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Interaction between the cellular mRNA and the cellular microRNA linked to human immunodeficiency virus latency(ヒト免疫不全ウイルスの潜伏感染における感染細胞のmRNAと細胞内マイクロRNAの相互作用)<内容の要旨及び審査結果の要旨>

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Academic year: 2021

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Nagoya City University Academic Repository

学 位 の 種 類 博士 (医学)

学 位 記 番 号 第 1025 号

氏 名 タンガナ・ネイル・ハバコン (Neil Habacon Tan Gana)

授 与 年 月 日 平成 26 年 3 月 25 日

学位論文の題名

Interaction between the cellular mRNA and the cellular microRNA linked to human immunodeficiency virus latency

(ヒト免疫不全ウイルスの潜伏感染における感染細胞の mRNA と細胞内マ イクロ RNA の相互作用)

Nagoya Medical Journal, 2014 (印刷中)

論文審査担当者 主査: 田中 靖人

(2)

論 文 内 容 の 要 旨

マイクロRNA (以下、miR) は短鎖の一本鎖 RNA であり、その配列は標的 mRNA と相補的 であり、遺伝子の転写後のサイレンシングや翻訳抑制を起こす。miR はウイルス感染症にお ける宿主の応答やウイルスの複製およびその病原性の発現にも関わっている。ヒト免疫不全

症ウイルス 1 型 HIV-1 感染でも miR の生物作用が観察されているが未だ断片的な考察に止 まっている。この論文では、数千種類の宿主 miR の中から HIV 感染に伴って発現するもの に注目し、制御対象となる宿主mRNA を探索し、潜伏感染との関連を考察した。

これまでに公開されているHIV-1 感染に伴って変化する細胞遺伝子 mRNA と細胞の miR との間の対応関係を all-against-all の計算アルゴリズムを適用して調べ、GeneDecks Set Distiller を用いて個々の関連性を数値化した。また、抽出された蛋白分子の機能を推定する ために PANTHER ソフトウエアを使用し、これらの分子間の機能的関連を探るために、 STRING (ver. 9.1)ソフトウエアを適用した。 これらのバイオインフォマティクス解析の結果、HIV 感染に伴って細胞内で発現する miR と相補的な関係を持つ遺伝子は全体で33 遺伝子あり、これらは次に上げる4つのカテゴリー に分類できた:(module 1)細胞増殖に関連する遺伝子群; (module 2)細胞の転写因子群; (module 3) HIV-1 の転写活性に関与する因子群; (module 4)免疫応答に関与する遺伝子群、で ある。なお、mir-3ac-1,mir-186, mir-98, let-7a-1, l;et-7f-1, mir-141, mir-142, mir-148-a, mir-191 お よび mir-223 はこれらの中の複数の遺伝子群と関連していた。以上述べた様に、HIV-1 感染 においては宿主遺伝子と宿主miR との間にそれぞれ群として一定の被制御:制御の対応関係 があることが明らかになった。すなわち、HIV-1 感染に伴って誘導される複数の宿主細胞 miR は多数の宿主 mRNA と相互作用し HIV-1 の潜伏感染の成立と維持に寄与していることが示 唆された。例えば、IL-2, IL6 および IFNγの発現低下は HIV-1 感染に伴う特定の miR の作 用 し た 結 果 と 考 え る こ と も で き る 。 他 方 、 別 の 種 類 の miR 群 に よ っ て 誘 導 さ れ る Myb/Myc-ZHX2、EP300-NCOA1 および 3、YY1、STAT、CREBBP などの抑制性転写因子 の変化はHIV-1 の潜伏感染の維持に関与していると考えられた。 これらの結果は、HIV-1 感染に伴う細胞内のウイルス発現制御機構に miR を介するものが 存在することを強く示唆し、さらに研究を展開することによって、新たな治療法を開発でき る可能性を示唆した。

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(名古屋市立大学大学院医学研究科) 論文審査の結果の要旨

【学位論文内容の要旨と医学的な意義】

マイクロ RNA (以下、miR) は短鎖の一本鎖 RNA であり、その配列は標的 mRNA と相補的で遺伝 子転写後の翻訳抑制や mRNA の分解(「サイレンシング」と呼ぶ)を起こす。miR はウイルス感 染症における宿主の応答やウイルスの複製およびその病原性の発現に関わっている。ヒト免疫不 全症ウイルス 1 型(HIV-1)感染でも miR の生物作用が観察されているが未だ断片的な観察と考察 に止まっている。この論文では、数千種類の宿主 miR の中から HIV 感染に伴って発現上昇するも のに注目し、制御対象となる宿主 mRNA を探索し、潜伏感染との関連を包括的に考察した。 これまでに公開されている HIV-1 感染に伴って変化する細胞遺伝子 mRNA と細胞の miR との間 の対応関係を all-against-all の計算アルゴリズムを適用して調べ、GeneDecks Set Distiller を用いて個々の関連性を数値化し比較した。また、PANTHER ソフトウエアを使用して抽出された 蛋白分子の機能を推定した。これらの分子間の機能的関連を探るために、蛋白分子間の直接的も しくは間接的な機能的相互作用を探索する STRING (ver. 9.1)ソフトウエアを適用し解析した。 以上のバイオインフォマティクス解析の結果、HIV 感染に伴って細胞内で発現する miR と相補 的な関係を持つ遺伝子は総数で 33 遺伝子あり、これらの機能から次に上げる4つのカテゴリー に分類できた。すなわち(module 1)細胞増殖に関連する遺伝子群; (module 2)細胞の転写因子 群; (module 3) HIV-1 の転写活性に関与する因子群; (module 4)免疫応答に関与する遺伝子 群、である。また、mir-3ac-1, 186, 98, let-7a-1, l;et-7f-1, 141, 142, mir-148-a, mir-191 および mir-223はこれらの中の複数の遺伝子群と関連していたので、この4つの module は相互排他的なものでなく一部に重複があることを示した。このことから HIV-1 感染に おける宿主遺伝子と宿主 miR との間には、それぞれ群として一定の被制御:制御の対応関係があ ることが明らかになった。すなわち、HIV-1 感染に伴って誘導される複数の宿主細胞 miR は多数 の宿主 mRNA と相互作用し HIV-1 の潜伏感染の成立と維持に寄与していることが示唆され、HIV-1 ウイルス感染がゲノムレベルではグローバルな関係性の再構築を伴っていることを明らかにし た。例えば、HIV-1 感染に伴って起こる IL-2, IL6 および IFNγの発現低下は、HIV-1 感染に伴 う特定の miR が作用した合目的的な結果と考えることができる。他方、別の種類の miR 群によっ て誘導される Myb/Myc-ZHX2、EP300-NCOA1 および 3、YY1、STAT、CREBBP などの抑制性転写因子 の変化は HIV-1 の潜伏感染の維持に関与していると考えられた。 これらの結果は、HIV-1 感染に伴う細胞機能の変化や潜伏感染などウイルス発現の制御の少な くとも一部が miR によって担われていることを強く示唆する。任意の miR の発現制御が効率的に なされれば、本研究で得た知見を用いて新たな治療法を開発できる可能性が示唆された。 【審査内容】 審 査 は 全 て 英 語 で 行 わ れ た 。 主 査 の 田 中 か ら 、 HIV-1 潜 伏 感 染 の 要 因 を 探 る 中 で 何 故 microRNA に焦点をしぼったのか、microRNA と遺伝子発現の関係について実験的に検証したか、 など10問ほどの質問があった。第一副査の中西教授からは、この研究で有意な microRNA を選 んだ基準は何か、それぞれの microRNA は標的遺伝子発現を抑制するのか誘導するのか、など8 問の質問があった。第二副査の岡本教授(指導教授)からは、micro RNA はヒトゲノムの中の dark matter とも呼ばれているがその理由は何か、今回用いたバイオインフォマティクスの手法 は線形関係を前提とした手法に限られているが実際の生物現象では多くの分子間に非線形性があ り、このために解析結果の解釈には限界が有るのではないか、など主科目に関連した5つの質問 があった。これらの質問に対して申請者から概ね適切な回答が得られ、学位論文の内容を十分に 理解していると判断した。本研究は、バイオインフォマティクスの手法を使って HIV-1 潜伏感染 に伴って起こる宿主細胞変化をマイクロ RNA の作用を解析することによって理解できることを示 し、新たな治療法になりうる可能性を明らかにした。よって、これらの新しい知見を報告してい る本論文の筆頭著者には博士(医学)の学位を授与するに相応しいと判定した。 論文審査担当者 主査 田中靖人 副査 中西 真、 岡本 尚

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