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巻頭言 ―社会における地理学的研究の意味―

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Academic year: 2021

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巻頭言―社会における地理学研究の意味― 吉本剛典 兵庫教育大学地理学研究室の研究報告第 22 号に,卒業研究(卒業論文)修士論文の成果 を掲載することができました(表1)。南埜猛先生は唯今,2016(平成 28)年 9 月~2017 (平成 29)年 8 月のほぼ中間時点,台湾の台北在です。彼方からの遠隔指導もものかは, また,私のゼミにもかかわらず,皆さん大変よくできました。 地理学研究室の卒業研究(卒業論文)修士論文の特徴をまとめてみました。 1.自分の好きなこと,やりたいことをやる。 もっと言えば,自分にしか出来ないことをやる。 2.自分では割と簡単に出来て,かつ,他人からは難しそうに見える。 一寸恰好よいタイトルをつける。須くタイトルは,内容の最も短い要約である。 3.本を読んでまとめるだけでは物足りない。もちろん本は読む。本を読むのは, 当たり前,皆がすること,それだけでは,お勉強の範囲,自己満足に過ぎない。 4.フィールドワークとラボラトリーワークを経験する,自分でやってみる。 何でも見てやろう,と作家は言った。書を捨てよ町へ出よう,と詩人は言った。 これらは連綿と受け継がれてきた地理学研究室の伝統であるあるに止まらず,広く社会 における地理学研究のいくつかの側面を反映しています。今年も,このようなストリーム (流れ)に乗って,6 人が卒業研究(卒業論文),3 人が修士論文と格闘し,みるみるパワ ー(実力)とヒットポイント(打たれ強さ)を高めてくれました。 私たちは日々,目前の課題に遭遇します。社会の中の個人にとって,あらゆることは自 分に降り掛かってくる課題と看做せます。学生時代は授業,試験,レポート,ゼミなど, そのうち卒業研究(卒業論文)修士論文は最大にして最高の課題です。すべての課題に対 して言えることは, 1.ある程度まで達成し,まずは完成,その後,多くの場合,提出,プレゼンする。 これが各々の課題に求められる最低水準ですが,それだけでは勿体ない。 2.この際,関係する内容について,よく知り,理解し,自分のものとして身につける。 3.当面の課題が喉元過ぎた後にも,一旦身につけたことを何にでも利用する。 ところが,最近,授業を例にとれば,ただ単位が欲しいだけ,内容について自分の身に つけようという気は微塵もないという輩が増えているように思います。あたら1時限 90 分,自分の時間を溝(どぶ)に捨てるばかりか,信じ難いことに,太古より地球の植物が 営々と蓄えてきた酸素を,蛙の面に小便の体で消費する,不逞の輩と断じるに幾許の躊躇 もありません。一瞥すると,頑なに直立不動,無表情な頭上 25.4mm 辺りを,透けるほど薄 っぺらい(おそらくは何物でもない)馬鹿丸出しが一定速度で次から次へと流れ去ってい く(Gone with the Wind)景色が見えます。やはり巷間囁かれるごとく,スマホとパワポ (ぱ~ぷりんぽいんと)のせいかしらん。 周知のとおり,社会科の観点別評価は, ・社会的事象への 関心・意欲・態度 ・社会的な 思考・判断 ・観察・資料活用の 技能・表現 ・社会的事象についての 知識・理解 と言われています。自分ができないことを何で他人(⊃児童生徒)に教えられようか。臍 で沸かした茶を喇叭飲み,ちゃんちゃらお菓子をぱくつくのも大概に。

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あらためて,地理学研究室の卒業研究(卒業論文)修士論文の過程を顧みると, 気づく → 調べる → まとめる → 表わす (考えながら,行ったり来たりの繰り返し) 問題の発見 調査・観察 分析・考察 作文 日常の経験 → 質問 → コンピュー → 作表・作図 素朴な疑問 本読み ター処理 地図表現 フィールドワーク ラボラトリーワーク デスクワーク このようなプロセスが再帰的なループと条件分岐を伴いながら繰り返されました。何を 隠そう,社会における地理学研究の雛型です。 直面する課題を契機として,一寸だけ深く理解し,一寸だけ視点を広げようとすると, その過程と成果は自分のパワーとヒットポイントの確かな1ピースになります。繰り返す うち次第に,多くのことが深く,広く繋がりながら貯め込まれ,理解のネットワークの密 度が高まるにつれて,あぁそうだったのかの頻度が増すでしょう。分かったを実感するう ち時折,この世界は美しいと感じる瞬間が訪れるに違いありません。 社会の色々なことがよく分かるようになる(社会認識)には,いつも自分の頭でよく考 える,例によって答えはシンプル(単純)です。何でも一所懸命やらねぇと面白くも何と もありゃぁしやせんぜ。ただし,心身ともに元気で。 表1.2016(平成 28)年度,地理学研究室の卒業研究(卒業論文)修士論文の題目 ─────────────────────────────────────── 卒 生友 駿 アニメ作品の世界に見る地理空間の再現性 いくとも しゅん ―京都アニメーション『氷菓』と『けいおん』の分析― 卒 北野敬寛 東播磨地域の溜池に残された伝説 きたの たかひろ ―現代のフィールドワークからの観照― 卒 芝地素直 小中学校の防災・減災教育と溜池ハザードマップの利用 しばち すなお ―神戸市西区岩岡町を事例として― 卒 玉脇健太 山陰海岸ジオパークの実際とガイド活動の展開 たまわき けんた ―兵庫県豊岡市に着目して― 卒 中川貴普 加西台地における水利事業 なかがわ たかひろ ―加古川西部土地改良区の事業を主として― 卒 春風直樹 鉄道と鉄道写真の展開 はるかぜ なおき ―近現代の社会と個人の経験― 修 石井瑛之 再生可能エネルギー発電の地域的展開 いしい てるゆき ―兵庫県東播磨地域の溜池利用― 修 半田有哉 桜に関わる日本の自然と文化 はんだ ゆうや ―地理学による桜の美しさの探究― 修 南 和樹 小中一貫教育における学校の立地展開と社会科の内容構成 みなみ かずき ―兵庫県の小中学校と教科書の分析― ───────────────────────────────────────

参照

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