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沖縄県のナマコ資源の増養殖に関する研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

沖縄県のナマコ資源の増養殖に関する研究

南, 洋一

https://doi.org/10.15017/1441317

出版情報:九州大学, 2013, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:全文ファイル公表済

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氏 名 :南 洋一

論文題目 :沖縄県のナマコ資源の増養殖に関する研究 区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

現在の沖縄県には、食用ナマコ類に関する漁業調整規則や海区漁業調整委員会指示による禁漁期、

体重制限といった水産資源の持続的な利用に必要とされる漁業管理規則が制定されていない。近年 の中国への大幅な輸出増に伴う無計画な漁獲の継続が天然資源の深刻な減耗をもたらすことが懸念 され、人工養殖や種苗放流などのナマコ資源の増養殖の技術研究、及び、ナマコ漁に関する管理規 則を制定するためのナマコ類の生殖周期の調査研究が急務となっている。本論文の第一章及び第二 章では、熱帯産食用ナマコであるイシナマコとハネジナマコの増養殖技術の確立に必要な、幼生や 稚ナマコの人工飼育下での成長特性について明らかにした。第三章では、沖縄本島北部塩屋漁港周 辺海域におけるハネジナマコの生殖周期を明らかにした。また第四章では、近年、マナマコで新た に確立されたマナマコ神経ホルモンを用いた産卵誘発技術を、ハネジナマコに応用するための基礎 的研究を実施した。

第一章と第二章では、イシナマコとハネジナマコの受精卵を一定密度で飼育し、各々の浮遊幼生 と着底後の稚ナマコの成長過程を解析した。浮遊期の餌料としてChaetoceros gracilisを、着底直 後の餌料として付着珪藻を給餌した。夏期を中心とした同時期の飼育にも関わらず、イシナマコと ハネジナマコの浮遊幼生期間はそれぞれ約50日および約25日であり、種により浮遊幼生期間が大 きく異なることを明らにした。また、ハネジナマコ(平均体重約3.8g)とイシナマコ(平均体重約

5.4g)の稚ナマコを夏期に3ヶ月間継続飼育し成長速度を解析したところ、ハネジナマコは平均日

間増重量290mgで平均体重31.5gに達し、イシナマコは平均日間増重量27mgで平均体重8gに達

した。ハネジナマコはイシナマコに比べて、同一飼育条件下でも高い成長速度を持つことを明らか にした。また、マナマコの放流用種苗稚ナマコの飼育に一般的に用いられている飼料に付着珪藻を 追加することで、より高い成長率が得られることを明らかにした。第三章では、沖縄本島北部塩屋 漁港周辺海域において、ハネジナマコを周年にわたって採捕し生殖腺の発達を解析した。周年を通 しての生殖腺重量指数、卵母細胞の平均直径、卵径毎の卵群分布の変化と、卵巣組織像の光学顕微 鏡観察から、同海域におけるハネジナマコの主な産卵期は、5月から10月であることを明らかにし た。また、体重が600 g以下の個体は性的に未成熟な個体であることを明らかにした。第四章では、

マナマコで明らかにされた産卵誘発活性を持つ神経ホルモン及びそれを用いた産卵誘発技術のハネ ジナマコへの技術移転の可能性を検討した。ハネジナマコの周口神経を含む口器周辺組織には、ハ ネジナマコの卵巣に作用して、卵母細胞の卵成熟を誘起し受精可能な卵細胞へと変化させ排卵させ る生理活性が含まれることを明らかにした。さらに、同活性成分の物理化学的諸性質を解析すると 共に精製を試み、分子量数千程度のポリペプチド性成分であることを明らかにした。

本研究により、熱帯産食用ナマコであるハネジナマコにおいても、マナマコで確立された神経ホ ルモンを用いた産卵誘発技術の確立が可能であること、また、それにより得られた受精卵を用いた 放流用種苗の生産が可能であることを示した。さらに、沖縄本島におけるハネジナマコの主たる産 卵期を特定し、産卵可能な体サイズを明らかにしたことにより、沖縄本島周辺海域におけるハネジ ナマコ漁に係わる管理規則の制定に必須の生理学的指針を設定することを可能とした。

参照

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