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地域振興への商品学の実践

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(1)

地域振興への商品学の実践

──政策提言・実践と特産品開発のケース・スタディ──

川 二 郎

Ⅰ はじめに

Ⅱ 商品学と社会との関わり

Ⅲ 商品学と地域振興との関わり

Ⅳ 地域振興への政策提言と実践ケース・スタディ

Ⅴ 特産品開発(千葉県木更津市)のケース・スタディ

Ⅵ 木更津オリジナル商品の開発

Ⅶ 終わりに

はじめに

商品学が実社会で如何に役割を果たすことが出来るかを検証することは,学問として の理論と実践の整合性を究めるうえで重要である。筆者は,1991年

4

月から

3

年間,

千葉商科大学経済研究所の活動で「千葉県における商品需給構造分析と地域活性化に関 する研究」を統一テーマに共同研究をし,3編の論

1

文を報告した。以来,その研究仮説 理論と分析手法を地域振興において検証するため,地域振興策の企画提案と新規事業の 創出までを目的としたシンポジウムの開催,さらにその後の具体的な新規事業の創出,

地域特産品開発等々の活動を試みてきた。その一部については,日本商品学会関東支部 大

2

会,CUC[View &

3

Vision]等において既に報告している。

本稿では,先ず,商品学の立場から地域振興への政策提言と新規事業の創出・評価の 仮説フレームについて述べた後,それに沿って展開してきたこれまでの地域振興活動内 容を纏める。次に,筆者が実際に起

4

業して試みている千葉県木更津市における特産品開

────────────

1 a)川二郎,山本恭裕,岩城良次郎「経済ソフト化に伴う地域経済活性化のための分析モデルの提 唱」『国府台経済研究』第4号,1991−1992年。

b)川二郎,山本恭裕,岩城良次郎「千葉県における地域活性化に関する研究−地場産業活性化への 提言−」『国府台経済研究』第5号,1993年。

c)川二郎,山本恭裕,岩城良次郎「千葉県君津地域における今後の環境変化及び地域活性化に関す る研究」『国府台経済研究』第6号,1994年。

2 地域振興を図るための政策提言と実践内容として,平成11年度日本商品学会関東部会大会にて「地域 振興への商品学の役割〜かずさツーリズム推進協議会結成までのケース・スタディ」のテーマで報告し た。

3 川二郎「地域振興への政策提言と実践−商品学からのアプローチとケース・スタディ」千葉商科大学

経済研究所,CUC[View & Vision]第11号,2001年,41−47ページ。

4 地域振興シンクタンク(有)クリエイト・スタッフ(創設年:1999年7月)

647)33

(2)

発と販売活動のケース・スタディについて報告する。

商品学と社会との関わり

商品学の社会的役割を検証する場合,商品学の性格と社会との関わり方について触れ ておく必要があるので,商品学の主な定義と性格を以下に示すことにする。

「商品学(Science of merchandise : Warenkunde)は,合理的消費を指標として生産され る物資を,市場流通の「場」において把握し,これを商品としての認識のもとに,主と してその適商性格(merchantability)を研究する学問で(中略)第一に,商品学は,直 接であると,間接であるとを問わず,物資の生産を合理的消費に適合させることを,研 学の指標とすべきものである。(中略)第二に,商品学の対象となるものは,生産・流 通・消費の三過程を通じて,社会を流動するものゆえ,商品学では,この物を市場流通 の「場」においてとらえ,「市場に即した経済的財物」すなわち「商品」としての認識 のもとに,これを斯学の対象とするものである。(中略)第三に,商品は商品商業の客 体であるという現実から,その商品の流通適正すなわち「流通市場における交換・売買

・配給の適正」の究明をもって,商品学の研究対象の中核とするものであ

5

る。」,「商品 学とは,商品の生産,流通,消費の三段階にわたって,社会科学的商学的立場と自然科 学的技術的立場との二方面から商品を研究してゆく学問であ

6

る。」,「商品学は,商品を 対象として,商品が商品としてあるべき形態や,個別の商品が持つ特質を,国民経済の 立場から,研究する学である。(中略)商品学は,商学や経営学の基礎的な分科として の使命をもち,市場にある商品が商品としてどんな資質のものであるべきかを問題にす

7

る。」

筆者はこのような考え方に沿って

30

有余年,商品学の研究教育活動をしてきた。こ れまでを踏まえて,筆者なりに定義すれば,商品学は,産業経済の活動手段や生活手段 の財である「商

8

品を科学(全体あるいは特殊の諸領域または側面に関する系統的認識)

する学問」である。つまり商品学は,商品の生産・流通・消費,さらにリサイクリング といった商品循環経

9

済にわたる極めて広範な領域に関連して,国民経済的視点から商品 を主体にその社会的意味や質的重要性,商品の成立・変化・発展のメカニズム,市場現

────────────

5 上坂酉三『商品学概論』同文館,1970年,28−30ページ。

6 石井頼三・川二郎・中野紘一・山田 修『商品学概論』第三出版,1974年,5ページ。

7 島田記史雄・飯島義郎『商品学講義』青林書院新社,1972年,3ページ。

8 商品を類型化すると物商品,情報商品,サービス商品とに分けることができる。

9 1970年頃から商品の生産・流通・消費と関連して,資源・公害問題に対応する産業や経済社会システ ムが重視される時代となり,同時に消費後の廃棄物処理や製品のリサイクルシステムの構築等が求めら れるに至った。こうした循環型経済社会への移行に伴い,リサイクルの段階において商品価値を付与し て取引される財が多くなったことから,筆者は商品学の対象領域を生産からリサイクルの段階までを含 め,それを商品循環経済とした。

同志社商学 第54巻 第5・6号(2003年3月)

34(648

(3)

消費現象 市場現象 商品現象 人間

商 経済現象 品 コ ン セ プ ト 製

品 コ ン セ プ ト 商

品 特 性

商品 技術

環境

・量価値

・欲

充足形成

象,商品現象,消費現象などを科学する学問であると考えている。商品学は,一般的に

「質の科学」といわれているが,商品に関わる全ての内容が研究対象領域であり,商品 に関わる研究対象領域を「商品」を主体として,「人間(使用者・消費者)」,「技術(ハ ード・ソフト)」,「環境(自然・社会)」等との相互因果関係から攻究する学問であると いえる。

そこで,具体的に商品を主体にして研究する基本フレームとして,筆者は次の考え方 を持っている。物的商品,情報商品,サービス商品のそれぞれの特性は,それぞれの商 品価値形成要因の属性に規定されることになる。それは商品価値形成要因である物的・

量的(モノ)価値形成要因と,非物的な要因である欲求・欲望充足(コト)的価値形成 要因のそれぞれの属性によって商品特性が異なることになり,独自の特性や固有の特徴 を備える商品となる。商品学は,商品の本質を理解し,商品循環経済における商品に係 わる諸問題を科学する方向で研究を発展させることによって,地域経済を支えるに好ま しい産業の振興策を見出すための研究や,企業における新製品開発のためなどにも有効 に活用できる実社会と重要な係わりをもつ学問である。

1

図に商品特性と相関関係要因の研究フレー

10

ムを示したが,このフレームは,商品 コンセプ

11

トの成立・変化・発展のメカニズムの研究といった方向と,それとは逆に,市 場現象,商品現象,消費現象などを解明するために「商品」,「環境」,「技術」の因果関 係要因を追究するといった可逆方向にも研究が可能となるものである。

────────────

10 川二郎「新製品開発に関する商品学的考察」『千葉商大論叢』第23巻代1号,1975年,34−35ペー

ジ。

11 商品価値形成要因である物的・量的(モノ)価値形成要因と,非物的な要因である欲求・欲望充足(コ ト)的価値形成要因を備えた商品から認識できるすべての意味内容をいうもので,詳しくは前掲論文

(10),27−67ページ参照。

第1図 商品特性と相関関係要因の研究フレーム

地域振興への商品学の実践(川) (649)35

(4)

商品学と地域振興との関わり

ここでは地域振興への商品学の役割についての考え方を述べる。地域経済活動の主体 は,「住民」,「産業」,「自治体」であり,その根源となるのは「商品」である。そこに は生産技術,流通技術,販売技術,消費技

12

術などのハードやソフトな技術が密接に関連 している。従って,地域に立地する産業が如何なる特性を有するか,そこで生産される 商品の特性や市場の状況,さらには地域住民の職住環境が如何なる状況にあるか等によ ってまちづくりの内容や地域活性化への方向が大きく左右される。第

2

図は,地域経済 成立の主体である「生活者」,「企業」がハ−ドやソフトな「技術」によって経済財とし ての「商品」を媒体として相互関連し合い「市場」を形成し,これらと「自治体」との 総合的なネットワ−ク形成のもとでシナジ−効果を得ることにより理想の地域経済が成 立するという地域経済成立の仮説モデ

13

ルと,それに対する商品学からのアプローチを示 すものである。

略説すれば,地域活性化への基本的な方向は,地域経済活動の基盤となる産業の整備 とそれを支援するサ−ビス産業の集積および都市機能の整備を図ることにより,新たな ライフスタイル等に対応した多様で高付加価値の商品需給を通して快適な生活環境を創 出し,全体として活力に富み個性豊かな地域経済社会を構築していくことである。その ためには,①地域内での産業の活性化,②地域住民の消費生活の向上,③地域への住民

────────────

12 消費者が自らの価値観,考え方に基づいて商品の選択・使用・消費を実現し得る技術で,次の3つに大 別できる。

①消費者自らのこだわり,価値観にマッチし得る商品コンセプトを持った商品を選択・購入できる知識

・能力。

②購入した商品を使用・消費して機能・性能を実現するために必要な知識・技能。

③消費者自らが消費シーンを演出する能力(創造力・想像力),消費シーンの演出に自ら主体的・積極 的に参加し,楽しむ意欲を発揮する能力。

13 前掲論文注1 a

第2図 地域経済成立の仮説モデル 同志社商学 第54巻 第5・6号(2003年3月)

36(650

(5)

・企業の積極的な関わり合い,④これら全体の調和を図る行政の役割,の

4

つが必須で あり,相互因果関係要因として,「産業」,「地域住民」,「自治体」,「商品」,「技術」,

「市場」の

6

つが挙げられる。これら

6

つの相互因果関係を商品学の立場から研究し,

政策立案と実践を展開することにより,地域経済への商品学の役割を担うことができる ものと考える。

地域振興策の研究から政策実践評価までのプロセスを第

3

図に示す。商品学が地域振 興への役割を果たすためには,地域経済の対象領域に対して活性化への理論・政策・実 践のための仮説を定め,それに必要な情報を収集し,課題解決のための知を創造し,政 策立案と実践する方向でアプローチすることである。理想の地域経済の成立には,「住 民」,「産業」,「行政」の経済主体と「商品」,「技術」,「市場」とを有機的にネットワー キングさせ,シナジー効果を最大に得られるような政策が必要となる。地域振興への商 品学からのアプローチは,先ず,商品循環経済の各段階において,地域がどのような自 然的・社会的資源や環境を背景にして,どのような商品を,どのような産業・企業が,

どのように生産・流通・販売しているか,あるいはリサイクルしているか,さらにそれ らにどのようなハード・ソフトの技術が関与しているか,等々の実態についての調査・

研究を通して,地域特性,産業特性,市場特性,住民生活特性等を明らかにする。次 に,その結果と関連して,前述の

6

つの相互因果関係を追究することにより,地域が経 済的,都市機能的に活力を持つための問題点や課題が明らかになり,政策が導き出され ることになるものと考える。ここで重要なことは,仮に商品循環経済のいずれかの段階 における問題点や課題解決のために,何らかの政策が企てられ,実践された場合,後に

第3図 地域振興策の研究・政策実践評価

地域振興への商品学の実践(川) (651)37

(6)

その対象領域における地域経済成立の因果関係要因に視点を置いて政策の実践評価を行 なうことである。

地域振興への政策提言と実践ケース・スタディ

1998

4

19

日,千葉市幕張の

OVTA(財)海外職業訓練協会で千葉県内の地域振

興を目指す個人・団体や産業界・行政組織・教育機関をネットワーク化し,相互の情報 交換や事業連携等の促進を図る目的で非営利組織の地域振興プロデュサー「NPOこね く

14

と」の設立総会が開かれた。「NPOこねくと」発足準備のメンバーには,柳田公市,

木田直子,岩波初美らと共に筆者も加わり,米国シリコンバレー地域活性化のプロジェ クトとして著名な「JV : SVN(ジョイントベンチャーシリコンバレーネットワー

15

ク)」 を範とした産・官・学・市民の連携と協働作業方式(ジョイントベンチャー方式)を採 ることを原則として会員数約

60

名で設立に至った。

そこで,最初の地域振興事業として,筆者の提案で,千葉県が首都圏の連立自立経済 都市圏の形成を目指して推進している「千葉新産業三角構

16

想」の一角を担うかずさアカ デミアパーク構

17

想の事業が進められている木更津市,君津市,富津市,袖ヶ浦市のかず さ地域を対象にして地域活性化への方策と課題の分析,具体的活性化策の提案に取り組 むことにした。

一般に,地域が自立的な発展を遂げるには,①リーダー(コーディネータ),②組織 づくりとネットワーク,③資金,④個性を活かした地域理念と目標を反映した政策の立 案,⑤政策実践への参加・合意・連帯による協働作業,の

5

つの条件が必須となる。特

────────────

14 特定の問題に取り組む団体とは異なり,地域振興を目指す個人や団体,企業,研究機関,自治体など,

産・官・学・民の「つなぎ役」をして事業を興す非営利組織の団体で,市民起業家として現職市議や弁 護士,大学教授,企業人らが設立メンバーとなっている。

15 1992年,シリコンバレーのリーダーが集まり,地域活性化への取り組みを始めた。1,000人以上の企業 リーダーが非営利組織として法人化し,インフラ,教育,そしてビジネス環境の問題点に取り組み,協 同作業による地域経済の戦略的分析,行動への関心を喚起した。スマートバレー公社は,ビジネス,教 育そして社会のための電子コミュニティの開発・援助するため,Commerce Netは,電子商取引の促進

・援助のため,BAMTA(the Broad Alliance for Multimedia Technology Applications)は,教育,健康,

そしてビジネスにおけるマルチメディア応用を促進するためにそれぞれ形成された。これらの団体は,

プライベート・セクターからほとんどすべての支援・指導をうけた非営利企業連合体である。

16 千葉県は,地域活性化を目的に,21世紀にふさわしい県土をつくるため,1983年に「幕張新都心」,

「かずさアカデミアパーク」,「成田国際空港都市」の3つのプロジェクトを策定した。それは先端技術 産業を導入するための基礎条件として「科学・教育」,「研究開発」,国際物流」の3機能に着目し,こ れらの機能を新しい道路体系によって三角形に結ばれる3つの核都市,千葉市,木更津市,成田市を中 心に集積を図ることで,千葉自立都市圏と業務核都市の形成を目指している。

17 かずさアカデミアパーク構想の目的は,「東京湾横断道路,東関東自動車道館山線等の建設により,首 都圏の中枢機能及び成田,羽田両空港へのアクセスが飛躍的に向上することによって大きな発展可能性 を有することとなる上総丘陵に,首都圏における新しい国際的水準の研究開発の拠点形成を進めると共 に,自然と調和した高次複合機能を有する南房総の中核都市を目指す」として平成3年に整備が開始さ れた。計画期間は約30年間で,概ね10年を単位として「胎動期」,「発展期」,「成熟期」の3期に区分 し,段階的に整備を進めている。

同志社商学 第54巻 第5・6号(2003年3月)

38(652

(7)

にバブル崩壊後の経済の先行き不透明な時代,ましてや地方分権社会が進む中での地域 づくりは,これらの条件を地域における産・官・学・民が参加・合意・連携の協働によ って如何にクリアするかが重要な課題である。

筆者は,この理念に沿って,「かずさの地域振興を考える産・官・学・民シンポジウ ム〜かずさの自立地域社会を目指す産業・情報システムの創造〜」を企画・提案するこ とにした。

このシンポジウムでは,地域づくりの

5

つの条件を効果的に達成するために,第

4

図 に示したプロセスに沿って,企画から新事業の創出までの活動を展開することにした。

シンポジウム企画から新事業創出・事業化までを目指すために,前述の

5

つの条件を 次のように位置づけた。

① リーダー(コーディネータ):「NPOこねくと」

② 組織づくりとネットワーク:産・官・学・民で組織する実行委員会

③ 資金:産・官・学・民からの賛助金,協賛金,会費,寄付金等

④ 個性を活かした地域理念と目標を反映した政策の立案:地域特性の事前研究とそ れに基づくシンポジウムでの政策提言

⑤ 政策実践への参加・合意・連帯による協働作業:事業化のための産・官・学・民 の研究会組織の結成と政策の実践活動

1.かずさ地域への地域振興政策の提言に関する研究

新規産業創出の提言をするに至った環境変化の著しいかずさの地域特性研究について 述べると以下の通りである。

(1)かずさ地域の環境変化と課題

千葉県は,「さわやかハートちば

5

か年計画

1991

年度〜1995年度」の中で,業務核 都市として千葉業務核都市,成田業務核都市,木更津業務核都市,東葛飾北部地域業務 核都市等の整備を進め,それぞれの地域特性を活かし,業務機能等高次の都市機能を集

第4図 シンポジウム企画から事業創出・評価のプロセス

地域振興への商品学の実践(川) (653)39

(8)

積し,首都圏の多核多圏域地域構造の形成を図ろうとしている。かずさアカデミアパー クが立地している木更津市周辺地域は,成田新東京国際空港,東京湾アクアライン,東 関東自動車道路,また計画中の首都圏中央自動車道路等の交通拠点性を活かした国際的 物流,業務核都市管理および商業サービス機能の集積の促進を図ると共に,大都市の有 する知識・情報の集積等に依存する工業生産機能,研究開発機能の展開を図るとして位 置付けられている。このように木更津市周辺のかずさ地域は,今後地域特性を積極的に 活用し,自然環境と都市サービス機能の共有によるアメニティにあふれた環境づくりを 基礎に,創造的研究開発,業務機能および国内各地間や世界に直結したヒト・モノ・情 報・文化・技術の交流機能を活発化させ,千葉南地域の中核であると共に東京湾臨海部 の要の業務核都

18

市をめざして発展が期待されている。

かずさアカデミアパークには,既に

DNA

研究所(平成

6

年開所),会議場を中心と するアカデミアホール(平成

9

年オープン),賃貸式の研究開発施設・インキュベーシ ョンセンター(平成

11

年オープン)などの各施設の他,三菱東京製薬(株)が民間研 究所第

1

号として開所(平成

10

年)している。平成

3

年頃は,民間研究所等の立地候 補企業が

9

社あったが,バブル崩壊等,不況のあおりを受けて計画変更を余儀なくされ てい

19

る。また,DNA 研究分野の裾野が見えにくい段階にあること,リサーチパークに 相応しい大学や学術機関がないことなどの問題等で発展しにくい地域の状況にあるとい える。その意味ではこの地域は,低迷の地域と,バイオ(DNA)の裾野の見えない闇 から脱出して世界最先端技術発信地として発展する地域とが交錯している段階にあると いえる。

他方,木更津市,君津市,富津市,袖ヶ浦市の

4

市では,住民の通勤圏,通学圏,買 い物圏が行政区域を越えて交流し合い,4市住民約

30

万人の内,8〜9割の職住が

4

市 域内となっており,4市で一つの生活経済圏が成立している状況にある。また産業特性 を見ると,商業は,木更津市と君津市が,工業は,袖ヶ浦市と君津市がそれぞれ盛んで ある。漁業は,木更津市と富津市で営まれ,農業は,4市でそれぞれ営まれている。し かし,これら

4

市では,経済社会や地域環境の変化に伴って多くの課題が見出されるよ うになった。たとえば,今後の高度情報化社会,資源循環型社会に対応して,情報通信

────────────

18 木更津業務核都市は,業務施設集積地をアカデミアパーク地区(木更津市矢那,草敷,君津市長石等)

と木更津都心地区(中央,富士見,東中央等)の2地区を設定すると共に,これと補完連携する複合機 能拠点を形成する。アカデミアパーク地区は,研究開発機能,研究開発型生産機能の集積地区として,

都心地区は,商業機能,文化機能,レクリエーション機能の集積地区として総合的,計画的な整備促進 を図ると共に,東京湾アクアラインの建設に伴い千葉県の新たな玄関口となる金田地区を業務,商業,

居住等の複合機能拠点としての整備が計画されている。

19 現時点では富士通(株),佐藤製薬(株)が新たに立地決定企業となっているものの,DNA研究所周辺 の民間企業の研究・工業用地149ヘクタールへの企業進出は順調とはいえない状況にある。また,DNA 研究所では,ラン藻のゲノム解析の成功(平成8年),シロイヌナズナ,根粒菌のゲノムをそれぞれ解 読(平成12年)している。しかし,DNA研究の応用部門の遅れや企業誘致の沈滞,さらにはDNA研 究の食糧・環境問題へ応用に対する倫理問題等,大きな課題が山積している。

同志社商学 第54巻 第5・6号(2003年3月)

40(654

(9)

関連産業,資源リサイクル産業の整備促進,また,アカデミアパーク構想,木更津業務 核都市構想などに対応して,産業基盤や生活基盤の整備促進を図り,経済的・社会的自 立性の高い地域づくりが求められている。また,アクアラインの開通で,接岸地である かずさ地域では,通過地点となる傾向を示していることから,集客力を高めるために自 然・歴史・文化資源などを活かした農業の高付加価値化や観光業の振興とその波及効果 を高める商業の活性化などへの取り組みが課題とされている。

このように,かずさ地域は最近の

10

年間で急速な環境変化が起きており,それに対 応した地域の見直しと産業基盤整備,生活基盤整備を進め,海外や東西日本の中央に位 置するに相応しい地域としての役割機能を備えることが求められている。このような方 向で,かずさ地域が自立した地域社会を形成するためには,先ず,地域にストックされ ている自然的・産業的資源を活かしながら短期的に取り組み可能で,かつ経済的波及効 果の高い産業振興策を進めることである。かずさ地域は,国際的研究都市,業務核都 市,観光・リゾート都市などが複合したアーバンリゾートとして自立性の高い地域へと 発展する可能性がある。

(2)かずさ地域の産業特性

木更津市,君津市,富津市,袖ヶ浦市のそれぞれ農業,商業,工業の特性について概 説する(第

1

表)。木更津市は,商業としての地域特性があり,1997年の年間販売額で は,東京ディズニーランドを擁する浦安市に次いで県内

8

位の地位にある。木更津市の 財政指数は,0.848で近隣市に比べても低い。県内には

80

市町村があるが,その中で

19

位となっている。君津市は,4市で一番の広い面積をもち,農業と林業地域としての特 色を持つ。また,約

30

年前に新日本製鉄君津製鉄所が立地して以来,工業製品出荷額 が伸びてきている。97年では,5,830億円の工業製品出荷額である。しかし,石油化学 工業を中心に工業製品出荷額で県内

1

位の市原市とはかなりの格差がある。富津市は,

農業,商業,工業が共に低迷している。しかし,4市の中でも面積は

2

番目に広いし,

海岸線のリゾートエリヤと内陸の緑の自然環境をもつので,今後は観光産業の面で期待 が持てる。また,現在は,富津地区工業団地が分譲中でもあり,工業面での発展が期待 される。袖ヶ浦市は,人口は約

5

9

千人,面積は約

95

平方キロメートルで,4市で は下位に位置するものの,農業の地位は県内

17

位である。特に,人口と面積からみて,

工業製品出荷額が県内

4

位を占めていることが注目される。袖ヶ浦市は,財政指数が

1.335

で,県内でも

3

位を占めている。したがって

4

市で一番安定した自治体経営が営

まれている。

4

市全体の産業の状況は,人口の集中している千葉市,船橋市,松戸市,市川市,柏 市と比べて,商業の面では格差が大きい。同様に,工業面で比較すると,袖ヶ浦市,君 津市は共に松戸市,市川市,柏市と対等の位置にある。かずさ地域の活性化に波及効果

地域振興への商品学の実践(川) (655)41

(10)

をより高めさせるために袖ヶ浦市と君津市 の化学工業的産業資源の高度化や応用技術 の開発が期待される。この地域に立地する 新日本製鉄や三井化学などの企業では,全 国各地に分散していた研究所が統合してセ ンター化しつつある。 他方,今後の情報化・高齢化社会や環境 共生型社会に重要に関わる情報サービス・ 調査業,医療,教育,廃棄物処理業につい ての調査結果を示す。

1991

年から

1996

年 までの

4

市の事業所数の増加数を示すと, 第

2

表の通りである。 情報サービス業については,ソフトウエ ア業,情報処理・提供業を中心に木更津 市,君津市に各

4

から

5

事業所があるだけ で,富津市,袖ヶ浦市にはほとんどない。 廃棄物処理業については,四市に平均的 に立地しており,中でも富津市,木更津市 の

5

年間の増加率が高い。

1996

年の各市 の処理事業所数の内訳は,木更津市は一般

12

,産業

3

,君津市は一般

10

,産業

0

,富 津市は一般

8

,産業

2

,袖ヶ浦市は一般

8

, 産業

4

である。四市合計でみると,一般

38

,産業

9

,総計

47

事業所となっている。 また,これら

47

事業所における総就業者 数は,

763

人で,事業所平均約

16

人で, 極めて零細的企業が多いことが伺える。 医療については,木更津市における事業 所数が圧倒的に多い。しかし,君津市,富 津市,袖ヶ浦市は

5

年間で順調に増加して いる。事業所は,多い順に一般診療所,歯 科診療所,病院である。 教育については,木更津市の微増以外は 変化が見られない。各市とも小中高等学

1 県内の主な自治体の概要

自治体名

2000年度予算 財政力指数 農業(98年) 商業(977. 1) 工業(977. 1)

9912. 31 平方キロ

メートル 順位 (一般会計)

千円 順位 97年〜

99 順位 農家数 年間粗生

産百万円 順位 商店数 年間販売額

百万円 順位 事業所 製造品出荷額 百万円 順位 千 葉 市

船 橋 市 松 戸 市 市 川 市 浦 安 市 成 田 市 市 原 市 木更津市 君 津 市 富 津 市 袖ヶ浦市

865,853 545,662 460,889 436,944 323,741 127,321 94,308 280,441 123,081 93,649 54,569 59,203

272.1 85.68 61.33 57.44 72.91 17.3 131.3 368.2 138.7 318.8 205.2 94.92

3 16 26 28 21 78 7 1 6 2 4 13

336,830,644 135,241,892 109,216,000 103,161,249 84,711,842 44,153,000 40,190,000 81,632,100 32,410,532 27,232,000 15,270,000 20,500,000

1 2 3 4 5 7 9 6 14 16 25 20

0.98 1.066 0.902 1.021 0.972 1.407 1.531 1.196 0.848 1.064 0.957 1.335

8 5 14 7 9 2 1 4 19 6 10 3

3,747 1,544 1,237 827 1,463 0 1,944 6,623 2,584 3,799 2,563 1,875

15,539 11,485 8,928 5,067 7,968 0 6,367 15,627 7,048 11,284 6,220 9,400

4 8 19 41 22 80 33 3 25 11 34 17

8,864 5,046 4,058 4,009 2,605 1,034 1,340 1,459 1,526 904 717 408

457,970,072 132,290,872 80,965,032 73,412,492 80,565,153 40,997,772 29,033,140 44,913,343 33,724,231 15,798,645 6,410,629 6,618,857

1 2 3 5 4 7 11 6 8 18 32 31

750 556 650 543 415 154 117 385 147 116 122 111

1,003,660 661,057 490,409 490,949 408,712 108,060 227,889 2,799,916 304,792 582,936 78,901 602,845

2 3 8 7 10 19 15 1 12 6 21 4

「千葉県統計年鑑(2001年)」より作成

同志社商学第54巻第5・6号(2003年3月)42(656

(11)

校,幼稚園等や,図書館,公民館等の社会教育を中心としたもので,大学,専修学校等 の事業所が少ない。

(3)かずさ地域の生活経済特性

木更津市,君津市,富津市,袖ヶ浦市の四市における就業者の流動状況(第

3

表)を 見ると,各市毎に市内地域を越えて四市一体の圏域を形成し,生活経済圏が四市で一つ となっていることがわかる。

1995

年(H. 7年)の場合,地元で就業する人の割合は,木更津市

66.70%(1990

69.5%)

,君 津 市

67.05%(同 66.7%)

,富 津 市

73.73%(同 80.7%)

,袖 ヶ 浦 市

57.56%

(同

62.0%)と各市とも 50% を超えているが,君津市を除いた 3

市は共に

5

年前に比べ

第2表 かずさ4市における主な事業所数 (増加率%)

情報サービス 廃棄物処理業 医 療 教 育

H. 8 H. 3 増加率 H. 8 H. 3 増加率 H. 8 H. 3 増加率 H. 8 H. 3 増加率 木更津市

君 津 市 富 津 市 袖ヶ浦市

9 5

− 9 6

−16.7

− 15 10 10 12

11 9 6 10

36.4 11.1 66.7 20.2

159 91 55 46

156 71 46 40

1.9 28.2 19.6 15.0

82 55 38 28

80 55 38 28

2.5

(「千葉県市町村統計」より作成)

第3表 かずさ地域を中心とした就業者(15歳以上)の流動状況(1995年)

( )内は%

就業地 木更津市 君津市 富津市 袖ヶ浦市 4市計 就業者

就業地 57,933 47,356 23,354 26,235 154,878

木更津市 君 津 市 富 津 市 袖ヶ浦市

38,640

(66.70)% 6,778

(11.70)% 3,503

(6.05)% 3,290

(5.68)%

7,844

(16.56)% 31,751

(67.05)% 4,550

(9.61)% 773

(1.63)%

1,411

(6.04)% 2,932

(12.55)% 17,219

(73.73)% 237

(1.01)%

3,810

(14.52)% 1,320

(5.03)% 584

(2.23)% 15,102

(57.56)%

51,705

(33.38)% 42,781

(27.62)% 25,856

(16.69)% 19,402

(12.53)%

4 市 計 52,211

(90.12)%

44,918

(94.85)%

21,799

(93.34)%

20,816

(79.34)%

139,744

(90.23)% 市 原 市

千 葉 市 東 京 都 そ の 他

1,683

(2.91)% 1,195

(2.06)% 314

(0.54)% 2,530

(4.37)%

467

(0.99)% 301

(0.64)% 153

(0.32)% 1,517

(3.20)%

210

(0.90)% 184

(0.79)% 116

(0.50)% 1,045

(4.47)%

3,575

(13.63)% 639

(2.44)% 192

(0.73)% 1,013

(3.86)%

5,935

(3.83)% 2,319

(1.50)% 775

(0.50)% 6,105

(3.94)% 出所:「国勢調査報告」総務庁統計局

地域振興への商品学の実践(川) (657)43

(12)

て地元就業率が低下傾向を示している。近隣他市への流出・流入率を見ると,木更津市 から君津市へは

11.70%(同 11.1%)

,君津市から木更津 市 へ は

16.56%(同 12.6%)

, 富津市から君津市へは

12.55%(同 8.5%)

,木更津市へは

6.04%(同 4.3%)

,袖ヶ浦市 から木更津市へは

14.52%(同 13.0%)

,特に市原市へは

13.63%(同 13.9%)と多くな

っている。このように各市とも地元を中心にして近隣の

2

市または

3

市で通勤圏が形成 されていることがわかる。しかも

5

年前と比較すると,地元から近隣市への流出傾向が 見られる。これらの就業の流動は,アクアラインの完成により川崎,横浜方面にも拡大 することが予測される。

他方,就学者の通学の場合(第

4

表),流動状況は就業者とほぼ同様の傾向を示して いる。木更津市へ通学する人の流動状況は,地元の木更津市から

55.57%,君津市から

27.30%,富津市から 25.29%,袖ヶ浦市から 22.80% になっている。このように木更津

市への流動傾向が多い理由は,木更津市に高校が多く,大学もあることによるものであ る。各市の就学者の通学先は,共に四市へ集中し,特に木更津市,君津市,富津市が共 に

7

割強を占めており,この地域内で通学圏が形成されている。その点,袖ヶ浦市につ いては,他市へ

5

割強,市原市,千葉市,東京などへの通学が約

4

割を占め,他市との 異なった傾向にある。その理由として,市原市,千葉市が袖ヶ浦市との近接しているこ とと,高校,大学の立地条件に恵まれていることが挙げられる。

就業者,通学者全体の流動は,4市相互に就業者・就学者の流動が活発化してきてお り,四市毎の市内地域を越えて,四市一体の方向に変化し,一つの圏域を形成している ことがわかる。しかしその傾向の中で,袖ヶ浦市,市原市については他の

3

市に比べて 千葉市,東京都への通学地の比率が高い。

東京湾アクアラインの開通とそれに伴う高速バスの運行開始など,神奈川・東京都の 近接性が高まったことにより,今後この傾向は徐々に変化することも考えられる。これ らの生活環境データは,今後かずさ地域での人口流出問題の解決や地元就業の場の確

第4表 かずさ地域を中心とした通学者(15歳以上)の流動状況(1995年)

通学者

通学地 木更津市 君津市 富津市 袖ヶ浦市

木 更 津 市 君 津 市 富 津 市 袖 ヶ 浦 市

4 市 計

市 原 市 千 葉 市 東 京 都 そ の 他

55.57%

9.63%

3.91%

4.80%

73.91%

4.55%

6.43%

7.65%

7.46%

27.30%

35.57%

8.12%

5.27%

76.26%

3.59%

6.46%

6.71%

6.98%

25.29%

9.53%

38.23%

3.58%

76.63%

2.31%

5.99%

5.61%

9.46%

22.80%

9.35%

1.39%

19.87%

53.41%

15.04%

11.96%

10.00%

9.60%

出所:「国勢調査報告」総務庁統計局

同志社商学 第54巻 第5・6号(2003年3月)

44(658

(13)

保,ハイテク産業の集積に伴う研究者やその家族の生活環境や教育環境の受け皿づくり に重要な検討資料となる。例えば,かずさアカデミアパークがサイエンスパークとして 近隣のハイテク産業と共に発展していくための教育環境の現状を鑑みると,必ずしも質 的・規模的内容が将来のかずさ地域の研究者や企業人を育成するに相応しいものとは言 いがたいものがある。

(4)かずさ地域の活性化の課題

今後のかずさ地域が様々な波及効果を及ぼし得るような社会的重要な地域としての役 割機能を備えるためには,かずさ地域(木更津市,君津市,富津市,袖ヶ浦市)を一つ の地域として捉える必要がある。そして各市の生活,産業,行政の経済主体間で,活性 化に必要なヒト・モノ・情報・産業・技術などの面でネットワーク化することが当面の 課題とされる。ネットワーク化では,地元地域内,県内,国内外の広域で地域資源を時 には共有し合いながら,最大限に活用することが重要である。

当面の重要な課題は,かずさの地域特性を基盤として活性化に不可欠な都市機能作り の明確化とネットワーク化である。その主な都市機能とネットワーク化には,次のよう なものが挙げられよう。

① 産業機能のネットワーク化

社会には多様なニーズが存在するが,それに応える技術がなかったり,技術的対応の 可能性が不明でニーズが顕在化しない分野が多い。そのような問題を解決するのがニュ ーフロンティア技術で,その代表的分野がバイオテクノロジーを中心とするライフサイ エンスと情報通信分野である。これらは世界に先駆けて開発することで

21

世紀のリー ディング産業分野を創出することができる。かずさアカデミアパークにおけるライフサ イエンスは,ヒトゲノム(人間の全遺伝情報)の解析による遺伝子診断技術,遺伝子治 療,遺伝子組み換えやクローン技術を利用した新規医薬の開発分野への応用が挙げられ る。また,バイオテクノロジーを応用した農業・食品分野での遺伝子組み換え植物工場 などの普及も期待されている。他方,情報通信分野では,人工知能機能を備えた情報家 電,大容量の次世代記憶媒体・装置,次世代携帯情報通信機器の開発などが考えられ る。

かずさアカデミアパーク(DNA 研究所)を中心としたバイオ関連の「研究開発創造 型産業」の集積が進めば,そこでの成果を新たな商品化やビジネス化するために,隣接 して立地されてくる試験生産工場や,国内外の量産工場とネットワーク化し,ハード・

ソフト産業を支える重要な知的産業集積地としての役割機能が求められる。産業機能の ネットワーク化では,技術や情報の共有とロジスティック機能の整備充実が重要とな る。

DNA

に関する研究は,世界各国で進められ,かつその情報は

IT

産業の進展に伴い

地域振興への商品学の実践(川) (659)45

(14)

世界的に共有される傾向にあり,また,応用技術としてのバイオ技術は,医薬品・農業

・工業を初め,産業横断的であることから,アカデミアパークへの産業集積は,DNA 基礎研究と医薬品産業,農水産業などのバイオ関連産業との裾野をどう捉えるか,同じ 地域への産業立地のメリットや採算性等を十分に検討する必要がある。

② 地域ネットワーク化とヒューマンネットワーク化

かずさ地域が豊富に持つ「自然・歴史・文化・レジャー・観光資源」に関連する産業 分野にとっては,アクアライン開通によって東京,神奈川等,首都圏との交流が高ま り,今後のレジャー・福祉社会,さらに高齢化社会に向けて,観光客や高齢者の居住地 などとしての受け入れ作りが重要となる。したがって,かずさ地域としてはそれに有効 かつ効果的に応えることのできるヒト・モノ・情報・文化の交流地域としての役割機能 が求められる。例えば,中心市街地の商業と郊外の観光農業やマリーン・リゾートなど を有機的に連携するアーバンリゾート地域としての役割機能が求められる。1999年

7

月には木更津市は千葉市,成田市に次いで国際会議観光都市として認定されていること から,今後も国際会議や国際観光都市としての機能を十分に発揮することが期待され る。

③ コミュニティ・ネットワーク化と情報ネットワーク化(生活機能のネットワーク化)

情報化社会,国際化社会,環境共生型社会,資源循環型社会,サービス・福祉社会 等々,現代の生活社会で求められている様々なニーズに対して,かずさ地域として高度 に応えることのできる職・住・学・遊の生活機能を備えた都市に相応しいコミュニティ

・ネットワークを構築することが重要となる。同時にコミュニティ・ネットワークを支 える地域内の生活支援産業(教育,医療,住宅,資源循環産業など)のネットワーク化 を図ることによって新たな時代に向けての自立的社会システムの構築が課題とされる。

最近のような情報の分散化と共有化が著しい時代にあってはこのようなコミュニティ・

ネットワーク化や生活支援産業のネットワーク化には,ITを駆使した地域情報ネット ワークの構築が不可欠である。

④ 知的ネットワーク化

未来のかずさの地域社会で活躍する研究者や地元人材の育成に応えるため,各種教育 機関の質的・規模的に充実した地域としての役割機能が求められる。特に,かずさアカ デミアパークの

DNA

研究所を中心に地域周辺に集積が期待されている知的創造型産業 に対応するためのインキュベーション機能の充実が求められる。今後のハイテク産業の 集積と情報化,国際化,高齢化の社会が進む中で地元で活躍する人材の育成には,初等 中等教育から大学・大学院大学,企業人大学などの高等教育機関に至るまでの知的イン フラ(COE : center of excellent)の整備が不可欠である。例えば,富津市に新日本製鉄 総合技術開発センターがある。そのセンターには,合計

1,240

人のスタッフがいる。そ

同志社商学 第54巻 第5・6号(2003年3月)

46(660

(15)

のうち研究者が約

400

人,エンジニアーが

250

人で,殆どが単身赴任である。その理由 として,研究者の生活環境や子供の教育施設環境の面においてニーズを満たす状況にな いことが挙げられる。また,袖ヶ浦市には,全国各地に分散している三井化学の研究所 が統合される予定である。企業においては,分散した研究所を一箇所に集約してセンタ ーを作るといったような形で知的ネットワーク化が行なわれている。

バイオを中心としたサイエンスパークとして発展が期待されるかずさ地域の将来のた めには,産・官・学が有機的に国際的交流・連携システムを構築して新たな知的ネット ワークを創出するための課題解決に取り組まなければならない。

⑤ 行政ネットワーク化

かずさ地域には,4市で広域的に運営している自治体事業として,教育行政の他に,

医療事業,広域水道事業,上総クリーンシステム(ごみ処理施設)などがある。しか し,かずさ周辺の各市の街づくりマスタープランにみられる事業計画の中には,かずさ 地域の活性化を意図した各市連携の大事業は殆ど見られない。このような状況下では

4

市として有効に機能する都市として大きく発展させる政策を企画しようとしても,これ までの行政システムでは限界が生じる。かずさアカデミアパーク構想,木更津業務核都 市構想が計画推進されているかずさ地域の活性化への課題の中には,産業面,教育面,

医療・福祉面,その他前述のネットワーク化に関する課題などにおいて,各市で分担で きるもの,補完し合えるもの,共同事業化すべきものがあり,活性化への行政面での見 直しが必要である。

広域行政または合併などの官官ネットワーク化による自治体経営資源の共有化とハー ド施設の共同整備・共同使用等による行政の革進が課題とされる。今後の

4

市自治体間 では,広域連合制度,中核市制度を如何に活用するかが課題とされる。

⑥ 産・官・学・民ネットワーク化の地域づくり

産・官・学・民の参加・連携・協働の理念に基づいて,相互にネットワーク化するこ とによって,かずさ地域における街づくりプラットホームの創出が可能となる。これら を実現の方向へ近づけるためには,かずさ地域における産・官・学・民のそれぞれが活 力ある地域づくりの意義と重要性を認識し,相互に連携を強化し,都市開発の新たな発 想の展開と強力なリーダーシップを発揮する核となる地域プラットホームを構築するこ とが重要な課題である。

産・官・学・民の相互がネットワーク化すべき内容は次のものが挙げられる。

)産:ヒト・モノ・カネ・情報・技術の移転と共有,学との共同研究開発,公共事 業との連携等。

)官:ヒト・モノ・カネ・情報・技術の共有,自治体経営,市民サービス,起業支 援,産業振興支援,学との連携,ネットワーク化に必要な新たな制度や規制

地域振興への商品学の実践(川) (661)47

(16)

緩和等。

)学:起業家育成,人材派遣,技術の移転と共有,民間企業と連携した研究開発の 推進,自治体事業との連携等。

)民:街づくり事業への参加・合意・連携と評価,公共サービスへの意見・提案 等。

(5)かずさアカデミアパークのサイエンスパークとしての特性に基づく活性化の課題

① サイエンスパークの発展には,近接地に基幹的研究所と研究大学の存在が不可欠 である。

サイエンスパークの基本コンセプトは,優秀な研究機関を持つ大学が生み出す基 礎研究の成果を応用研究と開発研究を経て具体化することにある。スタンフオード 大学との関連でスタンフォード・リサーチパークが

1951

年に建設され,シリコン バレーを生み出した例は良く知られている。したがって,これまでのサイエンスパ ークは,研究大学の周辺に自然発生的に,或いは計画的に発生している。かずさア カデミアパークの場合,DNA研究所が基幹的研究所となり,週辺には基礎研究を 応用研究から開発研究へ,さらに事業化へ繋げるための研究開発創造型の企業集積 を計画している。しかし,アカデミアパーク周辺地域には,研究大学や企業人大学 のような施設がない。この地域には,特にバイオテクノロジーや

IT

に関係した研 究大学の設置または国内外のハイテク研究教育機関との連携大学の設置をすること が課題であり,そうしたことが地域アイデンティティを高めることになり,地域活 性化の大きな原動力ともなる。当面の急務とされるのはサイエンスパークの将来を 左右する研究大学のような施設立地の決め手となる方策を見出すことである。

② サイエンスパークは,高度な教育研究機能の他に,基礎研究を応用研究から開発 研究を経て具体的に事業化を実現できる産業機能までを集積することが課題とされ る。産業集積が進まない原因は,経済の低迷もあるが,DNA 技術が未だ産業分野 の裾野を捉えにくい状況にあるともいえる。

③ サイエンスパークには,企業人,研究者等が多く居住するようになる。また,外 国からの研究者の交流も高まるので,居住,商業,各種業務,文化的サービス機能 等のほかに交流機能を充実させるための計画的都市機能開発をすることが重要な課 題である。

④ サイエンスパークを形成する

city concept

は,基幹研究所,教育研究機関,生活 機能,産業機能,交通機能などの都市機能が相互に有機的機能連携がなされること が最も重要課題である。これらの複合機能を高度に満たす

city concept

が業務核都 市である。city conceptの見直しと環境変化への新たな対応が重要である。

同志社商学 第54巻 第5・6号(2003年3月)

48(662

(17)

2.地域振興シンポジウムの企画から活性化政策の提言まで

(1)シンポジウム企画・開催の理念と目的

かずさ地域での「地域振興策のモデル」としてシンポジウムを企画提案する際の重要 な理念・目的は,とかく提言のみに留まりがちでワンディイベントの域を脱しないよう な一般的なシンポジウムとはしないで,このシンポジウムでは活性化策の議論・提言 と,次いで,その提言に基づいて具体的な事業化に向けての産・官・学・民の参加と連 携による協働作業を進めるためのワーキンググループ結成を提案することである。そし て最終目的は,地域振興に貢献し得るような新規産業の創出と事業化を実現させるまで の目に見えた成果を挙げるためのコーディネートを意図したものである。

(2)実行委員会の結成

平成

10

10

28

日,かずさアカデミアホールにて「NPOこねくと」の提案による

「地域振興を考える産・官・学・民シンポジウム」の第

1

回準備委員会が開かれ,自治 体,商・工・農関係団体,民間企業,市民など約

60

人の準備委員が参集して実行委員 会を発足,企画提案者の筆者が委員長に選任された。準備委員会では,来賓の浜田靖一 代議士や関東通産局の久野美和子政策課長が住民全体の地域づくりに向けた第一歩を評 価しながら,継続的な活動の広がりに期待が寄せられ

20

た。

(3)シンポジウムの概要と共催・後援機関

① 概要

平成

11

2

6

日午後

1

時,かずさアカデミアホールで約

800

人が参加して,かず さの自立地域社会を目指す産業・情報システムの創造をサブテーマにシンポジウムの開 会式が行なわれ,実行委員長から,かずさの環境変化に対応するためには産業基盤,生 活環境整備が早急の課題であり,そのためにシンポジウムでは基調講演,具体的振興策 を提言し議論することを通して新たな研究開発グループの発足を提起するという開催趣 旨を説明した。続いて,沼田武千葉県知事や須田勝勇木更津市長の挨拶があり,産・官

・学・民が一体で地域づくりに取り組むことに強く賛同した。特に沼田県知事の挨拶の 中では,「このたび,本地域の自治体,産業界,学術・教育機関,市民の皆様等が一堂 に会し,地域振興策についての情報交換や提案を行なうシンポジウムが開催されたこと は,21世紀型の地域づくりへの先鞭をつける,非常に意義深いことである」とシンポ ジウムの理念・目的を高く評価している。

② 共催・後援機関

シンポジウムの共催者は,NPOこねくと,(財)広域関東圏産業活性化センター,

(株)かずさアカデミアパーク,神奈川異業種グループ連絡会議の他

11

団体,そして後 援機関として,自治省,通商産業省関東通商産業局,地域振興整備公団,雇用促進事業

────────────

20 新千葉新聞,平成10年10月30日掲載記事より。

地域振興への商品学の実践(川) (663)49

(18)

団千葉雇用センター,千葉県,木更津市,君津市,富津市,袖ヶ浦市および各市の教育 委員会・商工・観光関係団体,日本商品学会,千葉大学,千葉商科大学,千葉工業大 学,東邦大学,清和大学の他,業界団体,民間企業,市民団体等,合計

77

の産・官・

学・民の参加と連携で開催した。

(4)基調講演

加藤寛・千葉商科大学学長が,「未来の地域社会を創造するための政策・情報教育」

と題して,自ら東京湾横断道路開発計画の第

1

回開発検討委員会委員長であった昭和

45

21

年当時の東京湾横断道路の開発構想は,日本列島改造論の中で出てきた構想で,当時 は産業発展道路としての計画ではなかったが,その後,東京圏の地価の高騰,都市機能 の一極集中時代から,土地価格の低下による生活などの都心回帰へといった時代の変化 してきた背景や,都市計画の変化で千葉を国際的,産業的にも発展させる方向と,人々 が生活する方向へ計画が変化してきた背景等,現在の東京湾アクアライン計画までの経 緯に触れた。続いて国際化,情報化,高齢化社会へ向けて千葉県,とりわけ君津地域・

かずさが発展する潜在的可能性について実態を示しながら,優れた頭脳を集約した知の 創造の重要性,情報ネットワーキングの大切さを次のように説いた。千葉県は,半島性 の地理的条件からどちらかと言えば産業整備が臨海地における素材型産業を中心とした 従来型の産業整備に留まりがちであったといえる。今後は日本の苦しくなった産業,例 えば,地価や人件費の高騰などで量産工場のアジアへの空洞化に対応して,新たな知を 創造するソフト産業の集積をさせる方向で発展させることが必要になる。かずさには

DNA

研究所があり,情報やバイオの関連産業の発展する可能性を高めている。情報を 収集して,それを世の中に役立つ情報として提供する人材,つまり情報エキスパートを 育成することが重要である。また,一次産業の富津市,2次産業の君津市,袖ヶ浦市,

3

次産業の木更津市等の地域特性をもつかずさには,さらにそれらを総合的に結びつけ る情報ネットワークの活用や研究開発を中心とするソフト産業が集積し,総合化すれば 日本一のポテンシャルの高い地域に発展する。かずさ地域を一つにまとめて総合化する ことが重要課題である。

基調講演の直後,シンポジウム会場において,加藤寛学長と鈴木朝夫高知工科大学副 学長とのインターネットでの対談が同時に行なわれ,その中で,これからの教育は文 系,理系を区別しない教育が必要であるという共通の見解のもとで,今後は,千葉商大 と高知工科大とがインターネットを通じて単位互換を実現したいとの対談があったこと を特筆しておく。

────────────

21 昭和45年(1970年)12月18日に東京湾横断道路開発計画の第1回開発検討委員会が加藤寛委員長の もとで開催された。

同志社商学 第54巻 第5・6号(2003年3月)

50(664

(19)

(5)パネラーによる提言

①柳田公市・NPOこねくと運営委員が,「地域振興のプロデュサー

NPO

こねくと」

と題して,組織・事業活動の実態,米国のシリコンバレーモデルの意義や社会に与えた 影響などを説いた後,地元かずさ地域でのジョイントベンチャー方式による地域づくり の必要性等について説いた。シリコンバレーは,情熱ある人間が半世紀をかけて構築さ れた社会で,21世紀に向けて新しい社会,新しい文化,地域活性化を目指す千葉県に ジョイントベンチャー方式による地域づくりを教訓に活動して行きたい。そのために は,様々なプロジェクトを産・官・学・コミュニティーの協働作業で市民起業家により 遂行していくことに他ならない。そして地元で,あるいは地元出身の功なり名を遂げた 方々が市民起業家の中心となって積極的な地域のプロジェクトに取り組める風土を作り たいと説いた。

②山本健介・関東通産局産業企画部長が,「研究開発創造型産業集積地域ちばへの対 応」と題して,先ず,日本の労働力人口の減少に対応して経済成長を遂げるためには,

一人当たりの生産性を挙げること,即ち,より付加価値の高い産業・企業(創造型産 業)を起こしていくこと,或は現企業をより付加価値の高い分野に進出していくことで あると指摘した。続いてその条件として,所得税,法人税,相続税などの最高税率を国 際水準への引き下げや,規制の極力撤廃等の必要性を説いた。また,アメリカでは,大 学や企業での技術や成果を翻訳して事業に結びつけ,資金はエンジェルから投資させる といった担い手となる専門家がいる。最近,産学連携とか,官と民の協力とかいわれて いるが,重要なのはその間をうまく繋いで実際に事業に結びつける一流のコンサルタン トが日本には殆どいないことが問題である。これからは企業創出や個別企業に対する政 策提言を担う専門家なり,組織が必要であると指摘している。さらに

1970

年代後半以 降近年まで製造業で唯一大きく成長した基幹産業として,自動車産業とエレクトロニク ス関連産業を挙げ,これらは価格,性能の追究,製造プロセス,プロセスイノベーショ ンの比重が大であり,日本が得意とするところであり,今後はプロダクトイノベーショ ンが重要で,ニーズとフィージビリティをきっちりつめない事業は成功しないと指摘。

かづさ地域の産業創造については,ハイテクバイオ関連(医薬品産業,化学産業)は,

集積等が大きな意味を持つ機械系と比較して言わば人工的に創生できるのではないか,

機械系は基礎,応用が分かれ,担い手も分かれる。一方,ハイテクバイオは,基礎=応 用等で,大学と企業の距離も近い,と説いた後,かずさではプロダクトイノベーション 型研究機関を育成すべきで,そのために次の

2

つが重要であると提案した。 )バイオ 研究のメッカにするべく,バイオ専門大学または大学院を既存大学の転換か新設するな ど,徹底的に特化した投資・育成を図ってほしい。

)かずさに集まる日本人や外国人 が楽しく暮らせるような雰囲気,趣のある地域づくり,ファッショナブルな地域づくり

地域振興への商品学の実践(川) (665)51

(20)

を関係自治体の方々で行なって欲しい。

③武次靖雄・千葉県情報サービス産業協会副会長による提言では,「地域経済の振興 を高める地域情報システムの推進」と題して,平成

8

年に全国で

44

番目に設立した千 葉県情報サービス産業協会について,その活動状況と将来の見通しに触れた後,かずさ の情報通信社会を造るに当たっては,木更津市,君津市,富津市,袖ヶ浦市の

4

市間で 少子高齢化への対応,グローバルスタンダード,既存産業のネットワーク化,新しい産 業の創出,産業の輸入など,21世紀に向けての共通テーマを掲げて知恵を出し合い,

相乗りのサーバーを立ち上げて,先進地である高知県の「情報生活維

22

新」のモデルなど を参考に,まちづくりに取り組むべきであることを強調した。

④小林 一地域振興整備公団企画調査部地域づくり事業推進室長による提言は,「循 環型社会と地域振興」と題して,NPOこねくとが,かずさの地域振興に対して大きな 役割を果たそうとしていることに高く評価をした後,地域が循環型社会を創造するため にはどうあるべきかを公団の立場から説いた。先ず,循環型社会を議論する場合,地球 レベル,地域レベル,個人レベルの

3

つの循環を示し,最終的に重要である地球規模の 循環を具体的に議論する場合にしても,地域の産業/企業,さらに個人の生活レベルま でのごく小さいレベルまでをどう管理するかといったことが重要となる。公団として は,ここ

3, 4

年前から地域からの循環型社会づくりに結びつけるためのニュータウン や産業団地開発事業を行なっている。例えば,地方で雇用の創出,良い生活環境づくり の一環として,いわきニュータウンでのソーラー発電の導入,環境共生住宅展示場(風 舎村),宇部新都市での共同利用電気自転(動)車(みんなで使う自動車)の実験など に挑戦している。かずさ地域のレベルで循環型社会を創造するには,このような具体例 を参考にすべきである。また,産官学民の連携では,特に商工会議所と農協の一体化の 必要があるという重要な指摘があった。

⑤筆者,

川二郎シンポジウム実行委員長が最終のパネラーで,「かずさの地域特性 と新たな役割機能を活かした新規産業の創出から情報通信産業,資源循環型産業,かず さツーリズム創出の提言〜」と題して,今なぜかずさの地域振興なのか,「千葉新産業 三角構想」の策定目的,アクアライン,東関東自動車道路等の完成に伴うかずさ地域の 新たな役割機能等について説いた後,君津地域

4

市の産業経済特性の分析結果に基づい

────────────

22 97年から5年計画で,新たな社会システムの構築を念頭においた1人ひとりの生活,企業や地域のあ り方の変革を目指し,4つの考え方(①過疎化,高齢化地域の新しいライフスタイルの樹立への挑戦。

②平成9年4月開校の高知工科大学を中心とした産学官の連携によるこれからの産業振興。③情報化を 手段とした地方の活性化の新しい手法への挑戦。④中央との遠隔性や県内での遠隔性の克服を目指し,

生活者の視点に立った横断的な情報化への取り組み)に基づき,幡多地域保険・医療・福祉モデルシス テム,DREAM NET(教育の情報化),行政情報・窓口サービスネットワーク,総合物流/電子商取引,

アジアハブ情報ネットワーク(高知工科大を核としたアジア太平洋地域との交流)の他,合計10項目 のプロジェクトを展開。

同志社商学 第54巻 第5・6号(2003年3月)

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参照

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