第2学年
美術科学習指導案
1.題 材 「組子紋様オリジナル手ぬぐいをつくろう」 2.指導観 ○ 本題材は、組子文様の美しさやよさに着目し、両面ゴム版に伝統紋様や自分で考えた紋様を彫って、 版やインクを友だちと共有しながら手ぬぐいをつくるものである。大川組子は、数ミリ厚さの杉や檜 材を組み合わせてつくる地元の伝統工芸の一つである。植物をモチーフにつくられてきた200種類 を超える幾何学的な紋様は、職人によって現在も新しい紋様が生み出されており、その組み合わせで 生まれる文様には無限の広がりがある。組子細工には特殊な工具や熟練の技術が必要であり、残念な がら中学校の授業でとりくむのはなかなか難しい。しかし、これまでに学んだ色彩や単純化・省略(デ フォルメ)による表現、画面構成の要素を生かして、紋様の構成要素を発展させた新たな作品を制作 することは、学習指導要領のA表現(2)ア、(3)の目標達成に適している。また、交流により他 の表現のよさなどをといれることは、自分らしさや伝統を大切にしながらも新たな表現に挑み、創造 的に表現をしていく意欲と態度を高めることにつながる。さらに、B鑑賞(イ)にある生活を美しく 豊かにする美術の働きについて理解するとともに、地元の伝統工芸や紋様に親しみ楽しむ心情を養う 上で意義がある。 (紋様・・・一単位の原型、 文様・・・紋様を構成したもの 模様・・・紋様、文様を含む) ○ 本学級の子どもたちは、意見交換や作業に集中することで、自分の表したいことに近づこうとする 意欲は高い。半数の子どもたちは、小学校の時に簡単な組子細工を体験しているが、その歴史や数多 くの紋様の存在、基本紋様の組み合わせによる構成のおもしろさなどについては、知らないことも多 く、関心も低い。また、これまでに絵画制作を通して三原色による多様な色づくりや画面構成の要素、 デフォルメなどについて学んできているが、絵画以外の制作に生かすことが不十分であり、発想や技 能面の個人差も大きいことがわかってきた。特に、見通しを誤って失敗したり時間の差がついたりす ることへの不安から、新しい表現や高度な表現への挑戦を躊躇し、安易な表現で終わらせようとする 子ども、自分の表現のよさに気づかずに、途中で制作をあきらめている子どもがいることがわかって きた。 ○ 本題材では、伝統紋様のよさや美しさを生かして「わたし」や「自分らしさ」から発想した紋様を つくることができるようにすること、材料や道具の特徴を生かし、自分の表現意図に合う新たな表現 を考えて、手ぬぐいをつくることができるようにすることをねらいとする。そこで、活動全体を通し て、自他の発想、表現を大切にしながら新しい発想を共有し、楽しみながら制作することを確認して、 それぞれの段階で次の手だてをとる。 ①発想をする段階・・・発想の拡がり、自他の表現のよさを認めあう雰囲気をつくるために、班や学 級での意見交換の時間を設ける。イメージを具現化して発想を発展させることができるように、 カーボン紙を使って短時間で紋様を数多くつくる活動を取り入れる。 ②発想構想をまとめる段階・・・見通しを持って制作をすることができるように、制作条件、制作過 程、試作材料や道具の使い方を提示、実演し、制作について考える時間を設ける。 ③制作段階・・・自分の発想や作品のよさを生かす楽しみを味わい、行き詰まりを解消するために、 制作工程を選んだり、版やインクパッドを友だちと共有して制作したりできるようにする。 3.題材のめあて ○組子に興味関心を持ち、気づきを生かしながら制作を楽しむことができる。 (意・関・態)① ○「わたし」や「わたしらしさ」をもとに模様を豊かに発想し、条件をもとに制作の見通しを持つこ とができる。 (発・構) ② ○色彩や構成、材料や用具の使用など、これまでの学びを生かして安全に配慮しながら制作すること ができる。 (技)③ ○組子や作品の美しさやよさ、構成の面白さを主体的に見つけ、味わうことができる。(鑑)④ 4.準備 ゴム版、さらし布、彫刻刀類、インク、水彩色鉛筆、ワークシート、カーボン紙 プロジェクター、実物投影機、参考作品5.単元計画 時 間 学 習 活 動 支援と留意点 ●めあて 評価基準 方法 1 ○組子の歴史、紋様の名前、特 徴を知る。 ・六角形や三角形(三組手地組) の枠が基本 ・植物、自然などがモチーフ ○映像や画像を通して大川組子の歴史や制作工程 に興味関心を持ち、紋様の特徴や美しさに気づくこ とができるようにする。(☆1) ○基本の枠をとらえやすいように、ワークシートを 活用する。 ・ワークシー ト ・特徴を見い だし、積極的 に 楽 し も う としている。 ①④ 2 3 ○紋様制作の条件を確認する。 ・回転対称形、デフォルメ ○「わたし」を表すための材料 を探そう。 ・名前(文字)好きなもの ○文字やものの形をもとに・カ ーボン紙を使って紋様を描く ○デザインをまとめよう。 (☆1) ○制作の見通しのために、紋様が正三角形の回転対 称形(六角形)であること、単純化、省略(デフォ ルメ)が作品の美しさや制作しやすさを左右するこ とを確認する。 ○アイディアを拡げたりよさを共有したりするた めに、個人から班や学級で意見交換を適宜設ける。 (☆3くるくるシート.☆4ミツバチ作戦) ○発想を促すためにインスタント制作タイム(簡単 な試作)を設ける。(☆2投影機) ○試作をもとに原寸大の版下図をつくる。 ・ワークシー ト2 ・自分を表す も の の 形 か ら 条 件 に 沿 っ た 紋 様 を 考 え る こ と ができる。 ①②④ 4 ○ゴム版に紋様を転写し、彫る。 ○片面を彫り終えてから周囲を 切り落とし、裏を彫る ○試し打ちと修正彫りをする ○コツをとらえやすいように実演し、手順を提示す る。(☆2) ・細部が欠けないようにV字になるように彫る。 ・両面転写してから形を切り出すと、ずれてしまう ので片面ずつ制作すること(☆2投影機) ・様相観察 ・ゴム版 ・刀の特徴を 生 か し て 安 全 に 配 慮 し て 制 作 で き る。③ 5 ○構成の要素を確認する。 ○手ぬぐいのデザインをワーク シートに描く。 ・色鉛筆で配色も考える。 (☆1) ○発想しやすいように、リピテーション、シンメト リー、バランス、アクセントなどの要素を例示する。 ○班員であることを条件に、互いにゴム版を共有し てもよいことを伝える。友だちの作品のよさを見つ け、共有する時間を設ける。(☆3) ・ワークシー ト3 ・構成要素を 生 か し て デ ザ イ ン す る こ と が で き る。 ①②④ 6 ・ 7 ・ 8 ①さらしに補助線(5.5cm: ゴム版の幅)を引く。 ②インクパットをつくろう 1人に1つずつプラスチック 容器にスポンジを接着する。 ○スムーズな制作のために周囲の整理と用具の準 備をうながし、制作手順を提示する。(☆2投影機) ・補助線・・・水彩色鉛筆 ○複数の色を使うことができるように、班員で使う 色について打ち合わせの時間をとる。(☆3) ・様相観察 ・作品 ・道具の特徴 を 生 か し て 丁 寧 に 制 作 す る こ と が できる。 ①③ ①濡れタオルを準備 ②印刷する。 ・三原色で色を作る ③乾燥後ぬるま湯で、補助線(色 鉛筆)を洗い落とし、よく乾燥 させてアイロンをかける(宿題) ○作品の汚れを防ぐために周囲の整理整とんに留 意するように促す。 ○インクの交流が滞らないように、スタンプパッド を複数準備する。(☆3.4) ○汚れたり、制作が終わらなかった場合は布を切り 落としてバランスをとって完成を促す。 ※家の人に見てもらい、感想を聞いてくる。 ・様相観察 ・ワークシー ト ・自分なりに 美 し さ や よ さ を 見 つ け る こ と が で きる。④ 9 ①紋様でこだわったこと ②制作でこだわったこと ○鑑賞の視点を持つことができるように、表現の意 図を大切に聞くように促す。(☆4) ●ふるさと再発見!◯◯の伝統工芸に学ぼう ●「わたし」を表すオリジナル紋様をつくろう。 【本時】 ●彫る角度に気を付けて、刀を生かして版を彫ろう ●構成の要素をとりいれて手ぬぐい全体の文様を構成しよう。 ●制作過程を予想して印刷の準備をしよう。 ●色のバランスに気をつけて、心をこめて制作しよう。 ●お互いの作品の美しさやよさを見つけて交流しよう。
☆1 「めあて」「まとめ」の提示の工夫 ☆2 教材提示の工夫☆3 交流活動の工夫 ☆4 学習形態の工夫 ☆5 その他 6.本時の指導観 〇本時は、単元の2次にあたり、「わたし」から発想したオリジナル紋様を考えてつくる発想段階に あたる。発想がなかなか浮かばなかったり、よいと思っても制作が物理的に困難であったりと、条 件に当てはまる考えが見つからずに時間ばかりが過ぎていく段階でもある。 そこで、発想を拡げるために、「わたし」について班員の意見からヒントをつかむことができるよ うに、くるくるシートを活用する。また、子どもたちが「欲しい」情報をつかむことができるよう に、活動条件をつけた、ミツバチ作戦を展開する。また、制作のイメージを持ちやすいように、カ ーボン紙を使って、インスタント紋様制作の時間を設定する。教師が思いつかない「子どもたちな らでは」の発想を共有し、そこから新しい発想を引き出しながら指導にあたりたい。 7.本時 ◯年 〇月〇日(○)○限目 於:美術室 本時の主眼 ○「わたし」から発想した形を単純化したり省略したりして紋様を考えることができる。 ○材料や道具の特性を生かして、紋様の試作品をつくることができる。 学習活動の流れ 指導上の留意点 形 態 配時 1.本時めあてと学習活動の確認を する。 2.条件を確認し、制作の見通しを 持つ。 ・三角形の回転対称なので、文字は 裏返しになるところがある。 ・ゴム版を彫って印刷するのだな。 ・デフォルメしないと、細かい所は 彫るのが大変かも。 ○前回の学習内容をふり返るために班ボードを提示 する。 ○制作の見通しを持つことができるように、条件 「わたしを表す」「オリジナル紋様」の具体例を提示 する。(☆1めあての下に板書、提示する) ・紋様が三角形の回転体(六角形)になるので、つく りにくいモチーフもあること ・形の単純化や省略(デフォルメ)が紋様の美しさだ けではなく、ゴム版の彫り易さにつながること 一 斉 10 3.「わたし」を表すための材料を探 そう。 ・名前(文字)好きなもの、部活等 から考えてみよう。 ・個人 →班員と交流→ 個人 4.文字や物の形をもとに・カーボ ン紙を使って紋様を描いてみよ う。 ・とりあえず何かつくって、作品の イメージをつかもう。 ・他のモチーフでもつくってみよう。 ○アイディアを拡げたりよさを共有したりするため に、個人から班や学級で意見交換を設ける。 (☆3くるくるシート:ワークシートを回して他者の アイディアを知る。自分の考えを伝える) ☆4ミツバチ作戦:班代表が必要な情報を集めて回 り、班員に伝える) ○作品のイメージや制作の見通しを持ちやすくする ためにインスタント紋様制作タイムを設ける。 ・基本枠とカーボン紙を配布する。 ・制作を実演し、スクリーンに投影する。 ・参考作品を提示する。(☆2投影機) ○個々の意欲や制作過程に合わせて、個別に指導をす る。 個 人 / 小 集 団 / 個 人 15 15 5.活動をふり返り、考えた紋様に ついて班で交流する。 ・○○さんらしいね。他の人が考え ていないアイディアだな。同じモ チ ー フ で も い ろ い ろ 形 が 違 う ね・・・など。 6.今日の記録をして後かたづけを する。 ○班で作品を回して、ここが「いいね」を具体的に話 すように促す。(☆3くるくるシート) ・今次の成果を認め、次回の参考になることを班で確 認し、共有する。 ○次時の制作意欲につなぐことができるように、今日 努力したところや次の時間に力を入れようと思う ことを記録するように促す。 班 / 個 人 / 一 斉 10 ●「わたし」を表すオリジナル紋様をつくろう。 (試作)