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【学位論文審査の要旨】

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Academic year: 2021

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【学位論文審査の要旨】

ヒューマン・ ロボット・インタラクション ( HRI ) は、人工知能と人の認知を統合した 多分野にわたる研究であり、ロボットがより高度になるにつれ、人とのコミュニケーショ ンにおいて、より自然な対話が期待されている。しかし、ほとんどのHRI研究では、人間 の認知や個々の人の違いについて、十分に考慮しているとは言い難い。さらに、ロボット の身体表現は万人に共通なものが用いられており、人や周囲の多様性を十分に考慮してい るとは言い難い。そこで本論文では、ロボットが個人の特徴を識別し、最終的にそれぞれ の人のタイプに適応して相互作用を改善できるよう、ユーザタイプを用いることを提案し ている。

本論文では、人の行動を言語表現だけでなく非言語的側面からも理解することを提案し ており、ユーザタイプを個々の人の特徴に応じた表現を提供するための指標として用いて いる。さらに、被験者実験によって、ロボットの表現と人の内的状態とが相互に影響しあ うことを示すとともに、ユーザタイプに基づいたロボットの表現の重要性を示している。

本論文では、1) 個々の人の違いを考慮し、同様の行動をする人を同じユーザタイプとし て分類するための特徴量を得ること、さらに人の行動の類似性を分析して、ユーザタイプ の基礎を構築する手法について述べている。さらに、2 ) 人のロボットに対する受容性を高 めるために、それぞれの人の印象の好みを考慮してユーザタイプに応じたロボット表現を 設計する手法を示している。

まず、人の行動に基づいてユーザタイプを構築するために、人の状態として発話内容に おける確信の有無を対象として被験者実験を行い、動作情報と音響情報のデータを収集し ている。収集したデータに対し、機械学習を用いて、ある被験者データで学習したモデル を別の被験者データでテストすることで、被験者間の類似性を明らかにしている。さらに これらの類似性からユーザモデルの必要性について述べている。

次に、ユーザタイプに応じたロボット表現を設計し有用性を示すために、二種類の実験 を行っている。一つ目の実験では、Cute と Cool な動作に着目し表現を設計している。ま ずそれぞれの被験者に Cute / Cool な挨拶を行ってもらい、そのデータを基に実験者が

Cute / Cool それぞれの基本動作を設計した。その基本動作を基にアニメーションを生成し

被験者に好みの動作を選択してもらい、さらにSD 法 (Semantic Differential Method) に よる評価を実施している。 SD 法の評価結果から被験者間において共通して好ましいとさ れる表現があることが示されている。二つ目の実験では、ロボットの表現に対して人によ って感じ方が違う点に注目し、生理指標である心拍からの LF / HF 値と、心理学で用いら

れる BIG5 特徴の二つの点から検証を行っている。実験では、まずロボットの Positive /

Negative な表現を設計し、動作表現の変化および音声特徴の変化のそれぞれに対し、被験

者の印象変化を調査している。この調査結果から Positive な表現では音声変化の要素が大 きく影響し、Negative な表現では被験者の認知的な差異が見られることが明らかにされて いる。さらに、Positive / Negative なロボット表現をインタラクションに用いて、インタ

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ラクション前後の LF / HF の変化を調査している。その結果、Positive な表現を用いた場 合、インタラクションの前よりも LF / HF の値が下がりストレスが軽減されることが示さ れている。また Negative な表現をインタラクションに用いた場合は被験者によって傾向 がことなることがわかった。これらの実験において被験者へのインタビュー結果から、動 作の違いを不快に感じる者と、違いを受け入れている者の二つのグループに分けられた。

この二つのグループについて BIG5 を解析したところ、神経症傾向(情緒不安定性または 神経質傾向とも言う)において違いが見られることが明らかとなった。

以上のように本論文では、ロボット表現が人の印象に与える影響を調査し、ユーザの違 いを考慮し、ユーザタイプに基づいてロボットの表現を設計することを提案し、実験によ ってその必要性を明らかにしている。得られた知見は今後のロボット表現設計において重 要な要素であり、工学的に重要な意義があると考えられる。よって、本論文は博士(工学)

の学位を授与するに十分な価値があるものと認める。

(最終試験又は試験の結果)

本学の学位規則に従い、最終試験を行った。公開の席上で論文発表を行い、学内外の教 員による質疑応答を行った。また、論文審査委員により本論文および関連分野に関する試 問を行った。これらの結果を総合的に審査した結果、専門科目についても十 分な学力があ るものと認め、合格と判定した。

参照

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