社
会系教
科教育学会
『社会系教科教育学研究』
第18
号 2006
(pp.1-10)
地理教育の社会化
−わ
が
国の
地
理教
育
変革論の
体
系
と課
題−
Socialization in Geography Education : Theological and Practical Logics for
Justifying the Significance of Teaching Geography
草
(鳴
原
門
教
和
育
大
博
学)
I
問題の所在
−なぜ地理を教えるのか一
近年匚
なぜ
地理
を教
えるのか
」が改めて問われ
ているl
)
。ウェブやデー
タベースが広
く普及
した
今
日
,子どもに匚
地名や物産
を覚えておいて損は
ない
」と諭
しても,それ
を疑
いなく受け入れ
る保
証はない
。結論
を先取
りすると,今
日の地理教育
は社会との
接点を見
いだす
ことで自らの存在理
由
を高め
ようと
している
。匚
役に立つ」匚
実用的な」
地理教育の構築である
。公教育と
して地理教
育を
展開す
る限
り
,社会的な有用性を主張
しないと教
育課程での
地位
を失いかねな
いとの危惧が
,関係
者に広ま
っているのだ
ろう
o
そこで本稿では
,地理は
いかに
してその有用性
を説
くことが
できるか
,改革に向けた様々な動き
を捉
え評価す
る基準を提起することを
目的とする
。
は
じめに
,わが国の地理教育変革論
を匚
社会化」
の程度を礼帽こ
類型化を試み
,得られた諳類型を
原理的な完成度に沿って序列化
してゆ
く
(皿
)
。
続
いて
nで設定された諳類型の
なかで現行体制下
でも実践可能な論を措定
し
,同論にもとづく内容
構成と授業モデル
を提示する
(Ⅲ)
。最後に様々
な制約のもとで旧来の地理教育を脱構築
し
,漸進
的ながらも地理教育の
「
“社会化
」を図ってゆ
くこ
との意義と課題
を明らかに
しよう
(I
v)
。
H
地理教育の
「社会化
」
1
地理教育変革論の諸類型
公教育
,と
りわ
け教科指導における有用性
とは
,
単に私的な趣味や個
人的教養に資することでは
な
い
。公的問題の理解や社会
的関心を深める
ことに
役立
の
変革を,地理教育の
つことである
Oこのね
「社会化」と称
らいに向けた地理教
した
い。こ
育
-1−
の社会
化は
,目的達成の
手段
をどこに求め
るかで
,
表1
に示すように
2次元で捉
えることができる
。
第凵こ
子どもの認識
対象
。①
地理固有の事象に限
定するか
,②
我々の
問題意識に応
える社会的な事
象にまで広
げるか
で
,対象の社会
化の
程度は
異な
っ
てくる
。第
2に対象を捉える視点。①
地理学固有
の視
点に先鋭
化させるか
,②
他の社会
諸科学の見
方中心に
して解釈させるかで
,得
られ
る認識
内容
の社会化度にも差が
生
じよう
。これ
ら
2つのベク
トル
を掛け合わせることで
,地理教育変革論の4
つの理念型
を導
く
ことができる。
近年の地理教育の有用性
を追求する動きは
,表
1の
いずれかの類型に位置
づけられ
る
。左列か
ら
右列
,上段か
ら下段に進むにつれて,
トータルに
首尾
一貫
した匚
社会
化」が実現するようになって
いる
。以下,先行研究の成果と照
らし合わ
せて2
)
,
匚
社会化」を基準に
した地理教育変革論の諸段階
を
示す
ことに
したい。
2
地理科一教育的意義の追求一
変革論の基
点に位置するのが
,左上象限。本論
において
,地理の認識対象は地理的事象でな
くて
はな
らない
。地域で見
られる膨大な諸事象のなか
でも
,とくに自然環境
とそこで繰
り広げられ
る人
間活動に焦点
化
した事象か
,空間的な尺度
(立地
・
移動
・分布など)に置き換えられた事象でな
くて
はな
らない
。これ
らの対象に対する匚
なぜ?」の
問いにも
,その場所の
自然
・人文条件
(地人相関
)
にも
とづき説明するか
,空間的な優位性
を視点に
理由付け
しなけれ
ばならない
。すなわ
ち,変革の
ペク
トルの双方において
一切の社会化を許さな
い。
地理固有の見方の指導で一貫させ
ようとする本論
こそ
,厂
地理科」の名に値す
る。
表 1 地 理 教 育 の 厂社 会 化 」 論 の 類 型 化 認 識 対 象 の 固 有 性 認 識 対 象 の 社 会 化 認 識 内 容 の 固 有 性 迪 珂 ① 地 形 の地 理 学 研 究 ( 自 然 地 理 学 ) ② 工 業 立 地 の 地 理 学 研 究 ( 経 済 地 理学 ) ③ 広 島 市 の地 理 学 研 究 ( 都 市 地 理 学 ) ④ 工 業 立 地 の地 理 学 研 究 ( 判 断 力 の 育 成 ) ⑤ 観 光 開 発 の地 理 学 的 研 究 ( 参 画力 の 育 成 ) ⑥ 人 間 行 動 の地 理 学 研 究 ( 生 き方 の 反 省 )
│地理科社会│
⑦ 民 族 紛 争 の地 理 学 的 研 究 ( 中 央 ア ジ ア) ⑧ 住 民 対 立 の地 理 学 的 研 究 ( 矢 作 川 流 域) 認 識 内 容 の 社 会 化 社 会 地 理 科 ⑨ 人 口 移 動 の 社 会 科 学 的 研 究 ( 現 代 史 ) 例 え ば 論 文 ① で は, 自 然 地 理 学 の 安 定 陸 塊 や古 期 造 山 帯 ・ 新 期 造 山 帯 の 概 念 を ダ ン ボ ー ル 模 型 で イ メ ー ジ さ せ , 定 着 さ せ る指 導 法 が 紹 介 さ れ て い る。 論 文 ② で は, 経 済地 理 学 の 工 業 立 地 の 理 論 を 習 得 さ せ る と と も に, 子 ど も の 問 い を 引 き 出 す 探 求 過 程 の つ く り方 が 示 さ れ る。 論 文 ③ で は , 広 島 市 に お け る ヒト ・ 施 設 の 集 積 と 周 辺 都 市 と の結 び つ き を 都 市 地 理 学 の中 心 地 の 概 念 で 説 明 し て ゆ く 授 業 が 提 案 さ れ て い る。 い ず れ の 研 究 も, 環 境 ・ 空 間 に関 わ る地 理 的 事 象 を 地 理 学 的 に捉 え さ せ る 点 で一 致 し て お り , 本 稿 の 意 味 で の 「 社 会 化 」 と は一 線 を 圉 す る。 し か し 近 年 , 地 理 教 育 の非 社 会 化 を 堅 持 し な が ら も , 授 業 の教 育 的 意 義 を 模索 す る 動 き も 見 ら れ る よ う に な っ た。 例 え ば 論 文 ④ で は , 地 理 学 の 概 念 学 習 と 社 会 的 判 断 力 の 育 成 を 接 合 さ せ る 授 業 が 提 起 さ れ て い る。 小 単 元 の 前 半 で は , 産 業 の立 地 に つ い て 教 授 し, 後 半 で は 産業 活 動 が も た ら す大 気 汚 染 や 酸 性 雨 問 題 の 解 決 策 を 決 定 さ せ る 。 そ う す る こ と で , 地 理 も 「 公 民 的 資 質 の 育 成 」 に貢 献 で き る と 述 べ る。 た だ し 筆 者 が 慎 重 に定 義 す る よ う に , あ く まで そ の授 業 は 「 地 理 的 認 識 に 基 づ く 社 会 的 判 断力 」 を 養 う も の で , 学 習 対 象 は 「 社 会 的 意 義 を も つ 地 理 的 事 象 」4)で な け れば な ら な い。 指 導 の ね ら い を 地 理 的 見 方 ・ 考 え 方 の育 成 に求 め な が ら も , 昨 今 話 題 に な っ て い る 論 点 ・争 点 を 取 り 入 れ, 子 ど も の 判 断 場 面 を 設 け る こ と で , 地 理 的 事 象 を 学 ぶ 意 義 を 高 め て い る。 ほ ぼ 同 じ 論 理 を 2 − 説 い て い る の が, 論 文 ⑤。 自 然 の保 全 と産 業 の新 興 を 両 立 さ せ る「 ̄エ コ ツ ー リ ズ ム」 に 着 目 し て , 沖 縄 開 発 の 方 策 を 提 案 さ せ て い る。 地 理 教 育 で は 社 会 問 題 を 扱 う に し て も, 取 り 上 げ る 対 象 は 地 理 的 な 問 題 = 環 境 問 題 に 限 る と い う 明 確 な 方 針 を 示 し て い る点 で 注 目 さ れ る。 論 文 ⑥ で は, 地 理 学 の 概 念 学 習 を 自 己 の 生 き方 の反 省 につ な げ る 実 践 が 報 告 さ れて い る。 子 ど も に は, 時 間 地 理 学 で い う 「 ラ イ フ パ ス 」 を 描 か せ る こ とで , こ れ ま で の居 住 地 と 行 動 圈 を 対 象 化 し, 厂過 去 の 自 分 の 人 生 を ふ り か え る と と も に , 今 後 の人 生 を 展 望 す る た め の 機 会 を 生 徒 に 与 え 」5)て い る。 も ち ろ ん生 き 方 の 反 省 で あ れ ば , 綴 り 方 や 討 論 の 指 導 で も可 能 だ し, 言 語 の方 が 思 い の 丈 を 存 分 に 吐 露 で き る か も し れ な い。 し か し , そ う い う 選 択 肢 を 採 ら な い の は, ラ イ フ パ スを 描 く 作 業 自 体 に 意 味 が あ る か ら で あ る。 時 間 地 理 学 の 表 現 方 法 を 踏 み 台 に し て , 生 き 方 指 導 の 可 能 性 を 追 求 し た 大 胆 な 提 案 と い え る だ ろ う。 3 地 理 科 社 会 一 認 識 対 象 の 拡 大 一 一 方 , 右 上 の象 限 は, 対 象 に 縛 り を か け ず 門 戸 を 開 放 し , 現 代 世 界 の課 題 ・ 問 題 を 広 く扱 お う と す る論 で あ る。 認 識 す べ き対 象 にお い て 厂社 会 化 」 を 推 し 進 め る こ と で , 旧 来 の 地 理 教 育 以 上 に 学 習 の 裾 野 を 拡 げ る。 し か し, そ の 解 釈 にお い て は地 人 相 関 や 空 間 論 的 見 方 を 放 棄 し な い。 む し ろ そ れ らを 優先 的 に 適 用 し て , 対 象 把 握 さ せ る論 で あ る。 基 本 的 に は 匚地 理 科 」 の 範 疇 で 子 ど も の 眼 差 し を社会事象ヘシフ
トさせる変革論なので
,これ
を
「地理科社会」と称
したい
。一般には
「主題的な
学習
」の名で呼ばれ
,実践
され
ている。
ここでは本類型の典型事例と
して
,論文⑦⑧に
注
目しよう
。論文⑦
では
,中央アジアの
民族問題
を取
り上げ
,国境と民族分布の不
一致を根拠に
,
問題の原因
を究明させる授
業が紹介
されている
。
論文⑧では
,矢作川の上流域と中下流域における
河川の汚染と
,それに由来する住
民対立に焦
点を
当てる
。そ
して問題の原因と解決策
を,地域の機
能的空間的な対立と統合に求める学習が構想
され
て
いる
。いずれ
も地理的事象に拘
らず
,文化
・社
会
・政治等の現象を取
り上げており,先の
類型と
比べ
ても対象の匚
社会化
」が進んでいる
ことは疑
いない
。しか
し,分析の視r
氛
では一歩も譲歩
しな
い
o現代の諸課題
を地理学的に解釈させ
,子ども
の学問的教養
を高めることが
,本類型の基本的な
ね
らいとなっている。
なお
,地理学固有の視
点を重ん
じる本論の特徴
は
,子どもの認識
内容にも大きく影響
して
くる。
民族問題の原因は
,国境線の
引き方の問題として
処理
し
,公害問題の解消は
,広域組織の設立
と意
見調整に求める
。そこでは,
(民族問題を深刻化
させ
ている)I
マイノ
リテ
ィに対する政治的
・社会
的差別や現行政権に対する大国の支援
,
(公害問
題
を招いている)汚染水の処理コス
トの負担
を放
棄
した企業の存在な
ど
,主要因への深入
りが慎重
に避けられ
ている
。見方を代えると,そうするこ
とで地理の存立基盤
を守
り
,アイデンティテ
ィを
主張
しているとも言
えるだ
ろう
。
4
社会地理科
一対象の分析視
点の拡大一
象限が左下に移
ると
,変革論にもう
1つの転換
が訪れる
。地理教
育の看板
を掲
げる以上,子
ども
の
認識対象は地理的事象でな
くては
ならないが
,
子
どもの
対象理解
を深める方向であれば
,隣接諸
科学の視r
氛
を借
りることを厭わない
。地理学固有
の扎曵
を超
えて視点,
を拡
充し
,事象の
「 ̄
なぜ
?」
を解明し
,対象に
ついて誤
りない見方を育てよう
とする変革論である
。匚
社会地理科」とラベ
リン
グ
しよう
。本論は,
「社会の見方
・考え方」の一
要素に過ぎない厂
地理的見方
・考
え方」の過大な
位置
づけを戒めるため3
)
,授業は地理的事象の地
−3−
理学
的
,政治学的,経済学的,社会学的研究…の
形を採る
。結果的に子どもの学習は
,現象理解で
這い回る
「地理科社会
」以上に
,事象の本質や
主
要因に深
く立ち入ることになる
。
ここでは論文⑨
に注
目しよう
。本論文が提起す
る授
業は
,戦後日本の人
口移動を取
り上げ
,その
特徴
と原
因を4つの
時代に分けて解
明させて
いる
。
各時代におけるヒ
トの動きを
,その時々の
景気変
動
と地価
,労働環境などとの関わ
りで捉
えさせて
いる点で
,
「地理科社会
」以上の認識の深ま
りが
保証
されている。
ただ
し
,なぜ人口移動を学ばなけれ
ばならない
かにかかわ
る
,学習対象の選択基準は
明示され
な
い
。人口移動よ
りも人口構成
を取
り上げるべきで
はないか
,高齢化社会の原
因
・影響こそ探求に値
するの
ではないか
,との指摘は棚上げされ
る。空
間
的移動=地理
的事象の学習価
値を所与
とみ
な
し
,
それ
を分析
して得られ
る知識の質的向上を優先さ
せた論となっている。
5
社会科地理
一教育
目標の見直
し一
最後に表の右下象限
。認識対象と認識内容の両
面において社会化が徹底され
る
。は
じめに地理的
事象あ
りきではない
。あくまで子
どもの問題意識
か
ら地域にア
プロ
ー
チ
し,知るに値する
(自然
・
人間
・政治
・経済
・社会
・文化
・歴史等の
)地域
の事象
一
問題を抽出する。さらにその事象
・問題
を多学問的(Multi-disciplinary)
視点から分析
し
,
成立要因を追求させる
。すなわち
,本類型では,
「地理
を教えるのが地理教育
」という前提が排さ
れ
る
。地理独
自の対象
と視
点は
,社会認識の
形成=
教科
目標の達成に必要な限
りで選ばれ
,教
えられ
るに過ぎない
。結果的に中途半端な社会化は退け
られ
,地理教育は
「地域
を舞台に
した総合的な社
会研究
」への衣替えを余儀
な
くされ
る。この
よう
な抜本的な変革論こそ,
「 ̄
社会科地理」に他なら
な
い。
本類型
を志向している変革論と
して
,論文⑩⑩
⑩
を取
り上げたい
。論文⑩
では
,マラウイやアフ
リカでみ
られる貧困現象を開発経済学の視
点から
分析させ
,人間の
生存を拒んでいる社会的要
因を
体
系化させている
。論文⑩では,さらに視点を広
げて,ア
フリカの
民族問題の原因を,歴史学的,
政
治学
・経
済
学
的
,社
会
学
・心
理
学的
に解
明
させ
よ
うと
して
いる
。論
文⑩
では
,特
定の
問
題に絞
り
込
む
こ
とな
く
,ラテ
ンア
メ
リカの
社会
構
造
を大
き
く把握
さ
せ
よ
うと
して
い
る
。
いずれ
の
授
業でも
,民
主的
な社
会
を築
いてゆ
く
上で障
害
とな
る
地域の
貧
困や
紛争
,
汚職
な
どの
諸
事
象
に焦
点
を
あて
る
こと
で
,地理
を学ぶ
意
義
を明
確
に
して
い
る
。
さらに
,
これ
らの
事
象の
本
質
を明
らか
にす
るの
に
有用
な視
点
を
,聖
域
を設
けず
総
合
的に
投入
し
,
対象に
深
入
り
してゆ
く。そ
うす
る
こ
とで社
会
に
つ
いての
誤
りなき
認識
を育て
るもの
に
なっ
て
いる
。
Ⅲ
地理教育の限定的な
「社会化
」
1
地理教育の社会化
をめ
ぐる研究課題
H章の考察から明
らかになるのは
,第
4類型
:
社会科地理の原理的な卓越性である
。地理教育の
目標
自体
を書き換
え
,認識対象
と内容の社会化
を
図ることで
,子
どもの社会的関心
を高めるととも
に
,国民
・市
民に求められ
る科学的知識と判断
力
を養
うも
のになって
いた
。
ただ
し
,抜本的な変革論であるが故に,本論が
我が国の指導要領体制に整合
していな
いのも
,ま
た事実である
。米国には
,地理教育の匚
社会化」
を最終局面まで究めたカリキ
ュラム例も見受けら
れ
る6
)
。
しか
し我が国の
教育制度は
,そこまで至っ
ていない
。当面は厂
社会科地理
」の
1つ手前の
匚
社会地理科
」の
可能性
を検討し,指導要領の枠
内で子
どもの知性
を開花
させ
る地理教育論を確立
してゆ
くほかないだ
ろう。
そこで以下では
,厂
社会地理科」論にもとづい
て
,限定的では
あるけれ
ども現実的な
,地理教育
変革の手立て
を明らかにすることに
したい
。
2
小単元の内容構成と学習指導
匚
社会地理科
」の内容構成と学習指導
を,授業
モデルの
開発
を通
して提示
した
い
。授
業の
主題は
,
匚
日本の交通ネッ
トワ
ー
ク」
。地域の
ヒ
ト・モノを
結び
つける交通=地理的事象を粘
りづよく研究さ
せる4時間の授業を構想する7
)
O
厂
社会地理科
」の小単元は,図1
に示すように
大きく2つの段階で組織
される
。第凵こ
地理学的
な認識対象を確定する段階,第
2に確定され
た事
−4−
象に対
して学習課題を設定
し
,答えとなる社会科
学的な認識内容を確定する段階である
。基本的に
この順序に逆転はない
(あ
りえない)
O必ず前者
が後者に優先するところに
,匚
社会地理科」の社
会地理科たるゆ
えんが
ある
。
(1)空間的パタ
ー
ンと
プロセスの確定
小単元の前半では
,厂
交通」という事象の空間
的パタ
ー
ンと
プロセス
を把握させる
。具体的には
,
①
地域のなかで
,とくに注
目すべき事象の
空間的
形状を捉
える
,②
その
形状が時間経過に沿って
ど
のように変化
しているか
を提示する
。地理的事象
にみ
る
2つの現象
一静態
(パター
ン)と動態
(プ
ロセス
)−を確定することが,内容構成の
第
1段
階となる
。
小単元匚
日本の
交通ネ
ッ
トワ
ー
ク」では,まず
パ
ー
ト1か
らパー
ト3
(第
1時)で,今
日の交通
ネッ
トワ
ークの静態
(パターン
)をつかませる
。
子
どもには航空機や鉄道を基盤と
した高速輸送網
を全国スケ
ール
と地方スケールの地図に分けて提
示する
。
2つの
地図の読み
とりを通
して,地方と
地方を結ぶ末端の厂
支線
」は廃止
される一方で,
地方と大都市
を結ぶ厂
幹線
」は拡充され
てきた趨
勢
を把握
させる
。さらに今
日の交通に見
られる空
間的パターン
を
「’
ハ
ブ
・スポー
ク」型と
して概念
化させたい。
パ
ー
ト4
(第
2時)では
,このようなパター
ン
が成立するまでの過去か
ら現在に至るネッ
トワ
ー
クの動態
(プロセス)
をつかませる
。子
どもには
高度成長期に増発された
長距離列車
,とくに分岐
駅で分割
・併合
を繰
り返
して,東北の地方都市
を
隈な
く結んだ
急行匚
み
ちの
く
」の経路
を提示する。
分析を通
じて
,空間的密度の等
しい,どこの居住
者にも均等なアクセス
を保証
しようと
したネ
ッ
ト
ワ
ークの原型が確認
されるだろう。さらに国鉄が
構築
した運行系統と今日のJR
のそれ
を比較させ
ることで
,いわゆ
る匚
網の
目」型から匚
ハ
ブ
・ス
ポ
一方
ーク
」型への
,パー
ト5
交通の
(第
3時)では,今ま
変化
を捉
えさせたい。
さに変化
を遂
げている
,現在か
ら未
来にかけてのネ
ッ
トワー
クの動向
を推測させる
。子どもには大都
市を中心
に増便と価格競争を繰
り広げる航空機の
路線図を
示
し,同
じ幹線の
中にも序列が生まれ
,優遇
され
尸[iiaa'
 ̄
 ̄
 ̄
 ̄
 ̄
 ̄
 ̄
 ̄
 ̄
 ̄
 ̄
 ̄7
/ ̄[jiai[L
地域9諸事象の
仁一一肩 地域9
図
1
小単
元の
内
容構
成
と学
習
段階
る路線
(地域)とそ
うでない路線
(地域)に分か
れ
てゆ
く状況を読み
とらせる
。また赤字路線
を切
り捨て
,収益の高い路線
(東京と地方中心都市)
に資材
を集中させ
るス
カイマ
ーク社の動きを手が
か
りに
,
「同心円的に広がるハ
ブ
・スポーク」型
は匚
主要幹線に偏ったハ
ブ
・スポーク
」型に変質
を遂げようと
している点に気づかせたい
。
これ
ら
一連の
学習
で我が
国の
交通の空
間的パター
ンとプロセスが把握され
る
。教授書掲載のモデル
図を活用することで
,ネッ
トワー
クの形状
と変化
は
,よ
り一般化された形で理解
されるだろう。
(2)原因
・影響の社会科学
的な解明
地理的事象のパタ
ー
ンと
プロセスが確
定される
と
,その
変化に対
して厂
なぜそ
うなったのか?」
匚
その影響は
どうか
?
」と問いを投げかける。こ
の
課題に対する答
えを確定するのが
,内容構成の
第
2段階である
。実の
ところ,現代社会において
前述の
ような空間現象を形
づくっているのは
,自
然の
力よ
りも社会の
力であろう
。個人
・集団の意
思決定
と社会の構造
変動が
,空間現象
を生み
だ
し,
またつく
り変えている
。従
って,可視的な現象の
記述
を超
えてその本
質を明
らかに
しようとすると
,
地理学以上に人間
・社会の
リア
リティを暴き説明
してきた政治学や経済学
,社会学などの理論を取
り入れ
ざるを得な
い
。教師は
自らの研究を通
じて
説得力溢れる理論
とそれ
を裏付けるデータ
を収集
し,探求過程
を組織
してゆ
く。
小単元匚
日本の交通ネッ
トワ
ー
ク」のパー
ト6
と7
(第
4時)では
,学習課題
と
して①ネ
ッ
トワー
クの
変化の理由と②その
変化がもたらす結果
・影
響
を考えさせる
ことに
した
。
-/ / / /学習過程
1
事象
の地理学
的把
握
学
習
過
程
2
地
理
的事象
(著者
の
作
社会
成)
科
学
的分
ス
①
の
課題は
,経済
学の匚
公
平」厂
効率
」の
概
念
を駆使
して
空間
的パ
タ
ー
ン
をつ
く
り変
える社
会
的
プロセ
ス
を分
析
させ
る
問
い
。子
ども
には
国鉄
の
民
営化や
航
空産
業の
規
制
緩和の
事実
を知
らせ
,解
説
し
,その
目的
・理念
を考
え
させ
る
こと
で
,次
の
知
識
を習得
させ
る
。
・
「網の目」型では,利用者の多い幹線の収益は全体として
プ
ネッ
ール
トワー
し,それは利用者の少ない支線区間に回すことで,
クの空間的な
「公平│
生
」を保証
している。
↓
・
「
(同心円的に広がる)ハブ
・スポーク
」型では,収益の
悪い支線は需要に見合
った交通
手段
(バスや
自家用車)に
委ね
,収益の望める幹線には集中投資し,輸送力を高める
ことで,ネッ
トワークの
空間的な
「効率既
」
を高めて
いる。
↓
・
「
(主要幹線に偏った)ハブ
・スポーク
」型では,とくに
収益の
ネ
ッ
トワークの
高い主要幹線のアクセス
空間
的な
「効率阨をさらに高め
を匳
先的に改善することで
ている
。
,
②
の課題は
,効率性原理にもとづくネ
ッ
トワー
クがもた
らす
「社会
的不
平等
」
を推論させ
るもの
。
鉄道
・航空各社は
,ロー
カル線
を維持する経済的
社会的な費用を
,事実上その
利用者
=地元住
民に
負荷す
味
させ
る。
るようになった状況を示
一連の
学習
で
,次の
知識
し
を習得
,その意味
させた
を吟
い。
・厂
主要
幹線
に偏
ったハ
ブ
・スポー
ク
」型
が定
着す
る
と
,地
域
や
人々の
間
に
,
以下の
格
差が
広が
る
おそれ
が
ある
。
O移動
コス
トが
安
くつ
く都
市
と
,移
動
コス
トカ
塙くつ
く
(
コス
ト負担の
犠
牲
を強
い
られ
る
)地方
。
2)移
動
コス
トカ
塙くな
って
も
,それ
を負担で
き
る経済
的
に
豊か
な
人
・企
業と
,負担
力
攤しい
(さらな
る犠
牲
を強
いられ
る
)余裕
の
な
い
人
・企
匙
3)
健
乗
常
り換
者
と,
えに
負担の
とも
な
重
う
い高
身体
齢
者
的精
・障害者
神
的な
。
負担の
軽
い
若者
・
5−
市 場 経 済 の荒 波 に 投 げ 出 さ れ た 鉄 道 ・ 航 空 各 社 は, 特 定 の 地 域 ・ 集 団 一 社 会 的 弱 者 − に 経 営 コ ス ト の 負 担 を 求 め る こ と で 利 益 を 出 し, 幹 線 を 増 強 し , 生 き 残 り を か けて い る。本 学 習を 通 し て ,普 段 我 々 が 利 用 し て い る馴 染 み の 交 通 機 関 も, 日 本 社 会 の
格差拡 大 と無縁で ない ことが, リアルに認識 さ れ
る ので はな いか。
上述 の単元 構成論 に忠 実に 教授学 習過程を 組織
す ると, 次 の通り。
目 標1 ①現在 の日本 の高速 路線 網, ②かつ て の国鉄 の運行 系統, ③これか ら のスカ イマ ーク社 の路 線設
定を 事例 に,交通 ネット ワー クのパ ターンと そのプロ セ スを,3段階 に分 けて記述 で きる。
目 標2 交通 ネ ット ワ ークの変 化 の原 因 と影 響を, 厂
公平 性」 匚
効 澣 哇」 の追 求 と, 匚
社 会的 不平等」 の拡
大 の視点 か ら説 明で き る。
教師 の指 示・ 発 問 教授学習活動&教材 子 ど もか ら引 き出し た い知 識 【 パ ー ト[j]: 全 国 ネ ッ ト ワ ー ク の 現 状 】 02 つ の 日 本 地 図 に 描 か れ た高 速 交 通 網 の 違 い に 注 目 し な さ い 。 1975 年 に は 存 在 し な い が , 2004 年 に は 存 在 す る 空 港 , 新 幹 線 , 高 速 道 路 に印 を つ け な さ い 。 ・ 新 し く で き た 交 通 網 の 名 前 を 地 図 帳 で 調 べ な さ い 。 ○ こ の 変 化 を 一 言 で 表 し て みよ う。 ・ 高 速 交 通 網 の 発 展 は , 日 本 社 会 に ど の よ う な 影 響 を与 え た だ ろ う 。 【 パ ー ト 圉 :地 方 ネ ッ ト ワ ー ク の 現 状 】 02 つ の北 海 道 地 図 に描 か れ た交 通 網 の違 い に 注 目 し な さ い 。 1965 年 に は 存 在 す る が, 2004 年 に は 存 在 し な い 鉄 道 に 印 を つ け な さ い 。 ・ 新 し く で き た 交 通 網 の名 前 を 地 図 帳 で 調 べ な さ い 。 ○ こ の 変 化 を 一 言 で 表 し て み よ う 。 ・ 北 海 道 で は, な ぜ 一 部 の地 域 で 交 通 網 が 消 え て し ま っ た のか 。 【 パ ー ト[J: ネ ッ ト ワ ー ク の パ タ ー ン 】 ○ 国 土 レ ベ ル と 地 方 レ ベ ル の 変 化 を 組 み合 わ せ て , 今 日 の交 通 網 を モ デ ル 図 に 表 し て み よ う 。 T : 指 示 す る P : 調 べ る T : 発 問 す る P :討 論 す る T : 発 問 す る P :答 え る T : 指 示 す る P : 調 べ る T : 発 問 す る P 二討 論 す る T : 発 問 す る P 二答 え る T 二指 示 す る P : 作 成 す る T : 見 本 を 示 し , 意 味 を 解 説 す る ① ② ・ 新 幹 線 で は, 東 海 道 ・ 山 陽 新 幹 線 に 加 え て 東 北 ・ 上 越 ・ 長 野 ・ 秋 田 の 各 新 幹 線 が 整 備 さ れ た 。 空 港 で は, 紋 別 ・ 大 館 能 代 ・ 庄 内 ・ 福 島 ・ 能 登 ・ 関 西 ・ 但 馬 ・ 佐 賀 の 各 空 港 が 開 港 し た 。 地 方 の 高 速 道 路 の大 半 は, 1975 年 以 降 に 整 備 さ れて い る 。 ・ 中 央 の 大 都 市 ( 東 京 ・ 大 阪 ) と 地 方 の大 都 市 ( 県 庁 所 在 地 な ど ) の ア ク セ ス が 良 く な っ た。 「 幹 線 」 が 整 備 さ れ た。 ・ 物 資 や ヒト の移 動 が 広 く移 動 で き る よ う に な っ て , 産 業 が 活 発 化 し た 。 コ ン ビ ニ や 宅 配 便 が 普 及 し た な ど。 ・ 松 前 ・ 幌 内 ・ 歌 志 内 ・ 深 名 ・ 美 幸 ・ 名 寄 ・ 天 北 ・ 標 津 ・ 広 尾 な ど の 鉄 道 が 廃 止 さ れ た 。 一 方 で , 紋 別 空 港 が 開 港 し た 。 札 幌 と 周 辺 都 市 ( 旭 川 ・ 小 樽 ・ 苫 小 牧 ・ 室 蘭 な ど ) を 結 ぶ 高 速 道 路 も早 々 に 建 設 さ れ て い る。 ・ 地 方 の 大 都 市 ( 県 庁 所 在 地 ) と 小 都 市 の ア ク セ ス は 良 く な っ た 。 地 方 の 厂支 線 」 は 廃 止 さ れ た。 ・ 利 用 者 が 少 な く , 赤 字 が 膨 ら ん だ 。 道 路 が 整 備 さ れ , 鉄 道 か ら 自 動 車 ・ バ ス ヘ の 転 換 が 進 ん だ な ど 。 ・ 中 心 と 周 辺 の 関 係 が 明 確 に な っ た 。 ○ の大 きさ は 都 市 の規 模 , ダ/ 実 線 は 現 存 の ネ フト ワ  ̄ク・/ ……… ダ ` …………… 破 線 は 廃 止 o ネ ッ ト ワ ー ク , ……… l,、 タ ラ・ を あ ら わす ◇ → 「 ̄ハ ブ ・ ス ポー ク」 型 へ 、 ’/ 自 転 車 の 車 輪 の枠 に 似 て い る た め 【 パ ー ト 回 : 「 網 の目 」 型 か ら 「 ハ ブ ・ ス ポ ー ク」 型 へ の変 化 一鉄 道 を 例 に 】 ○ 資 料 か ら, 1968 年 当 時 の 国 鉄 ・ 急 行 「 み ち の く」 が 走 っ て い た ル ート を 読 み と ろ う 。 ・ 上 野 駅 か ら 乗 り 換 え な し で 行 け る 都 市 ( 行 T : 課 題 提 示 T : 指 示 す る ③ ・ 上 野 か ら鳴 子・ 宮 古 ・ 弘 前 まで 直 通 し た。 ま た − 6 −き 先 ) を 調 べ な さ い 。 地 図 帳 で そ の 位 置 を 確 か め な さ い 。 ・ 各 都 市 ま で ど の く ら い の 所 要 時 間 か か か っ て い る か 。 ・ な ぜ 当 時 の 国 鉄 は , 乗 り 換 え な し で 各 地 に い け る こ と を 優 先 し た の か 。 そ う す る こ と の メ リ ット と デ メ リ ット は 何 だ ろ う。 ○ イ ン タ ー ネ ッ ト で , 現 在 , 鉄 道 だ け で 鳴 子 ( 現 鳴 子 温 泉 ), 宮 古 , 弘 前 ま で 行 こ う と し た と き の ル ート を 検索 し て み よ う 。 ・ 各 都 市 へ の 所 要 時 間 と 乗 り 換 え 回 数 を 調 べ な さ い。 ・ 昔 に 比 べ て , な ぜ 乗 り 換 え 回 数 が 増 え た の だ ろ う 。 ど う し て 上 野 か ら 距 離 の 近 い 宮 古 (633km) よ り も, 遠 い 弘 前(762km) の ほ う が, 早 くっ く の だ ろ う。 ・ 時 刻 表 を 見 る と , 新 幹 線 や 東 北 本 線 は 匚赤 色 」 で 描 い て あ る。 し か し , 分 膨 駅 か ら 鳴 子 に 向 か う 陸 羽 東 線 と 宮 古 に 向 か う 山 田 線 は 「 青 色 」 で 描 い て あ る 。 こ の 色 分 け は , 何 を 意 味 す る の だ ろ う 。 ・ な ぜ 地 方 交 通 線 で は , 料 金 が 1 割 増 に な る のだ ろ う 。 ○ 鉄 道 路 線 網 の こ れ ま で の 変 化 を モ デ ル 図 に あ ら わ そ う 。 そ れ を 「A 型 か ら B型 へ 」 と ネ ー ミ ン ク し て みよ う。 P : 調 べ る T : 補 足 説 明 す る T 二発 問 す る P : 調 べ る T : 発 問 す る P : 答 え る T : 課 題 提示 T : 指 示 す る P : ネ ッ ト で 検 索 す る T : 発 問 す る P : 検 索 画 面 を 見 て 答 え る T : 発 問 す る P 二凡 例 を 調 べ る T : 補 足 説 明 す る T 二発 問 す る P 二答 え る T 二指 示 す る P : 作 成 す る T : 見 本 を 示 し , 意 味 を 解 説 す る ④ ⑤ 青 森 ・ 秋 田 ・ 釜 石 ・ 盛 な ど へ 向 か う 列 車 も 一 部 区 間 で 併 合 し て い た 。 車 内 を 移 動 す る だ け で , 東 北 地 方 の 各 都 市 へ 移 動 で き る 列 車 だ っ た。 ・1980 年 代 頃 ま で は, 分 岐駅 で き め 細 や か に 分 割 併 合 を 行 う こ と で , 乗 り 換 え な し で 各 地 へ 移 動 で き る長 距 離 列 車 が数 多 く走 っ て い た 。 ・ 鳴 子 まで 7 時 間 6分 , 宮 古 ま で11 時 間15 分, 弘 前 ま で12 時 間24 分 。 ・ 国 鉄 は国 営 企 業 と し て , 幹 線 沿 線 の 住 民 に も , 支 線 沿 線 の 住 民 に も, 同 質 の サ ー ビ ス を 提 供 し よ う と し た 。 全 国 津 々 浦 々 に 同 じ 密 度 の ネ ッ ト ワ ー クを つ く ろ う と し た 。 ・ 支 線 で は 赤 字 が 出 た 。 分 割 併 合 に は 人 手 と 時 間 か か か り , 効 率 が 悪 か っ た 。 ・ 鳴 子 まで 最 短 4 時 間17 分 ( 仙 台 と 古 川 で 乗 り 換 え 2 回 ), 宮 古 ま で 6 時 間43 分 ( 盛 岡 で 乗 り 換 え 1[回), 弘 前 ま で 5 時 間51 分 ( 八 戸 で 乗 り 換 え 1[目)。 ・ 東 北 新 幹 線 が 建 設 さ れ た の で , 同 線 を 利 用 し て 北 上 し , 分 岐 駅 で 地 方 線 に 乗 り 換 え て 目 的 地 へ 向 か う の が , 最 速 ル ー ト 。 新 幹 線 で の 移 動 距 離 が 長 い 弘 前(628/762km) が, 短 い宮 古 (531/633km) よ り も早 く到 達 で き る 。 ・ 赤 色 は 匚幹 線 」, 青 色 は 「 地 方 交 通 線 」 を 表 す。 分 岐駅 か ら各 都 市 に 向 か う の は, 地 方 交 通 線 。 ・1984 年 , 従 来 の 全 国 一 律 運 賃 は, 幹 線 と地 方 交 通 線 の二 本 立 て に 改 め ら れ た 。 地 方 交 通 線 は, 幹 線 に対 し て10 % 割 高 に な っ て い る。 ・ 運 行 や 維 持 に お 金 が 掛 か り , 利 用 客 も 見 込 め な い 路 線 の 収 益 を 向 上 さ せ る た め 。 利 用 者 に 応 分 の 負 担 を し て も ら う た め 。 ・ 「 ̄網 の 目 」 型 か ら 厂ハ ブ ・ ス ポ ー ク」 型 へ 言 牡 牛 【 パ ート 圈 二「 ハブ ・ ス ポ ー ク」 型 のさ ら な る 変 化 一航 空 機を 事 例 に】 ○ 私 た ち の 住 む 徳 島 か ら 鹿 児 島 ま で , 飛 行 機 で 行 く こ とを 想 定 し よ う。 ・ 徳 島 か ら 鹿 児 島 に 向 か う 直 行 便 は 就 航 し て い な い 。 ど う す れ ば よ い か 。 ・ 隣 県 の 高 松 経 由 で 鹿 児 島 に 向 か う 場 合 (260mile) と , 神 戸 経 由 で 鹿 児 島 に 向 か う 場 合(331 mile) を ,1 )価 格 ,2 )所 要 時 間 , T 二課 題 提 示 T : 発 問 す る P : 予 想 す る T : 指 示 す る P : ネ ッ ト で 検 索 す る ⑥ ・ 福 岡 ま で 飛 行 機 で 行 っ て , 鹿 児 島 便 に乗 り 継 ぐ 。 → 時 間 もお 金 も か か る な あ。 ・ 高 松 一鹿 児 島 線 は,1) 最 安19,000 円 ,2)1 時 間10 分 ,3)1 日 に 1便 。 神 戸 一 鹿 児 島 線 は ,1)最 安1 2,300円, 2)1時 間10分, 3)1日に4便(伊 丹な ら11便)o − 7 −
3)便 利 さ の 視 点 か ら比 べ て み よ う 。 ・ な ぜ 神 戸 ( 大 阪 ) 経 由 で 鹿 児 島 へ 向 か う ほ う が, ト ー タ ル で は 安 く , 早 く , 便 利 な の か 。 ○ 私 た ち の 住 む 徳 島 か ら 東 京 ま で , 飛 行 機 で 行 く こ と を 想 定 し よ う 。 ・ 少 し で も 安 上 が り に 行 く に は , ど う す れ ば い い だ ろ う。 ・ 大 手 に 比 べ て 割 安 な ( 新 規 参 入 し た ) ス カ イ マ ー ク は, 東 京 一徳 島以 外 で は ど こ の 都 市 を 結 ん で い る か 。 ・ な ぜ 全 て 東 京 を 基 点 に し て 地 方 の諳 都 市 を 結 ん で い る の だ ろ う 。 ・2006 年 4 月末 以 降, ス カ イ マ ー ク は, 徳 島 ・ 鹿 児 島 ・ 関 西 線 か ら の 撤 退 を 決 め た 。 代 わ り に 福 岡 線 を 増 便 し , 新 た に 札 幌 ・ 神 戸 線 を 開 設 す る と い う 。 こ れ に は ど の よ う な メ リ ッ ト が 期 待 さ れ る の だ ろ う 。 ○ 航 空 路 線 網 の こ れ か ら 予 想 さ れ る 変 化 を モ デ ル 図 に あ ら わそ う。 そ れ を 「B 型 か ら C 型 へ」 とネ ー ミ ン グ し て み よ う 。 T : 発 問 す る P :討 論 す る T : 解 説 す る T : 課 題 提 示 T : 指 示 す る P 二料 金 表 を み る T 二発 問 す る P : 時 亥U表 を み る T 二発 問 す る P : 調 べ る T 二発 問 す る P : 答 え る T : 指 示 す る P 二作 成 す る T 二見 本 を 示 し , 意 味 を 解 説 す る ・ 高 松 空 港 ま で バ ス で2,400 円 , 2 時 間20 分 。 神 戸 空 港 ま で バ ス で3,400 円 ,2 時 間20 分 。 ・ 神 戸 線 はJAL とANA の 2 社 が 競 争 し て い る の で 値 段 が 安 くな る。 お 客 さ ん も多 く, 距 離 も あ る ので , 中型 の ジェ ット 機 が就 航 し て い る。 高 松 便 はJAC 1 社 で , 小 型 のプ ロ ペ ラ機 。 ・ 徳 島一東 京 線 は, JAL の 最 安14.400 円 に 対 し て , SKY の最 安13,500 円 。 各 社 と も 1 日 4 便 就 航 さ せ て い る 。 ・ す べ て 東 京 を 基 点 に , 福 岡 ・ 鹿 児 島 ・ 徳 島 ・ 関 西( 大 阪 南 部 ) の各 地 方 都 市 を 結 ん で い る。 ・ 少 し で も お 客 さ ん が多 い 路 線 を 選 ん で 利 益 を 出 そ う と し て い る 。 基 地 を 東 京 1 箇 所 に 集 め る こ と も で き る 。 ・ 採 算 の悪 い 路 線 を 打 ち 切 っ て , 採 算 の 取 れ そ う な 路 線 に 便 を 集 中 , 拡 大 さ せ よ う と し て い る(2005 年3-12 月 の 福 岡 線 の 利 用 率66%, 一 方 で 鹿 児 島 線57%, 徳 島 線42%, 関 西 線32 % 。 な お, JAL 同12 月 の 札 幌 線 の 利 用 率 は 60.5% 。札 幌線 は他 線 に比 べ て 利益 が見 込 める)。 ・ 厂同 心 円 的 に 広 が る ハ ブ ・ ス ポ ー ク 型 」 か ら 「 主 要 幹 線 に 偏 っ た ハ ブ ・ ス ポ ー ク型 」 へ。 ☆ づ ☆ 【 パ ー ト 固 : パ タ ー ン 変 化 の 理 由 ・ 本 質 】 ○ 日本 の交 通 ネ ット ワ ー ク は,「 網 の 目 」 型 か ら 「 ハ ブ ・ ス ポ ー ク 」 型 へ , さ ら に 「 主 要 幹 線 に 偏 っ た ハ ブ ・ ス ポ ー ク」 型 へ と , ど う し て 変 わ っ て き た の だ ろ う 。 ・ 例 え ば , 政 治 の 面 で は ど の よ う な 方 針 変 更 が あ っ た の だ ろ う 。 ・ そ の 結 果 , 企 業 経 営 の あ り 方 は ど の よ う に 変 わ っ た の だ ろ う 。 ※ 必 要 に 応 じ て 情 報 提 供 ・1987 年 国 鉄 は民 間 企 業 のJR に 替 わ っ て , 鉄 道 も利 益 を 追 求 す る こ と が 求 め ら れ た 。 ・1996 年 航 空 業 界 に も新 た な 企業 の参 入 が認 め ら れ, 各 社 は 競争 に凌 ぎを 削 るよ う にな っ た。 ○ 次 の よ う な 事 態 ・ 出 来 事 が 見 ら れ る 理 由 を 説 明 し て ご ら ん。 ・JR 西 日 本 で は, 大 半 の地 方 交 通 線 を , 月 に 1 日, 昼 間 の列 車 を す べ て 運 休 し て , 保 守 点 T : 課 題 提 起 す る P : 解 釈 を 述 べ 合 う T :3 段 階 に 分 け て ま と め る T : 必 要 に 応 じ て 情 報 を 提 供 す る T : 発 問 す る P : 予 想 す る ⑨ ・ 「 網 の 目 」 型 で は , 利 用 者 の 多 い 幹 線 の 収 益 は 全 体 と し て プ ー ル し , そ れ は利 用 者 の 少 な い 支 線 区 間 に 回 す こ と で , ネ ット ワ ー ク の 空 間 的 な 匚公 平 歐」 を 保証 し て い る。 ⊇ 二 二 ・ 厂(同 心 円 的 に広 が る) ハブ ・ ス ポ ーク」 型 で は, 収 益 の悪 い 支 線 は 需 要 に見 合 っ た 交 通 手 段 ( バ ス や自 家 用 車) に委 ね る, 収 益 の望 め る幹 線 に は集 中 投 資 し, 輸 送 力 を 高 め る こ と で , ネ ット ワ ー ク の空 間的 な 「 効 率 歐」 を 高 めて い る。 ⊇ 二 二 ・ 厂( 主 要 幹 線 に偏 っ た ) ハ ブ ・ ス ポ ー ク」 型 で は , と く に 収 益 の 高 い 主 要 幹 線 の ア ク セ スを 優 先 的 に 改 善 す る こ と で , ネ ット ワ ー ク の 空 間 的 な 「 効 率 甌」 を さ ら に 高 めて い る 。 ・ 収 益 の見 込 めな い 路 線 で は, 住 民 の足 を 確 保 す る こ と よ り も, コ ス ト を か け な い 保守 点 検 を 優 − 8 −