• 検索結果がありません。

純戦略均衡と合理化可能性について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "純戦略均衡と合理化可能性について"

Copied!
14
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

純戦略均衡と合理化可能性について

大 石 英 貴

   (人間科学)

1.序

 ゲームのプレイヤーの合理的な行動を記述する概念を解とすると,ナッシュ 均衡は最も基本的な解である。相手の戦略を固定したときに,どのプレイヤー にとっても最適な戦略であるような状態である。しかし,一般にはナッシュ均 衡は必ずしも存在しない。解の条件として,すべてのゲームに存在することを 要求するならば,ナッシュ均衡は不十分である。

 von−Neumann and Morgenstern(1944)で,2人有限ゼロ和ゲームにおいて,

戦略集合を確率分布の集合である混合戦略へと拡張して解の存在の問題が解決・

された。また,Nash(1950)は有限ゲームでは混合戦略の範囲で均衡が必ず存 在することを示した。しかし,ゲームを各プレイヤーのベイズ意志決定問題と 見なす立場ではこのような混合戦略は不要である。プレイヤーは期待利得を最 大化する戦略を選べばよいわけで,わざわざ混合する必要はない。戦略集合を 混合拡大することは,ゲームの結果を合理的な解として認識するときにのみ必 要となる。

 プレイヤーが混合戦略を利用するということを厳密に考えてみよう。確率分 布である混合戦略が利用可能となるためには,その分布を生ぜしめる確率変数 が不可欠である。その確率変数の観察結果に応じてプレイヤーは戦略を選ぶ。

つまり,混合戦略への拡張はプレイヤーに情報を利用する機会を与えるという

ことを意味し,それはゲームを元の構造を変えることである。

(2)

 この稿では,戦略集合の混合拡大というゲームの変形ではなく,プレイヤー の行動を記述するある解を定義することによって,解の存在の問題を解決する ことを試みる。

1,−1

一1  1   ,

一1  1   ,

1,−1

図1

 例を用いて説明する。図1のゲームを考える。これはマッチング・ペニーと 呼ばれるタイプのゲームである。プレイヤー1と2が,同時に表(幻か裏

( )を言う。それが一致すればプレイヤー1が勝ちで,プレイヤー2から1 単位の利得を得る。異なっていればプレイヤー2が勝ちで,プレイヤー1から

1単位の利得を得る。ここでは純戦略均衡は存在しない。

γ1

∫1

1

γ2 S2 2

10, 9 9.10 0, 0 9.10 10, 9 0, 0 0, 0 0, 0 1, 1

図2

 図2のゲームでは,唯一の純戦略均衡は,([∫、],[r2])である。しかし,

両方のプレイヤーにとって戦略ηやs,は大変魅力的である。このゲームの結 果が,唯一の純戦略均衡であると断言するのは難しい。

 以上2つの例で,純戦略均衡はゲームのプレイヤーの合理的な行動を記述す るという目的のためには不十分であることが分かる。その原因は,純戦略均衡 は条件が強すぎて,プレイヤーの行動を記述する力が弱いということである。

これを解決する手段の1つが,戦略を混合拡大することである。図1のゲーム

(3)

では,それぞれの純戦略を1/2ずつで混合する均衡(去肋]+十[r],十肋]+

去田)が存在し,図2のゲームではγ輌とs,のみを混合する均衡が両方のプレ イヤーにかなり高い利得を与える。混合戦略への拡張は,確率分布を用いて戦 略の集合を大きくすることによって,行動の記述能力を高めることであり,均 衡概念を混合戦略上に適用したものである。

 もう1つの方法は,戦略集合はそのままにして均衡概念を弱くすることであ る。具体的には,各プレイヤーの複数の戦略の組をゲームの解とすることであ る。均衡は各プレイヤーに1つの戦略を規定するものであるが,各プレイヤー に必ずしも1つの戦略とは限らない戦略の部分集合を規定することを考える。

このような集合としての解は,支配された戦略の削除を繰り返すという操作に その端緒が見られる。もし,残った戦略が各プレイヤーに対レて1つであれば,

それはナッシュ均衡であるが,複数である場合も何らかの解の候補として考慮 されている。また,Bemheim(1984)とPearce(1984)では,支配されるとい う概念の代わりに最適ではないという概念を用いて同様の繰り返し削除を行い,

その結果に残った戦略を合理化可能であると定義した。Farrell(1988), Watson

(1991)では,コミュニケーションの可能なゲームにおいて,プレイヤーの間の 可能な合意を戦略の集合の組で定義している。主観的予想に慎重さを要求した

ものとしては,B6rgers and Samuelson(1992), Samuelson(1992)がある。

2.戦略の集合の組の安定性

 戦略形ゲームr=(N,(S輌),∈N,(μi),酬)において,Nは有限のプレイ ヤーの集合,&はプレイヤーゴ@∈N)の有限の(純)戦略集合,砺:×にN

&→Rはプレイヤーiの利得関数とする。

 プレイヤーは独立に戦略を選択する。各プレイヤーは,他のプレイヤーの選 んだ戦略に関して主観的な予想をして,その予想の下で期待利得を最大化する 戦略を選ぶ。一般に,有限戦略X上の確率分布の集合を4(X)とする。プレ

イヤー元の戦略集合S」上の確率分布4(Sフ)は,プレイヤー元の選ぶ戦略に

(4)

関して,プレイヤー∫以外のプレイヤーがもつ予想の集合であり,その典型 的な要素をのと表す。(なお4(S?)はプレイヤー∫の混合戦略集合と解釈す ることもできる。)また,σノによって戦略sノに割り当てられた確率をの(sノ)

と表す。プレイヤーiの主観的予想の組の集合は×ゴ+,4(Sゴ)であり,その

典型的要素はσ一、=(σ,)は、である。

 プレイヤーゴが,主観的予想σ一、をもち,戦略s、を取るときの期待利得を μ,(σ市∫,)と表すことにする。主観的予想σ一、に対する最適戦略とはこの期 待利得を最大化する戦略であり,その集合をB,(σ.,)

とする。すなわち,

Bε(σ_ )=argmaxμ (σ_9,∫ ).

     ∫,∈sε

 プレイヤーiの戦略集合S,の空でない部分集合を君とする。万はプレイ ヤーiが取る可能性のある戦略の集合であり,ハに含まれない戦略は決して 使われないと解釈される。プレイヤー は,プレイヤー∫の戦略の集合万に 対して,万内のどの戦略を取るかに関して主観的な予想をする。その予想は S、上の確率分布であり,のに含まれない戦略には確率0を割り当てるもので ある。その集合を4(万)と表すことにする。すなわち,

4(万)={σ,:s、→Rlσ、(∫、)≧o(∫,∈万);

      σ、(∫ゴ)=0(sノ庄7》);Σ、,φ(sノ)=1}

となる。プレイヤーiにとって,他のプレイヤーの戦略の集合の組丁一,=

(万)は1に対する主観的予想の組の集合は×戊幸i∠(万)となる。

 プレイヤーiは,7L1を所与として,それに対して主観的予想を持ち,その 下で期待利得を最大化する戦略を選ぶ。ゲームでのプレイヤーの合理的な行動 を記述する解として,部分集合の組丁=(τゴ)、.Nを考えるとき,どのような 条件が必要であろうか。

 図1のゲームで7、1={γ1,s、},7〕2={72,∫2}とする。プレイヤー2の戦略集

(5)

合712に対して,プレイヤー1がどのような主観的予想をもっても,τ1内の 戦略を選べば最適であり十分である。また,T、内のどの戦略も,乃上のある 予想に対する最適戦略となっている。以上2つの意味でこの戦略の集合の組

(7i,712)は均衡と同じような好ましい性質をもっている。

 この議論より次の性質を定義する。

定義1 (1)戦略の部分集合の組丁=(飢),.Nが,すべてのi∈N,すべて  のσ一,∈×片辺(万)で,Z∩B,(σ一,)≠φとなるとき,外部安定であ  るという。

(2)戦略の部分集合の組τ=(Z),∈Nが,すべてのi∈」V,すべてのs∫∈

 万で,あるσ一,∈×ノ⇔4(万)を選び,s,∈B,(σ一,)とできるとき,内  部安定であるという。

(3)戦略の部分集合の組が,外部安定かつ内部安定であるとき,安定である  という。

 外部安定性は,すべてのプレイヤーiにとって,相手の戦略集合の組欠一,

に対するどのような予想についても,その最適戦略が自分の戦略集合乃の中 にあることを意味している。つまり,τ一,を所与とすると,自分はZから逸 脱する誘因はない。内部安定性は,すべてのプレイヤーゴにとって,戦略集 合Z内のすべての戦略は,相手の戦略集合の組丁一,に対するある予想につい ての最適戦略となっていることを意味している。つまり,τ一,を所与とすると,

万は取られる可能性のある戦略の集合として正当化されている。安定な戦略 の集合の組とはこの2つの性質を持つものである。外部安定でなければ逸脱が 起こり,内部安定でなければ決して取られない戦略を含む。

 戦略の全体集合の組(&)i.Nは外部安定である。実際,すべての」∈N,

すべてのσ一,∈×片辺(万)で,当然S,⊃ぴ(σ一ルであり,S、∩ぴ(σ一、)≠

φとなる。

 プレイヤーゴの混合戦略τ ∈4(Sルに対して,τ、が正の確率を割り当てて

(6)

いる純戦略の集合をτ、の台といい,suppτ,と表す。すなわち,

SUPPτ2={s2∈S81τ (sε)>0}

である。任意の混合戦略均衡τ=(τ,),.Nの台の組(suppτ,)、.Nは内部安 定である。実際,τが混合戦略均衡ならば,すべてのi∈Nとすべてのs、∈

suppτ,で∫,∈B,(τ一,)である。また,当然τ一,∈×片,4(suppτ川である。

 したがって,外部安定な戦略の集合の組,および(混合戦略均衡の存在よ り)内部安定な戦略の集合の組は,それぞれ少なくとも一つは存在する。

 安定な戦略の集合の組と純戦略均衡との関係は次の命題で述べられる。

 命題1 戦略の組∫=(s,),∈Nが純戦略均衡であるための必要十分条件は,

({s,})、∈Nが安定であることである。

 証明 プレイヤーiにとって({sノ})ノ+,に対する予想は,各sノに確率1を 割り当てるもののみであり,安定の条件は,すべてのi∈Nで,s,∈B,(s−,)

となる。これは∫が純戦略均衡である条件と同値である。□

 この命題によって,安定な戦略の集合の組は純戦略均衡を拡張した概念であ ることが分かる。

 図1のゲームでは安定な戦略の集合の組はただ1つ,全体集合の組

(伍,r},仇, })である。図2のゲームでは安定な戦略の集合の組は3つあり,

({ 1},{τ2}),({γ1,∫1},{γ2,S2}),({γ1, Sl,∫1},{γ2, S2,τ2})である。

Sl

『1

S2 2 1.1 1.0 0.1 0.0

図3

全体集合の組が必ずしも内部安定でない例は,図3のゲームである。ここで

は∫,がちを支配している。ゆえにτ,はどのような予想に対しても最適では

ない。安定な戦略の集合の組は({∫1},{∫2})のみである。

(7)

 混合戦略均衡の台の組が必ずしも外部安定でない例は,図4のゲームである。

唯一の混合戦略均衡(▲[γ1]+▲[S、],§[52]+き[τ2])の台の組({η,∫、},

{s2,∫2})を考える。{s2,τ2}に対する予想はσ2=ρ[s2]+(1一ヵ)[r2](0≦

ヵ≦1)と表されるが,ここで0≦ヵ<1/3のときは唯一の最適戦略はτ、と なる。τ1(華{γ1,S1}であるので逸脱が起こり,外部安定ではない。安定な戦略 の集合の組は全体集合である({グ、,S、, r、},{S2,∫2})のみである。

γ1

∫1

1

∫2 『2

3.0 0.1 2.1 2.0 0.1 3.0

図4

 安定な戦略の集合の組の存在を示すために,以下の予備的定義をする。T=

(Z)口N,T =(7γ),。N,ただしφ≠ハ,7∵⊂S,@∈N)に対して,すべ てのi∈Nで万⊂7γのとき7 ⊂T と定義する。さらに,7 U7V=

(τゴUT )、∈N,τ∩τ =(万∩7γ)i∈Nとする。

次の補題は,内部安定性は集合の和によっても保存されることを述べている。

 補題1 (Z),∈N,(7∵),∈Nが内部安定ならば,(7㌧U7γ),∈Nは内部安定 である。

 証明 (τ2),∈Nと(77),∈Nが内部安定であるとき,各ゴ∈Nで,∫,∈7》

ならば,あるσ一,×ノ+,4(万)に対して∫,∈B,(σ一ルであり,s、∈7∵なら ば,あるσ一, ∈×戸辺(7γ)に対してs,∈ぴ(σ一, )である。また,すべての

∫で4(万)⊂4(7}U77)かつ4(7㌃)⊂4(万∪万 )である。したがって,

すべての∫,∈T,∪7γに対して,あるτ一、∈×ゴ+辺(7》U1γ)を選び,∫,∈

ぴ(τ一∂とすることができる。すなわち,(万U17),∈Nは内部安定である。□

この補題の系として内部安定な集合の和集合の組は最大の内部安定な集合の

(8)

組であることが得られる。

 外部安定性と内部安定性および集合の包含関係については,次の補題が重要 な結果を与える。

補題2 (1)極小の外部安定な戦略の集合の組は内部安定である。

(2)最大の内部安定な戦略の集合の組は外部安定である。

 証明 (1)τ=(万)f∈Nを極小の外部安定な戦略集合の組とする。すなわ ち,各i∈凡すべてのσ一ゴ∈×片,4(万)で,Z∩B,(σ一,)≠φ,かつ,τ

⊆Tなる外部安定な戦略の集合の組7 は存在しない。ここで,T,={r,}す なわち要素が1つであるi∈Nにおいては,外部安定の条件は,すべての σ.i∈×バ 4(万)でr、∈Bi(σ.i)となるので,内部安定の条件を満たす。

以下,背理法で示す。Tが内部安定でないと仮定する。すなわち,あるん∈

」Vで#処≧2かつ,あるs〆∈五はすべてのσ一κ∈×∫勃4(万)に対して

∫〆∈瓦(σ一のである。ここで7V=(Z )圧N,ただし7∵=乞@≠ん)かつ τ此 =τ仁{∫ }を考える。i≠んにおいては,×ノ. 4(万)⊃×ゴ⇔4(7γ)で あるので,すべてのσ一,∈×、幸,4(7γ)で7∵∩B,(σ一i)≠φ。またんでは,

×ゴ靴4(乃)=×ゴ靴4(7γ),かつ,s〆はどのσ_此∈×ゴ杜4(万)に対し ても最適ではないので,すべてのσ一永×ノ杜4(万 )で7 〆∩疏(σ一k)≠φ。

ゆえに,7 は外部安定である。7V⊆τなので,これはτが極小の外部安定 な戦略集合であることに矛盾する。

 (2)τ=(τ),∈Nを最大の内部安定な戦略集合の組とする。すなわち,各 i∈N,すべてのsゴ∈乃で,あるσ一,∈×∫⇔4(万)を選び,Sf∈B,(σ一i)

とできて,かつ,すべての外部安定な戦略の集合の組τ に対してτ ⊂Tであ る。なお,乞=&なるi∈Nにおいては,外部安定の条件は当然満たされて いる。以下,背理法で示す。7 が外部安定でないと仮定する。すなわち,あ る〃∈Nで処⊆Sκかつ,あるσ一〆∈×ゴ靴4(万)に対して処∩疏(σ一の

=φ。ここでs〆∈疏(σ一のを任意に選ぶ。そして7V=(7γ),∈N,ただし

乃1=7 ∫@≠ん)かつτ此 =処∪{  ノsκ}を考える。i≠〃においては

(9)

×ゴキ辺(万)⊂×ゴ.、4(17)であるので,すべそのs,∈宏に対してあるσ一,

∈×ゴ+i4(1γ)を選び, s,∈B,(σ一,)とできる。また,κでは×ゴ杜4(万)

=×」杜4(7y)かつ, s〆の選び方より,すべてのs ∈乃に対してあるσ一k

∈×∫杜4(7膓)を選び,∫ ∈.疏(σ一丘)とできる。ゆえに,7Vは内部安定 である。7V⊆τなので,これはTが最大の内部安定な戦略集合であること に矛盾する。口

 この補題は内部安定性と外部安定性が双対的な性質であることを述べている。

外部安定な戦略の集合の組の中で極小のものは,内部安定でもあり,ゆえに,

極小の安定な戦略の集合の組である。内部安定な戦略の集合の組の中で最大の ものは,外部安定でもあり,ゆえに,最大の安定な戦略の集合の組である。

 以上の補題によって,安定な戦略の集合の組の存在が保証できる。

命題2 すべての有限ゲームで安定な戦略の集合の組が存在する。

 証明 2通りの証明が可能である。

(i)外部安定な戦略の集合の組が存在することと,補題2(1)よりそれらの中 で極小のものは内部安定である。

(ii)内部安定な戦略の集合の組が存在することと,補題2(2)よりそれらの中 で最大のものは外部安定である。口

 安定な戦略の集合の組は必ず存在する。小さいものは精密な解であり,大き いものは普遍的な解であるといえる。

3.合理化可能性

 合理的な行動の候補として,各プレイヤーに複数の戦略を規定する概念は他

にもある。戦略の間の「支配」という関係を使って,支配された戦略を繰り返

して削除する操作によって残った戦略の概念はその1つである。そこでは,支

(10)

配された戦略は決して使われることはない,という考えの下で,取られる可能 性のある戦略を求めている。Bernheim(1984)とPearce(1984)では,支配の 代わりに最適戦略の概念を使って,最適ではない戦略を繰り返して削除する操 作によって残った戦略を合理化可能と定義した。

 予備的な定義をする。各プレイヤーが相手のプレイヤーの戦略に関する予想 に対して,自分の戦略の一部分の中で最適な戦略を選ぶことを考える。すべて のi∈N,すべてのσ一ゴ∈×片,4(S∫),すべての空でないの⊂5,に対して,

主観的予想σ一,のもとで万の中での最適な戦略の集合をB,(σ,IT,)とする。

すなわち,

B,(σ.,1τ,)=・・gm・xμ1(σ.,,S,).

      s,∈の

なおB,(σ一,17D=B,(σ一,)となるための必要十分条件はZ⊃B,(σ一、)であ ることは明らかである。

 合理化可能戦略集合の組を定義する。

定義2 各 κ=1,2,…,各i∈Nで以下のように帰納的に定義する。

 5,(0):=S,,

 &(〃):={∫1∈S,1あるσ一,∈×ノ⇔4(S(ん一1))で

       s,∈B、(σ.,15、(ん一1))},

 R,:=∩と_1°°S,(ん).

1〜,を合理化可能戦略の集合という。

 合理化可能戦略の集合は,元の戦略集合から最適反応でない戦略を削除する

ことを繰り返して得られる。プレイヤーiは,他の各プレイヤーの戦略集合

S上に主観的な予想をして最適な戦略を選ぶ。ゆえに,(sフ)ゴ.,に対するあ

る予想に対して最適である戦略のみが取られる可能性があり,その集合は

S,(1)である。戦略の全体集合から決して選択されない戦略を削除したことに

なる。同様に,他のプレイヤー∫も同様にSゴ(1)内の戦略に制限できる。次

(11)

γ1

S1

1

γ2 S2 τ2

1.1 2.0 1.0 0.2 1.2 2.1 0.1 1.0 1.2

図5

の段階では,プレイヤーiは,他の各プレイヤーの戦略集合島(1)上に主観 的な予想をして,最適な戦略を選ぶ。ゆえに,(Sノ(1))は、上のある信念に対 するS,(1)内の最適戦略のみが取られる可能性があり,その集合がS、(2)で ある。このように,残った戦略のうちで,相手の残った戦略の最適反応でない ものを排除して次の段階の戦略集合とする。各プレイヤーでこの操作を繰り返 し,その極限が合理化可能戦略の集合となる。

 図5のゲームでは,

  S(1)=({γ1,Sl},{γ、,3、, r2}),

  S(2)=({γ1,∫1},{γ2,s2}),

  S(3)=({γ1},{γ2,∫2}),

  S(4)=({γ1},{乃}),

  S(5)=({γ1}, {γ2}), …

となり,合理化可能戦略の集合の組はR=(({γ、},{γ2})である。このゲーム

では単一の戦略の組になっているが,図1,図2,図4のゲームでは,合理化 可能戦略の集合の組は戦略の全体集合の組に等しい。

 合理化可能戦略の存在は保証されている。

補題3 合理化可能戦略の集合の組は空ではない.

 証明各&は有限集合であるので,すべてのん≧0,すべてのi∈Nで,

畠(〃)≠φかつS,(〃)⊃S,(ん十1)。ゆえに,ある有限の〃〆≧0で,S,(初 )

=&(〃〆十1)=…となる。定義よりR,=S,(〃の。したがって,1〜,は空では

(12)

ない。口

 合理化可能戦略の集合の定義で使われる戦略集合の縮小について,次の結果 が言える。

補題4 すべてのん≧0,i∈N,σ一,∈×、.,4(s、(ん))に対して,

B,(σ.,)=β、(σ.,ls,(ん))

が成り立つ。

 証明 帰納法で証明する。〃=0のときは明らか。〃=勿のとき正しいと 仮定する。すなわち,すべてのi∈N,σ一、∈×パ,4(s、(〃2))に対して,

B,(σ.,)=B,(σ.,ls,(物))

今,s,∈B、(σ一,)とすると,仮定より∫輌∈B,(σ一,lS,(勿))であり,定義よ り∫,∈S (吻十1)。ゆえにB∫(σ一,)⊂S,(初十1)。すなわち,B,(σ一,)=

B∫(σ一,IS (勿十1))。また×片,4(S(卿十1))⊂×ノキ,4(S(物))であるの で,すべてのσ一、∈×声4(Sノ(勿+1))に対して,B,(σ一↑)=β、(σ.,lS,(〃2 十1))。ゆえにん=・〃2十1で成立する。□

 S、(ん)は,あるσ一,∈×ノ⇔4(S∫(〃−1))に対して,それまでに残ってい る戦略の集合S,(ん一1)の中で最適な戦略の集合である。しかし,上の補題よ り,すべての戦略の集合&の中で最適な戦略の集合でもある。

 合理化可能戦略は,合理的なプレイヤーは最適戦略のみを使う,という原理 の下で,取られる可能性のある戦略を定めたものである。この概念と,安定な 戦略の集合とはどのような関係にあるのかは次の補題と定理で述べられる。

補題5

る。

合理化可能戦略の集合の組は最大の内部安定な戦略の集合の組であ

(13)

 証明 まず,合理化可能戦略の集合の組が内部安定であることを示す。背理 法を使う。合理化可能戦略の集合の組R=(R,),∈Nが内部安定でないと仮定 する。すなわち,あるゴ∈Nのあるs,1∈R,は,すべてのσ一1∈×声4(、Rゴ)

に対してs,1(華B、(σ一∫)となる。補題3の証明の〃〆≧0に対して,あるi∈

Nのあるs, ∈&(〃のは,すべてのσ一,∈×は、4(S、(〃の)に対してs、ノ(華 β,(σ一輌)となる。補題4よりs, 庄ぴ(σ一,1&(〃の)。ゆえに,定義よりs, q三 S、(〃〆+1)。これは&(〃の=S,(〃〆+1)に矛盾する。

 次に,すべての内部安定な戦略の集合の組τ=(T8) 。Nに対して, T⊂R,

すなわちすべてのん≧0で♂⊂&(紛を示す。帰納法を使う。ん=0のとき は明らか。〃=勿のとき成り立つと仮定する。すなわち,すべてのゴ∈」V,

すべてのs,∈兄で,あるσ一,∈×、⇔4(万)を選び,∫i∈B,(σ一,)とでき,

かつZ⊂S,(勿)。そのときσ一 ∈×片,4(S」(初))であり,補題4より B,(σ一ゴ)=B,(σ一,lS、(勿))。ゆえに定義より5,∈&(祝+1)。したがってZ

⊂S,(初十1)。ん=勿十1のときも成り立つ。□

合理化可能性と安定性の関係は次の命題に述べられる。

命題3 合理化可能戦略の集合の組は最大の安定な戦略の集合の組である。

 証明 補題5より合理化可能戦略の集合の組は最大の内部安定な集合の組で あり,補題2(2)より,それは外部安定である。

4.結 語

 以上,有限戦略形ゲームでの解概念として安定な戦略の集合の組を定義した。

その中で最大のものは合理化可能戦略の組である。さらに,極小のもので各集

合の戦略が1つであれば,それは純戦略均衡である。ゆえに,安定な戦略の集

合の組は,純戦略均衡と合理化可能戦略の集合の組を両極端の特別な場合とし

(14)

て含む概念である。なお,ここで考えられた概念は「戦略の集合の組」であり,

Kohlberg and Mertens(1986)の戦略的安定性のような「戦略の組の集合」で はない。

  プレイヤーの行動を記述するものを解とするとき,この稿では,ナッシュ均 衡のように各プレイヤーに1つ戦略を規定するものではなく,複数の選択肢の 集合を考えている。その中で主観的な信念をもつことはプレイヤーにある程度 の自由度を認めていることになる。均衡のように期待利得が計算できないとい う欠点はあるが,必ずしも行動の結果が均衡になっていない状況の説明に役立 つものと思われる。

参 考 文 献

Bernheim, B. D.(1984).  Rationalizable Strategic Behavior, Eco〃o卿ε r ω52,1007−

   1028.

B6rgers, T., and Samuelson, L.(1992). Cautious Utility Maximization and Iterated    Weak Dominance, 1ηzεη泌oηα〃oμrηα/げGα〃2ε7悔oワ21,13−25.

Farrell, J.(1988).  Communication, Coorination and Nash Equilibrium, Eωηθ頒c∫

   Lε 在γ3 27,209−214.

Kohlberg, E, and Mertens, J. F.(1986). On the Strategic Stability of E(luilibria,

   E(roηo〃2εττicα 54,1003−1037.

Nash, J・(1950)・ Equilibrium Points in n−Person Games, 1>ocεε4↓η9∫げ彦ん2Vα〃oηα1    /4cα46ηリノq∫5ciεηcεs 36,48−49.

Pearce, D. G.(1984).  Rationalizable Strategic Behavior and the Problem of    Perfection 五〇ηo〃2ε方fcα52,1029−1050.

Rubinstein, A.(1991).  Comments on the Interpretation of Game Theory, Eζo一    ηo〃2εノri6α59,904−924.

Samuelson, L(1992).  Dominated Strategies and Common Knowledge Gα吻εぷαη4

   Ecoηoη短c Bε乃ατ雇or 4,284−313.

von Neumann, J. and, Morgenstern,0.(1944). 丁方ωτy{ゾGα〃zε∫αη4五〇ηo〃2iεBε一    加仇oれPrinceton University Press.

Watson, J.(1991). Communication and Superior Cooperation in Two−Player Normal

   Fo㎜Games, Eωηo批訂ε診撚35,267−271.

参照

関連したドキュメント

戦略的パートナーシップは、 Cardano のブロックチェーンテクノロジーを DISH のテレコムサービスに 導入することを目的としています。これにより、

市場を拡大していくことを求めているはずであ るので、1だけではなく、2、3、4の戦略も

7IEC で定義されていない出力で 575V 、 50Hz

しかしながら生細胞内ではDNAがたえず慢然と合成

主食については戦後の農地解放まで大きな変化はなかったが、戦時中は農民や地主な

DX戦略 知財戦略 事業戦略 開発戦略

(2011)

政治エリートの戦略的判断とそれを促す女性票の 存在,国際圧力,政治文化・規範との親和性がほ ぼ通説となっている (Krook