純戦略均衡と合理化可能性について
大 石 英 貴
(人間科学)
1.序
ゲームのプレイヤーの合理的な行動を記述する概念を解とすると,ナッシュ 均衡は最も基本的な解である。相手の戦略を固定したときに,どのプレイヤー にとっても最適な戦略であるような状態である。しかし,一般にはナッシュ均 衡は必ずしも存在しない。解の条件として,すべてのゲームに存在することを 要求するならば,ナッシュ均衡は不十分である。
von−Neumann and Morgenstern(1944)で,2人有限ゼロ和ゲームにおいて,
戦略集合を確率分布の集合である混合戦略へと拡張して解の存在の問題が解決・
された。また,Nash(1950)は有限ゲームでは混合戦略の範囲で均衡が必ず存 在することを示した。しかし,ゲームを各プレイヤーのベイズ意志決定問題と 見なす立場ではこのような混合戦略は不要である。プレイヤーは期待利得を最 大化する戦略を選べばよいわけで,わざわざ混合する必要はない。戦略集合を 混合拡大することは,ゲームの結果を合理的な解として認識するときにのみ必 要となる。
プレイヤーが混合戦略を利用するということを厳密に考えてみよう。確率分 布である混合戦略が利用可能となるためには,その分布を生ぜしめる確率変数 が不可欠である。その確率変数の観察結果に応じてプレイヤーは戦略を選ぶ。
つまり,混合戦略への拡張はプレイヤーに情報を利用する機会を与えるという
ことを意味し,それはゲームを元の構造を変えることである。
この稿では,戦略集合の混合拡大というゲームの変形ではなく,プレイヤー の行動を記述するある解を定義することによって,解の存在の問題を解決する ことを試みる。
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