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研究ノート : 知的財産権法の公法的研究に関する覚書

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(1)6 7. 研究ノート:知的財産権法の公法的研究に関する覚書. 土屋孝次*. NOTE:PublicLawPerspectiveo f. JapaneseIntellectualPropertyLaw. TakatsuguTSUCHIYA. はじめに 平 成 15 年 7 月 8 日 、 内 閣 総 理 大 臣 を 本 部 長 と す る 知 的 財 産 戦 略 本 部 は 、 「 知 的 財 産 の 創 造 、 保 護 及 び 活 用 に 関 す る 推 進 計 画 J(以下、推進計画と略す) を 発 表 し た 知 的 財 産 立 国 jどを目指す推進計Jf¥Ji は、わが国の知的財産政策 の方針を決定するものであり、その. 1 'で は 知 的 財 産 権 法 制 度 の 問 題 点 洗 い 出. しとその修正の方向性が示されている. 1. 。数年以内を目処に、わが国の知的. 財産権諸法に重要な修正が施される予定になっている。 ここで注目されるのは、推進計画及びその前段階において知的財産戦略会 議が取りまとめた知的財産戦略大綱~ (平成 1 4年 7月 3 日 、 以 下 、 大 綱 と 略. す)に、いくつかの公法的論点が含まれていることである。たとえば、憲法 の裁判公開原則が営業秘密に関する訴訟提起を間害しているとの指摘である 日。「財産権 Jと い う 権 利 の 性 質 上 、 知 的 財 産 権 法 に は 多 く の 私 法 的 内 容 が 含 まれるが、権利取得の手続及び権利性にかかわる実体的内容に関して公法的 要素の反映が見られる ο 大綱及びそれに基づく推進計画の方向性は、知的財 *近畿大学工学部電子情報工学科. Departmento fElectronicEngineeringandComputerScience KinkiUniversity Schoolo fEngineering,.

(2) 6 8. 土屋孝次. 産権推進の立場から、知的財産権法体系全体の再検討の中で当該領域にかか わる憲法問題の解明と解決を求めているのである。 本研究ノートの課題は、推進計画及び大綱の策定において指摘された公法 的論点を確認し、さらに、知的財産権諸法が抱える個別的問題に関する憲法 1 ' 句アプ n ー チ 、 行 政 法 規 と し て の 知 的 財 産 権 法 が 持 つ 公 法 的 特 質 を 列 挙 す る. ことにより、当該諸法への公法的視点に基づく研究の必要性を論じることに ある。憲法典が知的財産権保護の障壁となるケース、公法分野の知的財産権 への無関心に起因する課題、知的財産権法の「異例の行政法 J としての側面 に関する検討が含まれる. O. 1 憲 法 第 29条 に 基 づ く 知 的 財 産 権 保 障 問 題 ①知的財産権保障条項の不存在 日 本 因 憲 法 第 29条 の 財 産 権 保 障 規 定 は 次 の よ う に 述 べ る 。. s 財産権は、これを侵してはならない 11r 2項. O. 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定め. る 。. : 3J f t 私有財産は、正当な. M i償 の 下 に 、 こ れ を 公 共 の た め に mひ る こ と が. できるけ I 憲 法 学 の 通 説 的 見 解 は 、 こ の 条 文 に 対 し て い わ ゆ る 「 二 重 の 基 準 J論 の 適 用 を試みるヘこの結果、表現の自由など精神的自由権の保障と比較すると、 財産権に対しては緩やかな基準による規制審査が容認されることになる 無論、周制自体は立法政策で決定されるものであり、すべての財産権が規制 対象となるわけではない. O. しカ、しながら、規制可能性が存在する点で、財産. 権の憲法的権不I J性 が 弱 め ら れ て い る と 理 解 さ れ る の で あ る 。 ま ず 、 知 的 財 産 権 の 強 化 を 主 張 す る 説 は 、 こ の よ う な 「 公 共 の 福 祉 J名 目 の 財 産 権 規 制 を 危 倶 するり 次に,知的財産権保護を訴える主張は、立法政策に基づく規制可能性が存す る 財 産 権 保 障 条 項 に つ い て 、 さ ら に 、 「 知 的 財 産 Jあるいは「知的財産権 jの 文 言が明示されていなし、と批判する ο た と え ば 、 ア メ リ カ 連 邦 憲 法 1条 8節 8 r f !f 士、特許及び著作権を. 4. 定期間{県議する立法を予定しているり阿国を含め、. 48ヶ 1 : _ 1の 憲 法 に お い て 知 的 財 産 権 条 項 が 存 在 し て い る と さ れ る の で あ る 。 知 的H ; fJ主権立匡│を目指す立場は、憲法第 29条(あるいは他の条項)において、 知的}対応に関する明文規定が必要であると考えるのである知財国家への 転換の必要性を国民に広く浸透させるため、憲法を改正寸る場台には、発 H J J の奨励・保諮を規定する条項を追加│すべきである。 J ~国家政策遂行に関し.

(3) 6 9. 研究ノート:知的財産権法の公法的研究に関する覚書. て.まず憲法条項に若. Hし て い る 点 は ユ 二 一 ク で Ji-) ~~). ~\. もっとも、アメリカ連邦憲法の知的財産権条Jl'!は、特許権、若:作椛を憲法 上の権利として容認するものではなく、. i l i邦 制 度 に お い て 連 邦 議 会 が 立 法 可. 能な事項を限定する条項として知的財産権を明示しているに過ぎなしけ()。こ のため、アメリカにおいて連邦法で権利性を許認されているのは、知的財産. ? H条 J f ! (憲 法 1i !i8J ( I3 :lU)に 恨 権条項に基づく特許権、著作権、及び州祭通 !. F 一競争│坊 I I " .1 tに よ る 保 護 を 除 外 す れ ば 、 拠を置く商標権であり、同様の連邦不 J 諸国において知的財産権として認知│されているが唄についての立法を州に委 1志法の条文を政治;t t l J度 の 特 殊 ねている状況があるのこのようにみると、各[1.. 性を考慮せずに単純に比較すること自体意味のあることではないけ憲法の比 較研究に関する基本的な考え方を考慮して、吟味する必要がある。 また、現行の明文規定に「知的財産権」を積極 ( 1 ' ]に 読 み 込 む こ と の ほ う が 現 実的ではないか、との議論設ii:も可能である 実際、プライバシ一昨、環境権、 1. 寺 代 と と も に そ の 椛 手J I'I'I:が憲法 ( I ( J f d l i M :をイIす る も の と 主 張 さ 知る権利など、 H が、現行憲法の解釈とし亡、 ' 1 :説 . l1 I ' ( I ' . 止 し て い る 仰l は多いっ れ て き た 諸 権 利l. Jい て 、 そ れ 判 例 と し て 認 知Iされうるカミどうか、あるいは、│、杭則範(法律)に J ら憲法的権利の実質的保障が行われるかどうカ三は、昨かに問題ではある. J. し. t i1 ,v~ ( 1 なな伸利保護を主 I J I ( かし、「財産権」に「知的財産権 Jを合め、そニカ ら上り f B. するほうが、「新しい人権」の読み込みよりも千五弘であろうコ ②遡及効を持つ立法の問題. 並l 及効を持つ怖利設定がおこなわれる場 次に知的財産権法の改正により、 j を然 1 合、憲法 Lの 問 題 が 午 じ る か ど う か が II!命じられぐいるけ主ず、遡及処罰i し た 憲 法 第 39条の適用問題がノドじるのとの点につき'l'1J例(士、 1該 条 項 を J F I J' j i 罰i の遡及禁止に限定し、「民事法規については憲法は法律がその効県を遡及せ し め る こ と を 禁 じ て は い な い Jとする. II. 。知的財産権諸 i{; の多〈に、tí'~fIJ 侵 害. 者に対する刑事罰が規定されている点には留意が必要であろう" そこで次に、財産権保障の内容として、知的財政怖の遡及効を認めるヵ、どう. l (にとって打平J I かが間われる,まず、このような遡及効に間しと'干説は、│五I な 変 更 と な る 場 合 、 迎l 及効を持つ , ' /i Lを存 i 認する 性質を保持していれば、. I. f I J也 と な る i ¥ 型l 及効がこの. : ) 点 H lJに 抵 触 し な い こ と 」自立ルー/レとしての遡及全 11. 二 の 椎 利 設 定 は 、 利 害 関 係 人 に と っ て 不 平J Iな 状 になる。しかしながら、民事 l 況 と な る 可 能 性 を 持 つ ο たとえば、 20年 間 の 特 許 権 効 力 期 間 が 30年 間 に 延 長され、その効力発生時期が 5 年前に遡及した場台であるこの場合、当政 権利の効力切れを待って同種の製品を!似売しよう止する布、人への影響をどの ように評価するか。財庄権保障の煙日を「特例としてぴ〉遡及効 j に広げる場 合、この点の検討が不可欠となろうり.

(4) 7 0. 土屋孝次. ③「パブリック・ドメイン」という考え方 知的財産権は、他の財産権と異なり、効力期間に限定がある。特許権.の原. 則J20年 、 著 作 権 の 50年など、発明や著作物にiiE業の発達、文化の継承への 寄与などの価値が容認される場合、期間限定の権利として条件付で保障され 間を粍て公のものとなり、日 I t -lに利JIl、 ることになる。布、人の財産権が』ー定期i アクセス可能な存在として財産権保障の枠外となる点に、知的財産権の特徴 が見出せる。 そこで、産業、文化といった抽象的内容が憲広一上の財産権を条件付・けるこ とができるのかどうか、また可能であるとしても立法政策として合憲的に特 認 で き る か ど う か 、 失1的 財 産 権 の 積 極 的 保 障 の な 場 か ら 批 判 が 強 い 。 諸 外 国. ,. f i柿?は、全体として効))W I↑討を妊:長する傾向 の影響があって、わが│五│の知的財 i にあるつ後述する、知 1 1 下J財産権保持千?と他汗(})椛平I J~),";]牲の 11 日 JW も;~. r / )て 、. ! l 十作. 1 1 1 ]限 定 に つ い て の 憲 法 的 意 味 を 雌 I認寸る必要はあろうけ 権の!り 1. 2 憲法条文に基づく知的財産権制限問題 ①表現の I~ I t lと 著 作 権 この論点には、符f1: j 住の設 iどが他者-ぴ)夫 Jt~ ぴ) ケースと-i"1. ' 1 1I t l(志位; ; X i '21条)を脱出J Iする. 十日支出、プライバシ -j受主の言論を表 i見の I~ 1 1 1とおH 乍椛を J 長Hlし. て 争 う ケ ー ス が 設 定 で き る 。 著 作 権 に 基 づ く 利 用 ( jj l J限が他者の表現のI' j山を 侵害する場合として、パロディ作品によるもの. l. 人ネット上の情報に関する. もの、フェアーユース(公正利用)の限界領域に閉するものなどが挙げられる 1: 1. 近時のアメリカの 1 = 1]例によれば、表現の白山に経済的価値を見出寸場合、. インターネット情報規制に関する場合、著作権優遇的アプローチを求める産 業界ヵ、らの非難を基:↓的する ρ、どうかが論点となる。この点、で、. W I! H 1延 長 に 関 す る 連 邦 最 高 J 批判決が注. [ = j される. 央耐著作物の. 1. 1-1 ,. これに対して、名誉殴損、プライパシ一位害情報について、憲法上の表現 の f~1 F I:Jに付加して著作権に上る保護を主張寸る事例は析であろう. ο. もっとも、. Hに よ り 憲 法 上 の 論 点 を 回 避 し た 場 合 、 法 律 論 と し て 両当事者が何らかのJ"Hf の民事上の権利と著作権が競合しうる。また、編集者、欣送業者などが人格権 侵害を構成する危険性を考慮して、著作権者の同意を得ずに無断で著作物の 内容を改変した場合、公表権、氏名表示権、[[',J '一 性 保 持 権 な ど を 内 実 と す る 著 作者人格権との抵触が問われることになる。特許権など公的機関による登録 を効力発生要件とする知的財産権の場合は、公序良俗違反で椛利性を否定で きる。これに対して、原則無登録主義を採る軒作権の場合には、他者の人格権 侵害を構成しうるのである. O. 検討を要しよう。.

(5) 7 1. 研究ノート:知的財産権法の公法的研究に関する覚書. ②学問の自由と職務発明、営業秘密 学問の自由(憲法第 23条 ) が 知 的 財 産 権 保 障 の 障 壁 と な り う る の は 、 ま ず 、 大 学 、 研 究 機 関 の 研 究 者 に よ る 「 職 務 上 の 発 明 j を職務発明として登録し、 その結果として当該権利の二次利用に制約が加えられる場合が挙げられる。 同様に、職務上の発明が特許申請に至らなかった場合、あるいは特許申請を 意図的に回避した場合、不正競争防止法上の営業秘密として保護を受けるこ とが可能となるが、その反面、研究対象として当該秘密へアクセスすること が制限される危険性が生じる。 こ の 点 に つ き 、 推 進 計 画 策 定 に か か わ っ た 中 山 教 授 は 平 成 10 年 の 講 演 に おいて、「知的財産権の分野においては、情報の保護強化により、あるいはデ ジタル化に起因した情報寡占により、知る権利、学問の自由等々の近代法の 基本的原理と抵触する事態、の生ずる可能性もあります。従来、特定の情報に つき、社会的・産業的要請の強い場合、特許法や著作権法等によって独占を 認めてきましたが、特許法や著作権法においては、権利の例外・制限の規定 があり、これら近代法の基本的原理と抵触しないような装置が設けられてお ります(例えば、試験研究目的の実施には、特許権の効力は及ばない、とさ J とし、原理原則との抵触 れており、大学での研究の多くはこれに該当する ). に警鐘を鳴らされていた. I. ;,。このような立場が、知的財産権問題の急速な進. 展、景気回復の遅滞、産業界からの国際化の要請等によりわずか数年におい てどのように修正されることになったのか、検討が必要である。 ③裁判公開原則と営業秘密の保護 推進計画及び大綱策定の際、厳しい批判にさらされたのが、営業{~、陪に|羽. する訴訟において、裁判公開原則(憲位、第 37条)あるいは政't'1Jを交ける椛平J I( 憲 法 第 32条)との抵触問題が未解決ーである点であった。営業収、密は、欧米諸制 度と比較すると保護が遅れた分野であった。結局、知的財産権保護において l l iさ れ 、 欧 米 レ ベ ル と 比 較 し 司法制度が機能していない点に原因があると詳 U. て 「 我 が 国 の 営 業 秘 密 保 護 の 水 準 が 低 い と い う こ と が な い よ う J(大綱)、検討 課題として明示されたのであった。 推進計画においては、問題となった営業秘密について裁判官'が非公1J:,jで'吊; 査を行なうインカメラ・インスベクションの利用が提唱された l 二、営業秘密 にかかわる訴訟において裁判公開原則の例外的措置を容認しようとの立場が 有力になっている。この点につき産業界からは、「実務的には、現行法で可能 な限り記録を非公開とする等々の措置が取られ、カミなりの成果を挙げている ようであるが、やはり根本的には、裁判の公開原則まで議論しておく必要が あり、今回、大綱では憲法問題にまで踏み込んだ議論を寸べきであるとして おり、政府の報告書としては典例と吉えよう。」との評価が見られる. 。. I! 5.

(6) 7 2. 土屋孝次. 確かに、解決策としては、インカメラ・インスベクション制度の導入が現実 的であろう. O. もっとも、本来、インカメラ制度の導入は、営業秘密のみならず、. プライバシー侵害問題、国家秘密の秘匿問題など、情報の開示が争われる事 件すべてにおいて利用可能のはずである。計法の場における法的解決を目指 すという観点からインカメラを利用すべきとするならば、その射程が行政情 報にまで拡大されなければ本末転倒のそしりを乏けざるを件ない。いずれに せよ、憲法原則に重大な影響を与えかねない怯制度の修正には慎重さが求め られるわけであり、新制度利用を営業秘密に都合よく限定されるかどうカ、も 疑問である。アメリカ流のインカメラ制度を予定するのであれば、│分な研究 が必要となろう ④裁判を受ける権利と知的財産権特別法廷の設問 l Ij の裁判所が必'&だとの L張 が 険 討 知的財産権法に関する訴訟について専 I. さ れ て い る 。 ア メ リ カ に お け る 連 邦 巡 凶 腔 両 裁 判 所 (CAFC) あるし、は EU が新設を予定している特許裁判所に類似の j 批判所がイメージされている。半Ij 例統一の期待、あるいは、ルールの統一感などがメリッ卜して挙げられている さらに踏み込んで、知的財産権訴訟を専門とする裁判官の養成も議論されて いる. l時. このような主張に対して、知的財産権の保殺を強化するのであれば、逆に、 特別法廷が全国に分散していることにメリ、ノトがあるとの反論もありえる} ¥ : / J政 、 大 阪 F"'iJ故 へ の ' } i f tj:移送がそれな たとえば、大綱策定の│際、現行の東京 I. り の 意 味 を 持 っ て 評 価 さ れ て お り 、 少 な く と も 2高 裁 の 関 与 が 引 ま し い と ; 1 市 じられている。アメリカの CAFC が知 (l~)~!十記権保護を打ち出した姿勢ぴ jfT 後. に、各控訴裁聞の判例不統一の傾向が看取されていたのに対しご、わが I E Iに おいてはゲームソフト・レンタル事件を│除いてそのような事態が少ないこと など、実務面カ冶らの批判もあるりいずれにせよ、新たな裁判所制度が│司氏の裁 判を受ける権利の制限へ道を聞くことのないよう汁:怠が必要となるけ もっとも、現在の司法制度改革の流れは、知的川!主権料川正日ぴ)設世ではな. I J部 の 強 化 に よ る 実 質 的 な 特 許 j 批判所化、及 く、既存の東京地裁、大阪地裁専 I び、東京高裁、大阪高裁の専門性強化の方 I t i jに あ る 。 ま た 、 知 的 財 産 権 を 咋 I I lJ とする裁判官、法曹の養成も計画において明示されたものの、 H .体 化 に つ い ては今後の課題となっている。. 3. 異例の行政法としての知的財産権法の特徴. ①審査基準の I J示と i Jl tI l " J介 入 の 州 皮 -f;1立的には、行政部の {I~I 々の 'I'IJ I J Y iに│際し. Cf l j } i Jされる J Ji jl J は) 1 '~J\Iノ J' のもの.

(7) 7 3. 研究ノート:知的財産権法の公法的研究に関する覚書. が多く、裁判基準として援用することは困難である. O. ところが、知的財産権、. 特に、特許権、実用新案権、意匠権、商標権など特許庁が実質審査の上一定 の手続を経て権利性を認める分野においては、審査基準が明示されている. O. 特許庁サイトにおいては、各項目別に審査基準のほとんどが開示されており、 一般の利用は容易となっている. IU。. ここでは、審査の考え方として、「審査. は 、 迅 速 性 、 的 確 性 お よ び 公 平 性 を 担 保 す る Jも の と さ れ て い る 。 ネ ッ ト 上 で 利用可能な審査基準の設定、及び瞬時の改正広報などは、知的財産権法に関す る審査基準公開を画餅としない意思を読み取ることができる。 行政法上の基準の法的性質をみる場合、裁判で利用できる基準としての機 能を果しているかどうかが問われるO この点において知的財産権法にかかわ る審査基準は、行政法としては他に類を見ないほど、裁判基準としての機能を 果していると評価できょう. Q. このような審査基準の明確性ゆえか、知的財産権に関しては、特許庁審判が 実質的第二審である高等裁判所において取り消される事例が多く見られる。 行政機関の決定がこのように取り消される事例は他の分野においては見られ. 5年 9 月 中 に お い て 、 東 京 高 裁 が 審 査 し た 審 判 取 り ない。たとえば、平成 1 消 し 訴 訟 に お い て 、 : 3 5件 中 5件 の 取 り 消 し が 認 め ら れ て い る 。 こ れ ら の 事 件 に お い て は セ イ コ ー エ プ ソ ン や 花 王 と い っ た 大 手 企 業 ω七 娠 が 容 認 さ れ て いるのが注目される。このような裁判所の判断は、特許庁の行政判断の公定力 を否定しかねないものであるが、これに対して、特許斤=の審査能力を強化すべ きとの主張がなされているものの、司法手続への批判は見当たらない。知的 財産権分野における司法制度の評価と期待は高いとみなせる。 ②非画一的事例の行政手続 行 政 手 続 の 特 徴 で あ る 画 ー がJで 、 反 復 性 の あ る 事 項 の 安 定 的 取 り 扱 い は 、 知的財産権法手続において重視されていない. O. 特許庁は、日進月歩の論点を. 含む登録審査を遂行しており、他の分野、たとえば植物新品種、半導体チッ プ回路図などの新しい権利についても行政手続に乗せている. O. また、特許庁. と ア メ リ カ 連 邦 特 許 庁 、 EU 特 許 庁 と 連 併 も 他 の 行 政 機 関 に 見 ら れ な い 活 動 といえる。知的財産権法は、国際化を無視せず、他の│古内法と異なってグロー パルな視点からの検討を求められているのである。 しかしながら、国家そのものの組織と手続をi.tめる行政法的制点において、 そのような知的財産権関連の国家機関の動向は兇例なものであることは│間違. " f : & ,; I "! l n lを { I ' -j ) " f j にI t tく い な い 。 「 知 的 財 産 権 立 国 Jを 目 指 す 国 家 政 策 と し て の 1 と き 、 国 家 機 関 の 積 極 的 な 介 入 は 当 然 予 定 さ れ て い る こ と に な る が 、 半) 1 , , j 1 r庁 が純粋な行政機関として関与すること自体に限界があるけ知的財産権. I P請、. 登録手続の民間への移行、もしくは独立行政法人化などが険討課題となるで.

(8) 7 4. あろう. 土屋孝次. O. 知的財産権の実質、手続両面を公法分野と一定のかかわりをもっ法. 体系にどのように組み込むかが問題なのである. O. おわりに 知 的 財 産 権 諸 法 は 、 憲 法 第 29 条 の 財 産 権 保 障 の 射 程 に 含 ま れ る 国 民 の 財 産に関するルールとして制定されたものである. O. その中には、特許権のよう. に行政機関への登録申請を権利発生要件とするものがあり、また、その保障 に司法手続が重要な役割を果している. O. 行政法の一部とみなされながら、当. 初 そ の 研 究 は 、 「 民 法 や 商 法 、 民 事 訴 訟 法 な ど を 専 門 に す る 学 者 J~ ()によって 遂行されていた。著作権法学会、日本工業所有権法学会といった中心的学会 の発足により、ようやくその分野の専門家による検討が開始されたのである が、これまで、公法系研究者は十分に関与していなかった。憲法典との抵触、 憲法原則との調整、そして異例の行政法としての性質、さらに、刑罰法規と しての側面などにもかかわらず、それは不卜分なままに終わっていたのであ る. O. 法制度研究には、関連する基本法にさ泊、のぼった検討がボめられる。アメリ カで見られるように、特許権や著作権の保護をどのように行なうかについて まず憲法条文、憲法構造との整合性を理解すべきである。さらに、今後、知的 財 産 立 国 の 達 成 の た め に は 、 「 国 家 政 策 と し て の 知 的 財 産 権 法 J I間 際 公 法 と しての知的財産権法 J といった角度からの検討も求められることになる。ま さに、知的財産権法が公法学分野に投げ泊、けられたのであるどん. http://www.kantei.go.jp/jp/singiltiteki2/kettei/030708f .htm1 知的財産立国」とは、発明・創作を尊重するという国の方向性を明らか 吹l i 可等の にし、「ものづくり Jに 加 え て 、 技 術 ・ デ ザ イ ン 、 ブ ラ ン ド や 音 楽 ・ l コ ン テ ン ツ と い っ た 価 値 あ る 「 情 報 づ く り j、すなわち無Jfラ資産の創造を産業 の基盤に裾えることにより、わが国経済社会の p J =活 性 化 を はl るというビジョ ンに裏打ちされた国家戦略である口 ユ 本 稿 で は 、 知 的 財 産 、 及 び 知 的 財 産 権 の 文 言 を 、 知 的 財 1主 基 本 法 の 定 義 に 基づき使用する。すなわち、│司法 2条 に お い て は II知的財産」とは、発明、 1 ¥ 考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み 1 さ れ る も の ( 発 見 又 は 解 明 が さ れ た 自 然 の 法 則 又 は 現 象 で あ っ て 、 産 業 Lの 利 用 可 能 性 が あ る も の を 含 む ο)、商棟、向せその他事業活動に)-jJし、られる│存i 品 又 は 役 務 を 表 示 す る も の 及 び 営 業 俗 密 そ の 他 の 事 業 活 動 に 有 な 技 術 1~ 又は営業上の情報をいう 2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実fH新案権、育成者権、怠│正 I. m. O.

(9) 7 5. 研究ノート:知的財産権法の公法的研究に関する覚書. 権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又 は法律上保護される利益に係る権利をいうの J ~. h t t p : / / w w w . k a n t e i . g o . j p / j p / s i n g i l t it ek i / k e t t e i / 0 2 0 7 0 3 t a i k o u .html. 1. 推 進 計 画 「 第 2章 保 護 分 野. を強化する. 1.知 的 財 庄 の 保 識 の 強 化. 4. 紛 争 処 用 機 能. (3) 証 拠 収 集 手 続 を 拡 充 す る 。. 知的財産関連訴訟において証拠収集手続の機能を強化するため、 2 004年 末 までに、営業秘密を含む文書について文書提出義務の例外となる文書の範囲 の見直し、文書提出命令の申し立てに係るインカメラ手続において文書の開 示 を 受 け る 者 の 範 囲 の 拡 大 と そ れ ら の 者 の 守 船 義 務 、 憲 法 上 の 裁 判l 公 開l 原則 の下での常業秘密が間足i となる予Ii~ ' l 1: の ~I: 公開'市上'1'とその手続規定の整備等に. ついての険討を行ない、所要のJ ! ?刊 を j i l l { じる. ( 以 " 1/11 作. 。)円:部恒喜『憲法(新版トm 訂 版U( 1999午、. Y J政 ; I F !, 1 [ ) 2 0 1( [I 士、「経済的 1 ' 11 臼 はむしろ祉会的に拘束を負ったものとして、位、f l 'に よ る W . ; l i 1 jを 広 汎 に 受 け る 人権と理解されている J とする O. 午、。j にt!十!主権 l 士、げJ 会 I'I~J 公平と l刑不~ I の 凡 j也か. らなされる積極目的規制(政策的規i l J l)にも!1Iえするのである。 J (問、 2 11頁) 7 森林法 1 86条 を 違 憲 と し た 、 昭 和 I62' r : j :4t l 22 1 :最 高 裁 大 法 正 判 決 を 参 照(民集 4 1巻 3号 408頁)。 村知的財産戦略国家フォーラム li~:J、卜ーのように du 札をJfへるけ. í ~比が 1'1'.1 経消. の国│探競争力を回復する I ( 主 企 の 引 先 1士、製造業分野での,.詰し、労働コストヤl' を 考えれば、知的財産により付加{ r l il I L ' (を府 I j j さする以外にあり件ないけそのため には、生命工学や金融工学といった先端技術だけでなく経営ノウハウを含め た広範な分野で、知的財産を 1 1 1 :界 に 先 駆 け 産 み 続 け る 社 会 風 土 を 、 国 家 の 強 い意思で早期に醸成することが急務である。 このため、 1 0年 以 内 に 「 世 界 一 の 知 則 立 P : : I Jに な る こ と を 、 国 家 目 標 と し 、 大 学 ・ 教 育 ・ 企 業 ・ 行 政 ・ 外 交 ・ 立 法 ・ 司 法 の 7分 野 に お い て 、 国 家 戦 1 1 長を k } j 起に ' 1 ' 1た っ て は 、 そ れ ぞ れ の 策定し、総合的に実現することを提戸ーする o ' 戦略について、具体的なスケジュールをf l j Jfr1(にした 1 : .で す み や か な 実 施 に 努 めることが必要である。 この目標に向け、当フォーラム 1 . 1n~l'ぶ ìì\~ 1 1 品ι 案の前提として、三つの基本 的なf 見出が必要だと考える。 J h t t p : / / w w w . b e n r i s h i d o y u k a i . g r . j p / i p f o r u m 1 . h t m l 引 第 1回 委 員 会 に お け る 荒 井 委 員 発 言. O. n. 「第 2点 は 、 こ こ で は 川 、 わ ば 、 法 律 的 な 知 ¥ ¥ 1 特 区 の 実 現 を 目 指 し 、 知 すの 特例を考案する」と書きましたが、この,tIY:!床は、とかく知的財産の議論を始 めますと必ず出るのは法律の横並び、それからほかの民法、民事訴訟法、あ るいは刑法、刑事訴訟法、行政法の{本系といったものとのバランス、横並び、 整合性ということで、従来基本的に改正がなされつ)立にきたんだと思いますの 更に、日本社会になじまないという議論も多く山て、改正しない理由で使わ れることも結果としては多かったわけですし、更にまた憲法上の制約という ことも必ず言われるわけです。基本的人権といった憲法上のものは是非守ら.

(10) 土屋孝次. 76. なければいけないと思いますが、そうではなくて、やはりいい経済社会をつ くるというのも憲法上の要詰だと思いますので、こういう│問題についてもも う 一 遍 ゼ ロ か ら 考 え て 、 いい知知リ i H 吋 ナ f 立 [ "同 1 [ 下 1 1 :を│日]十指目サということでで、 総 i;応怠合的な休系の 検 討 を し て い た だ く と い う ふ う に お 版 順i ハ し、したいと忠います. 筆 者λ ) n 3. 1. (l抗l¥稿、アメリカにおける知的財産権立法の憲法的限界←連邦議会の立法. 権限を厳格に解する最高裁のアブローチとのl ) ! c J i i l iで j 近 畿 大 学 仁 学 部 紀 要 1999i ド)、参!!日。 ( 人 文 ・ 社 会 科 学 篇 )29号 39-59 貞 ( 11 lf~ 大平IJ I I { if f l 24" I e5)j 18 1 、t ¥ ;q~ ; j 巻 199 L'í 、参 m~o 1e 11~lIJII{~fll 55J ie3)) 28 1 r( 集;).1在;)~} 21 .4 L!、参!I(~ n I'~i ; ; ; 'If~j i ' I J、 i 斗& 14{ I :4片 11 1 、1 ' リ戊 1; 3 ( ネ )2Gii' jげ : 1、参)1( ¥ ο. 1 . 1 Eldredv .Ashcroft, 537U.S.-, 1 2 :3S .Ct .7G9( 2003)ー I I ' ) ' I ' I J決 に つ い て は 、 横 山 久 芳 「 ミ ッ キ ー マ ウ ス 訴 訟 が も た ら し た も の 一 若 作 椛 保 I延 期 間 延 長 法 の 合 憲 性 一 」 ジ ュ リ ス ト 1244 な (200:3年)268 L'i以ド、大 1 )j信 作 f1998年「著 作物保護 1~] 間延長法 j の合憲性、広品川 \'l 大 'γ: 論.rt i' { i1Y : l (2003年)169頁 以. ド、参!!(¥" 1~ ¥ 11I Li信弘、訴前: 21世紀の知的!け,;(椛、 SOFTICLAWNEWS .20)、 http://www.softic.Ol・jp/publication/SLN/SLN78.html NO.78(1998.11 1h http://www.jama.ol . .j pllib/jamaにazine/200212/02.html l i 一政大 , 1 ; . I ,( L皐 43巻 1, ~mN~ 、アメリカにおける議会訓古昨ぴ )1;1( WωIli険討、 i 1 号 163- 190貞(19951 ド)においては、 I Ei京叱笛の議会 J ¥の 提 供 I I ¥ J J Wに│閉し. てインカメラ険査の必要性を説いている。 1 j l村 知 的 財 産 訴 訟 検 討 会 ( 第 7 同) ( ぷ] t L ; i 1 度改革小委員会)平 } I 父 15年 4 月 15 1 1 1 " http: J/ww¥V. jpo.g o . jp/shiryou/index一 日 .htm 己1 '! i 1 ~行 l主紀 「 矢1' j 1 ( Jl ! 1, i ' ; 二 i 1 ; へ ( ハ W?, J ', i ) ; , ' ; : :教 二 十 三 252 り(2002{I)S U以│¥, ' :1 ) ; 1 1( 1 ¥ )ll~' Ji{,訴訟愉, Hj ) ( 日 11 " 1、、ド I 1 比 14付 、 10 } )2 : 31 1) に お け る 1 l l l l l k i ' 弘 吾 川 は 次 の よ う に 発 行 し と い る η;10年 " i jに が 1H i ' ! t/[1i l } j1 .出 が で き た と き に、ある Ifll)jj~シンポジウムで IJ 本のす j:'lì1i を説明し主したら、. γ メリカのある. 学 者 が 、 自 分 は H本 の 憲 法 を 読 ん だ こ と が な い け れ ど も 、 そ ん な 芯 広 が こ の j l I : の 1 ¥1に あ り 件 る は ず が な い と , iわ れ て 、 そ れ 以 j .議論にならずに│主│った経 験 が あ り ま す け 諸 外 国 で は う ま く や っ て い る , 1 J.ト~ U);,!i~ 1 Lも 、 あ る 舶 の 基 本 f ド J人 + nぴ〕上うに j伝 も 諮 れ な い も の と い う の は あ る は ず で す しカ、し、料消 !けというのはある f'l~ }立!耕平11 ということが,己、'>~:たと!巴うので、ここでも :'D ( 1 ; の 11',])白ノトん 1I を背ける必'~ーはないと!目、っており主寸.

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参照

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