旋 回ね じ切 り装 置 に よ るね じの軸 平 行 切 削*
岸 佐 年 両 角 宗 晴 小 林 茂 夫
A Screw Thread Cutting Performed with a Thread Whirling Attachment Whose Axis is Parallel to the Screw Axis
Satoshi KISHI Muneharu MOROZUMI and Shigeo KOBAYASHI
Apreciseanalysiswasmadeonthescrew threadcuttingperformedwithathread whirlingattachmentwhoseaxisisparalleltothescrew axisandthepro丘1eofthe toolisstraight.First
l
y,theshapeofthecIlaraCteristiccurvebetweenthesurfaceof revolution ofthewhirling tooland thehelicoidalsurfacegeneratedismadeclear. Then itisclari丘edthattheinvolutehelicoidalsurfaceisgenerated and no inter・ferencephenomenonoccursinthisscrew・threadcutting. Secondly,amethodispre・
sentedtocalculateeach dimensionofthetoolandthescrew threadofwhich values areessentialforobtaining practicalscrew threads.Thirdly,acalculationprocedure issetupforthesectionalshapeofthescrew thread tobegenerated. Final
l
y,the theoriesinthisanalysisareveri丘edbypracticalscrew threadcuttingwiththethread whirlingattachmentfornumericalexample.1
.緒
言おね じの効率的な切削法の一つ として,旋回ね じ切 り装置を用いてバイ トをね じ素材軸周 りに高速で回転 させて削るね じ切 り法があ り;一般的 なね じは もとよりポールね じな どの切 削に多 く用い られている.この切削法ではノ ミイ ト保持具の回転軸をね じ素材軸 に対 してね じ の基準有効径進み角だけ傾けて取 り付け,バイ トに所定の切 り込みを与えた後ね じ軸方向に 送 りをかけてね じ切 りを行 う。そしてこの切削法に対 して種 々の研究が行われている
(I)(2)(3)(4×5)本研究では これ とは別 に,旋回ね じ切 り装置により直線切れ刃/くイ トを用いて,・ , :イ ト保 持具の回転軸をね じ素材軸 と平行に設置 してね じを切削する場合について厳密な解析的研究 を行い,,, ' ィ ト切れ刃の回転面である工具面 と被削ね じ面 との間の同時接触線の性質を明 ら かにす ることにより,このような軸平行切削法においてはインボ リュー ト‑ リコイ ドのね じ 面が創成 され ることを示 し,また何の干渉現象の発生 も無いことを明らかにす る.そ してこ の切削法において実用に供 し得るね じを得るための工具 とね じとの各諸元の限界値の計算手
*
昭和
61年
3月
13日 日本機械学会北陸信越学生会第
15回学生員卒業研究発表講演会にて発表
* * 機械工学科 講師
* * * 機械実習工場実習係 技官
* * * * 信州大学 名誉教授
原稿受付 昭和
62年 9月
26日
順,お よび創成 されたね じの断面輪郭を求める計算手順 などを明 らかにす る.そ して数値例 に対 して,旋回ね じ切 り装置を用いて実際にね じ切削を行い理論の検証を行 う.
2.
解 析 理 論
2‑1創成ね じ面と同時接触線
いま図 1 に示す ように,ね じ軸を Z軸 とし
,x軸がね じみぞの中央を通 るような
O‑xyzな るね じの座標系を考える・次に
x‑‑aを原点0とし
,X軸が
x軸 と同 じ方向を持ち
,Z軸
( 工具軸)が Z軸 と平行な
0‑XYZなる工具の 座標系を考える. この
0‑XYZ座標系において 図
2に示す ように軸断面で直線母線を 有 す る よ うな,ノミイ ト切れ刃の回転工具面の下側 の面は次 式によって表 され る.
X‑pcosO
Y‑psinO
z
‑ 一 号
‑(p‑pc)ta‑ C
(1)
ここで
pcは工具の ピッチ円半径
,pは工具の任 意半径
,Wは工具半径
pcにおける刃幅
,飢 ま工 具面を表すための
XZ平面か らの偏角,α Cは工 具圧力角を示す.この工具面をね じの座標系で表 す と次式のようになる.
∫‑pcos8‑α y‑psinO
I
‑ ‑ 号
‑(p‑
pc)tanac(2)
図
1ねじと工具との座標系の関係
図2 回転工具面の軸断面輪郭
そ こで, この工具面をね じ軸周 りに回転角 )で右ね じ運動 させた時に得 られ る曲面群をあ らためて
O‑xyz座標系で表す と次式が得 られ る.
x‑(pcosO‑a)cos}‑psinOsin1‑rcosO y‑(pcos6L a)sin}+psinOcos}‑rsinO z
‑ 一 昔
‑(pIPc)tan
ac ・
21‑Hlただ し
a‑pc‑rc‑pO‑rb I nP tanPc= 2T& C 至高tanβ y (pcosO‑a)tanl+psinO x (pcosO‑a)‑psinOtan}
tan
}
‑旋回ねじ切り装置によるねじの軸平行切削
(pcosO‑a)tanO‑psinO(pcosO‑a)+psinOtanO r
‑ ノx 2
十y2 2apcosO+a2p‑acosO+ノr2‑a2sin20
4 3
ここで
aはね じ軸 と工具軸 との最短距離
,rcはね じの基準有効半径
,rbはね じの谷半径,
paは工具の内半径,lはね じの リー ド, nはね じの条数
,Pはね じのピッチ
,)はね じ軸周 りの工具の回軸角
, βCはね じの基準有効径における進み角,Yはね じの任意半径, Cはね じ 面を表すための
xZ平面か らの偏角を示す.そ して式 (3)で示 した曲面群の包路面 としてね じ面が得 られ,この包絡面を求め るための条件式は式 (3)に対 して次のヤ コピアソを計算 し て求めることができる.
∂ x/ ∂ p ∂ x/ ∂ 6 , ∂ x/ ∂ } a y/ ∂ p a y/∂ O a y/ ∂ 1
∂ Z / ∂ p ∂ Z / ∂ 0 ∂ Z / ∂ 1
s i n∂= J 2 T E at anac より 次式 を得 る.
( 1 0 )
この式 ( 1 0) か ら,ね じと工具 との諸元が与えられた時 飢 ま一定 となることがわか る.そ して この式
(10
)を工具面を表す式 (
1)または式
(2)に代入す ることに より同時接触線が求め られ, 0が一定である条件か ら同時接触線は直線になることがわか る.そ してこの直線 と
xz平面 との交点を
Qlとし
,yz平面 との交点を
Q2とすれば式 ( 2) より点
Ql,Q2の座標値が求 まる.すなわち式
(2)において
γ‑
0 とお くと
p‑0(sin∂≒0)∴ ∫‑‑α
2‑‑㌢ pctanac
・・ Q
ll‑a
,0
・‑%・pctana c ]
∬‑
0 とお くと
p‑αsec∂/. y‑atanO
Z‑‑%‑(asec
o‑
pc)tanac・ Q2[0・atanO,一昔‑(aseco‑pc)tan αC]
以上に より,同時接触線 と各座標系 との関係は図
3に示す ようになる. この図
3より同時接触線 と
xy平面 との傾 きは点
QI,Q2の座標値か ら
‑ %・
pctanac+ % ‑( a
secO'‑pc) t a n a
clノa乞+a2tanW asecOtanac
dsec∂ tanac
となるか ら,同時接触線は点
Ql,Q之を通 り xy平面に 対 して
ὰの傾 きを持つ直線であることがわか る.そ し てこの同時接触線を xy平面へ投影 した直線 百
百3まで の Z軸か らの最短距離を r
gとすれば次式が得 られ る.
rg‑asinO‑ 7 27rtanac
図
3同時接触線と座標系との関係
( l l )
従 って, この同時接触線をね じ軸周 りに右ね じ運動 させた時,創成 され るね じ面は基礎円筒 半径
rg,基礎円筒におけるね じの進み角
βg‑acのインボ リュー ト‑ リコイ ドであることが わかる.
ここで式 ( 1 0)より,ね じと工具 との諸元が与 え られた とき馴 ま一定 となるか ら,式 (8)よ り
r‑r(p)となるので
,pに対す る rの極値を考え次式を得 る.
dr p‑acos
O
dp r d2r
a2sin20 dp2 (p2‑
2apcosO+a2)3/2dr/dp‑0
とお くと
p‑acosO とな りこの時
d2r/dp乞> 0となるので rはこの
p‑acosOで極小値
rJninとなる. よって式
(8)に
p‑acOSO を代入 して次式を得 る.
rn:n‑asinO
( l l ) I
従 って式 ( l l )と式 ( l l ) ′か ら
rnin‑rgであることがわかる. そ して
rniAに対応する p を
戸と表せば次式 となる.
i)‑aCO
Se ( 1 2 )
次に
xz平面内でのね じの軸断面山形を考え,式 (3)に
0‑0を代入 し
0‑0に対す る}
を
Ie=oと表せば次式を待 る.
G(I,r)‑I・
昔
+(pIPc)tana
c一
意 ,o=0‑0 (13)ただ し
tan }e=O
‑ ‑
psi nO p c
osO‑a昔
‑1 ,
雷‑o・
芸 ‑oこの式
(13)より
(14)
旋回ねじ切 り装置によるねじの軸平行切削
筈
‑
(苦.
怠・
%)
窓‑
(tanac一基・旦誓 )p T f
O∂2
Gl asi n
0∂ r
2W2 ( p‑ac os
O)・(tanac‑21W・‑聖 ㌍ )( p‑ac ( p‑a os
coOs) O) 2‑Y 3 2 ここで
r‑rJnin(‑rg)‑aSinO,p‑‑ p‑ac os 伊 の時,∂ 2 G/∂ r 2の第
2項の ( )内は
∫
tanac 茄㌫茄福 =tanαC‑tanac=0
とな り,従 って ∂2 G/∂ r 2
‑00≒0 となるか ら
r‑Y.ninの時次の条件式が成立する.
∂ 2
G∂ 2
G∂ Z
2∂ r
2 (蕊 )2‑0か
つ雷
≒o45
以上のことか ら
,r‑rninの点では関数 G( I,r )
‑0すなわちね じの軸断面山形は失点 と なる.従 って 図
3に示す同時接触線上の点Q
山形 との折 り返 し点で, この点が実のね じ山形 に対する同時接触線の終点 とな り,これ より先 の同時接触線は虚のね じ山形に対するものであ る.図
4は以上のね じ面 と工具面および同時接 触線 との関係を Z軸方向か ら見た状態を示す.
この図
4より,点Q の付近の同時接触線は実際 のね じ切削には関与 し得ないこと が わ か る.
図4 は通常の切削が行われるね じと工具 との諸 元の場合を示 しているが,ね じと工具 との他の 種 々の諸元に対する同時接触線の形状を検討 し ても,この点Qの付近の同時接触線がね じ面部 分に入 り込む ことは考え られず,従 って Q 点付 近の同時接触線における,ね じ面 と工具面 との 不対応点の存在による干渉現象の発生( 6 )はまっ
[r‑rmin
,p ‑‑ p ] は実のね じ山形 と虚のね じ
イ ◆ ー \ Y
(d ' W o . ‑o o
.書 、 . I
.訊 h ̲ y I r Al r f . R c. r
b toeX X
図4 ねじ面と工具面および 同時接触線の関係 た く無いことが理解できる.
2‑2
工具圧力角と工具刃幅 との限界について
2‑2‑1
実用に供 し得るね じを得るための最小工具圧力角
acmin図
4に示す ように通常の切削が行われ る場合,半径 paの工具内周緑円が創成す るね じ面 の半径を r / とすれば r J ・ ≦ Yでは正 しい包絡ね じ面が創成 され,それ以下の r /> r ≧ r bの 範囲では理論的に正 しい切削は行われず,半径 paの工具内周縁円により隅肉が形成 され る.
そ して r fの値は式 ( 8)に p‑paを代入して得 られ る次式により求めることがで きる.
r
/‑pa 2‑2apa
cos6 ?+a2
(15)また この場合の隅肉高さを
hとすれば次式により求めることがで きる.
h‑r /‑r
b (16)そ してね じと工具 との諸元が与え られた時,工具圧力角
acの小なるほ ど0が大 きくなることが式
(10
)によりわか り,従 って式 ( 1 5 ) によりr /が大 きくなることがわか る.
r/の値は小 さい方がよく,あまりに大 き過 ぎるとね じとして実用に供することができない.従 って実用 に供 し得 るね じとす るためには,所定の
r/ の値 まで正 しい包絡ね じ面が得 られるような最 小工具圧力角を a
c,)inと表す と,工具圧力角 acをac≧acninに採れば よい. arminの値は 式
(10
),( 1 5 ) か らβを消去 して得 られる次式に より求め られ る.
a ・ c mi . ,‑
tan‑1
7TJa2(2pa2‑ a2)+pa乞(2r/2‑ po乞)+r/2(2a2‑ rf2)
( 1 7 )
2‑2‑2
最適工具刃幅
Wo工具のピッチ円半径 pcにおける刃幅 W の値は,創成 されたね じの軸断面基準有効径にお けるね じみぞの幅が
P/2となるような値 Woでなければな らない. この
Woの値を求めるために
xz平面によるね じの軸断面山形を考え
,0‑0に対する1を
Ie=Oと表 し, 式 ( 3)の
Zの式に
r‑rcにおいて
2‑ ‑P/4なる条件を代入して次式を得る.W0‑号
12(
p‑
pE)ta‑C弓 ,0=0 (18)この式
(18)を用い, 実用に供 し得 るね じを得 るために
α(≧αcminに対 し,次に示す計算手順 に より正 しい
WDの値が求め られる.(i,C(≧αcmin)‑ ・0‑ ,(r‑rc)‑
,p
‑ ,}o=oT Wo2‑2‑3
最大=具刃幅
Wm8王次に式
(10)の同時接触線の条件式お よび式
(15),(17)か らも明らかなように, この切削法に より得 られるね じ面の形状は工具刃幅 W の値には影響 されない.従 って/, 'ックラ: yシュな どを考慮 してね じみぞの幅の値を任意に採 るならば,これに応 じて工具刃幅の値
ly を定め なければならない. しか し
ly の値をあまりに大 きく採 り過 ぎると,創成 され るね じの外径 部における肉厚が零 になってね じ山が尖がってしまう.そこでね じ外径部で丁度ね じ山が尖 が るような場合の工具刃幅を
Wma xと表す と,Wm 8 王は工具刃幅の最大値 となる
.W. n ほ の 値を求めるためには,ね じの外半径 rkにおいて
Z‑‑P/2なる条件を代入 して次式を得 る.
W‑a王‑p‑ 2(p‑pc)tanac
I i
lo‑。 (19)この式
(19)を用いて,次に示す計算手順により
WnAⅠの値を求めることができる.
ET..
I
(≧αcmin)一一 一 0‑‑ , ( r‑ rk
トー‑ p‑ Ro=O‑ Wmax(Ⅱ)
旋回ねじ切 り装圧によるねじの軸平行切削
47 2‑2‑4最小=具刃
帽 W nin次に工具 自身について考 えると,工具圧力角
acが与え られた時,工具刃幅
Wを小 さくと り過 ぎると,工具内径部において肉厚が零にな り尖がってしま う.そ こで工具内径部 におい て丁度肉厚が零になるような場合の工具刃幅を
W minとす ると
, W mi血が工具刃幅の最小値
となる.
W ninの値は次式で与えられる.
W min‑ 2(pc‑pa)tanac (20)
2‑2‑5
最大工具圧力角
ac
ma x
以上 のことか ら,ね じと工具 との諸元が与え られた時, この切削法に用いる工具の刃幅は
W min≦ W ≦ W.nax
でなければならないことがわかる. ところがね じと工具 との諸元が与え られた時,
W.naxの値は工具圧力角 αCの増加 とともに単調減少す ることが計算手順 ( Ⅱ)に より確認 され, 一方
W minの値は
acの増加 とともに単調増加す ることが式
(20)によりわか る.
従 って
acを増加 してい くとWmax‑Wminとなることが考え られ, この時のαCを a
cna x と す ると
, acmaxが工具圧力角の最大値 となる.a
cma Xの値を求めるために式
(19)と式
(20)か
ら
W max‑ W minとおいて次式を得 る.
acmA,E‑tan‑I
lk
] (21,この式
(21)を用いて,次に示す計算手順に より反復計算を行い, ac
maⅩ(‑αC)の値が安定すれば正 しい
a・cmaXの値が求め られる.
2‑3
ね じ断面輪郭 の計算手順
以上述べた理論の正 しさを視覚的に確認するために,お よび実際のね じ切削により得 られ たね じの輪郭を検証す るためには,創成 されたね じの軸直角お よび軸断面輪郭を措 くことが 有効である.そ こでね じの断面輪郭を求めることを考える.
2‑3‑1
ね じ軸直角断面輪郭の計算手順
軸直角断面 として
xz平面
(I‑0平面)を考え,読 ( 3 )の Zの式を
2‑0 とおいて次式を 得 る.
・
‑ 引
筈 +(p‑pc)tanac) (22)この式
(22)を用い,正 しく包絡 され る範囲のね じの軸直角断面輪郭は次の計算手順 に より求
めることができる.
α C ( ≧ αc mi n ) ‑ , 0‑ ‑r /一 一 ‑ .r 一 ・ 一 pT一 一 ‑ i‑ ‑ 0. ‑ ‑ ‑ ‑
‑x
,y(10) (15)
[ r
f≦r
≦rk](9)■ (22) (6) (3)次にこの場合の隅肉の形状は,半径 paなる工具内周縁円が Z‑0平面上に描 く軌跡 (円 孤)により決定 され,次に示す計算手順により求め られる.
ac (
≧αC‑in)‑ P( ‑Pa ) ‑ 0 ‑ r‑
jT‑ 0‑x,y
[‑500≦0≦500](8) (22) (6) (3)なお任意半径 p の工具切削円が Z‑0平面上に描 く軌跡 も
(Ⅴ)と同様な計算手順で求め ら れ る.
2‑3‑2
ね じの軸断面輪郭の求め方
軸断面 として
xz平面 ( y‑O辛面,0‑0)を考えるこそ こで軸断面輪郭は次に示す計算手 順 により求めることがで きる.
α C ( ≧ αc mi n ) ‑ 0‑ ‑ ‑ ‑ r /‑ ‑ r‑ p ‑‑ A( ‑)e = o ) ‑ ( 0‑0 ) ‑ x
,I (10) (15)[rf≦r
≦rkコ(9) (14) (3)ま・ た,この場合の隅肉形状は,半径 paの工具内周縁円が y‑0平面上に描 く軌跡により 決定 され,次に示す計算手順により求め られ る.
:ac(
≧ c t . c mi n ) 一一 ‑ P( ‑Pa )‑ 0‑ ‑ r‑ i( ‑) e = o ) ‑ T ( 0‑0 トー
‑x
, I[‑500≦0≦5b?コ(8) (14) (3)
なお,任意半径 p の工具切削円が y‑0平面上に描 く軌跡 も
(Ⅶ)と同様な計算手順で求め ることができる
.13.
数値計算例 と実験
JISB 1723「円筒 ウォームギヤの寸法」では,1,2,3, 4
形の4 種規のウォームの寸法が
規定 されている. この うち
4形 ウォームはインポ . )ユー トサ リコイ ドであ り歯直角圧力角が
200と規定 されている. 本研究のような旋回ね じ切 り装置を用いる切削法に より得 られ るね
じは, この
4形 ウォ「ムとは異なるが, ここでは数値例に用いるウォームの寸法 としてこの
規格を参考にする.
旋回ねじ切 り装把によるねじの軸平行切削
493‑1
工具圧力角の限界
そ こで工具の丙半径
●pa‑pc ‑
1.2mq
,r/=rc‑maと定め, 各 々の
ma,rc
,nの値 に対 し, 式
(17)お よび計算手順
(Ⅲ)を用い
acnin,αcmaxを計算 した.図
5にその内の
n‑1について
K‑pc/r,‑
1.4の場合を実線で
,K‑
1.7の場合を破線で
K‑4.0の場合を一点鎖線で示す.
なお横軸にはね じの大 きさを無次元化 した
ma/rcなる値を用いている. この図
5より隅肉高 さを所定の値に押える
acminの値は
,ma/rcの値が大 きくなるほ ど ( すなわちね じの進み 角の大なる場合は ど),また
K‑pc/rcの値が小なるほ ど大 きく採 らなければな らない ことが わかる.一方,ac
maxの倍はmo/rcの値が大なるほ ど, また
K‑pc/rcの値が小なるほ ど小
さく採 らなければな らないことがわか る.
従 って
ma/rcの値が大 きく
,K‑pc/rcの
40倍が小なる時は
acminとac
.naⅩとを示す曲 線同志が交わってしまう.
K‑
1.4お よび
態 K‑
1・7はその例である. この切削法によ
り実用に供 し得るね じを得るためには工具 圧力角は
acmin≦ αC
≦ αcmaxの範囲になけ2 0 ればならないか ら,図
5に示 した‑ ツチツ
グで囲まれた 範囲内の値に限 られ
,mG/TCの値が大 きく
K‑pc/rcの値が小 さい場合 は どこの切削法を適用す ることはできない.
図
5は
n‑1の場合のみを示 しているが, 上記の理由により
〝‑2以上のね じは この 切削法では得ることができない.
いま試作の対象 として
,ma‑2.5,rc‑15.75mm
, r k
‑18.25mm,r b
‑12.75nz n , n
‑1を選ぶ.従 ってma/rc‑0.1587
となる か ら,図
5を用いて
K‑
1.7として
ac‑300と定める. これが回申に㊥印で示 されてい る.なお この場合,αc
nin‑2
707133〝,arm.I‑34021′43
〝とな り,また
pc‑K・TTc‑26.775 mm,pq‑pc‑1.2m0‑23.775mmとなる.
3‑2
隅肉高さについて
次に式
(10
), (15)を用し: て こゐ場合の隅 肉始 まりのね じ半径
rfを求めると
,rf‑l: a
c mo x
一弘培
地 t,】U.̲丑ttj j t P t L l だ と ゴ三 u
, , こ:: I, U , p u " l 汐
1n77"
1 , 1 ,
,
〟 :・1耳k‑‑=':T4,"「 1fr:lnd‑ ,で〆′acI′f7pV‑'n 小T.‑ 、♂pn=1
rk‑‑lTc+mdrF‑‑rc‑mq
・rb,r'‑1.2mqPc=f(rc
I
図5 工具圧力角の限界線図
rf=rc mq=25n=
tK= 1 . 7
rc=15.75 rk=18.25 rI=rc‑mer
1
0. 110 ̲ 2‑0
/
1.3To 40(deg)
図 6 隅肉高さと工具圧力角の関係
13.144mm<(rc‑ma)‑131.25ふmとなる.そ
こで この ね じと工具 との諸元に対 して
ac‑00‑αcmAXについて式
(10),(15),(16)を用いて隅
肉高さ
hを求め,その結果を図
6に示す. この図
6より
,acが大なるほど隅肉高 さは低 くな
ることが裏付け られ る.また図
6において隅肉高さを示す曲線が
,r/‑rc‑maの直線 と交わ
る点の
acの値が図
5に示 した
αcmin‑2707′33〟の値 に一致す る.
3‑3
工具刃幅について
次に この ね じと工具 との諸元 に対 して
a
c
imin≦αC≦acnaxについて, 工具刃幅
W.ni. I ,
W.,WznA 工を求め,その結果を図
7に示す.
図
7より
, acが大 なるほ ど
Wninは大 き く
,Wnは は小さ くなっていることがわか り
,ac‑ac.nほ ‑34021′43"で
W.Bin‑Wn はとなっている.なお,ac
‑300の場合は
W.ni.1‑3.464
mm,W
.‑3.509n
m,Wnは‑
4.573mmとな り,試作の対象 として
W‑Woを用い る.
3‑4‑
ね じの断面輪郭について 次にこの試作諸元のね じと工具 とに ついて,計算手順 ( Ⅳ) , ( Ⅴ) により軸直 角断面輪郭 と断面上‑の工具軌跡 とを 求め図 8 に示 し,また計算手順 ( Ⅵ) ,( Ⅶ) に より軸断面輪郭 と断面上への工具軌 跡 とを求め図
9に示す. これ ら図
8, 図
9より
rg‑rmin‑2.165mm, β8‑ac‑300
のインボ リュー トへ 1 )コイ ドの ね じ面が創成 され ているこ と が わ か り,また工具内半径
β。‑23.775mmの 切削円により
rJ・‑13.144mmのね じ面 が創成 され, r
b≦r
<r/の間では隅肉 が形成 されていることがわか る.
3‑5
旋回ね じ切 り装置の取 り付
けと切削突放
旋回ね じ切 り装置 として図1 0に示す ような昭和飛行機工業 ( 秩) 製
SM3B型
〔 加工ね じ最 大 径
65m叫 センタ高さ
11
5mm,回転数
1120rpm, 2馬力〕を 用い, これを本校機械工場の大隈鉄工 所製高速旋盤
LS型の往復台上に取 り 付けて切削実験を行った. この場合,
rf=13 rcZ15 rk=18 P.=23
Wlmm)
図
7工具刃幅の限界線図
.5 .165 :..ー7544 .75
.25 Y P4t05y,9. i..、「廿 x̲x
図8 ねじの軸直角断面輪郭と工具軌跡との関係
図9 ねじの軸断面輪郭と工具軌跡との関係 図
11に示す ように青木製
1/20減速装置付ギヤモータ
GB22型
(3馬力)を旋盤背面に設置 し,旋盤主軸の回転数を約
2rpm程度に減速 した.
いま前述のねじと工具 との諸元に対 して, この旋回ね じ切 り装置に より,アル ミニウム合
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図1 2 旋回ねじ切 り装位による切
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図11減速矧E
t 付ギヤモータの
般f正状態金を素材 に してね じ切刑を行 った.図
12にその切 削の様子 を写真で示す. この切Hl J されたね じ面を観察す ることに よ り,何 の干渉現象 も発生 してお らず理論通 り切 削 されてい ることが 確認 された.
4 結
吉
旋回ね じ切 り装置 に よ り,直線 切れ刃バ イ トを用 いて, / くイ ト保持具 の回転軸をね じ索材 軸 と平行に設置 してね じ切 りを行 う場合 について厳密な解 析的研究を行い,バイ ト切れ刃の 回転面 とね じ面 との同時接触線 の形状を明 らかに して, インボ リュー ト‑ リコイ ドのね じ面 が創成 され ることを示 した.
また旋 阿ね じ切 り装置 に よるね じ切 り法 においては種 々の干渉 の発 生が予想 されていたが,
本研 究 の よ うな軸平行切削法においては干渉現象 の発生す る心配は無い ことを示 した.
そ してこの切削法において実用に供 し得るね じを得るための工具圧力角 と工具刃幅 との種 種 の限界値の求め方を明 らかにした.その結果
,JISB1723「円筒 ウォームギヤの寸法」に規 定 され るウォームのね じ面を切削す る場合には
, 2粂以上のね じは切削がほ とん ど不可能 な ことを示 し, また工具圧力角は
300前後 の値が適当であ り
,200以下では適用 し得ない場合が 多い ことを明 らかに した.
一方,創成 されたね じの断面輪郭の計算手順を示 し,数値例 に適用 した結果 と,実際のね じ切削により得 られたね じ面の観察 とに より理論の検証を行 った.
最後に本研究 に際 し,卒業研究生 として助力された木校機械工学科第1 9期卒業生 福井幹 男君お よび第
20期卒業生 永井健之君の労に対 し心 より感謝 の意を表 します.
参 考 文 献
(1)
宮原一郎 :旋回, , ' ィ トによるねじ切りについて,佐世保高専研究紀要
, 1(1964),7.(2)
上野 拓 .坂本正史 :旋回バイ トによるねじ切の研究 ( ねじ材の温度上昇とピッチ精度) ,日本機 械学会論文集 ( 第
3部)
,32,238(1966),973.(3)
上野 拓 ・坂本正史 :旋回バイ トによるねじ切の研究 ( ね じ面の精度) , 日本機枕学会論文集 ( 節
3部)
,32,238(1966),980.(4)
琴本正史 :旋回ノ ミ イ トによるねじ切りの研究 ( 作業条件に関する考察)' 日本機枕学会論文集 ( 第
3部)
,34,257(1968),174.(5) Jarchow F.・HeyerE.C.undSturmathR.:WirbelwerkzeugefurZylinderschnecken
,
VDLBerichte,332(1979),119.
(6)