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同和問題について考えよう

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Academic year: 2021

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(1)

同和問題について考えよう

 このワークでは、同和問題(部落差別)について考えます。同和問題は、日本固有の重 大な人権問題です。日本の歴史の歩みの中で、人為的、政治的につくられたものです。現 在でも、同和地区関係者への差別意識や偏見は、解消された状況にあるとは言えません。

偏見や誤った考えが伝えられて差別が繰り返されるという差別の連鎖があったからです。

同和問題と向き合って、正しく理解し、差別を許さない心をしっかりともちましょう。

ワーク1

  【調べ学習】被差別部落の歴史の見直しが進んでいます。その結果、次の事項がどのよ うに説明されているか、教科書や歴史書などを調べてみましょう。

(1) 室町時代の「河原者」とは、どのような場面で何をしていた人だと説明されていま すか。調べましょう。

(2) 江戸時代の被差別部落の人々の身分について、どのように説明されていますか。調 べましょう。

(3) 江戸時代の被差別部落の人々の生活について、どのように説明されていますか。調 べましょう。

(4) 江戸時代以降の被差別部落の人々の社会的役割について、どのように説明されてい

ますか。調べましょう。

(2)

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(5) (1)~(4)で調べたことをクラスに発表しましょう。他のグループの発表で気に なる視点があれば、書きましょう。

  (先生の説明)

ワーク2

 次の表は、神奈川県が平成5年と平成13年に行った「人権と同和問題についての意識 調査報告書」のうち、結婚にかかわる項目の質問と調査結果を示したものです。

*神奈川県教育委員会「HUMAN RIGHTS」より作成 問  かりに、あなたが同和地区の人と恋愛し、結婚しようとしたとき、親や親戚から強い

反対を受けたら、あなたはどうしますか。(未婚者のみ)

選 択 肢 平成5年 平成13年

自分の意志を貫いて結婚する 20.7% 26.5%

親の説得に全力を傾けたのちに、自分の意志を

貫いて結婚する 67.2% 61.2%

家族の者や親戚の反対があれば、結婚しない 9.1% 9.1%

絶対に結婚しない 3.0% 1.9%

無回答 0.0% 1.3%

(3)

(1)前ページの調査結果をもとに、考えましょう。

①  「家族の者や親戚の反対があれば、結婚しない」「絶対に結婚しない」と回答した人の 理由を想像してみましょう。

②  平成5年と平成13年とで「家族の者や親戚の反対があれば、結婚しない」の数字が 変わっていない理由を考えてみましょう。

(2) グループで、(1)で考えた各自の意見を発表して、グループの中でどのような意見 があるかを確認しましょう。

ワーク3

 ワーク1で調べたことと、ワーク2で話し合ったことをもとにして、誰もが差別されな

い、差別しない社会を作るために、自分たちでできることについて、各自の考えをグルー

プで発表し合いましょう。

(4)

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解説

同和問題について考えよう

1 ねらい

 同和問題とは、日本の歴史の中で人為的・政治的につくられたものである。同和地区(被 差別部落)出身というだけの理由で就職や結婚などで不当に差別され、社会的な不利益を 受けているという人権問題である。

 同和地区関係者への偏見や差別意識がいまだに解消されたとはいえない状況で、この ワークが差別してしまうかもしれない自分に気づき、どのように行動するのか考えるきっ かけになるようにする。また、被差別部落や被差別身分の起源、江戸時代までの被差別身 分の人々の生活に関する研究は、最近大きく進展している。その影響は、小・中・高等学 校の教科書の記述内容の変化にまで及んでいることを、このワークでは考慮している。

2 進め方

(1)ワーク全体に関わる配慮事項

  •  グループの人数は5~6人程度。

  •  生徒が互いの意見に対して、否定をしないように配慮する。

  •  人権についての配慮がない発言があった場合でも、その場で注意したり、否定し たりしないが、看過せず生徒自身で気づき合えるように示唆する。

  •  ワーク全ての最後に、まとめの時間を設けて、参加者全員が、差別をしない、許 さないことについて確認できるようにする。また、人権に配慮のない発言があった 場合、その問題性を生徒たちが気づかない場合は、必ず指摘する。

(2)ワーク1

  •  同和問題について、ワークの前文の内容程度の説明を行う。

  •  ワークシートを配付し、(1)~(4)の課題をグループ別に分担して調べる。

  •  調査方法としては、小・中・高等学校の教科書の記述内容を比較してみる。図書 館等で最近の歴史書等を参考にして調べることを薦める。

    また、次の各県教育委員会のインターネット上の人権教育資料を参考にこのワー クと解説を作成した。このワークを行う時は、参照することを薦める。

長野県教育委員会「人権教育指導の手引~ヒューマンライツ イン ながの(社会教育編)~」

 http://www.pref.nagano.lg.jp/kyouiku/jinken/jinken42.htm 高知県教育委員会人権教育課 人権教育資料集のサイト

 http://www.pref.kochi.lg.jp/%7Ejinkyou/jinnkenn/gakkou/tunagari/tunagari-top.html 和歌山県教育委員会 人権教育のサイト

 http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/500100/koumoku2/sub7_2.html

(5)

(3) (先生の説明)

  •  ワーク1を元に、解説をする。

  (例) その地域に住んでいるというだけで、何のいわれもないのに差別され、偏見を 持たれた人がいる。

(4)ワーク2

  • 生徒がそれぞれに自由に思ったことを書くようにする。

  • グループとして意見を統一する必要がないことを伝える。

(5)ワーク3

  • 生徒ができるだけ多様な意見を発表できる雰囲気を作るようにする。

3 解説

 教師は生徒に「差別や偏見はいけない」等、人権尊重の理念や人権に関する知識につい て話をするが、実は教師自身も服装や外見や肩書きや住んでいる場所で人を判断している 場合があるかもしれない。話し手である教師(大人)の偏見が生徒に刷り込まれしまうこ とも十分考えられる。生徒の差別意識の背景に大人がいる可能性を考えて、大人から子ど もへの差別の連鎖を、教育の力で断つことが求められている。

 同和問題について取り上げる場合、地理歴史科や公民科の教科書に記載されている同和 問題に関連する歴史の諸問題についての知識を教えるだけでなく、いまだに同和地区関係 者への偏見や差別意識が解消されていない状況にあることを認識して、生徒一人ひとりの 心の中に差別を許さない心をしっかりと育むことが大切である。

(1)平等について

   憲法14条には「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的 身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」とあ る。そして、平等とは、「人を分け隔てなく、等しいものは等しく扱う」ことである。

これらのことから、かながわ人権施策推進指針では「誰もが機会の平等を保障され、

能力が発揮できる社会づくりをめざす」ことが基本理念に述べられている。この「機 会の平等」を保障するためには、あらゆる人々が互いに違っていることを認め合うこ とが前提になる。例えば、日本語を母語としない児童・生徒に対して、個別に日本語 授業を行うことなどは、能力の発揮の機会を保障し、教育を受ける権利の保障のため に必要なことになると考えられる。他と異なった扱いであっても、それが状況によっ ては、平等を保障することにつながるのである。

(2)「差別」とは?

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籍地や家族の職業などを理由に不採用にすることは、不採用の理由が本人の能力・適 性とは関係のない予断と偏見に基づくものであり、「差別」といえる。

  なぜ「差別」は生まれるのか?

   「差別」は、「偏見」から生まれるという。十分な根拠のないマイナスイメージ(偏見)

を、個々の差異を無視してその集団に当てはめ、それが「ことば」や「態度・行動」

として表に出ると「差別」を生むと考えられる。

  「差別」をしない、させないためには?

   「自分の偏見に気づくこと」「偏見をなくそうと努力すること」が大切である。その ためには、人権に関する知的理解を深めるとともに、人権感覚を養うことで、自他の 人権を守ろうとする意識・意欲・態度を向上させ、それらを実際の行為に結びつける 実践力や行動力を育成することが求められる。

(3)被差別部落の歴史の転換

   同和地区(被差別部落)の歴史を学ぶ場合に留意すべきことは、知識を増やすこと が最終目標ではなく、民主的、平和的な国家・社会の一員として、有為な社会の形成 者として必要な自覚と資質を養うために、人権を尊重し差別を許さないようになるこ とが、この学習の最終的な目標になっていることを忘れないことである。

   被差別部落の歴史について指導する場合に、参考となる最近の研究成果などとして 次のことを例示する。また、前章教師用解説により補足する。

 日本の歴史の中で、人為的に形作られてきた身分制度により、一部の人々が住居や職業、

結婚などを制限される差別を受けてきました。特定の地域の出身であることやそこに住んで いることを理由に差別される我が国固有の人権問題を、同和問題といいます。

 こうした身分による差別は、すでに室町時代には一部の職業の人々が差別されていたこと にはじまると考えられています。江戸幕府は、武士や百姓・町人とは別な身分を制度化し、

それ以前よりも強固な身分制度を確立しました。この制度の下で厳しい差別を受けていた 人々は、農業を営んで年貢を納めたり、優れた技術で牛馬の皮革加工や草履・雪駄づくり、

医療・医薬品製造に携わったりするなどしたほか、城や寺社の清掃、幕府や藩の役人のもと で町や村の警備を行うなどして、社会を支えてきました。また、猿楽などの古くから伝わる 芸能を継承発展させて、日本文化に大きく貢献しました。

 明治4(1871)年に「解放令」が出て江戸時代の身分制度は廃止され、それまで被差別 身分とされていた人々は、制度上は多くの武士や百姓・町人とともに平民となりました。し かし、多くの人々に身分差別の意識が残っている中で、被差別身分だった人々は、身分に伴っ て認められていた皮革加工などの権利が否定され、経済的に厳しい状況に置かれました。そ うした状況の中で、差別から解放を求める運動が各地ではじまりました。

~「同和問題の正しい理解のために」神奈川県教育委員会(p.3)~

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(4)今後の課題

   インターネットへの差別的な書き込みが絶えないなど、同和地区関係者への差別意 識や偏見はまだ解消された状況とは言えない。これからも、一人ひとりが同和問題に ついて正しい理解と認識を深め、差別を許さない心をもって、差別の連鎖を断ち切る ことが、教育に求められている。

<引用文献>

「人権学習ワークシート集Ⅲ-人権教育実践事例・指導の手引き(高校編 第12集)」

『9 同和問題について考える』(教材編p.33~p.34,解説編p.72~p.75)神奈川県教 育委員会 平成20年3月

<参考文献>

「神奈川の部落史」 編・著者「神奈川の部落史」編集委員会

「神奈川県史」(政治・経済篇)

参照

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