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2. 鋼の疲労課程における組合せ応力の影響*(第1報)関川三男 芳賀武

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Academic year: 2021

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(1)

鋼 の 疲 労 課 程 に お け る 組 合 せ 応 力 の 影 響 * ( 第 1 報 )

関川三男 芳賀武

1 . 緒

金属の疲労過程中の組織変化および クラックの進展過程等については多 くの理論1)2)や実 験結果

3 )

〜5)の報告がなされてお り,また組合せ応力における疲労破壊過程についてもかな り 報告されている.

本研究は

0 . 3 %C

鋼材を使用 し,回転曲げ疲労実験をおこない,あ らか じめ

S‑N

曲線を作 成 し,鋼材の疲労限界を求め,低および高応力振「h疲労に対 し,疲労破壊以前に疲労実駅を 中断 し,引張実験および衝撃実験をお こない,その機械的性質の値と電子顕微鏡観察を対比 させ,校株的性質である引張強さ,降伏点,破断強さおよび衝撃値 との関係を調べ,疲労現 象か ら破壊‑の機構を推察す るとともに組合せ応力下の影響を調べた結果を報告す る.

2 . 試料および実験方法 2 ‑1

試料の化学成分を

Tabl e

lに示す.これをFi

g.1

に示す形状と寸法に機械加工 し,その

9 3 0o C

1

時間真空焼鈍をおこ.ない,その後エメリー研摩紙および酸化クp‑ムで表面仕 上げをほどこし,硝酸アル コールおよびピタ1)ソ酸 アル コールで腐食 した.その時の粒度は

8

番であった.

Ta bl e1 Che mi c a l Co mp os i t i on

Fi g.1 Sha

I

治 a n dSi z eo faSp e c l me n

* 日本機械学会北陸信越支部,長野地方講済会において発表

機械工学科教授 料* 機械工学科助手 原稿受付 昭和

5 0

9

30

(2)

2 8

長野工業 高等 専門学校紀要 ・第

6

2‑2

実 験 方 法

疲労実験は小野式回転曲げ疲労試験機を使用 し, あ らか じめ

S‑N

曲線を作成 し,疲労限 界を求め,低および高応力振巾疲労をおこない,疲労実験を途中で中断 し,引張実験および 衝撃実験をおこなった.

なお,引張試験機は リー レークイブの

50

t万能試験機を使用 し,衝撃実験はシャル ピー衝 撃試験機を使用 した.破断面の観察は

2

段 レプリカ法により,破断面の外周部 と内部とに分 け電子顕微鏡観察をおこなった.衝撃突放は

Fi g.2

に示す ように,表面 より

3m

m の深 さ の ノッチを入れ衝撃をおこなった.

3 .

0.3% C

鋼材の疲労実験, 引張突放および衝撃実験の主な機枕 的性質の値を

恥 bl e2

に示す.疲労実験は低応力振巾

( q 幸25 .5 kg/mm

2とす る)および高応力振巾

( q 幸30 kg/mm

之とする)の

2

種煩について実験をおこなった.繰返 し数は

N‑2×1 0

1

,N‑

2× 1 0 5

および

N‑1× 1 0 6

で中断 し,それぞれ実験をお こなった。

Ta bl e2

は疲労実験および疲労実験の程度に応 じて実験をおこな い,その後引張実験および衝撃実験をおこなったものである.

Fi g.3

は疲労実験か ら求めた

S‑N

曲線で,疲労限界は

q幸

25 kg/mm

2である.

Ta bl e2

の疲労実験,引張実験および衝撃実 験 の機械的性質の値を疲労程度に応 じでグラフ化 したものが

Fi g.

4

および

Fi g.

Sに示す.

Fi g.4

は疲労実験後, 引張実験をおこなった結果である.

"

Fi g. 2 Fo r m andDi m・

ens i onso fI mpa c t Tes t

は引張強さ

, α

,ほ破断強 さおよび

qy

は降伏点の値とす る.高応力振巾 q

幸30 kg/mm

2

,N‑2×1 0

4で疲疲労実験後.

引張突放をおこなったとき,quおよび

6

,は低応力振巾

q 幸25.5kg/mm

之の実験に比べて著

Tab l e2 Me c hani c alPr o p er t yo fTe s tMat e r i al Te ns i on

St r e ngt h

o..:

kg / mm 2

Rupt ur e St r el l gt h q,:kg/mm 2

2 3. 1 6 1 5 8 . 4 5

2xlO5 1

3 1 . 3 2

1×1 0 61 3 2. 4 3 6 0 . 8 8 1 49 . 9 4

8 r

2 5 . 3 211 × 1 0

6

2. 8 2 0

(3)

鋼 の疲労過 程におけ る組合せ応 力の影響(筋 1報)

S‑N CURVE

S で ヒ LD ^ 三 s s a J l S

1

1 ♂ 1 ♂ 1 J l ♂

Numberofcyce N

Fi g. 3

S‑N

Cu r v eo fFa t i gu eTe s t

しく減少す る.

また低応力振巾q

幸2 5 . 5kg /mm 2 ,N‑2× 1 0 5

よび

N‑1× 1 0 6

で疲労実験をおこない,その後引 張実験をおこなった場合,繰返 し数の増加とともに

qu

,O,およびqyの値はすべて上昇 した.

Fi g. 5

は疲労実験後,衝撃実験をお こなった結果 である.衝撃値を

Fi g.4

と同様に横軸に繰返 し数

N

をとり,縦軸に衝撃値

UE

をとったものである.

その結果衝撃実験 のみおこなった場合に比べて,高 応力振巾

q 幸3 0 kg / mm 2 ,N‑2×1 0

4では衝撃値は 極端に低下す る.

( ZE uJybq) s s と IS a ),SUP) i 60 50

L . 0 3 0

02 \ こ 二 二 二 二 ‑ ̲ 。 1 0 W 劫 ≡ a J 2 ̲ ̲ . 0 3 , 0 . , % ' 冶 喝

r

一三 一釦

2 9

0 1 0z

l

1

Numberofcycle N

FJ ' g. 4 Re l a t i o nbt we e nTe n s

ile

St r e n g t hsa n dNu m t xro fCy c l e s

9 5 (音

さ当le^

P

a

u

Jt

Numberofcycle N

Fi g. 5 Re l a t i onb e t we e nI mpa c t Va lu e sa n dNu mb e ro fCy c l e s

また低応力振巾

q 幸2 5 kgmm 2 ,N‑2× 105

では衝撃実験のみおこなった値に比べ て, ほ とんど変化は見 られず,低応力振巾

α 幸2 5 . 5 kg/ mm 2 ,〟‑1× 1 0 6

に繰返 し数を増加す ると 衝撃値は急激に減少す る.

t ur eSu r f a c e s

つぎに電子銃徴鏡観察の結果を

Pi 1 0t O .1‑Pho t o .4

に示す.主な 破面観察は

Fi g.6

に示す

2

つの部分に分け,観察をおこなった.な

A

部および

B

部の境界は中心 より直径

4mm

の円周上の部分である.

Pho t 0.

1の

A

部は延性による破壊の様相を現わ し,等軸

Di mp l e

現われ

,B

部はせん断による破壊と延性による破壊が組合さった軸長

Fi g. 6 A an d

B

Di mp l e

が観察され る・

Si d e so fFr a c・ pho t 0.2

は衝撃実験のみお こなった破断面の電子顕微鏡観察である.

Pho t o .2( a )

A

部でぜい性破壊を示す典型的なへ き開破面が観察 さ れる.またへき開破壊が進行す る際,き裂が伝はす るにつれて合流する大 きなき裂の様相, すなわち

r i ve rpa t t e

m も観察される.

Pho t 0 .3

は疲労実験

( q 幸2 5 . 5 kg /mm 2 ,N‑

1

× 106)

秩,引張実験をおこなった電子顕微 鏡観察である.

Pho t o.3( a )

A

点で疲労のために生 じた

St r i a t i on

が観察され,引張実験に よる

Di mp l e

も観察される.

Phot o .3( b)B

部で疲労特有の

St r i a t i o n

が生 じている. この 結果,疲労によるクラックの進行は試験片の表面の部分か ら生 C,*JLl部に向って進行 して いることが分かる. しか し低応力振巾疲労のため完全に中心部まで達 していなものと考え ら

(4)

長野 工 滋

l

:6‑T・Lfir"Jfu=校紀 柴

・ 節 6

rj

Ph o t o.1 Cl l an g e so fEl e c L r on・ mi c r o g r a p

hl

Pr o du c e db yTe r ] s i onTe s t( ×1 9 5 0)

Ph o t o.2 Cha n g e so fEl e c t r o J 1 ‑ m ic r o g r a pht ' r o d u c e dbyI mp a c tTe s t( x1 9 5 0)

(5)

鋼 の疲 労過 G!に おけ る組 合せ応 力の膨懲 (1蛾)

Phot o.4 Char ] ge so f

Electron‑mictographProducedby

れ, この ことは

Fi g.4

の敵枕的性質 の値 と対応 し て考 えてみ ると

Fi g. 4

の機械的性質 の値は上昇 して い る. また

Phot o.3( a)

す なわち

A

部に

Di l l l pl e

観察 され ることに よ り完全に疲 労 の進行がお こなわ れ ていない ことが推察 され る.

Phot 0.4

は疲労実験

( q 幸2 5.5kg/mm 2

,N‑1×

106)

倭 ,衝撃実験 をお こな った電子顕微鏡観察であ る.

Phot o.4( a)

A

部で疲労に よ りクラ ックが進 行 し

, St r i at i on

と介在物が破面 をひ っか くために 発/Lす る

Ti r ct r a ck

も観察 され る.

Phot o.4( b ) はB

部で粒 界ぜい性 破壊 お よびぜ い性破壊を'J<す‑

き閲破壊が観察 され る.

「 」 」 。 /

̲

‑ く 二 ̲ d E 」 ̲ ̲ . ̲ 1 /

F

a t i g u e a l l d I m p a c t T e s t ( × 1 9 5 0 )

31

( N=l xl O6 ) ( N=2xl ♂)

( D) ( C)

Fi g.7 Char ) ge so fMa c r o・ s t ruc L ur e PT O du c e d by Fr s ct u re

( AlTen s i on

(B)

Hi ghSt r e P s Ampl i L u d eFat i gu e ‑Ten s l Ol l ( C1( D) Low St r 甲SAmpl i t ude

FaL i gu e ‑Te ns i on

これ らの主 な巨視的破壊形状を

Fi g. 7

に'示す.

Fi g. 7( A)

は 単純 ,jI張突放 の破断形状であ る. この場

乱 r

l心 部 の平坦部は延性破壊 の様相 を示 し

,Pl l Ot

0

.

1

A

部に相当す る.

Fi g.

7(B)は高応力振巾疲 労後,引張実験をお こな っ た ときの破断形状であ る.表面に近 い部分にぜ い性破壊の状態が観察 され,中心部にわずか に延性 に よる

Di mp l e

が観察 され,疲労実験 のみで破壊 した ものに比べ て中心部に平坦 な部 分がな く,すべ てぜ い性 破壊の様相 を示 してい る. また

Fi g ・7

(C)お よび

( D)

は低応力振 巾疲 労後,引版実験 のときの破断形状であ る.

Fi g ・7

(C)は

N‑2× 1

0

5 ,Fi g ・7( D)

N‑

1×1 0 6

であ る.(C)と(D)を比較す ると,表面 に近 い部分のぜ い性破壊 の割合は (D)

>

(C) で,繰返 し数Ⅳの上昇に したがい

加 してい る.

4 . 考 察

Fi g.3

より疲 労限界は

8

種類 の応力について疲労実験 をお こな った結果,約

2 5kg/m r T

1

2

成 りやや小 さめであ る

.Fi g.4

よ りr知 己ノ)振 巾疲労 後の引張実験 について,・J搬 慮 さと破断 戯 さが軸 引張 りよ り老 しく小 さく,特 に破断強 さは約

1 /2

であ る. これは疲労に よってす べ りお よびすべ り帯が急激に進行 し,そ の後

血 c r o‑c r a c k

が発生 し, さらに

ma c r o‑ cr ack

(6)

3 2

長野工業高等専門学校紀要 ・第

6

なる現象が低応力振 巾疲労に比べて速 く進行するために,低繰返 し数Ⅳにおいて

c r ac kが発

生 し, この原田によって

St r i a t i on

が進行 し

,Fi g.4

の繰返 し数

N‑2×1 0

4において,す でに

mi c r o ぺr aC k

が進行 しているために引張強 さと破断強 さが減少す るものと考えられ る.

したがって

N‑2×1 0

4では降伏点は確認で きなか った.また低応力振巾疲労の場合は繰返 し数が増加す るとともに降伏強 さ,引張強 さおよび破断強 さのすべてが増加 している.掛 こ 降伏強 さの増加においては,試験片の表面に近い部分は疲労中に転位が増殖 され,増殖があ る部分に固着す るために力学的に応力集中がその場所にお こり, この応力集中が大き くな り 試験片が硬化す るために疲労後の引張強 さ,破断強 さも上昇す るものと考え られ る.顕微鏡 観察においてほ破断面の

Phot 0.3

( A)

部は引張 りによる

Di mpl eが, ( B)

部は疲労に よ

St r i a t i onお よび t i r とt r a c k

が観察 された.

Fi g.5

より高応力振巾疲労後の衝撃値は極端 に小 さい,低応力振 巾疲労後の衝撃値 も減少 し,特に繰返 し数

Ⅳ‑1× 1 0 6

では約1

/3

に減少 している.この理由として考え られることは繰返 し数が増加す るとすべ りが発生 し,すべ り 帯が発生 し,表面に

i n t r us i onや e xt r us i on

が形成 され,その後

m i c r oヾr a c k

となるため, この進行過程によって衝撃値が変化す るので,この結果か ら

N ‑1× 106

ではすでに

m i c E O I c r a c k

c r a c k

が発生 しているため衝撃値は小さ く,

N‑2× 105

ではまだ

m i c r o ‑ c r a c k

c r a c k

が発生せず, この繰返 し数ではすべ りなどの発生段階 と考え られ るため衝撃値が変化

しないものと思われ る.

5 . 結 論

疲労過程後の組合せ応力下の影響について研究 した結果,たとえば低応力振巾疲労突放に おいて,繰返 し数Ⅳが増加す ると

St r i a t i on

が発生す ることお よび衝撃値が低下するとい う 事実 より,実際使用 されている鋼材な どの回転物体には このような状態で使用 されている場 合が しば しばあ り,衝撃値の低下は危険であるので注意すべ きである.

また引張実験およびね じり実験などの残留応力をあ らか じめ与えた後の疲労実験をおこな い,その組合せ応力下の影響を調べることに より破壊現象をさらに具体的に推察することが で きるものと思われ る.

参 考 文 献 ( 1 ) W.A.Wo o d,e .g. ,phi l .Mag. ,3,6 9 2( 1 9 5 8 )

( 2 ) N.Ye .Po t akhi nandYu.S.Te r mi na s o v,phys .Met .andMe t al l o g. ,1 6 ,No.1 .8 6 ( 1 9 6 3 )

( 3 ) C.Mi na m i s a wa,M.Se ki ka w and T.Ha ga ,Pr o c . l S t h. J a pa nc onr . onMa t e r i a ls Re s e a r c b ,2 2( 1 9 7 2 )

( 4 ) R.C.Bo e t t n e r ,Tr ams .A

I

ME,2

3

9 ,1 0 3 0( 1 9 6 7 )

( 5 ) T.Ha ga,H.Yo kouc hiandM.I s hi da ,Pr o c .1 6 t h.J a pa nc o nr .o nMa t e r i al sRe s e a r c h

,

1 6 8( 1 9 7 3 )

参照

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