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大型実験装置を学習テーマとした高大連携授業プログラムの開発とモデル化

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Academic year: 2021

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(1)

大型実験装置を学習テーマとした高大連携授業プロ

グラムの開発とモデル化

著者

小山田 誠

1

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

教情博第10号

URL

http://hdl.handle.net/10097/59759

(2)

学位の種類 学位記番号 学位授与年月日 学位授与の要件 研究科・専攻 学位論文題目 論文審査委員 おやまだ まこと

小山田

博士(教育情報学) 教情博第 10 号 平成 21 年 9 月 9 日 学位規則第 4 条第 1 項該当 東北大学大学院教育情報学教育部(博士課程後期 3 年の課程) 教育情報学専攻 大型実験装置を学習テーマとした高大連携授業プログラムの 開発とモデ、ル化 (主査) 准教授 三石 大 教授 熊井正之 助教 藤原充啓 (工学研究科) 客員教授 岩崎 (工学研究科) 教授 鈴木克明 (熊本大学)

<論文内容の要旨>

本研究では、学習の「環境」、「内容」、「活動」を兼ね備えた「学習テーマ」として大型実験装 置を捉え、大学にある大型実験装置 cw 加速器を学習テーマとした高大連携による高校生向け の 4 つの授業実践を行い、それらを授業の効果・効率・魅力の観点、から検討することで授業プロ グラムを開発、実践するとともに、これに基づき、提案する授業プログラムの設計概念と開発プ ロセスをモデ、ル化した。 先ず、第 l 章では、理科教育と連携教育における背景を概観し、「科学技術のブラックボックス イ七」に着目するとともに、連携教育を促進させるうえで体系的な研究が必要とされていることを 確認した。その上で、研究の中心となる授業設計をシステム的に検討するためにインストラクショ ナル・デザイン(ID) の概念に着目し、本研究で用いる ID フレームワークを考案した。

(3)

第 2 章では、先行的な類似事例を整理するとともに、本研究で開発する授業プログラムの基礎 となる既存の大学生向けの学生実験授業と、そのテーマで、ある大型実験装置:コッククロフト・ ワルトン型 (CW) 加速器の特徴を分析した。そして、第 1 章で確認した背景をふまえ、連携授業 を実施する上での「学習者」、「目的」、「成果」について検討し、これにより CW 加速器の運転実 習を中心とした全実地型授業プログラムを設計し、諸開発を行った。この「全実地型」による授 業プログラム〔実践1)では、授業の各段階で描画させた CW 加速器の概略図(ブロック図)が 最終的に精微なものへ変遷したことが観察され、横断的かつ帰納的な理解が促進したものと考え られるとともに、「科学の実体」や「科学の方法」を生徒が実感したこと、科学に対する興味関心 が高まったことなどが確認され、設計した授業プログラムの「効果」を確認した。また、運転室 の人数制限への対応として、運転実習時に遠隔授業形態によって並行的に受講させた遠隔班では、 多くの課題も見られたものの、運転実習部分を遠隔授業として実施できる可能性も確認された。 第 3 章では、連携教育が抱える地理的制約などの諸条件に柔軟に対応するための実施形態を検 討するため、先行的事例を参照しながら、「遠隔運転中核型」と r3 段階ブレンド、型」の 2 つの形 態を考案した。ここでは、先ず、「遠隔運転中核型」の実施形態による授業プログラム〔実践 2J に取り組み、〔実践1]と比較しても類似の学習成果がブロック図描画の結果などから確認され、 受講者が連携先を直接訪問しなくとも、このような授業プログラムを実施できるという観点で「授 業の効率」を高められることが判かった。その一方、実地における体験を重視することが重要で あることも確認されたため、実地での運転実習の体験を重視しつつ、 e ラーニングや遠隔授業によ る事前学習や事後学習を実施する r3 段階ブレンド型」の実施形態による授業プログラム〔実践 3J に取り組んだ。ここでは、 3 段階の学習フェーズによって授業が構成されていることを評価する意 見が生徒から得られたものの、他の実践と比べ、必ずしも十分な学習成果が得られたとは言いが たい面も確認された。これは、それまでの実践には潜在し、学習を促進させていたと考えられる 学習者と指導者間や、学習者同士の「コミュニテイ」が適切に形成されなかったものと考えられ、 「授業の効率」とともに「授業の魅力」も同時に高める必要性が確認された。 第 4 章では、 3 章で提案した r3 段階ブレンド型」に見られた課題に対し、 John M. ケラーの ARCS モデ、ルの視点、から学習に対する動機づけを阻害したと考えられる要因を検討し、「コミュニテイ」 が持つ機能を再確認した。これに基づき、「学習支援 BBSJ の導入による継続的なコミュニケーショ ンの確保と、事後授業へのジグソー学習形式の導入という 2 つの対策を講じた「コミュニティ拡 充版 3 段階ブレンド、型」による授業プログラム〔実践 4J に取り組んだ。その結果、ブロック図描 画の結果が大きく向上したほか、授業に対する満足感や生徒達の「自信」の向上も確認されると ともに、科学に対する向き合い方が変化したという、生徒の明確で具体的な実感も確認され、 r3 段階ブレンド、型」による「授業の効率」を保ちながら、「コミュニテイ」を拡充することで「効果」

(4)

と「魅力」も高められたことが確認された。 最後に、第 5 章では、第 1 章で導入した ID フレームワークを用いて本研究を振り返り、結論と して本授業プログラムの設計概念と開発プロセスをモデル化した。先ず、設計概念モデ、ルでは、 事前、実地、事後の 3 つの授業と、それらを繋ぐ 2 つの補助的活動の各活動における「認知的要 素J 、「体験的要素」、「情意的要素」とその実施形態を明らかにした。また、開発プロセスモデル では、「学習テーマ J として採り上げる「大型実験装置」が持つ「環境」、「内容」、「活動」の魅力 を分析した上で、「連携授業」として実施する上で求められる「学習者」、「目的」、「成果」の条件 を分析し、そこに「大型実験装置」を学習テーマとすることの魅力をマッピングさせて捉えなが ら、設計概念モデルを用いて具体的な授業プログラムを開発するプロセスを明らかにした。 以上の各過程より、大型実験装置を学習テーマとし、その運転体験を中心とした「コミュニティ 拡充版 3 段階ブレンド、型」による高大連携の授業プログラムを行うことで、横断的かっ帰納的理 解の促進と興味関心や学習意欲の向上が可能であることが明らかになった。

<論文審査の結果の要旨>

主査および副査により論文の内容を確認するとともに、平成 21 年 4 月 27 日に、大学院教育情 報学教育部内において 50 分の口頭発表および 30 分の質疑応答による博士論文本審査会を実施し た。 その結果、本論文では、大型実験装置を学習テーマとし、インストラクショナルデザイン理論 に基づき e ラーニングや遠隔教育を併用した高大連携授業プログラムの開発と実施に関し、以下 に示す事項が確認された。

1

)

科学技術のブラックボックス化による理科離れへの対応として実施される、高大連携授業 や博物館と教育機関との連携授業等、既存の多くの連携教育において、これまで問題点と して指摘されている学習目標の不明確性、学習効果の不明瞭性、ならびに継続的実施の困 難性を解決するために、大型実験装置を学習テーマとし、学習目的を明確にしつつ総合的 な学習を実施可能な具体的な授業プログラムを開発し、これを実践することで、定量的か っ定性的にその有効性を評価し、明らかにしている。

2

)

連携教育においてしばしば問題となる地理的制約の問題を最小限に抑えつつ、効果的な学 習を実現するために、実地による学習に加え、情報技術を活用し、 e ラーニングによる事前 学習ならびに遠隔授業による事後学習を加えた新しい授業プログラム形式である 3 段階ブ レンド型授業プログラムを提案し、これを実施することで、その有効性ならびに実現可能

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性を定量的かっ定性的に評価し、明らかにしている。

3

)

非継続的授業プログラムや、また、 e ラーニングや遠隔授業においてしばしば問題となる 学習者同士や学習者と教員間でのコミュニケーションの不活性化による学習意欲の低下を 解決するために、コミュニティが果たす機能に着目し、情報技術を活用した学習支援 BBS の導入による継続的なコミュニケーションの確保と、相互コミュニケーションによるアク ティブラーニングの代表的な手法の 1 つであるジグソー学習を事後学習に導入した新しい 授業プログラム形式である、コミュニティ拡充版 3 段階ブレンド型授業プログラムを提案 し、これを実施することで、提案学習プログラムの魅力の向上を定量的かっ定性的に評価 し、明らかにしている。

4

)

以上の実践結果を通じて開発した高大連携授業プログラムをインストラクショナルデ、ザイ ン理論の枠組みから分析し、大型実験装置を学習テーマとした高大連携授業の設計概念モ デルおよび開発プロセスモデ、ルを明らかにするとともに、これに基づき、実施した連携授 業を例とした授業プログラムの開発プロセスおよびその内容を詳細に明らかにし、効果、 効率、魅力を高める高大連携授業プログラムの具体的な開発手法を明らかにしている。 以上の結果は、本論文が提案する大型実験装置を学習テーマとした高大連携授業プログラムの 有用性を示すものであり、特に、 4 回の実践を通じてプログラムの詳細とその効果を明らかにして いる点は、本研究の信頼性を示すものであり、大いに評価できるといえる。また、本論文により 明らかにした授業プログラムの設計概念モデルや開発プロセスモデルは、今回使用した大型実験 装置を学習テーマとした高大連携授業のみならず、他の大型実験装置を利用した連携教育や異な る実験による連携教育にも参照となることが十分予想され、その新規性、有用性とも高く、今後 の理科学分野における新しい連携教育手法を提案するものと判断でき、本研究の今後の発展が期 待される。よって、本論文は博士(教育情報学)の学位論文として合格と判断される。

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