Pipeline Embolization Device 留置後の内頚動脈瘤に発生し
た inflow zone の残存血流による遅発性脳動脈瘤破裂-病理学
的検討-
京都大学 医学部 脳神経外科
1)池田宏之
1)Ikeda Hiroyuki石井 暁
1)菊池隆幸
1)安藤充重
1)千原英夫
1)新井大輔
1)服部悦子
1)宮本 享
1) 【目的】Flow diverter(FD)留置後に発生する脳動脈瘤破裂は重大な合併症である.我々 は,FD 留置後に脳動脈瘤の血栓化の過程で inflow zone の残存血流による直接的な瘤 壁へのストレスにより内頚動脈瘤が破裂したと思われる症例を経験したので報告する. 【症例】67 歳,女性.大型内頚動脈瘤による進行性の視神経圧迫症状を認めていた.臨床試験で,Pipeline Embolization Device(PED)による治療を受けた.PED と母血管の 密着は満足のいく状態であり,手技は合併症なく終了した.術直後より視神経の圧迫症 状は改善し経過は良好であったが,患者は治療から 34 日後に突然死亡した.病理解剖 が行われ,死因は PED が留置された脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血であった.動脈 瘤腔内の大部分は血栓化していたが,inflow zone は血栓化してなかった.壁穿孔部位 は inflow zone にある neck 近傍の瘤壁であり,血栓に覆われていなかった.免疫染色 では,壁穿孔部周囲にはマクロファージの浸潤は認めなかった.【考察】FD 留置後の脳 動脈瘤破裂のメカニズムとして,瘤内圧上昇,瘤壁の変性と不安定化,瘤内血栓の再開 通,瘤壁の機械的伸展,FD 変形,動脈瘤腔内の残存血流が示唆されている.本症例で は,動脈瘤腔内の inflow zone に残存血流が存在し,その残存血流腔の瘤壁が破裂して おり,残存血流による直接的な瘤壁へのストレスが破裂の原因と考えられた.【結語】 本症例の経過より,FD 留置後に完全血栓化に至る過程で血行力学的に不安定な時期の 存在が示唆され,血圧管理や適切な抗血小板療法による管理が重要であると考えられ た.
血管内治療にて治療をおこなった破裂ʠ真のʡ後交通動脈瘤の一
例
多摩南部地域病院 脳神経外科
1)順天堂大学医学部脳神経外科
2)順天堂大学医学部脳神経外科脳神経血管内治療学講座
3)三橋 立
1,2)Mitsuhashi Takashi大石英則
2,3)新井 一
2) 【はじめに】ʠ真のʡ後交通動脈瘤の発生は少なく,その治療に遭遇する機会は多く ないと考えられる.また治療方法についても,これまでの多くの文献報告におい ては,開頭クリッピング術を推奨することが散見されている.我々は破裂ʠ真のʡ 後交通動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行し,良好な結果を得たのでここに報告 する.【症例】71 歳女性.意識消失後の意識障害が出現したため,救急車にて来院. 頭部 CT にて SAH と診断し,同日精査加療目的に入院(Hunt & Hess grade2, WFNS grade2,Fischer CT group2).脳血管撮影を施行し左ʠ真のʡ後交通動脈瘤 が認められており,血管内治療にて前方循環および後方循環の両側面から治療ア プローチを行い,動脈瘤を含む後交通動脈の一部をコイル塞栓した.術後経過は 良好であり,神経学的脱落症状はなく自宅に独歩退院となる.【考察】ʠ真のʡ後交 通動脈瘤の発生率は全脳動脈瘤の 0.1-2.8%を占めると指摘されているが,報告例 の多くは開頭クリッピング術による治療が主体である.コイル塞栓術による治療 についての報告例はこれまで 4 例が報告されており,その詳細が記されているも のは 1 例のみである.我々はʠ真のʡ後交通動脈瘤に対する治療戦略について文献 的考察を交えて検討をおこなった.P-003
部分血栓化動脈瘤による眼周囲痛に対しステント併用コイル塞
栓術が著効した 1 例
北海道大学病院 脳神経外科
1)北海道医療センター
2)月花正幸
1)Gekka Masayuki長内俊也
1)数又 研
1)牛越 聡
2)高宮宗一郎
1)斉藤巧実
1)中山若樹
1)七戸秀夫
1)鐙谷武雄
1)寶金清博
1) 【背景・目的】動眼神経麻痺を合併する脳動脈瘤に対しコイル塞栓術を施行し動眼 神経麻痺が改善した報告は散見され,術後の拍動の減弱が神経機能回復をもたら すと考えられている.一方,三叉神経痛を合併する脳動脈瘤は文献的にも非常に 稀で,コイル塞栓術により三叉神経痛が改善した症例は過去に 1 例報告があるの みである.今回我々は,片側眼周囲痛(V1-2 領域)にて発症した,類もやもや病に 合併した後大脳動脈部分血栓化動脈瘤という治療困難な症例を経験した.術前画 像上,動脈瘤(最大径 20mm)による三叉神経 Root exit zone への明らかな圧迫は認 められなかったが,ステント併用コイル塞栓術を施行し三叉神経様痛が消失し良 好な転機を得ることができたため報告する.また本症例における三叉神経様痛の 病態生理を文献的に考察したい.【症例】39 歳女性.眼周囲痛を主訴に近医受診 し,右後大脳動脈血栓化動脈瘤が指摘された.外来経過中に,急激な右顔面 V1-2 領域の疼痛が出現し,血栓化動脈瘤の増大も認めたため,動脈瘤の圧迫による三叉 神経痛と診断し,テグレトール処方されると症状は緩和された.その後当院に手 術目的に紹介となり,EC-IC バイパス(OA-PCA)併用の血管内母血管閉塞術を試み たが,バイパス血管閉塞のため断念した.後日,血管内ステント併用(Enterprise) コイル塞栓術を施行し 60%程度の充填率で終了.術後翌日より,眼周囲痛の発作 は消失しテグレトール内服が不要となった.【結語】血栓化動脈瘤による三叉神経 様の眼周囲痛に対して,ステント併用コイル塞栓術が有用であると考えられた.P-004
脳動脈瘤塞栓術においてコイルの遠位逸脱を来たした 3 症例
佐々総合病院 脳神経外科
1)西湘病院 脳神経外科科
2)杏林大学医学部付属病院 脳神経外科科
3)島田 篤
1) Shimada Atsushi佐藤栄志
3)小西善史
2)清本 政
1)木村唯子
1)塩川芳昭
3) 【目的】脳動脈瘤塞栓術において,コイル逸脱は稀な合併症である.1997 年 5 月~ 現在までの自験例 208 例中 3 例(1.4%)でコイル逸脱を経験したので各症例を報告 する.【症例 1】64 歳男性.SAH 既往のある再発 IC-PC 動脈瘤で,small & wide neck.破裂急性期 gradeV でコイル塞栓術を選択.dome filling で終了.3 週間後 の CT で PCA 末梢へのコイル逸脱と同領域の梗塞あり.後日追加塞栓術を施行.【症例 2】69 歳女性.頭痛精査の MRI にて IC(C2 部)動脈瘤指摘.バルーン併用塞
栓術施行.1 本目コイル挿入中に delivery wire から外れ,遠位逸脱(M2-3). Goose neck snare 2mm にて回収し,塞栓術は中止.後日再度コイル塞栓術施行.
【症例 3】76 歳女性.脳梗塞後精査の MRI にて IC-cave 動脈瘤指摘.バルーン併用
塞栓術施行.6 本目コイル detach 直後,瘤外に逸脱し M3 まで移動.Goose neck snare 2mm にて回収し塞栓術は中止.【考察】症例 1 は塞栓自体が困難でコイルが 不安定な状態であった.症例 2 は,意図せぬコイルの detach,症例 3 はコイルの 径を小さくしたことが,先行コイルの隙間をぬって逸脱する原因となった.症例 2.3 は,ステントが使用出来なかった時期で,現在ならステント併用を考慮すべき と考える.また幸い snare で回収出来たものの,回収中の不十分なバルーン拡張 や,回収に難渋したことで,さらに遠位に逸脱を来たす結果となった.【結語】コ イル塞栓術中および遅発性の遠位逸脱を来たした症例を経験した.広頚動脈瘤に 対するコイル塞栓術の際には,ステント併用も考慮し,慎重な塞栓術と手技の際の 工夫,術後の十分な経過観察が必要である.また万が一に備え,回収デバイスの準 備とその使用方法の熟知が必要である.
P-005
脳動脈瘤コイル塞栓術後に出現した白質病変について
市立奈良病院 神経内科
1)埼玉医科大学国際医療センター 脳血管内治療科
2)掛樋善明
1,2)Kakehi Yoshiaki出口 潤
1)宮崎将行
1)清水久央
1)長見周平
1)高橋信行
1)中瀬健太
1)徳永英守
1)永田 清
1)二階堂雄次
1)山根文孝
2)石原正一郎
2)PurposePost embolization high intensity signal areas in FLAIR MRI images (HISA) are infrequent. Pathogenesis of HISA that appeared following endovascular treatment was poorly understood. In this presentation, we demonstrated 2 cases of cerebral lesion after coil embolization, and the mechanism of lesion appearance was discussed.Case presentationsCase1.58 years old.Female.Coil embolization to unruptured left internal carotid ophthalmic aneurysm was performed. 39 days later after procedure,higher brain dysfunction was developed. HISA appeared throughout subcortical regions in MRI image.Case2.39 years old.Female.Coil embolization with stent assist to unruptured right internal carotid dorsal aneurysm was performed. 27 days later after procedure, the patient got an epileptic seizure. HISA appeared throughout subcortical regions in MRI image.In these cases,the patterns of HISA resembled images of aggressive acute disseminated encephalomyelitis, and the association with allergic reaction was considered. Methylprednisolone was administered to both cases, and symptoms disappeared. ConclusionsThe mechanisms of HISAs after coil embolization were unknown, the adverse inflammatory reactions were proposed. Some of these cases seem to be curable in use of steroid, we should take care of not only to the appearance of neurologic deficits but HISA in brain parenchyma.
P-006
動脈瘤塞栓術後に多発脳浮腫を起こした 1 例
横浜旭中央総合病院 脳神経外科
1)相模原中央病院 放射線科
2)鈴木祥生
1) Suzuki Sachio北原孝雄
1)岩本和久
1)仁木 淳
1)大木敬章
1)堀江政宏
1)小櫃久仁彦
1)菅 信一
2) 【はじめに】脳動脈瘤に対する塞栓術の合併症としては出血性や塞栓性などの血管 性合併症が主であるが,髄膜炎や水頭症や脳浮腫なども稀ではあるが経験する. 今回塞栓術後に MRI で多発脳浮腫を認めた症例を経験したので文献的考察を加え て報告する.【症例】53 歳男性.2014 年 9 月 27 日に左眼瞼下垂を自覚.10 月 8 日 に頭痛を訴え他院を受診し入院となった.10 月 14 日に CT 検査を行いくも膜下 出血(Gr.I)の診断で当院に紹介転院された.CTA で左 ICPC 動脈瘤を認め,翌 15 日に瘤内塞栓術を行った.瘤は wide neck で大きなブレブを認めた.デルタプ ラッシュとターゲットコイルで塞栓術を施行.neck が残存したため 10 月 18 日に ステント支援瘤内塞栓術を追加施行した.この時は前述のコイルの他に ED コイ ルを使用した.術中術後に合併症なく 11 月 12 日に退院した.退院直前の 11 月 10 日の MRI では異常を認めなかった.2015 年 1 月 16 日の経過観察目的に施行し た MRI で左右前頭葉と左後頭葉に脳浮腫を認めた.症状はごく軽い頭痛のみで あった.神経学的にも異常を認めなかった.3 月 13 日の MRI では右前頭葉の脳 浮腫は消失した.6 月 13 日の MRI では左後頭葉のみに脳浮腫を認めた.神経学 的には異常なく外来で経過観察している.【考察】Cruz らは 2014 年に脳動脈瘤に 対する塞栓術後に多発する脳浮腫を認めた症例を報告し,hydorophric coating の 塞栓症と報告した.我々の症例も発症時期,MRI 所見などが類似し同様の塞栓症 と考えられた.後下小脳動脈瘤(PICA:posterior inferior cerebellar artery)
に対するコイル塞栓術の検討
広島市立広島市民病院
1)高橋 悠
1)Takahashi Yu細本 翔
1)冨田陽介
1)大熊 佑
1)田邉智之
1)村岡賢一郎
1)目黒俊成
1)廣常信之
1)西野繁樹
1) 【緒言】今日において PICA 動脈瘤に対する開頭手術の難易度は高く,合併症率が 高いため血管内治療が第一選択に選ばれることが多いが,PICA に発生する動脈瘤 は比較的稀であり,まとまった報告は多くない.そこで当院で経験した症例を検 討し,参考文献を加え発表する.【対象】1989 年以降で,当院での PICA 動脈瘤に 対して手術を施行した 53 例の内,血管内治療を施行した 20 症例(37.7%)を対象 とした.平均年齢は 66 歳(39-88 歳)で,男女比は 1:4 であった.【結果】破裂瘤が 18 例,未破裂瘤が 2 例であり,発生部位は VA-PICA 17 例,distal PICA 3 例であっ た.原因として特発性以外に AVM に併発する動脈瘤を 2 例,大動脈解離瘤を 1 例認めた.手術の adjuvant technique として NBCU 併用を 2 例,catheter assist-ed technique を 1 例,double catheter technique を 1 例に行い,手術達成率は 95% (19/20 例) で,動 脈 瘤 閉 塞 率 は complete obliteration が 65%(13/20 例),neck remnant が 15%(3/20),dome filling 5.0%(1/20)であった.術中合併症として動 脈瘤破裂 2 例,動脈解離 1 例,脳梗塞 1 例を認め,術後経過中に再発・再増大・再 出血し追加治療を要した症例をそれぞれ 1 例認めた.予後良好(mRS0-2)群は 60%(12/20 例)であった.【考察】VA-PICA 動脈瘤は PICA に動脈瘤が騎乗してい る事が多く,塞栓時に難渋するが simple technique でも十分な塞栓率が得られて いた.大型動脈瘤治療中のマイクロカテーテルループ解除においてコ
イルアンカー法が有用であった 1 例
千葉大学 医学部 脳神経外科
1)千葉大学医学部附属病院 包括的脳卒中センター
2)吉田陽一
1)Yoshida Yoichi小林英一
1,2)足立明彦
1,2)河内大輔
1)佐伯直勝
1) 大型動脈瘤のコイル塞栓術において,Neck bridge を行う際のカテーテル誘導が困 難であり瘤内をループさせてカニュレーションする方法がしばしば行われる.今 回,このループ解除に際してコイルをアンカーとすることが有用であった 1 例を 経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は 83 歳女性.頭痛精査の MRI にて脳底動脈遠位部動脈瘤を指摘され当科紹介となった.当初は血栓化していた が,経過観察中に増大傾向あり血栓化も認めなくなったため全身麻酔下にコイル 塞栓術を施行した.動脈瘤は 11.1mm × 9.2mm × 9.3mm,neck8.1mm.6Fr Slim Guide をガイディングカテーテルとしてステントアシスト塞栓の方針とした が,左後大脳動脈へはマイクロカテーテルを直接カニュレーションできず,瘤内を ループさせて Excelsior XT-27 を挿入.Kaneka/ ED Coil Extrasoft Type R 2mm × 6cm を左後大脳動脈内でアンカーとして使用することでループを解除し, Neuroform を留置.右後大脳動脈には Enterprise を留置して Y ステントアシス トとした上で,2 本のマイクロカテーテルを trans cell technique にて瘤内へ挿入 しコイル塞栓を施行したところ塞栓率 53.2%を得た.術後経過は良好である.同 様にループを解除する方法にはそのまま引く方法やバルーン,ステントを用いた 報告もあるが,コイルによるアンカー法も安定した手技が可能であった.P-009
DSA 以外では診断困難であった kissing aneurysm の 2 治療
例
兵庫県災害医療センター/神戸赤十字病院
1)石井大嗣
1)Ishii Taiji原 淑恵
1)山下俊輔
1)林 成人
1)山下晴央
1) 柄部を別にした 2 個の動脈瘤が相接して生じたものは kissing aneurysms と称さ れ,その頻度はまれとされている.Kissing aneurysms は,その剥離の困難さから 手術難易度が高い動脈瘤と考えられる.また,MRA や造影 CT では近接した柄部 の分離が難しく,血管撮影を行わないと診断できない場合がある.今回,内頚動脈 kissing aneurysms をコイル塞栓術で治療した 2 例を経験したので報告する.症例 1 71 歳女性.右上肢痛の精査で頭部 MRI を撮影したところ,両側内頚動脈瘤を 指摘され当科を受診した.造影 CT で右 IC-PC に 10 × 5 mm,左 IC-PC に 3 × 7 mm の動脈瘤を認めた.両動脈瘤ともにコイル塞栓術を行った.2 年後の follow up から MRA で左内頚動脈瘤の再発を疑う所見を認め,経時的に拡大を認めた.6 年後にコイル塞栓術による再治療目的で血管撮影を行ったところ前回治療した動 脈瘤は完全閉塞しており,その近傍に新たな動脈瘤ができ kissing aneurysms の形 態を呈していた.新たな動脈瘤もコイル塞栓術で完全閉塞することができた.症 例 2 57 歳女性.突然の頭痛で救急搬送された.頭部 CT でくも膜下出血を認め, 造影 CT で右 IC-PC に不整形の動脈瘤を認めた.緊急でコイル塞栓術を施行した. 血管撮影で動脈瘤は kissing aneurysms であることがわかった.それぞれの動脈 瘤に対して完全閉塞することができた.血管撮影を行わないと診断が困難であっ た kissing aneurysms を 2 例経験した.Kissing aneurysms に対する血管内治療は 剥離による破裂の危険などがない点で開頭術と比べると有用な治療法と考えられ る.P-010
当施設における高齢者(80 才以上)の破裂脳動脈瘤に対する血管
内治療の治療成績
近畿大学 医学部 脳神経外科
1)布川知史
1)Fukawa Norihito中川修宏
1)辻
潔
1)久保田尚
1)加藤天美
1) 【目的】高齢者のくも膜下出血(SAH)は発症時神経学的重症例が多く,また重症度 が低くても脳の可逆性の低下や基礎疾患の存在により予後不良となることが多い. 再破裂にて重症度が上がるのも事実であり,当施設では,H&K G4 以上であっても, 脳血管内治療を第 1 選択として治療を行ってきた.その治療成績について検討を 行ったので報告する.【対象】最近 10 年間で 181 例の SAH 患者が搬送され,80 才 以上は 23 例であった.平均年齢 86.1 才(80~95 才),血管内治療群は 11 例で,ク リッピング術(MCA 瘤のため)を施行したのは 5 例,初期治療後も瞳孔散大状態の 7 例は保存的加療とした.【結果】血管内治療群は男性 2 例,女性 9 例,平均年齢 85.9 才(80~91 才),H&K,G2 3 例,G3 2 例,G4 2 例,G5 4 例,部位,Acom 3 例 IC 5 例 MCA 1 例 BA 2 例.全例を経大腿動脈にて開始したが,1 例のみ経上腕動 脈への変更が必要で,その塞栓術中に no filling となり治療を断念した.残り 10 例 は CO 7 例,NR 3 例で良好な塞栓で終了した.GOS GR 2 MD 2 SD 2 VS 0 D 5 で予 後不良例が多いが,原因は primary brain damage によるものと考えられた.【考察】高齢者に対する脳血管内治療は,アクセスルートの問題や動脈硬化性病変の合 併により adjunctive technique が使用しづらい問題が存在する.これに対して初 診時 3DCTA でアクセスルートの評価をすることやデバイスの熟知と技術向上に より良好な塞栓が可能である.予後良好例は少数であったが,経過中の再破裂や 著明な血管れん縮の発症がないことから,高齢者に対しても低侵襲の手技と考え られる.【結語】脳血管内治療は治療困難と考えられた高齢者の重症くも膜下出血 例に対しても低侵襲で行える治療である.
P-011
当施設における破裂脳動脈瘤コイル塞栓術の治療成績
長崎県島原病院 脳神経外科
1)宗 剛平
1)So Gohei平山航輔
1)野田 満
1)徳永能治
1) 【はじめに】近年血管内治療の進歩により,くも膜下出血で発症した破裂脳動脈瘤 に対してコイル塞栓術が選択される症例が増加している.当院ではクリッピング 術とコイル塞栓術のどちらも施行可能な症例に対してはコイル塞栓術を優先して おり,その治療成績を後方視的に検討した.【対象】2013 年 1 月より 2015 年 6 月 までに SAH を発症した破裂脳動脈瘤 20 例を対象とした.男性 4 例,女性 16 例, 平均年齢は 68 歳(47~86 歳),H&K grade1~3 までが 15 例,grade4,5 が 5 例で あった.動脈瘤部位は内頸動脈が 8 例,前交通動脈が 5 例,前大脳動脈 2 例,脳底 動脈 3 例,椎骨動脈 2 例であった.動脈瘤サイズの平均は 5mm であった.コイル は全て Target を使用した.【結果】治療による合併症は動脈瘤穿孔が 2 例,血栓症 が 2 例あったが,それ以外はなかった.治療後半年後に再発による再出血を来し たものが 1 例あったが,それ以外の再発はなかった.治療後の転帰は mRS0,1 が 6 例,mRS2,3 が 7 例,mRS4~6 が 6 例であった.H&K grade1~3 の 15 例中 mRS2 以下は 10 例(67%),H&K grade4,5 の 5 例中 mRS5,6 は 3 例(60%)であっ た.mRS4~6 の半分は術前 H&K grade5 であった.【結語】これまでの報告と同 様,術前グレードが軽症~中等症では転帰良好が多く,重症では転帰不良が多かっ た.術前グレードが軽症~中等症で転帰不良であった原因は脳血管攣縮,術中血 栓症などであった.術後再発による再出血を 1 例認めており,術後経過観察の重 要性を認識した.P-012
治療の初期対応に難渋した破裂微小脳動脈瘤の 2 例
河野脳神経外科病院
1)大分大学 医学部 脳神経外科
2)久光慶紀
1)Hisamitsu Yoshinori久保 毅
2)杉田憲司
2)河野義久
1)佐藤公則
1)藤木 稔
2) 【はじめに】小型脳動脈瘤は直達術でも血管内治療でも難易度が高く,特に長径が 1mm 以下の動脈瘤(我々は微小脳動脈瘤と定義)の破裂例に対する急性期の根治術 は,術中破裂など合併症のリスクが高いと考えられる.今回,2 例の破裂微小脳動 脈に対して,慎重に治療適応を考慮して根治術を行い,比較的良好な経過を得られ たので報告する.【症例 1】 67 歳,女性,脳底動脈-右上小脳動脈分岐部の動脈瘤 (1mm 大)破裂による SAH(H & K grade1).血圧管理を中心とした保存的加療, MRI による慎重な画像 follow を行い,形態変化なく経過.SAH 発症 day23 に施 行した脳血管撮影にて 2mm 大に動脈瘤の増大を認め,瘤内コイル塞栓術施行.術 後合併症なく経過良好にて,SAH 発症 day38 に独歩自宅退院.【症例 2】66 歳,女 性,左 後 大 脳 動 脈 P3 segment の 動 脈 瘤 (1mm 大) 破 裂 に よ る SAH (H & K grade3).血圧管理を中心とした保存的加療,MRI による慎重な画像 follow を行 い,形態変化なく経過.SAH 発症 day11 に少量の再出血を認めたが,状態悪化な く経過.SAH 発症 day16 に施行した脳血管撮影にて 2mm 大に動脈瘤の増大を認 め,母血管閉塞施行.術後,左後頭葉に一部脳梗塞の出現,また正常圧水頭症に対 して L-P shunt 術施行,SAH 発症 day64 で回復期リハビリテーション病院へ転院. 約 40 日のリハビリテーション継続後に,ADL ほぼ自立にて独歩自宅退院.【結語】 破裂微小脳動脈瘤に対する根治術は急性期がより適切ではあるが,技術的に困難 なことが多く,慎重な画像 follow を行いながら,治療時期と治療方法を見極める必 要性があると考えられた.ポ
ス
タ
ー
(
発
表
な
し
)
大量吐血で発症した感染性総頚動脈瘤の一例
東邦大学医学部医学科 脳神経外科学講座(大森)
1)寺園 明
1)Terazono Sayaka栄山雄紀
1)渕之上裕
1)小此木信一
1)安藤俊平
1)福島大輔
1)桝田博之
1)野本 淳
1)近藤康介
1)原田直幸
1)根本匡章
1)周郷延雄
1) 【はじめに】今回われわれは食道癌術後の創部感染がきっかけで,総頸動脈に感染 性動脈瘤を形成し,血管内治療で良好な経過をたどった症例を経験したので報告 する.【症例】67 歳,男性.4 年前に食道癌と診断され根治手術を施行.その後, 下咽頭癌に対して放射線療法を行い,それによる両側声帯の可動性不良に対して 気管切開術を施行された.1 か月前に吻合部再発・食道気管瘻を認め手術加療を 行っている.数日前から吐血が持続していたため消化器外科を受診した.緊急で GF を施行したが明らかな出血源を認めなかった.翌朝までに計 2L の出血を認 め,RCC 6U 輸血された.造影 CT で右総頚動脈周辺に動脈瘤と膿瘍形成を認め, 動脈瘤破裂による吐血が疑われ当科紹介となった.脳血管撮影検査で右総頚動脈 分岐部に 17mm × 11mm 大の動脈瘤を認めたが,造影剤の漏出はなく,消化管出 血を否定のため GF を行ったところ,吻合部の瘻孔から拍動性の出血を確認できた ため,緊急で全身麻酔下で塞栓術を施行した.【血管内治療】Merci balloon cathe-ter 8Fr を右総頚動脈に留置し,flow control 下で,double cathecathe-ter technique を用 い,内頚動脈,外頸動脈にそれぞれ microcatheter を挿入し,内頚動脈,外頸動脈, 総頚動脈の順に coil を留置し母血管閉塞を行った.合計 52 本(701cm)留置したと ころで,順行性の血流と瘤内への描出が消失したことを確認し,手術を終了した. 頭蓋内の血流は対側と後方からの collateral flow によって保たれていた.【術後経 過】第 2 病日の脳血管撮影検査でも瘤の描出はなく,対側と後方循環からの血流も 保たれていた.明らかな神経学的所見はなく,抗菌薬による治療で状態は改善し, 独歩退院となった.当院における 85 歳以上の破裂脳動脈瘤患者に対するコイル塞栓
術と開頭クリッピング術の治療成績の比較
東京医科大学茨城医療センター 脳神経外科
1)小笠原大介
1)Ogasawara Daisuke大橋智生
1)原岡 怜
1)一桝倫生
1)青柳 滋
1)斎田晃彦
1) 【はじめに】脳動脈瘤の治療に際し,コイル塞栓術と開頭クリッピング術の絶対的 な適応基準は存在しない.今回当施設における 85 歳以上の超高齢者破裂脳動脈瘤 患者に対するコイル塞栓術と開頭クリッピング術の合併症や治療成績について検 討した.【対象・方法】2007 年 2 月~2014 年 8 月までの期間に当院で外科的治療を 行った破裂脳動脈瘤患者を対象に患者背景,手術前の重症度(Hunt & Kosnik 分 類),症 候 性 脳 血 管 攣 縮,正 常 圧 水 頭 症,退 院 時 の mRS あ る い は Glasgow Outcome Scale(GOS)についてコイル塞栓術とクリッピング術の差を統計学的に検 討した.【結果】症例は 14(コイル塞栓術 9,開頭クリッピング術 5)例であり,年齢 は平均 89(85~94)歳であった.手術前の重症度(Hunt & Kosnik 分類)はともに有 意差は認めなかった.脳室ドレナージ術施行は 4(コイル塞栓術 4)例および正常圧 水頭症に対し VP シャント施行例は 6(コイル塞栓術 4,開頭クリッピング術 2)例 であった.退院時の平均 mRS はコイル塞栓術で 4.9,開頭クリッピング術で 4.4, GOS はコイル塞栓術で 1.9,開頭クリッピング術で 2.4 と共にコイル塞栓術で良 好な結果が得られた.死亡例だけでは 4(コイル塞栓術 3,開頭クリッピング術 1) 例であった.【結語】高齢であったり全身状態が不良な場合はコイル塞栓術が選択 されることが多い.当施設において来院時の重症度に差はないが,転帰はコイル 塞栓術において良好であった.今後は,重症度,動脈瘤部位,画像所見などから治 療方法に関して十分検討する必要がある.P-015
ステント留置にて根治できた上小脳動脈解離性動脈瘤破裂の一
例
大分大学 医学部 脳神経外科
1)大分大学 医学部 放射線科
2)津田聖一
1)Tsuda Masakazu久保 毅
1)杉田憲司
1)藤木 稔
1)清末一路
2)田上秀一
2) 【はじめに】上小脳動脈に発生する解離性動脈瘤は非常に稀であり,直達術では trapping + bypass 併用術が,血管内治療では母血管閉塞が行われることが多い部 位である.今回,我々は,解離部に Stent 留置を行うことで,母血管も温存した治 療を行い,経過も比較的良好であった症例を経験したので報告する.【症例】59 歳 男性,X 年 1 月 11 日朝,突然の激しい後頭部痛が出現,嘔吐も伴ったため,当院救 急搬入.頭部 CT 上,後頭蓋窩に強いび慢性のくも膜下出血が見られた.出血源 は椎骨動脈系と考え,脳血管撮影施行.通常の脳血管撮影正面像と側面像からは, 出血源をとらえることができず,回転 DSA で,なんとか出血源(動脈解離と瘤)を 捉えることができた.上小脳動脈分岐直後が解離しており,同部位を含め母血管 閉塞は広範囲の小脳梗塞が生じることが予想され,trapping + bypass も穿通枝温 存などの観点から困難と判断し,stent 留置のみを行うこととした.留置後,解離 瘤は造影されなくなっており,stent 閉塞を予防する目的で,抗血小板剤を load-ing 後に,アスピリンとクロピドグレルの投与を行った.術翌日は経過良好であっ た.術 3 日目に脳幹周囲に出血を来し,脳血管撮影を行ったが,解離の進展など出 血源は見当たらなかった.抗血栓療法をゆるやかにすることで,その後は頭蓋内 の問題は生じずに経過し,回復期病院へ転院後,自宅に戻られた.【結語】本症例 は上小脳動脈分岐直後から解離しており,同部位に対して stent 留置のみで,解離 腔を閉鎖することができたものと考えられる.しかしながら出血急性期の Stent 留置は術後管理を含め反省すべき点がまだあり,今後の経験の蓄積が必要であろ う.P-016
ステント留置後の脳底動脈の分岐形状変化による動脈瘤にかか
る負荷の比較~CFD による検証~
東京医科歯科大学 血管内治療科
1)土浦協同病院 脳神経外科
2)佐藤公紀
1) Sato Koki根本 繁
1)千葉慶太郎
1)芳村雅隆
2) 【目的】脳底動脈の分岐部動脈瘤の破裂予防の治療術としてステント留置術がある. しかし,どのようにステントを留置すれば破裂予防に効果を発揮するのかは今ま で研究されてこなかった.本研究の目的は,分岐角度の違いや左右の脳底動脈の 血管径の違いによって動脈瘤にかかる負荷がどのように変化するのかを比較評価 することである.【方法】本研究の方法では,分岐角度や左右の血管径の異なる複 数の脳底動脈の血管モデルをコンピューターにて作成した.分岐角度は左右それ ぞれ 30 おきに分岐様式を変え,血管径においては直径差がそれぞれ 0.5mm, 1.0mm,1.5mm となるモデルを作成した.そして CFD を用いて定常解析による シュミレーションを行い,壁面せん断応力(WSS)やその不均一性を比較検討した. 【結果】上記のように検証を行った結果,分岐角度や左右の血管径の差の違いによっ て明確な差が生じた.【結論】今回の比較検討によって,分岐角度や分岐後の左右 の血管径の違いは分岐部動脈瘤にかかるストレスに重要な影響を与えるファク ターであることが分かった.今回の研究を第一歩として,患者の血管形状に応じ た,破裂予防に最大限の効果の得られるステント留置法のマニュアル化が進んで いくのが望ましい.P-017
三叉神経痛に対する定位放射線治療の 14 年後に,くも膜下出血
を発症した上小脳動脈末梢部の脳動脈瘤の 1 例
鳥取県立厚生病院 脳神経外科
1)鳥取大学 医学部 脳神経外科
2)宇野哲史
1)Uno Tetsuji紙谷秀規
1)坂本 誠
2) 放射線治療後の照射野に発生する動脈瘤は,頭頚部腫瘍の治療後の内頚動脈の報 告は多く,聴神経腫瘍の定位放射線治療後に前下小脳動脈に発生した例も散見さ れる.この度,三叉神経痛に対する定位放射線治療後に上小脳動脈に発生したと 考えられる稀な症例を経験したため,報告する.症例は,83 歳男性.左三叉神経 痛に対し,薬物での疼痛コントロールが困難で,14 年前にガンマナイフで加療さ れた.その後,V2~3 領域にしびれが残存したものの,疼痛は軽減し,8 年前より 通院されなくなっていた.某日,突然の激しい頭痛を認め,当院へ救急搬送.頭部 CT にて,左小脳橋角部を中心にくも膜下出血を認め,3D-CTA では,左上小脳動 脈末梢に約 4mm の動脈瘤を認めた.動脈瘤の発生部位が,三叉神経に近く,以前 の画像所見では認められなかった事から,放射線誘発性の動脈瘤が示唆された. 局所麻酔下に脳動脈瘤塞栓術を施行.右椎骨動脈からのアプローチで,動脈硬化 のためにカテーテルの誘導に難渋したが,上小脳動脈を温存し,コイルを 6 本 26cm 留置して手技を終了した.術後,後大脳動脈や右内頚動脈領域に,点状の虚 血巣を数カ所認めたが,新たな神経症状の出現はなかった.その後,脳血管れん縮 による悪化もなく,瘤の塞栓状態も良好であり,良好な転機が得られた.上小脳動 脈末梢部の動脈瘤は,頭蓋内の動脈瘤の 0.2~0.7%と非常に稀な動脈瘤であり, 三叉神経痛に対する定位放射線治療後に発生したものは,渉猟し得た限りでは報 告例はない.三叉神経痛がガンマナイフの保険適応となり,今後,症例の増加が見 込まれる事から,極めて稀であるものの,定期的な画像フォローを行い,見逃しを 防ぐ必要がある.P-018
脳動脈瘤に対する瘤内塞栓術後に穿通枝梗塞を生じた 2 例
北里大学 医学部 脳神経外科
1)宮坂和弘
1) Miyasaka Kazuhiro近藤竜史
1)山本大輔
1)小泉寛之
1)中原邦晶
1)隈部俊宏
1) 【緒言】2014 年 1 月から 2015 年 6 月に当院で瘤内塞栓術を施行した嚢状動脈瘤連 続 68(未破裂 44/破裂 24)例のうち,穿通枝領域に脳梗塞を呈した 2 例を報告する. 【症例 1】64 歳女性.未破裂前交通動脈瘤(Acom AN)に対し瘤内塞栓術を施行し た.術後 MRI-DWI にて脳梁膝部に無症候性脳梗塞を認めた.術前後の血管撮影 (DSA)を後方視的に検討した結果,AcomA 背側から起始する median artery of corpus callosum(MACC)が,術後 DSA で描出されないことが確認された.梗塞巣 は MACC の灌流域に含まれることから,脳梗塞の原因は MACC 閉塞と判断され た.【症例 2】53 歳女性.くも膜下出血(Hunt and Kosnik grade 2)にて発症した右 内頚動脈後交通動脈分岐部動脈瘤(IC-PC AN)に対して瘤内塞栓術を施行した.塞 栓術の過程で,動脈瘤体部から起始している太い右後交通動脈(PcomA)が閉塞し たが,術後造影で右後大脳動脈(PCA)皮質枝領域は右 P1 を介して良好に造影され ていた.術後,遷延性意識障害,左不全片麻痺,左全感覚障害を生じ,頭部 MRI-DWI にて右内包膝部と視床前内側に梗塞巣を認めた.術前 DSA(右内頚動脈造影 および Allcock 試験)では,右 PcomA から起始する右 thalamotuberal artery (TTA)が確認された.しかし,術後 DSA では右 PcomA 閉塞に伴って右 TTA が 描出されなくなっていた.梗塞巣は右 TTA の灌流域であることから,脳梗塞の原 因は右 PcomA 閉塞にともなう右 TTA 領域の血行力学性虚血と判断された.【結語】脳動脈瘤に対する脳血管内治療による穿通枝障害の予防には,動脈瘤頚部近傍
の穿通枝起始部の位置及び治療に伴って血行力学的影響を被る可能性のある穿通 枝を詳細に把握し,塞栓の限界を正確に見極める必要がある.
破裂後大脳動脈瘤の 2 例
都立墨東病院 脳神経外科
1)東京警察病院 脳神経外科
2)花川一郎
1)Hanakawa Kazuo長島 良
1)堤 恭介
1)松本隆洋
1)田中健太郎
1)柳橋万隆
1)中村安伸
1)村尾昌彦
1)井手隆文
1)佐藤博明
2) 後大脳動脈遠位部動脈瘤は比較的稀な動脈瘤であるが,通常の clipping や coil 塞 栓のみで治療困難な症例が存在する.今回我々は,脳血管内治療を施行した P2 動 脈瘤 2 例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例 1 36 歳,男性. 出張中に意識障害出現し,前医に搬送.くも膜下出血(Fisher3)の診断にて入院. 既往歴 高血圧.初診時の Hunt and Kosnik grade4.当初動脈瘤は不明で保存的 治療を施行.右後大脳動脈 P2portion に血栓化動脈瘤を指摘され当院転院となっ た.当院受診時は意識は清明で明らかな運動麻痺なし.Terson synd を認めた. 入院後も動脈瘤は 1cm 大に増大傾向を認めたため,発症 1 カ月半に開頭クリッピ ングを施行.術後経過は良好で,神経症状の悪化なし.他院眼科で,Terson synd に対する加療を行ったが,発症 3ヶ月目に施行した CT にて 3mm 大の残存動脈瘤 を認めたため,脳動脈瘤コイル塞栓術を追加した.その後の 2 年の経過にて動脈 瘤の再発はなし.症例 2 23 歳 女性.突然の頭痛にて発症.くも膜下出血 (Fisher3)の診断にて当院入院.既往歴 妊娠高血圧.3D-CT にて右後大脳動脈 P2portion に紡錘状動脈瘤を認めた.初診時の Hunt and Kosnik grade2.当初保存 的治療施行したが,動脈瘤は増大傾向を認めたため,day12 に stent 併用の coil 塞 栓を施行.3 週間後に追加塞栓を施行したが,その後は経過良好にて自宅退院.約 1 年半の経過にて再発は認めない.後大脳動脈遠位部動脈瘤は動脈瘤の局在に よっては bypass 併用での治療が報告されるているが,いずれの外科治療において も難易度が高いものが多いと思われる.今後は flow diverter を含めた急性期動脈 瘤へのステント使用拡大が期待される.脳血管内手術における未破裂脳底動脈本幹部瘤に対する治療成
績
順天堂大学 医学部 脳神経外科
1)長谷川浩
1)Hasegawa Hiroshi田之上俊介
1)井関征祐
1)三島有美子
1)矢富謙治
1)寺西功輔
1)山本宗孝
1)大石英則
1) 【はじめに】脳底動脈本幹部瘤は全頭蓋内動脈瘤の 1%以下と稀である.同部位の 動脈瘤は解離性動脈瘤も比較的多く,難渋する症例も少なくない.今回我々は自 験例をもとに同部位に対する脳血管内治療の治療成績を後方視的に検討した.【対 象・方法】対象は 2002 年 1 月から 2015 年 7 月まで当院及び関連施設にて血管内治 療を行った未破裂脳底動脈本幹部瘤 16 例.年齢,男女比,治療法,合併症,転帰を 後方視的に検討した.【結果】全症例 16 例のうち男女比は男:女=29%:71%,平均 年齢 63.1(37-85).発症契機は偶発性が 56%,症候性が 19%,破裂脳動脈瘤に合 併が 25%であった.ステント認可前後での治療成績を比較した.認可前では治療 直後塞栓状況は CO:60%,NR:0%,BF:40%.手術手技は simple:20%,balloon remodeling:60%,母血管閉塞術 20%.最終的な予後は mRS0:40%,mRS6:60%. 治療した動脈瘤による直接死因例は 1 例(20%)であった.合併症は無症候性の脳 梗塞が 1 例(20%)に生じた.認可後では治療直後の塞栓状況は CO:46%,NR: 36%,BF:18%,手術手技は simple:9%,,stent assist:91%.合併症率は 27%で脳 梗塞が 2 例,脳浮腫が 1 例に認められた.転帰は mRS0:73%,mRS1:9%,mRS2: 18%であった.【考察】コイル塞栓術支援用ステント型デバイスの認可以降,同部 位に対する手術直後の完全塞栓率は低下するも予後は良好であった.しかし,脳 底動脈の穿通枝領域の脳梗塞や脳幹浮腫等の合併症の可能性も少なからず存在し 十分な注意が必要である.近年,flow diverter stent による治療経験の報告も散見 され,更なる期待が見込まれる.【結語】自験例における未破裂脳底動脈本幹部瘤 に対する血管内手術の治療成績を検討報告した.P-021
巨大血栓化椎骨動脈瘤に対して internal trapping が有用で
あった 1 例
千葉大学 医学部 脳神経外科
1)久保田真彰
1) Kubota Masaaki小林英一
1)足立明彦
1)河内大輔
1)吉田陽一
1)佐伯直勝
1) 【目的】巨大血栓化椎骨動脈瘤は,一般に難治性の病態で,緩徐に増大傾向を示す ことが多く,症状発現時には脳幹の顕著な圧迫を併発していることも稀ではない. 今回我々は,バルーン閉塞試験(BOT)ののち,internal trapping 術にて mass ef-fect の減少がえられた 1 例を経験した.本病変に関しては,治療反応性と抵抗性 のものがあり,治療戦略を立てる上で重要である.若干の分家的考察を加え報告 する.【症例と経過】37 才男性.頭痛とめまいの精査目的で MRI を施行し,右椎 骨動脈に大型の脳動脈瘤が発見された.当初 14mm で,他院で外来追跡されてい た.15ヵ月の経過で 26mm に増大し,MRI 上の脳幹圧迫も顕著になり,めまいが 増悪したため当科にコンサルトされた.MRI では,右椎骨動脈の巨大血栓化動脈 瘤で,Sarpentine type で明確なネックは認めなかった.脳血流検査を併用した BOT にて,閉塞可能と判定された.全身麻酔下に,後下小脳動脈の近位部と ver-tebral union 近位で計 12 本のコイルを用いて internal trapping 術を施行.遠位部 は対側椎骨動脈からもカテーテルを誘導し,double catheter 法で塞栓した.術翌 日には CT で縮小が確認され,問題なく退院となった.9ヶ月の経過で瘤は顕著に 縮小し,脳幹圧迫はほぼ解消された.【結語】巨大血栓化椎骨動脈瘤の瘤内塞栓術 には,議論があるが,本症例のように瘤内にコイルを詰めない internal trapping 術 が有効な症例が存在する.反面,本治療法にも抵抗性の病変があり,時に開頭によ る血栓除去術やバイパス術が必要とされる例も存在する.正確な病態把握が重要 であり,治療戦略に関して考察する.P-022
再開通症例に対する CFD 解析と治療方針への活用
東京理科大学大学院 工学研究科 機械工学専攻
1)東京慈恵会医科大学 脳神経外科
2)シーメンスジャパン株式会社
3)東京理科大学 工学部第一部 機械工学科
4)藤村宗一郎
1)Fujimura Soichiro高尾洋之
1,2)渡邊充祥
2)鈴木貴士
1)篠原孔一
1)高山 翔
1)鈴木倫明
2)ダフマニ シヘブ
2,3)守 裕也
4)石橋敏寛
2)山本 誠
4)村山雄一
2) 【目的】コイル塞栓術は未破裂嚢状脳動脈瘤に対する非侵襲的かつ有効な治療法として施術さ れている.一方,塞栓術後の経過観察における再開通症例が少なからず報告されており,問 題となっている.客観的な指標に基づく術前での再開通を防ぐための評価等は成されていな い.我々は再開通症例,安定症例の双方に数値流体力学(CFD)を用いた血流解析を行うこと で,再開通発生に関わる流体力学的因子の特定を目的とした.【方法】計 26 症例(再開通症例: 12,安定症例:14)に対し,初回手術時における術前,術後での血流解析を行った.解析は, 血液密度,粘度をそれぞれ 1100 kg/m3,0.0036 Pa・s とした定常計算とした.また,形態学 的(ネック面積,VER)かつ血行動態学的(圧力)な影響を考慮し,単位コイルあたりに付加さ れる力を示した独自パラメータ(FpV)を定義した.FpV について再開通症例,安定症例間で 統計的比較検討を行った.【結果】解析結果より,FpV の平均値は再開通症例,安定症例でそ れぞれ 0.016 ± 0.010 と 0.008 ± 0.006 であり,再開通症例において高い傾向にあった.両 症例間において FpV に対する統計学的検定を行ったところ,有意な差が見られた(P=0.01). 同様に,ROC 解析を行ったところ,FpV の至適カットオフ値は 0.007 であった(AUC=0.80). 【結論】FpV の統計学的有意差より,単位コイルあたりに付加される力が再開通の発生に関 与している可能性がある.また,至適カットオフ値より各症例に対する適正な VER を求め ることで,再開通を予想できる可能性が示唆された.P-023
未破裂動脈瘤に対して T ステントテクニックを用いてコイル塞
栓術を施行した 2 例
函館新都市病院 脳神経外科
1)栗原伴佳
1)Kuribara Tomoyoshi原口浩一
1)清水匡一
1)松浦伸樹
1)尾金一民
1)伊藤丈雄
1) 【目的】未破裂動脈瘤に対して T ステントテクニックを用いてコイル塞栓術を行っ た 2 例を報告する.【症例 1】49 歳,女性.頭痛,両手異常感覚を主訴に近医受診 した.CT 上,BA-top AN が疑われたことから当院紹介受診となった.検査上, 10.8 × 9.8 × 8.9mm の Wide neck の未破裂 BA-top AN を認めた.形状,サイズ から,コイル塞栓術の方針とした.まず瘤内にマイクロカテーテルを挿入した. 次に左 PCA から BA に EnterpriseVRD を留置し,マイクロカテーテルを jail し た.右 PCA にそのステントと重ならないように EnterpriseVRD を留置し,T ス テントとした.fraiming 後,size down しながら filling していき,DF で終了した.【症例 2】82 歳,女性.以前より指摘されていた未破裂左 IC-PC AN が増大したた
め,コイル塞栓術の方針とした.検査上,16.8 × 13.5 × 12.6mm の Wide neck の動脈瘤であり,Pcom が dome から起始していた.まず Prowler select plus を左 ICA distal と Pcom にそれぞれ挿入した.次にマイクロカテーテルを瘤内に留置 し,ICA に EnterpriseVRD を留置し,マイクロカテーテルを jail とした.Pcom にも EnterpriseVRD を先ほどのステントと重ならないよう留置し,T ステントと した.framing 後,size down しながら filing していき,DF で終了した.【考察・結
論】本例は Wide neck の未破裂動脈瘤に対して T ステントテクニックを用いた 2 症例である.T ステントでは Y ステントに比べてステント留置が困難であるが, きちんと留置できれば,Y ステントで認められるような,ステント狭小化に伴う血 栓形成促進,ステントの血管壁への密着性の阻害などが起こらず,虚血性合併症の リスクが低いと考えられる.
P-024
Bleb を伴う破裂前交通動脈紡錘状動脈瘤の 2 例
富士吉田市立病院 脳神経外科
1)武蔵野赤十字病院 脳神経外科
2)荻島隆浩
1)Ogishima Takahiro今江省吾
1)佐藤洋平
2)戸根 修
2) 症例 1:45 歳男性,高血圧の既往あり.突然の頭痛と嘔吐で発症.WFNS grade2, 左前大脳動脈 A1-A2 を中心に紡錘状拡張を認めた.保存的に経過観察し,day13 の血管撮影で bleb が出現したため同部を出血点と判断し,day20 に bleb のみのコ イル塞栓術を施行した.脳血管攣縮による軽度右不全麻痺を認めたが改善し,発 症 3ヶ月後 mRS は 0 で元の仕事に復帰した.4ヶ月後の MRA では明らかな再開 通を認めなかった.症例 2:64 歳女性,高血圧の既往あり.頭痛,嘔吐にて発症. WFNS grade3,前交通動脈に紡錘状拡張を認めた.Bleb を伴い出血源と判断し, day0 に bleb のみの塞栓術を施行した.再出血なく経過し,4ヶ月後の mRS0, MRA では明らかな再開通を認めなかった.【考察】2 症例とも病変全体の治療は 困難であったが,出血点と考えられた bleb のみを塞栓し良好な結果を得られた. 紡錘状動脈瘤は虚血発症や頭痛発症であれば自然経過にて治癒する例も多数報告 されているが,出血発症では再出血率が高く早期の外科的治療が必要となる.し かし前交通動脈を含む前大脳動脈近位部の紡錘状動脈瘤では開頭術,コイル塞栓 術いずれも治療が困難である.一般的に壁の脆弱な bleb への塞栓については否定 的な意見が多いが,近年の塞栓物質の進歩により術中破裂のリスクは低減してい る.また,bleb のみの塞栓では出血予防として十分ではないとされるが,他に有効 な治療がなく出血源が明らかであれば,急性期に bleb のみを塞栓して厳重に経過 観察を行う方法は有効な可能性がある.ポ
ス
タ
ー
(
発
表
な
し
)
脳底動脈上小脳動脈分岐部血栓化瘤に対する瘤内塞栓術
美原記念病院 脳神経外科
1)美原記念病院 神経内科
2)美原記念病院 脳卒中部門
3)赤路和則
1)Akaji Kazunori望月洋一
1)谷崎義生
1)志藤里香
1)木村浩晃
2)美原 盤
2)神澤孝夫
3)片野雄大
3) 【目的】血栓化脳動脈瘤に対する瘤内塞栓は完全塞栓困難であり再開通が多いため, よい適応ではないと言われている.当院にて,脳底動脈上小脳動脈分岐部血栓化 瘤に対する瘤内塞栓を 2 例経験した.塞栓術から 5 年以上経過し,経過が良好で あったので報告する.【症例 1】39 歳,男性.1997 年,くも膜下出血発症し,他院 搬送.他院で開頭したところ,クリッピング不可能であり,瘤内塞栓施行.右動眼 神経麻痺悪化あり,当院受診.瘤の再発あり,血栓化部含めた瘤全体は 1.3cm. 2009 年,瘤内塞栓施行.Neck remnant.瘤の再発あり,2010 年,再び瘤内塞栓施 行.Neck remnant.2015 年,複視かわらず,mRS 1.瘤は,再破裂なし,2mm 程 度の再発あり,血栓化部含めた瘤全体は縮小.【症例 2】65 歳,女性.2005 年,他 院で発見,手術不可能と説明され,他院で経過観察.2010 年,くも膜下出血で発症 し,当院搬送.JCS200,一時呼吸停止あり,WFNS G5.血栓化部含めた瘤全体は 3cm.2 日後,意識改善あり,瘤内塞栓施行.Neck remnant.2015 年,歩行可能, 記銘力障害あり,mRS 3.瘤は,再破裂なし,再発なし,増大なし.【結論】開頭術 不可能と診断された脳底動脈上小脳動脈分岐部血栓化瘤 2 症例に対し,瘤内塞栓 を施行した.脳底動脈上小脳動脈分岐部血栓化瘤は neck が狭いため,瘤内塞栓が 有効な症例もあると考えられた.後期高齢者クモ膜下出血に対する治療~小規模地方病院におけ
る二刀流治療の現状と問題点~
市立角館総合病院 血管内脳神経外科
1)秋田大学大学院 医学系研究科 医学専攻 機能展開医学系 脳神
経外科学講座
2)山口 卓
1) Yamaguchi Suguru西野克寛
1)清水宏明
2) 【背景】本邦において高齢化が言及されるようになって久しいが,地方においては 特にその傾向が顕著であり,当院はその最先端を走っているような地方施設であ る.クモ膜下出血症例においても高齢者が増加してきており,特に 80 才以上の後 期高齢者が散見される.当院では 2 名の常勤脳神経外科医が脳動脈瘤治療方法の 選択・治療を行っているが,このような小規模地方病院における,後期高齢者クモ 膜下出血患者に対する治療選択・成績,問題点等について検討し,現状と課題を報 告する.【方法】症例は 2007 年から現在まで経験した,80 歳以上のクモ膜下出血 患者 11 例.治療方法,結果,予後等につき後方視的に検討した.【結果】平均年齢 は 82.3 才で,最高齢は 95 才.男女比は 1:10.開頭クリッピング術が 6 例,コイ ル塞栓術が 5 例に行われた.前者の平均年齢は 81.3 才,後者は 85.4 才.術前 H&K グレードは前者で平均 3.8,後者で 2.4.クリッピング術群では中大脳動脈 症例が 5 例を占め,その内脳内血腫合併例が 4 例であった.3ヶ月後の mRS はク リッピング術群で平均 3.6,コイル塞栓術群で 2 であり,コイル塞栓術群では脳内 血腫を伴わない分術前 grade が良好で mRS も良好であった.【結論】超高齢患者 に対しても,適切な治療方法を選択することで比較的良好な予後を得ることが可 能であると思われ,これからの脳血管障害を専門とする脳神経外科医には,開頭手 術と脳血管内治療の両方の知識・技術が必要とされるであろうと考えられる.P-027
Basilar artery fenestration aneurysm. コイル塞栓術にて
良好な結果を得られた 3 例
横浜新都市脳神経外科病院
1)石森久嗣
1)Ishimori Hisatsugu服部伊太郎
1)佐々木亮
1)大高稔晴
1)根本哲宏
1)疋田ちよ恵
1)佐藤純子
1)岩崎充宏
1)福田慎也
1)森本将史
1)【はじめに】fenestration of the basilar artery(FBA)に合併した動脈瘤の頻度は稀
であるが,破裂するリスクが高い.臨床現場では,小サイズでも破裂例を経験する. 今回我々は 3 例の比較的小さい FBA 動脈瘤症例に対して,血管内治療にて良好な 結果を得られたので文献的考察を加えて報告する.【症例,結果】症例 1 は 50 歳男 性の SAH 症例.3.8 × 3.2 × 2.4mm の瘤を lower FBA に認め,balloon-assist に てコイル塞栓術を行い,35 日目に自宅退院となった.症例 2 は 70 歳女性の SAH 症例.3.2 × 2.7 × 2.7mm の lower FBA aneurysm を認め,balloon-assist にてコ イル塞栓術を行い,29 日目に自宅退院となった.症例 3 は 76 歳女性,頭痛の精査 で 2.7 × 2.4 × 1.9mm の lower FBA aneurysm を認め,先の 2 例の破裂例を経験 していたので,瘤は小さかったが,血管内治療を行った.Broad neck で size が小 さく,カテの安定が得られず balloon-assist が困難であった.non-aneurysm side にステントを留置して母血管を確保し,Jail technique で,瘤内塞栓を施行し,7 日 目に独歩退院となった.【考察】FBA に合併した動脈瘤は,破裂率が高く,今回の ようにサイズが小さくても破裂する症例が存在する.この部位の小動脈瘤はカテ が不安定で困難な症例も存在するが,今回のように,ステントの使用によって治療 の応用範囲も広まり,今後より安全に治療が行える可能性があると考えた.
P-028
破裂広頚脳動脈瘤急性期のステント併用瘤内塞栓術の検討
武蔵野赤十字病院 脳神経外科
1)原 睦也
1) Hara Mutsuya戸根 修
1)佐藤洋平
1)橋本秀子
1)橋詰哲広
1)金子 聡
1)川並麗奈
1)折原あすみ
1)玉置正史
1) 【は じ め に】当 院 で は 破 裂 脳 動 脈 瘤 に 対 し て 血 管 内 手 術 を 第 一 選 択 と し, Adjunctive technique も併用し,瘤内塞栓を達成することを目標としている. Enterprise VRD 認可後急性期にステント併用瘤内塞栓術を施行した 3 症例につい て検討した.【症例】84 歳,85 歳,42 歳の女性 H&K grade2; 2 例と grade1; 1 例,IC-PC(neck 6.8mm,size 6x7mm),(neck 5.3mm,size 5.3x5.5mm 部分血栓 化)の 2 例,IC paraclinoid(neck 2.2mm,size 2.1x1.9mm) ; 1 例,D/N 比全て 1 以下であった.術中より全身ヘパリン化,TXA2 阻害剤投与し,aspirin,clopi-dogrel を術中・術後のいずれかから開始し,継続した.周術期合併症は脳梗塞 2 例 で,出血性合併症はなかった.水頭症手術行ったのが 1 例,脳梗塞の 2 症例はリハ ビリテーション目的で転院し,mRS 3,4 で退院した.合併症なく経過した症例は mRS 0 で自宅退院した.1 年以上経過した 2 症例について 1 例は脳血管撮影で明 らかな再開通のないことを確認し,もう 1 例は脳血管撮影未施行だが,X-p で coil の変形は認めなかった.【考察と結論】破裂脳動脈瘤で clipping が困難でステント 併用瘤内塞栓術が必要な症例も存在する.破裂脳動脈瘤急性期のステント併用瘤 内塞栓術の周術期合併症は血栓性合併症と出血性合併症があるが,出血性合併症 の方が致命的である.今回,虚血性合併症を最小限にでき,出血性合併症は起こら なかった.従って手術適応を観血的手術を要する重症例を除くなど厳密にすれば, 急性期ステント併用瘤内塞栓術は治療の選択肢の一つとして考えられる.P-029
破裂前交通動脈瘤治療における二刀流術者の一刀流術者に対す
る非劣性の検証
新潟市民病院 脳神経外科
1)菊池文平
1)Kikuchi Bumpei齋藤祥二
1)太田智慶
1)渡部正俊
1)斉藤明彦
1)佐々木修
1) 【目的】くも膜下出血の治療において最良の結果を得るためには開頭術と脳血管内 手術のいずれの選択肢も欠くことはできない.脳神経外科専門医でかつ脳血管内 治療専門医であれば二刀流術者として両治療の責任を果たすことになるが,一方 で開頭術に専念する一刀流術者に対して二刀流術者の開頭術の成績が劣る可能性 について疑念は生じうる.本研究では破裂前交通動脈瘤治療症例を用いてこの疑 念を検証する.【対象】2007 年 11 月から 2015 年 5 月に当施設で行った破裂脳動脈 瘤に対する開頭術 282 件,脳血管内手術 105 件のうち,破裂前交通動脈瘤に急性期 初期治療として実施したクリッピング術(76 例)を対象とした.【結果】年齢 59.5 ± 12.0 歳,男/女=38/38.一刀流術者によるクリッピング術は 59 例(1-Cl 群),二 刀流術者によるクリッピング術は 17 例(2-Cl 群)であった.同期間の破裂前交通 動脈瘤に対するコイル塞栓術は 16 例であった.Hunt&Kosnik grade 1-2/3-4/5 は 1-Cl 群:42.4%/44.1%/13.5%,2-Cl 群:35.3%/47.1%/17.6%で両群に差はな かった.術中・術後に生じた転帰を悪化させた重大な有害事象は 1-Cl 群:3/59 例 (5.1%),2-Cl 群:0/17 例(0%)であった.退院時 mRS 0-2/3-4/5-6 は 1-Cl 群: 54.2%/30.5%/15.3%,2-Cl 群:64.7%/23.5%/11.8%であった.【結論】二刀流 術者によるクリッピング術の成績は一刀流術者のそれに劣らない.症例ごとに最 良の転帰を期待できる治療法を慎重に選択するべきである.P-030
くも膜下出血急性期に EC-IC bypass 経由で塞栓術を施行した
大型内頚動脈瘤
名古屋大学 脳神経外科
1)田島隼人
1) Tajima Hayato泉 孝嗣
1)松原功明
1)新帯一憲
1)伊藤真史
1)今井 資
1)西堀正洋
1)岡本 奨
1)荒木芳生
1)坂本悠介
1)若林俊彦
1) 【目的】巨大内頚動脈瘤に対し clipping や coiling 単独での治療は困難なことが多い.今回,破裂内頚動脈瘤に対し saphenous vein graft で EC-IC bypass および ICA ligation を行い,その直後に graft 経由で動脈瘤塞栓術を行い有効であった症 例を経験したので報告する.【症例】66 歳女性,1 年前から左目の視力低下と視野 障害を自覚,精査にて左巨大床上部内頚動脈瘤による視神経の圧迫が原因と考え られた.Balloon Occlusion Test で intolerance と判断した.手術待機中にくも膜 下出血を発症した.まず左外頚動脈と左 M2 segment に saphenous vein graft で high flow bypass を形成,次に trapping のために動脈瘤と後交通動脈間の剥離を 試みたが困難であり断念した.そこで動脈瘤への圧を軽減するため頚部内頚動脈 で ligation を行い,血管内治療に移行した.ガイディングカテーテルを左総頸動脈 に誘導,bypass 経由でマイクロカテーテルを動脈瘤に誘導し塞栓した.術後一過 性に左動眼神経麻痺,右片麻痺が出現したがその後改善した.3 か月時点の MRI・ MRA で動脈瘤への血流を認めず,以後外来通院している.【結論】破裂内頚動脈 瘤に対し trapping + bypass ができない場合,ligation + bypass を行い,その直後 に graft 経由で動脈瘤塞栓術することは有用である.