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楽しくやりとりをしよう、伝えよう

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Academic year: 2021

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高等部第3学年 自立活動学習指導案 1 単元名 「楽しくやりとりをしよう、伝えよう」 2 指導観 〇 対象生徒は一般学級に在籍しており、知的障害を有している。明るく人懐こい性格で、親し い友達や見知った教師には自分から挨拶をしたり声を掛けたりする。また、朝の活動中や休み 時間には、担任に休日の出来事や感想などをうれしそうに話す姿や、友達とおしゃべりをした りふざけ合ったりして楽しんでいる様子が見られる。しかし、早口になったり言葉が途切れた りして発音が不明瞭になり、伝えたい内容を相手に正確に伝えることは難しい。話し言葉とし ては単語や二語文程度であり、表情豊かに喜怒哀楽を表現することはできるが、伝えたい情報 がなかなか相手に伝わらないため、数度聞き返されたり違った解釈をされたりすると途中で話 すことを諦めてしまうことも多い。一方、音楽の授業では、顔をしっかりと上げて楽しそうな 表情で歌っている姿が見られる。話しているときと比べると、口の開け方や声の出し方は少し 大きいようである。本人も「話すのは苦手、歌うのは好き」と答えている。 本単元の自立活動の視点における生徒の実態は、次のとおりである。 区分 生徒Aの実態 心理的な安定 ・集団活動には、落ち着いて参加することができる。 ・自信がないときや不安なときは、活動が消極的になる。 人間関係の形成 ・友達の世話をするのが好きで、自分から声を掛けたり荷物の片付けを手伝 ったりする。 ・自分から関わるのは、特定の友達か教師が多い。 コミュニケーション ・積極的に担任や友達に話しかけて、関わろうとする。 ・身振り等をしながら単語や二語文程度で話すことができるが、声が小さく なったり早口になったりして、発音が不明瞭になる。 ・教師による口頭での指示は、おおむね理解することができる。 ・緊張すると、最初の言葉が出るまでに時間がかかる。 ○ 本単元は、自立活動の「2 心理的な安定(3)障害による学習上又は生活上の困難を改善・ 克服する意欲に関すること」「3 人間関係の形成(1)他者とのかかわりの基礎に関すること、 (3)自己の理解と行動の調整の関すること」「6 コミュニケーション(2)言語の受容と表 出に関すること」の各項目を相互に関連付けて構成した。 本単元では、母音の口の開け方の理解を促すとともに、明瞭な発音や適切な速度、声量を身 に付け、自信をもって相手に伝えようとする態度を育成することで、相手に伝わりやすく話す ことができるようになることをねらいとしている。 コミュニケーションは、日常生活の中で人と関わる際に欠かせないものであり、言葉で自分 の意思を伝えることは、他者とコミュニケーションを図るための重要な手段となる。教師や友 達など、周りの人と意思を伝え合い、コミュニケーションを図ることは、よりよい人間関係を 築く上で非常に大切なことである。また、自分の気持ちや考えを伝え、それを正確に受け止め てもらうことで心理的に安定し、充実した学校生活を送ることができると考える。対象生徒は 卒業後、就労継続支援事業所への進路を希望している。連絡や報告等ができれば、仕事を円滑 に遂行することができ、他の利用者や支援員とコミュニケーションを図ることができれば、よ りよい人間関係を構築することにもつながる。さらに卒業後は、銀行や市役所等の窓口で手続 きをしたり、名前や住所の確認を求められたりするなど、様々な場面で他者とやりとりをする 機会が増えることが予想される。その際、伝えたい内容を相手に伝わりやすく話すことができ るようになることは、対象生徒にとって必要な力であると考え、本単元を設定した。

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○ 本単元の指導に当たっては、明瞭な発音を促すために歌う活動を取り入れるとともに、実際 的な場面を段階的に設定して学習を行う。具体的には、「指導者とやりとりする場面」「伝言(要 求)する場面」「伝えたい内容を話す場面」の三つの場面を設定する。 「指導者とやりとりする場面」では、主に歌う活動を中心に行い、母音の発音の定着を図る。 対象生徒の歌いやすいメロディを用いて母音の口の開け方や動かし方を体感できるようにする とともに、母音の絵カードや鏡を用いて口の形を確認する機会を設ける。また、やりとりを楽 しむことができるように歌いながら、挨拶をしたり質問に答えたりする活動を行う。 「伝言(要求)する場面」では、担任から伝言を預かり、他の教師や事務職員へ伝えに行く学 習を行う。せりふの中で重要な名詞や動詞を取り出し、メロディを付けて歌う学習を行った後、 それらに助詞等を加えてつなぎ合わせながら手拍子に合わせてリズム読みを行う。その後、1 音の長さやせりふ全体の話す速度を調整していきながら話す活動へと移行していく。 「伝えたい内容を話す場面」では、誰にどのような内容を伝えたいのかを対象生徒から聞き 取り、一緒にせりふを考えて対象者に話しに行く学習を行う。せりふの発音を学習する際は、 前場面と同様に、歌う活動からリズム読み、話す活動へと移行していく。 「伝言(要求)する場面」と「伝えたい内容を話す場面」においては、具体物を用いたり所作 を取り入れたりしながら実際の状況に近い場面を設けて繰り返し学習を行い、不安感や緊張の 軽減を図る。また、授業の終末では実際に伝えに行く場面を設け、要求した物を受け取ったり、 内容に応じた返答をもらったりすることで、正しい内容が伝わったことを実感できるようにし、 達成感と自信につなげていく。 単元全体を通して、適切な発音の定着に伴い歌う活動は少しずつ減らしていく。また、母音 の絵カードや鏡、IC レコーダーなどを用いて、口の開け方や発音、話す速度を自分で修正して いくことができるようにする。さらに、毎時間、授業の終末には振り返りシートを使った自己 評価を行い、自分の活動や学習内容を振り返ることで気付きを促すとともに、伝わった喜びや 成就感を味わえるようにして、人にもっと話したいという意欲を高めていきたい。 3 単元目標 ○ 適切な口の開け方や動かし方、話す速度を理解することができる。【知識・理解】 ○ 伝えたい内容を相手に正確に伝えることができる。【表現・技能】 ○ 自信をもって伝えようとすることができる。【意欲・態度】 4 単元計画(総時間 10 時間 本時4/10) 第一次 第二次 第三次 「やりとりを楽しもう」 「担任から預かった内容を伝えに行こう」 「伝える相手と内容を決めて話しに行こう」 配 時 1時 2時 3時 4時 5時 6時 7時 8時 9時 10 時 ねらい ・母音の口の形を理解す る。 ・やりとりをする楽しさ を味わう。 ・話す際の適切な速度を体感する。 ・一人で相手に伝えることができ る。 ・リズム読みと同じ速さで話すこと ができる。 ・一人で相手に伝えることができる。 主な活動 ・「あいうえおの歌」を歌 う。 ・挨拶をする。 ・質問に答える。 ・せりふの練習をする。 (歌→リズム読み→話す) ・実際の場面を想定して練習する。 (必要な所作等を加える。) ・話したい相手を決める。 ・伝えたい内容を考え、せりふを 決める。 ・実際の場面を想定して練習する。 対 象 者 指導者 担任が指定した相手 自己選択した相手 活動場所 音楽室 音楽室、職員室、事務室等 音楽室、教室前廊下等 主な教材 ・手鏡 ・母音の絵カード ・母音の絵カード ・語頭を囲む円 ・ボイスルーラー ・せりふカード ・IC レコーダー 評 価 ・母音の口の形を模倣す ることができたか。 ・母音と絵カードのマッ チングができたか。 ・手拍子に合わせて、せりふを発音することができたか。 ・リズム読みと同じ速さで、話すことができたか。 ・教師の支援なしに、一人で伝えることができたか。 ・聞き返されても諦めずに伝えることができたか。 「振り返りシート」による自己評価

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5 本時 (1) 日時・場所 平成〇年〇月〇日(〇)〇校時 〇〇室 (2) 本時の目標 ○ 伝えるために重要な言葉はどれか考え、せりふの中から抜き出すことができる。 〇 リズム読みと同じ速さでせりふを話すことができる。 ○ IC レコーダーで録音した、学習前と後のせりふを聴き比べて、良かったところや分かりづら かったところなど、具体的に自分の考えを述べることができる。 (3) 本時指導の考え方 本時は、本単元の「楽しくやりとりをしよう、伝えよう」の4時間目であり、担任から頼まれた 内容を対象者に伝えに行き、それに応じた正しい対応をしてもらうことで達成感を味わうととも に、IC レコーダーで自分の声を聴き、分かりづらいところに自分で気付き修正する力を身に付け ることをねらいとしている。対象生徒は、前時までに歌う活動等を通して、母音の口の形や動か し方を理解し、話す速度を体感することができている。また、実際に美術教師に授業内容を聞き に行くことができている。そこで本時では、担任から預かった内容を伝えるためのせりふの学習 に加え、入室の際に必要な所作を含めた学習を行う。 導入では、母音の絵カードや鏡で口の開け方の確認を行った後、「挨拶のやりとり」と「名前」 を歌からリズム読み、話す活動を順に行い、前時までの学習の流れを想起できるようにする。 展開では、まずせりふを発音する学習を行う。授業前、対象生徒は担任から、喉が痛くて咳が出 るので、保健室からマスクを3枚もらってきてほしいと依頼されている。そこで、どのようなせ りふにするか、対象生徒から意見を聞きながら決める。あらかじめ想定しておいたせりふを「マ スク/を/さんまい/ください」と分けて紙に書き、準備しておく。その中から、正確に内容を伝 えるために重要な言葉はどれか、対象生徒に聞きながら抜き出し、メロディを付けてピアノの伴 奏に合わせて歌う。その後、助詞等をつけ加えながらリズム読みを行い、話す活動へと移行して いく。その際、紙に書いたせりふの語頭の文字を赤い円で囲むようにし、語頭を意識しやすくす る。また、早口になってきた場合は、リズム読みに戻って発音する速さを再度確認できるように する。発音や話す速度が安定してきたら IC レコーダーに録音する。学習前に録音しておいたもの と聴き比べ、感想を聞くとともに、どこがどのように良かったのかについて具体的な発言を引き 出す。また、分かりづらかったところはあるか、どのようにしたら聞きやすくなるかなど考える 場を設ける。さらに、入室するときや養護教諭からマスクを受け取ったときには、どのようなせ りふや動作が必要かを聞き取りながら、具体物(マスク)を用いて、実際に動きながら練習を行 う。対象生徒の不安感や緊張が軽減されてきたことを感じたら、実際に保健室に伝えに行く。正 確に伝えることができたらその場で称賛し、自信につなげる。 終末では、振り返りシートを用いて学習内容の振り返りを促し、自己評価を行うことで達成感 を味わえるようにし、次時の学習への意欲の向上につなげていく。 (4) 準備物 ①絵カード ②鏡 ③「挨拶」の歌詞譜 ④名前を書いた紙 ⑤せりふの画用紙 ⑥予備の画用紙 ⑦IC レコーダー ⑧赤い円 ⑨マスク ⑩せりふカード ⑪振り返りシート 歌(メロディ、リズム)

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(5) 展開 配時 学習活動・内容 指導上の留意点 教材・ 教具 導入 10 分 1 始めの挨拶をする。 2 前時の振り返りを行う。 〇 挨拶のやりとりをする。 〇 名前を言う。 (歌→リズム読み→話す) 3 本時のめあてを知る。 ・母音の絵カードを渡して挨拶の文字の語頭 や伸ばす音の下に、対応するカードを貼るよ うにする。 ・間違えた場合は、鏡を見ながら一緒に発音 し、口の形を確認できるようにする。 ・歌からリズム読み、話す活動へと移行する手 順で行い、前時までの学習を想起できるよう にする。 ・話すときに早口になったときは、リズム読み に戻って、適切な速度を確認できるようにす る。 ・板書した「めあて」に注目を促し、教師と一 緒に読むよう言葉掛けをする。 ・担任の先生から、どのような内容を預かった のかを聞き取る。 ・授業の最後には、実際に保健室にマスクをも らいに行くことを伝える。 ① ② ③ ④ 展開 30 分 4 内容を伝えるための練習の手順 を理解する。 〇 せりふを決める。 「マスクを3枚ください。」 ・IC レコーダーに録音する。 〇 重要な動詞や名詞を歌う。 「マスク」「3枚」 〇 リズム読みをする。 ・「マスクを3枚」 ・「マスクを3枚ください。」 ・担任から預かった内容を伝えるためには、ど のように言ったらいいか、聞き取りながらせ りふを作っていく。 ・生徒の発言に対応できるよう、せりふを書く ための予備の画用紙を準備しておく。 ・単語や助詞ごとに分けて紙に書いたせりふ をホワイトボードに並べて貼り、文字や文字 数を意識できるようにする。 ・内容を伝えるために重要な言葉はどれか、聞 きながらを抜き出していく。 ・抜き出した言葉にメロディやリズムを付け て歌い、教師の後に続けて復唱するよう促 す。 ・抜き出した言葉の語頭の下に、母音の絵カー ドを提示し、口の開け方を意識できるように する。 ・鏡を用いて、「マスク」の「マ」で、口を閉じ て開ける練習を繰り返し行う。 ・自分で口の形を確認できるよう、絵カードや 鏡は生徒のそばに置いておく。 ・手拍子をしながら発音を促す。 ・語頭を赤い円で囲むよう促し、意識して発音 できるようにする。 ・口の開け方が狭くなってきたら、言葉掛けを ⑤ ⑥ ⑦ ① ② ⑧ 保健室の先生に伝えよう

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〇 話す。 「マスクを3枚ください。」 ・IC レコーダーに録音する。 〇 IC レコーダーを聴き、良かっ たところや分かりづらかったと ころを答える。 〇 実際の状況に近い場面で練習 する。 5 実際に伝えに行く。 〇 保健室に移動する。 〇 入室し、養護教諭に伝える。 して気付きを促す。 ・助詞やその他の動詞等を一つずつ加えてい き、少しずつ文章を長くする。 ・ゆっくりとした速さから始め、少しずつ話し 言葉に近い速度に上げていく。 ・「マスクを」と「3枚」の間で息を吸うように し、話す速度を抑制しやすくする。 ・早口になってきたら、教師が一緒に発音した り、せりふを再度分割してリズム読みに戻っ たりする。 ・口の開け方が狭くなったり早口になったり したときは、言葉掛けをしたり、リズム読み に戻ったりして修正できるようにする。 ・学習前の録音と聞き比べて感想を聞き、「良 かった」と答えた時には具体的に聞き、大事 なポイントを確認できるようにする。 ・物を受け取った時は、どんなせりふが必要か を聞き取り、せりふや動作の順にホワイトボ ードに貼る。 ・口の開け方が狭くなってきたり、早口になっ てきたりしたら、言葉掛けで修正を促す。 ・実際に動いたり、具体物(マスク)を用いた りして、場面をイメージしやすくする。 ・動作やせりふなど、一つずつ丁寧に確認しな がら練習を行う。 ・繰り返し練習し、不安感や緊張の軽減を図 る。 ・せりふをカードに書いておき、見て言っても いいことを伝える。 ・保健室に入る前に、廊下で練習するよう言葉 掛けをしたり、一緒に動作やせりふの確認を したりする。 ・すぐに言葉が出ないときは、深呼吸を促した り、言葉掛けで合図を出したりする。 ・早口になりそうなときは、練習した手拍子の 速さで背中を軽く叩きながらせりふの発音 を促し、話す速度を修正できるようにする。 ・養護教諭からマスクを3枚受け取ることが できたら称賛し、自信につなげる。 ⑦ ⑨ ⑩ 終末 5 分 6 本時の振り返りをする。 〇 振り返りシートに記入する。 7 終わりの挨拶をする。 ・授業を振り返り、できたことや気付いたこと 等を書くよう促す。 ・良かったところを褒めて、自信につなげると ともに、次時への意欲を喚起する。 ⑪

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参照

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