三陸総合研究 第33号
平 成 19 年 度 共 同研 究 実施 報 告 書
研 究 題 目 北三陸雑穀 アワ、 .ヒエ、キビの 2 型糖尿病改善機能の解明 と農 .食品事業化へ の基盤研究
共 同研 究 者 研究代表者 西洋 直行 ( 岩手大学 .教授)
( 所属 .職) 山口 秀樹 ( ㈲ さん りく基金 .研究員) 研 究 代 表 者 電話 : 0 1 9 ‑ 6 2 1 ‑ 6 1 6 7 FAX : 0 1 9 ‑ 6 写 1 ‑ 6 2 6 2
連 絡 先 E メール : ni s i z a wa @i wa t e ‑ u. a c
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研 究 目 的
洋野町、野田村、田野畑村、普代村等の北三陸地域の特長ある雑穀アワ、 ヒエ、キビの健康 機能、特 に 2 型糖尿病改善機能を解明 し、その研究成果 を活か した北三陸地域農 て食畠事業の 振興の基盤 を構築する○
研究結果の概要
1 はじめに ( 研究の背景等)
洋野町、野田村、田野畑村、譜代村等 の北三陸地域 は、 まやせの降 り注 ぐ冷涼 な気候で、
水利 も不十分であったためコメが充分栽培で きなかった○ このことは、アワ、 占エ、キビの 栽培が、冷涼なこの地域の気候 に合 ってお り、米食 とは異なった山村の ヒエ を中心 とする家 畜 との雑穀共生食文化が長い歴史の中で豊かに展開 していたo しか し、その品質評価や生産 振興、附加価値ある食品開発がなされていてお らず、またこれ らの北三陸地域のアワ、 ヒエ、
キビの品質や健康機能は全 く研究が されてお らず、また内陸部 に比べて、その特長 を活か‑ し た農業 .食品事業の振興が必ず しも充分 に進め られていない現状がある○従 って、岩手の身 近な食品による生活習慣病 を改善する機能研究の必要性 とその事業化の基盤作 り研究の意義 は大 き̲ い と思われる○
本研究は、次のように推進 した○
(1
) 津野町、野田村、普代村、久慈山根端神地域のアワ、ヒエ、キビの栽培調査
(2)成分分析、品質評価 :蛋 白質、脂質等の成分分析、及び香味の評価
(3)
蛋白質成分‑ の糖尿病モデル動物実験 による 2 型糖尿病改善機能の研究
(4)加工食品試作開発
2 調査方法
本研究は、次の内容で行 ったo
1)洋野町、野田村、久慈山根端神、普代村等の北三陸地域のアワ、 ヒエ、キビの栽培調査
2) 材料の調製及び成分分析、品質評価
(1) 栄養成分分析 による品質及び香味評価
(2)
α‑ アミラーゼ、グルコア ミラーゼを作用 させデ ンプンを分解することにより蛋 白質濃 縮物 を調製 した○
3) 健康機能の研究
血糖値、血中脂質、アデイポネクチ ン、インスリン濃度に及ぼす影響
方法 :2 型糖尿病モデルマウス KKAy に 、2 0% の上記の蛋 白質濃縮物 を加 えた飼料 を 3
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ル及 び中性脂肪 、 アデ イポネ クチ ン及 びイ ンス リン濃度へ及 ぼす影響 を調べ て、
2 型糖尿病 の改善機能 を調査 した。
4) 上記の食 品開発 と商品化 ・事業化
食品開発 は、以下の ように、新食 品試作製 品開発 を行 った。
うどん、豆腐、パ ン製品の試作 開発、商品化 ・事業化
(1
) うどん製品 を試作 開発 :現商品は北海道産小麦粉 「ひば り」 を使用 しているが、岩手 県産小麦南部小麦粉 を使用 して試作 開発 した。普代村のアワ、野田村のヒエを加えて混合 ・ 繰込み、常法 に従 って うどん製品 を調製 した。
(2)
豆腐製 品の試作 開発 :岩手県産大豆 ナ ンブシロメか ら豆乳 を調製 して、 ヒエ、 アワを 加 えて豆腐 を調製 した。
(3)
パ ン製品 を試作 開発 : 岩手県産小麦ユ キチ カラ粉 に、 ヒエ、 アワを加 えて、骨法 に従 っ てパ ン製品 を調製 した。
3 結 果
1)洋野町、野 田村、久慈 山根端神、普代村等 の北三陸地域 のアワ、 ヒエ、キ ビの栽培調査
(1) 洋野町では、「おおのパ ン工房」が開業す る前 までは、 ほ とん どアワ、 ヒエ、キ ビの栽
培 は途絶 えていたが、「おおのパ ン工房」でのパ ン製造 に使用す ることを契機 に、それ ら の栽培が復活 した。今 回の研究で 、 2 軒の農家 の栽培 したキ ビを調査 した。
(2)
野 田村 では、アワ、ヒエ、キ ビを小規模栽培 しているが、キ ビ、アワが主体 と思われる。
稀少 アワも栽培 されていた。
(3)
久慈 山根端地 区で は、 アワ、 ヒエ、 キ ビを、栽培 してい るが、在来種 の ヒエ、 この地 域 では、赤 ヒエ、 と呼称 している ものを、研究 に用 いた。
(4)
普代村 では、 アワ、 キ ビを小規模農栽培 してお り、他地域 にないモ ミが オ レンジ色 で 精 白粒 も黄色 の特徴 あるアワを栽培 していた。
2) 材料 の成分分析及 び品質評価
(1)栄養成分組成
原料 の成分組成
北三陸の洋野町キ ビ、野 田村 ヒエ、普代村 のアワ、( 田野畑村) ( 久慈端神地域)のアワ、
ヒエ、キ ビのそれぞれの栄養素成分含量 を測定 した。
洋野 町 キ ビの成分含 量 ( g/1 0 0 g): 水 分 1 4 . 4 、 タ ンパ ク質 1 0 . 0 、脂 質 2 . 2 、灰 分 0 . 6 , ‑糖 質
7 2 . 8 、であった。総食物繊維含量 は 1 . 2 であらた.エネルギーは 、3 5 7 k c a l / 1 0 0 g 、であった。
野 田村 ヒエ の成分含 量 ( g/1 0 0 g) :水 分 1 4 . 4 、 タ ンパ ク質 1 0 . 1、脂 質 2 . 6 、灰 分 0 . 9 、糖 質
7 0 . 7 、であった。総食物繊維含量は、 1 . 3 g であった。エネルギーは 、3 4 9 k c a l / 1 0 0 g 、であった。
普代村 のアワの成分含量 ( g/1 0 0 g) :水分 1 3 . 6、 タンパ ク質 1 1 . 5 g 、脂 質 1 . 9 、灰分1 . 1 、糖 質
7 0 . 0 ,であった。総食物繊維含量 は 、1 . 9 g であった。エネルギーは 、3 4 7 kc a l/1 0 0 g 、であった。
久慈 山根端神 地域 の赤 ヒエ ( ど/1 0 0 g) :水 分 1 3 . 1、 タンパ ク質 9 . 8 、脂 質 3 . 9 、灰 分 1 . 5、糖 質 6 9 . 9 、食物繊維 1 . 8 、エ ネルギー 3 5 8 k c a l であった。
(2)
香味評価 :各地域 のアワ、 ヒエ、キ ビを炊飯 して試食 し、その香 り、味評価 を行 った。
洋野町のキ ビ :一軒 の精 白粒 の色 は、鮮 やか な黄色 を し、食味 は県内一の食味 を してい る美味 しい ものであ った。 このキ ビを健康機 能研 究 に使用 した。 しか し、 もう一軒 に も のは、精 白粒 が薄い緑褐色 で、非常 に強い苦味、渋味 ・え ぐ味が あ り食べ られ る もので はなかった。従 って、研究 には使用 しなか った。
野田産のアワ、ヒエ、キ ビ: アワ、キ ビには苦味があ り、特 にキ ビの苦味が強かった。従 っ
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て、以下の健康機能研究 と食品開発 には、 ヒエを使用 した。
久慈山根端神地区の赤 ヒエ :他地域のヒエに比べて、粒が大 きく、食味は美味 しい もの であった。県内一の食味をしていると思われる。
普代村のアワ :食味は、特に際だった ものではなかった。
3)健康機能の研究
(1)
普代村のアワ :摂食量が有意 に多いことが示 されたが、体重増加量 には対照群 と有意 な差はなかった。臓器、組織の重量は抑制傾向を示 したが、血糖値、血祭」 コレステロール、
中性脂肪、アデイポネクチ ン及びインス リン濃度 について も対照群 と比べて顕著 な効果 は認め られなかった。
(2)
野田村のヒエ : 摂食量、臓器、組織の重量 には、対照群 と差はなかった。また、血糖値、
血渠 コレステロール、中性脂肪、アデイポネクチ ン及びインス リン濃度 について も対照 群 との有意な差は認め られなかった。
(3)
洋野町のキビには、上記の 2 型糖尿病マーカーには顕著な変化が兄いだされなかった。
すなわち、対照群 に比べて、洋野町のキビ蛋 白質を与 えた群 には、血糖値、血中コレス テロール、中性脂肪、インス リン及びアデイポネクチ ン濃度 には、いづれ も変化が見 ら れなかった
4)食品開発 と商品化 ・事業化
以下のように、新食品製品開発 を行い 、2 0 年度の商品化 ・事業化の 目処が立てられた。
(1)
うどん製品 :岩手県産南部小麦粉の試作 開発製品は、北海道産小麦粉 「ひば り」に比 べて、色つや、 しこしこ感、味など遜色のないものであ り、普代村のアワ、野田村のヒエ うどん、ともに、商品化 ・事業化の可能な製品であった。特徴ある商品名、を期待 したい。
(2)
豆腐製品 :普代村のアワ、お よび野田村のヒエを使用 した豆腐 は、表面内部に、 ヒエ、
アワのツブツブが見え特徴ある豆腐であった。市場 にない風味の豆腐であった。 ともに、
商品化 ・事業化の可能な製品であった。ヒエ、アワのツブツブを考慮 した特徴ある商品名、
を期待 したい。
(3)