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第44回山梨医科大学CPC記録:血小板減少を伴った急性硬膜下血腫にて発症し,経過中に胸水貯留,消化管出血を合併し死亡した1例 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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xxviii 症例提示 佐藤浩企医員(脳神経外科) 症例:H.F 65 歳,女性(ID 220-574-0, AN 1378) 主訴:意識障害,嘔吐,腰痛 現病歴: 2000 年 5 月頃一時的にめまいを自覚 し近医で内服を受けた。9 月頃より再度回転 性めまいを自覚し,近医内科,耳鼻科,脳外 科を受診したが異常なしといわれ,10 月初 旬より近医整形外科より筋弛緩薬等の処方を 受け内服したところ,顔のむくみが出現した。 10 月 16 日夕食時までは特に変わりはなかっ たが,10 月 17 日 AM 6 時頃より頻回にトイ レに行き,嘔吐しているのを家族が発見し近 医受診した。同院にて血液検査上,血小板 3.4 万/µl と著明な低下が認められ,血小板 輸血 10 単位が行われた。同日 AM 9 時 30 分 CT 上左円蓋部に厚さ最大 1.5 cm 大の硬膜下 血腫が認められた(図 1A)。PM 4 時に CT 再 検され血腫の減少が認められず,当科紹介の 上,同日転院となった。 既往歴:幼少時に日本住血吸虫症。平成 5 年胃 癌により県立中央病院にて手術治療を行っ た。平成 9 年までは定期的に受診しており, 最近では近医内科にて follow されていた。 患者背景:薬剤アレルギーなし 当院転院時身体所見:身長 152 cm,体重 42 kg, 体 温 3 7 . 6 ° C , 脈 拍 8 0 回 / 分 , 整 , 血 圧 146/78 mmHg,顔色蒼白やや腫脹,眼瞼結 膜は貧血様,前胸部に皮下点状出血斑を認め た。左側頭頭頂部の頭皮の腫脹を認め,左下 腿の浮腫を認めた。表在リンパ節は触知しな かった。心・肺に異常はなく,腹部は平坦・ 軟で肝・脾・腎は触知しなかった。嘔気,嘔 吐を認め,腰痛を訴えた。 当院転院時神経学的所見:意識は傾眠。JCS II-1,GCS E3V4M6 = 13 点。瞳孔は正円同大で 対光反射は正常。その他脳神経系に明らかな 異常所見は認められず,四肢の麻痺も認めら れなかった。 当院転院時血液検査所見:血算,WBC 4,500/µl, RBC 2.56 × 106/µl, Hb 7.7g/dl, Ht 22.9 %, Plt 53 × 103/µl, 血液生化学,TP 5.7 g/dl, Alb 3.1 g/dl, ChE 267 IU/l, Amy 51 IU/l, T.Bil 第 44 回山梨医科大学 CPC 記録 日時:平成 13 年 2 月 14 日(水)午後 5 時 15 分∼ 6 時 45 分 場所:臨床講堂大講義室 司会:長沼博文助教授(脳神経外科),大井章史教授(病理学 1)

血小板減少を伴った急性硬膜下血腫にて発症し,経過中に

胸水貯留,消化管出血を合併し死亡した 1 例

要 旨:症例は 65 歳の女性。回転性めまいを自覚していたが,平成 12 年 10 月 17 日,突然の嘔 吐にて,近医受診した。血小板が 34 × 103/µl と著明に減少しており,CT にて左側頭葉に硬膜下 血腫を認め,同日山梨医大脳外科に入院となった。血小板減少による出血傾向が原因の急性硬膜 下血腫と診断し,血小板減少の原因について全身検索を行ったところ,CT にて癌の肝転移,脊 椎・骨盤転移が疑われ,胸水細胞診でも癌細胞が認められた。第 14 病日に癌の全身転移によっ て死亡した。剖検では,硬膜を含む全身臓器に,低分化型腺癌の転移が認められたが,明らかな 原発巣と思われる病変は認められなかった。転移癌は,主に血管やリンパ管内にびまん性に広が っており,小胞巣を形成する低分化腺癌に一部印鑑細胞癌を混じる組織像を示しており,6 年前 に切除された粘膜内胃癌のリンパ節転移の組織像と類似しており,胃癌の再発による全身転移と 考えた。

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0.7 mg/dl, LDH 486 IU/l, GOT 54 IU/l, GPT 12 IU/l, CK 273 IU/l, BUN 7 mg/dl, CRE 0.36 mg/dl, Na 141 mEq/l, K 3.9 mEq/l, Cl 105 mEq/l, Ca 7.7 mg/dl, IP 3.8 mg/dl, CRP 0.3 mg/dl, Glu 198 mg/dl 凝固系: PT-T 24.4s, PT-% 32.7 %, APTT 59.3s, FIB 189 mg/dl, FDP-DD 25.9µg/ml 感染症:梅毒,Slide(−),TPHA(−),HIV ( − ), 肝 炎 ウ イ ル ス マ ー カ ー : HBs Ag (−), HCV Ab(−), 入院後検査所見:腫瘍マーカー:CEA 1.0 ng/ml, AFP 3ng/ml. ALP 分画:ALP 活性 2680 IU/l, ALP3 100 % . LDH 分 画 : LDH1 20.7 % , LDH2 26.5 %, LDH3 15.0 %, LDH4 5.5 %, LDH5 32.3 %. 蛋白分画:Alb 52.6 %, α1 5.1 %, α2 12.1 %, β13.4 %, γ16.8 %. 網状赤 血球 2.9 %,葉酸 7.1ng/ml, V.B12 434 pg/ml, 免疫グロブリン分画:IgG 873 mg/dl, IgA 189 mg/dl, IgM 147 mg/dl 入院後経過:血小板低下に伴う出血傾向による 急性硬膜下血腫と診断した。血小板低下の原 因については癌性の DIC 及び癌の骨髄浸潤 を念頭に全身検索を行った。入院後頭痛,嘔 気は軽減し意識もほぼ清明となったが,FOY 投与下にも血小板は徐々に減少した。第 6 病 日(10 月 22 日)に再度傾眠傾向みられ,CT 施行したところ血腫の増大は認められなかっ たが両側硬膜下腔の髄液貯留を認め,髄液の 吸収障害が考えられた。第 7 病日(10 月 23 日)の MRI では典型的な癌性髄膜炎の所見 は認められなかった。脳圧降下剤,ステロイ ドを投与し,低蛋白・低アルブミン・貧血是 正のため MAP, FFP 輸血を行い,意識レベル の軽度改善を認めた。骨髄転移を疑い,第 9 病日(10 月 25 日)に施行した全身 CT では 胸水の貯留が認められた他,肝転移,脊椎・ 骨盤骨転移が疑われた(図 1B)。第 10 病日 (10 月 26 日)に胸腔穿刺にて胸水の細胞診 を行うと,class V であった。その後も血小 板減少は進行し,血小板輸血を行うも第 14 病日(10 月 30 日)には血小板 8,000 /µl まで 低下した。同日午後より頻脈,呼吸状態の悪 化を認め,胸腔内圧低下のため胸腔ドレナー ジを行ったが,血圧低下し補助的治療の効果 なく永眠した。 剖検目的: ・血小板減少の原因は骨髄転移でよいか。 ・癌の原発巣はどこに存在したか。 ・癌性髄膜炎は存在したか。 病理所見と診断 岡田京子,大学院 4 年生(病理学 1) A B 図 1. 頭部(A)と胸部の CT 像(B)。2000 年 10 月 17 日の頭部 CT では左側頭葉円蓋部に 厚さ 1.5 cm の硬膜下血腫を認め,内部に 1 cm 径大の髄液と同様の低吸収域を認める。 これに伴って大脳は圧排されて,右側に 0.5 cm の正中偏位をおこしている。2000 年 10 月 25 日の胸部 CT では両側に胸水の貯留がみられる。

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剖検番号 1378,65 歳,女性 死亡年月日:2000 年 10 月 30 日,午後 2 時 40 分 剖検年月日:2000 年 10 月 30 日,午後 4 時 35 分 死後 1 時間 55 分,開胸開腹開頭で剖検 A 肉眼的所見 1.外表:身長 155cm,体重 39.3 ㎏。黄疸な し。浮腫なし。表在リンパ節は触知せず。眼 瞼 結 膜 に 貧 血 。 瞳 孔 左 右 と も 正 円 形 同 大 5 mm。全身出血傾向:右上眼瞼皮下出血, 右眼球結膜出血,舌表面出血,下腹部皮下点 状出血,両側大腿前面皮下点状出血,腹部正 中に手術瘢痕を認める。両側乳房には腫瘤性 病変を触知せず。 2.体腔液:左胸水 550cc やや血性。右胸水 250cc 血性。心嚢液 32cc 黄色やや混濁。腹水 200cc 黄色透明。 3.脳(1,090g):右前方∼側頭部の頭皮下で 帽状腱膜下出血。頭蓋骨外頭皮下組織で一部 粗造な部分を認める。前頭部∼後頭部にかけ 脳硬膜ほぼ全体が表面粗造で出血を伴ってい る。脳表面には左側頭葉に血腫による圧痕を 認める以外,著変は見られない。 4.骨髄: Th1 以下を採取。Th9 以下は白色 調で固い。 5.肺臓(左 210 g,右 270 g):両肺胸膜直下 に,特に下葉に強く,びまん性の白色線状病 変が認められる。両肺実質内には明らかな腫 瘤形成は認められない。 6.心臓(310 g):左室壁厚 15 mm,右室壁厚 4 mm。冠状動脈の狭窄は見られない。心外 膜直下,両室心筋内,左心耳心内膜直下に広 範に出血傾向を認める。明らかな腫瘤形成は 認められない。 7.肝臓(1,590 g):表面は整。右葉 S7 領域に 3 cm 大の不規則な線維化を認める。明らか な腫瘤形成は認められない。胆道系には異常 はない。 8.膵臓:膵管にも膵実質内にも著変ない。 9.脾臓(110 g):鬱血を認める。 10.腎臓(左 240 g,右 190 g):左腎に腎盂が 2 つあり,下部尿管は 1 本の不完全重複尿管 を認める。両腎とも腎盂粘膜に出血を認める が,腎盂腎杯の拡張は認めない。被膜剥離は 容易。 1 1 . 副 腎 ( 左 1 0 g , 右 5 g ): 左 副 腎 に 直 径 2 cm の境界明瞭な黄色腫瘤が認められる。 12.甲状腺(9 g):右葉中極に直径 1.4 cm の被 膜を有する腫瘤が,左葉下極に直径 0.5 cm の腫瘤が認められる。 13.下垂体(0.7g):著変なし。 14.食道:中部から下部にかけ粘膜出血が見ら れる。 15.胃:残胃 11 cm。黒色液体を充満。吻合部 再発は認められず,残胃粘膜には著変なし。 16.小腸・大腸・直腸:開腹時,腸管線維性癒 着が著しく認められた。十二指腸から回腸前 半まで比較的新鮮な血液が充満。回腸粘膜下 出血が多数見られる。大腸・直腸には著変な し。 17.膀胱:粘膜に出血を認める。 18.子宮:著変はない。 19.卵巣:著変はない。 20.大動脈:軽度の粥状硬化が見られる。 21.気管:粘膜に著変なし。 22.リンパ節:左鎖骨上窩リンパ節,気管分岐 部リンパ節が著明に腫大している。 B 組織学的所見 全身臓器に多発性に転移性腺癌を認める。大 部分の転移巣は腫瘤を形成せず,静脈,リン パ管内にびまん性に広がる性質を有する。 転移癌は,全身臓器でほぼ同様の組織像を示 し,少数の小腺腔を伴いつつ小胞巣を形成し て増生するやや小型の癌細胞よりなり,細胞 質は淡明,核は小円形で大小不同は比較的少 ない。ごく一部に細胞質に粘液を貯留した印 環細胞類似の癌も混在する。 1.脳:頭蓋骨外頭皮下組織には血管内転移が 見られる。硬膜にも著明な血管内転移がほぼ 全体に認められる(図 2)。大脳・小脳・脳 幹部の実質内には転移は認められない。左側 頭葉の圧痕部においても,特に著変はない。 2.骨髄: Th9 以下にはびまん性に転移が見 xxx

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られ,正常の造血細胞はほとんど認められな い。骨梁形成が目立つ(図 3)。 3.肺臓:両肺全葉にわたって,びまん性の肺 動静脈内腫瘍塞栓を認める。胸膜直下のリン パ管内にも転移を認める(図 4)。 4.心臓:心外膜直下のリンパ管,脂肪織内, 心筋内の毛細血管に転移を認める。 5.肝臓:肝両葉にわたり,びまん性に類洞内 に転移を認める。また門脈域に石灰化した日 本住血吸虫卵を多数びまん性に認める。右葉 S7 領域の線維化は,虫卵によるものであっ た。 6.膵臓:著変なし。 7.脾臓:大小の血管内にびまん性に転移を認 める。髄外造血が見られる。 8.腎臓(左 240g,右 190g):左腎盂粘膜下脂 肪織内の血管に転移あり。腎盂の鬱血を認め る。 9.副腎:左副腎の黄色腫瘤は腺腫である。両 副腎とも,血管内に転移を認める。 10.甲状腺:右葉中極および左葉下極の腫瘤は いずれも濾胞腺腫である。 11.下垂体(0.7g):著変なし。 12.食道:転移は認められない。 13.胃:転移は認められない。 14.小腸・大腸・直腸:転移は認められない。 日本住血吸血卵が粘膜下に多数見られる。 15.膀胱:粘膜下の血管内に転移を認める。 16.子宮:筋層内の血管に転移を認める。 17.卵巣:両側卵巣の血管内に転移を認める。 18.大動脈:外膜の血管内に転移を認める。 19.気管:転移は認められない。 20.横隔膜:血管内転移が認められる。 21.リンパ節:左鎖骨上窩リンパ節,気管分岐 部リンパ節,両側肺門リンパ節に転移が認め られる。 C 生前の胸水細胞診 山梨医大中央検査部細胞診(2000 年 10 月 26 日採取)No. 75122,No. 75133 核縁の緊満した小型細胞がまりも状に大小 の集塊を形成している。class V。 D 1994 年 1 月の胃癌の手術時の摘出標本の組 織診 山梨県立中央病院病理部組織診 No. 933848 胃 亜 全 摘 標 本 。 体 下 部 小 弯 に 4.7 cm × 4.0 cm の II c 病変を認める(図 5)。組織型 は印環細胞癌で,深達度は粘膜内。癌巣内 図 2.硬膜血管内の腫瘍塞栓 図 3. 骨髄の転移巣。癌の転移と線維化がみられ, 骨梁は増加して osteoclastic である。 図 4. 右肺門リンパ節。印環細胞癌の転移を認め る。

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に Ul-III の潰瘍がある。リンパ節転移を認 める。 病理学的診断 Ⅰ.主病変 胃癌全身転移 1.腺癌の血行性及びリンパ行性全身転移 :肺,肝,骨髄,心,大動脈,脾,腎, 副腎,膀胱,子宮,卵巣,横隔膜,脳 硬膜,胸膜,心外膜,腹膜,頭皮下組 織,リンパ節(左鎖骨上窩,気管分岐 部,両側肺門) 2.硬膜への癌転移と急性硬膜下血腫 3.広範な骨髄への癌転移と骨形成性変化 :骨髄の造血細胞の減少と脾の髄外造血 4.早期胃癌に対する胃幽門側部分切除後 :II c,印環細胞癌,粘膜内癌,リンパ 節転移(+) Ⅱ.副病変 1.全身性出血傾向:皮下,粘膜,結膜,心 内外膜,心筋,小腸 2.日本住血吸虫症による肝の線維化 3.甲状腺両側濾胞腺腫 4.左副腎腺腫 5.左腎重複腎盂尿管 直接死因:全身転移による癌死 考  察 (1)全身転移を起こした癌の原発部位に関して は以下の点より,6 年前に切除された胃癌と 考えた。 ① 6 年前の胃癌は,深達度は粘膜内であり脈 管侵襲も切除標本には認められなかった が,癌巣内に固有筋層まで達する Ul-III の 潰瘍を有しており,かつては粘膜下層以深 に癌が存在していた可能性が完全には否定 できない。またリンパ節転移も認めた。胃 の粘膜内に存在する癌は印環細胞癌が大部 分を占めるが,リンパ節転移巣では低分化 腺癌が優位を占めていた。 ②今回の全身転移巣の組織像は,大部分が低 分化腺癌であるが一部に PAS 陽性粘液を 有する印環細胞癌も散見された。両者とも, 胃癌のリンパ節転移巣と粘膜内癌の組織像 と極めて類似していた。 ③全身臓器を詳細に検索したが,他に原発巣 と思われる病変は存在しなかった。 ④脳転移をきたした例での原発悪性腫瘍の割 合は,肺癌 40 %,血液系 9 %,胃癌 5 %, 乳癌 4.8 %という報告があり,胃癌からの 脳転移は決して少なくはない。 (2)広範な骨髄への癌転移と骨形成性変化によ る骨髄造血細胞の著明な減少,脾臓における 髄外造血が認められたことにより,血小板減 少は骨髄転移によるものと考えられる。 (3)急性硬膜下血腫は,癌性髄膜炎による髄膜 内血管の破綻と,血小板減少による出血傾向 が重なったために発生したものと考える。 質問 血小板減少の原因は癌の骨髄転移によると考 えてよいか。 回答 岡田俊一講師(内科学 1) 肝疾患に伴う血小板減少は,大多数は肝硬変 に伴う門脈圧亢進による脾機能亢進が原因であ り,本症例では日本住血吸虫症の既往はあるも のの,画像検査などから肝硬変があると思われ ず,本症例の血小板減少は肝疾患が原因とは思 われません。 発言 飯塚秀彦(内科学 1) xxxii 図 5. 1994 年の早期胃癌手術標本。体下部小湾に 4.7 × 4.0 cm の II c を認める。

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m 癌の転移について m 癌(胃癌)の転移は比較的希である。山 梨医科大学第一外科では 1998 年までに 266 例 の m 癌を経験したが,遠隔転移は脳転移 1 例, 肝転移 1 例の 2 例のみであった。リンパ節転移 は 5 例あり,脈管浸潤は 6 例,静脈侵襲は 1 例 に認められた。このうち,遠隔転移の 2 例とリ ンパ節転移の 1 例が癌死している。組織型につ いては特徴はなかったが,腫瘍径の大きいもの に転移が多い傾向があった。さて,本症例であ るが,1993 年の胃癌手術標本で m 癌とのこと であるが,明らかに筋層に達する潰瘍を認めて おり,臨床的には mp 癌と考えるべきである。 事実,手術時,3 個のリンパ節転移を認めてい る。すなわち,本症例は進行胃癌症例のリンパ 行性および血行性の全身転移と考えられる。病 理標本で m 癌であっても,潰瘍が認められる 場合や巨大なものについては進行癌と同様に考 え,治療および術後の follow up を厳重に行う べきである。

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