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学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日 2014 年 11 月 26 日(水)

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学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日20141126日(水)

報告番号:甲 第 1644 号 氏名: 近澤 悠志

論文審査

担当者 主査 教授 黒田 雅彦 印

副査 教授 山科 章 印

副査 教授 小田原 雅人 印

審査論文の題目:

Factor X M402T: a homozygous missense mutation identified as the cause of cross-reacting material-reduced deficiency (CRM-reduced分子異常症を起こしたFX Met402Thr 変異の特徴)

著 者:

Yushi Chikasawa, Keiko Shinozawa, Kagehiro Amano, Kyoichi Ogata, Takeshi Hagiwara, Takashi Suzuki, Hiroshi Inaba, Katsuyuki Fukutake

掲載誌:International Journal of Hematology (in press, 2014)

論文要旨:

【背景と目的】第X 因子(FX)欠乏症は常染色体劣性形式をとる稀な出血性疾患である。本研究は、先天性FX 欠乏症と診断した日本人男性のFX遺伝子解析を行い、病因遺伝子異常を同定した。

【方法】:本症例のFX活性(FX:C)は、FX欠乏血漿を用いてプロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラス チン時間(aPTT)に基づく凝固一段法と、RVV を用いた合成基質法で測定した。FX 抗原量は ELISA で測定し た。FX 遺 伝 子 は PCR で 増 幅 し 、 ダイ レク ト シー ク エ ン ス で 塩 基 配 列を 決 定 し た 。 ま た FX cDNA を pcDNATM3.2(-)ベクターに入れ FX-野生型プラスミド(FX-WT)を構築し、Mutagenesis で変異体プラスミド

(FX-M402T)を作製した。その後、これらのプラスミドを HEK293 細胞に導入し、培養上清から FX-WT、

FX-M402T蛋白質を精製し、SDS-PAGE・ウェスタンブロット法にて解析を行った。【結果】:患者血漿のFX:Agは

11%で、PT と aPTT を用いた凝固一段法による FX:C は各々<1%、6.5%であった。患者の FX 遺伝子に Met402Thr(c.1205 t>c, p.Met402Thr)ミスセンス変異をホモ接合体で同定した。FX-M402T変異体発現実験の培 養上清の FX 抗原量は、野生型 100%に対して、26%であった。変異体の比活性は、野生型に比して、PT と

aPTT の凝固一段法、合成基質法で、各々、7.7%、31.9%、41.2%であった。発現蛋白質の分子量は、野生型と

変異体ともに、血漿由来FXと同じ大きさであった。発現蛋白質を活性化第IX因子に反応させ、ウェスタンブロッ トを行った結果、野生型と変異体の生成物の分子量は同等であった。【考察】本症例は(FX-M402T)、分泌障害 と分子異常を原因とする、FX CRM-reduced分子異常症であった。M402T変異は、aPTT試薬を用いた凝固一段 法でのFX活性が、PT試薬を用いた活性に比して優位に高く、その傾向は患者の表現型と一致し、出血傾向が 軽症であったことを説明し得た。

審査過程:

1.本研究の背景、意義、研究手法、倫理的事項に関する説明がなされた。

2. FX欠乏症及び本症例のPT、aPTTに関して質問がなされ、適切な回答が得られた。

3.本症例の両親、兄弟のFX遺伝子の変異に関しての質問がなされ、適切な回答が得られた。

4.今回の遺伝子解析(ダイレクトシークエンス法)の変異検出の精度に関して質問がなされ、適切な回答が得ら れた。

5.FX遺伝子の生理機能、結晶構造に関しての質問がなされ、適切な回答が得られた。

6.本研究結果をふまえた今後のFX欠乏症の治療についての展望が述べられた。

価値判定:

本研究においては、先天性FX欠乏症における、M402T変異を同定した。さらに、FX-M402T変異体リコンビナ ント蛋白質を用い、FX欠乏症における病態を明らかにした。今後のFX 欠乏症の治療戦略にとって重要な知見 であり、医学の進歩に貢献するデータを提供したものと考えられ、学位論文としての価値を認めた。

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