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論文審査の要旨 博士の専攻分野の名称 博 士 (教育学)

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Academic year: 2021

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論文審査の要旨 博士の専攻分野の名称 博 士 (教育学)

氏名 山 元 悦 子 学位授与の要件

学位規則第4条第1・ ○

2

項該当

論 文 題 目

言語コミュニケーション能力の育成に関する研究

論文審査担当者

主 査 教 授 吉 田 裕 久 審査委員 教 授 田 中 宏 幸 審査委員 教 授 難 波 博 孝

〔論文審査の要旨〕

本論文は,言語コミュニケーション能力を新しく定義し直すとともに,その育成のあり方に ついて,(1)言語コミュニケーション能力の発達調査によって発達過程を明らかにし,言語 コミュニケーション能力の発達モデルを作成する,(2)その枠組に依拠した実践を開発し,

効果を検証する,(3)言語コミュニケーション能力を評価する指標を設定する,以上の3点 を観点として追究することを目的としたものである。

本論文は,序章・結章を含めて,6章で構成されている。

序章「本研究の意義・目的・方法」では,コミュニケーション研究の動向をふまえて,本研 究の意義,目的と方法が述べられている。

第1章「言語コミュニケーション能力の考究」では,言語コミュニケーション能力を定義し 直し,その発達をどのような視点からとらえるかについて述べている。つまり,その言語コミ ュニケーション能力を「言語を介した他者との協同活動の中で,何かを共有・確認していった り,新しい考えを産み出したりする行為ができる能力」と従来のとらえ方よりも積極的にとら え,その言語コミュニケーション能力の発達を「学習指導要領に示された分割的な能力観を,

言語コミュニケーション能力の観点から再構築し,その発達を教室という共同体におけるコミ ュニケーション文化形成,個体間の関係性の変容,個体内の認知的成熟という3つの要因の相 補的連関としてとらえる」という独自の見方・方法を提示している。

第2章「言語コミュニケーション能力の発達調査」では,まず,自己と他者の関係の伸長を 軸に発達を明らかにするために小集団における児童のやりとりに注目して発達調査を実施し,

その成果を言語コミュニケーション能力の発達モデルとして提示している。そして,その調査 結果の知見を元に言語コミュニケーション能力の発達モデルを作成し,このモデルを研究実践 の理論的枠組として生かしている。

第3章「発達モデルに基づいた言語コミュニケーション能力を育てる実践開発」では,言語 コミュニケーション能力の発達モデルから導出した指導方針と,当該児童の発達状況の実態調

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査によって指導課題を定めて実施した研究実践を提案し,結果を分析している。そして,「言 語コミュニケーション能力の指導は,教師の指導性によって育まれた信頼関係・受容的関係・

仲間意識を土壌にして始まる。この土壌の上に,話すこと聞くことの国語科学習指導を積み上 げていくことが,言語コミュニケーション能力を育成する上での要諦となる」と結論づけてい る。

第4章「言語コミュニケーション能力の評価」では,まず,(1)言語コミュニケーション 能力の発達を評価するための枠組を明確にし,次に,(2)言語コミュニケーション能力の発 達モデルを具体的な話す聞く態度にして示した項目を作成して発達調査を行い,そして,(3)

調査項目を評価項目として再編したものを作成して教師に評価を実施しアンケート調査を分 析し,さらに,(4)これら一連の調査によって実効性のある評価方法を開発しようとした成 果を述べている。その結果,「評価指標が,指導者にとって伸ばすべき方向性への指針を示す 役割を担いうることが明らかになった。また,児童と教師で評価指標を読み上げて確かめ合う 自己-相互評価活動を行う学習をセットにして実施することで,児童と教師の意識が共有で き,児童が学習内容を自覚し何をすべきかがわかる点も利点として指摘されている。」と成果 を明らかにするとともに,評価項目数の多いことが指摘されたことから,現場での利便性を高 めるための課題も残っていることを指摘している。

結章「言語コミュニケーション能力の育成に関する研究の成果と展望」では,言語コミュニ ケーション能力の育成に関する研究の成果と今後の研究の展望について述べられている。

本論文の意義は,次の3点に見いだされる。

(1)「コミュニケーションは状況の中での他者とのやりとりである」と規定し,学習指導 要領を始め従来のとらえ方が分析的・静的にとらえていたコミュニケーション観に対して,総 合的・動的な新たな見方を提示している

(2)言語コミュニケーション能力の育成の道筋を,幼児・児童の発達の実態調査に基づい て実証的に明らかにしている

(3)国語教育は実践学であるべきととらえ,教育現場に資する実践開発・評価指標開発に 置き,理論と実践とを結ぶ実践的提案として提示されている

以上,審査の結果,本

論文の著者は博士(教育学)の学位を授与される十分な資格がある ものと認められる。

平成27年2月12日

参照

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