第15回群馬小児がん研究会抄録
日 時:平成 19 年 8月 24日 (金) 会 場:前橋商工会議所会館 Lilyの間 当番幹事:外 学 (群馬県立小児医療センター血液腫瘍科)特別講演>
座長:外 学(群馬県立小児医療センター 血液腫瘍科) 「先天性免疫不全症と悪性腫瘍」 金兼 弘和先生(富山大学大学院医学薬学 研究部小児科学 講師)一般演題>
座長:田村 一志(群馬大院・医・小児生体防御学) 1.マクロファージ活性化症候群を繰り返している若年 性特発性関節炎の一例 山岸 俊介,朴 明子,嶋田 明 外 学,林 泰秀 (群馬県立小児医療センター 血液腫瘍科) 若年性特発性関節炎 (JIA)にマクロファージ活性化症 候群 (MAS) を合併することはよく知られている. 今回 われわれは MASを繰り返した JIA の症例を経験し, 病 態に関与すると えられるサイトカイン・遺伝子検査を 実施したので報告する. 症例は 6歳の男児. 2歳時に前医 で JIA と診断され, 4歳時から当院にて治療を受けてい た. 4歳 11カ月時に MASを発症し, 血漿 換, 免疫抑制 剤, ステロイド剤等にて治療を受けた. その後, 免疫抑制 剤を内服していたが, 5歳 9 カ月, 6歳 6カ月, 6歳 11カ 月時に MASを発症した. MASの発症を疑った時点でス テロイドを増量することで MASの重症化は避けられる ようになった. 経過中に実施した検査では TNF-α, IL-6 等の各種サイトカイン上昇が確認された.また,NK 細胞 活性低下も認められたが, PRF1, SAP, MUNC13-4等の 遺伝子には異常が認められなかった. 2.腫瘍縮小を認めない Myc-N (−), 期神経芽細胞腫 の一乳児例 和田 渉,高橋 篤,鈴木 信 桑野 博行(群馬大院・医・病態 合外科) 金沢 崇,森川 昭廣 (同 小児生体防御学) 症例は胎児診断にて右副腎腫瘍を指摘された現在一歳 一ヶ月の男児. 在胎 38週 6日, 3,204g にて出生, 出生時 NSE 34.3, VMA 42.54, HVA 25.40. 開腹腫瘍生検で Neuroblastoma,poorly differentiated type,Stage IV骨髄 (+). 直ちに化学療法 Regimen-C2 (VCR ; 1.5mg/m day1,CPM ; 300mg/m day 1,THP-ADR ; 30mg/m )を 各月齢量に合わせ施行.9 クール終了時,原発巣の治療評 価で 31.2%の増加を認め PD . 門脈, 下大静脈, 右腎動脈 への浸潤が疑われ右腎摘出も伴い, 摘出は困難と判断さ れた. 3.若年性骨髄単球性白血病(JMML)と鑑別を必要とし た Wiskott-Aldrich症候群の1例 小竹 美絵,柴 徳生,塚田 昌大 田村 一志,金澤 崇,羽鳥 麗子 森川 昭廣 (群馬大院・医・小児生体防御学) 症例は 3ヶ月男児, 主訴は血 , 下痢, 皮疹. 在胎周生 歴, 成長発達歴, 既往歴, 家族歴に特記すべき事項なし. 出生時に点状出血を認め, 日齢 20頃より血 , 下痢が出 現. 日齢 93に頸部, 外陰部, 鼠径部の紅斑, 下腹部, 背部, 手関節の点状出血を認め, 精査目的にて日齢 119 に当科 入院となった. 身体所見としてアトピー性皮膚炎様の湿 疹を認めた.また,血液検査では血小板減少,正球性 血, 白血球 (単球)増加を認め,骨髄検査で異型細胞の出現を 認めた. 若年性骨髄単球性白血病 (JMML) を疑い, 精査 を依頼したところ, Wiskott-Aldrich症候群 (WAS) の可 能性を指摘された. フローサイトメトリーにて WAS蛋 白の欠損, 遺伝子解析にて WASP遺伝子の変異を認め たため, WASの診断に至った. WASと JMML は血小板 減少と皮膚病変を認め, JMML の鑑別診断として WAS 429 Kitakanto Med J 2008;58:429∼430を 慮する必要があると えられた. 4.同胞間造血細胞移植における両親の意思決定プロセ スへの支援の検討 前原 紗織,本間由紀子,紋谷 美咲 新井 香織,阿部 清子 (群馬大医・附属病院・ 小児成育医療センター) 塚田 昌大,金澤 崇 (群馬大院・医・小児生体防御学) 同胞間造血細胞移植を選択する両親にとっては, 患児 の治療方針の選択のみならず, 常同胞をドナーとしな ければならないという二重の精神的負担を強いられる. したがって非血縁者ドナー選択時以上に同胞間ドナーを 選択する際の意思決定プロセスにおいて, 両親への適切 な支援が必要となってくる. 今回, 6歳の AML 女児で姉 をドナーとする同胞間造血細胞移植を行った患児の両親 へ治療方針決定に関する内容のインタビューを行い, そ れを 析した. その結果, 治療方針の決定に際して両親 の間で 藤や受容のプロセスに差がみられた. したがっ てそれぞれに応じた支援が必要と えられた. 5.pneumatoceleの経過観察中に発見された胸膜肺芽 腫の一例 山本 英輝,土岐 文彰,西 明 黒岩 実,鈴木 則夫 (群馬県立小児医療センター外科) 朴 明子,外 学(同 血液腫瘍科) 畠山 信逸 (同 放射線科) 平戸 純子 (群馬大院・医・病態病理学) 症例は 3歳の男児. 生後 2ヶ月時に細気管支炎で近医 に入院した際, 左肺の囊胞性病変に気付かれ, 当院に精 査目的で紹介となった. 肺炎後の pneumatoceleの診断 で, 外来で定期的に経過観察を行っていた. 平成 18年 12 月の胸部レントゲン撮影では異常を認めなかったが, 半 年後の平成 19 年 6月の胸部レントゲン撮影で左肺に腫 瘤陰影を認めた. 胸部 CT と MRI を施行すると, 45× 41×41mm大の充実性成 主体の腫瘤を認めた. 縦隔原 発の胚細胞腫瘍, もしくは胸膜・肺原発腫瘍の診断で開 胸したところ, 左上葉原発の腫瘍であったため, 左上葉 切除による腫瘍摘出術を施行した. 病理診断は胸膜胚芽 腫であった. 肉眼的には全摘できたが, 再発率も高く, 現 在多剤併用化学療法により治療中である. 第 15回群馬小児がん研究会抄録 430