神 奈川大学大学 院経営学研究科 F研究年報』 第12号 2008年3月 95
■ 修士論文要旨
国際物流における大都市港湾の開発戦略に関する一考察
一 現代中国の主要港 ( 上海港 と香港港) を事例 に ‑
AStudyofinternationaldistributionsh・ategiesofbig‑cityport
‑Thecasesofthemainportsinmodernchina(ShanghaiandHongKong)〜
神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程
田 荊
TIANLI
』キーワー ド
国際物流 上海洋 山港 香港港 国内間 フィーダー輸送
国際物流 は国際貿易に伴 う産物であり、国際貿 易の輸出入の多少は国際物流の荷動 き量 に大 きな 影響 を与 える。 国際物流の視点か らみ ると、20 世紀 の前半 は大西洋 中心の物流 で あ り、20世紀 後半 はアメ リカ経済の主導的役割 と日本経済の急 成長で 日米貿易繁栄 して物流の中心は大平洋側へ 移 った。 ここ十数年来の国際物流はアジア地域の 主流 となった。港湾 とは海陸輸送の結節点 として 国際貿易に伴 う取引商品の海上輸送の窓口であり、
国の地域経済、交通、産業 などの諸活動 を支 え、
その経済発展 と国民生活に寄与 している。近年各 地域 における経済発展 を促進す る分野 があるが、
とりわけ、港湾物流 は大 きく寄与 している。東ア ジアに属 し、最大の市場 を持つ中国の経済発展 は 1980年代 か ら急速 な成 長 を遂 げてい る。 中国国 内 において物流 とい う概念が現 れ たの は1979年 で、?小平 が改革 開放政策 を提唱 し、外国 に対 し て門戸 を開 く動 きが出てか らである。?小平 が発 表 した南巡講話 で、1992年か ら一 層 に市場経済 化 が進展 した。2001年12月、中国は
WT
Oに加盟し、世界のスタンダー ドの中で対等に戦 ってい く 世界の舞台に躍 り出る第一歩 を踏み出 したのであ る。中国市場の開放政策は沿海部 を中心に 「点か ら線へ、線か ら面へ」であるが、国際物流 と同様 に国内物流事業 も非常 に注 目され るよ うにな り、
第三次産業の中核産業 となった。近年、輸 出入額 は急増 しているが、中国の経済発展 は著 しくであ る。
国際物流 において地理的に優位 な位置の もつ港 湾 を有す る都市では、港湾の コンテナター ミナル の インフラ整備や港湾の運営、管理政策、船社誘 致戦略などが重要 な課題 になっている。上海港 は 19世紀半 ばに対外 的に開放 され た中国最大 の港 湾で、地理的位置は中国南北沿岸、長江流域輸送 な らびに国際輸送の中枢 であ り、世界約160の国 と地域の約400の港湾 と結ばれてい る。1990年以 降、上海 が金融、貿易の中心 として発展す るに伴 い、 コンテナ取扱量 も飛躍的に増加 した。現在建 設 されてい る洋 山港 は、新 たな大 水深 コ ンテナ ター ミナル とその ター ミナル を結ぶ東海大橋の整
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備が進め られてお り、洋山新港 プロジェク トと呼 ばれている.予定2020年の完成時には、50バース、
年2000万TEUの巨大港湾基地 となる。
一万、百年間 イギ リスの殖民地であったの歴史 を持つ香港 は、1997年7月1日、中国に返還 され、
中国の特別行政区 となった。 しか し、当時、世界 経済における国際センター、貿易セ ンター、アジ アで重要 な中継貿易港 としての地位 を維持できる が、一国二制 とい う形態が共存 している。 この十 年 をみ ると、対 国内 ビジネス窓 口 と して、 また、
国際金融、港湾物流拠点センターとして も香港の 機能は国内本土の経済発展 によって ます ます強固 な もの となった。香港 は目覚 しく経済成長 を遂げ でお り、特 に港湾 (空港に も含め)建設開発 とア ジアではコンテナ貨物取 り扱量 が ドープであ り、
その地位 を依然 として占めている。
また、香港港 は後背地に巨大的な国内市場 をも ちお り、近年、 とりわけ日本、欧米および台湾か らの中国向け投資が増加 し、海上貿易における中 継貿易港 として貨物の取 り扱量が年々増加 してい
る。
東 ア ジアは21世糸己には国際物流 におけ る国際 コンテナ輸送がよ り一層に活発 とな り、各国 も国 家的なプロジェク トとして港湾の整備や開発を積 極的に進めている。港湾建設 とともに、国際物流 輸送の競争力の強化 と拠点港湾 としての地位 を確 保す るために港湾整備に加 え管理運営政策にも積 極的に取 り組んでいるC上海港 がロジスティクス・
ハブ港 を目指す課題は山積み している。 また、上 海港の利 用者 に対す るメ リッ トを高めるための物 流処理や通関手続 きなどに関す るソフ ト面での支 援 と改善 も課題である。
国際物流 における相手国及び国内各港の厳 しい 競争の中で、ハブ港 としての上海港 と自由貿易地 域の特徴 を持つ中継貿易港 として香港港 は今後の 対応、及び港湾管理、並びに港湾建設などが今後 の課題である。
本論文 は国際物流 における中国近代大都市港湾 の開発 と建設発展状況及び中国各主要港湾の現況、
特にハブ港 としての上海港 と中継貿易港 としての
香港港に視点 をおいて、港湾の発展状況及び開発 建設、並びに管理運営、そ して今後の課題などに ついて考察 し、大都市港湾物流 としての役割及び 動向について検討す るものである。本論文の構成 は以下の通 りである。
第 Ⅰ章 は、国際物流の産生、歴 史、 その発展、
現在の輸送手段 および技術の進化状況 について考 察 し、国際物流 における港湾の地位 と役割 を分析 す る。
第 Ⅰ章 は、国際物流における中国国内の物流発 展経緯 と各輸送形態の現状 と動向 を論述 し、経済 発展に伴 う、華南経済圏におけるコンテナ港の建 設 と沿海各港湾間競争及び国内港湾貨物取扱量 な
どについて考察す る。
第 Ⅲ章 は、国際物流 における中国港湾の発展歴 史 と港湾の開発建設、運営政策現状 を論述 し、現 在の中国海運市場の状況及び 日中海運の現状 につ いて言及す る。
第Ⅳ章 は、国際化大都市における国際的なハ ブ 港 を目指す上海洋 山深水溶の建設開発戦略及び建 設の 目的について解明 し、新港湾の役割について 論述す る。
第 Ⅴ章 は、中継貿易港 として重要 な国際経済の 中心に地位す る、香港港の地位 と役割および コン テナター ミナルの整備 とフィーダー輸送の将来性 について論述す る。
終わ りとして、中国港湾 と国際物流の一層の進展 を図 るため、両港間 (香港港 と上海港)の相互の 依存 と協調体制 について考察す る。両港が将来に 向けて相互 に良い影響 を与 え合 うことが深強 く望 まれ るものである。