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拡がる流れの二次元流速分布の安定性に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

拡がる流れの二次元流速分布の安定性に関する研究

STUDIES OF STABILITY OF TWO-DIMENSIONAL FLOW IN A DIVERGING CHANNEL

土木工学専攻 27 号 中村廣遊 Koyu NAKAMURA

1.はじめに

河川の河道部や河口では川幅や水深等の河道緒 元が流下方向・横断方向に変化し,それに伴って 流れの状態が変化する.水の流れは河道内や河口 の土砂輸送・土砂堆積に影響を与える要素の一つ であり,地形の変化による流れの特性を知る事は,

河川の整備や管理を行う際に有益な知見を与える.

本研究は河道部から拡幅部へ拡がる流れに着目し,

拡幅部へ流出する際の流速分布の安定性を定性的 に明らかにすることを目的としている.研究では 拡がる流れの流速分布の理論式の導出,導出した 理論を用いた流速分布の解析,開水路実験による 理論の定性的な検証を行った.

2.拡がる流れの流速分布

流れの基本式は Jeffery

1)

,Hamel

(2)

らによって対 称流れに適応可能な式が導出されている.本研究 では流関数を用いて横断方向の流速分布が対称・

非対称の双方を扱うことができる拡幅する流れの 基本式の導出を行う.

2-1. 流関数を用いた拡がる流れの基本式の導出

図-1 に示す 2 枚の平行でない壁面の交線を z 軸 とする円柱座標系(r , θz)を用い,z 軸からの距離

r,壁面と中心線との角度を θ=±α とし,円筒座

標の速度成分を(u,v,w)とする.また定常で純粋 に放射的な 2 次元流れを仮定すると連続式及び運 動方程式は(1)式,(2)式,(3)式,(4)式となる.

 

0

1 

r ru

r

(1)

 

 

 

 

 

 

 

 

2 2 2 2 2

2

1 1

1

r u u r r u r r

u r

p r

u u

 

 (2)

 

 

 

 

u

r p

r

2

2

0 1 (3)

 0

z

p (4)

ここに p:圧力[N/m

2

],ρ:密度[g/m

3

],ν:動粘性 係数[m

2

/s].(2)式を θ で偏微分し,(3)式に r を乗じ r で偏微分する.2 つの式より次式が導かれる.

 

 

 

 

 

 

 

 

3 3 2 2 2 2

3

1 1 1

 

u r u r r

u r r u r

u (5)

(5)式を θ で微分し,(1)式より    

r f

u

と置くと

 

 

   

 

 

 

 

 

 

3 3 3 3 3 3 2 2

2

1 1 1 1

2    

 

d

f d r d df r d df r d df r r

f r

f (6)

となり,θ についての常微分方程式となる.(6)×r

3

より



 

 

3

3 2

4

 

d

f d d df d

df

(7)

となる.なお

  

rF

u1

max

0 max

1 F

ur

(8)

とすると u

max

r

0

点での F(θ)の最大値である.一

方 Reynolds 数に関して,流路の幅は αr

0

であるから

F Re r

u   

0 max

max

(9)

ここに Re:Reynolds 数. (7)式は

 

 

 

   

d

dF d

F d d

F dF d

dF 2

3

4

3 2

(10) となる.ここで(11)の式を用いて無次元化を行う.

F0

fF

, 

  , (F

0

=F

max

) (11)

d df F d

dF

0

3 3 2 0 2 2

d

f F d d

F

d  ,

3 2 3 0 3 3

d

f d F d

F

d  (12)

 

 

d

df F d

f d F d

df f F

F

3 0

3 3 0 0

0

4

2   (13)

(13)式を整理すると次式となる.

0 ' 4 ' ' ' '

2 Refff  

2

f  (14) (14)式の流速分布は非対称の流れを扱うことがで きない.ここで流関数を用いて θ で積分すると

3

0

2 3

 

 

 

 

 

c

 (15)

となる.   Qf    と置き,整理すると

   '    4 '   0 ''

'  Re f

2

fRe C

f    (16)

(16)式は拡幅する流れに関する基本式であり,未知 のパラメータ C の固有値問題となる. (16)式を解く ためには境界条件が 4 つ必要となる.ここで

  0

'   

ff '     0 (17)

が明確で,ここでは f        f   1 となるよう

  100000

ff     100001 (18)

とした.境界条件の(17)式,(18)式を用い,任意の

Reynolds 数を与えシューティング法を用いること

Q

図-1 流れの基本式の導出に用いた円筒座標系

(2)

で(16)式の解を得る.結果を次節に示す.

2-2.基本式を用いた理論解析の結果

拡幅角度を θ=30°一定として,異なる Reynolds 数を与えた結果得られた流速分布の例を図-2,図 -3, 図-4 に示す. 拡幅角度と Reynolds 数により様々 な流速分布が得られた. θ=0 を基準とし,流速分布 が対称となる流れのうち, θ=0 で極大値をとるもの

を A,極小値をとるものを B とし,流速分布が非

対称となるものを C とした.図-5 は図-2,図-3,

図-4 に示した流速分布と同じ特徴を持つ流速分布 が得られた時の Reynolds 数と θ を示したものであ る.図-5 より,拡幅角度と Reynolds 数の僅かな違

いによって様々な流速分布が得られる事が分かる.

また,流れの変化に着目すると,流速分布の対称・

非対称に関わらず,Reynolds 数が増加するに伴っ て対称流れ,非対称流れに分かれ,更に増加する と対称流れ,非対称流れに分かれていく.このこ とから拡がる流れの流速分布は,図-6 に示す様な 分岐理論に従う現象であると考えられる.

3.開水路実験による理論解析の定性的な検証

導出した理論から得られた流速分布の検証を定性 的に行うため開水路を用いた実験を行った.実験 で用いた開水路の概要を図-7 に示す.水路幅が拡 幅する地点を基準点(0cm)とし河口と定義する.勾 配及び流量を一定とし,拡幅部において異なる壁 面の長さ・拡幅角度を与え,下流の横断面につい てピトー管を用いて流速の測定を行った.実験条 件を表-1 に示す.

0.4 0.2 0.2 0.4

0.5 0.5 1.0 1.5 u

velocity ur with Raynolds number , 3

中心線からの角度[rad.]

流速

図-4 拡がる流れの理論の解析結果・C (非対称流れ)

図-7 実験に用いた水路の概要図

W=10cm 90cm

θ 300cm

flow

L N

図-6 分岐理論の概念図 Reynolds 数 拡がる

流れ

対称流れ

非対称流れ

対称流れ

非対称流れ 対称流れ

非対称流れ

0.4 0.2 0.2 0.4

0.5 0.5 1.0 1.5 u

velocity ur with Raynolds number , 1

中心線からの角度[rad.]

流速

図-2 拡がる流れの理論の解析結果・A (対称流れ・中心で極大値)

0.4 0.2 0.2 0.4

0.5 0.5 1.0 1.5 u

velocity ur with Raynolds number , 2

中心線からの角度[rad.]

流速

図-3 拡がる流れの理論の解析結果・B (対象流れ・中心で極小値)

図-5 各パターンの流速分布が得られた時の Reynolds 数と拡幅角度の関係

Reynolds 数

拡幅 角 度θ [ ° ]

0 10 20 30 40

0 15 30 45 60 75 90

Re

A(

対称流れ・中心で極大値)

B(対称流れ・中心で極小値)

C(

非対称流れ

)

(3)

3-1.case1 の実験結果

流れの特徴として,①拡幅部の全方向へ拡がる線 対称の流れ,②片側の壁面に沿う非対称の流れ,

③河道の中心線に沿った噴流状の流れ,以上の三 つが見られた.それぞれの流れの形態が得られた 内の 1 パターンの流速分布を図-8 に示す. 2θ=10° ・ 20°の時に①, 2θ=30°・40°・50°の時に②, 2θ=60° ・ 70° ・80°の時に③の流れが見られた.このことから 角度が低い時には全体に拡がる流れであり,角度 が大きくなるにつれて壁面に沿った流れとなり,

噴流状の流れに変化すると考えられる.

3-2.case2 の実験結果

実験から得られた流速分布の特徴から,①拡幅部 の全方向へ拡がる線対称の流れ,②片側の壁面に 沿う流れ非対称の流れ,③河道の中心線に沿った 噴流状の流れ,以上の三つに分けられる.それぞ れの流れの形態が得られた内の 1 パターンの流速

分布を図-9 に示す. 2θ=10°の時に①, 2θ=20° ・ 30°・

40°・50°の時に②,2θ=60°・70°・80°の時に③の流 れが存在した.

3-3.case3 の実験結果

実験から得られた流速分布の特徴から,①横断面 中に 2 山の流速分布を有する線対称の流れ,②片 側の壁面に沿う流れ,以上の二つに分けられる.

写真‐1 ①対称流れになる場合

case1,case2,case3

写真‐2 ②非対称流れになる場合

case1,case2,case3

写真‐3 ③噴流状の流れになる場合

case1,case2

20 10 10 20 x

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 u

対称流れ 非対称流れ 拡幅角度60°左岸流れ 拡幅角度60°右岸流れ 壁面

図-10 case3 の拡幅開始地点より 30 ㎝下流の横断面流速分布 拡幅開始地点横断面中央からの距離[㎝]

流速[m/s]

10 5 5 10 x

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 u

対称流れ 非対称流れ 噴流状の流れ 壁面

図-9 case2 の拡幅開始地点より 15 ㎝下流の横断面流速分布 拡幅開始地点横断面中央からの距離[㎝]

流速[m/s]

10 5 5 10 x

0.1 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

u 対称流れ

非対称流れ 噴流状の流れ 壁面

図-8 case1 の拡幅開始地点より 10 ㎝下流の横断面流速分布 拡幅開始地点横断面中央からの距離[㎝]

流速[m/s]

表-1 各 case の実験条件

case1 case2 case3

水路勾配 流量 最下流端の堰 上げ高 拡幅部の壁面

長さL 20㎝ 40㎝ 60㎝

拡幅角度2θ 10°から80°まで 10°毎の計8パターン

10°から80°まで 10°毎の計8パターン

10°から50°まで 10°毎60°2パターン

の計7パターン 0(水平)

9L/s 12cm

(4)

それぞれの流れの形態の流速分布,また拡幅角度

60°の流速分布 2 つを図-10 に示す. 2θ=10°の時に

①,2θ=20°・30°・40°・50°・60°の時に②の流れが 存在した.また 2θ=60°の同一条件において,左岸 に沿う流れと右岸に沿う流れが得られた.このこ とから壁面に沿う流れには同一条件の拡幅角度・

拡幅部形状において,複数の流速分布が存在し得 ることが考えられる.

3-4.各 case の実験結果の比較

各 case,各パターンで実験を行った時の流動状態

と拡幅部の形状の関係を図-11 に示す.拡幅部の流 下方向長さと拡幅角度の違いによって流れの状態 が明確に分かれている.また拡幅角度が小さい時 には対称流れであり,拡幅角度が大きくなるにつ

れて壁面に沿った流れとなり,噴流となることが 分かる.また拡幅部の流下方向長さによって流れ の形態が変化する角度が変わる事が分かる.この ことから,拡幅部に拡がる流れの流速分布は拡幅 部の壁面の長さと拡幅角度の影響により変化する ものと考えられる.また拡がる流れに関する他の 研究としては,Kline ら

3)

による研究があり,2 次 元のディフューザーを通過する空気の流動状態と 拡幅部の形状の関係について実験が行われている.

拡幅部の拡幅角度と壁面の長さで流れの状態が変 化することが示されており,その結果が図-12 であ る.図-12 は Kline ら

3)

の研究による流れの状態と 拡幅部の形状について表した図に,図-11 にプロッ トした流れの状態を重ねたものである.比較する と,流動状態が変わる範囲がほぼ同じである事が 分かる.Kline ら

3)

の研究では,流路に蓋をした状 態で行われているが,自由水面を持ち,水深が変 化する開水路でも同様の流動状態の変化が起きる ことが分かった.

4.まとめ

本研究で得られた知見を以下に示す.

1)流関数を用いて,拡幅部へ拡がる流れの流速分布 に関する基本式を導出した.

2)導出した基本式の解析の結果から,流速分布が対 称・非対称となるものが存在し,僅かな条件の 差異で流速分布が大きく異なることを示した.

3)開水路を用いた実験から,拡がる流れの流速分布 は,①拡幅部の全方向へ拡がる線対称の流れ,

②片側の壁面に沿う流れ,③河道の中心線に沿 う流れ,以上の三つに分けられることを示した.

また,同一の拡幅角度・Reynolds 数において複 数の流動状態が存在することを示した.

4)拡がる流れの流動形態は拡幅部の壁面長さと拡 幅角度の影響により変化し,流れの変化が生じ

る範囲は Kline ら

3)

による気体の実験結果とほぼ

同様であることを示した.

参考文献

1)G.B.Jeffery(1915):"The Two-Dimensional teady otion of a Viscous Fluid",Philosophical magazine,

Vol.29,pp. 455-465

2)G. Hamel (1916) : "Spiralfömrige Bewegungen zäher Flüssigheiten" Jahresbericht der Deutschen Mathematiker Vereinigung, Vol. 25,pp. 34-60 3)S.J.Kline,D.E.Abbott,R.W.Fox(1959):

"Optimum Design of Straight-Walled Diffusers" , ASME Journal of Basic Engineering,Vol.81,pp.

321-331 図-11 各パターンの流動状態と拡幅部の形状

拡幅角度2θ[°]

拡幅部の流下方向長さと拡幅開始地点水路幅の比 N/W

対称流れ 非対称流れ 噴流状の流れ

0 2 4 6

0 10 20 30 40 50 60 70 80

N W

対称流れ 非対称流れ 噴流状の流れ 流れの境界

flow flow flow

図-12 2 次元ディフューザーの形状と流動状態 拡幅部の流下方向長さと開口部の幅の比 N/W

拡幅角度2θ[°]

対称流れ 非対称流れ 噴流状の流れ 流れの境界

参照

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