• 検索結果がありません。

バナナペーパーによる環境問題と貧困問題の解決

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "バナナペーパーによる環境問題と貧困問題の解決"

Copied!
15
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1

卒業研究論文

バナナペーパーによる環境問題と貧困問題の解決

[キーワード]

バナナペーパー、SDGs、途上国、フェアトレード、環境、貧困

東京都市大学

環境学部 環境マネジメント学科 枝廣淳子研究室

学籍番号 1362017 上野茉友子

(2)

2

謝辞

本研究論文を行うにあたって多くの方に支えられ書き上げることができました。この場をお借りして 深く御礼申し上げます。 2 年間熱心にご指導ご鞭撻を賜わりました、枝廣淳子教授には心から御礼申し上げます。研究テーマ の選定段階から卒業研究計画書の作成,卒業論文の執筆に至るまで大変お世話になりました。このよう な論文を執筆することができ心より感謝しています。最後まで大変丁寧にご指導いただいたこと深く御 礼申し上げます。 また、株式会社ワンプラネット・カフェの代表取締役社長であるエクベリ聡子様、取締役&環境マネ ージャーであるペオ・エクベリ様、株式会社山櫻のマーケティング部門兼セールス部門部長である高崎 啓介様、株式会社シール堂印刷の販売部ゼネラルマネージャーである横沢良宏様、貴重な時間を割いて インタビューでの聞き取り調査を引き受けてくださったおかげです。協力していただいた皆様へ心から 感謝の気持ちと御礼を申し上げます。アンケート調査にも多くの方にご協力いただいだきました。どう もありがとうございました。 以上拙い文章ではありますが、この場を借りて改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。 2017 年 1 月 30 日 上野茉友子

(3)

3

目次

謝辞 ... 2

第 1 章 はじめに ... 4

1.1 研究背景 ... 4

1.2 研究目的 ... 5

1.3 研究方法 ... 5

第 2 章 本論 1(インタビューより) ... 5

2.1 バナナペーパーの現状 ... 5

2.2 アフリカ(ザンビア)の現状 ... 6

2.3 株式会社ワンプラネット・カフェの取り組み ... 7

第 3 章 本論 2(アンケート調査より) ... 10

3.1 研究方法 ... 10

3.2 研究結果 ... 10

第 4 章 考察 ... 13

第 5 章 提案 ... 13

参考文献 ... 14

(4)

4

第 1 章 はじめに

1.1 研究背景 今日、世界では環境問題、社会問題がともに注目されている。開発アジェンダの節目の年、2015 年の 9 月にニューヨーク国連本部において、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150 を超える加盟 国首脳の参加のもと、その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 ア ジェンダ」が採択された。アジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目 標をかかげ、この目標が、ミレニアム開発目標(MDGs)の後継であり、17 の目標と 169 のターゲットか らなる「持続可能な開発目標(SDGs)」である。 SDGsでも挙げられている解決すべき目標の一つに森林伐採の問題がある(目標 15)。環境省によると、 「世界の森林面積は約 40.3 億ヘクタールで、全陸地面積の約 31%を占めている。しかし、世界の森林は 減少を続けており、毎年 520 万ヘクタールが減少している(2000 年から 2010 年までの平均)。特に、南 アメリカ、アフリカなどの熱帯の森林を中心に、減少面積が大きくなっている。一方、中国やインド、 ベトナムを中心とした温帯林では、森林面積が増加している国も見られ、森林面積の増加と減少には、 地域的な偏りが見られる。 国別にみると、2000 年から 2010 年までの間に森林の減少が大きかったのは、ブラジル、オーストラ リア、インドネシア、ナイジェリアなどである。このうち、オーストラリアの減少は、2000 年以降の深 刻な干ばつや森林火災などが原因であるが、その他の国では農地への転用や薪の過剰採取などが原因で ある。一方、温帯地域の中国やインド、ベトナムなどのように、植林活動が活発なため森林面積が増加 している国も見られる。」森に住む絶滅危惧種の減少、生態系破壊などさまざまな環境問題が起きてい る。 その原因の一つは紙の使用である。株式会社ワンプラネット・カフェよると「世界で使用されている 紙の量は、毎日 100 万トンと言われており、その中の約 90%は「木」を主原料としている。」そのため、 森から 1 日に 50 種類ほどの動物や生き物がいなくなり、日本の面積の約 3 分の 1 の森林が毎年減って いる。植林やリサイクルペーパーなどを行っているが追いついていないのが現状である。 また、社会問題の一つに貧困問題が挙げられるが、この解決は SDGs目標 4 に属する。特定非営利活 動法人ワールド・ビジョン・ジャパンによると「現在世界では 5,700 万人の子供達が学校へ通えないと いう状態である。そもそも学校が近くに無かったり、あっても先生がいない。水汲みに何時間も費やさ なければならない。女の子だから。家計が苦しい。保護者が勉強より労働を優先させる。健康でない。 紛争の影響があり平和でない、など様々な理由がある。」 森林伐採問題と貧困問題の両方の問題にアプローチするものとして、バナナペーパーが挙げられる。 森嶋紘史

バナナ・ペーパー―持続する地球環境への提案

によると、「バナナペーパーとは、熱帯・ 亜熱帯地方の途上国で生産されているバナナの生産廃棄物「茎」を原料につくる紙で質の高いエシカル な紙である。バナナの茎には巨大な葉や果実を支えていた強靭な繊維分が含まれているが、今まではそ れはゴミとして捨てられていた。ところが、視点を変えれば、廃棄物は新たな産業資源となり、途上国 の経済的自立と環境再生を可能にする。」バナナペーパーの環境面での利点として、バナナペーパーを 作る際に木を切らずにすむため、森林や生物多様性を守ることが挙げられる。バナナの茎の再生は 1 年 であるのに対し、一般の木は 10 年~30 年かかるからである。また、森林伐採を防ぐことで絶滅危惧種 の生息地を保護し、密猟者を減らす。また社会的な利点としては、村の人々に雇用を生み出し、貧困問 題の解決に繋がる。実際に株式会社ワンプラネット・カフェのバナナペーパーの原産地であるアフリカ

(5)

5 のザンビアの村ではバナナペーパーの収入のよって子供達の学費をまかなったり、電気のない家にソー ラーランプを設置したり、マラリア予防になる蚊帳を設置した事例がある。 1.2 研究目的 日本でも少しずつフェアトレードのコーヒーやチョコレート、洋服などを目にする機会が増え、ファ ーストフード、ファーストファッションからの転換が期待されている。しかし、フェアトレードの紙は、 世界でもまだほとんど見つけることができない。株式会社ワンプラネット・カフェが協力するザンビア で作られるバナナペーパーは 2016 年 10 月 6 日に WFTO(世界フェアトレード機関 :World Fair Trade Organization)認証を取得した。本研究では株式会社ワンプラネット・カフェでのインタビューや学生 含む一般の方・企業へのアンケート調査を行い、現状を知ってもらい、理解してもらい、今後積極的に 企業の中でのバナナペーパーの利用や事業として行ってもらえるように提案することを目的とする。 1.3 研究方法 本研究ではインタビューとアンケート調査を行った。インタビューは 2016 年 10 月 6 日にバナナペー パーにおいて WFTO(世界フェアトレード機関 :World Fair Trade Organization)認証を取得した株式 会社ワンプラネット・カフェの代表取締役社長であるエクベリ聡子様、取締役&環境マネージャーであ るペオ・エクベリ様に行い、バナナペーパーの現状と具体的な取り組みや考え方をお聞きした。また、 ワンプラネット・ペーパー®協議会の正会員様である株式会社山櫻のマーケティング部門兼セールス部 門部長である高崎啓介様、株式会社シール堂印刷の販売部ゼネラルマネージャーである横沢良宏様にも 具体的な取り組みや意見をお聞きした。 また、アンケート調査は“バナナペーパーの認知度”をテーマに学生と企業それぞれに行い、学生 80 人、企業で働いている方 20 人を対象に行った。企業のアンケートは社会的な問題に関心が高い層の方 を中心に調査した。一般的なバナナペーパーの認知度が低いと予想されたので、バナナペーパーを知っ ている人の意見を知りたかったためである。

第 2 章 本論 1(インタビューより)

2.1 バナナペーパーの現状 インタビューでは、バナナペーパーの現状と具体的な取り組みや考え方についてお聞きした。 バナナは世界の約 125 ヶ国で栽培されている。バナナの収穫時には、次の新たな果実が育つため、古 い茎を切らなければならない。切った茎は 1 年以内に再生し、新しいバナナが育つ。バナナの茎の繊維 は、紙の原料となる「パルプ」を作るのに適している。紙の最も大事な原料の一つは繊維(ファイバー) であり、普通の木からできた紙の繊維は長さが約 1 ミリ。バナナペーパーの繊維は長さが 1 メートルほ どである。そのため、バナナペーパーは強度に優れ、火や水に強く、質がとても良い。しかし、すべて のバナナ畑から作られるバナナペーパーが環境に優しく、良い訳ではない。多くのバナナ畑には農薬を 使うので化学物質が含まれている。ここで大切になってくるのは、オーガニックのバナナ畑から作られ ているということである。株式会社ワンプラネット・カフェのペオ・エクベリ様は最初から環境に優し いではなく、環境に正しいことをやりたかったと述べた。 バナナペーパーは、通常の「木の紙」と比べて、以下のようなたくさんの利点がある。 ◦貧困を減らす

(6)

6 ◦環境循環 ◦再生が早い(木の成長は 10~30 年バナナの茎は 1 年以内) ◦森を守る(木を切らなくてよい) ◦絶滅危惧種を含む生物多様性を守る ◦水不足や砂漠化を防ぐ ◦省エネ、節水(木を使った紙と比べ、約半分の工程でできる) →一般の紙は 17 段階の工程があるのに対し、バナナペーパーは 7 段階の工程で済む。 一方で、デメリットもある。やはり、価格が高いことである。現在は、小規模でやっているので消費 者が少ないということもある。 また、SDGsは 17 個の目標があるが、バナナペーパーは SDGsのすべての目標を含む商品である。 出典・参照:国際連合広報センター 例えば、目標 4 の「質の高い教育をみんなに」は、実際にバナナペーパーの収入によって子どもた ちだけに限らず、大人向けの教室も提供された。また、バナナペーパーは実際に木を切らないで作る ので目標 15 の「陸の豊かさも守ろう」に当てはまるのではないか。 2.2 アフリカ(ザンビア)の現状 株式会社ワンプラネット・カフェが協力しているザンビアのエンフウェ村では、元々貧困層であり、 生活費のため、家族のために密猟を行ったり、違法で森林伐採を行うなど様々な問題が起きている。ま た、大きな病院は 70km 先にしかない。多くの動物や生き物が棲むザンビアではこれらの問題により、例 えば、象が 15 年で 50%いなくなった。これらの問題を改善するため、2007 年から村の人々の教育支援、 職業スキル研修などを行い、一定の成果は出ていたが、村での雇用機会は非常に限られていた。より直 接的に雇用を生み出す事業ができないかと探していたところ、バナナの繊維から紙ができるということ を知ったと株式会社ワンプラネット・カフェのペオ・エクベリ様は述べた。 また、ザンビアの平均寿命は 55 歳であり、貧困であることが原因とされている。安全な飲み水や栄 養のある食事が手に入りにくいこと、病気になっても病院に行けないことなどが挙げられる。また、ア

(7)

7 フリカでは女性の 40%以上が基礎教育を受けられず、3 千万人の子どもたちが学校にいけない。バナナ ペーパーを利用することで現地に雇用を生み、貧困解決につなげることができる。 出展・参照:国連ミレニアム開発目標報告 2013 図 1.初等教育就学年齢の非就学児童数、1990 年、2000 年、2005 年および 2011 年の比較(単位:100 万人) 外務省によると、1990 年から 2011 年にかけて初等教育就学年齢の非就学児童数は減少しているが、 図 1 から分かるようにサハラ以南アフリカ地域では差が見られない。 2.3 株式会社ワンプラネット・カフェの取り組み 現在、株式会社ワンプラネット・カフェで扱うバナナペーパーは日本が誇る和紙技術を取り入れ、や わらかい風合いの美しいバナナペーパーであり、“Made in Japan”ではなく、“Made with Japan”であ る。日本の伝統的な知恵と技術で、よりよい世界をつくることを大切にしている。 国連の「サステナビ リティ(環境、経済、社会のバランスが取れた発展)」の定義に基づき、「一本の木も切らずに、環境と 貧困問題を同時に解決し、先進国でも使うことができる質の高い紙」を提供している。

“Made with Japan”とは以下のような仕組みである。まず、ザンビアでは以下の 6 つの分野、工程が 行われる。そして、日本ではザンビアから送られてきたバナナの繊維を元に紙を作る作業が行われる。 【in Zambia】 【in Japan】 また、現在バナナペーパーの商品としてこのようなものがある。 紙 | 名刺 | ノート | スケッチブック | 証書 | カード | マスキングテープ | シール | ワインラ オーガニック バナナ畑 バナナ 枝・茎 繊維取り 乾かす 計る、送る パルプ作り 古紙を加える バナナペーパーの誕生

(8)

8 ベル | ペーパークラフト | 包装&容器 | バナナボールペン | 封筒 | ファイル | 3D メモパッド 東京芸術大学で初めて卒業証書としてバナナペーパーが使用され、現在ではバナナペーパーを取り入 れられている高校や大学が増えている。また、化粧品や石鹸を扱う LUSH では限定商品のパッケージと してバナナペーパーが使用されている。現在は限定商品にだけ使用しているが、今後増えることも考え られる。また、TOYOTA の一部の書類にバナナペーパーが使用されている。 株式会社ワンプラネット・カフェでは紙製品メーカー、印刷会社と共同でワンプラネット・ペーパー ®協議会として、アフリカの貧困層の村に雇用を生み出し、現地の人々の自立を支えるバナナペーパー 「ワンプラネット・ペーパー®」の普及を推進している。また、フェアトレードや環境と社会に配慮した 紙に関する研究、意識啓発を行っている。 主な活動としては、3 つある。まず 1 つ目はワンプラネット・ペーパー®の普及・広報活動。次に 2 つ 目は環境・社会課題やフェアトレード、エシカル購入等に関する世界の動きと、持続可能な紙や企業活 動についての研究、情報発信。最後に 3 つ目は商品企画、営業活動における恊働である。 “環境と社会に価値を生み出す、持続可能な紙事業、紙産業を実現する”をビジョンに、“パートナー シップによる客観性、積極的な影響力、発信力を活かして、フェアトレード精神にのっとり社会と環境 へ価値を生み出す「紙以上の紙」を追求し、社会に広げる”ことをミッションに、カワセ印刷株式会社、 株式会社クラサワ、株式会社河内、寿堂紙製品工業株式会社、株式会社シール堂印刷、株式会社ジェら -トアイらンド、合資会社髙田商会、有限会社成瀬印刷、丸吉日新堂印刷株式会社、ミヤザワ株式会社、 株式会社山崎文栄堂、株式会社山櫻の計 12 社と共に活動している。 以上の様々な取り組みから株式会社ワンプラネット・カフェのワンプラネット・ペーパー® は、環境 問題と貧困問題に同時にアプローチするフェアトレード紙として、2016 年 10 月に WFTO 認証を取得し た。これは、紙のフェアトレード商品としては日本で初めてである。フェアトレードとは、発展途上国 で作られた原料や製品を適才な価格で継続的に購入することにより、製品を作る人の健康と経済、環境 保全を支援する「公平な貿易」を実施する仕組みである。

(9)

9 出展・参照:「山櫻のフェアトレード製品 バナナペーパー冊子より」 WFTO 認証は、サステナビリティの全ての柱である社会、環境、ガバナンスに関する 10 の指針と約 100 の基準をクリアした団体に与えられる、第三者認証のラベルである。適切な労働条件、正当な賃金や支 払い、児童労働の禁止、オーガニックやグリーン電力など環境配慮がされていることを示す。フェアト レード取り組みの例として以下のようなことが挙げられる。 ・関わっている村の人々が、貧困を乗り超えるためのフェアな収入を得る ・児童労働の禁止、子どもが仕事に就くのではなく学校へ行くための支援 ・現地での環境と健康の教育の実施 ・男女の同等の労働に対し、平等な対価を支払う ・雇用は人種や社会階級、国籍、宗教など、あらゆる面において一切の差別をしない (例えば、半分が女性、多様な宗教、幅広い年齢層であること) ・生産者が社会的・経済的・環境的に健全な生活ができるよう配慮して取引し、利益のみを優先するこ とはない ・環境循環型のエネルギー・リサイクル・CO2 削減・野生動物保護・オーガニックな取り組みを積極的 に導入する (グリーン電力使用 (風力・水力) 、ゴミや CO2 削減の明確な方針を設定、カーボンオフセット運搬(繊 維)の CarbonNeutral Company 証書 などを実行し、環境循環型取り組みを事業全体に統合する) ・販売する商品(紙)の売り上げの一部を村に還元し、持続可能な発展のためのプロジェクトを支える (小学校を卒業していない大人向けの教室を提供している) また、以上の取り組みにより株式会社ワンプラネット・カフェが協力しているザンビアのエンフウェ 村では以下のような結果がでている。 ・41 人のオーガニック農家からの仕入れ ・ザンビアに作った工場にきれいな水をとれる井戸を作り、毎朝周りの村の人たちに無料で提供出来る ようになった 労働 購入 ・適正な賃金 ・安全で健康的な 労働条件 ・児童労働禁止 ・教育支援 製品の供給

(10)

10 ・23 人の女性と男性の雇用 ・150 人以上の子供の教育の支え ・500 人以上の村の人々の支え(例えば、マラリア予防になる蚊帳の設置やソーラーランプの設置)

第 3 章 本論 2(アンケート調査より)

3.1 研究方法 今回はバナナペーパーの“認知度”に関するアンケート調査を行った。このアンケートでは表 1、表 2 の質問をした。調査を行った対象は表 1 では 4 年制大学に通う学生 80 名(1 年生 20 名、2 年生 20 名、 3 年生 20 名、4 年生 20 名)、表 2 では環境 CSR をテーマとした異業種勉強会に参加された企業の方 20 名である。企業のアンケートは社会的な問題に関心が高い層の方を中心に調査した。一般的なバナナペ ーパーの認知度が低いと予想されたので、バナナペーパーを知っている人の意見を知りたかったためで ある。 表 1 バナナペーパーに関するアンケート(学生) Q1.“フェアトレード”という言葉を知っているか Q2.知っているフェアトレード商品の種類は何か Q3.バナナペーパーを知っているか Q4.バナナペーパーをどこで知ったか Q5.バナナペーパーを使用したことがあるか Q6.バナナペーパーをどのような目的で使用したか 表 2 バナナペーパーに関するアンケート(企業) Q1.“フェアトレード”という言葉を知っているか Q2.知っているフェアトレード商品の種類は何か Q3.バナナペーパーを知っているか Q4.バナナペーパーをどこで知ったか Q5.バナナペーパーを使用したことがあるか Q6. ビジネスの選択肢として、バナナペーパーを使用することが可能であれば、使用し たいか Q7. バナナペーパーのビジネスでの使用を妨げる理由にはどのようなものがあると思う か 3.2 研究結果 今回のアンケート調査で分かったことは、主に 3 点である。

(11)

11 図 2. “フェアトレード”という言葉を知っているかの割合 図 3. バナナペーパーを知っているかの割合 まず 1 つ目に、 図 2 から分かるように、“フェアトレード”という言葉を知っている人は学生が約 68%、企業が 95%に対し、図 3 から分かるように、バナナペーパーを知っている人は学生が約 8%、企 業が 40%と低かった。 図 4. 知っているフェアトレード商品の各割合 2 つ目に、 図 4 から分かるように、学生・企業ともに約 65%の人が知っているフェアトレード商品 として挙げたものが、チョコレートやコーヒー豆であり、バナナペーパーを含むそれ以外の商品は認知 度が低かった。 (A) 学生 (A) 学生 (B)企業 (A) 学生 (B)企業 (B)企業

(12)

12 図 5. ビジネスにおいてバナナペーパーを使用したいか 図 6. ビジネスでの使用を妨げる理由 最後 3 つ目に、図 5 から分かるように、企業の半数がビジネスの中でバナナペーパーを利用したいと 感じている。しかし、図 6 から分かるように、ビジネスでの使用を妨げる理由として“コストがかかる” という回答が一番多く、バナナペーパー使用を妨げている。 以上の結果から以下のように分析した。 まず 1 つ目の結果から、“フェアトレード”という言葉に対して“バナナペーパー”の認知度が低い 理由としては、バナナペーパーがフェアトレード認証を取得したのが最近であるからだと思われる。 バナナペーパーは 2016 年 10 月に紙のフェアトレード商品として初めて認証された。 そして 2 つ目の結果から、チョコレートやコーヒー豆のフェアトレード商品を知っている人が多い 理由としては、スターバックスやスーパーで簡単に購入できることが理由であると考えられる。スタ ーバックスによると、「スターバックスは世界の 24 ヵ国において、国際フェアトレード認証ラベル推 進組織と提携している。」 最後に 3 つ目の結果から、ビジネスでの使用を妨げる理由として、“コストがかかる”という回答が 多かったが、バナナペーパーをビジネスとしている株式会ワンプラネット・カフェの方も認識してい たことであった。また、調査から“環境省等官庁からの仕事は報告書に使用する紙を規定している。 そこに合致するようになっていれば使いやすい。”という意見もあった。そのため、環境省に追加調査 として、環境省の用紙規格について問い合わせた。 環境省によると、紙類においての基準が以下のように定められている。 「『印刷用紙』

(13)

13 塗工されていない印刷用紙、塗工されている印刷用紙 【判断の基準】 ①次のいずれかの要件を満たすこと。ア.塗工されていないものにあっては、古紙パル プ配合率、森林認 証材パルプ利用割合、間伐材等パルプ利用割合、その他の持続可 能性を目指した原 料の調達方針に基づいて使用するパルプ利用割合及び白色度を備考5の算定式により総合的に評価し た総合評価 値が 80 以上であること。イ.塗工されているものにあっては、古紙パルプ配合率、森林認 証 材パルプ利用割合、間伐材等パルプ利用割合、その他の持続可能性を目指した原料の調達方針に基 づいて使用するパルプ利用割合及び塗工量を備考5の算定式により総合的に評価した総合評価値 が 80 以上であること。 ②バージンパルプが使用される場合にあっては、その原料の原木は、伐採に当たっ て、原木の生産された国又は地域における森林に関する法令に照らして手続が適切になされたものであ ること。ただし、間伐材により製造されたバージンパルプ及び合板・製材工場から発生する端材、林地 残材・小径木等の再生資源により製造されたバージンパルプには適用しない。③製品の総合評価値及び その内訳(指標項目ごとの、指標値又は加算値、及び評価値)がウエブサイト等で容易に確認できるこ と。④再生利用しにくい加工が施されていないこと。 【配慮事項】 ①古紙パルプ配合率が可能な限り高いものであること。 ②バージンパルプが原料として 使用される場合にあっては、原料とさ れる原木は持続可能な森林経営が営まれている森林から産出さ れた ものであること。また、森林認証材パルプ及び間伐材等パルプの利 用割合が可能な限り高いもの であること。 ③製品の包装又は梱包は、可能な限り簡易であって、再生利用の容易さ及び廃棄時の負荷 低減に配慮されていること。」 バナナペーパーは配慮事項の「①古紙パルプ配合率が可能な限り高いものであること」などの要件に 該当していないのではないかと考えた。

第 4 章 考察

以上、アンケートと聞き取り調査から、多くの企業で扱う報告書の仕様は環境省においてはグリーン 購入法第 6 条に基づき「環境物品等の調達の推進に関する基本方針(平成 28 年 2 月 2 日閣議決定)」 が定められていることが分かった。国等の機関が特に重点的に調達を推進する環境物品等の種類である 特定調達品目及びその判断の基準についても規定している。グリーン購入規格に申請審査して適応商品 と認定されたものを積極的に使う仕組みであり、現在は再生コピー用紙などが該当し、バナナペーパー はまだ登録されていない。判断の基準に基づいて、企業は報告書に使用する紙を選択する。よって、今 後使用されるためには基準にバナナペーパーを取り入れることが大切となってくる。グリーン購入法は 柔軟であるため、今後採用することは可能であると株式会社山櫻の高崎啓介様と環境省は述べた。 また、現在輸入方法が飛行機であることや認知度が低いことからコストが高い傾向にあるが、今後船 での輸入や生産の増加によってコストが下がるのではないかと考える。コストやグリーン購入法での扱 いの改善が今後使いやすくなる方法ではないかと考える。

第 5 章 提案

今回の調査の結果を受け、学生や一般の方、企業がバナナペーパーを使用することによる環境や貧困 の改善戦略を考案した。バナナペーパーを広めるためのキーポイントが 2 つある。 まず、学生や一般の方、企業が気軽に使用することが出来るようになるためには “見える化”するこ とである。“見える化”するための具体例を 3 つ挙げる。まず 1 つ目は、チョコレートやコーヒー豆の

(14)

14 フェアトレード商品のように店舗での販売を出来るようなシステムを作ることである。今回の調査から フェアトレード商品の中でもチョコレートやコーヒー豆を知っている人がほとんどであった。この 2 つ の商品に関してはスターバックスやスーパーで購入できるという特徴がある。やはり、一般の方が日常 的に使用する施設で商品を扱うことで、自然と目に留まり認知度も高くなる傾向にある。なので、例え ばスーパーの生活用品のコーナーに置いてみる、家電量販店のプリンターのコーナーでアクセサリー商 品として置いてみるなど挙げられる。 2 つ目は、学生の教材にテーマとして取り上げることである。例えば、高校生の英語の教材ではある 物や事をテーマとして取り上げ、それと同時に英語を学ぶ。その際に知るきっかけにもなる。私自身も 高校生の時に教材を通して初めて見るもの、初めて知ることが多かったように感じた。そこから、興味 を持ち始める人が多くなり、認知度も高くなるのではないかと考える。 そして 3 つ目は、ビジネスカルチャーでもある名刺にバナナペーパーを取り入れることから始めてみ るのが良いのではないかと考える。名刺を一部変えることだけでも子供達の学費をまかなう、電気のな い家にソーラーランプを設置する、マラリア予防になる蚊帳を設置する等、村の人々の生活や環境問題 にも貢献できる。また、現在一部の企業では包装紙などにも取り入れている。このようにきっかけを創 ることでバナナペーパーについて更に知り、バナナペーパーを使ってみようと考える企業も増えるので はないかと思う。以上の 3 点のような“見える化”をすることで認知度が高まるのではないか。 また、最終的に多くの企業でも扱う報告書にバナナペーパーを使用出来るようになると良く、大きな 効果が得られるのではないかと考える。現在は再生コピー用紙などが該当し、バナナペーパーはまだ登 録されていない。しかし、グリーン購入法では特定調達品目及びその判断の基準等について製品等の開 発・普及の状況や科学的知見の充実等に応じて適宜見なおしを行なっている。そこで、今後バナナペー パーを報告書に使用出来るようにするために、バナナペーパーをグリーン購入規格適用商品として提案 することが良いのではないか。 今後バナナペーパーの認知度や使用度を高めるために“見える化”すること、グリーン購入規格適用 商品として提案すること、以上の 2 点を提案する。

参考文献

[1] 環境省「国際的な森林保全対策」http://www.env.go.jp/nature/shinrin/index_1.html [2] 株式会社ワンプラネット・カフェ「バナナペーパーの利点」http://oneplanetcafe.com/paper/ [3] 国 際 連 合 広 報 セ ン タ ー 「 2030 ア ジ ェ ン ダ 」 http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/20 30agenda/ [4] 特 定 非 営 利 活 動 法 人 ワ ー ル ド ・ ビ ジ ョ ン ・ ジ ャ パ ン 「 教 育 」 https://www.worldvision.jp/children/education.html [5] ス タ ー バ ッ ク ス 「 コ ー ヒ ー 生 産 地 へ の 支 援 」 http://www.starbucks.co.jp/responsibility/ethicalsourcing/support.html [6] 環 境 省 「 環 境 物 品 等 の 調 達 の 推 進 に 関 す る 基 本 方 針 」 http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/g-law/archive/bp/h28bp.pdf [7] 国際連合広報センター「SDGs のロゴ」http://www.unic.or.jp/files/sdg_logo_ja.pdf [8] 森嶋紘史『バナナ・ペーパー―持続する地球環境への提案』(鹿島出版会、2005 年)

(15)

15

[9] 外 務 省 「 国 連 ミ レ ニ ア ム 開 発 目 標 報 告 2013 」 http://www.unic.or.jp/files/MDG_Report_2013_JP.pdf

参照

関連したドキュメント

うことが出来ると思う。それは解釈問題は,文の前後の文脈から判浙して何んとか解決出 来るが,

(質問者 1) 同じく視覚の問題ですけど我々は脳の約 3 分の 1

目的 今日,青年期における疲労の訴えが問題視されている。特に慢性疲労は,慢性疲労症候群

強者と弱者として階級化されるジェンダーと民族問題について論じた。明治20年代の日本はアジア

世界レベルでプラスチック廃棄物が問題となっている。世界におけるプラスチック生 産量の増加に従い、一次プラスチック廃棄物の発生量も 1950 年から

けることには問題はないであろう︒

とりわけ、プラスチック製容器包装については、国際的に危機意識が高まっている 海洋プラスチックの環境汚染問題を背景に、国の「プラスチック資源循環戦略」 (令和 元年

2013