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特別支援学校における視覚に障害のある児童の指導について-特別支援教育コーディネーターのコンサルテーション事例から-

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Academic year: 2021

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(1)特別支援学校における視覚に障害のある児童の指導について          一特別支援教育コーディネーターのコンサルテーション事例から一                                     特別支援教育学専攻                                     特別支援教育コーディネーターコース.                                     M07125C 野本繍司 I 問題と目的                        の指導場面に20∼40分の介入を行った。).  A市立B特別支援学校は、200X年度より障害の区分なく   6 手続き 児童生徒カ蹴学する学校となり、肢体に不自由のある,瞳     事例1:特別支援教育コーディネーター桝旨導場面に. 生徒や知的な障害のあるリ瞳生徒の他、視覚や聴覚に障害     介入し、指導の観察から問題点を把握し、ケース会 のある二瞳生徒カ蹴学することとなった。            や盲学校地域支援部との連絡会で問題点が検討され、   また、特別支援学校では児童生徒の重度重複化により、     指導者カ布った指導について、その後のリ瞳の変容 何等かの形で視覚や聴覚に障害を持つ児童生徒が増えて     から考察する。 きているといった現状もあり、視覚に障害のあるリ瞳生徒     事例2∼4:特別支援教育コーディネーター榊旨導場 に対して、障害の特性に応じた学習内容や活動を、如何に     面に介入し、指導の観察から行った指導者への助言 提供できるかが重要な課題となってきている。          を、その後の指導者の指導と}瞳の変容から考察す   そのようなことからB特易1皮暖学校では、就学する}瞳      る。. 生徒の障害特性に応じて指導が進められるように、人材の   皿 結果と考察 育成や活用を行うためのシステムの構築やサポート体制    〈事例1〉. の充実等を図っている。                  1結果   本研究は、B特別支援学校に併設される支援センターの      日常生活の指導としては、歩行と荷物の整理の指導. 特別支援教育コーディネーターが、視覚に轄のある魑   を主とした。歩行については、ケース会と盲学校の連 の指導場面に介入し、指導者にコンサルテーションを行っ     絡会での検言柳ら、A児にはったい歩行を指導するこ. た事例から、その有効性を検証しようとするものである。    とになったが、歩行を行う上で手がかりとなるマーク. II方法                          の設定や設定された場所ごとに言葉がけを行うとい  1 対象校                         ったこと桝旨導者間で共通理解された。手引き歩行か    A市立B特別支援学校は総合制の特別支援学校であ     らつたい歩行を行ったことで、A児は手すりや壁を手   り、学校体制としては、総務部・指導部・支援部の3部     てったい、スクールバスから教室べ教室からトイレヘ   体制をとる。特別支援教育コーディネーターは支援部に     の移動力河’きている。.   所属する。                        荷物の整理では、A児が自分で、鞄の中のものを順  2 対象とした指導場面                  に外に出して整理していけるように、教室内の机や口    事例1:日常生活の指導                 ツカーの配置がされた。    事例2:コミュニケーションの指導            2 考察    事例3:運動と動作の指導                ケース会を行うことで、指導内容や指導を進める上    事例4:感覚と感触の指導                での環境の整備等、関係教員との共通理解や連絡カ布  3 文橡とした}瞳                    えたと考える。盲学校地域支援部との連絡会では、ケ   【A児】小学部3年生、男子、両眼光覚なし、知的な障     一ス会で確認が必要とされた指導について、検討や修    害もあると考えられるが、検査等は実施できていない。    五カ必要に応じて行われ、指導場面に生かされたと考    二語文での要求語が数語ある。(事例1・2・3)      える。   【B児】小学部2年生、女子、弱視で肢体に不自由があ    〈事例2〉.    るため、介護式車椅子を使用。知的な障害もあると考    1結果    えられるが、検査等の実施はできていない。(事例4)     A死へのコミュニケーションの指導では、視覚に障  4 文豫とした指導者                    害があっても理解カ河能なように、さわってわかるマ   【C教諭】小学校勤務20年、特別支援学校勤務10年、    一クを貼る等の指導を行うようにコーディネーター    視覚に障害のある児童生徒の指導経験はない。(事例     より指導者に助言を行った。視覚認知ができないA児.    1・2)                      に対して、触ることで特徴等を知り、合わせて名称を   【D識而】特別支援学校勤務1年、視覚に障害のある児     聞くことで、触っているものの特徴と名称を知るとい    童の指導経験はない。(事例3)              った設定がされた。また、動作介助と同時に言葉かけ.   lE編1特別支援学校勤務9年、視覚に轄のある児   を行うことで、りんごやバナナを「どうぞ」といって    童生徒の指導経験はない。(事例4)            手渡されると、A児は「ありがとう」といってお辞儀.  5 期間                         ができるようになってきた。    200X年4月∼7月(各事例毎に5回の介入、40分      A児に選択をさせるような提示の仕方や方法を考                            一254一.

(2)  えていく必要があるといったコーディネーターの助  言に、交互に鳴らされた楽器の音を聞いて好きな楽器  の方に手を伸ばさせるといった指導力桁われた。.     動かしている手指を見せながら、握りこんでいくとき     の感触の変化を、児童に体感させることができた。.   2 考察. 2 考察.      触らせながら見せることで、見るという活動洲足さ.   指導のねらいとして、さわりながら名称を聞くこと.     れたと考える。.  で、さわった時の形状の理解から、名称を理解させよ.      指導(授業)計画が、同じ内容を繰り返し半期にり     たって行うものであったことから、つぎへの見通しと.  うとするものであった。復唱ができてきたことから手  でさわったものと復唱した名称の理解ができている  かどうかの点検も含めて、名称を伝えてそれを袋に入.     期待感といったものを}瞳は学習できたと考える。.  れるといった設定や、2つから1つを選ぶといった設  定をしていこうと考えた。しかしながら、選択する複  数の対象物を視的にとらえられないA児には難しい  と考え、音を2つ聞かせて、好きな楽器の方に手を出.     覚に障害のある児童に対しての指導のあり方を、実際.  させるといった設定となった。.   lV総合考察. <事例3〉.     歩行や空間認知等については、盲学校地域支援部の支. 1 結果.    援を依頼したが、コーディネーターを含め研究宍橡校の.      コーディネーターが指導場面に介入したことで、視.     の指導場面を通して指導者にコーディネーターが提     示するとともに、指導の根拠を指導者が理解できたと     考える。.   運動と動作の指導では、クッションマット上を歩く.    指導者の中には、長らく重度重複の障害のある,瞳生徒.  ことで、マットヘの沈み込みを膝や腰で調整したり、.  ブロックの上を足をすらせながら進むことで、ブロッ.    にかかわってきた経験もあり、視覚に障害のある,瞳の    指導に、経験から対応できることも多かったと考える。.  クの端を知覚したりする等、状況に応じた身体の動か.    そのことは、コーディネーターの助言を受けての指導者.  し方をA児は獲得することができた。.    の指導の工夫に多くあらわれている。.   また、身体のバランス感を育成したり、身体を曲げ  たり伸ばしたりといった身体機能の育成については、.     特別支援学校のコーディネーターにあっては、外部支.  姿勢の介助や動作を構成する一連の動きを介助するこ.    いう実態もあると聞く。今回の指導場面への介入にあっ.  とで、要求される身体の動きを具体的にA児に知らせ.    ても、継続的に同じ時間帯に介入ができたものではなか.  ることができた。.    ったが、不定期であっても成果がみられたことから、指    導場面への介入を行う意義は大きいと考える。.   視覚模倣にて、姿勢や動作を学ぶことが難しいA児  にとっては、動作介助での指導が主となり、運動量も.    援に奔放するものも多く、校内支援に疎外になりがちと.     今回の指導場面への介入は、文橡とした指導者に視覚.  同じ時間枠で保障することは十分にはできなかった。.    に轄のある魑生徒を指導した纏鰍カ、ったため、. 2 考察   A児が視覚に障害があり、動作を模倣することがむ.    介入が容易であったが、他者からの指導場面への介入を.  ずしいこともあり、動作介助にて指導者と一緒に動作  を行い、動きの構成や動きの流れを知らせていく必要.    指導場面への介入の1つの意図としては、複数の目で指    導のあり方やリ瞳生徒の実態を的確に判断していくとい.  があった。.    ったこともある。.   身体にどのような力を育てていくのかといったこと.     指導場面への介入を指導者への指導ととらえず、,瞳.  に関しては、1つの授業枠では、必要とされる身体機  能の育成を全て保障することは難しく、年間指導計画  での指導内容の調整等をしていくことが課題として残.    生徒の実態や課題に応じて指導を進めるための1つのシ    ステムという理解を、支援を受ける側に促していければ.  った。.   V今後に向けて. 〈事例4〉.     検査等を児童生徒に実施できず、今回のように指導者. 1 結果.    の指導と,瞳の反応から指導者への助言をしようとする.    受けることを良しとしない指導者は多いと想定される。.    と考える。.   感覚と感触の指導では、r見る」「さわる」r嗅く〕と.    ならば、指導のねらいや文橡児童生徒の障害の特性とい.  いったことを、バラバラで行ったときよりも、「見る」.    ったものを把握しておく必要がある。.  といったことに視点をおき、他の感覚を補助としてつ.     指導者の指導に対する}瞳の反応を観察し、その時々.  かったことで、見るという活動洲足され、二瞳の反応.    の,瞳の様子が把握できていることで、,瞳の実態に見.  もとらえやすくなった。.    合った助言をコーディネーターは行えると考える。指導.   パン生地を、粘り気があり感触のよい粘度にしてB  児にさわらせながら見せるという指導は、手の動きと.    の記録等の文章で表記されたものは認識に手間取ること    もあり、活用しずらい場合もあると考える。それだけに.  感触の変化を関係させての指導であり、「どのように.    指導場面の観察から、指導経験を生かしゴーディネータ.  見せていくのか」「見るための意識や意欲をどのよう.    一榊旨導者に助言を行うことで、指導者の指導とリ瞳の.  に育てていくのか」といった指導上の工夫方桁われた。.    変容が促されるならば、指導場面への介入に対する期待.    r見る」ということを視点にしたことや、r見る」と.    は大きいと考える。.  いうことを促すため、他の感覚を併用したことでの成.              主倒=旨導教員 柘植雅義.  果は大きく、さわらせながら見せるという場合では、. 一255’ @          指導教員 柘植雅義.

(3)

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