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高エネルギ-陽子入射反応における中性子生成二重微 分断面積の測定

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

高エネルギ-陽子入射反応における中性子生成二重微 分断面積の測定

中本, 建志

九州大学工学エネルギー量子応用原子核

https://doi.org/10.11501/3110910

出版情報:Kyushu University, 1995, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

高エネルギ一陽子入射反応における 中性子生成二重微分断面積の測定

中本 建志

(4)

目次

第1章 序論 1

1 . 高エネルギー核 データの必要性 1

2 INCE模型計算コードの概要 2

1 . 3 本研究の 目 的と本論文の構成

第2章 予備実験 6

2. 測定環境及び問題点 6

2 2 検出器の配置 8

2. 3 バッ クグラウンド測定 1 1

2. 4 鉄シールドの影響 1 1

2. 5 床散乱中性子の影響 1 3 2 6 中性子及びγ線の波形弁別 20

2 7 予備実験の結果 24

第3章 中性子生成二重微分断面積測定 28

3 l 緒言 28

3. 2 入射陽子ビーム 28

3. 2 . 入射ビーム環境 28 3. 2. 2 π+中間子の除去 3 1 3. 2. 3 ビームダンプ 37

3 3 中性子測定系 37

3. 3. 中性子検出器 37

3. 3. 2 データ収集システム 39

3. 4 ターゲッ ト Ll 3

第4章 データ解析 4. 1 緒言

4. 2 入射陽子ビーム中からの偶発的事象の除去

4. 3 ベト検出器との反同時計測による荷電粒子の除去

4. 4 ゲート積分法による波形弁別

nku nxu qd 寸i

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A守 イー ィサ 一fD FO

4. 5 バックグラウンド巾性子の除去 59 4. 5. 1 r時間に依存するバックグラウンド中性子の除去 59

4. 5. 2 時間に依存しないバックグラウンド中性子の除去 6 1

(5)

4 6 中性子検出効率 6 1 4. 6. SCINFULコードの概略 63

4. 6. 2 CECILコードの概略 64

4. 6. 3 計算結果 66

4. 7 断面積及びエネルギーの算出 72

4. 8 データ補正 75

4 8. ターゲット内での中性子の多重散乱 75

4 8. 2 ベト検出器での減衰 82

4 8. 3 ディスクリレベル付近の検出効率 86

4. 8. 4 タ イ ーク 90

4. 9 不確定性及び、エネルギ一分解能 94

第 5章 実 験結果及び考察 100

5. LANLにおける実験結果との比較 100

5. 2 計算結果との比較及び考察 105

5. 2. 実験結 果 105

5. 2. 2 I NCE模型計算との比較 125

5. 2. 3 Q Ivr D手法による計算との比較 128

第6章 結論及びこれからの課題 132

謝辞 136

参考文献 137

(6)

第l章 序論

1. 1 高エネル ギー核データの必 要 性

原子伎にGeV程度の高エネルギー粒子が入射すると、 原子核が破砕される核 破砕(スポレーシ ョン)反応(1)が起こる。 核破砕反応からは、 中性子、 陽子は もちろん、 π中間子やd、 t、 3He、 α等といった様々な原子核粒子が多数放出 さ れる。 核 破 砕反応では、 標 的原子校 (ターゲッ ト ) に鉛やタングステン等の

重い原 子核を用いた場 合、 一 回 の反応当 た り 数十個の中性子が 生成する特長が ある。 こ の高い中性子発生率を利用して、 商業用原子炉からの放射性廃棄物中 に含まれる長寿命核種の筏反応による短寿命もしくは安定核種への変換、 いわ ゆる消滅処理( 2)及び強力スボレーシ ョン中性子源の開発(3)等の研究が現在進め られている。 特に消滅処理に関しては、 原子力委員会の提言による「群分離 ・

消滅処理技術研究開発長期計画」 、 いわゆる「オメガ計画( 0 iv[ E G A :

o P t i 0 n s !vI a k i n g E x t r a G a i n f r 0 m 全ctinides and Fissio n Products in Nuclear Fuel Cycle) Jとして 研究が行われている。 オメガ計画では、 原子 炉や核融合炉によって消滅処理を行う万法も考えられているが、 日本原子力研

究所(原研)や動力炉 ・ 校燃料開発事業団(動燃)では、 高エネルギーまで加 速した高強度の陽子又は電子による消滅処理方法について研究を行っている(4)0

現在考えられているシステム (-1 )は、 粒子加速器、 スポレーシ ョン中性子源、や処 理対象となる長寿命核種から構成される未臨界炉心部、 熱回収システム及び発 電設備等からなる大規模な消滅処理プラントであり、 核反応の熱を回収して発 電を行う ことで加 速器 運 転に必要な電力を賄うことができる。 原研においては、

線形加速器によって 陽子を数十mA、 1.5GeVにまで 加速し、 鉛又は タングス テンのターゲットに入射させるような消滅処理システム(-1 ) が検討されている。

このターゲット炉心部の核設計 を行う ためには、 ìvIe VからGeV領域までの広 いエネルギ一範聞にわたる評価済核データが必要となる。 この評価済核データ には、 反応断面積、 粒子生成三重微分断面積、 NpやAm等のマイナーアクチノ

イドに関する各種断面積等が含まれる。

の他に高 エネ ル ギー領 域での核データの整備が 必 要とされている分野とし て、 宇宙線による被曝評価、 放射線治療、 加速器の遮蔽設計等が挙げられる。

これらの場合 放射線が人体へ与える影響を精度よく評価するため、 核データ の正確性及び信頼性は非常に重要となる。 また、 加速器のスポレーシ ョンター ゲット の遮蔽設計では厚さの3乗に比例して建設費用が必要となるため、 経済

的な面からも精度の高い伎データが必要となっている。

1i

(7)

現在位界で整備されている評価済校データ ライブラリー とし て、 日本の ]E ND し3.2(::J)や米国のENDF-B/VI(bl等が存在する。 しかし、 今までの筏デー タ利用の主な目的が原子炉や核融合炉の開発設計であったため、 これらの評価 済核データライブラリーにおいては、 20 !vl e Vが エネルギーの上限となってい る。 近年、 高エネルギー核デ ー タの重要性が大きく な る にした がって 、 2 0 ìvI e V以上の領域での評 価済校データの整備が行われ始め た。 しかし、 GeV

程度のエネルギーまで粒子を加速することのできる加速器の数は非常に少なく、

2 0 ÌYr e Vから 数GeVまでの広いエネルギ一範囲に波って実験を行うのは困難で ある。 このため、 高エネルギー核データファイルの完成にはなお時間がかかる とされている。

以上の理由から、 GeV程度の高エネルギー粒子線が発生する施設の設 計には、

計算コードによるシミュレーシ ヨンの結果を用いているのが現状である。 これ らの計算コードとして、 前平衡過秤又は多段階直接過粍を考慮した統計模型に

基くALICE92(7l、 G NASH(3)及びFKK-GNASH(9)等がある。 これらは200!vl e V 程度までの入射エネルギーについて実験値を良く再現できるが、 適用可能なエ ネルギー上限が低いという欠点がある。 また、 近年のコンピューターの進歩に より、 原子核反応を微視的にシミュレートする量子分子動力学( Q!vl D )によ る計算も行われている(10)0 Q!vr D計算では核反応過程毎に解析模型を使い分け る必要がなく 、 調節パラメータを用いずに核反応を記述できる特長がある。 し かし、 計算時間が非常に長くかかる ため、 実際の工学的応用には適していない。

このため 、 実 際の計算に はBe rti niの核 内カスケード蒸発(I N CE:

In t raNuclear Cascade Evaporation)模型(11)に基づいた計算コードがよく 用いられている。

1. 2 I N CE模型計算コードの概要

IN CE模砲に基づ き、 工 学的利用のため に開発された言,-算コードに N!vrT C

(Nucleon Meson Transport Code) (12)やHETC(旦igh Energy工ransport Code) (12)が ある。 いずれの計算コードも、 モンテカルロ法を用いた核内粒子 輸送計算及び核外粒子輸送計算から構成されている。 これら2つは基本的には 同じ模型に基づいた計算コード であるが、 NMTCでは陽子、 中性子については 3.5GeV、 π中間子入射については2.5GeVが入射エネルギーの上限であるの に対し て、 H ETCではlTeV入射にまで適応できるよう変更されている。 核内 粒子輸送計算においては、 INCE模型に基づいて、 核子又はπ中間子間の二体 衝突がカスケード状に進行するカスケード計算と、 原子核全体が励起された状

η/a]

(8)

態から粒子が重心系等方に放出する蒸発計算の2段階の計算が行なわれる。 以 下に、 カスケード計算及び蒸発計算の概要を述べる(1 4)。

核内カスケード計算では、 原子核を球形の縮退したフエルミ気体と仮定する。

核子の運動エネルギーが約100 ìvl e V以上の場合、 波長は校子間の平均相互距離 よりも短くなるため、 衝突過程は二体衝突近似がか なり精度良く成り立つ。 カ スケード計算では、 筏子及び衝突過程で発生する π中間子をカスケード粒子と して取り扱い 、 それぞれの二体衝突を幾何学的に進行させていく。 このため、

核子及びπ中間子についての二体衝突断面積が計算を行う上で必要になる。 散 乱粒子のエネルギー及び運動量は、 相対性理論を考慮したそれぞれの保存則に 某づいて 、 乱数によって決定される。 この ときその散乱は、 フエルミ統計にし たがってパウリの排他律で許されるか確認される。 つまり、 散乱粒子のエネル ギーがフェルミエネルギ一以下であれば、 その衝突はなかったものとして再び

乱数 を発生させる。 散乱粒子が原子核から 放出される場合、 核外放出後のエネ ルギーは核内 のエネルギーから ポテンシヤル エネルギーを差しヲ|いた値となる。

核内に留まっている散乱粒子のエネルギーがクーロンポテンシャルの半分以下 になった場合、 もはや二体衝突近似が適用できなくなるためカスケード計算は 終了し、 残留核の原子番号、 質量数及び励起エネルギーのイ直を蒸発計算ルーチ

ンに引き渡す。 蒸発計算では、 粒子放出確率及び準位密度パラメータとして、

それぞれWeissko pf及びLeCouteurの公式が用いら れてお り、 p、 n 、 d、 t、

3He及びαの6種類の原子核粒子の放出を考慮している。 これらの粒子は重心

系で等方に核外に放出され 、 その際の残留核の反跳についても 考慮されている。

寂終的に残留核の励起エネルギーが結合エネルギ一、 クーロンポテンシヤル及 び対エネルギー補正の和よりも小さくなると蒸発計算は終了する。

現在、 各国の研究機関ではNNITCやHETCの改良が行われており、 HETC- 3STEp\15lやLAHET(16)、 HETC/KFA2(17)、 NUCLEUS(18)等の様々なパージョ ンが存在する。 カスケード計算 は高エネルギー粒子入射では実験を良く再現す るが、 ] OO:tvl e V以下の入射エネルギーでは二体衝突近似 の精度が悪くなるため 実験 との不一致が大きくなる傾向がある。 またカスケード計算では、 後方の高 エネルギ一成分を過小評価する傾向が以前から指摘されている。 このため、 カ スケード計算終了条件の変更やカスケード過程と蒸発 過程の中間エネルギー領 域での反応過程として前平衡過程を導入することにより、 これら計算コードの 改善が図ら れている。 その他の改良点としては、 高エネルギー絞分裂や核内で の反射屈折の 考慮等が挙げら れる。 しかし、 計算結果と比較できる実験データ の数白体が少ないため、 これまでの計算コードの改良は未だ不十分と言わざる を得ない。 また、 今後ともGeV領域までの広いエネルギ一範囲に渡 って、 実験

ー 3・

(9)

値を用いる ことによってのみ校データの整備を行うことは現実的ではない。 し たがって、 新しい実験データと計算結果との比較を行うことで、 さら に計算コ ードの改良を続け ていくことが非常に重要であると考えられる。

1. 3 本研究の目的及び本論文の構成

これまでに行われた核破砕反応に関する実験は、 測定が容易であったカスケ ード過程からの放出高エネルギ一陽子を 対象とすることが多く、 数十IvIe V以

下の放出粒子 につ いての実験はほとんど行われてこなかった。 と ころが、 近年 になって精度の良い中性子生成断面積デー タの必要性が高 くなったことから、

数十IvIe V以下の領域での実験と計算結果についての議論 が行われ始めた。 最 近の陽子入射 による中性子生成二重微分断面積を系統的に測定した研究につい ては以下のものが挙げられる。

Scobelら(1 9)は米国インデイアナ大において、 12 0 IvI e V及び160IvleV陽子を アjレミニウム、 ジルコニウム及び鉛ターゲットに人射したときの中性子生成一 重微分断面積を、 O。 から1--15。 までの角度で測定した。 Cierjacksら(:1 0)は、

PSI(faul _âcherrer lnstitute) において陽子 の入射エ不ルギーが585IvIeV、 タ ーゲット に炭素からウランまで の8元 素を用いて 測 定を行った。 一方、

L A NL (1. 0 s 全1a mo s 旦ational 1_aborat ory)ではIvIe i e rら(21) (23)やAmianら

(2 .j)・(25 )、 Stamerら(2 6)が実験を行ったo IvI e i e rら(21) (2 3 ) は、 入射陽子エネルギー

が113、 256及び318IvIeV、 ターゲットとしてベリリウムからウランまでの8 元素、 中性子の放出角度が7.5、 30、 60及び1500 の4方向についての中性子 生成二重微分断面積 測定を行った。 またAmianら(2 .j )( 25)は、 入射陽子エネルギ ーが597及び800NIeVの場合について、 ターゲットとしてベリリウムから鉛ま での1 1元素を用い、 30、 60、 90及び150。 の4方向についての中性子スペ クトル測定を行なった。 同様にStamerら(2 6)は、 256及び800MeVの陽子をジ ルコニウム及び鉛ターゲットに入射したときの中性子生成二重微分断面積を、

7.5。 から150。 までの5方向で測定を行った。

上述のように、 これまで入射陽子が800NleVを超えるエネルギーでの中性子 生成二重微分断面積測定は行われていない。 また現在計画されている消滅処理 プラントにおける陽子の入射エネルギーは1.5GeVである。 以上のことから、 1GeV以上の入射エネルギーで実験結果と計算値との比較を行って計算模型の

議論を行う ことは、 今後の計算コードの改良及びその工学的応用に対して非常 に有意義だと考えられる。 そこで本研究では、 0.8、 1.5及び3.OGeV陽子入射 こよる中性子生成二重微分断面積測定を行う。 ターゲットは、 炭素、 アlレさニ

1

(10)

ウム、 鉄、 インジウム及び鉛 の5種鎮であり、 飛行時間法を用いて15、 30、

60、 90、 120及び150。 の6方向において測定を行う。 飛行距離は約1mであ り、 中性子検出器にはNE213有機液体シンチレータを用いる。 入射エネルギ ーに比較的近い高エネルギー粒子放出については、 荷電粒子放出に関する研究 ( 1い(27)から INCE模型による計算結果と良く一致することが分かつており、 高 エネルギー中性子放出についてもこ の傾向は保持されると考えられる。 そ こで、

本研究ではINCE模型計算と の不一致が予想される1tvI e Vら100 ìvI e V のエ不 ルギ一範囲において精度 の良い断面積データを得ることを目的とする。 さらに

実験で得られた中性子生成二重微分断面積を INCE模型計算による計算値と比 較し、 計算コード の問題点について議論する。

本論文は全6章から構成されている。

第2章では、 本実験に先立って予備実験を行い、 中性子測定について の検討 する。 予備実験では、 入射陽子ビームや測定効率、 バックグラウンド環境、 高 エネルギー領域で の中性子とy線 の波形弁別方法について研究を行い、 本実験 を行うため の知見を得ることを目的とする。

第3章では、 本実験で の巾性子測定方法について述べる。 具体的には、 入射 ビーム中に含まれるπ +中間子 の除去方法 、 測定に用いた検出器 、 データ収集

システム及びターゲット の諸特性について述べる。

第4章では、 データ解析 の手法について説明する。 初めに荷電粒子やγ線、

バックグラウンド中性子 の除去方法及びそ の結果について述べる。 次に 、 断面 積 の絶対値を決定する際に重要となる中性子検出効率について述べる。 また、

ターゲット内で の多重散乱中性子 の影響等 の補正方法について説明する。 最後 に実験で の不確定性やエネルギ一分解能について言及する 。

第5章では、 最終的に得られた断面積データを示す。 まず、 共通 の入射エネ ルギーであ る他 の実験データと比 較を行い、 本研究で の測定が信頼性 の高いも

のであ ることを示す。 次に実験値と INCE模型計算による計算結果と の問で比 較を行う。 INCE模現計算は、 通常 のHETC及び原研 のNUCLEUS(18) の2種類 の計算コードを用いて行い、 計算コード の問題点について議論する。 また、

Q tvI D計算と実験値と の比 較も行い、 そ の特徴について述べる。

第6章では、 本論文 のまと めを行う。 また、 計算コード改良に関する今後 の 課題について言及する。

(11)

第 2 章 予備実験

2 . 1 測定環境及び問題点

中性子生成二重微分断面積測定を行った文部省高エネルギ一物理学研究所 (K EK)の 12GeV陽子シンクロト ロン加速器 (KEK12GeV-PS)東カウンターホ ールを図2-1に示す。 π 2 ビームラインにおける中性子のTOF測定は、 これま で柴田ら (28) によって行われた例がある。 しかし、 文献(28)には測定方法に関 する記述はほとんど無いO このため、 π 2 ビームライン実験室で中性子を測定 する際、 あらかじめ測定環境や問題点を解決してお くことが必要であった。 そ

こで、 図中のπ 2 ビームライン実験室において、 GeV程度の高エネルギ一陽子 をターゲ ットに入射し た際 に生成される中性子を飛行時間 (TOF )法によっ て測定することを計画し、 1---] OO"N[eVの範囲で良好な中性子測定が可能か検

討を行った。

測定を行うに当たって、 当初以下の問題点が予想された。

( 1 ) ターゲットに入射する陽子ビームは、 エネル ギーが12GeVの一次ビ ームではなく、 一次ビームが主リング内部に ある内部ターゲットと衝突して生 成される二次ビームである。 したがって ビーム強度が1�10fA程度と非常に 弱いO このため、 ターゲットから放出される中性子収量は少なく、 測定の計数 率が低くなってしまう。 また、 二次ビームは電磁石によって 実験室まで輸送さ れるため、 ピーム中に陽子と同じ運動量のπ中間子が混入する。

( 2 ) ビーム強度が弱いため、 TOFの飛行距離は約1m程度と短くする必要 がある。 例えばLANLで行われたTOFY:去による中性子測定の場合(21ト(2 6)では飛 行距離が約25---50mであるのと比較すると、 本研究でのそれが非常に短いこ とが分かる。 飛行距離が短いと測定する飛行時間も短くなるため、 エネルギ一

分解能 の 低下が考えら れる。

( 3 ) 関2 - 1のように、 実験室のすぐ近く に12GeV陽子シンクロトロ ン主リ ングが通っているため、 実験室での中性子やγ線のバックグラウンドは非常に 高いと予想される。 エネルギーが10数"NleV程度までの 通常の中性子測定では、

中性子検出器を遮蔽 ( シールド)することによってバックグラウンドを除去す る場合が多い。 しかし、 最大GeV程度の高エネルギー粒子が多数生成する本研 究のような測定では、 検出器シールドの設置によって二次中性子が発生し、 む しろバックグラウンドが増加する恐れがある。

(4) LANLでのTOFによる中性子測定(2 1 ). ( 2 6)では、 コリメータを用いて〆 ツクグラウンド事象 (イベント)の低下を図った。 しかし本研究の測定のよう

- 6 -

(12)

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KEK t2GeV PS

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π2ビームライン

図2・1 KEK12GeY-PS東カウンターホール

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(13)

に飛行距離が1m程度と短い場合、 スペースの問題でコリメータは設置できな い。 このため、 ターゲットからの放出粒子が実験室の床で散乱された後検出器 に入射する床散乱 中性子の影響が考えられる。 つまり、 ターゲットから直接検 出器に入射するような本物の事象と、 床散乱中性子による事象が区別できない 可能性があ る。

( 5 ) 中性子エネルギーが1 ìvI e V以上の領域 では、 中性子検出器にNE213

等の有機シンチレータを用いるのが一般的 であるが、 これ らのシンチレータ は 中性子のみならずy線に対しても有感である。 こ のため中性子測定ではγ線を

除去する必要がある。 NE213やBC501等の有機液体シンチレータを検出器と して用いた場合、 信号波形の減衰部分の大きさが異なる性質を利用して中性子 とγ線の波形弁別(n -y波形弁別)を行うことができ る。 中性子エネルギー が数1 0 ìvI e V以下の範囲における中性子とy線の波形弁別についての研究は、

これまで数多く行われてきた。 しかし100ìv[eVを超えるような高エネルギー領 域において n-γ波形弁別を行った例はない。 例えば、 Cierjacksら(2 0 )は中性 子検出器にNE213シンチレータを用いたが、 波形弁別によってγ線の除去を 行った。 しかし、 文献(20)中には、 その具体的な方法は述べられておらず、 た だ波形弁別を用いたとの記述があるのみである。 一方、 ìvI e i e r及びAmi a nら

(2 1) (2:>)は中性子検出器の前面に薄い ウランフィルターを設置してγ 線を減衰さ せる方法を用いた。 これはy 線が原子番号の大きなウラン原子と相互作用する

確率が高 いこ とを利用して、 y線を減衰させるためである。 しかし、 ウランフ ィルターを用いる方法ではγ線のみならず測定対象 となる中性子さえもウラン 原子核と核反応を起してしま い、 データ解析の段階において大きな補正を必要 と してしまう 。 このため、 y線の除去にウランフィルターを用いる方法はあま り好ましくないと考えられる。 以上のように、 中性子エネルギーが1 00 ìvI e V以 上の領域においてγ線の除去を行った詳細な報告はこれまで無く 、 実験を行う に当たっては具体的なn-γ波形弁別方法を検討する必要がある。

以上の問題点を調べるため、 まず本研究の目的 である中性子生成二重微分断 面積測定に先立ち、 KEK12GeV-PSπ2ビームラインにおいて予備実験を行つ た。

2. 2 検出器の配置

予備実験では、 鉛ターゲットに1.5Ge V陽子 を入射して得られる中性子を TOF法により測定した。 検出器及びターゲットの配置を図2・2に示す。 また測 定回路のブロックダイアグラムを図2・3に示す。 図2-2に示すように、 ビーム

- 8-

(14)

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図2-2 予備実験でのターゲット及び検出器の配置模式図

- 9・

(15)

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Other Neutron Detectors

|記12-3 子市iij尖験における測;江戸|附のブロックダイアグラム

(16)

ライン上に4枚のNE102 Aプラスチツクシンチレータを人射ビームモニ ター と して設置した。 こ れは同じ運動量の陽子とπ中間子ではそれぞれ速度が異な ることを利用して、 入射ビーム 中に混在するπ中間子の除去を行うためである。

2枚l組のプラスティ ツクシンチレータはターゲツトから約20m上流に設置し、

また残りの2枚1組はターゲツト直前に設置した。 これら 4枚のビームモニタ ーからの信号をコインシデンス回路(図2-3中のC0 1 N. B E A 1tI )に入力するこ とにより、 陽子とπ中間子の弁別を回路上で行った。 また、 C0 1 N - B E A tylの出

力を計数回路(SCALER)に入力し入射陽子数を得た。

中性子検出器には寸法の異なる2種類のNE213有機液体シンチレータを用 いた。 それぞれの大きさは、 直径15.2cm、 厚さ1 7.8cm及び直径12.7cm、 厚 さ5 .1 cmで あった。 千1 2.7cmX5.1 cm N E 21 3は1 5。 方向 に設置し、 千

15.2cmX 1 7.8cmNE2 13は30, 90及び1 200 方向に設置した。 ターゲツトか ら中性子検出器までの飛行距離は1 5。 方向 のみ1.5m で、 残 り の検出器につい ては1 mだ った。 各中性子検出器の前面には、 厚さ1 c m のNE102Aプラスチツ クシンチレータを荷電粒子除去(ベト: Veto)用検出器として設置した。 こ れは、 中性子検出器と同時に測定されたイベントを除去す るこ とにより、 不要 な荷電粒子を取り除くためである。 全実験データ は、 CA1tlACを経由してμ­

VAXコンビュータによってリス トモードで収集さ れ た。 得られた実験データ は、 オフラインで処理した。

2. 3 バックグラウンド測定

予備実験で は、 まず最初に欽シール ドやコリメータの無い場合での実験室の バックグラウンドについて調べた。 測定結果を図2-4に示す。 図2・4中の×印 は1.5GeV陽子を鉛ターゲツトに入射したときの30。 方向における放出中性子 スペクトルを、 また企印はターゲツトを外した場合での中性子スペクト ルを表 している。 ただし、 両方の結果は入射陽子数について規格化している。 函2--t を見ると 、 中性子エネルギーが100iV[eV以下の領域では、 ターゲツトインと比

較してターゲツトアウト(パックグラウンド)が 10分の 1以下と低いことがわ かる。 また 約5001t[ e Vまでは受容できるパックグラウンドレベルであることが 分かる。 こ の理由として、 図2・3の測定回路図を見て分かる ようにTOF測定を 1 70nsの短いゲート幅で行ったため、 実験室内の通常の放射線レベル に比べて

バックグラウンドの影響が小さかったことが考えられる。

2. 4 鉄シーjレドの彩空ß.

(17)

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NEUTRON ENERGY (MeV)

図2-4 1.5GeV陽子を鉛ターゲットに入射したときの30。 方向での 生成中性子スペクトル及びターゲットアウトスペクトル

(18)

先に述べ た ように、 中性子エネルギーが10数ìvI e V程度までを測定対象とす る場合、 中性子検出器の周りを鉄等のシールドで囲むことによってパックグラ ウンドを除去する場合 が多い。 しかし本研究のように、 最高GeV程度の中性子、

陽子及びπ中間子が多数生成す るような場合、 検出器シールドの設置によって 一次中性子が多数発生する可能性がある。 そこでシールドの効果を確認するた めに、 検出器 の周りに鉄を設置して測定を行った 。 鉄シールドの設置の様子を 図2-5に示す。 また 、 1.5GeV陽子を鉛ターゲットに入射したときの90。 方向

における放出中性子スペクトルを図2-6に示す。 図2-6中のム印及び・印は、

シールド無しの場合と 検出器を鉄でシールドした 場合の中性子スペクトルをそ れぞれ示してい る。 図2-6から分かるように、 中性子エネルギーが-4}.I[ e V以上 の範囲では鉄シールドの影響は見られなしユ。 しかし4 ìv[ e V以下の低エネルギー 領域では、 鉄シールド からの二次中性子が混入して しま い、 シールドがない場 合と比べ て2 8倍と大きな値となって い る。 入射陽子工不ルギーが1.5GeV である場合、 中性子のみならず陽子やπ中間子等もターゲットか ら多数放出さ れる。 しかも、 これらのl次粒子のエネルギーは最大GeV程度であるためシー ルドの鉄原子核と反 応を起こし、 多数の二次中性子を生成す ることができる。

図2-5に示されるように鉄シールドからの二次中性子 は、 検出器とターゲ ット 聞の距離と比べて長い飛行経路を経て検出器に入射することになる。 中性子の エネルギーがその飛 行時間によってのみ決定されることを考えると、 低エネル ギー領域で鉄シールドの影響が顕著である理由が分かる。

以上の結果 から、 本研究のように入射陽子エネルギーがGeV領域である場合 には、 中性子検出器に はシールドを用いない方が良いことが分かった。

2. 5 床散乱中性子の影響

中性子のTOF測定において、 パックグラウンドの混入を防ぐ最も単純 な補 正方法は、 ターゲツトを設置した場合(ターゲ ットイン)での中性子スペクト ルから、 ターゲツトを設置しなかった場合(ターゲ ツトアウト )での中性子ス ペクトルを、 入射陽子数で規格化した後に差し引くことである。 しかし、 今回 のように中性子の飛行経路に沿ってコリメータを設置できないような測定環境 では ターゲツト からの放出粒子が実験室の床や他の構造材と核反応を起こし て生成された二次中性子が検出されることが考え られる。 先に述べたターゲツ トインでのTOFスペクト ルからターゲツト アウトでのそれ を単純に差し引く 方法では、 この二次中性子を取り除くことができない。

- 13 -

(19)

Neutron Detector

Emitted Neutron

-・・〉

Secondary Neutron

Target

図2-5 鉄シールド設置の様子

(Front View)

Iron Shield

(Top View)

Beam Line

(20)

υ3

+-'

C

コ L〉目

(\j +-'

,_

ぷコ!....

〈工

1 04

t

3

1 0'"' � 卒6�"_ 一日

1 02 �

10'

1 00

1 0- , �

1 0- 2 1 00

. 帥

.� 自 明 ' 6

.ム 申ーム

90deg with shielding 90deg without shielding

(bare detector)

10' 1 02

Neutron Energy (MeV)

1 03

図2-6 鉄シールドを設置した場合の中性子スペクトル ただし、 1.5GeV陽子を鉛ターゲットに入射したときの90。

方向での中性子生成スペクトルを示している。

- 15・

(21)

以上の理由から、 まず最初にNïvl T C / J A E R 1 (1 1)を用いて粒千輸送計算を行い 、 床からの二次巾性子(床散乱中性子)の評価を行ったo N ïvl T C / J A E R 1計算に おけるターゲツト及び検出器の配置を図2-7に示すo これらの配置は実験室で の測定環境に即して設定した。 即ち、 検出器は直径12 .7cm、 厚さ12.7cmの NE213であり、 ターゲツトから検出器までの距離は1mと仮定した。 また 、 検 出器は 入射ビームラインと同じ床から1.7mの高さで、 30。 方向 に設置する と 仮定した o 床 はコンクリートでで きており、 その厚さ は1m としたo 一般に NE213等の中性子検出器では、 検出効率は中性子 の運動エネルギーに強く依 存するo 中性子のエネルギー はターゲツトから検出器に入射する までの飛行時 間のみで決定されるため 、j未散乱中性子の本当の運動エネルギー とは必ずしも

致しないo より正確な二次中性子の評価を行うため、 中性子 検出効率の運動 エネルギー依存性を計算に取り入れた。 中性子検出効率にはC ECILコード(29)

による計算結果を用いた。 以tの方法で、、 N1v[ T C / J A E R 1計算で得られた中性 子TOFスペクトルから、 実際に測定される であろうTOFスペクトルを 得た。

1.5GeV陽子が鉛ターゲツトに入射した場合での計算結呆を図2司8に示す。

図中の実線はターゲツトから直接検出器に入射す る中性子の生成二重微分断面 積であり、 また破線はターゲツトから床を経由して検出器に入射する床散乱中 性子 の見かけ上の生成二重微分断面積を表しているo 図2-8から分かる ように、

中性子エネルギーが1ÌYI e V以上の領域で床散乱中性子の影響はほぼ無視でき、

し か もエネルギーが高くなる にしたがってその影響は小さ くなっているo しか し 、 11vI e V 以下の領域では床散乱 の影響は顕著となってしまう。 この理由も、

先に述べた鉄シールドの影響での考察と同様に考えることができるo つまり、

床を経由して 入射する 床散乱中性子の実際のエネルギーが高い場合でも、 全飛 行経路が長い 分だけ飛行時聞が長くなってしまい、 結果として見かけのエネjレ ギーが低くなってしまうことによる。 本研究では1ÌY[ e V以上の中性子を 測定対 象として考えている ので、 計算 結果から は床散乱中性子による影響は無視 でき る と いえる 。

次に直接検出器に入射する中性子を除去するために鉄の遮蔽俸(シャドーパ ー)を尉いた実験を行い 、 床や他の構造材からの二次中性子の影響が無視でき ることの確認を行ったo 千12.7cmX5.1cmの NE213を90。 方向に設置し、 直 径15c111、 厚さ100cmの鉄のシャドー パーをターゲツトと検出器の聞に設置し た。 シャドーバーを用いることにより、 ターゲツトからの中性子を除去し、 床 や 実験室内のその他 の構造材からの中性子のみを測定す ることができる0

1.5GeV陽子を鉛ターゲツトに 入射した場合の実験結果を図2-9に示す。 実験 では、 シャドーバーを設置した場合と設置し なか った場合のそれぞれについて

(22)

Target Beam Line

...・・・4山・・・・・... . .. .. . ... ... . . ... .. . ... ... ..... . ... .. . ..・ーー

10 m

Neutron Detector

Concrete Floor 1 m Thick

図2-7 床散乱中性子の影響を調べるためのNNITC/JAERI計算に おけるターゲット及び検出器の配置模式図

- 17・

(23)

ー ー 可

一一』一一一一ー→

』 ー ー ー ー

Neutron spectra 1 04

1 05

1 03 1 02 10' 1 00

(F1>ωEFB 」ω

心ε)CO一μυωωωωO」υ

Scattered

Neutron Spectra 1 0-

1

1 0- 2

1 03

【/」 、IF O V 1 e M /E\ VJ Gd 勾l rt o m τl 「巳

1 00

Neutron 10・3

1 0-

図2・8 床散乱中性子の計算結果

ただし、 1.5GeV陽子が鉛ターゲットに入射した場 合のNNITC/JAERIによる計算結果を示している。

- 18 -

(24)

ハVハU FO [戸『(凶\ F C凶)C一 F E」ω心ε]CO一ぢωωωωO」υ

T T

k 不Without Shadow Bar

t

1000

T

800

4

マふ企 ψ小企 AV心 T不必 ふ??企- ふ? 企 了↓↑上 ム4

T↓↑ム 企 T↓↑i

ムム T↓小i 企 T l U小 l - 企 ム T↓? 企 Tヤ小ム 企 ↓小ム 企

ふ小ム A

↓小ム 企 ふT A A A A A A-

。 400

With Shadow Bar

1 03

送]2・9 床散乱中性子の測定結果

ただし、 1.5GeV陽子が鉛ターゲットに入射した 場合の90。 方向での測定結果を示している。

」一一ム

101 1 02

Neutron Energy (MeV)

I I I I I I I I I

-200 1 00

ー19・

(25)

ターゲツ トイン及びターゲツトアウトの測定を行い、 計4種類の中性チTOF スペクトルを得た。 入射陽子数を規格化した後、 ターゲツトインのスペクトル からターゲツトアウトの スペクトルを差し 引くことにより、 シャドーバ

を設

置した場合と設置しなかった場合の2種類、の正味の中性子スペクトルを得るこ

;

が で、きた 図2-9中で × 印はシャドーバーを設しなかっ た場、 即 ち

常得られる中性子生成二重微分断面積を示すo また、 企印はシャドーバーを設 置した場合、 即ち床や他の構造材からの中性子によるエネル ギースペ クトルで

単位は中性子生成二重微分断面積と等 しいo ただし、 シャドーバーを設 置した場合では測 定量が少なかったため、 ターゲツトインでのTOFスペクト ルからターゲツトアウトでのそれを差しヲ|いた結果、 実験イ直が部分的にマイナ

スとなっ てしまったo このため 、 図2-9の縦軸は直線で表示している。 図から 分かるように、 100 tv1 e V以下の低エネルギー領域では床散乱中性子の影響は無

で、きることが分かるo 一 方500tvI e V以 ヒの高エネルギー領域では床 散乱中

子の影響が大きいように見える。 これは、 シャドーバーを外した場合での測定 においては5001'1e V以上の高エネルギー中性子を十分に測定することができず、

ターゲツトインとターゲツトアウトの 差が有意に現れなかったことが原因とし て考えられるo 本研究では測定対象とする 中性 子エネル ギ ーは1 tv1 e V以上 300 tv1 e V以下であるo 以上の結果から、 床や他の構造材からの二次中性子が 測

定に影響を与えないことを実験で確認できた。

2. 6 中性子及びy線の 波形弁別

NE213等の有機液体シンチレータを中性子測定 に用いる場合、 シンチレー タが中性子ばかりでなくγ線に対しても有感であるため、 これら両者間での弁

別は非常に重要 となるo 実験で 得られた TOFスペクトル中には、 中性子 とy 線 が区別されないまま測定されている。 こ のため 中性子のみのTOFスペクト ルを得るため には 、 中性子とγ 線を波形弁別することが必要である。

中性子やy線は、 非荷電粒子であるため シンチレータ内で直接電離を起こす ことはない。 通常NE213等の有機液体シンチレータを中性子検出器に用いる 場合、 中性子はシンチレータの構成元素である水素や炭素と散乱または核反応 を起こし て、 陽子やα粒 子といった二次荷電粒子を放出する。 また、 γ線のシ ンチレータとの相互作用は電子とのコンブトン散乱ま たは電子対生成が殆どで ある。 このため中性子やγ線は、 α粒子、 陽子及び電子といった二次荷電粒子 によって シンチレーシ ョン光に変換されることになる。

有機シンチレータでの シンチレーシ ヨン光は、 時間的に即発蛍光成分と遅発

- 20 -

(26)

蛍光成分とに分けられるo このうち光収率の殆 どは民IJ発成分となるが、 光の弱

遅発成分は放射線の波形弁別を行う ために重要である。これは遅発成分の光 収率 が、 粒子のエネルギ-i員失dE/dx に依存するからである(30)o したがっr

シ ン チレーシ ン光の遅発成分では、エネルギ損失の大きいα 粒子や陽子の

光収率に比て、エ ネ ルギー損 失率の小さ 電子による光収率は少なく なる。 中性子がα粒子や陽子といった エネルギー損失の大き な粒子として検出され、

γ線が エネjレギー損失の小さな電子として検出されることを考えると、 遅 発成

の違いを利用して中性子とγ線の波形弁別を行 うことができるo 最 近の研究 で、日756MeVの単色中性子をBC501Aシンチレー タを用いてi�院を行い、適 切な波形弁別によ ってp, d, 3h及び α 等 の 生成軽イオンを識別した報告 もあ る(31)o なお、 シンチレータから光電子増倍管を経た後の信号では、 この中性 子とy線の遅発成分の違いは、 信号の減衰 時間の違いとなって観測されること にな

Z

これま l 10:tvle V以下の中いて数多く れて

!日とy線の波形弁別(n-γ波形弁別)方法は、大きく 2

分七戸 f ?

ができる。 それらは般にゼロクロス点法(32) (35)及びゲート積分法\.j 11ペ川J, と 呼ばれ ている。

ゼロク ロス点法と は 光電子 増倍管からの単極性信 号を、 微分回路を経由さ せることによって双極性信号に変換し、 信号の立ち上がりから梅性交換点(ゼ ロクロス点)までの時間の差異によって中性子とy線を弁別する方法である。

ここでゼロクロス点の差異が、中性子(主に陽子)とγ線(電子)の信号の減 衰時定数の違いに対応しているoゼ、ロクロス点j去の原理を図2 - 10に示すo ゼ ロクロス点法は1960年代からn-γ波形弁別に用いられ、専用のモジュール (ZCD: Zero Cross Detector)のディスクリレベルを設定することで測定回

路上でリアルタイムに中性子とγ線を識別することができる。

ゼロクロス点?去には、

( 1 ) 文献(38)に報告されてるよ う に、低領成お ける n -γ波形弁別の弁別能は、ゲート積分法より優れている。

( 2 ) ゼロクロス点を検知するためのZCDが必要である。

( 3 ) Z C D では信号の通過時聞が 数百nsもかかり、TOF測定において

は 他の装置とのタ イ ミングを取るのが困難である。

といった特性がある。特 ( 3 )の特性のため、TOF測定において回路のタ イミング 調整を行う場合は、ZCD回路の信号通過時間によって測定系 全体 の信 号通過時聞が決ってしまうことになる。このため信号通過時間の短い部分には、

数10mもの長い遅延ケーブルを用いて信号を200---300ns遅らせる必要性が生 じる。

- 21 -

(27)

且Tt 、aJ

hH

ωe 町山り

p'UH

_

n

Time

TDC data

γ

災12-10 ゼ、ロクロス点法の原理

(28)

Prompt Gate

Time

d

e VJ

a

--+t e

e a DG

350ns が「i

ゲート積分法の原理

MIl--

j y:

徒歩:40ns

1.J

i‘

「00ωοω一。 γ

150ns

災12噌11

- 23 -

(29)

方ゲート積分法と は、 中性子とy線の信号の減衰部分の違いを直接記録し て 弁別を行う方法である。 具体的には、 電荷収集型アナログーデジタル コ ンバ

ーター(A DC)を用いて検出器信号の立ち上がり部分と減表部分のそれぞ、れの電 荷をデジタル化し、 オフライン処理で二次元表示を行うことによって中性子と γ線とを弁別する。 ゲート積分法の原理を図2- 1 1に示す。 この ゲート積分法

には、

( 1 ) 専用のモジュールを用いる必要が なく、 汎用のADCやゲートジ

ェネレーター(G. G. : Gate Generator)を組み合わせるだけで波形 弁別 を行うことができる。

( 2 ) 大きな信号に対しでも飽和を起こさず、 高エネルギー領域でも波

形弁別が可能である。

( 3 ) 各イベントを二次元表示して、 ソフトウェアで中性子とγ線を弁

別するため、 リアルタイムで弁別を行うことができない。

といった特性iカぎある。

予備実験ではゼ、ロクロス点法とゲート積分法 のn-γ波形弁別の様子を調べ、

どちらの方法が本研究の中性子測定に適しているか検討を行った。 ゼ、ロクロス 点法 及びゲート積分法 を用いた場合における 波形弁別結果を、 それぞれ図2 -

1 2及び図2- 13に示す。 図2- 12を見ると、 ゼロクロス点法によってn-y弁別 を行った場合、 信号の全電荷量が大きくなるにしたがって 中性子とγ線の弁別 が困難になってくる。 この原因として、 信号変換用の微分回路(前置増幅器) で は大きな信号が 入力すると飽和が起こり、 この飽和によってゼロクロス点が 決ってしまうと考えられる。 本研究の ように1 NI e Vから数100 Nle V程度までの エネルギ一範囲の広い中性子測定を行う場合、 ゼロクロス点法を用いることは 適当では ないと考えられる。

一方 図2 - 1 3を見ると、 ゲート積分法によって n-y 波形弁別を行った場合 は、 中性子とγ線が非常によく分離して いる様ア-が分かる。 信号の立ち上がり 部分 の電荷量が信号の全電ィ苛量とほぼ等しいことを考えると、 大きな信号が入 力したときも中性子とγ線は容易に弁別できることも分かる。 このためゲート 積分法が、 広いエネルギ一範囲での中性子測定に適していることが分かった。

以上の結果から、 本研究にはn一γ波形弁別にゲート積分法を採用すること に決定した。

2. 7 予備実験の結果

以上の予備実験結果から、 以下の知見が得られた。

(30)

.・

岨9

もえにもや じ\トトト

も乞

u

qも\.

広/

図2・12 ゼロクロス点法を用いた場合のn-γ波形弁別結果

- 25 -

(31)

。も

、 色。

\ざι生

\ (\) "一

Cシづ

Q

(\)

/"

4ノ

( c h) ADC with

Prompt Gate

lDG.1同

ゲート積分法を用いた場合のn-y波形弁別結果

�ー

図2・13

�・・

ω-cコ00

- 26・

(32)

( 1 ) 中性子TOF測定にお いて、 入射ビームモニターと中性チ検出器の同 時計測を1 70nsの短いゲ ート時間幅で行った。 その結果、 実験室内の通常の放 射線レベルに比べてバックグラウンドの影響を小さく抑えられることが分かっ た。 ( 2 ) 中性子検出器の周りに鉄シールドを設置.したときの中性子TOF 測定を行い 、 鉄シールドの影響を調べた。 その結果 、 鉄シールドの設置により

むしろ二次中性子が多数発生してしまうことが分かった。 特に4ìvI e V以下の低 エネルギー領域でその影響が顕著だった。 このため、 中性子検出器には欽シー ルドを用いず、 裸の状態で設置すること に した。

( .3 ) 床や他の構造材からの二次中性子による影響について検討した。 まず 床からの散乱中性子の影響についてのみNìvI T C / J AE R 1による粒子輸送計算を 行った。 その結果、 床散乱中性子の影響はl1VIeV以上の領域では無視できるこ

とが分かった。 次 に 、 鉄のシャドーパーをターゲットと中性子検出器の聞に設 置して、 床や他の構造材からの二次中性子の影響を実験で確認した。 その結果、

中性子エネルギーが1 ìvI e V以上500ìvI e V以下の範囲では 、 散乱中性子の影響は 無視できることが分かった。 しかし 、 500 ìvI e V以上では十分な測定量でなかっ たため判断が困難だ った。

以上の結果から、 床や他の構造材からの二次中性子は測定に影響を与えない ことが分かった。

( 4 ) 高エネルギー領域で のn-y波形弁別について 、 ゼロクロス点法及び ゲート積分法の2通りの方 法について検討を行った。 ゼロクロス点法を用いた 場合は、 前置増幅器において信号 の飽和現象が起きてしまい、 信号が大きくな ると弁別が困難に なることが分かった。 一方ゲート積分法を用いた場合は、 広

いダイナミックレンジで、 中性子とγ線を非常によく弁別できることが分かっ た 。 本研究のように測定対象となる中性子のエネルギ一範囲が1 -- 1 0 0 ìvI e Vと 非常に広範囲の場合 、 n-y波形弁別に はゲート積分法が適していることが分 かった。

これらの知見を基に 、 次章で述べるような中性子生成二重微分断面積測定を 行った。

(33)

第 3 コ乞 中性子生成 二重微分断面積測定

3. 1 緒言

前章で示した予備実験の結果を踏まえ、 高エネルギ一陽子入射による核破砕 反応からの中性子 生成二重微分断面積測定を 行った 。 測定は予備実験と同じ KEK12GeV-PS東カウン ターホールの π2ビームライン実験室において行った。

入射陽子エ不ルギーは0.8、 1.5及び3.OGe Vで、 ターゲットには炭素、 アルミ ニウム、 鉄、 インジウム及び鉛の5元素を用いた。

この章では、 中性子生成二重微分断面積測定での 入射ビーム 環境、 ター ゲッ トや中性子検出器の設置方法、 N 1 Ì\t[及びC A rvI ACモジュールに よるデータ収集

システム について述べる。

3. 2 入射陽子 ビーム

3. 2. 1 入射ビーム環境

今回の実験における検出器及びターゲットの配置様式図を図3-1に示す。 ま た 測定回路のブロ ック図を図3-2に示す。 図3・1で見ら れる よう に、 測定で用 いた検出器は入射陽子検出系とターゲットからの中性子測定系の2種類に分け

られる。 初めにπ 2ビームラインの入射ビーム及び入射陽子検出系について説 明を行う。

通常の実験では、 加速ビーム は単一の粒子 で構成されていて他の粒子が混入 していることは殆ど無く、 もし混入している場合 で もその数は極めて少な い。

また中性子の TOF測定 においては、 TOF測定の トリガー(スタート)信号を 得るために、 入射ピームは整形(パンチパルス化)されてターゲットに入射す るの が普通である。 し か し前章でも述べた ように、 今回実 験を行ったKEKの

π2ビーム ライン は通常の中性子TOF測定環境とは異なる。

KEK12GeV-PSでは主リング に12GeV陽子が走っているが、 12 GeV以下の 陽子 を入射ビー ム として用いる場合、 実験者は12GeV陽子が主リング内の内 部ターゲットに衝突した際に生成される二次粒子を用いることになる。 一次陽 子のエネルギー は12GeVと高い た め、 この二次 生成粒子中に は、 陽子、 中性

子、 π中間子、 電子、 陽電子等といった強度の異なる様々な粒子が、 エネルギ ーの広い範囲に渡って含まれることになる。 そしてこれら二次荷電粒子が電磁 石によって曲げられ、 π 2ビームラインに輸送されることになる。 このため陽

- 28 -

(34)

NE102A (Beam profile)

Pilot U

(p-πd iscri m i nation and TOF trigger)

NE102A (VETO)

if; 12.7 cm X12.7 cm NE213

NE102A (VETO)

600

図3-1 ターゲット及び検出器の配置模式図

(Vertical Plane)

15

Beam Line

(35)

Proton beam monitor

TDC STOP Inhibit nH hH b A,.‘ INT.REG

Pilot U-A(し) Pilot U-B(R) Pilot U-A(R) Pilot U-B(し)

Neutron detector

OUTPUT.REG NE102A-A

NE102A-B

VETO ADC 4 (Total Gate) COIN4

NE213

ADC3.4 GATE

no rt

r o u旧d e

od nU 5

m 4l

~凶5 e 4l nH

nr O T 円bc D T

TDCs START

COIN.REG GATE ADC 1 (n-g : Prompt Gate)

ADC 2 (n-g : DelayedGate) ADC 3 (Total Gate)

図3-2 測定回路のブロックダイアグラム

- 30 -

(36)

子 を 人射粒チとする場合、 極性が正でかつ同じ運動量を持つπ+中間子や陽電 子までもビームラインに流れこんでしまうことになる。 また入射ビームはパン チしたパルスでは なく、 l個1個識別できるほど非常に弱い。 図3・3に内部タ ーゲットから得られる二次生成粒子の運動量分布を示す(39)。 ビームラインを 流れる陽電子の量は陽子やπ令中間子に比べ非常に少ないことが分かっている。

このため入射陽子測定においてはπ←中間子の影響を考えれば良い。 実際の測 定では、 ぱらぱらにやってくる同じ運動量の陽子とπ十中間子とを測定回路上 で弁別することにより、 陽子入射のときのみ測定を開始する必要がある。

3. 2. 2 π 中間子の除去

ビームライン中を輸送される陽子とπ←中間子は同じ運動量であるが、 質量 は陽子が938 �I e V、 π+中間子が1 3 9 ìvl e Vと異なるため約20mの飛行距離を通 過することによって時間差が生じてくる。 良く知られているように、 相対性理 論では粒子の運動量P ( ìvI e V / c )は、

p=

店長

( 3 -

1 ) または、

つM C ハu

T m

山 一

P

( 3 -2 )

と表せる。 こ こで、

=

( 3 -3 )

である。 また、 Tは粒子の運動エ不ルギー(JvI e V )、moc2は粒子の静止質量(MeV)、

vは粒子の速度(m/ s)、 cは光速度(m/ s)を表す。 式(3 - 1 )より、 運動量Pが等しく 質量が異なる2粒子A及びBが、 距離Lを飛行して生じる時間差t ( s )は、

t=

与 (

)

=

( (

mAC

- 31 -

(37)

(](](]

YIELD OF POSITIVE PARTICLES π2 BEAM

ス叫ハU

Primary Protons :

8 GeV

Prod. Angle :

10-

L\P/P :

:士r

% - Beamしeng↑h :

28

m Prod. Targe↑ : AL

今 6_

1 ,..

去ι 一

.r�一一 Jf戸

×

7T

o �,,4

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10

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〉ー

102 1.0 戸

2.0 3.0 4.0

Momentum (GeV / c)

図3・3 KEK12GeY-PS内部ターゲットから 得られる二次生成粒子の運動量分布

ー 32 -

(38)

と表せ られる。 ここで mA及びmBはそれぞれ粒子A及びBの静止質量であり

mA >mBと する。 式 (3 -2 )及び(3--t)を用いて 、 飛行距離Lが20mで入射陽子エネ ルギーが0.8、 1.5及び3.0GeVのと きのπ+中間子と陽子 それぞれの飛行時間

及びその時間差を表3- 1に示す。 表3-1より、 入射陽子エネルギーが 3.0GeVの とき、 陽子とπ+中間子と の時間差は最も短く その値は1 .9 3 nsと なる。 したが って、 陽子とπ+中間子を 測定回路上で確実に弁別を行うため には、 測定系で の時間分解能がこの1.9 3ns よ り十分に優れている必要 性がある。 つまり、 入 射陽子検出系には時間分 解能の特に 優れた検出器及び測定方法を選択しなけれ

ばな らな い 。

通常優 れた時間分解能が 必要とされるよう な高速タイミング測定では有機系 シンチレータが用いられる。 その中でも 特に設置方法 、 取り扱いや加工の容易 さの点で優 れているプラスティツクシンチレータ が良く用いられる。 検出器の

時間分解 能 はシンチレータとシンチレータに接続した光電子増倍管で決定され るため、 入射陽子 検出系の検出器に は時間分解能の良いプラスティツクシンチ レータと 光電子増 倍管を組み合わせて用意する必要がある。 そこ で今回の実験 では、 入射陽子 検出器 としてビームライン上に4枚のプラスティ ツクシンチレ ータ を設置した。 その内の2枚は厚さ5又は10mmのPi 1 ot-Uシンチレータ で、

図3-1に示す よ う にビ ー ム ライン上のター ゲ ッ トから約2 0m上流にl枚 (Pilot-U-A) 、 ターゲット直前にl枚(Pilot-U-B)設置した。 Pilot-Uは、

プラスチックシンチレータの中でも特に時間分解能に優れているため、 超高速 タイミング測定に用いられる 。 残りの2枚は厚さ5mmのNE102A シ ンチレー タ(NE102A-A,B)であり 、 共にターゲット直前に設置した。 Pilot- Uシン チ レータに は、 光電子増倍管とし て直径2 "の市販品の中で最も時間分解能が優 れていた浜松ホトニクス製H2 .1 3 1を用いた。 また、 NE102Aシンチレータに

は、 H2431に次いで時間分解能が優れているH194 9を用いた。

Pilot-Uについて は、 l枚当り2個の H2431を両覗きの形になるようにシン チレータ に接続した。 これは、 実験終了後のオフラインデータ処理において、

2個の光電子増倍管からの信号を時間平均することに より時間分解能が向上す るためである。 いま 2本の光電子増倍管の時間分解能が等しく、 かつシンチレ ータ自身の時間分解能が無視できるほど小さ いと仮定する。 誤差の伝播式から、

2本の光電子増倍管からの信号を時間平均して得られ た検出器全体の時間分解 能は、

at~ =-

L

企tD\.r-r

'-',,, ,..1 2 .げ.,

( 3 -5 )

- 33 -

(39)

Incident Proton Energy (Ge V)

0.8

1.5

3.0

表3-1 入射陽子及びπ+中間子の飛行時間 ただし、 飛行距離は20mとする。

Particle Flight Time (ns) Momentum

(GeV/c) Proton Pion

1.46 79.2 67.0

2.25 72.2 66.8

3.82 68.6 66.7

ー34 -

Time Difference (ns)

12.2

5.4

1.9

参照

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