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歴史的変遷からみる現代の階段についての研究 -

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Academic year: 2021

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芝浦工業大学大学院理工学研究科建設工学専攻 2012年度修士論文梗概

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歴史的変遷からみる現代の階段についての研究

- 公共建築のエントランスホールにある階段を対象として -

ME11047 佐藤 あずさ

指導教員:赤堀 忍

0. 序章

0.1 研究背景

階段は高さの違うスラブを繋ぐ道具として存在してい る。しかし、建築雑誌をみても大半の事例で階段をメイ ンにしたショットが含まれており、単に上下移動として の道具だけではなく、その空間のオブジェ的役割も果た しているといえるだろう。

今日ではバリアフリーという言葉が浸透し、建築界に も大きな影響をもたらしている。様々な段差が建築から 排除されている中、最も代表的な段差である階段は昇降 機やスロープで解決されている。しかし、こうした解決 策を取られている状況の中でも生き残っている階段は数 多くある。不特定多数の人が使用する公共建築こそバリ アフリーでなければならない。にもかかわらずエントラ ンスホールに階段を配置している建物が多く存在してい るのは、階段が空間に何らかの効果を与えているからだ と考えられる。

何十年、何百年も前から、数多くの建築家らが階段の デザインは詳細に行われている。そこで、これまでの階 段がどのように扱われてきたのか、そして現在はどのよ うに扱われているのかという現代の階段の在り方につい て、歴史的変遷をたどりながら研究を行う。

0.2 研究目的

本研究では、公共建築のエントランスホールに配置さ れている現代の階段は、空間にどのような効果をもたら しているのかを階段の歴史的変遷から明らかにし現代の 階段の在り方について考察することを目的とする。

バリアフリー化の観点から階段を評価したり、意匠性 とそれが人に与える印象から階段を評価したりしている 研究はすでに行われている。しかし、階段の歴史的変遷 の観点から階段を評価しているものは今までにない。本 研究は、階段の歴史的変遷をもとに現代の階段を評価す るもので、今までにない視点からの研究である。

0.3 研究方法

第1章で、海外と日本それぞれから階段の歴史的変遷 を先史から近代、近代以降の二節にわけて、事例を挙げ ながら概要を捉える。

第2章では、第1章で明らかにした階段の歴史的変遷 をもとに、新建築から選定した現代の階段122事例をデ ータシート化し、第3章でデータをもとに分析・類型化 し、考察・結論を述べていくことにより、目的を実現さ せる。

1.階段の歴史的変遷 1.1 階段の起源

階段は2つの高さの異なったスラブを繋ぐ役割として 存在しているが、日本と海外とでは階段の生れた経緯が 異なっている。海外では祭壇から生まれたといわれ、日 本では梯子から生れたといわれている。

1.2 階段の歴史(先史~近代)

1.2.1 海外の階段の歴史

1.2.2 日本の階段の歴史

1.3 階段の歴史(近代以降) 1.3.1 海外の階段の歴史 1.3.2 日本の階段の歴史 小結

歴史的変遷から、海外の場合は様々な効果が階段によ ってもたらされてきたとわかる。ある時は王の権威を階 段で象徴的に表したり、またある時は移り変わる風景を 楽しむものになったり、またある時には演説などの舞台 のようになったりとその姿は様々である。故に海外の階 段は、上下の移動のためだけではなく人と関わる場所、

いわばコミュニケーションの場でもあったということが わかる。

逆に日本の階段は、海外の文化が日本に入ってくるま での長い間、上下移動の道具として使われていた。その ため、かなり急こう配で幅の狭い階段であったことがわ かる。そもそも高さ制限をされていたため2階が存在し なかったり、2階があっても収納スペースとして使用さ

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芝浦工業大学大学院理工学研究科建設工学専攻 2012年度修士論文梗概

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近代以降の階段は、モダニズム建築が一般的となり、

シンプルな階段が多い。だがシンプルにもかかわらず技 術の進歩により今までなかったRC造やガラスなどが用 いられるようになり階段の種類が更に無限に広がってい く。しかし、相対的に近代までの階段と近代以降の階段 を比較すると軽い印象をもたらす階段が多くなったと感 じられる。近代以前までは手摺、段板、蹴上などがすべ て一体となったがっしりと重量感のある階段ばかりであ ったが、ここにきて一気に軽快感あふれるものへと変化 している。階段を構成している手摺や段板、蹴上などの 要素が独立しはじめ段裏という新たな部分が出現したか らと考察する。

2. 現代の階段

2.1 事例選定

対象とする事例は2007年1月以降の公共建築のエント ランスホールにある階段とする。その理由としては、日 本の階段はバリアフリー新法によって階段の存在価値が 以前と変わったと考えたからである。そこで現代の階段 とは、バリアフリー新法が施行されてから建設された建 築にあるものであるとここでは定義する。バリアフリー 新法は2006年12月20日に施行されたため、それ以降に 建設された事例の中から選定する。

取り出す媒体として、2007年1月~2012年11月まで の雑誌『新建築』に掲載されている、エントランスホー ルに階段のある公共建築を取り上げる。

2.2 データシート作成 3. 考察

3.1 事例分析 3.2 結論

主要参考文献

1) 空間の演出階段;滝沢健児 著 彰国社 2) 至高の階段;ディテール別冊 2012年09月号彰国社 3) 建築技術 見せる階段の空間デザイン;建築技術

2009年12月号

4) 村野藤吾建築案;内村野藤吾研究会編 TOTO出版

5) 西洋建築史圖集;日本建築学会編 彰国社

6) 槇文彦のディテール 空間の表徴―階段;槇総合計 画事務所 編著 彰国社

7) Le Corbusier 1929-1934;Willy Boesiger 8) 白井晟一全集 : 写真 4; 同朋舎出版 , 1988 9) 階段 空間のメタモルフォーゼ

;エヴリーヌ ペレ=クリスタン

参照

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