在宅老人介護者 に対す る老人福祉 の課題
は じめ に 今 日,わが国の老人福祉界で克服 していかなけ ればならない問題 に,対象者範囲の拡大化 とそれ に連動す る福祉費用負担の適正化問題がある。 こ れ らの問題 は,従来の福祉対策が,特 に緊急 な援 護 を必要 とす る低所得者層を対象 とした施設中心 の対策であ った ことか ら由来 しているが, さらに 本格化す るこれか らの高齢化社会の到来を考 える と,何 らかの形で援助を必要 とす る後期老年層の 老人が確実 に, また飛躍的に増大す るとい う問題 とも係わ っている。以上の点を考慮す るなら,当面 す る老人福祉問題の克服の方途 は第1
に,施設対 策中心か ら在宅福祉対策中心へ と転換を行 うこと であ り,第2に,第1の解決策 とも係わ るが,荏 宅福祉対策 の中心的サー ビスである,いわゆ る老 人ホーム-ル プサービスの派遣対象を低所得階層 世帯か ら課税世帯 まで拡大 し,必要 とす るすべて の社会階層 に属す る者 にサービスを提供で きる実 施体制 を確立す ることにある。そ して第3に,第 2の解決策 を具体的 に推進す る手段 として,従来 の無料 システ ムか ら利用者 による負担能力に応 じ た費用負担 システム-の変更が基本的方向 として すでに提出 されているのであ90' このよ うに,老人福祉界の最近の動 きは,救貧 か ら防貧へ と福祉の思想の発展のみならず,第二 次臨時行政調査会 の部会報告 や高齢化社会 との か らみで,財政対策面か らの変換 も迫 られてい る のであって, まさに,今後の福祉の方 向を占 う転 換期 に差 しかか っているといえよう。 しか し, こ の大事 な転換期にあって,福祉 はいま-つ大 きな 課題の解決 に迫 られていると思われ る。それは, 老人 とともにある家族の問題, なかで も 「ねた き り老人をかか えた家族」の問題であ る。 今 日のわが国の社会保障は,「1970年代 に年金 ・ 保健 ・医療 ・社会福祉の各分野 にわた り大 巾な改善萩
原
清
子
が図 られて きた結果,制度的には西欧諸国 と比較 してほはそん色 の ない水準 に達 して い る。 した が って,社会保障の今後 の課題 としては,将来 に わた って安定的 に,かつ効率的 な制度の運営 を図 る観点か ら,給付 と負担の両面 における社会的公 (2) 正の確保 を図ってい くことであろ う。」といわれ る。 西欧諸国に比べ てそん色のない水準 に達 してい るわが国の社会保障制度の下 において, したがっ て,今後 の課題 は,給付 と負担の両面 における社 会的公正の確保が うたわれている現状 において, 「共働 きの息子夫婦 の代わ りに孫 を背負 いなが ら, しゅうと, しゅうとめ と二人の病人の世話 を した50代の女性」「ねた き りの母萌を介護す るため に結婚 もあ きらめて,仕事 もす てた30代 の息子」 等,体験 した人でなけれ
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ばわか らない といわれ る) ねた き り老人介護 の苦労が後 も絶たず に報告 され ている。 また,
「『嫁いで間 もな く (夫 の親が)ね た きり老人 とな り,気 にゆるみなき20年間の介護 で, これか ら先 を考 えると, 自分の不幸 を感 じざ るをえない (42歳嫁)』とい う事例を,特殊 なケー スとして放置で きない ところに,ねた き り老人間 題 の重大性がある。 また これ らの介護 は今 日では 一般に家族 が担 っているが,扶養機能 の強固な家 族形態,家族規模,家族関係や親族網 によって守 られている場合は別に して,次第に扶養機能低下 の傾 向にあるといわれている家族,あ るいは一定 の扶養機能 はあっても親族網や地域相互扶助網の 弱 ま りの中で孤立 しつつある家族 な どでは,看護, 介護負担 は,家族 にのみ集中 して家族生活 を困難 に し,崩壊に導 くことさえめず らしい ことではな (4) い。
」
このよ うな 「ねたき り老人をかかえた家族」の 生活状態 は,昭和38年 の老人福祉法の制定以来、19 年 目に入 ったわが国の現実社会の中でいまだに解 決 されていない問題なのである。 この間のわが国 紘,前述 した よ うに,社会保障制度の水準 はほぼ -61-西欧なみにまで向上 し,「福祉サー ビスの対象 も貧 困老人 とい う一部の階層か ら所得の有無あるいは 高低にかかわ らないすべての老人層に法律的には 提供す る思想 に変更 され るなど,福祉社会建設-tSl の基盤整備が行われは じめて」19年 目を迎 えると い うのである。 この間の19年 間を早い とみ るか,遅いとみ るか は評価のわかれ るところであろ うが,いずれにせ よ,経済発展 も,社会保障制度 も, さらに,個別 のニー ドに対応す る社会福祉 も揃い,充実の途を 歩んでいるわが国において,重度の障害者やねた きりの老人をかかえているとい うだけで
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「この15 年間,私 はシ ョッピングなるものを した ことも・(6) 人を訪問 した こともな く, まして花見 も旅行 も」 していない家族 の問題 をわれわれはどのよ うに考 えるべ きであろ うか。 このよ うな生活状態 は,欧米で は,
「相対的収奪」 (relativedeprivation)とい う貧困概念で定義づ けられ る内容 と大変似か よっている。 なぜなら, 「相対的収奪」としての貧困状態 とは,
「個人,家 族,諸集団は,その所属す る社会で慣習になって いる,あるいは少 な くとも広 く奨励 または是認さ れている種類 の食事を とった り,社会的諸活動に 参加 した り,あ るいは生活の必要諸条件や快適 さ を もった り す る た め に 必 要 な 生 活 資 源 (resources)を欠いている時,全人 口の うちでは 貧困の状態 にあ るとされ るのである。貧困な人び との生活資源 は,平均的 な個人や家族が 自由にで きる生活資源 に比べて, きわめて劣 ってい るため に,通常社会で当然 とみなされている生活様式, 慣習,社会的活動か ら事実上締め出されているJ7' 状態 をさしているか らである。 現在,在宅 のねた き り老人は35万人 とも40万人 ともいわれてい る。その多 くが家族 によって介護 されているのである。「ねた きり老人をかかえた家 族」に対す る社会的援護のあ り方 を検討す ること が本稿のね らいである。 そ して何 よ りも,老人福 祉法制定以来の この19年間, なにゆえに老人福祉 法は 「ねたき り老人をかかえた家族」の問題に解 決を与 えてこなか ったか とい う点 を明らかに した い。 この ことは,敷桁す るなら家族 と社会福祉の関 係の問題で もあ るQ しか も,それは現代における 両者の関係の問題であるOそ こで まず はじめに, 家族 と社会福祉の関係をさぐるにあた り,家族お よび社会福祉の捉 え方を示 し,ついで,わが国に おける老人福祉 と家族 の現状について批判的に検 討す ることにす る。そ して最後に引 き出された問 題点を整理 しなが ら,今後 の課題 として行 きたい。Ⅰ
家族 と社会福祉をめ ぐる最近の動 き
1.家族の機能 と老親扶養 について 家族 に とって社会福祉 とは何 か。社 会福 祉 に とって家族 とは何か。両者の関係 は現在 どのよ う な状態 にあるのか。 これ らのプ リミテ ィブな疑問 が絶 えずわれわれの中で くり返 し行われ,その中 で具体的 な老人お よび老人福祉 を考 えようとして きた。 一般的には,家族の研究は学問的にも伝統があ り,貴重 な成果が数多 く提出されている。しか し, ここでは,いわゆ る老人問題 と老人対策の関係の あ り方,老人問題 と老人対策の関係のあ り方の研 究方法が当面 の問題である。 このよ うに問題を限 定 した場合,老人福祉の額域では,老人 と家族 の 問題は,居住形態に注 目した同・
別居の問題 として 議論 され ることが多い。 この場合,老親をかかえ る家族 の扶養機能が問題 とな り,別居 した場合に 紘,扶養機能 は減少,縮少 した と考 えられ, した がって家族が本来 もっている扶養機能を社会が何 らかの形で担 って行 く,とい う説明がなされること になる。(この点 は注(4)にみ られ る如 くで ある)0 あるいはまた,社会学の役割理論や構造較能論, さらには家族周期論,家族関係論か ら老人 と家族 の問題が分析 され ることになるが,いずれ も,少 なか らず同・別居 の問題いいか えれ ば老親扶養 の 問題 に収赦 してい くよ うに思われ る。 そ こで問題 とされることは,家族の扶養故能な どの よ うな もの として捉 え るか とい うことであ る。つ ま り,三世代家族あるいは老親 と子 ども等 との同居 もしくは親族網が維持 されている場合に は扶養機能があ り,核家族化, なかで も老人だけ の世帯 の場 合 には扶養 機能 が減退す る と捉 える か,あるいは,同居 ・別居にかかわ らず,現代の家 族 には,家族 とい う集団の営みだけでは老親世代を家族 内扶養 す る基盤に無理があると捉 える かで ある。 前者の立場 は,現在,一般的に老人福祉 の領域 で主張 されて いる立場であるが,私は後者の立場 に立 って議論 を進めて行 きたい と考 える。 なぜな ら,家族の機能, なかで も老親を扶養す る機能は 歴史的 に発展 ・変化 しつづけているか らであ る。こ の よ うな視点 か ら家族の扶養機能を捉 えるなら, 同居家族内に固有の, また所与 の もの として老親 扶養 を捉 える ことはで きない。 なぜ なら,現実の家族 は,た とえ三世代家族を 形成 していた としても,平均寿命の延長,出生率 の減少による家族規模の縮少,主婦労働の拡大 と いった変化がお きているのであ る。 このよ うな変 化の中で,親 が子供を扶養す ることと,子が親を 扶養す ることを同一視 して家族の扶養機能の有無 もし くは減退 ・衰退を議論す ることは現実 か ら遊 離 した もの といiっざるをえない. そ もそも 「親が子供 を扶養す ることは,いわば 生物 としての本能的機能で もあ り,ほとん ど自然 的 に うけ入れ られるが,子が親を扶養す ることは, 人間社会にのみ見 られ る高度 な槙能であって,そ の機能 を十分 に果たすためには,人間性に根 ざし た理念 と制度 が必要であ ることを再認識 しなけれ ばな らない」 との指摘がある。 その際, どの ような 「人間性 に根 ざした理念 と 制度」が必要 であるか といえば,それは戦前のよ うな 「家」意識や 「家」制度をさしているのでは な く,老人 は社会の老親 として位置づけられ,社 会的扶養が個別的・家族的扶養 の上位概念 とす る 共通認識を持 ち,その上で,扶義 の仕方,方法が 各家庭 で個別的 に行なわれ るか,それ とも社会的 共同的に行 なわれるかの選択 を可能 にす る制度が 必要 になろ う。 この ように考 える根拠 は, さきにもふれたが, 平均寿命の延長,子供 の数の減少 による一人 っ子 同士 の結婚, それによる
4
人の老親をかかえる家 族 の増加等 を考 えると,
「すべ ての人が一定 の期 間,老親を扶養す る期間を経験す るとい う事実」`9' の認識があ るか らである。 したがって この一定の老親扶養期間をだれの責 任の下 にどの ような方法,す なわち家族 内で賄 う か,それ とも社会的共同的 に行 うか とい う問題が 提起 され るわけだが, ここでは,老親扶養 は社会 の責任の下で,扶養方法 は本人および家族の選択 に委ね るとい う立場 に立 っている。つ ま り,今 日 においては,老親扶養 の問題をめ く-っては,家族 が果た している扶養 は社会か ら付託 された部分 も 多 く,逆 に社会が果た している部分は家族か ら委 託 されているとも考 えられ る。 この よ うな家族 の機能 を捉 える捉 え方 はR.M. Moroneyか らもみて とれ る。す なわ ちMoroney は「
(家族が家族員に ソーシャル・ケアを提供す る とい う意味における)ソーシャル・サー ビスとして(1(け の家族の機能」 とい う使い方を してい るか らであ る。家族 と社会福祉 の関係につい とは,あ らため て後述す ることにす る。 2.社会福祉概念の包括的把握 家族 と社会福祉の係わ りを問題にす るとき, も う一つの側面,す なわち社会福祉の概念 な り,定 義を しなければならない。 しか し,社会福祉その ものが新 しい学問領域であ り, また きわめて歴史 的・社会的条件 とその背景の変化 に規定 され るも のであ るだけに,その統一 した見解をみ ることは できないでいる。 しか し,一般的には,最広義, 広義,狭義の三つの レベルで捉 えられ よ うO 最広義のそれは,政策 目標 としての, また 目的 概念 としての福祉であ り,広義のそれはスウェー デンや イギ リスなどの福祉国家 といわれてきた国 で使用 され る 「その国における最低限あるいは平 均的な福祉が満た されていない個人,家族,グル-りり プなどに対す る施策一般 をさ」し,狭義 には,1950 年 に社会保障制度審議会 の 「勧告」の定義で 「社 会福祉 とは,国家扶助 の適用 を うけている者,身 体障害者,児童, その他援護育成を要す る者が, 自立 してその能力を発揮で きるよう必要 な生活指 導,更生補導その他 の援護育成を行 うことをい う」 とす るものである。 この ような定義 は,社会福祉 の概論害,教科書 には必ず整理 されているもので,それぞれの対象 も広義 の福祉 は一般国民,狭義 のそれ は社会福祉 の用語でい うと 「要援護的 ニー ド」 とか 「要救護 性」 とい うよ うに,対象を機能的に限定 して使わ れた りしてい る。わが国で社会福祉 とい う場合, 狭義の社会福祉を さし,その制度,政策,実践, -63-運動の問題 を論ず ることが一般的 となっている. このよ うな社会福祉 は,戟後の社会福祉の一定 の発展の中で,個人のニー ドを中心 に, よ り専門 分化 した新 しい施策の個 々バ ラバ ラな組織化 とい う形 で行 って きた のであ る。 した が って、 これ らの一連 の制度は ともす ると 「個人のニー ド」 と 「家族のニー ド」 を別個の もの として考 えた り, 「ニー ドをもった多 くの階層の多 くの人 々, また さまざまな疾病が取扱われてきたが,困 っている 家族 とか社会 集団 としては取 り上 げ られ なかっ (12) た」 とい う経過 をた どってきた。 この よ うな社会福祉 の発展過程 の中で
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R.M. Titmussは新 しい社会福祉の概念,包括的 な社会 福祉 の概 念で あ るSocialAdministrationとい う 用語 を積極的に使用 したのであ る。包括的 な概念 としてのSocialAdministrationには社会保章、保 健、児童 と家族 、老人、障害者等 に対す る特別の 施策 を行 う福祉サー ビスなどが含 まれ、その意味 ではSocialAdministration概念 は広義の社会福 祉であ り、福祉サー ビス概念は狭義の社会福祉 と い うことになる。 しか し,ここで注意 しなければならない ことは, イギ リスの社会福祉の領域において何故に包括的 な概念が確立 されてきたか とい うことである。現 荏,わ が 国 の 社 会 福 祉 の 領 域 に お い て も SocialAdministrationとして社会福祉 を把握す る重要性が指摘 されている。 しか し,そ こには, 従 来 の社 会 福 祉 と新 しい社 会 福 祉 と して の SocialAdministrationとの違いが,やや もすれば 技術論 と政策論 の対比で区別 され る場合 も無 きに Lもあ らず といえる。 だが、SocialAdministration概念の看過 しえな い重要 な意義 は、従来バ ラバ ラに発展 して きた社 会諸施策を包括的 に捉 える方法の視点 を提 出 した と考 えられ る。 この点に注 目した渡辺益男は, イ ギ リスにおいてSocialAdministrationが確立 し て きた理 由をTitmussがsocialAdministration 学会第1回大会で行 った講演 (1967年)か ら次の よ うに整理 を している。 「Titmussに よれ ば,社会福祉 に携わる人 々は, 従来厳 しく設 けられていた社会諸科学の専門領域 をこえて,経済的 ・社会的 ・行政的 な諸問題 を同 時 に問題に しなければならな くなってきてい る状 況に対応 して,社会福祉 はすでに,いわば社会諸 科学 を総合化 した知識 と技術の体系を必要 として土
工
旦 L それは,社会福祉 の問題が,個人において 現われ よ うとも,現代社会 においては,不可避的 に,社会的 ・経済的 ・行政的等の様 々な要因が総 合的 に影響 してい るか らで あ る。 したが って, SocialAdministrationの確 立は,換言すれば,普 さに,現代社会の社会変動 に見合 った社会福祉 自 体の形成過程にはかならないわ けである`131'(下線, 萩原) と。 SocialAdministration概 念 における包括性 の 含意 は以上の渡辺益男の適切 な整理 によって明確 になった。そ こで,わが国の社会福祉 を振 り返 っ てみ ると,包括的把握は もとよ り,三浦文夫 も指 摘 しているよ うに,
「従来,やや もす ると,個人単 位の福祉の確保 に重点がおかれす ぎた きらいが」
(
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あるといまっざるをえない. ここで断 っておかなけれ ばならないのは,ただ たんに,個人単位 を家族単位 にとればよい といっ ているのではない。現代社会 における社会福祉概 念の包括化の傾向 とその重要性 について述べてき たのである。 このような包括化 の傾向は、貧困 概 念についてもみ られることは上述 した とお りであ る。SocialAdministratio▲1概念 といい、Depri v-ation概念 といい,従来の社会福祉や貧困の中味 を もののみ ごとに豊富化 させ て きているといえよう。 3.家族 と社会福祉の関係 について 家族 と社会福祉の関係 をみ る場合,さしあた り, 二つの視点か ら問題をみ ることができる。一つは, 現代社会における社会福祉 は家族 との関係でみ る とresidual(残余的)な もの と捉 えるか,あるい はinstitutional(制度的)な もの と捉 えるか とい う 視点であ り,いま一つは,社会福祉 は家族 に とっ てsubstitute(代替的)な機能 をもつのか,それ と もcomplement(補充的)ない しはsupportive(支 援的)な攻能を もつ ものか とい う視点であ る. (1) residualな もの とinstitutionalな もの の関係 周知のよ うに,H.LW
ilenskyとC.N.Lebeaux は社会福 祉 の概 念 をresidualとinstitutionalの 二つに分 け,institutionalな社会福祉 とは,「社会 福祉制度は,家族 とか市場 とい う正常な供給機構が破壊 した ときにのみ活動を始め るべ きものであ り,institutionalな社会福祉 とは,それ とは対象的 に 「福祉事業 を現代産業社会 の正常 な第一線の機 能 とみてい る」 ものである。 residualな社会福祉 について もう少 し詳 しくみ ると, それ は 「個人のニー ドがそれを通 して正当 に満た され る二つの 『正常 な』経路,すなわち家 族 と市場経済 とがあるとい う前提 を基盤 としてい る。これ らは供給 の優先的機構であ る。けれ ども, これ らの制度 は,ときに家族生活が破壊 された り, 不況が起 こった りして、十分にその機能を果 たさ ない。 また ときには,個人は老齢 とか病気のため に正常 な経路 を利用で きない場合 もある。 このよ うな場合, この発想にしたが って必要充足 の第3 の機構,社会福祉機構が活動 を始め る。 これは元 莱,緊急機能 を伴 う補充の機関であると考 えられ また家族や経済組織 とい う正常 な社会機構が,再 びきちんと働 き出す とき,撤回 され ることが期待 されている。 その残余性,一時性,代替性 のゆえ に, このよ うに考 えられた社会福祉 は, しば しば F施 Li とか F慈善1 とかい う汚名を伴 うのであ る。他方,institutionalな社会福祉 には「何 ら汚名 と か非常事態 とか 『異常』 とかの意味 を含んでいな い。社会福祉 は,個人の自足性を助 ける点で,現 代産業社会 の正当で適法な機能であると受 け入れ られ るようになっている。現代生活の複雑 さは理 解 されてい る。個人が十分に自弁す る能力がない こと, また家族や労働環境において,彼の必要 な ものをすべて満たす ことができないことは『普通の』 状態でいる と考 えられている。そ して援助機関は (15) 『正規の』制 度的地位 を獲得 している」のであ る。 少 し引用が長 くなったが, ここでは現代産業社 会 における社会福祉の位置づけについて二つの見 解が示 されたわけである。それは,家族 と社会福 祉 の関係 を考 える時,家族 と市場経済 を個 人 の ニー ドを満 たす 「正常」 な経路 とみなし,第3の 社会福祉機構 を残余性,一時性,代替性 と捉 える か,それ とも,現代産業社会では, 自助努力に限 界があ り, また家族や労働環境 においても個人の ニー ドを満た し得 ない ことは 「普通 の」状態 であ る。それゆ え,援助機関は 「正規の」制度的地位 を獲得 した と捉 えるか, に区別 した ものである。 問題 は,実際のアメ リカではこれ ら二つの概念 が どの よ うな関係にあ るか とい うことであ る。 ウ イレンスキーとルポーによると,「実際のアメ リカ の社会事業 は, これ らを結 びつけよ うと試みて き た。そ して社会福祉の現在の傾向はその中間 コー
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6
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スを代表 している」
と認識 され, 「それぞれは--より広範囲な文化的社会的状態の反映であ り,そ してよ り高度 に産業化す るにつれて,第(17) 2番 目の 思想が普及す るように思われ る」 と,一種の発展 段階論を提出 した。ウイレソスキーとルポーは「観 念的二元説」(原文 はideologicaldualism)とい う 表現を使 っているが、私 はむ しろ 「発展段階論」 的な内容に近いのではないか と理解 している。 いずれにせ よ,わが国の社会福祉, なかで も老 人福祉 の「現在の傾向」はresidualなもの と,insti -tutionalなもの とどちらによ り近 い段階 にあ るか が問題 となる。 この点については後述す るつ も り である。 (2)subStituteとcomplementの関係 家族 と社会福祉 を捉 える視点 としてほ,一体, ねた き り老人ならねた きり老人の世話 をだれが行 うのか, とい う問題がある。そのためには,心身 ともに 自立 が困難 になった りあ るい は,病 弱 に なった りして自分以外のだれかに世話 を受 ける必 要の生 じた,いわゆるdependent(要援護者)を ど う捉 えるか, また家族 は どのようなもの として位 置づけるか とい うことが明らかにされ なければな らない。これ らの点 に関 して,R.
M.
Moroneyの議 論を紹介 しよ う。Moroneyは,前述 した 『家族 と国家』の中で, 家族 と国家の関係を次のように提出 している。 ま ず、dependentを 、、thesociallydependent、、と捉 え,家族 を、、thefamilyasaninstitutionfunctions atasocialservice inthecareofthesocially dependent、、としておさえた上で,福祉 国家の構造 は,thesociallydependent(社会的要援護者)を 家族 と社会 によってケアす る責任 を分担 してい る とい う仮説 に信頼を寄せている。 そ こで次 の問題 を提 起す る。 ところでcaring functionは,家族 と国家の両者 によって分担 され るべ き もの で あ ろ うか, と。 も しそ うだ とす るなら,家族 と国家の二つの社会制度 は相互に ど のように関係づけ られ るべ きであるか。 さらに, 実際に,国家が家族 よ り重い責任 を負 うとしたな ー6
5-ら, この よ うな方法 に納得のい く境界線 はあ るの だろ うか, と。
そ こで,三つ の異 なる次元 のパ ラダイムが両者 の関係を明 らか にす るために提 出 され る。第
1
と 第2の次元 はケアの移転(transfer)の形 を表わ し た も の で,complete-partialとpermanent -temporaryとに分 け られ,第3の次元 は家族 を support.--1ubstituteの対 で識別す るものであ る.た とえは,老 人の多 くはいろい ろな施設 に入所 し, そ こで 死 を 迎 え るが, この よ うな移 転 は completeでpermanentな例であ り,totalcareを 提供 している これ らの社会福祉 システムは家族 を 代替 した ものであ る。他方,移転の形 はcomplete だが,temporaryである場合には,家族 をsupport している例であ り,情緒障害児や老人の短期入所 ケアの場合が相 当す る。 そ こで, さらに次の よ うな問題が提出 され る。 こ こで の研 究 の主 題 は,実 際 に 行 わ れ て い る socialservicesが家族 の代替 なのか,それ とも補 充(complement)なのか, とい うことであ る。つ ま り,家族 が社 会 的要 援護 者 に ケ7を提 供 す る こ と が で き な い 場 合 (こ れ をsupplementary approachとす る), あ るいは,提供 しよ うとしな い場合 (これ をresidualapproachとす る),それ らの場 合 にのみ在 宅 援助 サ ー ビス (domiciliary services)を提供す ることにな るのか,それ とも, これ らのサ ー ビスは,家族 の プライマ リ一機能 と して ケアを喜 んで遂行 しよ うとしている家族 を強 化す るために提供す るものなのか, と。 代替概念 に基づいた政策 は,家族 と社会福祉 シ ステ ムとの間 の関係 は排 他的であ るが,他方,捕 充的機能 を強調 す る政 策 は相 互依 存 の関係 にあ る。後者 の政策 は,家族が社会 の介入を必要 とし てい ることを示 し,反対 に,社会福祉 システムは 家族 を必要 としていることを示 している。 この よ うに,家族 と社会福祉 との関係が明 らかにされた 級,Moroneyは,どち らか一万が社会的要援護者 を引 き受 けた場合 には社会的 ・経済的費用 はあ ま りに大 き く, イギ リスの過去
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0
年間の社会福祉支 Hの増大 をみれ ば, この関係の実際的推移が判断 で きるとい う。 したが って,家族が要援護者 の ケ アをなお一層 国家 の責任 に移転す るよ うになった な らば,公的 セ クターの費 用は よろめ くことにな ろ う, と結論づけてい る。(18' 以上,家族 と国家 の関係 につ いて,Moroneyの 議論 を大雑把 な形 で招介 して きた。 ここで明 らか になった点は,第1
に,家族 と同居 してい よ うが, 別 居 し て い よ う が,要 援 護 者 は 「socially dependent」として把握 され ていること,第2に, 家族 は,制度 としての家族 は,社会的要援護者 の ケ7を行 うことで,socialservicesとして淡能す るのであ るとい うこと,第3に,家族 と国家 の関 係 における代替性,補充性 の関係 は,社会福祉が 完全 で永久的 な トータル・ケアを家族 か ら引 き受 けてい る場合 には,家族 を代替 した もの となる。 そ して社会福祉 システ ムが家族 の代替 をす る場 合 はさらに二つ に分類 され,一つ は,家族 が社会 的要援護者であ る家族 メンバ ーの ケアがで きない 状態 にある場合,そ こに社会福祉サー ビスが提供 す る時 には 「補足的 アプ ローチ」(supplementary approach)とされ,他方,家族 が家族員 に ケアを 提供 しない場合 を 「残余的 アプ ローチ」(residual approach)として区別 してい る。 しか し,いず れ も国家 が家族 の代替 をす るとい う位置づけがな されてい る.一方,国家が家族 を 補充(complement)す る場合 とは,家族 が実際 に ヶァを遂行 してい る場合 に,家族 を支持(support) し,強化す るよ うにサ ー ビスの提供 を行 うことで ある。 この例 の場合 には,社会的要援護者 を国家 と家族 で役割分担 し,相互依存 の関係を続 けるこ とを指 して い る。そ して 第 4にMoroneyは, Community-basedservicesこそ家族 を補充 し,支 持す るサ ー ビスで あ る と評 価 して い る ことで あ る。 以上,Moroneyに よって議論 された代替性,捕 充性 の議論 は,その ままわが国の老人福祉 の現状 にあてはめ るわ けには行 かないであろ う。 なぜ な ら,西欧先進諸国の老人の一般的家族パ ターンは, 別居 を主 に した ものであ り,わが国のそれ は同居 を主 としてい るか らであ る。 しか し,現代社会 に おいて, また今 日の経済社会 の変動 の中で, どち らか一万 に片寄 りす ぎている場合 には, それに対 す る反省,再検討 の議論が提 出 され るものであ る ことを示 してい るとい えよ う。Ⅰ
Ⅰ
わが国 におけ る老人福祉 と家族
1.老人福祉法 における老人 と家族 Ⅰで明 らか にされた よ うに,家族 と社会福祉 の 関係 をみ る場合,社会福祉の発展 と拡充が行われ るにつれて,社会福祉 は家族の代替を行 うべ きな のか,それ とも家族の不足部分を補足 をすべ きな のか,あるい はまた,今ある家族の機能をより一 層支援 し,強化すべ きなのか。その場合には, ど の よ うな基準でそれ らの性格の違 いを区別すべ き なのか。 これ らの問題が提出されたわけである。 ここでは,わ が国の老人福祉法 を検討す るなかで, 老人 と家族 の扱われ方 についてその特徴 を浮 き彫 りに した い 。Mo
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の内容 に注 目し,それ を 「完全 と部分」
,
「永久 と一時」 とい ったパ ラ ダ イムで説明 した。 しか し,わが国の老人福祉を検 討す る場合, イギ リス社会を背景にして構想 され た概念説明をそのまま適用す ることに無理がある と思われ る。 そ こで,わが国の場合 には,老人福祉法 におい て家族 が どの ように扱われてい るか,すなわち, 老人福祉法 の対象はどの ように規定 されているか 見 ることか ら始める。その場合,主 として老人ホー ムと老人家庭奉仕員派遣制度 を とり扱 うことにす る。 (1)養護老人ホーム と家族 養護老人 ホームは,つ ぎにのべ る特別養護老人 ホーム等 とともに,老人福祉法第11条 「老人家族 への収容等」 に規定 されてい るものである。法第 11条第1項第 2号には 「65歳以上 の ものであって,身体上若 しくは精 神上又は環童上の理 由及び経済的理 由によ り居 宅 において養護を受 けることが困難な ものを当 該地方公共 団体の設置す る養護老人ホームに収 容 し,又 は当該地方公共団体以外の者の設置す る養護老人 ホームに収容を委託す ること」 とある。従来,養護老人 ホームの規定 について問 題 となって きた点 は,収容の措置の対象者 の要件 に 「経済的理 由」が含 まれてい ることであったが, 厚生省 自身,
「経済的理 由」を要件 とす る必要 のな (19) い時期に来ていることを認めている。 では,養護老人ホ-ムと家族 との関係はどうで あろ うか。法第11条第1項第2号をみ ると 「環境 上 の理 由」がある。 この環境上の理 由に家族 およ び住宅の事情が含 まれることになる。つ ま り,
「ア 身体上又は精神上の障害のため 日常生活 に支障が あ り,かつ,その老人の世話を行な う養護者等が ないか,又はあっても適切 に行な うことがで きな い と認め られる場合 イ 家族又は家族以外の同 居者 との同居の継続が老人の心身を著 しく害す る と認め られ る場合 り 住居がないか,又は住居 があってもそれが狭あいである等環境が劣悪 な状 態 にあるため,老人の心身を著 しく害す ると認め られる場合」(昭和38年7月31日社発第521号社会 局長通知 「老人ホ-ムへの収容等の措置の実施に ついて」) とある。 これ らの要件 か ら家族 との関係 を読 み とるな ら,基本的には家族 との同居が前提 とされ,やむ を得ない場合, もしくは養護者のいない場合に, 「環境上の事情」の1
つが発動す ることになる。 このよ うに,家族 の有無 により福祉 の措置が適用 され るとい う関係 は,老人福祉法における福祉の 原則 となっている。す なわち,老人福祉法におい ては了老人の福祉 は原則 としてその家庭 において 家族 とともに生活す るところに存す るとい う考 え 方 を とってお り,養護老人ホームへの収容措置 も 居宅において養護 を受 けることが困難 な老人に対 (20) してのみ行 な うことと規定 されてい る」。 以上の規定か ら,養護老人ホームの収容措置 と 家族の関係は,福祉が家族の代替的機能 にあるこ とを示 している。(
2
)
特別養護老人ホーム と家族 老人福祉法第11条第1項第 3号には 「65歳以上の者 であって,身体上又は精神上著 しい欠陥があ るために常時の介護 を必要 とし, かつ,居宅において これを受 けることが困難な ものを当該地方公共団体 の設置す る特別養護老 人ホームに収容 し,又は当該地方公共団体以外 の者の設置す る特別養護老人ホームに収容を委 託す ること」 とある。特別養護老人ホーム (以下 「特養」 と略 チ)は,老人福祉法によって新設 された もので, -671措置要件は,(1)身体上又は精神上の著 しい障害の ため,常時臥床 してお り,かつ, その状態が継続 す ると認め られ る場合
(
2
)
身体上又は精神上の著 しい障害のため,常時臥床 はしているが,食事, 排便,寝起 き等 日常生活の用の大半 を他の介助 に よらなければな らない状態 にあ り、かつ、その状 態が継続す ると認め られ る場合」(前掲、社会局長 通知)となっている。「特養」における措置要件に は 「経済的理由」が付 されてお らず,純粋に身体 上又は精神上のノ、ソデ ィキャップに注 目している ことで 「普遍主義」が とられている。 しか し,ねた き り老人一般が 「特養」の対象一 般に規定 されているわ けではない。上記の法第11 条第1項第3号 をよくみ ると,常時の介護 を必要 とす るものが 「居宅 において これを受 けることが 困難な」場合にのみ措置収容の対象 になるのであ る。先 きの養護老人ホームと異 な り,確かに 「経 済的理 由」 は付 されてはいない ものの,それゆえ 「普遍主義」的性格の規定 と評価 され るものの, 実際には,老人福祉 における「家族主義」
「居宅原 則」が貫徹 しているために,結果 としては 「選別 主義」が とられ ることになって しま う。 しか し, この ような介護を必要 とす る状態にあ る老人は,
「家庭 においては適切 な介護 を受 けるこ とが一般的に困難であ り, また,在宅 ケ7-とし ての老人家庭奉仕員の派遣ではカバーしきれない 状態であ り,特別養護老人ホームに収容 して(21) ,24 時間 ケ7-を行 なお うとす るもの」が本来の 「特 養」の役割であ ると受 け とめ ることがで きる。 法文上は心身上の- ソデ ィキャップに注 目しな が らも,実質的 には「居宅で介護 の不可能なもの」 に限定 され る結果,現実 には「特養」は家族 に とっ て 「代替的」機能を果たす ことになるといわなけ ればならない。 同様の性質は,
「身寄 りがないか, 又は家庭の事情等によって家族 と同居で きない こ と」が利用条件 にあげ られている 「軽費老人ホー ム」について もい うことがで きる。(
3
)
老人家庭奉仕員による世話 と家族 老人福祉法第1
2
条は 「市町村は,社会福祉法人その他の団体 に対 し て,身体上又 は精神上の障害があって 日常生活 を営むのに支障がある老人の家庭 に老人家庭奉 仕員 (老人の家庭 を訪問 して老人の日常生活上 の世話 を行 な う者 をい う。)を派遣 してその日常 生活上の世話を行 なわせ ることを委託す ること がで きる」 と規定 をしていろ。 この「老人家庭奉仕事業」(以 下 ホーム-ルパーと略す) は,在宅福祉サー ビス の中心的施策 として最近 とみ にその重要性が増 し, また期待 されてい る福祉サー ビスである。そ して,昭和57年10月か ら所得税課税世帯にも派遣 対象が拡大 され ることにな り,その代わ りに所得 に応 じた 自己負担制度が とられ るようになった。 いわゆ る 「有料-ルパ ー」制度の導入である。 ここで もまず,老人ホームヘルパ ーの派遣対象 か ら検討す る必要がある。 この制度は昭和38年 の 老人福祉法 の制定 に よって条文化 された ものだ が,それ以前の昭和3
0
年 の初め頃か らすでに一部 の地方公共団体で実施 されていたのである。派遣 対象は,昭和37年 当時 「要保護老人世帯」であっ た ものが,昭和4
0
年 には 「低所得 の家庭」に拡大 された。 さらに,昭和43年 の全国社会福祉協議会 が行なった 「居宅ねた き り老人実態調査」を契機 に,多 くの不遇なねた き り老人の実態が明らかに された結果,その派遣対象 も昭和44年 には 「65歳 以上で常 に臥床 してい る低所得層の老 (その属す る世帯の生計中心者が所得税を課せ られていない もの)で,家族以外の者 に介護 されているか, 普 たは家族が病弱であ るため介護の著 しく困難な も の」 と改め られた。 そ して現在の派遣対象世帯は 「老人家庭奉仕事 業運営要綱」(昭和47年)によって以下のよ うに規 定 されている。 さきに引用 した条文では 「身体上 又は精神上の障害 があって 日常生活 を営むのに支 障がある老人」となっているが,
「運営要綱」では これを具体化 して①老衰,心身の障害傷病等の理 由によ り臥床 している等 日常生活を営むのに支障 がある老 ② おおむね65歳以上の老 ③原則 とし てその属す る世帯の生計中心者が所得税 を課せ ら れていない老 ④ その家族が老人の養護を行 なえ ないよ うな状況にあるもの,の四つの条件を満た す もの としてい る。 ホーム-ルパ ーの派遣対象が「要保護老人世帯」 「低所得の家庭」
「ねた き り老人世帯」へ と移 り変 わ って も,一貫 して要件 とされた点 は 「低所得階層」 であ る。 したが って,課税世帯への対象の拡 大 は緊急を要 す る課題 であ ることはだれで も認 め てい ることで あ る。 ところで, 現行 ホーム-ルパ -制度 と家族の関 係 は どの よ うな もの と して捉 え られ るであろ う か。 すでに上 述 した よ うに,サ ー ビスの利用者, 対象者 の範 囲拡大化の方法 として低所得階層の枠 を外 し,その代わ り家庭 の収入 に応 じた 自己負担 制 の導入が図 られ ることになっている。 しか し, 現行制度の派遣対象を よ くみてみ ると,④ の要件, つ ま り 「その家族 が老人の養護 を行 なえない よ う な状況 にあ る もの」 が含 まれてい るのであ る。 そ こで,現 在 までのホ-ム-ルパ -の派遣状 況 につ いて,主 に派遣世帯 に注 目して検討 してみ よ う。表1は昭和39年度か ら55年度 までの17年間 の 図 I ホームヘルパー派遣世帯の推移 (形) 100 90 80 ・70 60 50 0 0 0 0 4 3 2 1
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老 人 世 帯 の 割 合 「 低 所 得 の 家 庭 」 「 要 保 護 老 人 世 帯 」 派遣対象世帯の推移であ る。 また図1
は, その推 移 をグ ラフ化 した ものであ る。 これ ら二つの表 と 図か ら,過去17年 間のホーム-ルパ ー派遣世帯 の 特徴が浮かび上 って くる。 まず第1
に,
「被保護世帯」 と 「その他 の世帯」 の割合 は,
「被保護世帯」 の割合が確実 に減少 し, 昭和39年度末 には83対17の割合であ った ものが, 55年度末現在ではその比率 を逆転 させ て33対67に 達 してい る。第2
に、「老 人(のちの)世帯」と「
(塞 人 を含む) その他 の世帯」 の割合 をみ ると,昭和 43年 までは9:1の割合で 「老人世帯」が圧倒的 に 高か った ものが,44年 以降 は7- 8割対3- 2割 の巾で不規則 に上下 している。第3
に,
「被保護世 帯」 に比べ て 「その他 の世帯」 の万 が 「老人 (の み の)世帯」 よ り「
(老人を含む) その他 の世帯」 注 ① 「派遣総世批iにおける「老人のみの世招」と 「老人を含むその他の世桁」の比率 (勃 「被保護世相」における ′′ 「老人のみの世帯」と 「老人を含むその他の世帯」の比率 ③ 「被保護世帯以外のその他のLtr符→における 「老人のみのLtl村」と 「老人を含むその他の世帯」の比率 ④ 「派遣総世軌 における 「被保護仰 臥 と 「被保護世帯以外のその他の世帯」の比率 、 竺 ー i9_ i9-
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工 _ 只R② \里 ー 8_6、;被保護tLlTrL. 75 74 75 75 75 「 ね た き り 老 人 世 帯 」 「 運 営 要 綱 」 の 一 本 化 76 77 77 77 77 ヘ ル パ I L の 1 本 化 「 老 人 ・ 身 障 ・ 重 症 児 被 保 護 ttt脚 の割 合辛
表 1 老人家庭奉仕 員の奉仕 員数 ・派遣対象世 帯数,老人 -その他 ・年次別 if.-- 吹 庭 奉 仕老 人 家日 数 派 迫 対 象 世 帯 数 I④ 総 数 世符 の被 採 否 の他 市そ の他 ① 総 数 (診被 保 霞 世 帯 ③ そ の 他 の世 帯 総 数 :巳 人-tIナ そ の 他1ナナ 総 数 老 1人+ そ の他十lナ 総 数 老 人1廿 そ の他1-け` (実数) (実数) 世脚川 の 世 7C初tl (実数) 世七%ー帯 の世 7(%I71 (実数) 班脚,.TI の世 F脚.71 (%) 割 合 の割 合 昭和39 年 度 末 611 6.616 89.2 10.8 5.470 90.6 9.4 1.146 82.6 17.4 100 82.7 17.3 40 673 6.890 88,0 12.0 5.768 89.5 10.5 1,122 80.3 19.7 100 83.7 16.3 41 855 7.399 89.6 10.4 6.212 91.1 8.9 1.187 82.1 17.9 loo 84.0 16.0 42 1,108 9,508 90,4 9.6 7.624 91.7 8.3 1,884 85.1 14.9 loo 80_2 19.8 43 1.338 13,877 92.6 9.3 10,927 92.1 7.9 2,950 85.5 14.5 loo 78.7 21.3 44 4.145 25,785 74.7 25.3 14,164 88,3 ll.7 ll,621 58.1 41.9 100 54.9 45,I 45 4.746 30.801 73.5 26.5 15.790 89.3 10.7 15,011 56.9 43.I loo 51.3 48.7 46 5,586 37.586 74.7 25.3 17.769 89.2 10.8 19.817 61.7 38.3 100 47.3 52.7 47 6.233 44,726 74.7 25.3 20.475 90.0 10.0 24,25ー 61.8 38.2 100 45.8 54.2 48 7,278 53.140 74.7 25.3 22.674 89.0 ll.0 30.466 64.0 36.0 loo 42.7 57T3 49 8.178 58.443 76.0 24.0 24.155 89.8 10.2 34.288 66.2 33.8 16-0 41.3 58.7 50 8.549 62.395 76.6 23.4 24.890 91.0 9.0 37.505 67.0 33.0 100 39.9 60.I 51 8.821 65.063 77.1 22.9 25.051 90.2 9.8 40.012 69.0 31.0 100 38.5 61.5 52 9.166 66.392 77.3 22.7 24.688 90.3 9.7 41,704 69.6 30.4 loo 37.2 62,8 53 9.287 69.050 76.6 23.4 25,698 91.0 9.0 43.352 68.I 31.9 100 37.2 62.8 54 9,498 70,289 70,4 29,6 24,872 85.1 14.9 45.417 62.4 37.6 100 35.4 64.6 55 9,647 69.324 70.4 29.6 23.053 85.9 14.1 46.270 62.6 37.4 loo 33,3 66.7 対 前年度吋 加率脚 0年 度末 110.1 104.1 102.7 116.3 j石5.4 104.1 118.3 97.9 95.1 111.1 / 41 127.0 107.4 109.4 92.5 107.7 109.6 91.1 105.8 108.1 96.4
/
42 129.6 128.5 129.6 119.1 122.7 123.6 114.1 158.7 164.6 131.9/
43 120.8 146.0 146.4 141.8 143.3 143.9 137.2 156.6 157.4 152.0 / 44 309.8 185.8 153.0 505.0 129.6 124.2 192.1 393.9 267.8 1,139.3/
45 114.5 119.5 117.6 125.1 111.5 112.8 101.8 129.2 126.4 133.0 46 117.7 122.0 124.0 116.6 112.5 112.4 113.6 132.0 ー43.I 117.3 / 47 111.6 119.0 119.I 118.7 115,2 116.3 106.1 122.4 122.7 121.9/
48 116.8 118_8 118.7 119,1 Ilo.7 111.0 122.3 125.6 130.I 118.4/
49 112.4 110.0 111.9 104.4 106.5 107,6 98.2 112.5 116.3- 105.9/
50 104.5 106.8 107.6 104.1 103.0 loヰ.4 91.4 109.4 lュo,7 106.8 51 103.2 104.3 105.1 101.7 100.6 99.8 109.4 106.7 109.8 100.3/
52 103.9 102.0 102.3 101、3 98.6 98.7 97.3 104.2 105.2 102.1 / 53 101.3 104.0 103.1 107.2 104.1 104.9 96.7 104.0 101.7 109.2 / 54 102.3 101.8 93.5 128.8 96.8 90.5 160.9 104.8 96.0 123.5 / 55 101.6 98.6 98.6 98.8 92.7 93ー61 87一6 101.9 102.3 101.2ド 幣料 :厚生統計協会 「国民の福祉の動向」への派遣率が高い。第4に,過去17年間の うち, 大 きな変動 をみた年度 は44年度 のみである。第
5
に44年度の 「その他の世帯」の うちの「
(老人を含 む)その他 の世帯」の対前年度伸 び率は1139.3と 他のいずれの カテゴ リーを も圧倒 してい る。 以上 の ことか ら,第1
に44年度の質 ・量 ともに大 きな変化 を もた らした要因は,派遣世帯の 自然増 とい うよ り, む しろ 「政策増」 とみ ることがで き る。 しか も, その 「政策増」の根拠 が前年度の 「ね た き り老人実態調査」の結果にもとず くものであ るな ら, ホーム-ルパーの飛躍的 発展 の契機 は 「ニー ド」 にあ った と判断できる。 この ことは第 2に,裏 を返せば,行政技術上の 変更 は必ず しも派遣対象に大 きな変化 を与 えるこ とにはならない ことである。た とえば,図1に示 した よ うに,対象世帯の変更,
「運営要綱」の一本 化等,数回の行政技術上の変更があった。しか し, 「ねた きり老 人実態調査」 によるニー ドの発掘 ほ どホーム-ルパ ー制度に影響を与 えてきた ものは 無か った。 その意味で,昭和43年 に実施 された 「ねた き り 老人実態調査」の社会調査 としての役割 は計 り知 れない ものがあった といわなけれ ばならない。 し たが って,
「有料-ルパー」の導入は,今後 の福祉 ニー ドとどの よ うに係わ るか注 目され るところで あ る。 では, ホーム-ルパーと家族 との関係 はどのよ うに理解 され るであろ うか.ホームヘルパ ー派遣 世帯 の17年 間の推移 をみ る限 り,派遣対象世帯は 「老人のみ の世帯」に片寄 り,低所得世帯であ り なが ら,老人 をかかえる家族のニー ドにやや近づ いた年度 は44年度のみ といえよう。 しか し,その 後 ほぼ10年 間 にわた り44年度の傾 向は定着 し,再 び53年度に派遣世帯の割合に変化がみ られはじめ ている。 この ように,
「老人のみの世帯」に重 きの置かれ て きた ホーム-ルパー制度 は,
「ニー ドの優先順 位」論 を根拠 に実際には 「運営要綱」の① の規定 を,つ ま り 「その家族が老人の養護を行 えない よ うな状況にあ るもの」が派遣世帯 の巾を狭 くして きた と考 え られ る。その意味で, ホームへルパ-制度 も家族 の有無, ない しは「困難 な状況」によっ て発動す る家族 の代替的役割を果た して きた とい えよ う。 (4) 老人福祉サービスへの接近順位 と 接近 阻害要件 以上,わが国の老人福祉法における諸施策の う ち主 な対策の対象規定についてみて きた。そこで, これ らの対象規定を整理 してみ よう。周知のよ う に,わが国の老人福祉法の構成 はすべての老人に 共通の- ソデ ィキャップ (例 えは,一般的 老衰, これに伴 う稼得能力の減退等) と,一部の老人に 生ず る特殊の/、ンデ ィキャップ (例 えば,身寄 り がない とか,常時介護 を要す る状態等) に分けて (22) それぞれに応ず る措置がなされてい る。 そ して,その上 に養護老人ホーム,軽費老人ホー ムA型や ホーム-ルパー制 度 の よ うに 「低所得 層」の限定がついてい るわけである。 しか しみて きた よ うに,サー ビスに接近できる順位 は,いわ れて きた ように,老人の- ソデ ィキャ ップの軽重 早,所得税課税世帯,非課税世帯のみの基準で決 まるとい うよ りむ しろ,
「無家老人」と「有家老 人」
の区別,
「老人の家族」と 「老人のい る家族」との 区別で基本的 な接近順位が決 まってい ることに気 づ く。 つ ま り,優先順位 の高い万か ら並べ ると,
「無家 老人」
,
「老人の家族」
,
「有家老人」
,
「老人のいる 家族」 となっていることがわかる。 もちろん前提 として,「低所得」ない しは「特殊 の- ソデ ィキャッ プ」の要件が加わ ることはあえてい うまで もない。 では, この順位を基本で支 えている基準 は何で あろ うか。すでに前述 した よ うに,それは老 人福 祉の原則,つ ま り 「老人の福祉 は原則 としてその 家庭 において家族 とともに生活す るところに存す る」 とい う,いわば 「家族一体原則」であ る。 し たがって, この原則に外れ るものが 「福祉 に欠け る状態」 として老人福祉法の適用対象 にな り,皮 対 に,家族一体の状態にあ る限 り老 人福祉か ら遠 ざか ることになる。他方,老人福祉法 は 「老 人の 福祉」,す なわち「老 人個人の福祉」の増進を うた っ た ものであるとい うこと。 したがって,老人福祉法それ 自体の中ですでに 「個人のニ- ド」 と 「家族 のニー ド」 は分離 して いるといわ ざるをえない。老 人福祉法 の第2条, 基本理念を規定 した条項 をみ ると 「老 人は, 多年 - 7 1-にわた り社会の進歩 に寄与 してきた者 として敬愛 され,かつ,健全で安 らかな生活を保障 され るも の とす る」 とうたわれていることか らも伺 うこと がで きる。 老人福祉法における 「家族一体原則」 と 「個人 処遇原則」に貫かれた諸施策 は,Moroneyの 「関 係 概 念」を 使 用 す る な ら家 族 を 「代 替」す る residualアプローチ (家族が ケ7-をしない タイ プ)とsupplementaryアプローチ(家族がケア-を 提供できないタイプ)が理論的にも実際的にも大部 分を占めることになる。しか し,わが国のよ うに, 老人親子の「同居」形態が 日本家族の一般的パ ター ンといわれている現在,「老人のいる家族」への援 助 が 皆 無 に 等 しい 状 態 で い い は ず は な い。 Moroneyの用語 で い えば家族 を支 援・強化 す る 「補充的」(complement)関係の維持が展開 され なければならない と考 える。 現行老人福祉サー ビスは,基本的なところで「有 家老人」 もしくは 「老人のいる家族」に接近 しに くい法文上の構造を もっていることを指摘 したわ けだが,いま一つの接近阻害要件について も明 ら かに しなければならない。 それは,老人福祉サ-ビスの要否 は一体だれが決め るか とい う問題にか かわ って くる。 ここでは再 び老人ホームとホ-ム -ルパー制度について検討す ることにす る。 まず老人ホームへの収容に関 して老人福祉法第 11条第 1項 をみ ると,「都道府県知事,市長及び福 祉事務所を管理す る町村長 は
,6
5
歳以上の者 につ き,その福祉 を図るため,必要に応 じて,次の措 置 をとらなければならない」 とある。 ここにい う 「措置」とは 「福祉の措置」の ことで,「要援護者 が必要 とす る援護・育成・更生 についての社会福祉 的行政施策をい う`2]Q'っ ま り,各福祉法によって実 施 され る具体的施策の中で,要援護者に とって必 要不可欠な中核 となる行政施策をさしている。老 人福祉法の場合には,「健康診査」「老人医療費の 支給」「老人ホームへの収容等」「家庭奉仕員によ る世話」
「老人福祉の増進のための事業」の5
つが 「福祉の措置」 と規定 されている。 「福祉の措置」 としての 「老人ホーム-の収容 等」 は一体だれがその入所の要否 を決めるのであ ろ うか。つま り,老人自身か,それ とも老 人のい る家族の ものか.あるいはまた行政機関, もしく は老人ホームの職員 等のいずれ なのかも とい う問 題であ る。 この ことは,老人福祉法第11粂第1項 の措置の法的性格を問 うことによって明らかにさ れ るOそれは,「老人か らの申請 によって開始 され るのではな く,措置の実施機関が職権によって,(24) 自主的 に行な うもの となっている」。それゆえ,「老 人に措置を受ける権利 はな く, したがって権利 と して措置を請求で きず, その結果手続 として申請 が認め られてお らず,職権主義が とられている」。 国民に保護を受ける権利 を与 え,申請保護 を原則 としている生活保護法 とは異なっているわけであ る。 また,サー ビス内容の決定がほとんどの場合 専門家である医師の裁量 に委ね られている医療 ・ 保健領域 とも異なるところとなっている。 同 じく 「福祉の措置」 としての 「老人家庭奉仕 員による世話」は どのよ うなもの となっているの であろ うか。すでに上記 した法第1
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条をみ ると, 市町村 は,社会福祉法人その他の団体に対 して老 人家庭奉仕員の派遣 を 「委託」す るす ることがで きるとしている。そ こで,「委託事務の範囲」が問 題 となる。具体的 に委託で きる事務の範囲 とは, 「派遣対象世帯の老人の 日常生活上の世話を行 な わせ るとい うサー ビス業務だけであ り,身体上又 は精神上の障害があって 日常生活を営むのに支障 があるか どうかの認定,即 ち老人家庭奉仕員の世 話を受 けることがで きる老人か どうか,また,サー ビス業務の内容の決定 までを委託す ることはで き(26) ない ものである」 とされ る。 老人ホーム, ホーム-ルパ ーのいずれの場合 に もサー ビスの安否 は当該老人や家族の外部で決定 され るのである。しか も,その外部基準であ る「福 祉の措置」には 「(1
)救護的性格が強 くその内容が 制限的である(
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)
対象者のニー ドに即 した福祉的 琉能が弱い (3)法定の福祉措置が財政事情を理 由 に定め られてお り, また行政裁量 にまか され る余(
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7) 地が多い
」 といった問題点が含 まれてい る。 身近 な老人福祉サー ビスが申請主義ではな くて 職権主義であ り, さらに, ホーム-ルプサー ビス の具体的実施団体に委託で きる事務の範囲が きわ めて制限的であるところに も, ニー ドと供給 との 問のギ ャップを生 じる要因があるといえる。 老人福祉法の中で も,軽費老人ホームの利用は, 利用者 と施設長の契約によるもの(「軽費老人ホーム設置運営要 綱」) との規定があるように
,
「福祉 の措置」に関す る施策 において も,公的責任を維 持 しつつサ- ビスの利用方法について巾広い検討 が必要 になっているといえよう。 この点は森幹邸 によって,老 人福祉法の反今 日的性格の-つであ る 「選別主義」 として批判 されているところである
(
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)
2.老人福 祉の発展 と後退 (1)
「在 宅ねた きり老人」対策 としての 地域 間放事業の意義 と問題 これか らの社会 と老人福祉のあ り方 を考 える上 で大 きな課題 は 「ねた き り老人をかかえる家族」 の問題である ことはだれ も否定 しないであろ う。 本稿 の問題意識 もまさにそこにあ り,その課題解 決 を さぐるためにささやかな試みを しているもの であ る。 ところで問題 は,
「ねた き り老人 をかか える家 族」 の 「問題」 とは何か,であるOそれは,一言 でい えは 「
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時間連続的 な心身の緊張の中で老人(29) を介護す る家族 の負担 を軽減す る」 ことにあるQ では,なぜ老人を介護す る家族の負担を軽減す る必要があ るのか。 この間に関 しては,すでに上 述 した老人の福祉 についての原則,つま り 「長年 住み慣れた家庭や地域において可能な限 りとどま りなが らケアを受けることがで きるのは,老人の 福祉 を高め る上か ら望 ましい」 とい う原則 を前提 に, この前提 を成立可能 な らしめ るために 「家族 の負担を軽減す る」必要 があるのである。 ここで さらに次の問題が生ず る。「家族 の負担 を軽減す る」 とはどうい う意味を もつのであろ うか, と。 これ らの点 を考慮 しつつ,現行の老人福祉対策 を検討す ることに したい。従来 よ り 「在宅のねた き り老人」対 策 として前述の家庭奉仕員派遣事業 や 日常生活用具の給付事業が実施 されてきたが, 昭和5
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年11月2
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日の中央社会福祉審議会・老 人福 祉専門分科会 が行 なった 「今後 の老人ホームのあ り方 について」 の 「老人ホーム機能の地域開放」 に関す る意見 を直接 の契機 として,昭和53年度 よ り 「ねたき り老人短期保護事業」お よび昭和54年 度 よ り 「デ ィ・サー ビス事業」が開始 されている。 「在宅のね た き り老人」対策 をみ る場合,家族 が どの よ うに扱われ てい るかが当面 の問題 で あ る。このよ うな視点か らみ るなら,
「在宅ねたき り 老人」対策 は主 として 「家庭奉仕員派遣事業」 と 「ねた き り老人短期保護事業」および 「デ ィ・サー ビス事業」に分けてみ ることができる。 まず,
「家 庭奉仕員派遣事業」だが,すでに検討 して きた よ うにその派遣 目的 は 「老人の家庭」にホーム-ル パーを派遣 し,「もって老人に健全で安 らかな生活 を営 ませ ることを 目的 とす る」とあるよ うに,
「老 人の家庭」にいる 「老人個人」の福祉 を維持・向上 させ ることが 目的 となっている。 他方,
「短期保護事業」の 目的は,
「ねた き り老 人を介護 している家族が疾病にかか る等特別な理 由によ り,居宅 における介護が困難 となった場合 に,当該老人を一時的 に特別養護老人ホームに保 護 し, もって これ ら在宅 のねた きり老人及 びその 家庭の福祉の向上を図 ることを 目的 とす る」。 また,
「デ ィ・サービス事業」の 目的 は,
「デ ィ・ サービス事業 は,特別養護老人ホ-ム又は養護老 人ホームにデ ィ・サー ビス施設 を設 け,在宅 の虚弱 老人等 に対 し,適所の方法によ り各種 のサー ビス を提供す ることによって,当該老人の 自立的生活 の助長,社会的孤立感の解消,心身機能の維持 向 上等 を図 るとともに,その家族の身体的,精神的 な労苦の軽減を図 ることを 目的 とす る」 とあるよ うに, これまで検討 してきた老 人福祉施策 とは異 なって,は じめて 目的 に 「在宅のねた きり老 人及 びその家庭の福祉の向上」 ならびに 「当該老 人」
の福祉 の向上 とともに「その家族の身体的 ・精神的 な労苦の軽減を図 ること」が含 まれ るよ うになっ たのである。 実施上の 「運営要綱」の規定 とはい え,老 人個 人の福祉を中心 とした老 人福祉法 に「老 人 と家族」 の規定が含まれた ことは画期的変化 といえようっ その意味で「短期保護事業」と「デ ィ・サ- ビス事業」 は,老人福祉法に家族 を 「とりこむ」視点 を導 入 した点で意義があ った と評価で きよ う。 この こと は敷術す るなら,個別・私的性格 とのみ位置づけ ら れていた 「家族 の ケア機能」が,個別であ りなが ら社会的,公的性格 としての性格 も含む もの とし て制度化・政策化 して きてい ると捉 え ることがで きるのではないだろ うか。 換言す るなら, これはまさに,前掲Moroneyの い う家族,つ ま り「
(家族が家族 員に ソーシャル・ -73-ケアを提供す るとい う意味における)ソーシャル・ サー ビスとしての家族の機能」 とい う性格変化の 過程, ない しは,政策 自体,客観的にはその よ う な性格のもの として家族の ケアを認めた ことにな るのではないだ ろ うか。 では,実際に