TVRSJ
Vb1,
15
No .
1
pp.
83・
92,
2010基礎
論文
局 所 形 状
の
類
似
度
を 用
い
た
エ
ネ
ル
ギ
ー
最 小 化
に
よ
る
三
次
元
欠
損修 復
河合
紀 彦
*1
*2
佐藤 智和
’1
横矢
直 和
*1
3D
Surface
Completion
by
Minimizing
Energy
Based
onSimilarity
ofLocal
Shape
Norihiko
Kawai
*1*2,
Tomokazu
Sato
’
iand
Naokazu
Yokoya
’
iAbstract −
3D mesh models generated with a range scanner or video images often haveholes
due
to occlusions by other objects and the object itself.
This paper propose8 a nove 且 method tofil1
in the missing regions in incomplete models.
The missing regions are βUed
in by minimizing an energy function that is defined based on the simi 且arity of
local
shapesbetween
the missing region and the rest of the object.
The proposed method can generatecomplex and consistent shapes in the missing region
.
ln experiments , the effectiveness ofthe proposed method is successfully de皿onstrated
by
applyingit
to various objects with m 且SSIng 「eglons・
Keywords
ShapeSurface Completion
, 3D Inpainting, Energy Minimization , Similarity of
1
は じめに 仮 想 的に観 光地を体 験す る ウォー
クス ルー
や都 市 計 画のた めの景観シミュ レー
ショ ンを 目的と した,
現実 環境に基づ く仮想環境の構 築が近 年盛ん である.
この ような仮想環境の構 築には,
CG
に よ る三次元モ デル が用い られ るこ とが多い が,
現 状で はこれ らをCAD
な どを 用い て作成 するこ と が一
般的であ り,
詳 細な 形 状 を 再 現 す る た め に は多く の 人 的コス トが 必 要 とな る.
この た め, 近年, 実物 体を計測 すること で,
三次元 モ デ ル を自動 的に 生成す る研究 が 盛 ん に 行 わ れてい る.
三次元モデル を 生成す る た めの三 次 元計測 手 法 と して は,
レー
ザレンジファインダを 用い る手 法[
1,
21
や 画 像 計 測による手法[
3]
な ど が存 在す る が, いず れの計 測 手 法も,
センサの位 置か ら観 測でき る部 分形 状しか 得ら れ ない.
従っ て,
完全 なモデ ル を得る た め に は,
対 象物 体 を複数 地 点から計 測し,
得 られ た部分 形 状 を 統 合 する必 要がある,
しかし,
屋 外環 境のよ う な様々 な物体が存 在 する環境や複 雑 な構 造 を 持つ 物体を対 象 と した場合,
各 計 測によっ て得 られる部 分 形状にオ ク ルー
ジョン による計測もれが発生するた め, 欠損のな い完全なモデ ル を作 成す るこ と は難しい.
こ の問 題に 対して,
計 測 もれによっ て発 生 する欠損 領 域を自動 的 に修 復 する こ と で,
完 全な三次 元モデ ル を 生成する手 法が提 案さ れて いる.
以 下では,
従 来提 案さ れて いる 三次元モデル の欠 損領 域の修 復手 法 を 概観し,
本 研 究’
1奈 良 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学−
2日本 学術 振 興 会 特別 研究 員DC2 ’INaraInstitute of Science and TechnoLogy
*2JSPS Research Fellow の位 置づけ を述べ る
.
従 来の欠 損修 復 手 法の大 半は,
頂点 群と面に より構 成さ れる 三次元メッ シュ モデルを対 象と し てい る.
こ れ ら三次 元メッシュ モデル に対 する欠 損 領域 修 復の最 も基 礎的な 方法と して,
欠損 領域の境 界上の頂 点 同士 を結ぶことで欠 損 領域に表面 形 状を 生成する手 法が古 くか ら用い られて い るが,
平 面 的な表 面 形状しか生成 でき ないた め,
大 き な欠 損領 域に対 する修復に用いた 場合に は違和 感が 生じ るこ とが多い.
この た め,
単純 に頂 点 を結 ぶので はなく,
欠 損領 域周 辺の情 報 を 修復 に利 用 する手 法 が 提 案さ れ てい る.Castellani
ら[
4]
は,
欠 損領 域の境界に お け るエ ッ ジを直 線的に伸ば す ことで,
エ ッジや角 を 違和 感 な く修 復で き る手 法 を提 案し てい る が,
この手 法は曲面形 状には対 応できない.
これに対 して,
微 分 方 程 式, Willmore 曲 面 などを 用 い ることで 滑 ら か な補間 を 行 う手法[
5,
6,7]
が提案さ れてい る.
これ らの手法では,
小 さ な欠損 領域に対し て は良好な結 果を得ることが で き る.
しか し, 欠 損領 域 内 部で複 雑 な 形 状 を 再 現 す ることは 難 し く,
大 き な 欠損 領 域を 修復した 場合,
周 囲 と三次 元 構 造の性 質 が 大 き く異な る形 状が 生成さ れ るこ と が多い,
ま た, 欠 損 領 域 周 辺の情 報 を 利 用 す る 別のアプロ
ー
チ と して,
三次元空間 を ボ ク セ ル に分割し, 符 号付距 離 場 を 用い て補 間 す る手 法[
8
,9
, 10, 11,12}
が提案 さ れ ている.Curless
ら[
8]
は,
各 ボ ク セ ル をUnseen
,Nearsurface,
Empty
の3
種類に分類 し,
Unseen
とEmpty の間にメッ シ ュ を 張ることで欠 損 を 修 復 す る手
日本バ
ー
チャル リ ア リ ティ学会 論 文 誌 Vo1.
15, No.
1,2010 か ら符号付距離場のボリュー
ムデー
タを拡 散さ せ るこ とで,
欠損 領 域 内の符号 付 距 離 場 を生 成 する手 法 を提 案して いる.
ま た,Masuda [
10]
は,
符号付 距 離 場に 対し て逐 次 的に 二次 曲面 を当ては め てい くこ とで,
滑 ら か な面 を生 成 する手 法を提 案して い る.
これ ら の手 法では,
観 測の位 置 や 数に依 存す る符号付
距離 場に結 果 が 大 き く影 響 さ れる た め,
観 測位置 が 不 均 等で数も 多 くない 場合に は,
良い 結果 を得る こと は難しい.
こ のよ う な 問題に対し て,
ベイ ズ推 定により各ボ ク セ ル の状 態 を 推 定 す る 手法[
11]
や,
周 辺のボ クセ ル間の関 係 か ら符号付距離 場 を整 合化 する手 法[
12
]
が提案さ れ てお り,
これ らの 手法で は結 果が観 測の位 置や数に依 存す る 問 題 は 解 決 さ れてい る.
し か し,
こ れ らの手 法 に おいて も,
修 復に 用い る情報 が欠 損領 域の境界 付 近 に限 定 さ れてい る た め,
欠 損領 域 内部に複 雑 な 形状を 再 現す るこ とは難しい.
これ ま で に 挙げた手 法に対し て,
用いる情 報 を欠 損 領 域周 辺に限定せず,
同一
物体 上の欠 損領 域 以 外の領域 (
以 下, デー
タ領域)
やデー
タベー
ス上の対象 物 体以 外の物体の表面形 状も利用するの手 法[
13,14,15
,16
,17
,181
が提 案されてい る.
これ らの手 法は,
欠 損 領域 周 辺 で 複 雑 な 形 状が存 在 する場合で も,
デー
タ領 域 中 の 類 似 した 形 状 を 用い るこ と で欠 損領 域 内に複 雑 な形 状を再現することができ る.
Kraevoy
ら[
13]
やPauly
ら[
14]
は, 事 前に 準備し た対 象 物体に類似し た物 体を 用い,
そ の類似物体 全 体を対 象 物 体の形 状に合わ せ る よ うに変形 し, 類似物 体 上に お け る対 象 物 体の欠 損に あ た る領 域の形状を欠損 領 域に 当 て は め るこ と で 修復 を行って い る.
これ らの手 法で は,
対象 物 体と類 似し た事 例物 体を あ らかじめモデル 化 し た 上でデー
タベー
ス化 する必 要 が あ り,
デー
タベー
ス の構 築に人 的コス トがか か る とい う問題 が ある.
一
方, 同一
物 体 上の デー
タ 領域の表面 形状を利用す ること で特 別なデー
タベー
ス を 用い ること な く欠損 領 域 を 修 復 す る 手 法[
15,
ユ6,17,181
が提案さ れ てい る.
これ らの手 法は, 欠 損領 域 周 辺の構 造を モデル化す る ことで欠損 領 域 内の形状を予 測す る 手法[
15]
と, デー
タ領 域 内の局所 形状を修復のた めの事例 と して欠 損 領 域にコピー
する ことで修 復する手 法[
16
,17
,18】
に分類 でき る.
前 者の手 法[
15]
は, 対 象物 体 中に周 期 的な構 造 が存 在す る という仮 定の下,
構成 要 素 形状とその周 期をモデ ル化する ことで,
欠 損 領域 内の形状を予 測し 頂 点を与えて い る.
こ の手 法は,
集 合 住 宅のような周 期 的な構造を持つ物 体 中の欠損に対しては有効であ る.
しかし,
周 期 構 造 を 自動 的に発 見 する こ とが前 提と な る た め, 欠 損領 域周 辺で周 期 的な構 造を持た ない物体 に対しては修 復が難しい.
後 者の手 法[
16,17
,18]
は,
欠 損領 域 周 辺の表 面 形状と類似した局 所 形 状を デー
タ 領 域全 体から探 索し,
それを欠 損 領域
にコ ピー
す る処 理 を, 欠 損領域の 境界付 近か ら逐 次 的に繰 り返 すこと で修 復を 行 う.
この た め,
欠 損 領 域周 辺で周 期 的な構 造を持た ない場合で も,
デー
タ領 域 全体の類 似形 状を 利用し修復 する こと ができ る.
し か し,
これ ら の手 法 では,
直 前の局 所 形 状のコ ピー
に よ る修復 結 果 を最 良 と みなし,
その時点で最も類 似 し た 局所形 状 を用い て 未 修 復 箇 所 を修 復 するため,
最 終 的に生成さ れ る形 状 全体を 評価し た場 合には,
最 適な形 状が得られ ている 保 証がな く,
欠 損領 域の中心 付 近におい て同一
物 体 上 に ない形状 が現 れ,
違 和 感 が生じ る場 合がある.
本 研 究 で は
,
従 来 手 法[
16,17
,18]
と同 様にデー
タ 領 域 内の類 似 し た形 状 を利 用し修 復する アプロー
チ を 採 用す る が, 従 来の 逐次 的なコ ピー
による修 復で生じ る問 題に対して,
本 論文で は,
欠 損領 域とデー
タ領 域 間の局 所 形状の類 似 度 を用い て欠損 領 域の形 状の尤も ら し さ に 基 づ くエ ネ ルギー
関数を定 義し,
これ を欠 損 領 域 全 体 に 対 し て 最 小 化 す るこ とで欠 損領 域 を 違和 感 な く修 復す る手 法 を提 案 する.
本手 法では,
予め欠 損 領 域に頂点と面 か ら成 る 初 期 形 状 を与え た上で,
欠 損 領 域の局 所 形 状 と類似した 局所 形状 を デー
タ領 域から 探 索 し,
デー
タ領域の局 所形 状に類 似 する よう欠損 領 域の表面 形状を変形す ることで複雑 な 形 状 を 再 現 す る.
また,
エネル ギー
を欠 損 領域全体
で最 小 化 する よ う欠 損領 域 内の頂点の位 置を 並 列に更 新 す るこ とで, 欠 損 領 域 内の任 意の場 所におけ る局所 形状がデー
タ領 域 内 の形状と類 似 するよう最適 化さ れ,
違和感のない形 状 を生 成する.
以下,
2
節で は,
局 所 形 状の類 似 度に基づ くエ ネル ギー
関数を 最小化 するこ と で,
欠 損領 域を 修 復する提 案 手 法につ い て述べ る.3
節で は, 様々 な特徴を持つ モデ ルに対して欠 損 修 復を行い,
従 来 手法に よ る修 復 結 果と比 較 する こ と で提 案手 法の有 効 性 を 示 す.
最後 に4
節で,
まとめと今 後の課 題に つ い て述べ る.
2
エネルギー
最小 化に よ る 三次元欠 損 修 復提案手 法の処 理の流れ を 図 1に示 す
.
本研究で は, ま ず 修 復 対 象 と な る 欠 損 領域を 手動で指 定し,
何ら か の方 法を 用いて欠損 領 域に初 期 値となる頂点 群と そ れ ら を結ぶ 面 を与え る.
次に, 各 頂 点に対 す る 類 似 局 所 形状の探索(
i)
, 各 頂点の位 置 の 並 列的な 更新(
ii)
, 頂 点群 の密度 を考 慮した 頂点の追 加と統 合(
iii)
を繰り返 すこ とでエ ネ ル ギー
を最小 化 し, 欠 損 領 域の 修 復 を 行 う.
本 節で は, まず 局所形状の 類似 度SSD
(Sum
ofSquared
Distances
) に よ るエ ネ ルギー
関 数 を 定 義 し,
次に定 義し たエ ネ ル ギー
関数の最小 化 手 法につ い て述 べ る.
最 後に, エ ネ ル ギー
関 数の最 小 化処理で用いる 粗 密 法につ い て述べる.
河 合
・
佐 藤・
横 矢 :局 所 形 状の類似度を用いたエネ ル ギー
最 小化 に よる三次元欠損修復 開 始 「 対 象 とな る欠 損 領 域の指定 欠損領 域 に初 期形状(頂 点と面 )を生成 1 (i)類 似局 所 形 状 の探索i
(
ii
)頂点の位 置の更 新 (iii)頂点の追 加と統 合 エ ネル ギー
が 収束した か 、 い いえ 終 了 図 1 提 案手 法 の 処 理 の流れFig
.
1Flow
diagram
of the proposed method.
図2 三次元モデル の各 領 域
Fig
.
2 Missing anddata
regions on a surface model.
2.
1
局所 形 状の類 似 度SSD
に基 づくエ ネルギー
関数の定 義以下では
,
まず欠 損 領 域 内の局所形 状とデー
タ領域
内の局 所 形状の類似 度を用いたエ ネ ル ギー
関数の定 義 につ い て述べ,
次 に 局 所形状の類 似 度の算 出方 法につ い て述べ る.
局所 形 状の類 似 度を用いたエネルギー
関数の定 義 本 研 究では,
図 2 に示 すように,
三次 元モデルを ユー
ザが指 定し た欠 損 領 域Ωを含む領 域Ω’ と, 同一
モデル内の Ω’ 以外のデー
タ領 域Φ に分け,
領 域Ω’内 の形 状の尤 も らしさを デー
タ領 域 Φ 内の 局 所 表 面 形 状 を 用い て定義 す る.
こ こで は,
三次 元モデル内にお い て,
あ る 頂点を中心 とす る半 径 が一
定の大 き さの球A
の内部に一
部でも欠 損 領 域Ω内の頂点(
初 期 位置) が 含 ま れ る 球A
の 中 心 点の 集 合 を Ω’ と す る.
本研究 で は,
欠 損領 域の表面形 状の尤も ら し さ に基 づくエネ ルギー
E を,
領 域Ω’ 内の 頂点Pi
周 辺の頂点群 と点Pi
に 対 応 す るデー
タ 領域Φ 内の頂 点 魁周 辺の表面 形 状 との距 離 に基 づく局所 形 状 類 似 度SSD
の重 み付き 総和 と して以下の よ うに定義
す る.
E
=Σ
。、, Ω ’w 。 ,SSD
〔
P
¢,画)
Σ
P、
∈St’
・Wpi (1
) こ こで, 重 みωp、 とし て,
領 域Ω ’ ∩豆で は 各 点の位 置 が固定で あ る た め Wpi=1
を,
領 域Ω で は欠 損 領 域の境 界に近い ほど頂 点の位置の信 頼 度が高 くなる た め ωp、
=
1/
sm (m は Ω の境 界の頂 点か ら欠 損領域
内 の頂点 Pi ま での最 小のリンク数,
8 は正の定数 ) を用 いる.
ただし,
後 述のエ ネ ル ギー
最 小化 処理によ り領 域Ω 内の頂 点の追 加 と統 合 が行われ,
各頂点の重み が 変 化 す る た め, 式 (1
)で は重み の総 和によ る正規化 を 行っ て い る.
局 所 形 状の類似 度SSD
三 次 元モデ ルの生成における物 体 計測の条件等に よ り,
三次元モデ ル中の頂点 群の密 度は位置 に よって異 なる場 合が多い.
こ のた め,
本研 究 で は, 欠損領域の頂 点とデー
タ領 域の面の距離を 用いるこ とで密度に依存 し ない類 似度SSI
)を定義 する.
具体 的には, 欠損 領域 とデー
タ領域の 表 面 形 状の類 似 度を表 すSSD
(Pi,Pi ) を,
領 域 Ω’ 内の 頂点 Pi を 中 心 と す る一
定球 状 範 囲Api
内の頂 点 群と領 域Φ 内の頂 点 魁周 辺の面 を 位 置 合わ せ し た 上 で の 頂 点 と 面の距 離の総 和と して以下の 式で定 義 する.
SSD …
,Pi
・一
忍
ll
響
離
(
Pk)
H2
…
ただし,
M
自pi は,
図3
に示すように局所 形 状を位 置 合わ せ す る た めの座標 変 換行 列 を表 す.
また,
欠損 領 域 内の頂 点PfO(
∈.
Ap
、)
の法 線と位 置合 わせ済みのデー
タ 領域の面の交 点をMi ・
p 、gi(
pk)
(ただし,
9i(
Ph)
はPh
に対 応 する位 置合 わせ前におけるデー
タ領 域の面 上の点 ),
Pi を 中心とする一
定 半径の球 状範囲 Api の 内部に存 在 する 頂点の数を N(
Ap
、)
と す る.
局所形状 位置合わ せ の た め の 変換行 列
M
践p 、は,
頂 点Pi”(
Xp “Ypi
i ZP、
)
,
頂点 画=
(Xp 、 ,YP
、 ,Xp、)
を 原点 とす る座標 系 を そ れぞれ 設 定 し, 算 出す る.
こ こでは, 頂点Pi
, 画に お け る物体の座標 系で の基底ベク トル を そ れぞれ,(
Xp 、 ,yp 、
,ZPt)
, (Xp 、 ,yp
,, Zpp と する.
こ の時 座 標 変換 行 列MpiPi
は以 下の式によ り算 出で き る.
Mp 。
Pi =儒
。組
琴
。1
對
(
3)
M6
, 日本 バー
チャル リア リチィ学 会論文誌 VoL15,
No.
1 ,2010P
ベクトル ZPt 図3
類 似 度 算 出にお け る 欠 損 領 域の頂 点 群と デー
タ領 域の表 面の位 置 合わ せFig
.
3 Alignment of vertices and surfacefor
similarity measure of local shape
.
こ こ で
,
類 似 度SSD
は各 頂 点に 対 す る 基 底ベク ト ル (x,y,z)に大き く依 存す る.
従 来 手 法[
16,17,18]
で は,
頂点の法線ベ ク トル を軸と し一
定 角度 ずつ 回転 させ た基 底ベ ク トル を設 定し, 全ての 回 転 させ た 表 面 形状に対して類 似 度を計 算して いた た め,
効率 的で な く,
類 似形 状の探索に多 くの時 間 を 必 要 と し た.
これ に対し て,
本 研 究では,
頂 点Pi
, 島を中心 とす る一
定 範 囲Bpi ,
Bp2
内の頂 点群に対してそ れぞれ二 次曲 面 当て はめ を 行い,
曲 面の法 線 方 向 お よび曲 率 が 最大・
最 小と なる主方 向を算 出することで, 最適 な 基底ベク トル を一
意 に 決 定 す る.
これ に よ り複 数の回 転 さ せ た 表 面 形 状に対 する不 要 な 類 似 度の計 算 を 省略し,
計 算 コ ス トを削 減でき る.
以下では, 基 底ベ ク トル と な る 法 線 方向 お よ び 曲 率 が最大・
最 小 と な る 主 方 向 の 算出 方 法につ い て述べ る.
まず,
頂 点p
乞を中心 とす る一
定 範 囲Bpi
内の頂点 群を用い て主成 分分 析を行い, 第一 ・
第二・
第三主成 分の方 向が,
X 軸,
y 軸,
Z軸,
か つ Pi が原 点と な る座 標 系 を 構 成し,
以下の式で表わ さ れ る二次 曲 面 関数 を 当て はめ る.
z(
x ,y)=
αx2 十 by2 十 eny 十 dx 十 ey 十f
(
4)
ただし,
二次 曲面 関数の各パラ メー
タ(
α,
b
,
c,
d
,
ε,
f
)
は,
以 下の コス ト関数Q
が 最 小と な る よ う最小二 乗 法 を 用い て決 定 す る.
Q
。广Σ
{
z(
Mk,
Yk
)一
姦}
2 Pk ∈BPi(
5)
な お,
(Xk ,Yk,Zk )は,
主 成分 分 析によ り構 成し た座標 系にお け るPk
の座標である.
次に,
得られ た二次 曲面 から,
曲 率が最 大 ・最 小と な る主方 向お よび法 線 方 向 を算 出する.
具体 的には,
曲率が最大・
最 小となる主方 向を算 出するた めに,
以 下に示 す二次 曲面 関数 z(
x,y)
のヘ ッセ行列H
を導 出す る.
H −(
禦
剿
一
(
甑
い
・
こ の と き,
行 列H
の 固有ベク トル は,
主成 分 分 析に より構 成し た座標 系に おいて, 頂点 Piの曲率が最 大・
最 小である主方 向を表し てい る.
また,
同座 標 系にお け る頂 点Pi
の法線ベ ク トル fiiは,
以下の よ うに算 出 する.
rti−(
∂x(
0
,0
∂x)
・
讐
゜)
,1)一 (−d
,−
el・)(
・)
これによ り得 ら れ た 主方 向お よび法 線 方 向を元の物 体 座 標 系に変 換し, そ れぞれの単位ベク トル を基 底ベク トル Xp 、 ,ypオ, Zp 、 と して設定す る.
ただし,
平面 を対 象と した場 合な ど,
得られ た二次 曲面の主 方 向 が一
意 に決ま ら ない場 合 は,
各ベ ク トルが直 交するように任 意の方 向を用い て XPvYp ,
を設定 す る.
2.
2
欠 損 修 復のた め のエ ネ ルギー
最 小化手法本項で は
,Greedy
Algorithm
の枠組 み を 用い て式(
1)
で定 義し たエ ネルギー E
を最小 化す る手 法を 述べ る.
類 似形 状の逐次 的なコピー
に よ り修 復を行う従来 手法[
16, 17,18]
で は,
欠損 領 域の中 心 付 近におい て デー
タ領 域に はない形状が現れ違 和感 が 生 じ る場 合が 多い が,
これに対し て本 手 法では欠損 領 域全体でエ ネ ルギー
を最小 化 する ことで,
欠 損 領域 内の任意の場所 における局所 形状がデー
タ領 域 内の形状と類似す る よ うに全て の頂 点の位 置が 並列に更新さ れ,
違和 感のな い 表面形 状を生成する.
具 体 的に は,
全て の類 似 局 所 形状の組(
Pl,
瀚
を 固定 する と,
エ ネルギー E
を欠 損 領 域Ω内の各頂点で独立に扱え ることに着目 し,
(
i)
各 頂 点Pi
に対す る類似 形状 を 持つ 頂 点 島 の探 索 (ii)
欠損 領 域 内の各 頂点Pi
の位 置の並 列 的 な更新(
iii
)
密 度を考慮 し た頂点の追 加と統 合 の3
つ のプロ セ スをエ ネ ル ギー
が収 束す る まで繰 り返 すことで,
表 面 形 状 全 体の エ ネ ル ギー
を最 小 化 する.
以 下,
各プロセス につ い て詳 述す る.
(
i
)
類似 形状を持つ頂点の探 索プロセ ス
(
i)
で は,
欠損 領 域 内の頂 点 位 置 を全て固 定す るこ とで,
対 応 する類 似局所 形 状の位置 を 探索 す る.
基 本 的 に は, デー
タ領域 Φ内の全て の 頂点に対し て式(
2)
でSSD
を算 出し,
以 下の式 を 満たす頂点の 位置 島を決定す るこ とで類 似局所 形状の位置 を 更新 す る.
f(
pD =
魁=
argmin(
SSD (
Pi
,P
ノ)
)
P’
∈Φ(
8)
た だし,
デー
タ領 域Φ の全 範 囲 を対 象にSSD
を計 算 する処理 は計算 負荷が高い た め,
本 研 究では前 節で述河合
。
佐藤・
横矢 :局 所形 状の類 似度 を 用いたエネル ギー
最 小 化に よ る 三次元欠損 修復)
図4 エネ ル ギ
ー
算 出 時の頂 点の関 係Fig
.
4 Relationship between vertices i皿 en−
ergy calcUlation
.
べ た当て は め た曲面 か ら算 出 さ れ る 最 大・
最 小 主曲 率 を用い て,
類 似し てい ない と考 え ら れ る 局 所 形 状 同 士 に対 す る 類似度の算 出 処 理 を 省略す る.
具 体 的には, まず 各頂点におい て 式(
6)
で 表 さ れ るヘ ッセ行 列H
の固有 値の うち,
値 が大きい方 を最 大主 曲 率,
値が 小 さい方を 最 小 主 曲 率 と して算出す る.
こ こでは,
頂点 Pi とそ れ に 対 応 す る頂 点 魁の最 大主曲率を そ れぞれklp
、,klp、
, 最小主 曲率を そ れぞれk2p
、 ,k2p
、 とする.
次に, 式(
9)
で得ら れるコ ス トK
を昇 順に ソー
トし,
デー
タ領域 中の頂 点の うち上 位n%のK
に対応 する頂 点の組に対して のみSSD
を算 出するこ とで処理の高 速化を図る.
Kp ,pi =(
klp ,一
陀1 ⇒i)
2 十(
k2p ,一
鳶21 )、
)
2(
9)
なお,
本 研 究で は,一
般に三次元物体上の局 所 形 状 には面 対称 な ものが 多 く存 在 することを 考慮し,
面対 称 形状も修 復に利用 する.
具体的に は,
座 標変 換 行 列Mp
‘pi の要 素である基 底 ベ クトル Xp、
ま たは yp,
の 符 号を逆に し た形 状につ い ても類 似 度を算 出 する.
(
ii)
欠 損 領 域 内の各頂点の位 置の並列 的 な更新プロセス
(
ii)
で は,
類 似局所 形状の組を 固定し, 式 (1)で定 義し たエ ネルギー E
を 最小 化 する ように欠 損 領域 内の頂点 Piの位 置 を 並 列 に 更 新 す る.
以 下では, 類似局所 形 状の組を 固定し た 場 合 の 頂 点 Piの 位 置の 更新 方 法 につ い て詳述 す る.
類 似局所 形 状の組を固定 し た場 合, エ ネ ル ギー E
を決 定 する変 数は欠損 領 域 内の頂 点 数だ け存 在するが,
本 研 究で定 義し たエ ネル ギー E
は,
欠 損領 域 内の各頂 点 Piのみ を含む要 素エ ネルギー E
(Pi )に分 解で き ることに着目 し,
各頂点を 独 立に扱 うこ とを可能にする.
図4
に示すように,
更 新対 象と な る頂 点の位置をPi
とすると,
点Pk (
∈Api )
を 中心 とする局所 形 状に対し て式 (8
)で求まる類 似局 所 形状の位 置はf
(Ple)であ り,
こ の類 似局 所 形 状 上に おい てPi
と対 応 す る 面 上の点の位 置 は9k (
Pi
)と な る.
こ こ で,
注 目点Pi
に関するE
の要素エ ネルギー
E
(Pi )は,Pi
,9k
(p
{),
お よ び点f(
Pk )か ら点 Pk へ の位置 合わ せのた めの座標 変 換行 列Mf
(Pk )Pk を用いP
,の 法 ベクトル の 図5 パ ラメー
タの置 換Fig
.
5 Conversion of parameters.
て
,
以 下の よ うに表すことができる.
E回
一
黒
竜
)
II
磁 一・
Pi)
rl2
(
10)
こ の時,
欠 損領 域全 体のエネ ル ギー E
と各頂 点で の要 素エ ネルギー
E
(
Pi)
の 関係は, 以下のよ うに表せ る.
年
Σ
E (
P
、)+o
Pi∈Ω(
11)
C
は,
領域Ω’ ∩豆 内にある頂 点に関するエ ネルギー
であ り,
こ こ で は類 似局所 形 状の位置が 固定さ れてい る た め,
定 数とし て扱え る.
こ こ で
,
頂点Pi
に対 応する全ての点 Mf (Pk)p、9k (
Pi)
(
∀Ph
∈Ap 、
)は,
必 ず 頂点 Pi の法 線上に存在す るこ と か ら, 図5
に示すように,
頂 点 Piと点Mf
(Pk )Pkgle(
Pi)
は,
頂 点Piの単 位法線ベク トルnp , と,
頂点 Piの法線 上の任意の三 次 元 点Po
を用 い て以下の よ う に表せ る.
Pi = Po 十tPinp,
Mf
(Pk )Pkgle (pD=
po 十t
(Pk,
P,
)npi(
12)
(
13)
これ らを,
式(
10)
に 代 入 す ることによ り次 式 が得ら れ る.
E
・P・・一黒
毒
)
い
幅 ・) 2 ・14 ・ こ こ で,Pi
の更 新 前後において法 線ベ クトル nPi が 変 化し ない と仮 定 すれば,E
(Pi)
の変 数はtp , の 1パ ラ メー
タのみ と なり,
加えて tp ,の変 化は Pa以外 の点 の要 素エ ネルギー
に は影 響しない.
よって,
こ のよう な仮定の下では,
要 素エ ネルギー E
(Pi )を独 立に最 小 化 す ることで,
全体のエ ネ ル ギー E
を最 小 化できる.
す な わ ち,E
を最小 化 する tptは以下の よ うに求め ら れ る.
Σ
。 、∈A.、
U; ・、t(P、,
・ 、) tPi=
Σ
。、∈A。 、 ω・ 、(
15)
上段 のN値 以 上の畏さ\
、
日本バー
チャル リ ア リ ティ学会論 文 誌 VoL15 , No.
1,2010蚕雫
楡
吟
謐
》
頂点の統 合 表 1 実験に用いたパ ラ メー
タ (1
α。
e はデー
タ領 域にお け る 面の頂点 間の平 均 長 )Table
lParameters
in
experiments (lave
indi
−
cates average length between points
in
data
region ).
且
・
レ ベ ル 1 2 3図6 頂 点の追加 と統合
Fig
.
6 Addition a皿d integration of vertices.
従っ て
,
式(
12)
,(
13)
,(
15)
か ら, 頂 点 Piの位 置 は 以 下のよ う に算 出でき る.
Σ
。 、∈A。i W・、Mf
(P、)・kgh(
pD
(
16)
Pi=
Σ
。kEA 。 、 W ・ 、 ただし,
実 際に は各頂 点 位 置 の 更新に よっ て,
法 線ベ ク トル np、
お よ びMf
(Pk)p ,9k(
Pi)
の位 置が変 化す る た め,
式(
16)
で得 られ る 値 は 近 似 解 とな る.
しか し, エ ネ ル ギー
が 収 束 す るに従っ て,
法 線ベク トルの変化 が 小 さ くな る た め, エ ネ ル ギー
が収束す るにつ れて良 い近 似解と な る.
(
iii
)
密度
を考慮
した頂点の追 加と統
合 前 述 したエ ネ ル ギー
最 小 化処 理によ り頂 点の位 置が 移 動 す る と, 欠 損 領 域内の頂点群の分 布に偏りが 生 じ る.
このと き,
頂 点 の 密 度 が 必 要 以 上 に 高い場 合 に は,
最適化 処 理 が 非 効 率 と な り, ま た, 点が疎な 箇 所では, 形 状の細 部を 再 現 す ることが で き ない.
そこで本 研 究 で は,
反復処 理 の中で 点 群の密度 を一
定 に保つ よ う に 頂 点の追加 と統合を行 う.
具 体 的には,
図6
に示 す よ う に, 頂点 間の線分の長 さに関して上 限と下 限の閾値 を 設 け る.
上限の閾値以 上の長さの線 分に対し て は中 間に頂 点 を 追加し,
それ に応じ て面 を分 割 する.
下 限 の閾 値以 下の長さの線分に対し て は,
線 分の両端の頂 点 を そ れ らの中 間位 置に統合し,
それに応じ て面 を 削 除 す る.
2.
3
粗 密 法による反復 処 理本研 究 で は前 項で述べた最 適 化の繰 り返し処 理にお い て,
SSD
の算 出に用い る 局所 形状の範囲 お よび,
領 域Ω’ 内のエ ネルギー
の算 出に用い る 頂点数をエ ネ ル ギー
が収束 するこ とに段 階的に変化ざ せ る粗 密 法に よ り,
処理コス トの低減 と局 所 解 の 回 避 を図る.
具体 的 には,
SSD
の算 出に 用い る 局 所形状
の範 囲Ap
の半 径 を段 階 的に小さくする.
ま た,
領域Ω’内の エ ネ ル ギー
計 算に 用い る頂 点 数 を段 階 的に増やす.
こ こ では,
領 域Ωt 内の欠 損 領 域Ωに おい ては,
前 節で述べ た頂 点 群の追 加と削 除の 閾 値 を 段 階 的に小さ くする こ と で,
欠 損領 域 内の 頂点の 密度を段 階的に 上げる.
これによ り,
初 期 段 階で は お お ま か な 形 状 を 生成し,
最終 段 階 み ω に お}る 5 2.
0(モァル (1),
(II)) 3.
0(モデル (III)) 囲4 の { 9‘α
。
, 7‘鯉 5♂α 。 。 範 囲β の半 径 12娜。
(モ ァ ル σ)) 26」。
。
ε
(モデル (II)) 8Z。 。 ε 〔モデル (III)) にお ける 亅口 π 10% 領域Ω’ ∩ Ω に お け る 間引 く頂 点の割 合 8193 /4 0 限 の 閾41
α 麗 2互αueL3 ‘αu8 下 の国 1.
5‘α ηe0.
81αue0.
4‘α η ε で は細かい形 状ま で 再 現 す る.
また,
領 域Ω’ 内の残 りの領 域Ω’ ∩ 豆 で は,
形 状 が既に与えられて いる た め頂点の数と位 置 が 固 定 さ れ てい る が, 初 期 段 階では この領
域 内の頂 点 を一
定の 割 合 で 間 引いてエ ネ ル ギー
の算出 を 行 う.
間 引 か れ る 頂点の割合 を 段階的 に小さ く し な が ら最適化 処理 な繰り返 すこ とで, 効 率 的に修 復 処理 を 行 う.
3 実験 本節では, ま ず3
種 類の欠損を持つ 三次元モデ ルに 対 す る 提 案 手 法 と 従来 手 法によ る修復結 果 を 比較する こと で, 提 案手
法の有効性
を 示す.次
に, 提 案 手法に お け るパ ラ メー
タの結果へ の影 響を考 察する.
3.
1
修 復 結 果の比 較によ る提 案 手 法の評 価本実 験では
,
図 7,
8,
10(
a)
に示 す 3 種類の 三次元 モデル(
1),(
II),(III)
に 対 し て 修 復 実 験 を 行 う.
こ こ で は,
提 案 手 法と 同様に欠損 領 域に 予 め初期形状を与 え た上で,
逐次 的なコ ピー
に よ り修 復 を 行 う従 来手 法[
18]
を実 装し, 従 来手法と提案手法に よ る修 復結 果(
各 図の(
c)
と(
d)
に モデル全 体図 及 び 部 分 拡 大 図)
を比 較 するこ とで,
提 案手 法の有 効 性を 示 す.
な お, ,
〔
II)
は故 意に欠 損 領域を与え たモデ ルであ り,(
III)
は 実際 に建物を計測 し た際のオ ク ルー
ジョ ン により欠 損 が生じたモデルである.
各モデル の修復 実験に は
PC (
CPU
:Xeon
3.
OGHz
メモリ:8GB
)
を 用い た.
提案 手 法に よ る修 復では,3
段 階の粗密法
によ り修
復 処理 を行い,
修復に用いるパ ラ メー
タ は,
経 験 的 に表1
に 示 す よ うに設定 し た.
また,
頂 点 群の初 期 値と して,
各 図(
b)
に示す よ うに,
欠 損 領 域境界の頂 点群の重 心位 置に頂点を配 置し,
境界の 頂点群 と重 心 点 を結ぶ よ う面を構 成した ものを用い た.
従 来手 法[
18]
による修 復では,
欠 損領 域の初期 形 状と し て滑 らか な 表面 形 状を与える ことが前提となっ てい河 合
・
佐 藤・
横 矢 :局 所 形 状の類 似度を用いたエネ ル ギー
最 小化 に よる 三次元欠損修復 (a)欠 損 領域を持つ三次 元 モデル (b)提 案 手 法に与えられ た 初 期モデル (c)従 来 手 法に より修 復し たモデル (半 径71av.) (d)提案手法に より修 復 した モデル 図7 モデ ル (1)に対 する欠損 修 復 (欠 損 を 持つモデル(a)の頂 点数3404
,
修復 後 (d)の欠 損領 域 内の頂 点数1579,
処 理時 間234秒 )Fig
.
7Sulface
co皿 pletion f()r Model (1),
る.
このた め 本 実 験では, 従来 手 法にとって適切な初 期形状を 与 え る た め に,
モデル(
1),(
II)
では欠 損を 与え る前の元の表面 形状を 平滑 化し た ものを,
モデル(
III)
では 元の形 状 が存 在し ない た め, 提 案 手 法に よ り修 復 し た 形 状 を 平滑 化し た ものを初 期 形 状と し た.
ま た,
従 来 手 法の パラ メー
タである類 似度 評価に用い る局 所 形 状の範 囲A
の半 径を91
。 。。から 51av。の間 で ll。v, ずつ 変化 させな が ら修 復 を行い,
最 も違 和 感の 小さい 修 復結果を各図(
c)
示し た.
以 下,
各三次 元モ デル の修 復 結果 につ い て 考察す る.
モ デル
(
IX図 7(
a)
)
は,
欠 損 領 域の 周 辺 に 滑 らか な 曲 面 形 状 が 存 在 す る比 較 的 単 純 な形状の モ デル である.
図7(
c)
よ り,
従来 手 法に よ る修 復 モデル で は,
欠 損 領 域の 中心付 近で隆起し たエ ッジが 歪 み,
デー
タ 領 域に ない エ ッジ が 現 れてい る た め 違和 感が 生 じてい る こと が 分 か る.
これ に 対 して,
図7(b)
に 示 すモデル を初 期 値と して,
提 案手 法によ る 最 適 化 を 行ったモデル (図7(
d))
では,
欠 損領 域に滑ら か な曲 面形 状が 生成 され,
ま た,
境 界 部 分の隆 起 して いる 箇所が,
欠損領 域 内で 連 続 的に接 続 さ れる こ と で,
違 和 感のない モデルが 生 成さ れてい る.
モデ ル
(
II)(
図8(
a)
)
は,
欠 損領 域の周 辺で起伏のあ (前) (後) (a)欠損 領 域 を 持つ三次元モデル (b)提 案手 法に与 え られ た初 期モデル (c)従 来 手 法 に よ り修 復 したモデル (半 径51ave) (d)提 案手 法に よ り修 復し た モデル 図8 モデル (II)に対 する欠 損修 復 (欠損を持つモデル (a)の頂 点 数17522
,
修 復後 (d
)の 欠損 領域 内の 頂点数 1505,
処理時間 1682 秒 )日本バ
ー
チャル リ アリティ学 会論 文誌 VoL15,
No.
1,
2010 (a)2回の反復処理後 (c)22回(2段階目 で2回) の反 復 処 理 後 (b)12回の反 復 処 理 後 (d)26回 (3段 階 目で2回) の反 復 処理後 図9 モデル (II)の反 復 処理によ る形状の変 化 Fig.
9
Changes
in shape with iterationsfor
Model (II)
.
る 表 面 形 状 と, 窪んだエ ッジが 存 在 する比較 的複 雑な モデ ル(
Stanford
Bunny )
で あ る.
図8(
c)
に示す従 来 手 法に よる修 復モデ ルでは, 欠 損領域の 中 心付 近で エ ッジ がつな がっ て いる もの の, デー
タ 領 域 に は 存在 し ない滑らかでないエ ッ ジが 現 れ違 和 感の あ る形状 が 生成さ れてい る.
これに対 して, 初 期 形 状(
図8(
b)
)
か ら提 案 手 法によ り生成し たモデル(
図8(d))
で は,
起 伏 の あ る 表 面 形状が 再 現 さ れ て お り,
ま た,Bunny
の 後ろ側の足と同様の滑ら か なエ ッジ も 再 現 さ れてい る た め, 全体に 違和感の小さいモデル が生 成さ れ てい る,
図9
に反 復処 理 に よ る 形 状 の 変化を 示 す.
同 図 か ら,
反復回数に応じ て形状が徐々 に修復さ れて いること が 分かる.
ま た, 図9(
c)
(d)
か ら, 徐々 に頂 点群の密度 を 増や しな が ら 反 復 処 理 を 行 うこと に よっ て,
最 終 的 に は窪ん だ形 状が細部まで再 現さ れてい るこ と が分か る.
モデ ル
(
III)(
図IO(
a)
)
は, 現 実の屋 外 環 境 を 計 測 し た際に,
街 灯 に よ る オ ク ルー
ジョ ンに よ り建 物の壁 と 窓お よ び地 面が欠 損し たモデ ルである。
逐 次 的なコ ピー
により修 復し たモデル (図10
(c))では,
窓の付近 に違 和 感のある形 状が生じて い るの に対し,
初 期 形 状(
図 10(
b))
か ら提 案 手 法によ り生 成し た モデル(
図10(
d
)
)
で は,
壁・
地面・
窓 枠と も違 和 感な く修 復さ れ てい る.
図11
に 各 モデルの反 復 処 理 に お け るエ ネ ルギー
の 変化を 示 す.
ただし,
図中のエネ ルギー
は初期モデル のエネルギー
を 1 と して正規 化し てい る.
図 か ら,
ど のモデル に おい ても, 初 期モデ ル か ら反復処 理 を 行 う こと に よっ て, エ ネ ルギー
が 徐 々 に 減 少 し ていること が 確認でき る.
ただし, 粗 密法におい て全 体の頂 点の (a)欠損 領 域 を 持つ 三次 元 モデル (b)提案手法に与えられ た 初 期モデル (c)従 来 手 法に より修 復した モデル (半径 6tave) (d)提 案手法に よ り修 復したモデ ル 図10 モデル (III)に対す る欠 損修 復 (デー
タ領 域の頂点 数12749,
修 復 後の欠損 領 域の 頂 点 数474,
処理時 間1688秒 )Fig
.
10 Surface completion ∬or Model (III).
− j O
I
罅 ミ 爵 H 喫 」 コ}
黶 罔 0.
01 0510152025 繰 り返し回数 図 11 各モデル のエネルギー
の変 化Fig.
11Changes
in
energy with respect to it−
河合
・
佐藤・
横 矢 :局 所 形 状の類 似 度 を 用いたエネ ル ギー
最小 化による 三次元欠損修 復s
=
1.
1 s=
1.
5 s = 3.
0 s=
5.
0図12 重 み w の sを 変 化 さ せ た 時の修 復結 果 (上段:モデル (1)
,
下段:モデル (II))Fig
.
12 ResUlts with different values of para皿 eter s.
表 2 重みω の s を変化さ せ た時の処 理時間
Table 2 Processing time with different values
of parameter s for each 皿 odeL
一
一
s 1.
1 1.
5 2.
0 3.
0 5.
0 モァル (1) モ デ ル (II) 4671891303130723416822151237174958 密 度 お よび類 似 度SSD
の算 出にお ける範 囲A
が変 化 し た時 点(
モデル(
1)
で は 18 回 目,
26 回 目,
モデル(
II
)で は,20
回 目,24
回目,
モデル (III
)で は,8
回 目,
12 回目)
におい てはエ ネルギー
が不 連 続に変 化 する.
3.
2 パ ラ メー
タの結果 に対 する影 響の考察 提 案 手 法で は,
表 1に示 すような複 数のパ ラ メー
タ を決 定 する必 要があるが,
本 項で は特に結果へ の影 響 が大きい,
エ ネ ルギー
関数(
式(
1))
に おける重みw 中 の sの変化に よ る処理時間 お よび修 復結果 を考 察す る.
表2
と 図12に,
3.
1 節で示 し た実験 に対して sを変化 さ せ た 場 合 の モデル(
1)
,(
II)
の処 理 時間と修復結 果 を 示 す.
まず処 理時間に関 して表
2
か ら,
s が大き く な る,
すな わ ち欠損 領 域の境界か らの リンク数に 基 づ く頂 点 間の重 みの変 化 率が大き くなる に従っ て,
処 理時 間が 短 くなる傾 向が見られ た.
これは,
重 みの変 化 率が大 きいほ ど,
頂 点位 置の更 新の際に欠 損 領域の境界に近 い頂 点が欠損 領 域のより内部にある頂 点に及ぼ す影 響 が大き くなる た め,一
度の 反復処理 で欠 損 領 域 内 部の 形状が大き く変 化し,
結 果 的に反 復回数が減少 する こ とによ る.
次に修 復 結 果に関し て,
図 12 に示 す よ うに,
比 較 的形 状が単 純なモデル(
1)
で は重みの変 化によ る修 復 結 果へ の影 響は小さ かったが,
モデル(
II)
に おいて は 修 復 結 果へ の大き な影 響 が見 ら れ た.
具体 的に は,
s が 小さすぎる 場 合(
s ≦1.
5)
, 窪 ん だエ ッジがつ な が ら ず,
欠 損 領域内の表 面 形 状 が 全体 的に滑ら かにな る傾 向が見 られ た.一
方,
s が 大 き すぎる場 合 (s ≧3.
0),
窪ん だエ ッジがつ な が り, 起伏のある表 面 形状が 生成 さ れ てい る が,
欠 損 領域の中心付 近でデー
タ領 域に存 在しない違 和感のあ る形 状 が 生成さ れ や すい ことが 確 認でき た.
これ らの結果か ら,
重 み w 中の s を大き くす るこ とでエ ネ ルギー
の収 束 を 早 め 効 率的に修 復できる こ と が 考 え ら れ る が,
修 復 結果に関しては,
現 状におい て 最適なパラ メー
タ を 自 動で泱 定 す ることは難し く,
試 行錯誤 に よる調 整 が 必 要である.
こ のた め,
今 後,
効 率的かつ違和感のない 修復を実現す る た め に は.
欠 損 領 域 周辺の形状の特 徴や修 復過 程にお ける形状の変 化 を 分 析 する ことによ り重み の パ ラメー
タ を 適応 的に決 定 する手 法を確立 する必要がある.
4 まと め 本 論 文で は,
三次 元表面形状モデル に おける欠 損 領 域の尤 も らしさに基づくエ ネルギー
関数 を,
局所 表 面 形 状の類 似度SSD
を用い て定 義し,
これ を最 小 化 す るこ と で,
三次 元モデル にお け る 欠 損 領 域 を 修 復 する 手 法 を 提案し た.
実 験で は,
滑らか な曲面形状 を持つ 単 純 な形 状の モデル,
起 伏のある複雑 な 形状の モデル, 実 際の屋 外 環境を計 測し た モ デル に対 し て違和 感な い 修 復が実 現できる こと示し た.
しか し, 修復 結 果が パ ラ メー
タに大き く依 存する こと も 確 認 し た.
今 後,
日本 バ
ー
チャル リアリティ学 会論 文 誌 Vol.
15,
No.
1,
2010 様々な 特徴 を 持つ三次 元モデル に対して違和 感のない 修 復を実現する た めに は,
三次 元モデ ルの特 徴や修 復 過程における形 状の変 化から最 適なパ ラメー
タ を 自動 的に決定 する手 法を確立する必要が ある.
ま た,
形 状 とテクスチャ の同時修 復を実 現する手法を開発す る.
謝 辞本研究の
一
部は科 学研究 費 補助 金 (基 盤 研 究 (A
),
No .
19200016,
若 手 研 究(
B
),
No .
20700162,
お よ び,
特 別 研 究 員 奨励 費,No .
8045)
による.
ー 1 ー12
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3ー
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ー17
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