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今田正

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(1)

FASB財務会計概念構造の特徴

−FASB財務会計概念ステイトメント第5号について−

今田正

(2)

FASB財務会計概念構造の特徴 381 

I は じ め に

1984年12月, FASB C財務会計基準審議会)は「財務会計概念ステイトメ ント」第5号『企業の財務諸表における認識と測定j (以下,単に「ステイト メント」という〉を表わした。本「ステイトメントJは当審議会の財務会計及 び報告に関する概念構造シリーズの最終に位置する報告書であるD このステ イトメント・シリーズは財務会計および財務報告基準の設定にあたって依拠 すべき目的 Cobjectives)お よ び 基 礎 ( fundamentals)を設定することを 企画しているとする。 I目的」は財務報告の目以を識別することであり,

「基礎」とは財務会計の基礎をなす概念ーすなわち,取引 ,JJC象,および環 境の選択,その認識と測定,そして利害関係者への要約と伝達を導きだす概 念であるo

FASBは, 乙の概念ステイトメント・シリーズの体系化に当って,既に

(3) 

4号のステイトメントを公表してきた。

第1号『企業による財務報告の目的』

第2号『会計情報の質的特徴』

第3号『企業の財務諸表の要素』

第4号『非企業組織による財務報告の目的j,である。

乙のように, rステイトメント」第5号をも合めて,概念ステイトメント

・シリーズの体系は,まず財務諸表の目的の設定,その目的 ~ç かなう情報の 質的特徴,財務諸表の諸要素,そうして,その要素の認識と測定とその報告

という概念枠組みの構築を企図したものであるo

さて, Iステイトメント」第5号は,大きく二つの部分からなっているO

前半部は「財務諸表」の位置づけであり,後半部は「認識の規準」の設定で あるD その目的は全体として,いかなる情報が財務諸表に含められるべきか という基本的な認識の規準および指針を定めることにあるo 乙の認識の規準 を考えるにあたって,まず提示すべき財務諸表と,それら財務諸表がいかに 財務報告目的に貢献すべきかという問題がとり上げられ,ついで認識規準の

(3)

設定,そうしてこの認識と密接に関連した測定問題に言及される。乙の測定 は認識される項目を計量化する属性の選択および測定尺度(測定単位)を含

(4) 

んでいる,と,このように諸概念を位置づけているo

それでは,第5号の論理展開の内容の特徴点と,その会計的意味は何か,

以下,検討しようD

註

(1)  Financial Accounting Standards Board, Statement 0/ Financial Accoun‑

ting Concepts No.  5, Recognition and Measurement in  Financial Statements 

0/ Business Enterprises, December, 1984. 

(2)  1 bid , .pref ace, i. 

(3)  FASB, Objectives 0/ Financial Reporting by Business Enterprises (No. 1),  Qualitative  Characteristics 0/ Accounting  ln/ormation  (No.  2), Elements 

0/ Finaucial  Statements 0/ Business  Enterprises  (No.  3), Objectives  of  Financial Reρorting by Nonbusiness Organizations (No・4)である。

(4)  Statement 0/ Financiαl Accounting Concepts No. δ,ρ. 1. 

II  財 務 諸 表 の 位 置

「ステイトメントJは財務諸表,財務報告,認識の概念をまず定義するo

「財務諸表」は財務報告,すなわち,財務情報を実体の外部者に伝達する 基本的手段の主役であるo一般目的の財務報告においては,財務諸表は会計 記録から導き出された科目および金額の様式表であり,それは一時点におけ る実体の財政状態を表示するか,あるいは一定期聞における実体の財政状態 の変化を表示している。財務諸表において認識される項目はある程の実体の 資源、(資産),資源に対する請求権(負債および所有主持分),またそれら資源 および請求権の変動をもたらす取引,事象および環境の効果の財務上の表現 である,というo

つぎに「認識」の概念について,認識とはある項目を資産,負債,収益,

費用等として財務諸表に正式に記録し,計上していく過程であるD 認識は用

(4)

FASB財務会計概念構造の特徴 383  語と数字からなる項目と財務諸表上の総計額とを表示する乙とからなる。資 産あるいは負債に関する認識はその項目の取得ないし損害のみならず,その 後における変動,すなわち財務諸表からの除却をといった変動をも含んでい

(2) 

る,というo

かくて,財務諸表は基本的に財務報告と同じ目的を有しているが,ある程 の有用な情報は財務諸表によってよりよく提供され,また,ある情報は財務 諸 表 却 注 ま た は 補 促 情 報 な い し は そ の 他 の 財 務 報 告 の 手 段 に よ っ て よ り 良 く,あるいはそれのみによって提供され

: z

と述べている。このように「ス テイトメント」は財務諸表と財務報告との概念領域を区分し,財務諸表領域

(4) 

における認識(および測定)に限定する,としているo

1.  財務報告目的と財務諸表

では,財務諸表と財務報告との関係はどうか。 r概念ステイトメント」第 l号『企業による財務報告の目的』は財務諸表を含めた財務報告の目的をつ ぎの三つの段階に分けている。

財務報告は,現在および潜在的投資家,与信者,その他の利用者が合理的な投資・

与信および同様の決定をなすのに有用な情報を提供すべきである。

その有用な情報とは当該企業の将来純キャッシュ・フローの金額,時期,不確実性 を評価する乙とにあるJ なぜなら,投資家,与信者の投資または与信からの現金受取

り予測は大きくそのキャッシュ・フロー予測に依存しているからである。

そうして,企業の経済的資源、,資源に対する請求権(他の実体および所有主持分へ 資源を移転すべき企業の債務),そうして,それら資源および資源に対する詰求権に 変動を及ぼす取引,事象および環境の効果に関する情報の捉供としている。

では,この財務報告に占める財務諸表の位置はどのようなものか。第5号 は第1図に示すような概念図を与えている。認識はある項目を用語と金額と をもって財務諸表に表示していく乙とであるから,最も重要な情報は財務諸 表において認識されねばならないとして,1財務諸表」を財務報告の中心に据

(5)

〔第1図〕

司 投資、与信、その他の意思決定に有用なすべての情報

4  財 務 報 告

‑FASB会 計 基iV¥により直接彩評された領域

4一一一一基礎的財務諸表 4 認識 J{ ひ;;~IJ 定

概念ステイトメント

│ 財 務 諸 表 111財務諸表脚注 I11補 促 情 報 │

‑貸借対照表 例 : 例 :

‑綜得利益およ ‑会計政策 ‑物価変動会計 び包括利益損

‑偶発的務 開示 益 計 算 書

‑石油・ガス埋

‑キャッシュ・ ‑棚却資産評価法

蔵量情報 フロー計算書 ‑発行消株式数

‑所有主による .代替的!i担測!日印J則!I引I定尺)皮主 投資とそれへ

( 歴 史 的 問 ) の分配計算書 項目の時価

•

│その他の情報│

例:

・経営管理会議トSECForm‑

録および分析I10‑Kにおけ

│ る官立辛子及びj主 .株主への手紙│

l 丈 に 関 す る 討 議 書

・アナリスト・

レポート

・経済統計

・ニュース記事

えているO そうして,認識と測定とはこの財務諸表に関わる概念として規定 されているものである。

かくて rステイトメント」は財務諸表として,貸借対照表,稼得利益お よび包括利益損計算書,キャッシュ・フロー計算書,所有主による投資とそ れへの分配計算書を上げている。

2.  個別財務諸表の定義

「ステイトメント」は個別財務諸表をつぎのように定義するD 貸借対照表 (statement of financial position)はある実体のある時点における資産,

負債,および持分とそれらの相互関係に関する情報を提供する口

(6)

FASB財務会計概念構造の特徴 385 

貸借対照表は企業の価値を表示しようとするものではないが,他の財務諸 表および情報と合せて企業価値を独自に評価しようとする人にとって有用な 情報を提供すべきである。不確実性や費用一便益の限界性から,すべての資 産および負債が貸借対照表に合まれるわけではない口また,貸借対照表計上 の資産,負債は物価変動や上昇といった事象によって影響されるが,それら は認識されることはない。貸借対照表はまた通常各々の資産および負債の測

(8) 

定にあたって異った属性を用いるD

損益計算書については r稼得利益および包括利益計算書J (statement  of  earnings  and comprehensive  income)から成り,これは,一定期間

における所有主との取引以外のすべての資源についての実体の持分の増加お よび減少の限度と経過を反映しているD 投資家,与信者,経営者は実体の継 続的ないし中心的活動の結果,臨時的な営業外の取引の結果,および企業実 体または経営の管理能力を超えた環境から発生する事象の結果を合む実体の 資産および負債の変動の原因についての日‑報を必要としている,とする。

では, rステイトメント」がここに採用している「稼得利益J(earnings)  なる用語の怠味するところはどのようなものであろうか。それは,現在の実 務における純利益(income)に類以しているというO それは現在の期間純 利益に関するほとんどすべての事項を含み, この概念に基づく損益計算3

"statement of earnings n は現在の損益計算書代income statement"とほ とんど同じものとなる。現在の実務は純利益 (net income)に関して多様 な 用 誌 を 受 け 入 れ て い る 。 当 審 議 会 と し て も "earnings"の名称として

"net income" , "profit" , "net 10ss" ,またその他同等の用語が財務諸表 において用いられ続けるであろうと予測しているO しかしながら "earnings"

は現在の "netincome"と全く同じではなし可。この「ステイトメント」で は earnings"の用語はここで用いられる netincome"と概念上区別する 志味で用いている,というo

"earnings" は当期に認識される過年度の修正項目の Jt~W 効果を合んでは いなし"'0現在の "netincome"に合まれるが "earnings"から除外されるも のの基本的な例は会計原日Jjの変化に(、1'‑う来日i効果であるが,仙の項目は将来

(7)

〔第l表〕

現在の純利益 稼 得 利 益

収 主主 100  100 

Y!!  用 80  80 

臨 時 的 利 得 (3)  (3) 

経常的営業利益 23  23 

非 経 常 的 損 失

ゴf::経常的利益区分 10  10  非経常的損失区分 12  2  12  2 

臨時的項目前利益 21 

および会計原日JIの変化の効果前利益 21 

臨 時 的 損 失 6  6 

会計原則の変化に伴う過年度の累積効果 2  8 

稼 得 利 益 15 

手

屯 利 益 13 

の期間において識別されることになるo "earnings"は一会計期間の業績の 尺度であって,可能なかぎり当該期間の臨時的な項目,すなわち,基本的に

は他の会計期聞に属する項目は排除されると,乙のように述べるD

かくて rステイトメント」は "earnings"と現在の "netincome"と の類似性と差異とを第l表のような財務諸表に表わしている。

審議会は,損益計算書は将来の業績の予測や将来キャッシュ・フロー見込 みの評価の基礎として用いられるのであるから,ある会計期聞についての予 測目的に関する損益計算書の有用性を減ずる臨時的ないし非周期的な利得お

(12) 

よび損失を排除する乙とを要求する論議が進行している,という。要するに

(13) 

"earnings"は一会計期間に実質的に完了した「現金→現金サイクjレ」と関 連した資産のインフローが同サイクノレと直接,間接に関連する資産のアウト フローを超過する額に基本的に関連づけられる一会計期間の業績尺度である

(14) 

とし可うo

また r包括利益J(comprehensive income)は所有主による投資およ

(8)

FASB 財務会計概念間造の特徴 387 

び所有主への配当を除く取引およびその他の事象また環境から生じる一会計 期間における実体の持分(純資産)の認識された変化の一切を含み,実体に おける取引および事象の結果の広範な尺度となる,というD

でほ,稼得利益と包括利益との関係はどのようなものであろうか。稼得利 益および包括利益は同じ幅広い椛成要素ー収益,費用,手JI得,および損失ー を有しているが,それらは全く同じではなく,包括利益に含まれるある程の 利得および損失は稼得利益から排除されるD 例えば,会計原則の変化の累積 効果といった当期に認識された過年度修正項目の効果は現在の純利益概念に 含まれるが,当「ステイトメントJに述べる稼得利益から排除される。

また,その他,市場性ある持分証券への投資勘定の市場価格の変動,また 外貨換算修正といった当期に認識された純資産の変化(基本的にはある程の保 有利fJまた損失)がある。かくして rステイトメント」では稼得利益に含 まれる項目を「利得および損失J(gain  and  10ss)の用語を用い,稼得 利益から除かれ包括利益に含められる項目については「累積的修正項目J Ccumulative  accounting  adjustments)および「その他の持分区分にお ける非所有主持分の変動項目J (other  nonowner change in  equity)と

(17) 

いう用語を用いるとするD かくて, rステイトメント」は稼得利益と包括利

(18) 

益との関係をつぎのように表示しているO

+収 益 100  + 稼 得 利 益 15 

‑s:  用 80  一呆7占的修正項目 2  十手IJ rqJ.  3 

‑担 失 8  +その非他所持有分主に持お

ける 分 l 

=稼得手Jj irit  15  = 包 括 利 益 14 

一

キャッシュ・フロー計算書 (statement of  cash flows)  は実体の一会 計期間における主要な収入源たる現金収入と主な使用源、たる現金支払を直 接,間接に反映しているoそれは債務返済,配当支払,営業能力の維持・拡 大の再投資のため営業活動を通じて現金を生み出す活動,その負債,持分両 方の財務活動,また現金の投資ないし支出について有用な 'ìIIH~~ を捉供する o

(9)

乙の実体の当19Jの現金収入および支出に関する伯報の利用の重要性はそれが 実体の流動性,財務弾力性,収益性,危機といった要素の評価を補助するこ

(19) 

とも含んでいるO 発生主義によって測定された稼得利益もまた包括利益も営 業活動から生じるキャッシュ・フローと同じではないのであるから,キャッ

シュ・フロー計算書:は稼得利益および包括利益と現金収入・支出と聞の金

(20) 

額,原因,およびu与問問陥lこ関しての有意義な'tf'J報を捉供するO キャッシュ

・フロー計算書はほとんど認識問題を捉示しない。なぜなら,すべての現金

(21) 

収入および支出はその発生時に認識されるからであるo

所有主による投資及びそれへの分配計算書 (statementof  investments  by and distributions to  owners)は所有主との取引による実体の持分の増 減の程度と経過を表示しているO すなわち,それは稼得利益また包括利益の 計算書に表示される損益取引と対照的に実体の資本取引 (capital transac‑ tion)を表示しているO かくて,包括利益損益計算書および所有主との取引 計算書とが一緒になって一会計期聞に認識された持分(純資産)のすべての 変動を包含することになるD

(1)  F ASB, Statement of Financial Accounting Conceρts  No.  5, para. 5.  (2)  Ibid., para. 6. 

(3)  lbid., para. 7.  (4)  lbid., para. 8. 

(5)  lbid., para. 10. FASB, Concepts Statement No. 1, paragraphs 34‑40. 

(6)  Ibid., p.  5.  (7)  lbid., pa~a. 26.  (8)  lbid., para. 27. 

(9)  lbid., para. 30.  (10)  lbid., para. 33.  (11)  lbid., para. 34.  (

12)  Ibid., para. 35.  (

13)  企業の営業活動は一般に現金支出に始まって現金収入をもって終るサイクノレとし て規定される一(FASB,Concψts  Statement No. 1, para. 39.  footnote 8.) 

(10)

FASB 財務会計概念構造の特徴

という。

(

14)  FASB, Conceρts  Statement No. 5, para. 36.  (15)  Ibid., para. 39 

(16)  Ibid., para.  42.  (

1百 Ibid.,para.  43.  (18)  Ibid., para.  44.  (

19)  Ibid., para. 52.  四)1 Ibid., para. 53. 

~J) Ibid., para. 54. 

凹 認識及び測定規準の論理 1.  認識・測定の概念内容

389 

先にもみたごとく,認識とは,ある項目を資産,負債,収益,費用等とし て財務諸表に正式に記録し,計上していく過程であるo認識は用語と数字か らなる項目と財務諸表上の総計額とを表示することからなるo認識はある項 目の取得時認識のみならず以後の変動ないし,先に認識された項目の除却と

(1) 

を共に包含しているo

では,認識規準とはどのような内容のものであろうか。まず,この「ステ イトメント」における認識規準は「概念ステイトメント」第 2号における財 務情報の質的特徴から導きだされたものであり r概念ステイトメント」第 3号にいう財務諸表の要素の定義が財務報告問題に用いられるにあたっての

(2) 

助けにもなる,というoそうして,つぎのような4つの基礎的な認識規準を 上げている。

定 五(definitions)  一一財務諸表の要奈の定誌に合致する項目であるこ と。

測定可能性 (measurabi1ity) 一一それが十分な信頼性をもって測定可能な目的適 合 (I/~ な属性を有すること。

(11)

目的適合性 (relevance) 一ーその項目に関する情報は利用者の;怠思決定にお いて識別可能なものである。

信 頼 性 (reliability) 一一情報は表示上誠実性を有し,検証可能,かつ中 立的であるとと。

また,乙れら4つの規準は費用・便益の全般的拘束に従う乙とになる。す なわち,特定の項目を認識する乙とから得られる予想便益が情報を提供し使 用することによる野用を満たすものでなければならなし1。認識はまた重要性 基準に従うO すなわち,ある項目とそれに関する情報はもしその項目が十分 に重要性をもたず,また個々の項目の合計額が財務諸表にとって重要性を有 しない場合,財務諸表体系上認識される必要はない,ととのように定義を与

(3) 

えている。

以下,認識の規準を構成する 4つの要素概念について考察しようO 定義一一定義とは「概念ステイトメント」第3号『企業の財務諸表の要素J Iというそれであるo それが財務諸表上認識されるためには資源、は資産の定義 に,また債務は負債の定義に合致しなければならない。持分の変化は包括利 益の構成要素として認識される収益,賀用,利得,および損失の定義に合致

(4) 

しなければならない,と乙のようにいうo

測定可能性一一資産,負債,あるいは持分変化は十分な信頼性をもって貨 幣単位で数量化可能な目的適合的な属性を有していなければならない。すな わち,測定可能性は目的適合性,信頼性概念をその軸に据えている。そうし て,乙んにち,財務諸表に報告される項目はその性質と測定される属性の目 的適合性および信頼性に依拠してそれぞれの属性によって測定されることに なる,という。

そ乙で rステイトメント」は現在実務に用いられる測定対象たる資産 (負債)の属性として5つを上げているO

歴史的原価財産,設備,備品および大部分の棚卸資産はその歴史的原価,すなわ ち,それは資産の取得にあたって支払われた現金額ないし現金同等額であり,通常,

取得後減耗償却あるいはその他の配分方法による修正をもって報告される。顧客へ財

(12)

FASB財務会社概念構造の特徴 391  1i・サービスを提供すべき債務を含む負債は一般に歴史的収入額,それは債務の発生 時に受取られ,取得後償却,あるいはその他の配分によって修正されるであろう現金 または現金同等額で測定される。

現在原価 ある棚卸資産はその現在(取替)原価,すなわち,それはもし類似ないし 同写・の資産が当期に取得されるとすれば支払われねばならないであろう現金額ないし 現金同等額で報告される。

現在市場価値 ある程の市場性ある有価証券への投資勘定はその現在市場価値,すな わち,秩序ある換金にて売却することによって得られるであろう現金額ないし現金同 字額で報告される。現在市場価値はまた資産がその帳簿価額より低い価格で売却され ると予想される場合にも一般に用いられる。市場性ある商品および証券を含むある程 の負債,例えば,基礎となる商品や証券を所有していないオプション・ライターない し普通株売却人の債務は現花市場価値で報告される。

正味実現可能価値 短期受取勘定および棚卸資産はその正味実現可能額,すなわち,

それはJl:割引現金額ないし現金同等額であり,資産は営業期間を通じて直接費名差引 かられて,もし必要があれば漸次それへ転換されていく。将来における既知ないしは 見積額の現金支払,たとえば,支払勘定あるいは製品保証債務は一般にその決済額,

すなわち,それは必要があれば営業期間を通じて債務清算にあたって支払われると見 積られる非割引現金額ないし現金同等額で報告される。

将来キャッシュ・フローの現在割引価値 長期受取勘定はその現在価値,すなわち,

ある資産が営業活動を通じて漸次転換されていくと期待される将来キャッシュ・イン フローからそれを取得‑するために必要なキャッシュ・アウトフローを控除した額の現 在ないし割引価値で報告される。長期支払勘定は同様に,その現在価値,すなわち,

営業活動を通じて負債の返済に必要と予測される将来キャッシュ・フローの現在価値 ないし割引価値で報告される。

乙のように, rス テ イ ト メ ン ト 」 は5つの属性区分(評価方法〉を上げ,測 定 基 準 を 一 つ の 属 性 を も っ て 論 理 化 し て い る わ け で は な い 。 だ が , 伝 統 的 歴 史 的 原 価 主 義 も 相 対 化 さ れ , 多 様 な 属 性 基 準 を 容 認 す る 乙 と に よ っ て 現 実 の 実 務 を 合 理 づ け て い る の で あ るo

かくて, rステイトメント」はいう。 r歴 史 的 原 価 シ ス テ ム 」 は 便 利 で あ り,主要な資産項目(大部分の棚卸資産,財産,設備および無形固定資産〉に関す

(13)

る現在の実務をよく表示しているが,その他の資産,負債項目一例えば,受 取勘定,支払手形,製品保証債務に関する現在の実務に適しているとはいえ ない,というoそこで「ステイトメント」は「歴史的交換価格J(historical  exchange price)とそ現在の実務における財務諸表に一般に計上される価 額をよりよく表示している,とo

たとえば,受取勘定や長期支払手形勘定に関して当初記録された価額は一 般に歴史的交換価格表示に合致する。しかし,ある資産また負債は交換なし で取得され,また発生するo たとえば,発見あるいは処出による受取資産,

所得税,訴訟上の債務がそうであるoすなわち,乙れらの場合には,歴史的 交換価格は存在しないのであるから他の属性が用いられねばならない。さら に,資産(負債)の計上額は,以後の資産の保有ないし負債の負担の発生が ない場合でも,しばしば歴史的交換価格からより低い原在原価,現在市場価 値,正味実現可能額へと減少(増加)するo また,ある資産は歴史的交換価 格から独立して,現在市場価値で計上されるのである,という。

以上から rステイトメント」は r種々の理由から数多くの大幅な例外 事項を有する単一の属性に基づいて現在の実務を特徴づける試みより,むし ろ,現代の実務を種々の属性に基づいたものであると特徴づけているoすな わち,単一の属性を選択し,すべての区分の資産,負債についてその属性を 用いるよう実務の転換を強制するのではなく,本概念ステイトメントは種々 の属性を用いることが継続される乙と,および特定の場合における適切な 属性を審議会としていかに選択するかの議論を行うことを提案する」と,こ

のように論理づけるのである。

さらに rステイトメント」は測定問題のもう一つの側面で、ある測定単位 についてつぎのようにいう。現在実務における財務諸表の貨幣単位ないし測 定尺度は名百貨幣単位,すなわち,一定期間にわたる貨幣の購買力変動の修 正を行わない単位であるo一般購買力の変動が低率である場合には貨幣の名 目単位も相対的には安定的であるo しかしながら,一般購買力水準の変動率 が増大する場合には,名目貨幣単位で表示された財務諸表はしだいに有用性 を減じ,また,比較可能性を減じるD そこで,当審議会は財務諸表上認識さ

(14)

FASB財務会計概念構造の特徴 393 

れる項目の測定については名百貨幣単位が用いられ続けるであろうと考え る,というD このように,本概念ステイトメントが対象領域としている「財 務諸表」領域での直接的な一般購買力会計の導入を主張するものとはなって いないo

目的適合性一一目的迎合性は第一義的な質的特質であるoある項目に関す る伯報が目的適合的であるためには,それは利用者にとってフィード・パッ ク価値ないし予測価値(あるいは両方〉と適時性を有しなければならない。情 報はもしそれが投資家,債権者,その他の利用者の意思決定に差別化の能力 を有していれば目的適合的であるD 財務諸表上に資産,負債,あるいはその 変動を合めて伝達される伯報が認識されるためには目的適合的でなければな

らない,という口

また,認識の対象となっている項目についての特定情報の目的適合性は孤 立して決定できない。目的迎合性は合理的投資,与信,その他同様な決定に 有用な情報の捉供といった,財務報告の基本的目的との関連において評価さ れるべきであるO さらにまた目的適合性はある特定項目の認識がいかに総括 的な志思決定有用性に貢献するかを考慮して,財務諸表体系との関連の中で 評価されるべきである,と乙のようにいう。

信頼性一一信頼性はもう一つの基本的な質的な特質であるoある項目に関 する↑jJ報が信頼性あるものであるためには表示上の正確性,検証可能性,中 立性を有しなければならない。伯報が信頼性あるものであるためには,投資 家,与信者,およびその他の芯思決定に有用であるために基礎となる資源,

依務,あるいは事象の効果の表示において十分に正確性を有し,無誤謬かっ 不偏なものでなければならない。そうして,資産,負債の存在および価額に 関しての↑jJ報が認識されるためには信頼性あるものでなければならない,

(13) 

と乙のようにいうのであるD

このように,認識規準は第2号に展開された芯思決定に有用な財務情報の 質的特徴から導きだされた目的迎合性と信頼性規準とを基軸に設定し,この 両規準の上に測定可能性概念を構築しているのであるo

(15)

2.  収 益 ・ 費 用 の 認 識

では,損益項目,先づ,なかんづ、く,稼得利益の構成要素に関して先の基 礎的認識規準はいかに適用されるであろうか。 rステイトメント」は稼得利 益 要 素 に 関 し て は , そ の 重 要 性 に 照 ら し て , 認 識 規 準 の 適 用 に あ た っ て 収

(14) 

益,費用の認識に関する「指針J(guidance)を示すとしているo

収益および利得 一会計期間における企業の収益および利得は一般に資産 (あるいはそれに伴う負債)の交換価値によって測定される。そうして,その認 識の考察は二つの要素 (a)実現ないし実現可能 (real1zedor realizable), 

(b)稼 得 (earned)からなるとする?

a.実現ないし実現可能収益および利得ば一般に実現ないし実現可能となるまで認 識されない。収益および利得は製品(財貨および用役を含む),商品,またはそ の他の資産が現金ないし現金請求額と交換さる時をもって実現するo収益および 利得は受取資産ないし保有資産が現金ないし現金請求額へ容易に転換されうる場 合l己実現可能である。容易に転換可能な資産は,①相互に交換可能な単位であ

り,②実際市場で相場価格が得られるものである。

b.稼得収益は稼得されるまで認識されない。ある実体の収益獲得活動は財貨の配 給ないし製造,用役の提供,その他実体の継続的で主たる営業活動を含んでいる が,収益は,それが代表する便益に対する義務を実質的に完了した時をもって稼 得されたと認識される。利得は通常,取引およびその他の事象の結果であり,

u稼得の過程"を含まない,そうして,利得の認識にあたっては,稼得は実現な いし,実現可能ほどの重要性を有しない。

以上のように rステイトメント j は収益および、利得の認識について二つ の段階に区分しているoでは,これら二つの基準の関連はどのようなもので

(16) 

あろうか。 rステイトメント」はいうD

a.  二つの条件(実現ないし実現可能と稼得〉は通常は製品ないし商品が顧 客へ引渡されるか,用役が提供される時点で合致する。また製造および販売 活動からの収益とその他の資産の販売からの利得および損失は通常販売の時

(16)

FASB財務会計概念構造の特徴 395 

点(普通引渡しを意味する)で認識されるD また b.もし販売もしくは現金 受取りが製造または配給に先行する場合には,製造または配給をもって稼得 と認識される。また c 製品が製造の前に契約される場合,完成時の結果 について合理的見積や進捗率の信頼性ある測定が得られるとすれば,収益は 工事進行基準 (percentage‑of ‑completion method)によって稼得と認識

される,とする。

またd.継続した期間にわたり用役や資産の使用権が提供される場合は,

事前に設定された契約価格を基礎として信頼性ある尺度が利用可能であるか ら収益は時間の経過!と従って稼得されたものとして認識される。つぎに,

e.製品ないしその他の資産で,それが大きな努力なしで信頼性をもって決 定可能な価格で売却可能である(例えば,ある程の農産品,貴金属,および市場性 ある有価証券)ため,容易に実現可能である場合は,収益およびある程の利得

・損失ば製造の完成時をもって,あるいは当該資産価格の変動時をもって認 識される乙とになろう,というo

そうして f.もし製品,用役,あるいはその他の資産が容易に現金に転 換できない非貨幣資産と交換される場合,収益ないし利得・損失は,それが 稼得されるか,取引の完了を基礎に認識されるととになるo もし,非貨幣 資産が非相互取引において受取られたか,処出された場合も利得ないし損失 が認識されることになるO 両者のような取引の認識は合理的な限度内で公正 価値 (fairvalue)が決定できるという条件に依存している,という。最後 に,製品,用役,あるいはその他の資産に対する受取資産勘定の回収可能性 に疑問がある場合,収益および利得は現金受取基準で認識される,とこのよ うにいうD

つぎに,費用および損失の認識基準はどのようなものであろうか。 rステ

イトメント」はいうo

費用および損失 費用および損失の認識基準は一会計期間における経済便 益の費消ないし将来経済便益の損失の発生ないし発見の認識を予定してい るo 費用および損失は実体の継続的で主要な営業活動を構成する財貨の販 売,製造,用役の提供,その他の活動において実体の経済便益が費消さる時

(17)

点,あるいは先に認識された資産が減少する乙とが予測されるか,もはや使

(17) 

役を有しない場合に一般に認識されると,このように定義している口 では,経済使役の費消とは,具体的にどのような乙とか,一会計期間の経 済便益の費消は直接に,あるいは同期間に認識された収益へ関連つ、けること によって認識される。例えば a 売上原価のごとき費用は収益との対応 一一すなわち,同ーの取引ないし事象からの直接または結合の結果としての 収益認識に基づいて費用として認識されるo b.販売および一般管理費に おける給与のごとき多くの費用は取得とほぼ同時に費消される財貨や用役に 関しての現金支出や負債の発生する期間に認識されるD また c 減価償却 費,保険料といった一定の費用は,当該資産が便益を提供すると見積られる 期間にわたって組織的かっ合理的方法で配分される,といった例を上げてい

るo

3.  資産・負債価値変動の認識

最後に,以上の認識規準に照らして,資産・負債価値の変動はいかに論理 化されるであろうか。 rステイトメントJはいうo取得資産や発生負債・の源 始的認識は一般に認識時点の現在交換価格に基づく測定を含んでいるG 一度 ある資産あるいは負債が認識されれば,資産,負債項目・金額に変動をもた らす事象が生起し,かっそれが認識の規準を満す場合以外は,当初の認識額 で継続して測定されると21〉それは,取得原価ではなく認識時点の「現在交 換価格J~ζ 基づく継続記録であるという論理でもって現行実務を支持してい

るO

そうして,資産および負債の変動をもたらす事象を二つのタイプに区分す るo (a)イン・フロー(資産の取得あるいは負債の発生)とアウト・フロー (売却ないし処分,あるいは資産の減損と負債の返済ないし解約), (b)実体の保 有資産額あるいは負債‑額の変動であり,後者は二つのタイプ(j )有用性な

(20) 

いし実質の変動, (ii )価格の変動,からなるという口

また,現在価格に基ずく情報はもしそれがコストを考慮、しでも十分に目的

参照

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