猫延髄に於ける血管銃器中枢に就いて
金沢大学医学部久留外科敏室(指導 久留勝i教授)
山 本 信 二 郎
8ゐ吻か。 IYamαmoto (昭和26年3月6同 受附)
延髄に於ける血管煽動中枢に関しては,前世 紀の中頃Owrjannikow, Dittmar等;:LudWig血 涙の研究を初めとし,最近では1939年Wang
&Ranson等の綿密にして精力的な実験に至る 迄無数の実験的研究の他,鰍木曾研究も数多
く,其の知見には進歩の著しいものがある.
從來から延髄には種々の植物機能中枢の存在 が知られてみるが,内臓知覚繊維の絡末部位に 関する暖室の最近の研究の発展は,そのものの
.血管罫紙反射との密接な関係から,延髄に於け る血管運動中枢の位置に関し一暦詳細な研究を 必要とし來つた.
研究 方 法
実験には專ら猫を用ひ,基礎麻醇としては,初期の 実験にはO・259/kgのBrotacin注腸を,後期の実瞼 には,0・059/kgのDial腹腔内注射を用ひた,更に 補助麻酵としてエーテルを用ひながら気管にカニユβ
レを挿入し,両側頸動脈を結紮した後,後頭部より後 頸部にかけて皮膚切開をなし,後頭骨の一部を切除す る.次いで延髄を障碍せざる標細心の注意を払ひつS 小脳を捌出し,第4脳室底を露出せしめる.爾総実験 塗布56例の中,33製品於いてはクラーレを併用し,人 工呼吸の下に実験を途行ずるに事に依り,身体の運動 に依る反応を除外するに努めた.刺戟には直:径0.08 mmの軍極電極を用ひ,非刺戟電極は頸部切開創の筋 肉内に包埋した.刺戟にはサイラ1・ロン制御に依る電 気容量O・1μFの蓄電器の放電々流を用ひ,波高電 圧は約0・3ボルト,毎秒約3⑪回の刺戟頻度を以て標準
とし,刺戟効果を可及的限局ぜしめるために陰極側を 刺戟電極に連結した。
倉町にて動物の頭部を固定し,微動装置に結合され た電極を背面より垂直に刺入する學に依り,任意の高 さ並に深さに於いて延髄並に梧り種πの部位を刺戟
し,現れる血圧の変化を頸動脈に連結された水銀マノ メーターに依り,煤紙上に描記せレめた、刺戟の目的 を達した後は,直に刺戟電極を陰極側として約0・lmA の海流を3〜4秒間通電すれば,刺戟部位の位置は Weigert−Pal髄鞘染色に於いて,微細な壊死竈或は室 胞として之を確認する事が出來る.爾小脳の劉出藻作 等に依り自動呼吸運動停止し恢復しない場合,或はク ラ・・レの注射に依む血1圧が9⑪皿mllg以下に下降する 如き場合に於いては,実験成績は一般に不良であるの で,かSる例はすべて本報告より除外した,
実 験成 績
恒常的に刺戟に反応し,而も最:も著明な血圧 上昇を示す部位は,大体友白翼吻側端に相当す
る高さの孤束の周辺及び網割織の之に近接する 部位である(図3,D).此の部位の刺戟に反 応を示さない例では,他の如何なる部位も概ね 刺戦に応ずる事なく,此の部位の刺戟は実験途
行の適否を制断ずる上に於いて絶好の指針をな すものである.之より吻側に於いては,血圧上 昇反応を呈する部位は内側に拡がり,大休オリ ーブ町回測端の高さに至る迄の範囲で,基底友 自質の外側牛が網様織と相接する面を中心とす る一帯,主として共の腹側の網様織に薄い暦を
[ 122 ]
猫莚髄に於ける血管蓮動申枢に就いて 123
なして認められるが,此の部位の示す反応は前 者程には著しいものではなかった(図3,B,C),
荻:白翼吻側端と閂との中央部(以後此の部位を 友白山中央部と略称す)に相当する高さでは,
孤束周辺に於ける血圧上昇反応は著しく軽度と なるか:或は溝失し,時には却って減圧反応をさ へ呈する場合がある.然るに此の高さに於ける 網様織外側部では,孤束に近接する部位より延 髄の背腹略lt中央部に及ぶ範囲に於いて,素面 に対し常に著しい血圧上昇が認められる.閂の 高さでは孤束の周辺には血圧下降反応を認める 場合多く,一方網様織外側部に於ける血圧上昇 反応を示す部位は比較的広い範囲を占め,其の 反応程度は之より吻側の場合の刺戟に比して軽 度となる.閂の尾側1mmの高さでは刺戟に反 応する部分は存在するが,両反応共著しく微弱 となり,之より尾側では上殿の張さの刺戟に対 して反応する部位は殆ど証明されなくなる.
省顔面紳経義の附近に稀に軽度の血圧上昇反 応を証明したが,系統づけて其の位置を指摘す
る事は出來なかった.三叉祠1経脊髄根及び其の 核,索1三体,前庭榊経外側核に於いては定型的 反応を証明し得た事なく,前庭紳経脊髄根核に 於いては,:自白議論側端の高さに於いて,孤東 に近接した極めて限られfOceK位に血圧上昇反応
を認める場合があるが,果して此の反応が此の 核自体の一:部の刺戟に関聯するものか否かは断 言し難い.
一方刺戟に対し血圧下降を以て応ずる部位を 証明し得た例は比較:的少く,56例中藍か20例に 過曽なかった.然しながら其の反応する部位は 大体二つの場所に限定されるのを知った.一つ は義義翼の略it申央部に相当する高さより閂の 尾側約1mrnに亘る範囲で,血圧上昇を以て応 ずる部位の背側に相接して,孤束の周辺に甚だ 限局した柱駅の部位として認められ,閂の高さ に於いて特に反応が著しb。然しながら此の部 位の刺戟に依り全然反応を示さない:事も少くな く,或は軽度ではあるが却って血圧上昇を示す 場合さへある.此の背外側に位置する榔伏核,
或は薄核の刺戟は反応を示した事なく,又迷走 祠1経背側核に関しては,我々は反覆刺戟を試み たが認むべき反応を証明し得なかった.尚他の 減圧反応を呈する部位は,大体オリPブ核の吻 側端に相当する高さで,網様織内側部の中に比 較的広い範囲を占めて認められる.然しながら ヒのものの反応程度は上述の孤束の周辺に認め られるものに比して著しく軽度であり,反応を 証明し得た頻度も上述の部位に比し一 一位少い。
考 延髄の血管蓮動中枢に関し,初めて言及し允 のはCl.:Beri]tird 4)であらう.彼は第4脳室底 の穿刺に依り,肝臓の充血と共に糖尿の出現を 実証し得た.此の場合,延髄の表暦のみの穿刺 は無効であり,其の血温中央部の穿刺力§問題に なるとなし元.然しながら血管面面中枢そのも のに関する系統的研究は】』udwig学派のものを 最初とすべきであらう.
Ousjannikow(1871)21}は兎を用ひ,脳幹を 吻側より尾側に向って逐次切断しながら血圧を 測定する方法に依り,血圧に関与する部分は四 盤休の尾側1〜2mmの処より筆尖の吻側4〜5
按
mmの部位に亘る範囲に左右対称性に存在する とした.而も此の実験に於いて,血圧下降が血 管蓮動反射の消失に先立って惹起する事実よ
り,延髄の吻側部に血管蓮動反射とは無関係 な,血管に緊張作用を与へる部分があるとなし た.Dittmar(1873)8)は兎に於いて更に詳細な 実験をなし,血管運動申枢は筆尖の吻測3mm より:F⑪vea superiorに及ぶ範囲に存在すると 主張し允.
:Brustein(1901)5)は犬の延髄の直接刺戟実験 から,犬に於いては第4脳室底の申央部乃至尾 側3分の1に相当する範囲の両側二二網山亭に
[IB]
血管蓮動申枢が存在するとなし,其の尾側限界 は筆尖より2〜3mm吻測の部であるとなし允.
爾彼は此の部位の上界に相当する場所に血管拡 張中枢を想定した.
抑々延髄に於ける血管三論中枢の存在に関し ては,一般に肯定的の意見の学者が多いが,血 管拡張中枢の存在に関しては肯定否定の意見相 回し,更に此の両者と交感紳経或は副交感紳 経との関聯の問題となると未だ解決を見てみな いと見だ方がよい.古く減圧二心を発見した
Cy⑪n u. Ludwig(1866)7)は減圧棘経に依る減 ゆ圧作用を血管牧縮中枢の抑制に帰してみる.之
に反しOstroum⑪v(1876)20)は減圧棘i経を以て 血管拡張申枢を興奮せしむる作用あるものと考 へ1・affont(1880)12)は第4脳室底に於ける糖 穿刺の研究から,延髄に於ける血管拡張中枢の 存在に対し積極的な根拠を呈示してみる.其の
他Tschirwinsky(1896)32)J Fofanow u. Tschalu−
ss⑪w(1913)9), Martin&Mendenhall {1915)14),
Martin&Stiles(1914)15)等の血管運動反射に 関する研究も,血管拡張中枢の存在に関し甚だ 重要な支持を与へてるるものと見徹される.
一方Porter(1915)雪3)は猫及び兎の実験に於 いて,クラーレの注射は血圧には変動を与へざ
るも,1血圧反射を著しく増旧する事影勃}λ.
Porter&Turner(1916)2{、はアルコーールを兎の 静脈内に注射する事に依って,血圧には変動を 与へすして血圧反射の浩失を惹起せしめ得とな して,いつれも血管緊張機能と血管蓮動反射作 用とは別個のものであると主張してみる.
Rans◎n&Billingsley(1916)15)は猫の第;4脳 室底を直接刺戟する:事に依り,茨二二吻側端 部,即ちFovea lnferiorに相当する甚だ限局し た部位に著明な反応を以て応ずる血圧上昇点を 認め,閂の直外側のArea postremaに血圧下 降点を発見し;尚必らすしも定常的ではない が,顔面瀞経回の領域並に三二申経脊髄根の刺 戟より.血圧上昇反応を証明し,之等の反応は両 側迷走門経の切断に依り影響を受けない:事を確 認し得た.Sc⑪tt&Roberts(1923)29)はRans⑪n
等の実験の追試をなし,.血圧下降点は大体に於 いて指摘された場所に存在するも,此の反応に は両側迷走紳経切断に依り消失する心臓抑制効 果の共存を認め得る事から,其の部位はMiller
&Bowman(1916)1G>の言ふ心臓抑制中枢と同 一視さるべきものであり,從って此の点は減圧 反射弓の求心側が延髄の表面近く二品場所,即 ち恐らく迷走紳経回の求心性織維の一部,或は 其の絡二部と解さるべきものであらうと結論 した.一一方彼等は血圧上昇反応に関しては,
Ranson等の如き一定の成績を得す,軽度に麻 醇された動物に於いて強い刺戦を以てすれば,
延髄の如何なる部位も血圧上昇を以て応じ,
Fovea inferi⑪rに於いては其の他の部位に比し て,輩に血圧上昇反応が得易いといふ点に於い てのみRanson等の結果と一致すると述べてみ
る.術Sc⑪tt(1925)2s)は第;4且歯二二諸部分の,
ストリヒ=ン溶液塗布及び熱凝固に依る血圧反 射遮断実験からも上述の結論を裏づけ てるる.
Chen,:Lim, Lu, Wang及び:Yi 6)等は:上述 のRanson&:Biltingsleアの血圧一h二二及び血 圧下降点が現す他の種々の植物機能的性質に関 8
して広範囲な実験を行ぴ,之を1936年より 193 年に亘り7編の論文に発表した.彼等に依れ
ば,所謂血圧上昇点は,其の他の性質に於1,t h,て も交感性の反射中枢としての色彩を有し,其の 求心路は脊髄の背側牛を両側性に上昇し,遠心 路は前側索を二二性に下降するとなした.街此 の反応部位は哺乳動物に於いては第4脳室底の 比較的尾側部に存在するに反し,鳥類,両棲 類,魚類等の下等脊椎動物では,其の吻側端に 近く存在する事を立証し,いつれの場合も前庭 三二核と密接な関係に立つものと考へ,横紋筋 の緊張に関係する此の核は同時に『二品筋の緊張 作用にも関与するであらうとの想定を揚げた.
一方閂の直外側に認められる血圧下降点は副交 感性の性質を示すが,其の遠心路に関する実験 的二二は,そのものが脊髄後側索を両側性に下 降し,交感紳経索に入ると解釈すべき結果を示 した事より,血圧下降点に対し彼等は副交感中
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猫延髄に於ける血管運動申枢に就いて 125
枢なる名称を附する事を回避し,交感紳経抑制 中枢なる名称を用ぴた.
最:も注目に値するのはWan9&Ranson(19 39,a):13)の下部脳幹の電気的刺戟に対する自 律反応と題する精力的な研究報告である。彼等 はNembutal下肥の下に,小脳を障碍せざる猫 を使用して,双極電極を以て橋及び延髄の種々 の部位を系統的に刺戟し,其の反応を記録し掩
(第5図).橋に於いては脳室周囲の次白質及び 被i蓋に軽i度の血圧上昇反応を以て応ずる部位の 存在を認め得たに遇ぎなV・が,延髄では基底友 白質並に其れに接する外側網二二の背側部に著 明な血圧上昇反応を以て応ずる部位の存在を確 認し得た.叉延髄の外側網様織の中,血圧上昇反 応を認める部位の外側,及び内側網様織の刺戟 からは軽度の血圧下降反応が得られ,延髄の尾 側端附近に於いては,其の背側の比較的表層の 部位の刺戟から著明な血圧下降反応が得られる と蓮べてるる.彼等自身上述の成績のみを以て しては反応の構成が織維の刺戟に依るものか,
細胞の刺戟に依るものかタ或は二合要素よりな るものかを決定する事は出來ないと述べてみる が,橋被蓋の刺戟に対する血圧上昇反応は軽度 であるのに反し,第4脳室底尾側二二び其れに 隣接する外側網様繧の示す反応の著しく大きい 事実は,縄床下部より下降する織維群が此の部 位に於いて集中するといふ可能性のみにでは論 明し難く,延髄自体に何か血管蓮動調節に関す
る附加的要素の存在を暗示すると結論した.
我々の実験に於V・て用ひられた刺戟の彊さ は,切断せる迷走紳経及び坐骨紳経の中心端,
或は三叉紳経脊髄根に対して殆ど.血圧反応を呈 しなU 程度であって:,上述のRans⑪n&Billi−
ngsleyの実験の如く延髄の表面から刺戟する時 は如何なる部位も反応を示さない程度の甚だ微 弱なものである.勿論輩極電極の欠点はある が,我々の用ぴた条件では其の刺戟範囲は極め て限局されたるものなる事が証明されてみるか ら,電極刺入に依る磯械的障碍の極めて軽度な 事を考慮に入れる時,寧ろ双極電極に依る刺戟
に勝るものがあると考へStVS.初期の実験に於 いてはBrotacin及びエーテルのみに依る麻醇 を用びたが,刺戟時:或は刺戟部位の確認のため に下流を通電する際に身体運動を呈する事があ り,叉呼吸蓮動の変化等に依る障碍も除外出來 lS Vsので,後期の実験例の大多数に於いてはク
ラーレを注射し,随意蓮動を停止せしめ,人工 呼吸装置を使用しつX血圧を記録した, 尚後期 の実験には基礎麻醇として專らDia1の腹腔内 注射を採用した.
以上の条件の下に於ける我々の実験に於い て,Scott&Robertsの意見に反し,減圧反応 を証明し得た打数の比較的少いのは,クラーレ の使用(Ranson&Billingsley),或は叉不良な る実験操作(Miller&BOWman)trc#i・因すると いふ可能性の他に,減圧反応を呈すべき要素と 昇圧厘応を生する要素とが混在し,前者の反応 が後者のために打潰され記録に現れないといふ 可能性も否定出來ない.然しながら刺戟効果を 認め得た殆ど総ての例を通じて,血圧下降反応 を示す部位の一一・つiCS,三白翼の略it中央部に相 当する高さより,門より尾側約1intnの部に亘
る範囲に於いて孤束の周辺に限:局した柱歌の:部
分として証明せられ,減圧中枢はRansOn&
:Bi11ipgsleアの言ふ如き点朕のものでは:ないQを 確認すると同時に,叉Miller&B⑪wma11(1916)
の主張するが如き迷走門経背測核に一致するも のでもなV・事を確実となし得た事は特筆に値す る.他の減圧反応を示す部位は,大体オリーブ 核の吻門端に相当する高さで,網様織内側部の
中に証明せられるが,其の反応程度は前述のも の思比して著しく小さく,証明率も少い.
一方定常的に著明な血圧上昇反応を示す部位 は,半白難吻側端の高さに於いては,孤束の周 辺並に之に近接する網様織外側部の一部門存在 するが,尾側に移るにつれて次第に其の位置を 腹側に転じ,血圧下降反応を示す部位の腹側に 相隣るに至り,相平行して位置しつ三二より尾 側約1mmの高さに迄達する. r一一一A方友下翼吻側 端より吻剣では梢ζ趣を異にし,大体オリ・ 一ブ
E 12S ]
核の吻側端に相当する高さに至る範囲に於い て,基底友白質外側孕が網様織と相接する一.
帯,殊に主として網様織の側に薄い暦をなして 血圧上昇反応を呈する部位が存在する.
以上我々の得た結果は,恰もWang&Ranson
(1939,a)の実験成績を圧縮し允かの如き観を 呈する.勿論我々の実駈高富を以てしても,反 応を現す・部位が果して血管握;動申枢なりや,:或 は血管蓮動反射弓の一部と解釈さるべきやは断 定する事が出島ない.然しながら用ひられた刺 戟の彊さが,末梢神経申の血管蓮動反射織維に 対しては閾値以下のものである事を考慮に入 れ,而も対朧な反応を示す二つの部位が相隣接 しつN,上腹部内臓知覚に関係ある迷走榊経 核,及び骨盤内臓知覚に関係を有すると考へら れる腰仙髄延髄路(久留)11)の経二三の存する 延髄の一限局部位に平行,或は重氏しつ執存在 する事実ば,上蓮;の範囲がpitts, Magoun&
Rans⑪n(1939)LN2> ¥の呼吸中枢の拡がりと略it 一致する事柄と共に,延髄に於ける血管蓮動中 枢の意義にある程度の高明を与へるものであら う.殊に最も著明且定常的に血圧上昇反応を示 す上述の部位が,最:近扇谷に依り同一動物に確 認せられた腰仙髄延髄路19}の絡末音区の一部,特 にa群並にb群と仮称された繊維群の絡二部と 密に隣接する事実は最:も興味深い.
叉Wan9&Ranson(1939, b)31)に依れば,
直接刺戟に対し著明な血圧上昇反応を以て応ず る第4脳室底友白質の尾側牟を障碍するも,覗 床下部刺戟の現す血圧上昇反応には影響のない 事実は,第4脳室底友白質の尾側宇に牟独立的 な血管蓮動反射中枢の存在を暗示するものとな し,彼等は此の種延髄基底友白質の中枢に対し,
やはり彼等の実験で反応を見せた外側二三織を 以て硯床下部の血管三品中枢の主要遠心路を含 むものとなした.其の論議,迷路刺戟に依る血圧 下降反応は,同側の前庭祠1経内側核の魚雷に依 り鴻失せしめ得ると言ふSpiegel u. D6mεtriades
(1924):ll>の結論も,我々の実験成績と対比する 二二だ示唆に富み,此の方面に伺検討すべき幾
多の問題を残してみる事を思はしめる.然しな がら我々の実験に於ける第4脳室底尾側牛の刺 戟に依る血圧上昇反応の成績は,基底荻:白質自 休の刺戟に基く場合よりも,寧ろ之の腹側に直 接する網檬織元背側部の刺戟に基因すると信 ぜしめる場合の:方が多い点に於いてWamg&
Ransonの結論とは必ずしも一致しない.
以上我々が猫に於ける実験から証明し得た延 髄の血管運動中枢の位置は,人聞の解剖学にも 該当性を見出すであらうか。Miiller u. Glaser
(1913)17)(1931)ユ。)は延髄の障碍に依って血圧 異常を面したと思はれる症例の見当らない事よ り,此の部位に血管蓮動乱枢の存在を仮定する 事に疑問を持つたが,Marquis&WIIliams(19 38)恥も中枢祠軽系の種kの高さに障碍を有す る患者に就いて血管蓮動反射を研究し,入聞に 於いては外部刺帳に対する血管運動反射の求心 路は,脊髄覗漏路であるべしと妬き,反射弓の 頂点を高床より下位に求め,上記下部を以て之 に擬してみる.一方N⑪rdmami u, Miiiler(19 32)ls)は他の臨膵症欺の増悪と共に次第に進展 せる著明な高ゴ一品を呈し,約4週間の経過を以 て死亡せるハイネメデイン氏病の症例を剖証 し,顔面紳経核の高さより舌咽紳経核の高さに 至る範囲に於いて,友二二檬織の細胞に著明な 退行性変化を認め,之を以て:高血圧の症朕に本 質的の関聯あるものと結論し,salus(1932)27)
も亦同様の報告を行った.最近:Baker, Matzke
&:Brown(1950)2)は循環機能障碍の証歌を以 て死亡せる7例の延髄荻:白質炎:の症例を槍索 し,延髄網様織内側部の比較的大型の細胞を以 て循環調節機能に関係あるものとなした。然し ながら一般に中枢示門経系の障碍と血圧異常とを 直接結びつけ得る好適な症例の報告が,現今迄 極めて少ない事は否定すべくもなく,今後此の
:方面の詳細な臨沐的研究を件ふ精密な病理報告 例のみが此の問題を解決に導き得るであらう.
[ 126 ]
猫延髄に於ける血管運動中枢に就いて 127
要
:Brotacin或はDialに依って麻惜し,大多数 に於いてはクラーレ併用に依り随意蓮動を停止 せしめた猫に於いて,小脳捌出に依り,第;4脳 室底を露出し,三極電:極に依り,微弱な蓄電器 放電電流(坐骨祠1経中心断端の刺戟に依り反応 』 を得ざる程度,サイラトPン制御)を以て橋並 に延髄の種々の部位を刺戟し,血圧の変化を記 録観察した,
著明な血圧下降を以て応ずる部位は,友白翼 の略it中央の高さより閂の尾働約1mmの高さ に亘る範囲に存在し,孤束の周辺に比較的限局 せる柱駄の部分として証明し得られるが,オリ ーブ核吻側端の高さに於いても,網様織内側部 に軽度な血圧下降を以て応ずる部位が認められ
る.
約
著明な血圧上昇を以て応ずる部位は,灰白翼 吻側端の高さでは孤束の周辺並に之に近接する 網三門の中に認められ,之より尾側では反応部 位は次第に腹側に移り,血圧下降を以て応ずる 部位の腹側の網様織外側部内に,其れと相接触 し李面して認められる。血圧上昇反応を呈する 部位の吻側限界は,我々の実験では大体オリー ブ核吻側端の高さであって,このものと面白翼 吻側端の高さとの間に於いては,基底荻白質の 外側牛が網様織と相接する一帯,主として其の 腹側の網網織に薄い暦をなして軽度の血圧上昇 を以て応ずる部位が証明し得られる.
上筆するに当り,御懇篤なる御指導と御鞭捲を賜り 御校閲を辱ふぜる恩師久留寂授に心からの感謝を捧げ 併せて教室.員各位の御助力に謝意を表する.
文
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[ R8 ]
山本論文附囲 (.1)
∫魁鶴
第 1 図
灰白翼吻側端の高さ.孤東周辺の刺戟に対し著明な血圧上昇を以て応ず.
の下に人工呼吸を施行す).
(クラPSレに依る麻痺:
第 2 図
鱈戟
閂の高さ.孤束周辺の刺戟に対し著明な血圧下降を以て応ず。
呼吸を施行す).
(クラーーレに依る麻痺の下に人工
第 3 図
猫延髄各横断面に於ける血圧反応
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ぎ 轡 /
一Nr,h
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/ レ・一・t㌧
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塾
解 繍撃
慰轡
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鯵
。 轟
A
著明な血圧上昇反応瀦。雌頭竜以上 軽度な血圧上昇反応PmmH彗以下
著明な血圧下降反応20mm].lg.以上 軽度な血圧下降反応19mmXX9以 下
Ac 茨 白 翼 Cr 索 賦 体
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:Ng・r 薄 核 N・vze「 顔面紳経核
NV凱1前庭瀞経外側核
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山本論.文.附圖 (3)
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第 4 図
猫延髄に於ける血圧中枢分布模式団
■ 著明な血圧上昇反応
△ 著明な血圧下降反応
AC 茨白丸
0量 オリーブ核
Ts 孤 束
山本論文附圖. (5)
第 5 図
Wau9及Ransonに依る血圧反応
盲.
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〃〃 〃 〃 (⑪町90mm・前夕・)
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