奈良教育大学学術リポジトリNEAR
小・中学校社会科「地域学習」の視聴覚教材開発に 関する若干の考察
著者 菊地 一郎
雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告
巻 3
ページ 1‑7
発行年 1980‑03‑08
その他のタイトル Some Comments on the Development of
Audio‑Visual Aids for "Regional Studies" in
the Elementary and the Junior High Schools
URL http://hdl.handle.net/10105/4654
材開発に関する若干の考察
菊地一郎(地理学教室)
Some Comments on the Development of Audio‑Visual Aids for Regional Studies in the Elementary and the Junior High Schools
Ichiro KiKUCHi (Department of Geography)
Abstract
In this paper, the present writer reports a few results of the fundamental investigation and makes some comments on the development of audio‑visual aids for "regional study" of social studies in the elementary and junior high schools. First he makes inquiries about the development of audio‑visual aids and educational broadcasting by Nara prefecture. It services some very useful educational broadcasting programs to us as audio‑visual aids for "regional study" of social studies, so he is going to be able to exploit his own new audio‑visual aids from them. Next he has investi‑
gated senses of some students of Nara University of Education about Nara prefecture. It has come to light that they are not enough in understanding of Nara prefecture, and audio‑visual aids is necessary to their pupils in future as well as to them.
Key words:
Regional study Audio‑visual side
は じ め に
「地域学習」に視聴覚教材が効果的であることは云うまでもない。 「地域学習」の本来のね らいは、生徒自身が野外で見て、聞く体験を通して、生徒が現在生活している土地とそこでの 人々の生活を理解することであり、 「地域学習」の最大の特色である。しかし、限られた授業 時間の中で、しかも広い視野から身近な地域学習をするには、どうしても視聴覚教材の助けが 必要となる。その必要性を熟知する地方自治体の教育委員会が中心になって、広く視聴覚教材 の開発に積極的に取り組んでいる。そしてすでに完成された多くのすぐれた教材をもち、目録 に掲載されている。それらの教材がいかにすぐれたものであっても、既成のものであることに は変りはない。教材は出来れば、教師自身の手づくりによるものでありたい。最近は8ミリカ メラやビデオカメラなど手軽で、便利な機器類が開発されており、その気になれば単独で視聴 覚教材を制作することは不可能ではない。しかし、そのためにはあまりにも、多大の労力、時 間、経費がかゝりすぎる。小学校教師は勿論、中学社会科教師にとっても、大変な努力を要す る仕事になるだろう。何とかこの間題を解決し、多忙な現場教師でも担任する生徒達のために 手づくりの視聴覚教材開発の可能な方途を見出したいというところに本研究の動機が存在する
菊 地 一 郎
のである。
1.研究員的
すでに筆者は、奈良県内を実地調査し、奈良県の地理を理解するための視聴覚教材の開発に 取り組んできた。もし研究グループを組織し、協同研究の形で着手していたら、それなりの成 果を得たかも知れないと思われる。しかし、それでは筆者の意図に反する。筆者は、県の教育 委員会が組織する有能な教師集団によって制作されたすぐれた多くの視聴覚教材を批判し、あ るいはそれ以上の作品を制作する意図をもたないし、恐らく試みても失敗に終るであろうと信 じている。むしろ、教材として不完全であっても、出来栄えが良くなくても、現場教師の手づ くりの教材の方が、生徒達に与える教育効果は大きいし、生徒達にとって作業学習が大きな効 果をもつものと同様に、教師にとっても自己の教材観、指導上のねらいによって教材開発する ことは喜びも限りなく大きいと考えられる。当然、教材に対する教師の理解も深く、したがっ てそれだけ学習指導において教材の価値も大きいものとなる。
結論的に、それでは手づくりの視聴覚教材はいかにして得られるであろうか。それを「地域 学習」で試みてみたいと思う。そしてその一つの方法は、県の許可を必要とするが、県が奈良 県テレビ(UTN)を通じて、放映している教育放送番組のなかから、適当なものを選択し、
編集することである。しかし、テレビ番組の一つ一つは完結したものであり、それを細分して 再編集することは内容的に非常に無理があり、難しい仕事であるに違いない。ただ労力、時間、
経費の点では、それほど要するとは思われず、むしろ容易であろう。既成の視聴覚教材を、学 習指導にいかにうまく、効果的に利用するかということも重要な研究テーマであるが、手づく りの教材を開発することも、教育的にきわめて興味ある研究課題である。
「地域学習」のための手づくりの視聴覚教材開発を教育現場の教師達に訴えるより、筆者の 担当する社会科教育の講義において、将来教師を目指す学生達に、筆者自身が開発した教材を 見せ、体験を語る方が、ずっと効果的である。では具体的、実際的にどのようにして教材を開 発(ビデオテープの編集)していくか。その前提として、学生の受容態勢を調査し、視聴覚材 料の効果を測定する必要がある。したがって、本研究の目的は、最終的には現場教師による「地 域学習」の手づくり視聴覚教材開発を目指すものであるが、当面は筆者自身の教材開発の前提 として、「身近な地域(奈良県)」に対する意識調査と、「地域学習」の視聴覚教材に対する 学生達の反応調査におかれている。
2.研究方法
まず第1に、昭和52年に改訂された小学校および中学校学習指導要領「社会」に示されてい る「地域学習」の内容とその取り扱いを述べる。周知のどとく、新学習指導要領によるカリキ ュラムは、移行措置を経て小学校は昭和55年度、中学校は56年度から実施段階に入る。開発さ れる「地域学習」の視聴覚教材も当然に新学習指導要領に準拠することになる。第2に、事例 として奈良県の場合を取り上げ、奈良県がすでに開発している「地域学習」に関する視聴覚教 材の実態を調査する。16ミリ映画フイルム、スライド、テレビのビデオテープからなる。16ミ
リ映画フイルムは、広報課制作の「奈良県とは一空のメルヘンー」だけである。これは学校教
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育用ではなく、社会教育用であるが、教材としての価値も高い。ビデオテープは、奈良県テレ ビ(UTN)で県政・教育放送として放映したものである。手づくりの視聴覚教材として、ビ デオテープから再編集する場合に、著作権の問題があるので県が開発したビデオテープが基礎 資料にならざるを得ない。第3には、現場教師による手づくりの教材開発が可能であるかどう かを知るために、奈良女子大および奈良教育大の学生達を対象に、「身近な地域」としての奈 良県に関する意識を調査する。また、前述の「奈良県とは−空のメルヘン」の16ミリ映画を見 せ、その反応を調査する。
3 新学習指導要領「社会」に示されている
「地域学習」の内容と取り扱い。
小学校3・4年の中学年では、両学年を関連的に取り扱い、両学年を通じて地域社会におけ る人々の生活について理解を深めることを主なねらいとしている。内容としては、人々の生活 の幾つかの側面を取り上げ、社会事象が地域社会にもっ意味を考えさせようとしている。まず 第3学年では、人々の生活と自然環境との結び付き、生産活動と消費活動の特色、人々の生活 の歴史的変化などの理解、地域社会の成員としての自覚などを目標とする。内容的には市(町・
村)を中心とした地域の特徴ある地形、土地利用、集落分布を取り上げて、人々の生活と自然 環境との関係を理解させ、県(都・道・府)内における自分たちの市(町・村)の位置を確認 させ、県の地形の特徴に気付かせる。
第4学年では、人々の生活の安全や向上を図るための協力的活動や計画的活動および地域に 対する先人の業績に対する理解を深め、地域社会の発展を願う態度を育てることを目標とする。
内容的には、飲料水・用水・電気・ガスなどの確保および廃棄物の処理、災害から人々の安全 を守る活動を取り上げて、人々の協力的・組織的活動を理解し、続いて公共施設の建設過程を 取り上げて、人々の計画的活動を理解するようにする。なお、第4学年の終りに、自然条件か
らみた国内の特色ある地域を取り上げている(国土学習)。
従前の中学校学習指導要領「社会」では、「身近な地域」は、4大項目の1っとして最初に おかれていた。したがって、次の「日本とその諸地域」の導入部であるだけでなく、地理的分 野全体の導入的役割を果すものとされていた。今回の改訂では、3大項目に集約され、「世界 とその諸地域」が先習となったため、「身近な地域」は第2番目の「日本とその諸地域」の中 項目に位置づけられた。したがって、この学習は、野外の観察・調査と縮尺の大きな地図の読 図とを関連させて、「身近な地域」の特色を理解させ、その発展に努力しようとする態度を育 てる(目的概念)とともに、その学習を通して地理的な見方や考え方を啓発する(方法概念)
ねらいの2っの側面から成り立っている。内容的に前者では、生徒が直接見聞できる地理的事 象(自然環境・開発・産業・交通・人口・居住など)を取り上げ、「身近な地域」それ自体の 特色を理解させることをねらいとしている。後者では、「身近な地域」を位置・分布・その他 の事象との関連で考察する能力や、縮尺の大きな地図の利用の仕方、統計その他の資料に基づ いて適切な判断をする能力の基礎を養い、あわせて第域の特色と変化についてまとめたり、発 表したりする能力を養うものである。なお、中学第1学年、第2学年は地歴並行学習、第3学 年公民学習を原則とすることになっているので、「身近な地域」は第1学年の第3学期、ある いは第2学年の第1学期に学習することになっている。
菊 地 一 郎
4 地域学習」に関す達する奈良県の視聴覚教材開発
奈良県教育委員会社会教育課にある視聴覚ライブラリーが所蔵する教材は、1979年視聴覚教 材総目録(奈良県教育委員会)に記載されている。それは(1)16ミリ映画フイルム(2)スライド
フイルム(3)録音教材(4)録画教材からなっている。ただし、録画教材は同委員全教再放送課 所管である。16ミリ映画フイルムについては、奈良県に直接関係するものが非常に少なく、「日 本の古都一奈良・京都−」、「万葉のふるさと」、「大和路をたづねて」、「三つの柱」、「郷 土のくらし」、「百万人のしあわせ」など、史跡、文化財・紀行とか県政紹介の6本だけであ る。スライドフイルムは、さすがに多く、学校教育用に直接「地域学習」として奈良県の学習 に役立っ「私たちの奈良県」シリーズ6巻のほかに、「のびゆく奈良盆地」、「郷土のくらし」
などがある。
奈良テレビ(UTN)の県政・教育放送についてみると、県政広報は総務部広報課、教育放 送は教育委員会放送教育課のそれぞれ所管になっている。教育放送は学校教育と社会教育に分 かれ、学校教育番組の中で社会科については、小学校3年用「みんなのくらし」と4年用「わ たしたちの郷土奈良県」があり、いずれも「地域学習」に関するものである。なお、それらは 新学習指導要領と奈良県の教育目標に基づいて内容が作成されており、さらに県内の各学校で 実施している学習指導計画を配慮して番組が編成されている。そして教育放送の活用によって 学習指導の充実を図り、基礎学力の定着に役立てるという意図のもとに、カラーで15分、週3 回放送している。社会教育番組の中で、「地域学習」に役立つものは、成人教育用の「100万人 の対話」と「大和路の文化財」である。なお、社会教育番組は、奈良県の実態と課題に即した 新鮮で確かな情報を提供し、社会教育・家庭教育の学習資料として役立てようという意図のも
とに編成されているのである。
学校教育放送番組の中の社会科に関していえば、中学校の「地域学習」用のものがない。こ の点でも、社会教育番組の中から教師が選択し、教材化する必要が生れてこよう。とくに、中 学校の「地域学習」では、学習指導要領「社会」の内容の取り扱いで、「指導に当っては、歴 史的分野の指導との関連を考慮して取り扱う必要がある」と示されており、「大和路の文化財」
は利用価値が高いのではないかと思われる。
ところで、県ではかなり立派な学校放送番組を編成し、放送しているが、受像態勢については どうであろうか。県の調査によれば、TVについては、その充足率は学級あたり、小学校92.1%、
中学校63,0%であり、VTRについては学校あたり、小学校89.0%、中学校92.0%となってい る。まだ完全とはいえない。なお、難視聴の学校には、学校教育全番組のビデオテープの貸し 付けがおこなわれている。さらに、小学校4年社会科用の「わたしたちの郷土奈良県」の利用 率は、抽出153校のうち92.8%に達している。
5.奈良県に対する意識調査と視聴覚教材利用の反応
筆者は、現場教師による手づくりの視聴覚教材を目指し、その基礎調査として、奈良女子大 および奈良教育大では社会科教育を受講する学生を対象に、奈良県に対する意識調査を行った。
講義時間を利用するので、「地域学習」に対する研究という意味も兼ね、教材として県の広報 課制作の16ミリ映画フイルム「奈良県とは一空のメルヘンー」を映写し、その反応も調査した。
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前述のとおり、「地域学習」の研究用として、大学生に見せる適当な映画フイルムは、それ以 外に見当らなかったのである。またアンケート調査の内容それ自身、適切であったかどうか問 題であり、今回の結果をよく検討し、改良を加えて少くともここ2・3年連続して調査する予 定である。とりあえず、今回の調査結果の一部を報告したい。
まず、予備調査の意味もあって、奈良女子大の学生を対象に調査を実施した。時期は昭和54 年11月下旬で、調査対象は20名である。学年別には、4年生4名、3年生2名、2年生14名で、
2年生が70%を占める。出身地別では、近畿地方5名、中部9、中国・四国3、九州1、関東 2で、中部地方が多いのが目立つ。調査時点で奈良県内の小・中学校教員志望をたずねたとこ ろ、希望者はわずか1名で、なしが12名、わからないが7名であった。大学入学以前(入学に かかわるものを除く)に、奈良県へ来た経験は、あると答えたもの17名、ないが3名で、その 目的は全部が修学旅行であった。しかも大部分は奈良盆地内(11名)、市内だけが7名を数えた。
奈良県についてイメージとして何が浮ぶかたずねたところ、鹿と大仏が半数をこえ、古都、法 隆寺がそれに次いだ。
奈良県について学習した経験は、ないが19名で、社会科で学習したがわずか1名である。授 業で奈良県の映像教材を見たかに対して、当然ないが19名、あるは1名である。さらに大学入 学後、通学・用事以外で県内の旅行経験をたずねたところ、あるが17名で、ないはわずか3名 であった。また入学後に奈良県の映像を見た経験は、テレビが3名、他の17名はみたことがな いであった。奈良県への就職希望がほとんどない状態ではあるが、身近な地域に対する関心の 薄さがうかがわれる。したがって、「奈良県とは−空のメルヘンー」の映画を見た感想は、非 常に好評であった。「奈良県の産業について、あまり知識がなかったので、これをみることで 酪農なども行われていることを知り、参考になった。また、上・下水道の整備のための施設が 作られているなども知らなかったので、よい機会であったと思う」、「美しい自然がそこなわ れずに残っており、風景の美しさなどを改めて感じた」、「奈良に4年間も暮していなから、
知らない土地が多いなど自分の無知識の程を知りました」、「私の場合、関東生れ、関東育ち なので、奈良についてはほとんど知識がなかったので非常に興味深かった」など、奈良県各地 の紹介に、初めて知った喜びと、驚きが切々と書かれていた。もっとも印象深かった場面は、
ダム、十津川峡の風景の美しさ、大和高原の茶畑など、奈良盆地以外の山岳地等・高原であっ た。なお、この映画に出てくる場所について、ほとんど知らなかった11名、知っている所がか なりあった7名、大部分知っていたは2名だけであった。調査項巨=ま、全部で26項目に及んだ が、そのうちのほんの一部の報告にとどめた。
奈良教育大の学生を対象にした調査は、昭和54年12月初旬に実施した。調査結果は次の表に まとめた。
第1表 奈良県に関する意識調査(一部抜すい)
調査対象 奈良教育大学学生87名(4年生2名、3年生26名、2年生59名)
1.出身地 奈良県37名、大阪府19名、兵庫県11名、京都府9名、熊本県2名、鹿児島県・島 根県・広島県・岡山県・愛媛県・滋賀県・福井県・東京都各1名、無記入1名。
2.調査時点での奈良県内小・中学校教員志望
a.ある47名 b.ない1名 C.わからない21名
菊 地 一 郎
3.大学入学以前に奈良県へ来たことがあるか。
a.ある48名 b.ない2名 C.県内居住者37名
4.その時の目的は何であったか。(県内居住者は除く。重複してもよい)
a.用事6名 b.観光・行楽32名 C.修学旅行18名 d.その他6名 5.その時に県内のどこへ行ったか。
a.市内だけ31名 b.奈良盆地(飛鳥を含む)24名 C.生駒・金剛山地とその周辺14名 d.大和高原地域4名 e.吉野郡8名
6.奈良県といった場合、イメージとして何を思い浮かべるか。
①鹿 41名 ⑨大 仏 37名 ②古 都 35名 ④寺 19名
⑤田 舎11名 ⑥山 7名 ⑤古い歴史 4名(をl飛 鳥 4名 7.奈良県について学習したことがあるか。それは何時か。
a.ある63名 b.ない24名 小学校時代52名、中学校時代22名、高等学校時代8名 8.奈良県について、何か映像教材を授業で見たことがあるか。それは何の教科でか。
a.ある26名 も.ない61名 教科一社全科26名
9.大学に入学以後、通学・用事以外で奈良県内を旅行したことがあるか。
a.ある67名 b.ない18名 無記入2名
10.大学に入学以後、これまでに奈良県についての映像(テレビ・スライド・映画など)を見 たことがあるか。何で見たか。
a.ある29名 b.ない57名 NHKテレビ23名 毎日放送4名 奈良テレビ4名 スライド2名 16ミリ映画1名 8ミリ映画1名
「奈良県とは−空のメルヘンー」を見た感想は、奈良女子大の時と同じく非常に好評であっ た。「少し映画が古いという印象を受けたが、いろいろな場所が幅広く取り上げられていて興 味深かった」、「自分の知っている所を空から見ることが出来たので、面白かった」、「空から みると、きれいに見えた。山間地域のことは全然知らなかったので勉強になった」、「わが郷土 奈良県の産業・地形を展望できてよかった」など、単に初めて奈良県を見たというのではなく、
空から全体的に展望できたことに満足しているという感想が多かった。奈良教育大の場合は、
奈良県出身者も多く、大阪・京都など隣接府県の学生が大部分なので、奈良県については、と くに盆地部についてはかなりの認識をもっており、ただ県の全体像についての認識に欠けてい ることがよくわかる。この映画に出てくる場面でもっとも印象に残ったのは、やはりダム・過 疎村・大台ヶ原など、南部山岳地帯であった。また、この映画に出てくる場面について、ほと んど知らなかった21名、知っている所がかなりあった53名、大部分知っていたは13名であった。
なお、調査対象になった奈良女子大および奈良教育大の学生は、小学校教員免許状の取得を目 指す受講生である。
結 語
本研究の究極の目標は、現場教師による手づくり視聴覚教材開発の可能性を見出すことにあ る。しかし、当面の課題は、筆者自身による「地域学習」研究のための手づくり視聴覚教材の 開発におかれている。その基礎として、奈良県の視聴覚教材の開発状況を調査した結果、16ミ
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リ映画フイルムはともかく、放送教育において、開始以来7年間の努力の蓄積によって、格段 の充実が果され、立派などデオテープが作製され、残されている。一応、技術的に問題は残る としても、筆者独自の教材観・地理教育的視点にもとづいて、それらのビデオテープを再編集 して、視聴覚教材を開発することが可能であることがわかった。また、奈良女子大・奈良教育 大の学生を対象にした「奈良県についての意識調査」の結果は、社会科教育の講義の充実と、
とくに「地域学習」研究のための視聴覚教材の開発の必要性を改めて認識させるものであった。
奈良教育大の学生の多くは、奈良県および大阪・京都など隣接府県の出身者であり、奈良県に ついてかなりの認識をもちながら、全県的な広い視野からの理解に欠けるところがあり、彼等 の研究用として、また、生徒指導のために視聴覚材の開発が必須であることが明らかになった。
なお、教育放送による視聴覚教材の充実は、同時に教育統制への危険性を内包しており、その 意味で手づくりによる教材開発は、現場教師の主体性回復への提言でもあることを付言してお きたい。
奈良教育大学の学生を対象とする意識調査では、本学講師淡野明彦氏の援助を受けた。ここ に謝意を表したい。
参 考 文 献
(11文部省(1977):小学校学習指導要領、26−28頁。
(2) ′′ (1978):小学校指導書社会編、8−13、27−40頁。
[3) ′′ り977):中学校学習拇導要領、17頁、19貫。
(41 ′′ (1978):中学校指導書社会編、3−42頁、57−58頁。
(5)菊地一郎(1978):小学校中学年の地域学習に関する若干の考察、奈良教育大学社会科研究編「社会認 識の形成とその指導」
(61 ′′ (1978):昭和52年度版小学校学習指導要領における中学年「地域学習」と「地域主義」の観 点、新地理、16巻12号。
(7j 〝 (1979):中学校社会科「身近な地域」学習の展開の一事例一桜井市工業分布の利用−、奈良 教育大学教育工学センター研究報告、第2号。
(8I ′′ (1979):社会科における文化財教育。
奈良教育大学文化財教育研究報告、第8巻。