社 会 系 教 科 教 育 学 会 『 社 会 系 教 科 教 育 学 研 究 』 第12 号 2000 (pp.25-32)
韓 国 社 会 科 に お け る 道 徳 的 態 度 形 成 の 論 理
-1955 年版「社会生活科課程」の堝合一
The Logic of Moral Education on Social Studies in Korea:
F ocusing" on the 1955's Course
of Stu心 力Γthe Social Studies
朴 南 洙 ( 広 島 大 学 大 学 院) I 問 題 の 所 在 道 徳 教 育 に 関 し て 社 会 科 教 育 は い か に あ る べ き か 。 こ う し た 社 会 科 の 在 り 方 の 究 明 は ,社 会 科 と対 等 に道 徳 が 一 教 科 と し て 設 け ら れ て い る 韓 国 の場 合 そ の 必 要 性 は特 に 高 い 。 そ れ は ,道 徳 科 設 置 の 過 程 か ら 論 議 が 続 い て お り ,未 だ に 社 会 科 と 道 徳 教 育 と の関 係 が 曖 昧 で あ る か ら で あ る1)。 表 1 は ,第3 次 教 育 課 程 改 訂 期2 )ま で の 社 会 科 と道 徳 教 育 の関 わり の 変 遷 を 示 し た も の で あ る。 1946 年 に 公 布 さ れ た ,『 初 ・ 中 等 学 校 各 科 教 授 要 目 集(4 )国 民 学 校 社 会 生 活 科 』3 )(以 下 ,『1946 年 版 』 と 略 記 ) は ,従 来 の 地 理 ,歴 史 ,公 民 を 一 教 科 の 領 域 で 含 む 形 で 編 成 さ れ ,社 会 認 識 及 び態 度 形 成 を 担 う 教 科 と し て 出 発 し た。 そ し て ,第 工次 改 訂 期 の 工955年 版 『 国 民 学 校 教 科 課 程 』4 )で は , 「 社 会 生 活 科 課 程 」( 以 下 ,『 工955年 版 』 と 略 記 ) に お い て 道 徳 教 育 が 一 層 強 調 さ れ ,学 校 教 育 全 体 に 関 わ る も の と し て 位 置 付 け ら れ た。 社 会 科 は , 各 学 年 に 道 徳 単 元 を 設 け ,特 に そ の 中 核 的 役 割 を 担 っ て い た。 第 2次 改 訂 で は 汀 反 共 ・ 道 徳 生 活 」 ( 特 設 道 徳 ) の 設 置 に よ り 社 会 科 か ら 道 徳 領 域 の 単 元 が 分 離 さ れ る 。 そ の 後 ,第 3 次 改 訂 で 道 徳 が 独 立 の 教 科 と し て 設 置 さ れ る こ と に な っ た。 こ の よ う な 変 遷 に よ り ,導 入 当 時 の 社 会 科 の 性 格 も 大 き く変 容 し て き た。 し か し ,社 会 科 の カ リ キ ュ ラ ム の 分 析 を 通 し て , 道 徳 的 態 度 形 成 の論 理 を 解 明 し よ う と し た研 究 は な さ れ て い な い 。 そ の た め ,社 会 科 にお け る 道 徳 教 育 の 目 標 や 内 容 に 対 す る 批 判 も 曖 昧 で あ り ,不 徹 底 な ま ま に 残 さ れて い る と言 え よ う。 そ こで 本 研 究 は,成 立 期 社 会 科 で 担 っ て き た 道 徳 教 育 の論 理 の究 明 を 通 し て 冒 頭 の課 題 に 応 え て い き た い。 考 察 に あ た っ て は ,ま ず 導 入 時 の 社 会 科 に お け る 道 徳 教 育 の論 理 を 明 ら か に す る。 そ の 後 ,社 会 科 と い う 一 教 科 の枠 の 中 で ,道 徳 教 育 が よ り 強 調 さ れ た 『1955 年 版 』 を 取 り 上 げ ,そ の背 景 と 道 徳 的 態 度 形 成 の論 理 を 解 明 し て い き た い 。
H 社会 科の導 入と民主 主 義的道徳 教育 の試 み
社会科 の導入 は,従 来 の道徳 教育 が抱え た問題
点 の克 服とい う点で も意義 を もつ。 当時 の文教部
次 長 で あ っ た呉 天錫 は,
「 従来 の修身 科 は,い わ
ゆる社会 道徳を 観念的 に子 ど もに注入さ せ るため
に尽力」 して きた と批 判 し,社 会科 を このよ うな
過去 の誤 認を 改 め る教科 と捉 えて い る5)
。 ま た,
編修官 の金相 弼 も 厂
社会生 活 と学 校教育 の遊離 を
表 1 社 会 科 と道 徳 教 育 の 関 わ り の変 遷 カ リ キ ュ ラ ム 期 年 度 社会科と道徳教育 の関連( 教科構 造) 構成上 の特徴 ○過渡 期 解放∼ 1946年 ○地理 ○歴史 ○公民 ・ 修身科の内容 や方 法に対 する批判 により成立 した公民 科を 中心に社会認識と道徳的態 度形成 ○教授要目 期 1946年 ○社会生活科 ・ 社会生活の学習を通した道徳的態 度形 成 0 1次改訂 期 1955年 ○社会生活科 ・道 徳教育 は全教科を 通して年間35時 間取り扱 われるよ うになっているが,社会生活科が道徳教育 の中心的役割 ゆ・ 社会生活科 の各学年 に道徳 単元を 編成 1956年 ・道義教育委員 会設置 − j 二] 。. ・道 徳教育 の当面 目標発表 ・道 徳教育 の要項公布 1957年 ・国民学 校道徳教科書発刊 0 2次改訂 期 1963年 ○社会科 ○反共・道 徳生活(特設 道徳) ・ 特設道徳 の新設 ゆ・ 社会科 から道 徳単元を 分離 0 3次改訂 期 1973年 ○社会科 ○道徳科 ・一 教科として の道徳科 の成立 各 時期別 『教 育課 程』 を基 に筆 者作 成避け
『知』
,
,
『行』が渾然一致
された
全人教育」6
)
の
達成
という側面で社会科の意義を評価
して
いる
。
では,
当時の社会科の性格は
どういうもので
あっ
たのだろうか
。
『1946
年版』では,
匚
社会生活科
(Social Studies)
は
,
人間と自然環境および社会
環境等の関係をは
っき
り認識
させ
,
社会生活に誠
実
,
有能な国民になるようにさせることを目的と
する
」7
)
と記述
されている。これは,
社会科の本
質は
,
社会認識
を通
して資質
(態度)を形成する
教科であることを示
している。
また
,
総論の匚
社会生活科教授要目の運用法
」
には
,
従来の修身教育の問題点と新
しい道徳教育
の
方法に
ついて次の
ように示されている
。
冂。
人倫
道徳
を知
らず
知
らずの
うちに
実践体
得
させ
る
こと
。従
来の
修
身教
科書の
よ
うに
,
人倫
道徳
を直
接
的に
提
示
して
いな
いが,
人倫
道徳
を看
過
した
もの
と誤
認
しては
な
らな
い
。社
会
生活
科の
目標
は
,
社会
生活の
理解
・体
得
なの
で,
あ
らゆ
る
教
授活
動
を通
して
人倫
道徳
に適
合
した
行
動
を実践
させ
なけれ
ば
な
らな
い
。
これ
を通
して児
童
達に
知
らず
知
らずの
うち
に
,
社
会
生活の
規
範
で
ある人倫
道
徳
を体
得
・実
践
でき
る
人格
を陶
冶
させ
るべ
き
で
ある
。
」8
)
要す
る
に
,
道徳は
徳
目それ
自体
を意
図
的に教
え
るこ
とに
よ
って成
り立つ
もの
では
な
く
,
社
会
生活
の
認
識の
過程
で形
成
され
る
とい
う
論理
を表
明
して
いる
。導
入
当時の
社会
科は
,
民
主主義
教
育
を実現
す
る
教
科
と
して理
解
され
たの
で
あ
る
。
しか
し
,
具
体
的カ
リキ
ュラム
の
構
成は
手本
と
し
た
コ
ロラ
ド廾│
案の
単
元
を参考
に
しなが
らも
,
国
家
的
・伝統
的事
柄
及び,
道徳
的内
容の補
充
を通
した
生
き方の
習得
が
重視
され
て
いる
。
これ
は
,
解
放直
後の
新
国
民形
成の
必
要性
と伝
統
的
な儒
教
的道
徳観
とい
う韓
国
的現
実
を考慮
した
編
成
と考
え
られ
る
。
そ
して
,
この
よ
うな編
成が
陥
りやす
い伝
統
的道徳
教
育の
論理は
,
学
習内
容の
設
問式提
示
と教育
方法
の
改
一方,
善
を通
導入
して
当時の
克服
社
が
会科の
試み
られ
性
格や
て
い
民主
る9)
。
主義的
道
徳教
育の
ため
の
試み
は
,
様
々
な理
由
を背景
に
した
道徳重視の動きによ
り,第
1次改訂版である
『1955
年版』では大きく変容され
る。
Ⅲ『1955
年版』の編成と社会科の道徳化
1.道徳教育重視の背景
1954
年
∼55
年の教科課程の改訂では
,
道徳教育
強化の
主張が大きな影響
を及ぼ
した
。その背景は
,
次の
3点にまとめ
られ
る。
第
1は
,
従来の社会科に対する限界点の指摘で
ある
。前述
した
ように
『1946
年版』は,
韓国的現
実の考慮という点て主体的編成が試み
られたが
,
限界点も指摘された
。それの一つが道徳教育の問
題である。
『1955
年版』の作成担当者であった崔秉七は
,
匚
単元が殆ど系統的,
分科的傾向であったので,
道徳的領域の単元を設ける機会が少なかった
」10
)
と述べ
,
社会科における道徳教育の問題
点を指摘
している
匚
道徳科を社会生活科のなかに含めて
。また,
文教部の編修局長の崔鉱培も,
しまい,道
徳教育を軽視
している
」11
)
と述べ,
社会
生活科で
道徳教育
を行
うように
した解放後の
道徳教
育のお
り方を批判
している。
第
2は
,
朝鮮戦争後の社会的現実であろう。戦
争後の教育の課題は
,
教育制度や教育施設の整備,
教育課程の
改編であった
。戦争後匚
人格の修養と
学術の錬磨に努めなければならない学生達が
,
放
縦
と安逸をむさぼるだけでなく
,
誇
りと使命を忘
却
し
,
望ま
しが
らぬ行動
をするものが次第に増
え
ていった
」12
)
という見解にも見られるように,
戦
後の学生生活指導の問題が
至急の解決課題
として
現れたのである。
第3は
,
当時の社会的現実
を反映させた教育政
策である
。当時の文教部
長官の
教育施策
を見ると,
1952
年10
月か
ら1954
年4月まで在職
した金法麟は
,
道徳教育
を強調
しなが
ら汀戦時文教
」匚
建国文教
」
匚
独立文教
」をバ954
年4月から1956
年6月まで
在職
した李宣根は
「反共民主教育の推進」
,
「 ̄
教育
の質的向上
」匚
生活文化の簡素化」を教育の基本
方針
として採択
している13
)
。共通的な施策として
道
徳教育の強調が
あげられ
る。
このような背景により
,工954
年に公布された
厂
教育課程時間配
当基準令
」では汀道義教育は,
全教科及びその他教育活動の全般で行い,
各学年
−26
−
の年 間 総 授 業 時 間 数 の範 囲 で/ 年 間35 時 間 以 上 を 実 施 す る」14)( 国 民 学 校, 第10 条 ) と 規 定 さ れ た。 こ れ は ,学 校 教 育 に お け る 道 徳 教 育 は ,道 徳 科 を 特 設 せ ず に ,学 校 の 教 育 活 動 の 全 面 で 行 い ,各 教 科 は 独 自 の 領 域 を 遂 行 す る こ と に よ って ,道 徳 的 態 度 を 形 成 す る と い う 方 針 で あ る 。 あ ら ゆ る 教 科 や 教 科 外 の 活 動 を 通 し て 道 徳 教 育 を 行 う と い う方 針 は ,過 去 の 権 威 主 義 的 な 徳 目 教 育 の 止 揚 を 意 味 す る。 ま た ,経 験 を 通 し た 生 活 教 育 を 志 向 す る 新 教 育 思 潮 と ,新 し い 教 科 で あ る 社 会 科 の 基 本 原 理 を 維 持 し な が ら ,道 徳 教 育 の 強 調 と い う 課 題 に 応 じ よ う と し た 試 みと 考 え ら れ る 。 一 方 ,「 ̄社 会 生 活 科 は 道 義 教 育 に 関 し て 他 教 科 と は 異 な る特 別 な 使 命 と不 可 分 の 関 連 を も っ て い る 」15)と い う 見 解 か お る 。 社 会 科 と 道 徳 教 育 と の 深 い 関 わり が あ る と 言 え よ う 。 で は,『1955年 版 』 は,ど のよ う な 内容 の編 成 と 展 開を 通 し て道 徳教 育 の 目的 を 担 って い るの だろ う か。 2。 道 徳 的 態 度 形 成 の た め の 内 容 編 成 ( 1 )カ リ キ ュ ラ ム の 全 体 計 画 表 2 は ,『1955 年 版 』 の 全 体 計 画 を 示 し た も の で ,同 課 程 は ,各 学 年 別 主 題 とn ∼12 個 の単 元 で 編 成 さ れ て い る 。 厂学 年 の 主 題 」 で 見 ら れ る よ う に , 第 工学 年 の 匚家 ・ 学 校 」 か ら , 第 6 学 年 の 匚我 が 国 」 に至 る 同 心 円 的 配 列 は, こ れ ま で の 原 理 を 継 承 し て い る。 し か し ,内 容 選 定 の 面 で は以 前 と は異 な って い る。 こ れ ま で の社 会 認 識 を 中 心 と す る単 元 編 成 に 付 け 加 え ,各 学 年 別 1 ∼ 4 個 の 徳 目 中 心 の 単 元 が 編成 さ れて い る の で あ る。 各 々 を 「 社 会 認 識 中 心 」 型 単 元 ,匚徳 目 中 心 」 型 単 元 と 呼 ぶ こ と に し よ う 。 で は ,な ぜ 「 徳 目 中 心 」 型 単 元 を 編 成 し た の だ ろ う か。 編 纂 趣 旨 に つ い て 編 纂 者 は次 の よ う に 述 べ て い る 。 「 各 学 年 ご と に 2∼ 3単 元 ず つ 道 徳 的 教 材 が 挿 入 さ れ て い る 。 こ れ は ,主 と し て 礼 法 に 関 す る 教 材 で あ る。 各 学 年 の レ ベ ル に 合 わ せ て 選 定 さ れ た こ の 礼 法 を 綜 合 す れ ば ,国 民 学 生 に必 要 な 礼 法 の 一 般 が 網 羅 さ れ て い る。 し か し ,こ の よ う な 礼 法 は ,日常 生 活 で も 充 分 に指 導 で き る も ので あ る。 こ れ を 特 に 編 成 し た 理 由 は ,時 代 的 要 請 の た め で あ る 。 従 っ て ,こ の 方 面 に 注 意 を 喚 起 さ せ よ う と す る 意 図 が あ る と い え よ う」16) 要 す る に ,小 学 生 に必 要 な 道 徳 的 徳 目 を 綜 合 し , 社 会 生 活 科 に 編 成 し た の は ,戦 後 の 社 会 的 紊 乱 の 改 善 と い う 時 代 的 要 請 に応 じ た 結 果 で あ り ,社 会 科 教 育 を 通 し て 道 徳 的 側 面 に 注 意 を 喚 起 さ せ よ う と し た 意 図 が あ っ た と 推 測 さ れ る。 社 会 生 活 科 は 道 義 教 育 に 対 し て 他 教 科 と は 異 な る 特 別 な 使 命 と 関 連 を も っ て い る と い う 考 え 方 が 反 映 さ れ た 結 果 と言 え る だ ろ う。 全 体 構 成 原 理 に 関 す る 詳 細 な 分 析 は 別 稿 で 行 っ て い る の で17), こ こ で は 匚徳 目 中 心 」 型 単 元 の 編 成 原 理 を 考 察 して い き た い 。 ① 個 人 ・ 社 会 道 徳 に 関 す る 徳 目 中 心 の 構 成 各 学 年 の 内 容 か ら 厂徳 目 中 心」 型 単 元 を 抽 出 し , 表 2 各 学 年 の 主 題 と 単 元 編成 学 年 学 年 の主 題 単 元 構 成 第 1 学年 我 が 家 , 私 達 の 学 校 L 私 達 の 学 校 @ 挨 拶 3. 遠 足 4. 物 資 を 節 約 し よ う 5. 安 全 @ よ い 習 慣 を 身 に付 け よ う 7. 丈夫 な 体 8. 友 達 9. 私 達 の 家 10. 楽 し い 日 11.私 達 の学 校 と私 達 の家 第 2 学年 近 所 の生 活 0 善 い 2学 年 2. 私 達 の 村 を 守 っ て く れ る人 々 3. 人 と 物 の輸 送 4. も の を 供 給 し て く れ る人 々 @ お 使 い 6. 手 紙 を 伝 え る 人 々 @ 正 直 な子 ど も 8 淦 融 組 合 と銀 行 9. 面 ・ 邑 事 務 所 と市 役 所 @ 時 間 を 守 ろ う n. 私 達 の 健 康 を 守 って く れ る人 々 12.私 達 の生 活 を 楽 し く し て く れ る 場 所 や 施 設 第 3学 年 郷 土 の生 活 0 立 派 な 子 ど も 2. 私 達 の 村 の 自 然 環 境 3 私 達 の食 料 e 責 任 と 公 益 5. 私 達 の 服 L 私 達 の 家 7. 都 市 と 田 舎 の生 活 8. 我 が 国 の 北 部 地 方 の生 活 9. 我 が 国 の南 部 地 方 の生 活 10. 我 が 国 の 山 間 地 方 の生 活 11.我 が 国 の平 野 地 方 の 生 活 12.我 が 国 の 海 岸 地 方 の生 活 第 4学 年 私 達 の生 活 の 来 歴 0 私 達 の 礼 法 2. わ が 村 の 発 展 @ 自 由 と 協 同 4. 愛 林 5. 我 が 国 の 自 然 環 境 6. 我 が 国 の名 勝 古 跡 @ 美 し い 風 俗 8 私 達 の 住 ん で い る 地 球 9. 集団 生 活 10 濃 事 の始 ま り 11.道 具 の発 達 第 5学 年 産 業 の 発 達 0ネL 法 を 守 ろ う 2. 勤 労 3. 健 康 と娯 楽 4 瀧 源 の利 用 5. 機 械 の 発 達 と 産 業 6. 交 通 と 運 送 7. 商業 と貿 易 8. 銀 行 と組 合 9. 我 が 国 の 人 口 と 都 市 10. 世 界 の い ろ い ろ な 国 n. 国 産 品 の愛 用 第 6学 年 我 が 国 の 発 達 と 世 界 0 美 しい 習 慣 2. 我 が国 の 来 歴 3. 私 達 の歴 史 を 輝 か せ た人 々 や 物 4. 我 が 国 の政 治 5. 民 主 主 義 6. 国 際 連 合 7. 統 一 と 復 興 8. 美 し い 物 9淙 教 10. 国 民 の 本 分 @ 我 々 の将 来 文 教部 『国 民学 校教 科課程 』1955, pp.48 ∼49より 筆者 作成 (白 抜 き数字 の単元 は,「 徳目 中心」 型 単元を 表 す。)
そ の内 容 構 成 を 関 連 徳 目 及 び 配 列 とい う 観 点 で 分 析, 整 理 し た も の が 表 3で あ る 。 内 容 編 成 の 第 I の原 理 は ,社 会 生 活 に 必 要 な 伝 統 的 道 徳 的 態 度 の 形 成 を 民 主 的 社 会 生 活 の 重 要 な 要 素 と し て 捉 え 冂 固人 ・ 社 会 道 徳 に関 す る 徳 目 を 中 心 に内 容 を 編 成 す る ,とい う も の で あ る。 表 3 の 単 元 は,殆 ど が 個 人 ・ 社 会 道 徳 に 関 す る 徳 目 関 連 の 単 元 で ,こ の よ う な 単 元 の 特 性 は ,伝 統 的 な 徳 目 を 重 視 し な が ら も ,『1946 年 版 』 に お け る そ れ と は 異 な っ て い る 。 例 え ば ,『1946 年 版 』 の場 合 ,直 接 的 な 匚徳 目 中 心 」 型 単 元 は 設 け ら れ て い な い が ,第 2学 年 の 単 元 7 口 年 中 の楽 し い 日」 で は,伝 統 的 祝 祭 日 や 国 家 の 記 念 日 ,単 元 8 「 ̄我 が 国 の 旗 と 他 国 の 旗 」 で は ,国 旗 の 意 味 ,国 旗 に 対 す る 礼 儀, 第 6学 年 の 単 元10 匚我 々 の民 族 性 」 で は 民 族 性 の 意 味 ,民 族 性 の 昂 揚 な ど ,殆 ど が 国 家 関 連 の道 徳 を 重 視 し て い る18)。反 面 ,『 工955 年 版 』 の 場 合 は ,第1 学 年 の 単 元 2 「 挨 拶 」,第 2 学 年 の 単 元 1 厂善 い 2 学 年 」,第 3学 年 の 単 元 4 匚責 任 と 公 益 」 等 の よ う に ,多 様 な 生 活 場 面 に お け る 囗 固人 ・ 社 会 的 徳 目 が 中 心 と な っ て い る。 こ れ は ,解 放 直 後 と朝 鮮 戦 争 後 と い う 異 な る 時 代 的 背 景 に 起 因 す る と 考 え ら れ る 。 つ ま り ,『1955 年 版 』 の 場 合, 新 国 民 形 成 の 側 面 よ り 戦 後 の 生 活 改 善 と適 応 の 問 題 が重 視 さ れ た の で あ る。 ② 個 人 的 道 徳 的 習 慣 形 成 か ら 社 会 共 同 生 活 の 精 神 ・ 態 度 形 成 へ 内 容 編 成 の 第 2 の 原 理 は,体 系 的 道 徳 的 態 度 形 成 の た め に ,子 ど も の 発 達 段 階 を 考 慮 し て ,個 人 的 道 徳 的 習 慣 形 成 か ら社 会 共 同 生 活 の 精 神 ・ 態 度 形 成 へ 順 次 的 に配 列 す る ,と い う も の で あ る。 表 3 の 各 単 元 は ,関 連 徳 目 の 性 格 が 学 年 に よ っ て 異 な っ て い る。 例 え ば ,第 工学 年 の 単 元 2 厂挨 拶 」 で は両 親 ,先 生 ,友 達 に 対 す る 挨 拶 法 が ,単 元 6 匚よ い 習 慣 を 身 に 付 け よ う」 で は,自 分 の 習 慣 の 反 省 ,よ い 習 慣 と 悪 い 習 慣 の 修 正 ,正 し い 言 い 方 等 の 態 度 を 形 成 さ せ よ う と し て い る 。 こ れ は 第 2学 年 の各 単 元 の 内 容 構 成 に も同 様 に見 ら れ る 。 一 方 ,第 5学 年 の 単 元 工 匚礼 法 を 守 ろ う」 で は , 正 し い 批 判 力 を 持 つ 方 法, 公 共 施 設 利 用 の 礼 法 が , 第 6学 年 の 単 元 1 「 ̄美 し い 習 慣 」 で は ,多 様 な 儀 式 に対 す る 理 解 と 態 度 ,共 同 生 活 に お け る 指 導 性 の 伸 張 ,社 会 に対 す る 奉 仕 な ど の 態 度 を 形 成 さ せ よ う と し て い る 。 つ ま り ,低 学 年 の 場 合 は,個人 の道 徳 的 習 慣 の 形 成 の 側面 が ,高 学 年 へ進 む こ と に よ っ て ,社 会 共 同 生 活 の た めの一 定 の 行動 基 準 に適 合 し た 精神 と態 度 養成 の側 面 が 中心 と な って い る 。 発達 段 階を 考 慮 し て徳 目 を 精 選 し,体 系 的 に 徳 目や 道 徳 的 な 価値 判 断 , 道 徳 的 心 情 を 培 う とい う意 図 が 読 み取 れ る。 一 方 ,道 徳 的 態 度 形 成 は 厂徳 目 中 心 」 型 単 元 に 表 3 道 徳 領 域 の単 元 構 成 と 配 列 学年 単 元 名 学 習 内 容 ( 道 徳 的 態 度) 関 連 徳 目 配 列 1 2. 挨 拶 ・両 親 , 先 生 , 友 達 に対 す る 挨 拶 法 ・ 挨 拶 の理 由 , 挨 拶 時 の言 い方 と 態 度 ・ 礼 儀 道 徳 的 習 慣 形 成 ] 社 会 共 同 生 活 の 精 神 , 態 度 形 成 6. よ い 習 慣 を 身 に付 けよ う ・我 々 の習 慣 の反 省 ・ 正 し い 言 い 方 ・ 良 い 習 慣 の継 承 と悪 い習 慣 の修 正 ・ 良 い 習 慣 2 L 善 い2学 年 ・正 し い 言 葉 使 い ・ 挨 拶 ・ 食 事 す る 時 の礼 法 ・ 隣 の人 と の礼 法 ・ 礼 儀 , 親 切 5.ぉ 使い ・私 た ちが で き るお 使 い ・ お 使 い 時 の 注 意 点 ・ 協 力 7. 正 直 な子 ど も ・正 直 な 子 ど も の意 味 ・ 約 束 を 守 る こ と の 必 要 ・ 嘘 の良 く ない 点 ・ 正 直 , 約 束 10.時 間 を守 ろ う ・家 や 学 校で の 時 間生 活 ・ 社 会 に お け る 時 間 生 活 ・ 時 間 約 束 の必 要 性 と 注意 ・ 約 束 , 規 則 3 1. 立 派 な子 ど も ・自 分 の意 思 の正 確 な 表 現 ・ 体 と 服, 周 り の も のを 清潔 ・ 外 に 出 た と き の 注 意 ・公 園 と遊 び場 で の 注 意 ・ 交 通 機 関 を 利 用 す る 時 の注 意 ・ お 金 , 物 , 時 間 の 使 い方 ・ 自主, 清潔 公衆道徳 , 節約 4. 責 任 と公 益 ・責 任 を 完 遂 す る方 法 ・ 他人 の た め に 働 く 方 法 ・ 自 分 の責 任 の完 遂 と 他人 と の 関 係 ・ 責 任 , 公 益 4 1. 私 達 の礼 法 ・日 常 生 活 にお け る礼 法 ・ 弱 い 人 に対 す る 礼 法 ・ 自 分 の本 分 を 守 る方 法 ・公 共 場 所 で の注 意 ・ 手 紙 の 書 き方 ・ 礼 儀 公 衆 道 徳 3. 自 由 と協 同 ・自 由 の意 味 ・ 自由 と恣 意 の 区 別 ・ 協 同 の 意 味 ・ 自 由 と協 同 の関 係 ・ 自 由 , 協 力 7. 美 しい 風 俗 ・家 族 の和 睦 ・ 家 族 と 親 戚 の 助 け 合 い ・ 郷 土 の風 俗 ・ 我 が 国 の美 し い風 俗 ・私 た ちが 生 か して い く べ き よ い 風 俗 ・ 和 睦, 郷 土愛 , 美 の 愛 護 5 1.ネL 法を 守 ろ う ・正 し い 批 判 力 を 持 つ 方 法 ・ 家 庭 で の 礼 法 , 訪 問 と接 待 礼 法 ・ 公 共 施 設 利 用 の 礼 法 ・ 批 判 力 , 公 衆 道 徳 , 礼 節 6 1. 美 しい 習 慣 ・計 画 的 な 生 活 ・ 儀式 の 理 解 ・ 指 導 性 を 伸 長 ・ 社 会 に対 す る奉 仕 活 動 ・ 誠 実 , 礼 儀 , 指 導 力 , 奉 仕 n. 我 々 の将 来 ・卒業 と国 家 , 先 生, 親 の恩 の 感謝 ・ 卒業 後 に母 校 に対 す る感 謝 ・自分 の将来 の決 定 ・ 感 謝 , 自 主 1)文 教 部 前 掲 書1955, pp.50 ∼98 に よ り 筆 者 作 成 。 2)関 連 徳 目 は , 文 教 部 「 国 民 学 校道 徳 教 育 課 程 ( 案 )」『 新 教室 』1957, pp.22 ∼23 を 参 考 に し た 。 −28 −
隕 ら れ て 求 め ら れ て い る の で は な い 。「 ̄社 会 認 識 中 心 」 型 単 元 で も 独 自 の 原 理 で 道 徳 教 育 の役 割 を 担 っ て い る の で あ る。 で は,各 類 型 の 単 元 は ,ど の よ う な 内 容 構 成 と 原 理 を 通 し て 道 徳 的 態 度 を 形 成 さ せ よ う と し て い る の だ ろ う か 。 (2)2 つ の パ タ ー ン の 単 元 構 成 原 理 ① 「 社 会 認 識 中 心 」 型 単 元 の 場 合 一 社 会 事 象 の 理 解 と 道 徳 的 態 度 の 統 一 的 形 成 過 程 − 単 元 構 成 の 第 1 の パ タ ー ン は,子 ど も に 社 会 事 象 に 対 す る 知 的 理 解 と 道 徳 的 態 度 形 成 を 統一 的 に 図 る た め に ,客 観 的 社 会 事 象 の 認 識 と 道 徳 的 態 度 形 成 過 程 を 順 次 的 に構 成 す る ,と い う も の で あ る 。 「 社 会 認 識 中 心 」 型 単 元 が こ れ に当 た る。 事 例 と し て 第 3学 年 の 単 元 5 「 私 達 の 服 」 を 取 り 上 げ ,内 容 構 成 を 分 析 ,構 造 化 し た も の が 表 4 で あ る 。「 中 心 問 題 」 に は カ リ キ ュ ラ ム の学 習 問 題 を ,「 事 例 単 元 」「 認 識 内 容 」 に は そ れ に 対 応 す る 教 科 書 の 小 単 元 と 内 容 を ,「 内 容 構 成 の 視 点 」 に は筆 者 の 分 析 を 示 し た 。 こ の 単 元 は,衣 服 の 生 産 と 消 費 と い う 社 会 機 能 を 中 心 に11 個 の 学 習 問 題 で 編 成 さ れ ,4 つ の教 科 書 の 小 単 元 を 通 し て学 習 で き る よ う に 構 成 さ れ て い る。 単 元 は大 き く ,客 観 的 社 会 事 象 の 認 識 過 程 ( 小 単 元 1 ∼ 3)と ,道 徳 的 態 度 形 成 過 程 ( 小 単 元 4)の 2 つ の 過 程 が 順 次 的 に 構 成 さ れ て い る。 表4 第 3学年 単元 5 小 単 元 工で は,衣 服 の 由 来 と 発 達 の 歴 史 ,各 要 素 ( 気 候, 季 節, 習 慣 な ど ) と 衣 服 と の 関 係 な ど , 衣 服 と人 間 生 活 と の 関 わ り につ い て 認 識 さ せ よ う と し て い る。 小 単 元 2で は ,多 様 な 衣 服 の 原 料 , 使 用 目 的 ,季 節 な ど に よ る 原 料 の 違 い ,原 料 の 生 産 ,発 達 の 歴 史 な ど 衣 服 の 原 料 に関 す る 諸 事 実 を 認 識 さ せ よ う と し て い る。 小 単 元 3で は ,生 産 活 動 と 関 わ っ て 製 糸 工 場 の 立 地 条 件, 労 働 者 の苦 労 と私 達 の 生 活 と の 関 連 な ど ,衣 服 の 生 産 活 動 に 関 わ っ て い る諸 事 実 を 捉 え さ せ よ う と し て い る。 こ の よ う に,小 単 元 1 ∼ 3 は 社 会 事 象 の知 的 理 解 か 中 心 と な っ て い る 。 客 観 的 事 象 の 認 識 は , 「 新 し い 道 徳 教 育 と は ,・ ・ ( 中 略 ) ・ ・ 道 徳 的 判 断 の 基 礎 に な る人 間 生 活, 社 会 生 活 に 関 す る 正 し い 知 識 を 習 得 さ せ る 面 が あ る べ き で あ る 」19)と 作 成 者 が 述 べ て い る よ う に,道 徳 的 態 度 形 成 の た め の 基 礎 と し て の 意 味 も持 っ て い る。 勿 論 , こ こ で 社 会 事 象 と 関 わ っ て い る 人 間 の 働 き の 理 解 を 通 し て も,態 度 形 成 が 図 ら れ て い る。 例 え ば ,「 衣 服 の 由 来 」 の学 習 で は, 昔 の 人 々 の 生 活 改 善 の た め の 苦 労 と 努 力 を ,冂。 製 糸 工 場 」 の 学 習 で は,働 い て い る 人 々 の 行 為 を 共 感 的 に理 解 さ せ る こ と を 通 し て ,協 力 ,感 謝 ,衣 服 を 大 事 に し よ う と す る 態 度 を 形 成 さ せ よ う と し て い る。 一 方 ,小 単 元 4 で は ,直 接 的 な 道 徳 的 態 度 形 成 が 図 ら れ て い る。「 中 心 問 題 」 を 見 る と ,「9. 贅 「 私達 の服」 の内 容構成 中 心 問 題 事 例 単 元 認 識 内 容 内 容 構 成 の視 点 1 .私 達 はな ぜ 服 が 必 要 か。 2. 私 達 は季 節 によ っ て ど ん な服 を 着 る か。 3.学 校 の通 学 の 時 や 運 動 の時 は ど の よ う な 衣 服 が 適 当 か。 4. 他 国 の人 々 はど の よ う な衣 服 を 着 る か。 1. 服 の 物 語 ○ 衣 服 の 由 来 , 生 産 技 術 の 発達 に よ る 衣 服 の 変 化 ○ 気 候 地 域 と 衣 服 の原 料 と の 関係 ○ 季 節 , 国 家 , 地 域 の気 候 と 習 慣 な ど の 諸 要 因 と 衣 服 と の関 係 * 衣 服 と 人 間 生 活 と の 関 係 ○ 客 観 的 社 会 事 象 の 認 識 過 程 社 会 事 象 の 理 解 と 態 度 の 統 一 的 形 成 5. 衣 類 の原 料 に はど の よ う な物 が あ る か。 6.私 達 の 郷土 で は ど の よ う な 衣 類 の 原 料 が 生 産 さ れ る か。
万万
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1 )木 綿 と綿 布 ○ 用 度 及 び 季 節 と服 の原 料 と の 関 係 ○ 綿 花 の伝 来 の歴 史 ( いっ , 何 処 か ら) ○ 世 界 一 番 の綿 花 の生 産地 ( ア メ リ カ ) * 衣 服 の 原 料 に 関 す る 諸 事 実 2)羊 毛 と絹 ○ 洋 服 の原 料 は羊 毛 , 羊 の 飼育 の 歴 史, 適 地 と 条 件 ○ 服 の 原 料 と して の絹 ○ 養 蚕 の適 地 と して の我 が 国, 生 産 と 流 通 3)新 し い 生 地 ○ 技 術 の発 達 と新 し い 原料 の 発 見 7. 衣 類 の生 産 と 制 作 の た め に人 々 は ど の よ う に協 力 し て い る か。 3.製糸 工 場 ○ 製 糸 工 場 の見 学 ( 生 産光 景 の 見 学 と 説 明 を 聞 O O 工 場 で 働い て い る人 々 と我 々 の 生 活 と の関 係 ○ 製 糸 工 場 の立 地 条 件 ( 水 を 使 う か ら 川 端 に 建 設 ) * 生 産 活 動 と 関 わ っ た 諸 事 実 8.衣 類 は な ぜ 値 段 の 差 が あ る か 。 9.贅 沢 な 服 は な ぜ良 く な い か 。 10. 衣 服 は ど う 保管 し 管 理 す べ きか 。 n。 私 達 は 衣 類 の 生 産 や 衣 類 の管 理 に ど の よ う に 協力 す べ き か。 4. 良 い 服 ○ 良 い 服 と良 く な い 服 の 理 解 ○ 高 い 生 地 の 輸 入 の 問 題 点 ( 高 い 着 物 で 贅 沢 す る の は良 く ない ) ○ 我 々 が 服 を 着 る まで は多 く の 人 々 の 苦 労 の お 陰 げ ゆ・ 感 謝 す る気 持 ち と生 産 に 協 力 す る 態 度 ○ 道 徳 的 態 度 形 成 過 程 文 教部 前掲 書(1955)pp.66∼67及 び, 文教 部 『社会 生活3-1』1959, pp.74 ∼94によ り筆 者作 成沢 な 服 は な ぜ 良 く な い か」「10.∼ 管 理 す べ き か 」 匚n. ∼ ど の よ う に 協 力 す べ き か 」 の よ う に ,価 値 的 要 素 が 含 ま れ て い る。 こ こ で は,良 い 服 の 条 件 , 贅 沢 な 服 の 問 題 点 ,衣 服 を 作 る 人 々 の苦 労 な ど の 認 識 を 通 し て ,感 謝 の 態 度 ,協 力 態 度 な ど の 道 徳 的 態 度 形 成 が 直 接 的 に 目 指 さ れ て い る。 つ ま り , 道 徳 的 態 度 形 成 を ね ら い と し て ,内 容 構 成 と 認 識 が 方 向 づ け ら れて い る の で あ る。 こ の よ う に,単 元 5 匚私 達 の 衣 服 」 の 学 習 を 通 し て は, 3年 生 が 理 解 す べ き 基 本 的 社 会 機 能 と し て 衣 服 の 生 産 と 消 費 に関 す る知 的 理 解 と 道 徳 的 態 度 形 成 が 一 つ の単 元 の な か で 繰 り 返 し て 形 成 で き る よ う に 構 成 さ れ て い る。 こ の よ う な 構 成 は , 厂徳 目 中 心 」 型 単 元 を 除 い た殆 ど の 単 元 で 同 じ よ う に 採 用 さ れ て い る。 つ ま り ,こ れ ら の 単 元 で も 社 会 事 象 の 共 感 的 理 解 と ,社 会 認 識 と 関 わ っ て い る 直 接 的 な 道 徳 的 態 度 の 形 成 と い う ,2 つ の 過 程 と 構 造 を 通 し て ,社 会 生 活 の 理 解 と 生 き 方 の 習 得 が 図 ら れて い る の で あ る。 ② 「 徳 目 中 心 」 型 単 元 の 場 合 一道 徳 的 事 例 の 感 化 に よ る 道 徳 的 態 度 の 形 成 過 程 一 単 元 構 成 の 第 2の パ タ ー ンは ,道 徳 的 事 例 の 感 化 に よ る道 徳 的 態 度 形 成 の 過 程 と し て 構 成 す る ,と い う もの で あ る。 匚徳 目 中 心」 型 単元 が こ れ に当 た る O 第 3 学 年 に は ,単 元 1 匚立 派 な 子 ど も 」,単 元 4「 ̄責 任 と公 益 」 の 二 つ の 「 徳 目 中 心 」 型 単 元 が 設 け ら れ て い る 。 事 例 と し て ,単 元 4 「 責 任 と 公 益 」 を 取 り 上 げ ,表 4 と 同 じ 手 順 で 示 し た の が 表 5で あ る。 こ の 単 元 は ,責 任 と 公 益 と い う徳 目 に 関 し て 3 個 の 中 心 問 題 と 下 位 問 題 で 編 成 さ れ ,三 つ の小 単 元 を 通 し て 学 習 で き る よ う に 構 成 さ れ て い る 。 小 単 元 は ,「 責 任 」「 ̄公 益 」「 責 任 と 公 益 の 関 連 」 につ い て 子 ど も の生 活 を 中 心 と し た道 徳 的 事 例 で 構 成 さ れて い る 。 小 単 元 1で は,学 級 で の 役 割 分 担 活 動 を 中 心 に , 誠 実 な 役 割 の 遂 行 と そ れ に 対 す る 先 生 の 称 賛 な ど 望 ま し い 結 果 の 提 示 を 通 し て ,責 任 と い う道 徳 的 態 度 を 形 成 さ せ よ う と し て い る 。 小 単 元 2 で は, 町 の人 々 の た め に 鐘 を 鳴 ら し て く れ る お じ い さ ん の 例 話 を 中 心 に ,他 人 の た め の 行 動 と そ の 結 果 を 通 し て ,公 益 と い う 道 徳 的 態 度 を 形 成 さ せ よ う と す る 。 小 単 元 3で は ,踏 み切 り 番 の お じ さ ん の 例 話 を 中 心 に ,責 任 完 遂 と そ の 結 果 が 公 益 に な る こ と を 通 し て 態 度 を 形 成 さ せ よ う と し て い る。 こ の よ う に ,「 徳 目 中 心 」 型 単 元 の 場 合 は ,責 任 の 完 遂 に よ って 生 じ る望 ま し い 結 果 を 連 続 的 に 提 示 す る こ と を 通 し て ,ま た は道 徳 的 事 例 を 感 動 を 持 っ て 共 感 的 に 理 解 さ せ る こ と を 通 し て ,道 徳 的 態 度 を 形 成 さ せ る 構 造 と な っ て い る 。 子 ど も が 例 話 の 中 に 入 り ,生 き方 を 内 か ら共 感 的 に理 解 し て い く 時 ,感 動 が 生 ま れ望 ま し い 態 度 が 形 成 さ れ 表 5 第 3 学 年 単 元 4 「 責 任 と公 益 」 の内 容 構 成 中 心 問 題 事 例 単 元 内 容 構 成 内容構成 の視点 1.私 達 が 責 任 を 完 遂 す る た め に は ど う す べ き か。 1) 私 の 学 級 で はど の よ う に 仕 事 を 分 担 し て や っ て い る か。 2) 自分 が 担当 し て い る 仕 事 を ど う す べ き か。 3) 先 生 や友 達 と の 約 束 はど う 守 る べ きか 。 4) 学 級 で 決議 し た こ と はど う 守 る べ きか 。 5) 分 担 し て 仕 事 を す る 時 は ど う す べ きか 。 6) 私 達 の 郷土 の人 々 は ど の よ う にお 互 い 責 任 を 完 遂 し て い る か。 1. 私 の す べ き こ と @ 学 級 で の 役 割 分 担 と誠 実 な遂 行 に 関 す る 例 話 ○ ョ ンチ ョ リ の ク ラ スで は 仕事 を 分 担 し て 誠 実 に 遂 行 ○ 清 潔 部 員 の活 動 方 法 と誠 実 な 活 動 唏・・先 生 の 称 賛 ○ 他 グ ル ープ へ の誘 い と他 グ ル ー プ の 誠 実 な 活 動 ○ 友 達 と先 生 か ら の肯 定 的 な反 応 と 清 潔 な 教 室 ○ 学 級 図 書 コ ー ナ の問 題 に 関 し て 図 書 部 の 必 要 性 の認 識 図 書 部 員 の決 定 と誠 実 な 活動 と 図 書 コ ーチ の 整 理 整 頓 ゆ・ 各 部 の部 員 の責 任 完 遂 と 協力 に対 す る 先 生 の喜 び ○ 責 任 完 遂 と 望 ま し い 結果 道 徳 的 事 例 の 感 化 に よ る 態 度 形 成 過 程 2.私達 は ど のよ つ に色 々 な 人 のた め に 働 く べ き か。 1) 郷 土 の人 々 は ど う お 互 い に協 力 し て い る か。 2) 私 達 が 自 分 の利 益 の みを 考え る の は な ぜ 望 ま し く な い か。 3) 他人 の た め に や る の はな ぜ 良 い こ とか 。 4) 学 校 の 物 や共 同 の 物 はな ぜ 大 事 に す べ き か。 5) 私 達 は 色 々 な 人 の 利 益 の た め にど の よ う な こ と がで き る か 2. 鐘 を 鳴 ら す お じ い さ ん ● 町 の人 の た め に 鍠を 鳴 ら して く れ る お じ い さ ん の例 話 ○ 季 節 や 天 気 の変 化 に も 関 わ ら ず , い つ も正 確 な 時 間 に 鐘 を 鳴 ら すお じ い さ ん に 関 す る 話 一枷・感 謝 の気 持 ち ○ お じ い さ ん に会 って いろ い ろ な 話 を 聞 く ○ お じ い さ ん に責 任 や使 命 感 な ど に つ い て 感 謝 ○ 作 文 で 感 謝 の気 持 ちを 書 く ゆ・ 先 生 の称 賛 と友 達 全員 が 感 謝 の 気 持 を 感 じ る。 ○ 公 益 の た め の 行 動 と そ の 結 果 3.自 分 の責 任 を 果 た す こ と は な ぜ 他 人 の た め の も の に な る の か。 3. 踏 み 切 り 番 の お じ い さ ん ● 登 校 時 安 全 を 守 って く れ る 踏 み 切 り 番 お じ さ ん の例 話 ○ お じ さ ん のお 陰 で30 年 間 の無 事 故 ○ ヨ ンチ ョ リ はお じ い さ ん に 感 謝 の 気 持 ち で い つ も挨 拶 ○ 町 の た め に努 力 す る人 々 に 感 謝 の手 紙 を 書 く ○ 責 任 完 遂 と 結 果 と し て の 公益 文教 部 前掲 書(1955) pp.65 ∼66及 び, 文教 部 前掲 書(1959) pp.57 ∼73 により 筆者作 成 −30 −