,自己犠牲規範意識は,“自己犠牲を含む 愛他的行動を指示する規範への意識”である。  道徳的判断力については,糊澤(2001)の‘‘道徳性発達検査”を利用した。こ. の検査は,Kohlberg(1969,1981,1984)の道徳1生の認知発達理論に基づい て“道徳性”の発達段階を同定することを主たる目的とした検査である20。この. 道徳性の認知発達理論においては,正義推論の形式の発達を“道徳性”の発 達として捉えられていることから,正義推論の能力=道徳性として捉えているよ. うに考えられる。しかし,本研究においては,正義推論の能力は,道徳性全体 を規定するものではなく,道徳1生の一要素としての道徳的判断力であると捉え,. 棚澤(2001)の“道徳性発達検査”は道徳的判断力を測定する検査として用い ることとした。中学2年生用の検査は全部で10課題であるが,そのうち,授業内. 容と関連があると思われる課題を4課題,採択した。これは時間的制約のため である。課題の形式は,道徳的ジレンマを生起させる文章を読み,ジレンマ状 況での判断とその理由づけから道徳性の発達段階を同定するものである。.  以上の3つの従属測度については,6単位時間の授業内容に関連のある内 容にできるかぎり限定したが,いずれも比較的安定した傾向性をもった変数で あり,短期間の指導では変容しにくい変数であろうと思われる。そのため,1主. 題2単位時間構成としたり,6単位時間の指導内容に一貫性を持たせたりする. 20この検査は,コールバーグ理論の3水準6段階の道徳性の発達段階を測定する第1部と,道徳的 行動の傾向性を測定する第2部から構成されている。本研究では,この検査の第1部を利用した。.                15.

(18) 工夫だけでは,指導の効果が表れない可能性も考えられた。そこで,短期的な. 指導の効果をより明確に捉えるため,それぞれのユニットの主題に関連のある. 行動規範意識にっいて,独自に質問紙尺度を作成し,測定することとした。ま た,このことにより,6単位時問の授業の効果がみられたときに,どのユニットの 授業の効果が大きかったのか検討することができると思われた。  最後に,それぞれの指導法の効果について,(a)共感性,(b)行動規範意識,. (c)道徳的判断力の3つの従属測度を中心に予想を述べる。.  Type Iの指導法においては,感動教材を用いて生徒の心情面に働きかけ ることで,教材のなかの人物の行動に共感し,その行為の根底にある道徳的価. 値に対して,自分自身の価値として内面化しやすくなるのではないかと思われ る。また、教材に登場する人物の心情について考えさせる発問や説明によって 他者の心情を理解する能力が高まることも予想される。しかし,(a)共感性は,. 比較的安定している傾向性であるため,6単位時間の授業では変容はみられ ないであろうと思われる。(b)行動規範意識は,道徳的価値の内面化に伴って, 社会的に望ましい方向に変容させることができるであろうと予想される。(c)道徳. 的判断力の向上には、論理的思考力や認知能力の発達が必要となるため、 情意的側面に働きかける指導では効果は期待できないであろうと思われた。.  Typenの指導法においては,道徳的事象に関する知識を与えたり,論理的 な思考を促す指導を行ったりすることが,認知的な能力の向上に寄与すると考 えられる。(a)認知的な能力の向上に伴って共感性も向上するのではないかと 考えられるが,6単位時間の授業では変容がみられないであろうと予想される。. (b)行動規範意識は,社会的に望ましい方向への変容がみられるであろうと予. 想される。(c)道徳的判断力は,論珪的な思考を促すような発問や説明を行うこ とにより向上するであろうと思われる。.  Type皿の指導法においては,情意的側面・認知的側面・行動的側面のそ.                16.

(19) れぞれに働きかけることにより,一面的な指導よりも高い指導効果があらわれる 可能性も考えられる。また,ロールプレイングやスキル・トレーニングなどを授業. に取り入れることにより,体験を通じて他者への理解が深まったり,道徳的な行. 動の技能が向上したりする効果も予想される。(a)6単位時間という短時間の指. 導では,共感性の変容はみられないであろうと予想されるが,授業で採り上げ た内容(対象)に対する役割取得能力は向上する可能性が考えられる。(b)行. 動規範意識は,社会的に望ましい方向への変容がみられるであろうと思われる。. (c)道徳的判断力は,論理的思考を促すための時間が短いため,変容はみら れないであろうと予想される。. 17.

(20)               【方法】 対象者. 岡山県内の公立X中学校第2学年の3学級に在籍する生徒(A学級28名,B. 学級28名,C学級29名,計85名),公立Y中学校第2学年の4学級に在籍す る生徒(146名),計231名。. 実験計画 道徳の時問における指導法において,主として情動的側面に働きかけを行う 指導法(Type l条件),主として認知的側面に働きかけを行う指導法(Type皿. 条件),情動的側面,認知的側面,行動的側面に対し多面的に働きかける指 導法(Type皿条件)の3条件を設定した。なお,各条件における授業前後の変 容を検討するため,事前・事後デザイン(pre−post design)とした。. 実験条件への対象者の割り当て 公立X中学校の3学級(A組,B組,C組)に対し,各条件を学級ごとに割り当. てた。条件の割り当てに際しては事前測定の結果(Table16)を考慮し,情動. 的共感性尺度の感情的温かさ得点の平均値が低かったA学級をType I条件. に、援助規範意識尺度の弱者救済規範意識得点の平均値が低かったC学級 をType皿条件に割り当て,B学級を残るType皿条件に割り当てた。. 授業の内容及び学習教材. 1.授業の内容 授業は,3条件ともに“思レ}やりの心”を育てることをねらいとした内容であった。. 2単位時間を1ユニットとした授業を3ユニット(計,6単位時間)で構成した。各. 授業の主題と主なねらいはTable1のとおりである。.                18.

(21) 設定した指導法の有効性を検討するため,授業の主題は3条件とも統一し た。.           Table l授業の主題と主なねらい ユニット 単位時間 主題. 主なねらい いじめを許容しない態度を養う。. 1. いじめの被害者に対しては積極的に援助しようとする意識. いじめの撲滅. を高める。. 56. 3. 3一4. 2. 無償の愛. 無償で為される思いやり行動の崇高さについて理解を深め る。. 障害者福祉. ノーマライゼーションに対する意識を高める。. 2.各授業の条件操作の具体的内容 設定した3条件の指導法の特徴は以下のとおりである。. TypeI ①教材は感動的な内容のものを使用し,心情を揺さぶることを目的とした提示  の仕方を行う。. ②発問や説明は,心情面について考えさせる内容を中心として構成する。. TypeH ①教材は主題に関する新たな知識を生徒に与える内容のものを使用し,知識  を伝えることに重点を置いた提示の仕方を行う。. ②発問や説明は,論理的思考を促すことを目的とした内容を中心として構成  する。. ③授業の主題に関連のある心理学的知識や倫理学的知識を伝える。. Type㎜ ①授業にスキルトレーニングなどの体験的活動を取り入れる。. ②3ユニットの授業計画のうち,第1ユニットにTypeIの授業を,第2ユニット  にTypeHの授業を,第3ユニットに体験的活動を取り入れた授業を行う。.                19.

(22) 3.教材.  授業で用いる図表や説明文などは,すべてプレゼンテーション用ソフトを使 って自作したものを用いた。また,ビデオ教材は,テレビを録画したものや市販. のビデオ教材を授業者が編集して用いた。教室で提示する際には,ノートパソ コンにプロジェクターをつなぎ,映写するようにした。プロジェクターは黒板から. 約2m離れた場所に設置し、映像は黒板に模造紙を貼って写すようにした。以 下,使用した主な視聴覚教材の内容である。. 第1ユニットで使用した教材 いじめドキュメントビデオ. Type Iの第1ユニットの1限目の授業で使用した。大河内清輝君(当時13歳. 中学2年生)が,いじめを苦に自宅の裏庭で首っり自殺をした事件を再現した ドキュメントビデオである。いじめの実態が克明に描かれている。ビデオはテレビ 放送(TBS「中居正広の家族会議を開こうIV」,放送目:2000,9,20)されたものを. 録画し,その一部を授業者が編集した内容である。時間は約8分。. いじめによって息子を亡くした父親の話(ビデオ). Type Iの第1ユニットの2限目の授業で使用した。大河内清輝君の父親の話 をビデオで視聴させた。前述のビデオと同じテレビ番組の一場面を録画し,授. 業者が編集した。時間は約3分。.                o いじめ自殺の事例. 被害者:A子(中学2年生女子) 1996年1月25目 自室で首つり自殺 いじめの様態:言葉や態度によるいじめ(くさい,汚いなどの中傷,廊下です れ違う際おおげさによける等).                20.

(23) 加害者:同じクラスの男子生徒全員(中心になっていたのは数人). 第2ユニットで使用した教材 マザー・テレサの活動(ビデオ・写真). 千葉茂樹監督のドキュメンタリー映画“マザー・テレサとその世界”(近代映画. 協会・女子パウロ会制作,1979)を編集したビデオとキャプチャー画像(静止 画)を用いた。映画には,カルカッタのスラムで活動するマザー・テレサと修道女. たちの活動の様子が描かれている。ビデオは第2ユニットのType Iの授業で 用いた(時間は約15分)。静止画像はTypeIIの授業で用いた。. 第3ユニットで使用した教材 視覚障害者が街を歩く映像(ビデオ) 崔洋一監督の映画‘‘クイール”(松竹配給,2003)の一場面を編集したビデオ. である。視覚障害者がはじめて盲導犬と歩く様子や,交差点でトラックと接触し. そうになる様子など,視覚障害者が街を歩くことの苦労が描かれている。時間 は約5分。Type Iの授業で使用した。. 井上美由紀さんの写真・弁論. 井上美由紀さんは,体重500gで生まれた全盲の少女である。彼女の手記で ある“生きています、15歳。”(ポプラ社,2000)に載っている写真と弁論(“母の. 涙”全国盲学校弁論大会優勝)を使用した。弁論には母親の愛情と厳しい養 育の様子が表現されている。Type Iの授業で使用した。. 障害者の誘導方法(ビデオ) 教材用ビデオ“ボランティア・ガイドシリーズー障害者編一”(東映制作,1993).                21.

(24) のなかから,視覚障害者への誘導の仕方を扱った部分を編集して用いた。時 間は約5分。Type皿の授業で使用した。. 4.各条件の具体的な授業内容の違い Table2∼4は,授業ユニットごとに,各条件の具体的な授業内容の違いを まとめたものである。. Table2第1ユニットにおける各条件の具体的指導方法  大河内清輝君(いじめが原因で自殺,当時13歳)の実話をもと. TypeI21. につくられたドキュメントビデオを教材として使用。ビデオは,いじめ. 1. の実態がリアルに描かれた内容である。. 時. いじめの被害者の心情を考えさせる説明や発間を行う。. 限.  いじめの定義,様々ないじめの様態,いじめの4層構造理論を説明. 目   Type H22. する。いじめに関する研究によって得られている知見を正確に伝える。. いじめの被害者がいじめられていることを告白できない理由を考えさせ る。. いじめの被害者の特性と心理について説明する。 Type皿  Type Iと同じ授業を行う。.  大河内清輝君の父親の話を聞かせる。(いじめによって息子を亡く. TypeI23. 2時限目. した父親の無念さが伝わる内容である。). 傍観者の心情について考えさせる説明や発問を行う。. 被害者の立場になって,周囲の人ができる具体的な支援の方法を考 えさせる。.  いじめの加害者の心理と傍観者の心理について説明する。 発問により”正義”と”思いやり”について考えさせる。. TypeH24. 被害者の立場になって,周囲の人ができる具体的な支援の方法を 考えさせる。. Typem  Type Iと同じ授業を行う。. 21巻末資料2−1参照 22巻末資料2−2参照 23巻末資料2−3参照 24巻末資料2−4参照. 22.

(25) Table3第2ユニットにおける各条件の具体的指導方法  マザー・テレサの活動の様子をビデオで視聴させる。1970年代. TypeI25. のカルカッタの荒んだ様子と路上生活者たちを介護する修道女た. 3. ちの献身的な活動ぶりが描かれた内容である。. 時. 修道女たちの心情を考えさせる発問と説明を行う。. 限.  1970年代のカルカッタの様子と時代背景について説明する。. 目   Type H26. マザー・テレサと修道女たちの生活の様子について説明する。. なぜ,修道女たちが無償で人のために活動しているのか考えさせ る発問と説明を行う。. Type皿  TypeHと同じ授業を行う。  マザー・テレサが戦争中のベイルートに入り,孤立した病院の患. TypeI27. 者たちを救出にむかう内容のビデオを視聴させる。空爆をうけた街. 4時限目. の様子や銃撃戦が繰り広げられる様子などから,自らの危険を省 みずに行動した彼女の勇敢さが感じられる。. 修道女たちが,一人暮らしの老婆の家を訪問して,身の回りの世 話をする様子をビデオで視聴させる。. 自分たちの身の回りに”思いやり”や”援助”を必要としている人は いないか,考えさせる。.  修道女たちが世界各国の様々な地域で,独居老人の世話をす る仕事をしていることを説明する。. TypeH28. 日本の独居老人の現状について説明する。. 精神的な援助を求めている人は,多く存在するが,その存在には 気づきにくい。その理由を考えさせる。. 自分たちの身の回りに”思いやり”や”援助”を必要としている人は いないか,考えさせる。. 行為の質は,その背景にある考え方によって決まることを具体的な 事例を挙げながら説明する。. Type皿  TypeHと同じ授業を行う。. 25巻末資料2−5参照 26巻末資料2−6参照 27巻末資料2−7参照 28巻末資料2−8参照. 23.

(26) Table4第3ユニットにおける各条件の具体的指導方法 視覚障害者が白杖をもって街を歩く姿をビデオで視聴させる。(映. TypeI29. 5時限目. 像は,映画”クイール”の一場面を編集したもの)はじめて盲導犬と 歩く様子や,交差点でトラックと接触しそうになる様子など,視覚障 害者が街を歩くことの大変さが描かれている。. 障害者が住みよい街にするためにできることについて考えさせる。 心のバリアフリーについて説明する。. ノーマリゼーションの理念について説明する。. TypeH30. 視覚障害者にとっての盲導犬の重要性,盲導犬が育てられる過 程,国内の盲導犬の普及率などについて説明する。. 身体障害者補助犬法について説明する。 障害者が住みよい街にするためにできることについて考えさせる。 心のバリアフリーについて説明する。. Type皿31. 視覚障害者の誘導の仕方を説明する。 二人一組になって,ブラインドウォークをさせる。 シェアリングを行う。. 井上美由紀さんの弁論をもとに,彼女の生い立ちや成育過程にっ. TypeI32. 6時限目. いて説明する。(井上さんは,わずか500gで生まれた全盲の少女. である。弁論は母親の深い愛情と障害をカバーするための努力が 表現された内容である。). 障害者との接し方について,障害者の立場に立って考えさせる 障害を持ちながら活躍する有名人やタレントを例にしながら,彼ら の卓越した能力や障害をカバーするための努力を知らせる。. TypeH33. 障害者に対する無理解が偏見を生み,それが心の障壁となること を説明する。. 困っている人を見ても声をかけにくいのはなぜか考えさせる。. Type皿34. 横断歩道で視覚障害者が困っている場面を想定し,声をかけて誘 導する内容のロールプレイを行う。. 視覚障害者が安心して暮らせる街にするためにはどのようにすれ ばよいかを考えさせる。. 29巻末資料2−9参照 30巻末資料2−10参照 31巻末資料2−11参照 32巻末資料2−12参照 33巻末資料2−13参照 34巻末資料2−14参照. 24.

(27) 授業者 授業並びに測定は,実施者と実施方法に関する要因を統制するため,全て 同一の授業者(教職歴16年,男性)が公立X中学校の教室で行った。生徒と 授業者とは未知の間柄であった。. 測定尺度 1.3ユニット(6単位時間)の効果を測定するための尺度. 情動的共感性尺度 生徒の共感性を測定するため,加藤・高木(1980)の”情動的共感性尺度”を 利用した。この尺度は,“感情的温かざ’,“感情的冷淡ざ’,“感情的被影響 性”の3因子より構成されているが,測定時間を短縮するため,“感情的被影響 性”の因子は除外し,2因子のみで尺度を構成することとした。  ①”感情的温かざ’.   下位因子の一つである”感情的温かさ”についての質問項目(10項目)の.  うち,授業内容と関連のあると思われる質問項目について4項目選択し,新  たに7項目を加えて,計11項目によって構成した(Table8)。回答形式は,各  項目に対して”とてもよくあてはまる”(5)∼”まったくあてはまらない”(1)の5.  件法とした。.  ②”感情的冷淡ざ’.   原典の10項目のうち,授業内容に関連のあると思われる質問項目にっい  て8項目を採択し,新たに1項目を加え,計9項目によって構成した(Table  9)。回答形式は,各項目に対して”とてもよくあてはまる”(5)∼”まったくあて  はまらない”(1)の5件法とした。. 援助規範意識尺度 生徒の援助規範意識を測定するため,箱井・高木(1987)の”援助規範意識.                25.

(28) 尺度”を利用した。この尺度は,“他者を援助することに対する規範意識の個人 差を測定する尺度”であり,“弱者救済規範意識”,“自己犠牲規範意識”,“交. 換規範意識”,“返済規範意識”の4つの下位尺度によって構成されている。こ のうち,授業のねらいに関連が深いと思われる“弱者救済規範意識”,“自己犠 牲規範意識”の2因子を採り上げ,尺度を構成した。. ①”弱者救済規範意識”   本研究においては,箱井・高木(1987)によって作成された5項目に新たに.  6項目を加え,計11項目によって尺度を構成した。また,中学生にも理解し  やすいようにもとの5項目の文章も一部改変している(Table10)。回答形式は,  各項目に対して”非常に賛成”(5)∼”非常に反対”(1)の5件法とした。.  ②”自己犠牲規範意識”.   中学生に理解しやすいように文章を一部(8項目のうち5項目について)  改変して質問項目を作成した(Table11)。回答形式は,各項目に対して”非  常に賛成”(5)∼”非常に反対”(1)の5件法とした。. 道徳的判断力検査 生徒の道徳的判断力を測定するため,棚澤(2001)の“道徳性発達検査”を. 利用した。中学2年生用の検査は全部で10課題であるが,そのうち,授業内. 容と関連があると思われる課題を4課題,採択した35。課題の形式は,道徳的 ジレンマを生起させる文章を読み,ジレンマ状況での判断とその理由づけから. 道徳性の発達段階を同定するものである。回答結果に基づく道徳的判断力の 得点化は,糊澤(2001)に従い,4つの課題に対する回答に対して,Table5の ように得点を与え,その評定値を単純加算した値を”道徳的判断力”得点とし た。(得点レンジは8点から16点) 35巻末資料1−3参照. 26.

(29) Table54っの課題における選択肢に与えられる得点 選択肢. 3.5 2. 2  3 3  2. 4  2 3  2 3,5 3,5. 43∩乙3. 3  3.5.    5. 課題 アー1アー2 アー3 アー4 アー5 イー1イー2 イー3 イー4 イー5. 4  3. 向社会的行動意欲尺度 向社会的行動(思いやり行動)に対する意欲を測定するために,横塚(1998). の向社会的行動尺度(中高生版)を利用した。この尺度は,向社会的行動をし. た過去経験を自己報告に基づいて測定する尺度である。本研究においては, 過去の経験ではなく,“意欲”を測るために,文末表現を“…した”から“…し たいと思う”というように変更した。また,質問項目はもとの20項目のうち,授業. との関連性が弱いと思われる7項目を削除し,新たに関連のある内容について 4項目を加え,計17項目とした(Table10)。回答形式は,各項目に対して“とて もそう思う”(5)∼“全くそう思わない”(1)の5件法とした。. 道徳的知識検査36 授業で学習した道徳的な知識の定着度を測定するために作成した。問題は,. いじめに関する問題や困っている人への援助について問う問題1(15項目,O ×形式),ノーマライゼーションに関する問題2(1項目,選択形式),障害者福. 祉に関する問題3(4項目,記述形式),障害者への援助の方法にっいて問う 問題4(5項目,O×形式)からなる。配点は,問題1の①∼⑮の正答に各2点,. 問題2の正答に6点,問題3の正答に各1点,問題4の①∼⑤の正答に各2点 を与え,それぞれの得点を単純加算した値を「道徳的知識」得点とした。(得点 レンジ:0点∼50点). 36巻末資料1−5. 27.

(30) 2.各ユニットの効果を測定するための尺度. いじめ被害者に対する救済意識 いじめを受けている被害者を救済しようとする意識を測定するための尺度で ある。6項目の質問項目(Table11)から構成され,回答形式は,”まったくそのと おり”(5)∼”ぜんぜん違デ(1)の5件法とした。. 第1ユニットの指導効果を測定するために使用した。. いじめ規範意識尺度37 いじめ行為に対する許容度を測定するための尺度である。回答形式は,”教 科書に落書きする”,”その人だけ,のけ者にする”など,12項目の具体的ない じめ行為に対し,”大変悪いと思う”(5)∼”まあよいと思う”(1)の5件法とした。.  第1ユニットの指導効果を測定するために使用した。. 無償の思いやりに対する意識尺度. 無償で行われる思いやり行動に対する価値意識を測定するための尺度であ る。9項目の質問項目(Table12)から構成され,回答形式は”非常にあてはま る”(5)∼”まったくあてはまらない”(1)の5件法とした。.  第2ユニットの指導効果を測定するために使用した。. 障害者福祉に対する意識尺度 障害者福祉に対する意識を測定するための尺度である。11項目の質問項目 (Table13)から構成され,回答形式は“非常にあてはまる”(5)∼“まったくあて はまらない”(1)の5件法とした。. 37巻末資料1・7. 28.

(31) 授業評定のための尺度 実験のために設定された3条件の授業が,意図したとおりに実施されたのか 否かを検討するために,15の質問項目からなる尺度(Table17)で検討した。.  第3者に授業を録画したビデオを視聴させ,その授業の傾向性について,評 定させた。1名にっき,同じ日に実施された3条件の授業(3学級分の授業)の. 評定を依頼し,1単位時間の授業を2名の評定者が評定するようにした。評定 の順序は,Type I・皿・皿の授業の順序を評定者ごとに組み替えた。この評定. 者は,研究の目的,指導タイプの操作の内容を知らない小中学校の現役教師 12名が行った。回答形式は“非常によくあてはまる”から“全くあてはまらない” の7件法とした。. 7手続き 本研究の流れをFigure3に示した。. 事前測定 事前測定は,3条件ともすべて同一の実験者(現職教員,男性)が行った。測 定のために使用した場所は,生徒が所属する教室である。 まず,最初に調査の目的を説明した後,“思いやりに関する質問紙”(道徳的. 判断力検査)を配布した。回答の方法について説明し,練習問題を行った後,. 1問ずつ,問題文を読み上げ,その都度,被験者が回答していく方式で実施し. た。4問の問題に全員が回答し終えたことを確認して,用紙を回収した。時間 は,20分を要した。次に,“人を助けることに対するわたしの気持ち”(援助規範. 意識尺度)を配布し,回答方法を説明した。その後は,生徒が各自,自由測度 で回答した。. 29.

(32) 公立X中学校 事 皿. 1 唖印泪い.. 情動的共感性尺度. 援助規範意識尺度. 定. ト. 単位 時間. ユニッ. ↓. 道徳的判断力検査. TypeI. TypeH. Type皿. (A組). (B組). (C組). 実 第1. 験. 1 授. ユニット事前測定. 1. 授業1・① 授業H・① 授業1一①. 2. 授業1一② 授業H一② 授業1一② 第1. 業. ユニット事後測定 ユニット事前測定. 2. 3. 授業L③. 4. 授業1一④ 授業H・④ 授業H一④. 授業H一③ 授業H一③. 第 2ユニット事後測定 第3 ユニット事前測定. ↓. 3. 5. 授業1一⑤ 授業H一⑤ 授業皿・①. 6. 授業1・⑥ 授業H・⑥ 授業皿一② 第 3ユニット事後測定. 公立Y中学校. 後測. 事. 定. 情動的共感性尺度. 援助規範意識尺度 道徳的判断力検査 向社会的行動意欲 道徳的知識. Figure3研究の流れ. 30. 情動的共感性尺度 助規範意識尺度 道徳的判断力検査.

(33) 全員が質問項目のすべてに回答し終えたことを確認した後,用紙を回収した。. 時間は15分を要した。 最後に,”わたしの感情”(情動的共感性尺度)を配布し,回答方法を説明し. た。その後は,同様に,生徒が各自,自由測度で回答した。全員が質問項目 のすべてに回答し終えたことを確認した後,用紙を回収した。時間は10分を要 した。. 実験授業 事前測定を行った一週間後,授業を開始した。3タイプの授業はすべて同一. の授業者が行った。授業時間は,学校行事の関係で設定できない週を除き,. 毎週1回,水曜日に行われた。授業時間は,午前中の1時限目,2時限目,3 時限目に各学級の順序を入れ替えながら設定した。授業場所は,パソコン,プ ロジェクター等,機材の設定に時間を要することから,空き教室を借り,3学級. の授業をすべて同じ教室で行った。授業の主題と内容は,Table2∼5のとお りである。. ユニット単位の効果測定. 各ユニットの授業効果を測定するため,授業ユニット実施前と実施後におい てp.28に示した測定を実施した。事前テストは,ユニットの1限目の授業が設定 された目の“朝の会”の時間に,事後テストはユニットの2限目の道徳の時間中. (終末部分)で,それぞれ,約5分の時間を使って行った。. 事後測定 事後測定は2日間に分けて行った。まず,3ユニット(6単位時間)の実験授業. が終了した目の2目後に,事前測定と同様の方法で,同じ3種類の測定を行っ.                31.

(34) た。実施に要した時間は,事前測定に要した時間とほぼ同じである。  さらに,その3日後,“向社会的行動意欲”と“道徳的知識”の測定を行った。. これらの教示,測定もすべて同一の実験者が行った。実施に要した時間は,約 20分である。. 実施時期. 2005年5月中旬から7月上旬. 32.

Table l3障害者福祉に対する意識項目の1・丁相関の結果と項目を除外した場合のα係数 丁関ト相 項目を除いた 場合のα係数 12345678901         1 1 高齢者はラッシュ時の混み合った電車に乗るべきではない。 障害者用のトイレを設置するために多額の税金を使うのはもったいない。どの信号機にも音で知らせる機能をつけるべきだ。飲食店には、たとえ盲導犬でも入店すべきではない。街の歩道にはすべて点字ブロックを設置すべきだ。街で障害者が困っていたら、声をかけてあげようと思う。車椅子を利用する人は、

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