-(](](]
YIELD OF POSITIVE PARTICLES
-と表せ られる。 ここで mA及びmBはそれぞれ粒子A及びBの静止質量であり
mA >mBと する。 式 (3 -2 )及び(3--t)を用いて 、 飛行距離Lが20mで入射陽子エネ ルギーが0.8、 1.5及び3.0GeVのと きのπ+中間子と陽子 それぞれの飛行時間
及びその時間差を表3- 1に示す。 表3-1より、 入射陽子エネルギーが 3.0GeVの とき、 陽子とπ+中間子と の時間差は最も短く その値は1 .9 3 nsと なる。 したが って、 陽子とπ+中間子を 測定回路上で確実に弁別を行うため には、 測定系で の時間分解能がこの1.9 3ns よ り十分に優れている必要 性がある。 つまり、 入 射陽子検出系には時間分 解能の特に 優れた検出器及び測定方法を選択しなけれ
ばな らな い 。
通常優 れた時間分解能が 必要とされるよう な高速タイミング測定では有機系 シンチレータが用いられる。 その中でも 特に設置方法 、 取り扱いや加工の容易 さの点で優 れているプラスティツクシンチレータ が良く用いられる。 検出器の
時間分解 能 はシンチレータとシンチレータに接続した光電子増倍管で決定され るため、 入射陽子 検出系の検出器に は時間分解能の良いプラスティツクシンチ レータと 光電子増 倍管を組み合わせて用意する必要がある。 そこ で今回の実験 では、 入射陽子 検出器 としてビームライン上に4枚のプラスティ ツクシンチレ ータ を設置した。 その内の2枚は厚さ5又は10mmのPi 1 ot-Uシンチレータ で、
図3-1に示す よ う にビ ー ム ライン上のター ゲ ッ トから約2 0m上流にl枚 (Pilot-U-A) 、 ターゲット直前にl枚(Pilot-U-B)設置した。 Pilot-Uは、
プラスチックシンチレータの中でも特に時間分解能に優れているため、 超高速 タイミング測定に用いられる 。 残りの2枚は厚さ5mmのNE102A シ ンチレー タ(NE102A-A,B)であり 、 共にターゲット直前に設置した。 Pilot- Uシン チ レータに は、 光電子増倍管とし て直径2 "の市販品の中で最も時間分解能が優 れていた浜松ホトニクス製H2 .1 3 1を用いた。 また、 NE102Aシンチレータに
は、 H2431に次いで時間分解能が優れているH194 9を用いた。
Pilot-Uについて は、 l枚当り2個の H2431を両覗きの形になるようにシン チレータ に接続した。 これは、 実験終了後のオフラインデータ処理において、
2個の光電子増倍管からの信号を時間平均することに より時間分解能が向上す るためである。 いま 2本の光電子増倍管の時間分解能が等しく、 かつシンチレ ータ自身の時間分解能が無視できるほど小さ いと仮定する。 誤差の伝播式から、
2本の光電子増倍管からの信号を時間平均して得られ た検出器全体の時間分解 能は、
at~ =-
L
企tD\.r-r'-',,, ,..1 2 .げ.,
( 3 -5 )
- 33
-Incident Proton Energy (Ge V)
0.8
1.5
3.0
表3-1 入射陽子及びπ+中間子の飛行時間 ただし、 飛行距離は20mとする。
Particle Flight Time (ns) Momentum
(GeV/c) Proton Pion
1.46 79.2 67.0
2.25 72.2 66.8
3.82 68.6 66.7
ー34
-Time Difference (ns)
12.2
5.4
1.9
で表さ れる。 ここで企tDet及び企tp\πは、 それぞれ検出器の時間分解能及び光電 子増倍管1本当たりの時間分解能を表す。 式(3 - 5 )より、 光電子増倍管が1本 だけの場合 と比較し て、 2本用いた場合では全体の時間分解能が単純に29%改 善されることが分かる。 一方、 入射陽子 の空間的広がりが時間分解能に与える 影響を考え てみる。 π2ビームラインの入射陽子 ビ ームは、 内部標的からの二 次粒子が電磁石によって引き込ま れて得ら れるために空間的に広がり をもって いる。 もし光電子増倍管をPilot-Uシンチレータの片側のみに取り付けた場合、
陽子がシンチレータの光電子増倍管近く に入射するときと、 反対に光電子増倍 管から離れた位置に入射するときとでは、 得られる信号問にかなりの時間差が 生じてしまう。 例えばPilot-Uの大きさが5cmX 5cmである場合、 その時間差 は最大0.15 ns程度となってしまう。 しかし 、 プラスティツクシンチレータの 両側に光電子増倍管 を取り付けた場合、 2つの信号の時間平均 をとること によ って陽子の入射位 置の影響は少なくなり、 結果的には時間分解能の向上に寄与 することになる。 これらの理由から、 Pilot-U に2本の光電子増倍管を設置し、
2つの信号を平均することで時間分解能の向上を図った。
次に実際の測定回路につ いて説明する。 図3-2に示すように、 まずターゲッ トから約20m上流に設 置したPilot-U-A(L) と タ ーゲット直前に設置した Pilot-U-B(R)からの信号をコンスタント ・ フラクシ ョ ン ・ ディスクリミ不一
タ(CF D)にお い てロジック信号に変換する。 なお、 ここでPilot-U-A(L)や Pilot-U-B(R)のように示されているR及びLは、 ターゲットからビームライン
上流を見たときに 光電子増倍管がPilot-U と接続された方向(右、 左)を示し ている。 それぞれのロジック信号は同時計測回路(COINl)に入力する時点 において陽子入射のときのみ同時計測が行われるようにタイミングが調節され ている。 2つのロジック信号がCOIN 1に入力する時点でのタイミングをオシ ロスコープによって観察したときの写真を図3-4に示 す。 写真中で2つある信
号の内、 ーヒがPilot-U-A(L)からの信号で下が Pilot-U-B(R)からの信号である。
このときオシロスコープ上ではPilot-U-A(L)からの信号でトリガーをかけて PilotU-B(R)からの信号を観察している。 図3-4中のPilot-U-B(R)の信号を見 ると、 π+中間子 (左側)と陽子(右側)による信号が 時間的に2つに分かれ ていることが分かる。 図3-4で示されるタイミングでCOIN 1に入力すると、 陽 子が入射したときのみCOIN 1から信号が出よjされる ことになる。 一方、 ター ゲット直前に設置したNEI02A-l、 -2からの信号とPilot-U-A(R)及びPi 1 0 t
U-B(L)からの信号はCOIN 2でひとまず通常の同時計測を行う。 このCOIN 2で の同時計測は補助的なものであり、 入射ピームの大きさをターゲットよりも小
只υつυ
図3・4 入射粒子識別を行うための同時計測のタイミング
上はターゲツトから20m離れて設置したPilot-U-A(L) からの信 号を、 下はターゲット直前に設置したPilot-U-B(R)からの信号 を示している。 20mの距離を飛行するこ とにより、 同じ運動量 のπ+中間子(左側)と陽子(右側)が時間的に2つに分かれて
いることが分かる。
- 36・
さくすることが目的で ある。 そして、 COIN 1及びCOIN 2 からの出力 を、 さら にCOIN 3に入力させて最終的な 同時計測を行っ た。 なおCOIN1、 2及び3では、
時間分解能に優れたPilot-U-B(R)からの入力信号によっ て出力のタイミング
が決まるように した。
COIN 3からは2つのロジック信号が出力される。 一方の出力信号 は入射陽 子数を計数するためにCA Nl ACモジュールの計数回路(SCALER)に入力される。
またもう一方の出力信号は、 ゲ ートジェネレータ(G.G.1)を経由してCOIN-l において中 性子検出器 からの信号と同時計測を行う。 つまり、 陽子がl個ター
ゲットに入射する毎に、 放出中性子のTOF測定 を行うことになる。 以上のよ うに して、 測定回路の段階でπ+中間子 を除去し、 ターゲット に陽子 が入射 し
たときのみ測定を開始するよう設定 した。
3. 2. 3 ビームダンプ
入射ビームのほとんどは、 ターゲット原子核と核反応を起こさないままビー ムダンプに導かれる。 ビームダンプはビーム を完全にストップさせる必要があ るためかなり厚く な らざるを得ないが、 こ こ で注意すべき点は余計な 中性子や γ線 を発生させ、 バックグラウンドの原因とならな いようにすることである。
特に 、 π2ピームラインではターゲットと中性子検出器の間にコリメータを設 置することが困難で あるため、 ビームダンプの設置方法について考慮する必要
があった。
今回の実験で用いたビームダンプは、 図3-5に示さ れるように縦横それぞ、れ 0.5 m、 厚さ1mの黒鉛板を鉄のブロックで囲む構造を してい る。 炭素元素は他 の鉄や鉛等の構造材と比較して中性子及びγ線発生が少ない。 。 また、 図3-5 にあるように、 ビームダンプはターゲット から8.5mの 距離に設置した。 こ の 距離は、 典型的な中性子の飛行距離である1mと比べて かなり長いため、 パッ クグ ラウンドとして混入する中性子 やγ線は無視でき る。
以上のようにビームダンプ を 設置 し、 バ ッ クグラウンド イベントの軽減を図 った。
3. 3 中性子測定系
3. 3. 1 中性子検出器
次に中性子検出系について説明する。 中性子検出器には大きさの異なる2種
- 37
-Beam Dump