1 ▲ アミノ酸とペプチド 1 アミノ酸の構造 その名の通り、アミノ酸はアミノ基がついた酸(カルボン酸) である。たんぱく質中では 20 種類のアミノ酸が見出されている が、いずれもα位の炭素にアミノ基が置換されているα-アミノ酸 である。今後はαは省略する。 R の部分(側鎖)に塩基性部分を持つ塩基性アミノ酸、酸性部分を持つ酸性アミノ酸、塩基性部分も酸性部分も持たな い中性アミノ酸の3つに分けられる。 R=-H のグリシン以外はアラニン誘導体 R=―C- となっている。また、グリシンを除いてアミノ酸のα炭素は丌 斉炭素である。そのため、グリシン以外のアミノ酸は光学異性体を持つ。2 つの光学異性体を D 体、L 体と区別するこ とがあるが、天然に存在するアミノ酸はいずれも L 体である。
H
2C
COOH
H
2C
H
2C
α β γH
C
COOH
H
2N
R
α-アミノ酸 H2N CH COOH H H2N CH COOH CH3 H2N CH COOH CH CH3 CH3 H2N CH COOH CH2 CH CH3 CH3 H2N CH COOH CH CH2 CH3 CH3 HN CH COOH CH2 CH2 H2C H2N CH COOH CH2OH H2N CH COOH CH CH3 OH H2N CH COOH CH2 CONH2 H2N CH COOH CH2 CH2 CONH2 H2N CH COOH CH2 H2N CH COOH CH2 OH H2N CH COOH CH2 N H[1] 中性アミノ酸
① 脂肪族 グリシン アラニン バリン ロイシン イソロイシン プロリン ② 脂肪族+水酸基OH セリン トレオニン ③ 脂肪族+アミドCONH2 アスパラギン グルタミン ④ 芳香族 フェニルアラニン チロシン トリプトファンアミノ酸・ペプチド 2 H2N CH COOH H H2N CH COOH CH3 H2N CH COOH CH CH3 CH3 H2N CH COOH CH2 CH CH3 CH3 H2N CH COOH CH CH2 CH3 CH3 HN CH COOH CH2 CH2 H2C H2N CH COOH CH2OH H2N CH COOH CH CH3 OH H2N CH COOH CH2 CONH2 H2N CH COOH CH2 CH2 CONH2 H2N CH COOH CH2 H2N CH COOH CH2 OH H2N CH COOH CH2 N H
[1] 中性アミノ酸
① 脂肪族 グリシン アラニン バリン ロイシン イソロイシン プロリン ② 脂肪族+水酸基OH セリン トレオニン ③ 脂肪族+アミドCONH2 アスパラギン グルタミン ④ 芳香族 フェニルアラニン チロシン トリプトファン H2N CH COOH CH2 CH2 S CH3 H2N CH COOH CH2 SH ⑤ Sを含むもの メチオニン システイン H2N CH COOH CH2 CH2 CH2 CH2 NH2 H2N CH COOH CH2 CH2 CH2 NH C NH H2N H2N CH COOH CH2 N NH H2N CH COOH CH2 COOH H2N CH COOH CH2 CH2 COOH[2] 塩基性アミノ酸:側鎖にーNH
2を持つもの
[3] 酸性アミノ酸:側鎖にーCOOHを持つもの
ここのNが塩基性 アスパラギン酸 グルタミン酸 リシン アルギニン ヒスチジン 人は体の中でアミノ酸を合成する。20 種のうち、12 種は合成できるが8種が合成できず、食物源から取らないといけ ない。それらのアミノ酸を必須アミノ酸という。 イソロイシン、トレオニン、フェニルアラニン、メチオニン、バリン、トリプトファン、ロイシン、リシン (糸踏めば、トロリ)3 2 アミノ酸の呈色反応 ① ニンヒドリン反応 アミノ酸にニンヒドリンを作用させると赤紫~青色に呈する。 O O OH OH H2N CH COOH R O O N O O ニンヒドリン 青紫色の化合物 ※ プロリンは黄色に呈する ② キサントプロテイン反応 チロシン、フェニルアラニンなどのベンゼン環を持つアミノ酸は濃硝酸中を加えて加熱するとたんぱく質に濃硝酸を 加えて加熱すると、黄色になり冷却後アンモニアなどでアルカリ性にすると橙色になる。この反応をキサントプロテイ ン反応という。これは、ベンゼン環をもつアミノ酸がニトロ化を受けるためである。ほとんどのたんぱく質はこれらの アミノ酸を有するのでたんぱく質の検出反応にもなる。キサントは黄色を意味し、プロテインはたんぱく質を意味する。
H
2N
CH COOH
CH
2OH
H
2N
CH COOH
CH
2OH
NO
2H
2N
CH COOH
CH
2O
NO
2 HNO3 加熱 NH3or NaOH 黄色 橙色 ③ 硫黄反応 システインに NaOH を加え加熱後、酢酸鉛水溶液(CH3COO)2Pb を入れると、PbS の黒色沈殿が生じる。 H2N CH COOH CH2 SH H2N CH COOH CH2 OH OH SH OH (CH3COO)2Pb S2 PbS + 黒色沈殿 メチオニンも S 原子を持つが、硫黄反応の反応速度はめっちゃ遅い。また、ほとんどのたんぱく質はシステインを含む ので、この反応に対して陽性である。3 アミノ酸の縮合 アミノ酸はアミノ基 NH2とカルボキシル基 COOH を持っているので、アセチル化、エステル化をうける。 アミノ酸同士の縮合・・・ペプチドの生成 アミノ酸はアミノ基とカルボキシル基を有するので、アミノ酸同士で縮合できる。アミノ酸同士が縮合したものはペ プチドと呼ばれる。 慣例として、N 末端アミノ酸(アミノ基を持つもの)を左側に、C 末端アミノ酸(カルボキシル基をもつもの)を右側 に書く。 ―CONH-の結合は一般的にアミド結合というが、アミノ酸の縮合の時に限り、ペプチド結合という。アミ ノ酸が2個結合したものをジペプチド、3つではトリペプチド、多数(50 以下)のアミノ酸が結合したものはポリペプ チドという。それ以上大きいものになると通常たんぱく質とよばれる。 4 ビウレット反応 ペプチド結合を2個以上もつもの(すなわちアミノ酸が 3 つ以上くっついたもの)に NaOH+CuSO4aq を加えると赤 紫色に呈色する。この反応をビウレット反応という。アミド結合の N-H は隣にカルボニル基がついているので塩基性下 では H が外れやすい。(わずかに酸性) H がはずれたものが2つ Cu2+に配位して5員環を作り呈色する。 H2N CH COOH R アセチル化 エステル化 無水酢酸 メタノール N CH COOH H C H O CH3 H2N CH C H O O CH3 H2N CH COOH R N CH COOH R H H CH COOH H H2N CH C H O N H
5 N CH C N C CH R O CH O R COOH R H2N NaOH N CH C N C CH R O CH O H H R COOH R H2N CuSO4 N CH C N C CH R O CH O R COOH R H2N Cu2+ 紫色 5 ペプチドのジスルフィド結合 ペプチド中には、2つのシステイン同士から H2がとれてジスルフィド結合するものが存在する。ジスルフィド結合の ことを S-S 結合ともいう。 NH CH CO H2C S NH CH CO CH2 S H H NH CH CO H2C S NH CH CO CH2 S ジスルフィド結合(S-S 結合) 6 アミノ酸の双極構造 アミノ酸は同一分子内にカルボキシル基(酸性基)とアミノ基(塩基性)を持っているので、分子内で酸―塩基反応 を行い双極(双生)イオンとなる。
H
C
COOH
H
2N
R
H
C
COO
H
3N
R
双性イオン アミノ酸は結晶中および水溶液中(pH≒7 付近)で双生イオンの形として存在する。 アミノ酸は酸とも塩基とも反応することができるので緩衝液として働きうる。酸(H+)を入れた時 塩基(OH-)を入れた時 以上より、アミノ酸は酸性溶液中では+の電荷を持った構造となり、塩基性溶液中では-の電荷を持った構造となる。 そして、これらの中間のところ(+の電荷を持った構造と-の電荷を持った構造の濃度が等しいところ)のpH をアミ ノ酸の等電点という。 7 中性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸の水溶液中(pH=7付近)での構造 例 アラニンとアスパラギン酸とリシンの構造の違いを比べる pH=7 付近では、酸性のアミノ酸は全体でマイナス電荷を帯、塩基性のアミノ酸はプラス電荷を帯びることになる。 一般に、 pH=7付近では、酸は H+(プラス)を出して自身は(マイナス)になり、塩基は OH-(マイナス)を出し て自身は(プラス)となっている。例えば、酸(カルボン酸)と塩基(アミン)をそれぞれ水に溶かしたときには以下 のような電離する。 H3N CH COOH R + H+ H3N CH COO R + OH- H3N CH COO R H2N CH COO R + H2O H3N CH COO CH2 COO 「-1」 H3N CH COO CH2 CH2 CH2 CH2 NH3 「+1」 H3N CH COO CH3 「±0」 電荷の合計
R COOH
+ H
2O
R COO
+ H
3O
+R NH
2+
H
2O
R NH
3+
OH
-7 8 電気泳動 7 で学んだように pH=7付近の溶液中では、アスパラギン酸はマイナス「-」電荷をおびていて、リシンはプラス 「+」電荷を帯びている。この特徴を使って、これらのアミノ酸は分離できる。 pH=7 付近でのアラニン、アスパラギン酸、リシンの混合 溶液を下図のように濡らしたろ紙の上に少し滴下する。ろ 紙に電極板をつけて電圧をかけると、電気的にマイナス 「-」を帯びたアスパラギン酸は陽極に、電気的にプラス 「+」を帯びたリシンは陰極に移動する。アラニンは移動 しない。このようにして、電圧をかけてアミノ酸は分離す ることができる。これを電気泳動という。 9 陽イオン交換樹脂を使ったアミノ酸の分離 陽イオン交換樹脂を使ってアミノ酸を分離することを学 ぶ。陽イオン交換樹脂とは、陽イオンを捕まえるものだ と思ってほしい。 カラムに陽イオン交換樹脂をつめて、上からアミノ酸の 混合溶液を入れる。まず、pH=7 のアミノ酸の混合溶液 (酸性アミノ酸、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸)を入 れたとする。このとき陽イオン交換樹脂に塩基性アミノ 酸はつかまる。(7 より塩基性アミノ酸は pH=7 付近で はプラスを帯びている。)一方、アミノ酸の溶液の pH を下げていくと(H+を入れていく)中性アミノ酸もプラスを帯 びるようになり陽イオン交換樹脂につかまり、さらに pH を下げていくと酸性アミノ酸もプラスを帯びることになり陽 電極板 アラニン アスパラギン酸 リシン 電解質溶液で濡らしたろ紙 H3N CH COO CH2 COO 「-1」 H3N CH COO CH2 CH2 CH2 CH2 NH3 「+1」 H3N CH COO CH3 「±0」 電荷の合計 カラム 陽イオン交換樹脂 を拡大 (プラス)が来たら 捕まえるで!
イオン交換樹脂につかまる。以上より、塩基性アミノ酸がまず捕まり、混合溶液の pH を下げていくと次に中性アミノ 酸が捕まり、さらに下げると最後に酸性アミノ酸が捕まることになる。すなわち、pH がかなり低い溶液ではすべて捕 まることになる。一般的には、はじめ pH の低い混合溶液を陽イオン交換樹脂に入れて、少しずつ pH をあげていく。 そうすると酸性アミノ酸がまずはずれ、次に中性アミノ酸、最後に塩基性アミノ酸が外れることになる。 H3N CH COO CH2 COO H3N CH COO CH2 CH2 CH2 CH2 NH3 H3N CH COO CH3 「+1」→ つかまる pH=7 付近 「±0」→ つかまらず 「マイナス1」→ つかまらず H+ pHを下げていく H3N CH COOH CH3 「+1」→ つかまる H3N CH COO CH2 COOH 「±0」→ つかまらず H+ さらにpHを下げていく H3N CH COOH CH2 COOH 「+1」→ つかまる
9 アミノ酸・ペプチド 演習 その 1 1 [07 昭和薬科] タンパク質は,多数の( ア )が脱水縮合した高分子化合物である。( ア )の分子内には酸性を示す( イ )基と塩 基性を示す( ウ )基がある。( ア )の水溶液を酸性にすると( ア )は( エ )イオンになり,塩基性にすると ( オ )イオンになる。このように,正負の電荷をあわせもったイオンを( カ )イオンという。( ア )の水溶液があ る pH になると,正負の電荷がつりあい,全体として電荷が0になる。このときの pH を,その( ア )の( キ )とい う。リシンとグルタミン酸の混合水溶液を試料として,ろ紙電気泳動を行った。図のAの位置に試料を添加し,pHを 7に保って電圧をかけた。電気泳動後,リシンは( ク )の位置に,グルタミン酸は( ケ )の位置に移動した. 1 ( ア )~( キ )に適切な語句を入れなさい。 2 ( ク ),( ケ )は図のA,B,Cのどれか。記号で答えなさい。 3 ( ア )の検出に用いられる呈色反応として,最も適切なものを次から選び,番号で答えなさい。 1.ビウレット反応 2.キサントプロテイン反応 3.ニンヒドリン反応 4.銀鏡反応 2 文中の空欄ア~カに適切な語句を下記から選び、その番号を記せ。 グリシン-アラニン-グルタミン酸-リシン-メチオニン-チロシンの順にペプチド結合している 6 分子のアミノ酸か らなるペプチド A は、タンパク質分解酵素のトリプシンによりペプチド B と C に加水分解された。ペプチド B はビウ レット反応に陰性、キサントプロテイン反応に陽性であり、ペプチド C はビウレット反応に陽性、キサントプロテイン 反応に陰性であった。キサントプロテイン反応は( ア )の存在を検出できるから、ペプチド B は( イ )を含む。 ビウレット反応は 2 個以上の( ウ )の存在を検出できるから、ペプチド C は( エ )を 3 分子以上含む。トリプ シンは特定のアミノ酸どうしのペプチド結合を加水分解する。この場合はペプチド A の( オ )と( カ )との間 が加水分解されペプチド B と C が生じた。 1.アミノ基 2.カルボキシル基 3.ベンゼン環 4.水酸基 5.アミノ酸 6.二重結合 7.ペプチド結合 8.グリシン 9.アラニン 10.グルタミン酸 11.リシン 12.メチオニン 13.チロシン
アミノ酸・ペプチド 演習 その 2 [名古屋] 表はタンパク質を構成する 8 種の代表的なアミノ酸について、 その名称と構造式を示したものである。いま、この表のアミ ノ酸のうち 4 つが直鎖状に結合した化合物であるテトラペプ チド A がある。このアミノ酸配列順序を決定するために実験 を行い、次の①~③の結果を得た。 ① 塩基性アミノ酸注)のカルボキシル基で形成されるペプチド 結合のみを加水分解する酵素で A を処理したところ、アミノ 酸が 3 個結合したトリペプチド B と丌斉炭素原子をもたない アミノ酸 C に分解された。 ② B を酸により部分的に加水分解したところ、D と E の 2 種 類のジペプチドが得られた。このうち D は(a)濃硝酸とともに 加熱すると黄色になり、冷却後にアンモニア水を加えると橙 色に変化したが、E はほとんど無色のままであった。 ③ A に濃水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱した後、酢酸鉛(II)水溶液を加えたところ、黒色沈殿を生じた。 注)塩基性アミノ酸:分子内に塩基性の原子団(基)を 2 つ以上もつアミノ酸。 (1)C は何か。その名称を記せ。 (2)下線部(a)の反応の名称を記せ。また、この反応はどのような構造をもつアミノ酸によって生じるか記せ。 (3)テトラペプチド A の配列順序について、結合に関不していないアミノ基をもつアミノ酸が左端になるように例に ならって記せ。 例 セリン-アラニン
11 アミノ酸・ペプチド 演習 その 3[05 横浜国立] 表1 アミノ酸( OH CH H2N R O C )の構造式 名 称 -R 部分の構造式 アラニン -CH3 グリシン -H グルタミン酸 CH2CH2 O C OH システイン -CH2-SH フェニルアラニン CH2 リシン -CH2CH2CH2CH2-NH2 アミノ酸(α-アミノ酸)は同一の炭素原子にアミノ基とカルボキシル基が結合した構造を持っており,結合しているアミ ノ基およびカルボキシル基はそれぞれ、α-アミノ基、α-カルボキシル基と呼ばれる。ペプチドAは4個のアミノ酸が直 鎖状に縮合したペプチドであり,Aを構成している可能性のあるアミノ酸は表1に示した6種のアミノ酸とする。塩基性 アミノ酸注1)のα-カルボキシル基で形成されるペプチド結合のみを加水分解する酵素をAに作用させたところ,3個のア ミノ酸が直鎖状に縮合したペプチドBとアミノ酸Cが得られた。(a)Aに水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱し,酢酸鉛 (Ⅱ)水溶液を加えると黒色沈殿が生成した。Bについても同じ操作を行ったが黒色沈殿は生成しなかった。Bを塩酸によ り完全に加水分解した結果,等電点が 9.74 である塩基性アミノ酸注1)Dおよび丌斉炭素原子を持たないアミノ酸Eが得ら れた。 注1) 塩基性の原子団(基)を分子内に2個以上持つアミノ酸のこと。 問1 (1) 下線部(a)の結果から,ペプチドAを構成するアミノ酸として含まれると判断できるアミノ酸を表1から選び, その名称を記せ。 (2) 下線部(a)において生成した黒色沈殿を化学式で示せ。 問2 (1) アミノ酸DおよびEの名称を記せ。 (2) ペプチドBを構成するアミノ酸の結合順序(アミノ酸配列)を例にならって示せ。ただし,結合に関不していな いα-アミノ基を持つ末端(N 末端)が左端になるように記せ。 アミノ酸配列の例: アラニン ― グリシン ― グルタミン酸 (3) ペプチドAのアミノ酸配列を(2)の例にならって示せ。ただし,N 末端が左端になるように記せ。
アミノ酸・ペプチド 演習 その 4[10 大阪医科] 分子内にアミノ基とカルボキシル基をもつ化合物をアミノ酸という。また,この 2 種類の官能基が同一炭素に結合して いるものを-アミノ酸といい,一般式 R-CH(NH2)-COOH で表す。アラニン(R=CH3)は式(1)のように水溶液中でアミ ノ基やカルボキシル基が電離した構造をとり,互いに平衡状態にある 3 種類のイオン A,B,C として存在する。 ア イ オンである A, イ イオンである B, ウ イオンである C の割合は溶液の pH によって変化する。A,B,C の平衡 混合物の電荷が全体として 0 になる pH を エ と呼ぶ。 ··· (1) リシン(R=(CH2)4-NH2)は式(2)のように水溶液中で互いに平衡状態にある 4 種類のイオン D,E,F,G として存在す る。 D OH- H+ E OH- H+ F OH- H+ G··· (2) 複数のアミノ酸がカルボキシル基とアミノ基間で結合することによって生じたアミド結合を特に オ 結合という。ア ミド結合を形成すると,結合に関不したアミノ基とカルボキシル基は電離しなくなる。 1 ア ~ オ に適切な語句を記せ。 2 リシンの イ イオンを示すのはどれか,イオン D~G から選べ。 3 リシンに無水酢酸を完全に反応させた。この生成物を強酸性にしたときの分子全体の電荷はいくつになるか,数値で 答えよ。また,その理由を簡潔に述べよ。 4 α-アミノ酸の混合物を個々のアミノ酸に分離し、どの種類のアミノ酸であるかを決定するためには、陽イオン交換 樹脂が用いられる。陽イオン交換樹脂をつめた円筒(カラム)に、アラニン、リシン、グルタミン酸の混合物の酸性 溶液を加え、次に pH を徐々に大きくした緩衝液をカラムに流した。 上記 3 種のアミノ酸の溶出順序を、早いものから遅いものへ順に化合物名で記せ。
13 アミノ酸・ペプチド 演習 その 5 [05 岡山] 1-2 生体内のタンパク質を構成するα-アミノ酸は,図1のような一般式で表すことができる。図中に示すアミノ基を-アミ ノ基,カルボキシル基をα-カルボキシル基と呼ぶ。α-アミノ酸の分子間で,α-アミノ基とα-カルボキシル基が脱水縮合 して形成される結合をペプチド結合という。図2に3分子のα-アミノ酸からなるペプチドの示性式を示す。図中,左端の アミノ酸を N 末端アミノ酸,一方,右端のアミノ酸を C 末端アミノ酸と呼ぶ。
C
COOH
H
H
2N
R
図1 (R
は側鎖)O
C
H
2N
N
H
O
C
C
R
2H
N
H
C
R
3H
C O O H
C
R
1H
(C
末端) (N
末端) 図2 (R
1,R
2,R
3は側鎖) 表に示す6種類のα-アミノ酸8個からできたペプチド-Ⅰがある。このペプチド-Ⅰのアミノ酸の配列順序を決定するた めに実験1~実験4を行った。次の問1~問6に答えよ。 a -アミノ酸の名前 記号 R(側鎖)部分の示性式 グリシン G -H ロイシン L グルタミン酸 E -CH2-CH2-COOH リシン K -CH2-CH2-CH2-CH2-NH2 フェニルアラニン F セリン S -CH2-OH CH CH2 CH3 CH3 CH2 実験1 ペプチド結合を N 末端から順次加水分解する酵素を用いて,ペプチド-Ⅰを分解し,N 末端のα-アミノ酸のみを 取りだした。このα-アミノ酸を濃硝酸中で加熱すると黄色の呈色が観察され,冷却後アンモニア水を加えてアルカ リ性にすると,反応溶液は橙黄色になった。 実験2 塩基性α-アミノ酸のα-カルボキシル基が形成したペプチド結合のみを加水分解する酵素を用いて,ペプチド-Ⅰ を分解した。その結果,2種類のペプチド(ペプチド-Ⅱとペプチド-Ⅲ)のみが得られた。ペプチド-Ⅱには酸性アミノ酸 が,ペプチド-Ⅲには塩基性アミノ酸が含まれていることがわかった。 実験3 ペプチト-Ⅱを加水分解し,α-アミノ酸の組成を分析したところ,2種類のα-アミノ酸が得られ,その物質量の 比は1:1であった。また,ペプチド-Ⅱの N 末端と C 末端のα-アミノ酸はともに,光学異性体の存在しないα-アミ ノ酸であった。アミノ酸・ペプチド 演習 その 5 [05 岡山] 2-2 実験4 ペプチド-Ⅲを加水分解し,α-アミノ酸の組成を分析したところ,4種類のα-アミノ酸が得られた。ペプチド-Ⅲの N 末端から2番目のα-アミノ酸と3番目のα-アミノ酸の水に対する溶解度を比較すると,3番目のα-アミノ酸 の方が高い値を示した。 問1 ペプチド-Ⅰの N 末端α-アミノ酸を表中の記号で記せ。また,実験1での呈色反応の名前を記せ。 問2 ペプチド-Ⅱの N 末端と C 末端に共通するα-アミノ酸を表中の記号で記せ。 問3 ペプチド-Ⅲの N 末端から2番目と3番目および C 末端のα-アミノ酸を表中の記号で記せ。 問4 ペプチド-Ⅰの全アミノ酸配列を表中に示す記号で,N 末端を左端にして に記せ。 問5 酸性水溶液中およびアルカリ性水溶液中で,グルタミン酸とリシンがとるイオン式のうち,もっとも多く存在する ものを以下のア~カからそれぞれ選び,記号で答えよ。(グルタミン酸とリシンについてそれぞれ答える) ア
COOH
NH
3+CH
2COOH
C
CH
2H
イCH
2COO
-COO
-C
CH
2H
NH
2 ウCOO
-CH
2COO
-C
CH
2H
NH
3+ エCH
2COO
-C
CH
2H
NH
3+CH
2CH
2NH
3+ オCH
2COOH
C
CH
2H
NH
3+CH
2CH
2NH
3+ カCH
2COO
-C
CH
2H
CH
2CH
2NH
2NH
2 問6 次の文章を読み,( a )~( g )に適切な語句あるいは示性式をキ~シから選び,記号で答えよ。ただし,同じ 記号を複数回用いてもよい。 ペプチド-Ⅱとペプチド-Ⅲを含む水溶液を中性条件で陽イオン交換樹脂に注いだところ,( a )が先に流れ出た。 次に,アルカリ性水溶液を注ぐと,( b )が流れ出た。この理由は,以下のように考えられる。中性条件では,( b )の1分子中には,2個の( c )と1個の( d )が存在するために,陽イオン交換樹脂に対して強い結合力を示し た。一方,アルカリ性条件にすると,( b )の( e )は変化しないが,イオン交換樹脂との結合に関わっていた( f )が( g )になった。この結果,イオン交換樹脂に対する結合力が低下したために流れ出た。 キ ペプチド-Ⅱ ク ペプチド-Ⅲ ケ -COOH コ -COO- サ -NH 2 シ -NH3+15 アミノ酸・ペプチド 演習 その 6 [10 大阪薬科] 鎖状ペプチド A は,下表中の異なる-アミノ酸 5 個からなる。このペプチド A のアミノ酸配列を決定する目的で実験を 行ったところ以下に示す結果を得た。(1)~(3)に答えなさい。ただし,このペプチド A の N 末端はアミノ基 2 個を有する アミノ酸であり,C 末端はヒトの必須アミノ酸の 1 つである。なお,ペプチドの両末端のうち-アミノ基をもつ側を N 末端,-カルボキシル基をもつ側を C 末端という。 (A) ペプチド A に酸性アミノ酸のカルボキシル基側のペプチド結合のみを加水分解する酵素を作用させると,2 つのペプ チドⅠ,Ⅱが生じた。 (B) ペプチドⅠ,Ⅱの水溶液それぞれに NaOH 水溶液を加え塩基性にした後,薄い CuSO4水溶液を少量加えるとⅡの水 溶液のみが赤紫色になった。 (C) ペプチドⅠ,Ⅱの水溶液それぞれに濃硝酸を加えて加熱するといずれも黄色になった。 (D) ペプチドⅠを加水分解して得られたアミノ酸のうち 1 種類は,適当な条件下で酸化するとジスルフィド結合を形成 した。 (1) (D)で,酸化された官能基の名称を答えなさい。 (2) ペプチドⅡを完全に加水分解して得られたアミノ酸の水溶液をろ紙の中央につけた。乾燥後,そのろ紙を pH5.7 の 緩衝液に浸し電気泳動を行った。 (a) 電気泳動後,ろ紙に噴霧し加熱すると青紫~赤紫色に呈色することで,アミノ酸を検出できる試薬の名称を答えよ。 (b) 最も陰極側に移動したアミノ酸を略号で答えなさい。 (3) ペプチド A の構成アミノ酸を N 末端から順に略号で答えなさい。
アミノ酸の電離平衡 演習その1 [大阪] 次の文を読み,以下の問いに答えよ。 グリシンは分子内にア 基とイ 基をもち、双生イオンとして 1 の構造をとる。しかし、強酸性溶液中 では構造 2 の陽イオンに,強アルカリ性溶液中では 3 の陰イオンになる。 水溶液中におけるグリシンの解離平衡は次式で示される。 G+ G±+H+ ・・・(1) G± G-+H+ ・・・(2) ここで、G+は陽イオンを、G±は双生イオンを、G-は陰イオンを表す。これらの解離定数は各成分のモル濃度[G+], [G±],[G-],[H+]を用いて, K1= a 、 K 2= b 、 と表される。その数値は K1=4.0×10-3mol/l,K2=2.5×10―10mol/とする。 [G+]と[G-]とが等しいときの pH の値をグリシンの等電点という。したがって、グリシンの等電点は x と なる。 グリシンの水溶液に塩酸を加えて,溶液の水素イオン濃度を pH=4.5 に調節する。そのとき濃度比[G+]/[G-]は y となる。したがって,pH=4.5 の緩衝液中で電気泳動させると,グリシンは全体としてウ[ 陽または陰 ]極に向 って泳動する。一方,pH=8.0 の緩衝液中では逆の挙動をする。 1 ア~イに適当な語句を入れよ。 2 1、2、3の構造式を記せ。 3 a,b に適当な式を記せ。 4 x、y に適当な整数値を入れよ。 5 ウに入る語句を選べ。 K1 K2
17 アミノ酸の電離平衡 演習その 2 [05 北里(薬)] 一枚目 次の文を読み,問に答えよ。 アミノ酸のフェニルアラニンは,水溶液中では次のように電離している。
COOH
CH
2CH
H
3N
+F
+ K1COO
-CH
2CH
H
3N
+F
± き ご + H+ (1)COO
-CH
2CH
H
3N
+F
± き ご K2COO
-CH
2CH
H
2N
F
- き ご + H+ (2) 式(1)および式(2)の電離定数をそれぞれ K1,K2として,各イオン F+,F±,F-,H+のモル濃度をそれぞれ[F+],[F±],[F -],[H+]と表わすと,式(1)および式(2)からそれぞれ式(3)および式(4)が導かれる。ただし pK 1,pK2,pHは,それぞれ 1-
logK ,-
logK2 ,-
log[H+]を表わす。pH=pK1 + ア ··· (3) pH=pK2 + イ ··· (4) フェニルアラニンの pK1は 1.83,pK2は 9.13 である。したがって,フェニルアラニンは pH1.83 で ウ が等濃度に なり,pH9.13 で エ が等濃度になる。 また等電点ではフェニルアラニンの平衡混合物の電荷が全体として0になっているので. オ が等しくなる。 問1 ア に入れるのに最も適切なものを解答群Aより選べ。 問2 イ に入れるのに最も適切なものを解答群Aより選べ。 解答群A ①
]
[
]
[
]
[
F H F + + ②]
[
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[
]
[
F H F + - ③]
[
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[
F F + ④]
[
]
[
F F + ⑤]
[
]
[
F F - ⑥]
[
]
[
F F - ⑦]
[
]
[
F F log + ⑧]
[
]
[
F F log + ⑨]
[
]
[
F F log - ⑩]
[
]
[
F F log - 問3 ウ に入れるのに最も適切なものを解答群Bより選べ。 問4 エ に入れるのに最も適切なものを解答群Bより選べ。 問5 オ に入れるのに最も適切なものを解答群Bより選べ。アミノ酸の電離平衡 演習その 2 [05 北里(薬)] ニ枚目 解答群B ① [F+]と[F±] ② [F+]と[F-] ③ [F+]と[H+] ④ [F±]と[F-] ⑤ [F±]と[H+] ⑥ [F-]と[H+] 問6 フェニルアラニンの等電点の値はどれか。 ① 1.83 ② 4.09 ③ 5.48 ④ 5.96 ⑤ 6.18 ⑥ 7.26 ⑦ 9.13 ⑧ 10.9 問7 フェニルアラニン水溶液の pHが 3.83 のとき,[F+]と[F±]の割合([F+]:[F±])はどれか。 ① 1000:1 ② 100:1 ③ 10:1 ④ 2:1 ⑤ 1:1 ⑥ 1:2 ⑦ 1:10 ⑧ 1:50 ⑨ 1:100 ⑩ 1:1000
19 ペプチドの計算 その 1 重合度 1 グリシン(分子量 75)とセリン(分子量 105)がある割合で結合してできたペプチド 13.8g を加水分解すると、グリシ ンが 11.25g、セリンが 5.25g 生成した。このペプチド 1 分子を構成しているグリシンとセリンの数はそれぞれいくつか。 2 分子量 2318 の直鎖状ポリペプチド 4.636g を完全に加水分解したところ、α-アミノ酸の混合物 5.500g が得られた。 この混合物のうち 1.2g がグリシンであった。 1 このポリペプチドを構成するα-アミノ酸の数はいくらか。 2 このポリペプチドを構成するグリシンの数はいくらか。 3 アラニンだけで構成されるポリペプチド 2.157g に含まれるすべての窒素原子をアンモニアに変化させたところ, 0.030mol のアンモニアが得られた。このポリペプチドはいくつのアラニンからできているか。 4 [97 東工大] 2 種類のアミノ酸 A、B からなる鎖状のポリペプチド 12.37g を完全に加水分解したところ、A、B がそれぞれ 7.30g、 6.60g 得られた。これらのアミノ酸 A、B を過剰の無水酢酸でアセチル化したところ、A からは 11.50g、B からは 8.28g の生成物が得られた。 問 1 アミノ酸 A、B はそれぞれ 1~5 のうちどれか。 1 アラニン(分子量 89) 2 リシン(分子量 146) 3 グルタミン酸(分子量 147) 4 フェニルアラニン(分子量 165) 5 チロシン(分子量 181) 問 2 このポリペプチドは A、B 合わせて何分子のアミノ酸から構成されていたか。 5 ある 1 種類の中性アミノ酸からなるジペプチド 1.0g の元素分析を行い、標準状態で 140mL の窒素ガスを得た。このジ ペプチドを構成するアミノ酸の名称を記せ。
ペプチドの計算 その 2 ケルダール法 1 大豆に含まれるたんぱく質を以下のようにして求めた。大豆の粉末(きな粉)2g に含まれる窒素分をすべてアンモニアと し、0.25mol/L の硫酸 20mL に吸収させた。反応後の溶液から 10mL 取り出し、0.050mol/L の水酸化ナトリウム水溶液 で滴定したところ 20mL を要した。たんぱく質に含まれている窒素量は 16%(質量パーセント)とすると大豆中のたんぱ く質の含有量は何%となるか。 2 [早大] グリシンのみからなるポリペプチド X の 0.58g に含まれるすべての窒素原子をアンモニアに変化させ、0.250mol/L の 硫酸水溶液 100mL に完全に吸収させた。この溶液は酸性を示したので 1.00mol/L の水酸化ナトリウム水溶液で滴定した ところ 40.0mL を要した。 1 ポリペプチド X から発生したアンモニアは何 g か。 2 ポリペプチド X はいくつのグリシンからなっているか。 3 [08 同志社] 1種類の-アミノ酸からなる直鎖状のポリペプチド(分子量 54460)が 0.326g ある。これに水酸化ナトリウム水溶液を加え て加熱したところ,アンモニアが 34.0mg 発生した。ただし,ポリペプチドに含まれる窒素がすべてアンモニアになった ものとする。次の問いに答えよ。 1 このポリペプチドに含まれる窒素の重量百分率[%]はいくらか。有効数字3桁で答えよ。 2 この-アミノ酸は1分子中に1個のアミノ基を含み,他に窒素原子は含まない。この-アミノ酸の分子量はいくらか。 整数で答えよ。 3 このポリペプチド1分子は,何個の-アミノ酸から構成されているか。その数を求めよ。 ペプチドの計算 その 3 異性体の数 1 アラニンとグリシンからなるジペプチドには縮合の仕方が異なる鎖状の構造異性体がいくつあるか。 2 アラニンとグルタミン酸からジペプチドには縮合の仕方が異なる鎖状の構造異性体がいくつあるか。 3 アラニン 2 分子とグルタミン酸 1 分子からなるトリペプチドには縮合の仕方が異なる鎖状の構造異性体がいくつあ るか。 4 アラニン、グリシン、グルタミン酸からなるトリペプチドには縮合の仕方が異なる鎖状の構造異性体がいくつある か。